JPH0655Y2 - ナイフにおける背金の構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案はナイフにおいて刀身を保持する背金の構造に
関するものである。

［従来の技術］ 従来のナイフとしては、例えば実開昭５６−８８４７０
号公報に示すものがある。このナイフにおいては、刀身
が柄に対し回動可能に支持されて、柄から突出する使用
状態と、柄内に収納される不使用状態とを取り得るよう
になっている。柄の背側には板ばねにより弾性を有する
背金が設けられ、この背金が刀身に係合されて前記使用
状態と不使用状態で刀身を保持するようになっている。

柄内には前記背金とは別に刀身保持部材が設けられ、不
使用状態で刀身がこの保持部材内に挿入されてがたつき
を防止するようになっている。なお、前記背金に弾性を
与える板ばねはこの保持部材と一体成形されている。

［考案が解決しようとする課題］ 前述したナイフでは、刀身保持部材が背金とは別々に設
けられているため、部品点数が増え、構造が複雑となら
ざるを得なかった。

本考案は背金自体に刀身がたつき防止機能を持たせるこ
とにより、部品点数を減らして構造を簡単にすることを
目的としている。

考案の構成 ［課題を解決するための手段］ この目的に鑑み本考案は、後記する実施例の図面に示す
ように、柄１に対し刀身２を移動可能に支持し、柄１の
背側には弾性を有する背金６を設け、刀身１の各移動位
置で、この背金６の係止部９を刀身２の係止部５に対し
係脱可能に係合させたナイフにおいて、前記背金６を一
体成形することにより、刀身２の係止部５に対し係脱さ
れる係止部９に加えて、刀身２を挾持し得る両側板部８
をも背金６自体に設けたものである。

［作用］ 刀身２は、背金６を操作してそれらの係止部５，９を係
脱させることにより、柄１に対し移動可能となり、その
各移動位置で保持される。

そして、刀身２を背金６の両側板部８間で挾持して、そ
のがたつきを防止することができる。

［実施例］ 以下、本考案の一実施例を図面に従って説明する。

柄１は一対の側板１ａを互いに重合させたものであっ
て、柄１の前端から刀身２が挿入されている。両側板１
ａの内面にはそれぞれガイド溝３が相対向して形成され
ているとともに、刀身２の後端部両側にはそれぞれ一対
のガイド突部４が形成され、このガイド突部４がガイド
溝３に係入されて刀身２がこのガイド溝３に沿って柄１
の長手方向へ移動可能に支持されている。刀身２に背側
には複数の係止凹部５が刀身２の突出方向に沿って並設
されている。

柄１の背側には断面コ字形状をなすように一体成形され
た背金６が設けられている。この背金６は柄１の長手方
向へ延びる天板部７と、この天板部７の前後両端部７
ａ，７ｂを除く天板部７の両側から一体に折曲された側
板部８とからなり、天板部７の前端部７ａには係止凸部
９が折曲されている。この折曲部の両側板部８は柄１の
両側板１ａ間に挿入され、この両側板部８に挿嵌された
支軸１０により背金６は柄１の両側板１ａに対し上下方
向へ回動可能に支持されている。刀身２はこの両側板部
８間に挾持されている。なお、柄１の両側板１ａの背側
には切欠部１１が形成され、この切欠部１１に背金６の
天板部７の一部が露出している。

背金６の両側板部８間には板ばね１２が挿入され、板ば
ね１２の一端部に形成された軸部１２ａが両側板部８に
挿着されている。第５図に示すように、この板ばね１２
の他端部は柄１の側板１ａに係止されているとともに、
板ばね１２の中間部は背金６の天板部７の内側に係止さ
れている。従って、この板ばね１２の中間部である背金
６の天板部７が上方へ付勢され、背金６の前端の係止突
部９の刀身２の背部２ａの各係止凹部５のうちいずれか
のものに係入されるようになっている。

さて、第１図及び第２図に示す状態では、刀身２の各係
止凹部５のうち最も前端の係止凹部５に背金６の係止凸
部９が係入されて、刀身２が柄１に対し位置決めされて
いる。この状態では、柄１からの刀身２の突出寸法Ｌは
最も小さくなっている。

柄１の両側板１ａの切欠部１１で背金６の天板部７を位
置の弾性に抗して下方へ押すと、背金６が支軸１０を中
心に回動して背金６の前端の係止凸部９が上方へ移動
し、刀身２の係止凹部５から外れる。背金６を押したま
ま、刀身２を柄１から引出し、背金６を離すと、刀身２
の別の係止凹部５に背金６の係止凸部９が係入されて刀
身２が柄１に対し位置決めされる。従って、刀身２の突
出寸法Ｌを変更することができる。例えば、第４図に示
すように、刀身２の各係止凹部５のうち最も後端の係止
凹部５に背金６の係止凸部９を係入すると、刀身２の突
出寸法Ｌは最も大きくなる。

このように本実施例においては、柄１に対する刀身２の
突出寸法Ｌを変えることができるので、使用場所のスペ
ースに制限がある場合等、用途に応じて大変便利なもの
となる。又、柄１に対する刀身２の位置決め手段とし
て、従来からある背金６の係脱構造を有効に応用するこ
とができる。

特に本実施例においては、第３図に示すように、柄１内
で刀身２を背金６の両側板部８により挾持して刀身２の
がたつきを防止しているが、このような刀身がたつき防
止機能を有する両側板部８を背金６自体に一体成形して
設けているので、前述した従来のナイフと比較して、部
品点数が減り、構造が大変簡単になる。

前述した実施例では、背金６に対し板ばね１２を別体に
設けているが、背金６と板ばね１２とを一体化して背金
自体に弾性を持たせてもよい。

又、前述した実施例に係る形式のナイフ以外にも、例え
ば実開昭５６−８８４７０号公報に示すように、刀身が
柄に対し回動可能に支持されて、柄から突出する使用状
態と、柄内に収納される不使用状態とを取り得るような
ナイフにも応用可能である。

考案の効果 本考案によれば、刀身２の係脱機能を有する係止部９と
ともに、刀身２のがたつき防止機能を有する両側板部８
をも背金６自体に一体成形しているので、部品点数が減
って構造が簡単になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本実施例のナイフにおいて刀身の突出寸法を最
も小さくした状態を示す正面図、第２図は第１図に示す
ものから一方の側板を取外した状態を示す正面図、第３
図は第１図Ｘ−Ｘ線拡大断面図、第４図は本実施例のナ
イフにおいて刀身の突出寸法を最も大きくした状態を示
す第２図相当図、第５図は本実施例のナイフにおいて刀
身を柄から取出した状態を示す第２図相当図である。 １…柄、２…刀身、５…係止凹部、６…背金、７…天板
部、８…側板部、９…係止凸部、１２…板ばね。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】柄（１）に対し刀身（２）を移動可能に支
   持し、柄（１）の背側には弾性を有する背金（６）を設
   け、刀身（１）の各移動位置で、この背金（６）の係止
   部（９）を刀身（２）の係止部（５）に対し係脱可能に
   係合させたナイフにおいて、 前記背金（６）を一体成形することにより、刀身（２）
   の係止部（５）に対し係脱される係止部（９）に加え
   て、刀身（２）を挾持し得る両側板部（８）をも背金
   （６）自体に設けたことを特徴とするナイフにおける背
   金の構造。