JPH0655296B2 - 管内面のライニング補修工法 - Google Patents

管内面のライニング補修工法

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JPH0655296B2
JPH0655296B2 JP61219972A JP21997286A JPH0655296B2 JP H0655296 B2 JPH0655296 B2 JP H0655296B2 JP 61219972 A JP61219972 A JP 61219972A JP 21997286 A JP21997286 A JP 21997286A JP H0655296 B2 JPH0655296 B2 JP H0655296B2
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基之 古賀
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ガス配管,水道配管などの既設配管に対しそ
の管内面に樹脂のライニング被膜を形成するように補修
を施す管内面のライニング補修工法に関する。
〔従来の技術〕
ガス配管,水道配管などの布設配管においては経年によ
り管に腐蝕孔や亀裂が生じ、これにより漏洩が起る恐れ
があることから、その漏洩補修または予防保全のための
更生修理工法として管内面に樹脂を用いて被膜を形成す
るようなライニング補修が行なわれている。
従来、この種の樹脂を用いたライニング補修工法とし
て、比較的に管径の小さい小中口径の既設配管では、次
の工法が知られている。
.噴霧気流法 例えば特開昭54−127941号公報(特公昭58−
14826号公報)、特開昭54−156046号公報
等によって開示された先行技術のように、施工管の管内
にその一端側より高速空気流を流し、この空気流に樹脂
を担持させて管内に吹き込むことにより内面に付着する
樹脂気流で被膜を形成するようにした方法。
.ピグ・ライニング法 例えば特開昭55−44320号公報に開示された先行
技術のように、施工管の管内に前後2個のピグを導入
し、そのピグ間に樹脂を介在させてピグの移動により進
行する樹脂を後部のピグ周面より後方へ流出させて管内
面に塗布するように被膜を形成する方法。
.樹脂プラグ流動法 例えば特開昭57−105270号公報、特開昭58−
6272号公報等に開示された先行技術のように、施工
管の管内にその一端開口部より流動性を有する液状樹脂
を所要長さにわたって管内を閉塞するようプラグ状に注
入し、この樹脂プラグを、その前後間の管内に発生させ
た圧力差により流動進行させる行程で管内面に付着残留
する樹脂膜により被覆を形成するようにした方法。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで上記の従来工法によって布設配管のライニング
補修を施工する場合、その施工対象の配管が、例えば、
管径が小さい小口径管でその管路途中にエルボ等の曲管
部や口径変化部が介在する配管系(ガス配管における供
給管など)を対象とする場合、前記のピグ・ライニン
グ法による補修工法では、ピグが管路途中につかえて移
動不能に陥る等の理由から適用上に問題点がある。
そこで、上述のような配管系を対象とするライニング補
修の施工には、一般的に、前記の噴霧気流法による補
修工法を主流として実用化されている。しかしこの補修
工法による場合、高速空気流に樹脂を担持させて管内に
吹き込む関係から使用樹脂は低粘度(例えば15,00
0cps 以下)の樹脂を使用しなければならない制約があ
り、これに関連して管内面に形成されるライニング被膜
の厚さも殆んど0.5mm以下で薄く、その膜厚を厚くラ
イニングできないという問題点があった。
この点、前記の樹脂プラグ流動法による補修工法で
は、管内面に形成されるライニング被膜の厚さを適宜に
厚く形成することが可能な工法として注目されている。
しかし、この工法として従来提案されている前記特開昭
