JPH0658349A - ディスクブレーキ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 パッドピンでパッドを支持するディスクブレ
ーキはパッドピン経由でディスク摺接面からキャリパに
振動が伝わって鳴きが生じ、また、ピンのがたつきによ
るチャタリング音の発生やピンとピン穴の傷付きが起こ
るので、この問題を無くする。 【構成】 パッドピン６とこのピンを通すキャリパのピ
ン穴２との間に緩衝材８を配置する。この緩衝材８はパ
ッドピンに被覆してパッドピンで支持してもよいし、ブ
ッシュ形状にしてピン穴に嵌めキャリパで支持してもよ
い。この緩衝材が振動を吸収してキャリパへの伝達を防
止或いは減少させるので制動時の鳴きが抑制される。ま
た、ピンとピン穴の衝突を防止するのでチャタリング音
が無くなり、これ等の傷付きも起こらない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、パッドをパッドピンで
吊るして支持するタイプのディスクブレーキに関する。
詳しくは、制動時に発生する異音（いわゆる鳴き）と加
振時のチャタリング音の抑止に効果を奏するディスクブ
レーキである。

【０００２】

【従来の技術】従来のディスクブレーキに採用されてい
るパッドピンは、鋼棒製であってその表面にメッキ、ダ
ロロ処理等の防錆処理が施されており、それが、図４に
示すように、キャリパ１に加工されているピン径よりも
少し大きいピン穴２に挿入され、クリップピン３等で抜
け止めされる。ピストン４で押圧してディスク（図示せ
ず）に摺接させるパッド５は、裏板にピン穴をあけてあ
り、その穴にパッドピン６を通してディスク軸方向スラ
イド可能に支持される。

【０００３】なお、パッドピン６の抜け止めは、図５に
示すように、ピンに形成したねじをキャリパのねじ穴に
螺合させて行うものや、図６に示すようにピン穴２との
間に金属製のテーパリング７を圧入して行うものもあ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】図４の構造では、パッ
ドピン６とピン穴２との間にクリアランスが存在する
が、ピン６が穴内で宙に浮くことはなく、必ずどちらか
に偏って穴面に接触している。また、図５の構造では螺
合によりピンとキャリパが相互に固定されており、図６
の構造も、テーパリングを介しての間接的な固定になっ
ている。

【０００５】そのため、制動時にディスク摺接面で発生
した振動がパッド５、パッドピン６を経由してキャリパ
１にも伝わり、キャリパが共振して鳴きが発生する。

【０００６】また、図４の構造では、ピン穴２との間に
クリアランスがあるので、振動発生時にパッドピンがが
たついてピン穴の内面にぶつかり、そのためにチャタリ
ング音が発生し、また、その衝突によりピンとピン穴の
相互接触部が傷付くこともある。

【０００７】なお、鳴きについては、ピストンとパッド
或いはキャリパとパッド間にシム等を介在して防止する
ことが行われているが、この方法は、パッドピン経由で
の振動伝達防止には効果が無い。

【０００８】発明者は、パッドピン経由でのキャリパへ
の振動伝達も鳴きの発生に無視できない影響を及ぼして
いることを突き止め、チャタリング音対策、並びにピン
とピン穴の損傷対策を兼ねてこの点を改善すると云う課
題を見い出した。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するため、パッドピンとこのピンを通すキャリパの
ピン穴との間に緩衝材を具備させる。

【００１０】

【作用】緩衝材による減衰効果で振動が吸収されてキャ
リパに伝わらない。また、仮に伝わっても振幅が大幅に
減衰されるので問題になるほどの鳴きは発生しない。

【００１１】さらに、緩衝材が金属同士の接触を防止す
るのでパッドピンが遊嵌されている場合にもチャタリン
グ音が生じず、ピンとピン穴の損傷も回避される。

【００１２】

【実施例】図１乃至図３に基づいて本発明の実施例につ
いて説明する。本発明のディスクブレーキは、パッドピ
ンの取付け部に特徴があるので、実施例はいずれも取付
け部の詳細のみを示した。

