JPH065920U - 金型におけるインサートの装着装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 大型のインサートでも正確に位置決めして容
易にセットでき、また、吸気系統への樹脂洩れを防止す
る。 【構成】 金型に鋼製キャップの位置決めホルダ４を所
定位置に設置し、位置決めホルダには先端部の周りに環
状シール５を底部に吸着パッド６を配設し、吸着パッド
の内部を吸排気装置と連通させ、雌ねじを中心部に形成
した円筒状の鋼製キャップ３を金型にインサートするボ
ルト１のねじ部に螺合し、鋼製キャップ３を金型の位置
決めホルダ４に挿入し吸着保持する。鋼製キャップ３の
頂部が位置決めホルダ４の底部に当るまで吸引され、そ
の状態に位置決めされて吸引保持される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ＦＲＰ製品などを成形するのに使用する成形用金型において、金型 内にセットするインサートの装着装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

近時、ＦＲＰ（ガラス繊維強化樹脂）製品が自動車の外板等の各種成形品に使 用されるようになった。例えばエンジンフ−ドをＦＲＰ製とする場合には、成形 品の剛性、強度等を確保するため、ガラス繊維等の強化用繊維を複数枚重ねて予 めマット状に成形し、このガラス繊維マットを金型にセットし、型内に溶融樹脂 を注入して成形するレジントランスファ成形（以下、ＲＴＭという）が採用され ている。 ＦＲＰ製エンジンフードの成形の場合には、ボデーへの取付用ヒンジを固定す るための埋込みボルトを一体的に成形する必要がある。このボルトの一体成形は 、発泡ウレタンなどの発泡体で補強用のコア材を成形する際に、鋼板に溶接で取 付けたボルトを埋め込んで予め成形し、このコア材を金型にセットしてＲＴＭを 行う用にしている。 図５に予備成形したコア材の裏面を示す。コア材２の所定の部位にボルト１の ねじ部が突出している。

【０００３】 ＲＴＭに使用する成形型は、図３に示すように、製品の裏面を成形するコア型 １０と外表面を成形するキャビ型１１とからなり、各型は電鋳殻を使用して成形 面を構成し、この電鋳層１３の裏面に温度調節用パイプ１４を配設し、型枠内に レジンコンクリート１５を充填して構成する。 コア型１０には、前記コア材２をセットするための凹部２１を形成し、コア材 ２のボルト１にシリコンゴムなどのゴム製キャップ２２を被せ、このキャップ２ ２をコア型１０の凹部２１に押込んでコア材２を成形型のキャビティ１２の所定 部位にセットするようにしている。

【０００４】 特開平２−５５１０８号公報には、上型のキャビティ面にインサート部品の位 置に対応して凹部を形成し、この凹部に連通する孔に装置外の吸気装置へ連結さ れたスリーブを設けた合成樹脂成形装置が提案されている。この装置を図４に示 す。 上型３１の所望の部位に、キャビティ３２に開口する凹部とこれに連通する段 付き孔を設け、この孔に埋め込みフランジ３４付きのボルト３３のねじ部にスリ ーブ３５を被せて挿入し、装置外の吸気装置へ連結されたパイプ３６で吸気し、 フランジ３４を凹部の段部に当接させてボルト３３をセットする。 キャビティ３２に樹脂を充填すると、フランジ３４が樹脂内に埋め込まれる。 樹脂が硬化した後、型開きしてパイプ３６からエアーを送り込んで製品を脱型す る。 また、特開昭６４−５１９１５号公報には、上型に形成した穴部にＯリングを 介して袋ナット状の埋め金を装着し、上型の穴部に金型外の吸気装置に連通する 通し孔を形成し、埋め金を吸引保持するようにした金型が記載されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