57−105270号公報、特開昭58−6272号公
報などに開示された先行技術のものでは、次のような問
題点があった。
すなわち上述の先行技術では、管内に注入された所要長
さの樹脂プラグをその前後間に生起させた圧力差により
流動進行させているが、ここに樹脂プラグを単に圧力差
に依存して管内移動させるのみでは、流動進行による被
膜の形成で樹脂量が減少すると、その樹脂量の減少に応
じて樹脂プラグ流の流動速度が逐次速くなるように変化
する現象が起る。この樹脂の流動速度は、例えば特公昭
50−28456号公報に示唆されているように管内面
に形成されるライニング被膜の形成厚さに関係すること
が知られ、よって上述の先行技術では、樹脂プラグ流の
流動速度が順次変化することより管内面に形成される被
膜の膜厚が管全長において不均一になるという問題点が
あった。
また管内を流動進行する樹脂プラグ流は、所定の距離進
行すると樹脂量が減少して吹き抜けを起すが、この場
合、上述の先行技術では、流動進行につれて圧力差を減
衰させる配慮がなされていないことより、流動進行の移
動端で樹脂が吹き抜ける際、高い圧力差で樹脂が勢いよ
く吹き抜けて管内に大きな圧力変動が生起し、この圧力
変動が管内面に形成された未硬化のライニング被膜に悪
影響を与えて膜厚に凹凸波を生じるなど、膜厚の厚さが
不均一になるという問題点も派生する。
本発明は、前述のの樹脂プラグ流動法による補修工法
において上述の問題点を解消し、管内面に形成する被膜
を施工管の管全長にわたって一定厚さで、しかも所要厚
さ(厚膜)の被膜を均一に形成でき、施工管の長さが長
い場合でも対応できるようにしたライニング補修工法を
提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
この目的を達成するために本発明は、補修対象の施工管
1 内にその一端開口部から流動性を有する液状樹脂Aを
所要長さにわたって管内を閉塞するようプラグ状に注入
し、該樹脂プラグAの前後間に圧力差を発生させて樹脂
プラグAを流動させ、施工管1 の内面にライニング被膜
を形成するようにした工法において、 上記樹脂プラグAの注入側管端に所定長さを有するラン
チャー2 を接続し、このランチャー2 に所定量の樹脂プ
ラグAを供給する樹脂供給手段と、樹脂プラグAの後端
面に流動性を付与する空気圧供給手段とを設置し、樹脂
プラグAの排出側管端に所定長さを有するレシーバ3 を
接続し、このレシーバ3 に空気圧検知手段および樹脂分
離手段を設置し、樹脂プラグAの前後間に、予め管径,
樹脂粘度,樹脂プラグAの長さの関係条件から、目標と
するライニング被膜の厚さを形成するに必要な設定速度
で樹脂プラグAに流動性を与える圧力差を生起させ、且
つ上記圧力差を、樹脂プラグAの流動進行による樹脂量
の減少に応じて減衰させる制御手段を設け、その制御に
より樹脂プラグ流の管1 内における流動速度を略一定速
度に保持すると共に、 上記補修対象の施工管1 の長さが長い場合は、その長さ
に対応して、上記ランチャー2 側からレシーバ3 側に、
樹脂の充填,流動回数を複数回、繰り返して分割施工す
るようにしたことを特徴とするものである。
〔作 用〕
このような補修工法では、補修対象の施工管内に導入さ
れた樹脂プラグがその前後間の圧力差により管内を流動
進行し、その進行中に管内面に付着残留される樹脂膜に
よりライニング被膜が形成されるが、この被膜の厚さ
は、圧力差による樹脂プラグ流の流動速度,樹脂粘度,
樹脂プラグの長さ等の関係条件を適宜に選定することで
自由にコントロールできるから、形成するライニング被
膜の厚さを所望の厚さの膜厚(1mm〜10mm程度)に形
成することが可能となる。
しかもこの場合、樹脂プラグに流動性を付与する圧力差
を樹脂量の減少に応じて減衰させるよう制御するから、
樹脂量の減少に起因して流動速度が変化することがな
く、管内における樹脂プラグ流の流動速度が略一定速度
に保持されることより膜厚が、施工管の管全長にわたっ
