JP2665921B2 - 管内面のライニング補修工法 - Google Patents

管内面のライニング補修工法

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JP2665921B2
JP2665921B2 JP63032363A JP3236388A JP2665921B2 JP 2665921 B2 JP2665921 B2 JP 2665921B2 JP 63032363 A JP63032363 A JP 63032363A JP 3236388 A JP3236388 A JP 3236388A JP 2665921 B2 JP2665921 B2 JP 2665921B2
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宣勝 池
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は、地下に布設されているガス管、水道管のよ
うな既設配管の老朽化対策として管内面にライニングを
形成する補修工法に関し、特に既設管路に枝管として分
岐管が設けられている形態の既設配管の管内面ライニン
グ補修工法に関する。
【従来の技術】
地下に布設されているガス管、水道管などの既設配管
は、布設年限が長くなると経年により管に腐蝕孔が生
じ、漏洩が起るおそれがあることからその漏洩予防ある
いは保全のため、施工後、所要の時期に、既設配管に対
し、布設状態のまま管内の更生修理が行われている。 この更生修理技術の1つとして、液状樹脂を用いて管
内面に樹脂のライニング膜を形成する補修が行なわれて
いる。この樹脂ライニング工法としては、特開昭57−10
5270号公報および特開昭61−268386号公報等に記載され
た先行技術が知られている。 これらの先行技術は、既設配管の一端側の管内に、管
内を所要長さにわたり充満するように所要量の液状樹脂
をプラグ状に注入し、且つ樹脂プラグの前後管内に圧力
差を生起させ、この圧力差により樹脂プラグが管内を流
動する行程で管内面に所要膜厚のライニングを形成する
ようにしており、本出願人も先にこの種の先行技術を提
唱している。(特開昭63−65983号公報参照;以下この
種の補修工法を「厚膜ライニング工法」と称する)
【発明が解決しようとする課題】
上述の厚膜ライニング工法では、既設配管の補修区間
が長い場合、管内に流動進行させる樹脂プラグの1回の
注入量を大量にできない制約から、複数回に分けて分割
して既設配管の管内を各別に流動する方式が採用されて
いる。 この場合、既設配管にはその管路途中に、例えば供給
管のような枝管が分岐されている事例が多く、既設配管
内を樹脂プラグが流動進行する時、その分岐管内に入り
込んで分岐管内を閉塞するという問題がある。 この問題の対策として従来、既設配管内のライニング
施工後に、分岐管の末端地上開口部から加圧空気を供給
することで既設配管の管内に排出させることが考えられ
ているが、分岐管内に侵入した樹脂が固化してしまった
後では、既設配管内への樹脂排出が不能となる問題があ
る上に、この方式による場合は、既設配管内に排出した
樹脂を除去するか、あるいは仕上ピグ等を通して平滑化
させるなどの後仕末も必要となる。 そこで、他の対策として、分岐管に対し、予め所定圧
の加圧空気を末端の地上開口部から供給して置いて、既
設配管内を流動進行する樹脂プラグが、分岐管の接続個
所を通過する時、分岐管内に侵入しない工夫が考えられ
ている。この場合には、既設配管の補修区間全長をライ
ニング施工する間、各分岐管について加圧空気を供給し
続けなければならないという不経済が避けられない。 本発明は、上記の事情に鑑み、厚膜ライニング工法に
よって既設配管のライニング施工を行う際、分岐管内に
侵入する樹脂の侵入現象を巧みに利用して分岐管内の全
長にわたるライニング施工が同時に行え、併せてライニ
ング施工が終了した分岐管内より圧力漏洩が発生せず、
既設配管内を流動進行する樹脂プラグの移動速度が一定
に保たれて既設配管内に一定厚ライニング膜の形成が維
持できる管内ライニング補修工法を提供することを目的
とする。
【課題を解決するための手段】
この目的を達成する手段として、本発明は、既設配管
の一端側の管内に、管内を所要長さにわたり充満するよ
うに所要量の液状樹脂をプラグ状に注入し、且つ樹脂プ
ラグの前後管内に低圧の圧力差を生起させ、該圧力差に
より樹脂プラグが管内を流動する行程で管内面に所要膜
厚のライニングを形成する管内面のライニング補修工法
であって、 上記既設配管に対し、その補修区間の長さに対応して
上記樹脂プラグを複数回に分けて各別に管内を流動させ
る方式としてあり、且つ既設配管の管路途中に分岐管が
介在する場合、当初は分岐管の末端を開放状態として施