図３に示す従来のコア材２のセット方法では、コア材２の重量をゴム製キャッ プ２２の弾力によるその内外面の摩擦で保持するため、エンジンフードなどの大 型製品では、コア材２の重量に限界がある。ゴム製キャップ２２の嵌合をきつく するとコア材２の装着が困難となる。 また、ゴム製キャップ２２の弾力によりコア材２を保持するため、コア材２の 位置決めが不安定となり、特に、高さ方向の位置決め精度に問題がある。すなわ ち、図３に示すように、コア材２と成形面との間隔ｄは、これにより注入する樹 脂層の厚さが決まるので、正確に位置決めしなければならないが、ゴム製キャッ プ２２の弾力による保持では、位置決めが不安定となる。 更に、ボルト１とゴム製キャップ２２との隙間に注入した樹脂が浸入して硬化 し、脱型した製品のボルト１のねじ部を毎回ダイスなどで清掃する必要があって 手間がかかる。

【０００６】 前記公開公報に記載されたものは、いずれもインサートするものがボルトやナ ットであるので、金型に直接突き当てることで正確な位置決めが可能となるが、 コア材２の場合は、発泡体は突き当て面として正確な位置決を可能とするのに必 要な剛性を持っていないので、発泡体部を金型との突き当て面とすることができ ない。 また、ボルトやナット自体をを直接吸気して保持するため、万一シールが破れ ると、吸気系統に溶融樹脂が浸入して固化してしまう恐れがある。 本考案は、上記の問題点を解決し、大型のインサートでも正確に位置決めして 容易にセットでき、また、吸気系統への樹脂洩れの恐れのない金型におけるイン サートの装着装置を提供することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は、金型に鋼製キャップの位置決めホルダを所定位置に設置し、該位置 決めホルダには先端部の周りに環状シールを底部に吸着パッドを配設し、該吸着 パッドの内部を吸排気装置と連通させ、雌ねじを中心部に形成した円筒状の鋼製 キャップを金型にインサートするボルトのねじ部に螺合し、該鋼製キャップを前 記金型の位置決めホルダに挿入し吸着保持するようにした金型におけるインサー トの装着装置である。

【０００８】

【作用】

インサートに固定した鋼製キャップを金型の位置決めホルダに挿入し、鋼製キ ャップの頂部がほぼ位置決めホルダの底部に達するまで押込み、真空排気装置を 作動させると、鋼製キャップの周りが環状シールで密封され、鋼製キャップの先 端部が吸着パッドに当接しているので、吸着パッドは内部が排気されて縮み、鋼 製キャップの頂部が位置決めホルダの底部に当るまで吸引され、その状態に位置 決めされて吸引保持される。 型締めしてキャビティ内に溶融樹脂を注入したときに、鋼製キャップの周りが 環状シールで密封されると共に、鋼製キャップの頂部が吸着パッドでシールされ るので、溶融樹脂が吸気系に侵入する恐れがない。

【０００９】

【実施例】

成形金型の一部の断面を示す図１Ａにおいて、上型をエンジンフ−ドの裏面を 成形するコア型１０とし、その下面にキャビティを形成する。上下型は電鋳殻を 使用して成形面とし、この電鋳層１３の裏面に温度調節用パイプ１４を配設し、 型枠内にレジンコンクリート１５を充填して構成する。 このコア型１０には、後記する鋼製キャップの位置決めホルダ４を所定位置に 設置し、位置決めホルダ４の先端部の周りにシリコン系又はフッソ系ゴムの環状 シール５を取付け、位置決めホルダ４の後端部に吸着パッド６を配設する。この 吸着パッド６は蛇腹状の伸縮可能なゴム製とし、その内部は、吸排気装置と連結 する吸排気パイプ７に連通させる。 一方、このコア型１０にインサートするコア材２には、図１Ｂに示すように、 鋼板１ａに溶接で取付けられたボルト１のねじ部が裏面に突出して予備成形され ている。この鋼板に溶接で取付けたボルトの代りに、スタッドボルトを使用して もよい。 ボルト１のねじ部に螺合する雌ねじを中心部に形成した円筒状の鋼製キャップ ３を別途準備する。この鋼製キャップ３の外径Ｄは、環状シール５の内径よりや や大きく、位置決めホルダ４の内径と等しくし、高さは、コア型１０の成形面と 位置決めホルダ４の底面４ａとの距離Ｌに成形面とコア材２との設置間隔ｄを加 えた長さとする。