て均一厚さに形成できる。
また所定長さの補修区間を複数回に分割して樹脂の充
填,流動を行なった場合も、第2回目以降の樹脂の流動
速度,樹脂粘度,樹脂プラグの長さ等を同一条件に設定
することにより、前段で形成された塗膜に重なることな
く、前段で形成された塗膜の後端部に続いて管周方向全
体に均一膜厚の塗膜を連続して形成することが可能とな
る。さらにライニングが終了して余った樹脂は、レシー
バの樹脂分離手段により回収される。
〔実施例〕
以下、図面を参照して本発明によるライニング補修工法
の実施例を説明する。
第1図はその補修工法が実施される施工装置の一例を概
略的に示すもので、符号1 は補修対象の施工管である。
この施工管1 は、ガス配管についていうと一般に口径1
5〜40mm程度の供給管、また口径50〜150mm程度
の支管と呼ばれている比較的に管径の小さい小中口径の
施工管を対象としている。そして施工管1 は、補修に際
して所定長さの補修区間に区切られ、その一端開口部に
はランチャー2 が接続されてあり、また他端開口部には
内部を透視できるレシーバ3 が接続されている。
上記ランチャー2 には、開閉電磁弁5 を介して樹脂注入
器4 が接続され、この樹脂注入器4 からライニング樹脂
Aがランチャー2 内に導入されるようにしてある。ここ
に樹脂Aは、主剤と硬化剤を調合した常温2液硬化型の
流動性を有する液状樹脂で、チクソトロピー性を有する
ものが使用される。なお上記樹脂注入器4 には予め主剤
と硬化剤とを混合した樹脂を空気加圧式注入器により圧
送供給してもよく、また主剤と硬化剤とを別々のポンプ
により圧送しその圧送過程でスタテイックミキサー等に
より両者を混合供給するようにしてもよい。
またランチャー2 には、その開口端部に流量制御装置7
を介して小型コンプレッサ6 が接続されてあり、このコ
ンプレッサ6 からの圧送空気が流量制御装置7 で流量規
制されてランチャー2 内に導入され、施工管1 内に向け
て送り込まれるようにしている。
なお上記コンプレッサ6 からの圧送空気は流量制御装置
7 と連動する切換電磁弁8 ,ガバナ9 を介して前記樹脂
注入器4 内にも導入され、樹脂注入器4 内に設けた加圧
摺動板10を介して前記ライニング樹脂Aが、流量制御装
置7 と連動して開放動作される開閉電磁弁 5を通して一
定圧力で液状状態のままランチャー2 内に所定量注入さ
れるようにしてある。
また前記流量制御装置7 は、コンプレッサ6 からの圧送
空気を清浄化するフィルタ11と、圧送空気の流量を制御
する絞り弁12を備えた流量制御部13と、圧送空気の供
給,遮断を制御する開閉弁14とを有し、その送風系路に
は圧力計15と、上記開閉弁14,レリーフ弁18,絞り弁12
等を制御する流量コントローラ16とを備えている。この
流量コントローラ16は、後述する樹脂Aのプラグ流の管
内流動速度等の信号をアンテナ17により受信すると共
に、圧力計15による空気圧の検知に基いて絞り弁12,レ
リーフ弁18,開閉弁14を制御するものである。
一方、施工管1 の他方の開口部に接続されたレシーバ3
には、遮断弁28,圧力計20,流量計21等が接続されてあ
り、この圧力計20,流量計21によってライニング樹脂A
の流動につれて変化する排出側の管内圧力および管内か
らの排出空気量が検知されて、これらの検知により、管
内におけるライニング樹脂Aの流動速度が検知され、こ
の検知信号が発信器22,アンテナ25を介して前記始端側
のアンテナ17に送信されて、前述の流量制御装置7 によ
る制御が行なわれるようにしてある。
また上記レシーバ3 の端部には、空気吐出弁27を備えた
サイクロン式の樹脂分離ホッパ26が接続されてあり、ラ
イニング樹脂Aが、内部を透視できるレシーバ3 に到達
した際、予め閉ざされていた空気吐出弁27を開放し、遮
断弁28を閉じることで残余の樹脂をこの樹脂分離ホッパ
26内に回収できるようにしている。
次に上述の施工装置による補修作業の作業工程を説明す