【００１３】図１の実施例は、鋼棒で作ったパッドピン
６の表面の全域に緩衝材８から成る被覆層を設け、この
ピンをキャリパ１に設けたピン穴２に通すようにしたも
ので、この構造では被覆による防錆効果が得られ、従っ
て、ピン表面のメッキ等による防錆処理を省くことがで
きる。

【００１４】図２の実施例も、図１と同様に緩衝材８を
パッドピン６で支持するもので、この場合には、ピン穴
２との接触部にのみ緩衝材を設けるのでピン表面に防錆
処理を施しておく。

【００１５】また、図２（ａ）の構造は、チューブ等を
被せただけの被覆であるとこの被覆（緩衝材）が外れる
恐れがあるので、このようなときには、同図（ｂ）のよ
うに、パッドピン６の外周に環状溝を形成してそこに緩
衝材を嵌めるとよい。

【００１６】図３は、緩衝材８をキャリパで支持する構
造を示している。このように、緩衝材でブッシュを作
り、このブッシュをピン穴２に嵌めてブッシュの穴にパ
ッドピン６を通すようにしてもよい。この際のブッシュ
は、同図（ｂ）に示す片フランジタイプにしてもよい
し、同図（ａ）のように両端にストッパとなるフランジ
を付けてピン６の挿入、抜き取りの両方向に抜け止めす
る形にしてもよい。

【００１７】なお、緩衝材８の具体例としては、ゴムの
ほか、ビニール等の柔軟な樹脂が考えられる。軟質金属
や発泡させた金属などの使用も可能である。要はクッシ
ョン性のある材料であれば何でもよい。

【００１８】また、パッドピン又はピン穴と緩衝材との
間のクリアランスはあっても無くても振動減衰効果が発
揮される。

【００１９】このほか、パッドピン６の抜け止めは、ク
リップピンやコッターピンなどを用いて従来と同様の方
法で行う。

【００２０】なお、パッドピンが複数本あるブレーキに
関しては、そのうちの何本か（１本のときもある）に上
記の対策を施せば発明の目的が達成されることがある。

【００２１】

【発明の効果】以上述べたように、この発明ではパッド
ピンとこれを通すキャリパのピン穴との間に緩衝材を配
置したので、パッドピン経由でのキャリパへの振動伝達
が防止又は抑制されて制動時の鳴きが減少する。

【００２２】また、パッドピンのピン穴への衝突が防止
されるので、加振時のチャタリング音もなくなり、ピン
とピン穴の傷付きも回避される。

【図面の簡単な説明】

【図１】緩衝材をパッドピンの表面全体に被覆して設け
た例を示す図

【図２】緩衝材をパッドピンの表面の一部に被覆して設
けた例を示す図

【図３】緩衝材でブッシュを作ってこのブッシュをピン
穴に取付けた例を示す図

【図４】従来のディスクブレーキの断面図

【図５】パッドピンの取付け部の別の例を示す断面図

【図６】パッドピンの取付け部の更に別の例を示す断面
図

【符号の説明】

１ キャリパ ２ ピン穴 ６ パッドピン ８ 緩衝材

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 キャリパにパッドピンを取付け、そのピ
   ンでディスクに摺接させるパッドをディスク軸方向スラ
   イド可能に支持するディスクブレーキにおいて、前記パ
   ッドピンとこのピンを通すキャリパのピン穴との間に緩
   衝材を具備させたことを特徴とするディスクブレーキ。
2. 【請求項２】 前記緩衝材をパッドピンの表面の全域又
   は一部にピンの被覆層として設け、この緩衝材の支持を
   パッドピンによって行った請求項１記載のディスクブレ
   ーキ。
3. 【請求項３】 前記ピン穴にブッシュを嵌め、このブッ
   シュを前記緩衝材で形成して緩衝材の支持をキャリパで
   行った請求項１記載のディスクブレーキ。