【００１０】 図１Ｂに示すように、コア材２の裏面に突出したボルト１のねじ部に鋼製キャ ップ３を螺合し、その端面がコア材２の表面に当るまでねじ込んで固定する。 コア材２に固定した各鋼製キャップ３を、コア型１０の各位置決めホルダ４に 挿入し、鋼製キャップ３の頂部３ａがほぼ位置決めホルダ４の底部４ａに達する まで押込む。 次に真空排気装置を作動させると、鋼製キャップ３の周りが環状シール５で密 封され、鋼製キャップ３の先端部３ａが吸着パッド６に当接しているので、吸着 パッド６の内部が吸排気パイプ７から排気されて縮み、鋼製キャップ３の頂部３ ａが位置決めホルダ４の底部４ａに当るまで吸引され、コア材２はその状態に吸 引保持される。 鋼製キャップ３の頂部３ａと位置決めホルダ４の底部４ａとが、高さ方向の位 置決め面となっているので、コア材２の裏面２ａは、成形面と所定の間隔ｄが正 確に保持され、またボルト１の横方向の位置は、鋼製キャップ３の外周面と位置 決めホルダ４の内周面の嵌合で正確に位置決めされる。

【００１１】 型締めしてキャビティ内に溶融樹脂を注入すると、コア材２の周りに樹脂が充 填される。このときに、鋼製キャップ３の周りが環状シール５で密封されると共 に、鋼製キャップ３の頂部３ａが吸着パッド６で吸引されて二重シールとなるの で、溶融樹脂が吸気系に侵入する恐れがない。 樹脂が硬化した後、型開きして吸排気パイプ７から送気すると、鋼製キャップ ３が押出されて製品を脱型する。

【００１２】 図２に鋼製キャップの別の実施例を示す。 コア材２の両面にガラス繊維マットを配設する場合に、鋼製キャップ８の端面 がガラス繊維マット２０に当接すると、この面のシール性が落ち、溶融樹脂がボ ルト１と鋼製キャップ８の螺合部に侵入することになる。 鋼製キャップ８のねじ孔の端面に環状のゴムシール９を設置し、螺合部への樹 脂の侵入を防止するようにしたものである。

【００１３】 以上の実施例ではＲＴＭ用の成形金型について説明したが、本考案は注入樹脂 圧力の低いレジンインジェクション（ＲＩ）用金型などにも適用で、また、イン サートするものも各種のものに適用できる。

【００１４】

【考案の効果】

本考案は、インサートする物が大型であっても金型へのセットが容易であり、 所望の位置に正確に位置決めできると共に、吸気系統へのシールを二重に配設し たので、吸気系への樹脂洩れの恐れがなくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の一部断面図。

【図２】本考案の他の実施例のキャップの一部断面図。

【図３】従来の装着状態の一部断面図。

【図４】従来の他の形式の金型の一部断面図。

【図５】インサートの裏面図。

【符号の説明】

１ ボルト ２ コア材 ３ 鋼製キャップ
４ 位置決めホルダ ５ 環状シール ６ 吸着パッド ７ 吸排気パイプ
８ 鋼製キャップ ９ シール １０ コア型

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 金型に鋼製キャップの位置決めホルダを
   所定位置に設置し、該位置決めホルダには先端部の周り
   に環状シールを底部に吸着パッドを配設し、該吸着パッ
   ドの内部を吸排気装置と連通させ、雌ねじを中心部に形
   成した円筒状の鋼製キャップを金型にインサートするボ
   ルトのねじ部に螺合し、該鋼製キャップを前記金型の位
   置決めホルダに挿入し吸着保持することを特徴とする金
   型におけるインサートの装着装置。