る。
まず、樹脂注入器4 内から開閉電磁弁5 を開いて始端側
のランチャー2 内に所定量のライニング樹脂Aを液状の
まま注入する。この樹脂Aの注入はライニング樹脂A
が、ランチャー2 内よりさらに施工管1 の始端側管内に
対して所要長さにわたり管内を閉塞するようプラグ状に
注入される。以下、このプラグ状に注入された樹脂Aを
樹脂プラグと称し、これに樹脂と同じ符号Aを付す。
上述の樹脂プラグAの注入が完了すると、開閉電磁5 を
閉じ、送風系路側の開閉弁14を開いてコンプレッサ6 か
らの圧送空気を、絞り弁12により流量制御しつつランチ
ャー2 の端部より管内に送り込む。これによりコンプレ
ッサ6 からの圧送空気が樹脂プラグAの後方に作用し、
樹脂プラグAの前後間には圧力差が生起して、その圧力
差により樹脂プラグAに流動性が付与され、樹脂プラグ
Aが団流状をなして施工管1 の管内を他側に向けて流動
進行して行く。
この時の圧力差により樹脂プラグAの後方に作用する加
圧力は、樹脂プラグAに流動性を付与する初期圧力を大
気圧に対し例えば略1.5kg/cm2以下とし、また流動性
が付与されて樹脂プラグAが施工管1 の管内を流動進行
する時には、その加圧力をレリーフ弁18により調圧して
大気圧に対し例えば略0.6kg/cm2以下の低圧に下げ
る。
樹脂プラグAが管内を流動進行すると、管内面に接触す
る樹脂が、進行時の壁面に対する付着力により所要厚さ
壁面に付着されて残留し、この付着残留された樹脂膜に
より樹脂プラグ流Aの通過後の管内面には所要膜厚のラ
イニング被膜19が形成される。
ここに実験によると、施工管1 内に注入された樹脂プラ
グAに対し、後方より加圧流体を作用させてその圧力差
により全体的に管内進行させる場合、加圧流体の圧力が
作用する樹脂プラグAの後方端面形状は、第2図に示す
加圧力aと、内壁面に対する付着力影響係数bと、樹脂
ズリ応力cとの合力によって、樹脂プラグAが管内を流
動進行する時には、第3図に示すような形状にて流動進
行する。
上記流動進行の状態から、さらに樹脂端面に対する後方
よりの加圧力aを大きくして樹脂プラグAの流動速度V
を速くした場合は、上記の樹脂端面形状は第4図に示す
ような砲弾形となり、一方、加圧力aを小さくして樹脂
プラグAの流動速度Vを遅くした場合は、第5図に示す
ようにその樹脂端面形状は垂直に近い形態となることが
実験の結果より判明した。
また実験によると、樹脂粘度cps と、流動速度Vと、形
成されるライニング被膜の膜厚tとの関係は、.流動
速度Vを一定とした場合、樹脂粘度が高い方(50,0
00cps 〜800,000cps 程度)が膜厚は薄膜とな
り、また樹脂粘度が低い方が厚膜となる。.また樹脂
粘度を一定とした場合、流動速度Vが速い方が厚膜とな
り、逆に流動速度が遅い方が薄膜となることが判明し
た。
以上の実験結果によると、まず樹脂プラグAの流動速度
Vを一定として、樹脂粘度を変化させた場合は、樹脂粘
度が低い方が樹脂プラグAの端面形状は第4図に示すよ
うな砲弾形となって膜厚は厚く、また樹脂粘度が高い方
が第5図に示すような垂直形の端面形状となって膜厚は
薄くなる。
また樹脂粘度を一定にした場合、加圧流体の圧力を高く
して樹脂プラグAの流動速度を早めると、樹脂の端面形
状は第4図に示す砲弾形となって膜厚は厚く、また加圧
流体の圧力を低くして流動速度を遅くすると、樹脂の端
面形状は第5図に示す垂直形の端面形状となって膜厚は
薄くなる。
つまり、樹脂粘度と流動速度との関係では、樹脂の端面
形状が第4図に示すような砲弾形になるように樹脂プラ
グAを流動進行させてやれば膜厚は厚膜となり、また第
5図に示すような垂直に近い端面形状になるように樹脂
プラグAを流動進行させてやると膜厚は薄膜となる。
これを理論的に考察するに、第4図,第5図におけるP
1,P2点での圧力の分力関係は、端面形状が砲弾形(第
4図)の場合は第6図に示すように加圧力は樹脂球面の
接線方向Sに対して直角なR方向に働らき、その力
の分力は、樹脂を流動進行させる分力Rと、樹脂を管
内壁に押しつける分力Rとに分解される。
一方、樹脂の端面形状が垂直形(第5図)の場合では、
第7図に示すように管内壁面から前記P1と等距離にあ
るP2の加圧力は樹脂球面の接線方向S2に対して垂直な
0方向に作用し、その分力は、樹脂を流動進行させる
分力Qと樹脂を管内壁に押しつける分力Qとに分解
される。
上述の樹脂を流動進行させる分力R1,Q1と樹脂を管内
壁に押しつける分力R2,Q2とを比較した場合、第4図
に示す砲弾形のものは樹脂を流動進行させる分力R
が、第5図に示す垂直形のそれに対応する分力Q
りも大巾に小さく、このRの分力が樹脂ズリ応力と付
着力の影響係数の和とバランスした点から樹脂は厚膜と
して管内壁に付着残留することが理解される。
以上の結果より、樹脂プラグAの加圧側の端面形状が砲
弾形(第4図)となるように樹脂プラグAを流動進行さ
せれば、形成されるライニング被膜はその膜厚が厚膜に
形成され、一方、垂直に近い端面形状(第5図)となる
ように樹脂プラグAを流動進行させてやると、形成され
るライニング被膜はその膜厚が薄膜に形成されることが
実験的,理論的にも確認され、ここに実験によると管
径,樹脂粘度,注入樹脂プラグ長,樹脂流動速度,初期
押圧力と膜厚との関係は、以下の第1表に示す結果が得
られた。
上記の第1表に示す管径,樹脂粘度,注入樹脂プラグ長
の関係からすると、管内面に例えばNo.2の2.0mmの
膜厚を形成しようとすると、管内に流動させる樹脂プラ
グAを9cm/secで進行させる必要があり、樹脂プラグ
Aの流動速度を適宜に設定することで、形成されるライ
ニング被膜の厚さを自由にコントロールできる関係にあ
ることが理解される。
したがって、本発明による補修工法を施工する場合は、
まず、目的とする施工管1 の管内面に形成すべきライニ
ング被膜の膜厚を、どの程度の厚さに形成するかを選定
し、この膜厚の選定に基づいて補修対象管の管径、使用
する樹脂粘度、注入する樹脂プラグ長などの関係条件か
ら、所望する膜厚を形成するために必要な樹脂プラグA
の流動速度を設定し、この設定された流動速度で樹脂プ
ラグAが管内を流動進行するように、コンプレッサ6 か
らの圧送空気の流量,圧力を制御して圧力差を選定す
る。
この場合、使用する樹脂は、前述したようにチクソトロ
ピー性の樹脂が使用され、この種の樹脂は外力を加えた
場合、その塗料構造が破壊された軟化現象を起し、外力
を取り去ると時間の経過と共に原状に回復する性質を有
するから、上記樹脂プラグAに流動性を付与する圧力差
は、前述したように流動後の管内進行時における加圧流
体の圧力(略0.6kg/cm2以下)に対して、流動性を付
与する初期圧力を幾分高目に略1.5kg/cm2程度の圧力
に設定する。
このように圧力設定しても、その初期圧力はランチャー
2 の部分に作用して施工管1 内には殆ど影響を与えず、
また、施工管1 内における流動後の圧力は、これが大気
圧に対し僅かな圧力差を有するように略0.6kg/cm2
下の低圧に設定されていることで、老朽化した施工管1
においても腐蝕孔からの吹抜け現象が確実に回避でき
る。
また上記圧力差により樹脂プラグAが管内流動してライ
ニング被膜の形成が進行する時、その被膜の形成により
樹脂プラグAの樹脂量は順次減少する。
本発明では、その樹脂プラグAの樹脂量が減少すると、
樹脂量の減少に対応して、上記圧力差を減衰させるよう
に制御して、樹脂プラグAの管内流動速度が略一定速度
となるように前記流量制御装置7 によりコンプレッサ6
からの空気量を制御する。
すなわち、樹脂量が減少すると、それに伴って樹脂プラ
グAの管内における流動速度が早くなる傾向に変化し、
この流動速度の変化が、到達側のレシーバ3 に設けられ
た圧力計20,流量計21によって検知される。これは樹脂
プラグAの進行方向前側における施工管1 内の管内圧力
および管内からの滞留空気の排出量が、共に樹脂プラグ
Aの流動速度の変化に関連して相対的に変化する関係に
あるから、この変化の状態を、圧力計20および流量計21
により検知することで樹脂プラグAの管内における流動
速度の変化が検知され、この検知信号が発信器22,アン
テナ25を介して始端側の流量制御装置7 のアンテナ17に
受信され、圧力計15からの圧力信号と共に演算されて、
樹脂プラグAの流動速度が略一定となるような圧力差が
得られるようにリレーフ弁18,絞り弁12,開閉弁14がコ
ントロールされて、これによりコンプレッサ6 からラン
チャー2 を通して施工管1 内に導入される圧送空気の空
気流量が制御され、樹脂量の減少に合せて樹脂プラグA
に流動性を付与する圧力差が自動的に減衰されるよう制
御される。
このような制御が行なわれると、樹脂プラグAはその管
内流動速度が管の始端側より、移動端にかけて略一定速
度に制御されつつ流動進行するようになり、この結果、
管内面に形成されるライニング被膜は、その厚さが施工
管1 の管全長にわたって一定の膜厚となり、均一厚さの
ライニング被膜19が形成されるようになる。
また樹脂プラグ流Aが所要距離流動して樹脂が消費され
た移動端に到達するとその時点で樹脂の吹抜けが起る
が、この場合、上述のような制御が行なわれることによ
り、樹脂プラグ流Aが移動端に到達して樹脂の吹抜けが
起る際は、圧力差が低くなって、樹脂プラグ流Aの吹き
抜けに起因して施工管1 の管内に起る圧力変動も小さく
なり、この結果、圧力変動により管内面に形成された未
硬化のライニング被膜に凹凸波などの悪影響が発生しな
くなる。また圧力変動の影響が、施工管1 に連通する他
の配管系にも影響しなくなる。
なお、本発明の補修施工にあたり、前記圧力差によって
管1 内に流動させる樹脂プラグAの流動量には制約があ
り、1回分の注入樹脂量を大量に注入できないことか
ら、補修対象の施工管1 が長い場合は、その長さに対応
して樹脂プラグAの注入回数を複数回に分けて流動を繰
り返すように分割施工してもよく、また施工管の管内に
樹脂プラグAを所定間隔あけて多段に注入し、同時進行
させるように施工してもよい。
この場合、実験によると、後段で注入流動される樹脂
は、前段の注入流動によって形成された被膜の上を単に
通過して行き、被膜未形成の管内に到達するとそこから
管内面に対する被膜形成が開始されることが確認され、
このような分割施工,多段施工によって所要長さの施工
管に対するライニング補修が終端部まで達成される。
また図示の実施例の場合は、樹脂プラグAの後方側にコ
ンプレッサ6 からの加圧流体を作用させて圧力差を発生
したものを示したが、この圧力差は、例えば、樹脂の進
行方向前側の管内に負圧吸引力を作用させて管内に圧力
差を生起させてもよく、また加圧流体と負圧吸引力の両
者を併用して圧力差を生起させるようにしてもよい。
〔発明の効果〕
本発明は、以上に説明したような補修工法を採用したこ
とにより次のような効果が得られる。
(1) まず、補修対象の施工管内に注入された樹脂プラグ
がその前後間の圧力差によりランチャーからレシーバ間
の管内を流動進行して行き、その進行中に管内壁面に接
触付着して残留する樹脂膜によりライニング被膜が形成
される工法であるから、圧力差による樹脂プラグ流の流
動速度,樹脂粘度等の関係条件を適宜に選定することで
被膜の厚さを自由にコントロールすることができ、この
結果、形成するライニング被膜の膜厚を所望の厚さに形
成することができる。
(2) しかもこの場合、樹脂プラグに流動性を付与する圧
力差を樹脂量の減少に応じて減衰させるよう制御するか
ら、樹脂量の減少に起因して流動速度が変化することが
なく、管内における樹脂プラグ流の流動速度が略一定速
度に保持されることにより、膜厚が施工管の管全長にわ
たって均一厚さに形成することができる。
(3) また、補修対象の既設配管の長さが長い場合には、
その長さに対応して樹脂の充填、流動回数を複数回、繰
り返すように分割施工することができるものであり、こ
れにより補修区間の長さを所望に増大延長することが可
能となるだけでなく、補修工事に係る付帯工事が削減さ
れる等、工期の大巾な短縮を図ることができる。
(4) さらに圧力変動の影響が、施工管に連通する他の配
管系に影響しないことで、例えば施工管としてガス導管
より分岐された供給管を、その末端の地上メータ側より
樹脂注入して導管側へ吹き抜くようにライニング施工す
る場合、樹脂の吹き抜けによる圧力変動が導管側へ影響
しなくなるから、施工時に、施工のため導管内のガス流
通を遮断しておく必要がなくなり、導管内にガスを正常
の供給状態に流通したままノーブロ工法によって分岐供
給管のライニング施工を実施できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の補修工法を実施する施工装置の一例を
概略的に示す断面図、第2図および第3図は本発明によ
る樹脂流動時の押圧力、付着力影響係数、および樹脂ズ
リ応力の関係を示すベクトル図、第4図および第5図は
同じく本発明による樹脂流動時の樹脂押圧力と、膜厚お
よび流動速度との関係を示す樹脂端面形状の説明図、第
6図および第7図はそれぞれ第4図および第5図におけ
る同一点の圧力の分力関係を示す説明図である。 1 ……施工管、2 ……ランチャー、3 ……レシーバ、4
……樹脂注入器、5 ……開閉制御弁、6 ……コンプレッ
サ、7 ……流量制御装置、8 ……切換電磁弁、11……フ
イルタ、12……絞り弁、13……流量制御部、14……開閉
弁、15……圧力計、16……流量コントローラ、17……ア
ンテナ、18……レリーフ弁、19……ライニング被膜、20
……圧力計、21……流量計、23……発信器、25……アン
テナ、26……樹脂分離ホッパ、28……遮断弁、A……ラ
イニング樹脂(樹脂プラグ)。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】補修対象の施工管(1 )内にその一端開口部
    から流動性を有する液状樹脂(A)を所要長さにわたって
    管内を閉塞するようプラグ状に注入し、該樹脂プラグ
    (A)の前後間に圧力差を発生させて樹脂プラグ(A)を流
    動させ、施工管(1 )の内面にライニング被膜を形成する
    ようにした工法において、 上記樹脂プラグ(A)の注入側管端に所定長さを有するラ
    ンチャー(2 )を接続し、このランチャー(2 )に所定量の
    樹脂プラグ(A)を供給する樹脂供給手段と、樹脂プラグ
    (A)の後端面に流動性を付与する空気圧供給手段とを設
    置し、樹脂プラグ(A)の排出側管端に所定長さを有する
    レシーバ(3 )を接続し、このレシーバ(3 )に空気圧検知
    手段および樹脂分離手段を設置し、樹脂プラグ(A)の前
    後間に、予め管径,樹脂粘度,樹脂プラグ(A)の長さの
    関係条件から、目標とするライニング被膜の厚さを形成
    するに必要な設定速度で樹脂プラグ(A)に流動性を与え
    る圧力差を生起させ、且つ上記圧力差を、樹脂プラグ
    (A)の流動進行による樹脂量の減少に応じて減衰させる
    制御手段を設け、その制御により樹脂プラグ流の管(1 )
    内における流動速度を略一定速度に保持すると共に、 上記補修対象の施工管(1 )の長さが長い場合は、その長
    さに対応して、上記ランチャー(2 )側からレシーバ(3 )
    側に、樹脂の充填,流動回数を複数回、繰り返して分割
    施工するようにしたことを特徴とする管内面のライニン
    グ補修工法。
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JPS61268386A (ja) * 1985-05-20 1986-11-27 Nippon Gijutsu Kaihatsu Center:Kk 管内壁面のライニング方法

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