工して既設配管内を流動する複数回の樹脂プラグが、分
岐管の接続個所を通過する毎に、所要量の樹脂が分岐管
内に流入し、該流入樹脂が分岐管の末端開口部に到達し
て吹き抜けを起した時点では、当該分岐管の末端開口部
を閉止させる共に、上記吹き抜けに起因して既設配管内
の圧力降下が検知された時、既設配管の加圧流体供給側
に備えた加圧流体のサージタンクを開放して、圧力低下
を急速に補填することを特徴とするものである。
【作 用】
このような補修工法によると、既設配管内に注入され
る複数回の樹脂プラグの流動進行によって既設配管に対
しては所要の膜厚ライニングが施工される。 既設配管に分岐管がある場合、施工当初は、分岐管の
端末開口部を開放状態にして施工するから、既設配管内
を流動進行する樹脂プラグは、分岐管の接続位置を通過
する際に分岐管内に流入する現象が起る。 分岐管内に流入する樹脂プラグが、分岐管の末端開口
部において吹き抜けを起すまでは開放状態を持続させて
おくから、既設配管内を複数回に分けて流動進行する樹
脂プラグは、分岐管の接続位置を通過する毎に所要量づ
つ複数回にわたり流入し、その流入樹脂は分岐管路の末
端側まで流動するようになって分岐管路の全長にわたる
ライニングが達成可能となる。 分岐管の末端開口部において吹き抜けを起すと、末端
開口部を閉止させることでライニングが完了した分岐管
については、その分岐管からの圧力漏洩が発生しなくな
る。 この場合、分岐管内での樹脂の吹き付けに起因して既
設配管内に生起させる圧力差の圧力低下が起るが、サー
ジタンクの開放によって加圧流体が急速に補填されるこ
とから、既設配管内を流動進行する樹脂プラグの移動速
度が一定に保たれて既設配管内に一定厚のライニング膜
の形成が維持できるようになる。
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して具体的に説
明する。 図面において、第1図は、本発明による補修工法の実
施例を概略的に示すものであり、符号1は補修対象とな
る既設配管である。この既設配管1は、ガス管について
いえば一般に口径50〜100mm程度の低圧支管と呼ばれて
いるものを対象にしている。 この既設配管1は、補修に際して所定長さの補修区間
に区画し、区間の両端開口部の位置にピットを形成し
て、ピット内でその一端開口部に所定長さを有するラン
チャー2をフランジ3を介して接続した状態にする。 上記ランチャー2には、樹脂供給手段である樹脂注入
器4が電磁開閉弁5を介して接続され、この樹脂注入器
4から所定長さにわたって既設配管1の内部を充満する
ように必要な量の液状ライニング樹脂Aが、ランチャー
2を介して管内に導入できるようにしてある。ここでラ
イニング用の樹脂Aは、主剤と硬化剤を調合した常温2
液硬化型の樹脂であり、チクソトロピー性を有する樹脂
が使用される。なお上記樹脂注入器4には、予め主剤と
硬化剤を混合した樹脂を空気加圧式注入器により圧送供
給してもよく、また、主剤と硬化剤を図示しない別々の
ポンプにより圧送しつつその過程でスタティックミキサ
ーにより両者を混合供給するようにしてもよい。 また上記ランチャー2には、樹脂注入器4の電磁開閉
弁5と連動して逆向きに動作する電磁開閉弁7が設置さ
れ、その後方に演算装置6′によって演算制御される流
動調整弁11および16と、それらの気体流量を計測する流
量計9,17および気体供給圧を計測する圧力計8,10などか
らなる制御装置6を介して小型コンプレッサ12が接続さ
れており、このコンプレッサ12からの圧送空気が制御装
置6で流量制御されてランチャー2内に導入され、既設
配管1内に向けて送り込まれるようにしている。 また、上記コンプレッサ12から圧送空気は、制御装置
6によって制御される三方切換弁13を介してランチャー
2内に導入されると共に、流量調整弁14を介して樹脂注
入器4内にも導入され、樹脂注入器4内に設けた加圧摺
動板15を介してライニング用樹脂Aを電磁開閉弁5(こ
れは制御装置6によって制御される電磁開閉弁7と連動
して開放動作する)から一定圧力で液状のままランチャ
ー2内に所定量押し出し、既設配管1内に注入される。 上記既設配管1に対し、供給管などの分岐管18が接続
されている場合、補修作業に当って、分岐管18の先端に
設けたメータを取外し、ここにヒューズコックなどの自
動閉止バルブ19を設け、ライニング施工の当初は、各分
岐管18の先端を開放して置く。なお、図中符号20は既設
配管1の他端に設けた樹脂回収装置であり大気に連通し
ている。 また上記ランチャ2には、電磁開閉弁21を介して加圧
空気のサージタンク22が設けてあり、流量計17、流量調
整弁16を介して空気の供給ラインに接続されている。な
お上記サージタンク22と流量計17との間には逆止弁23が
設けられる。また前記自動閉止バルブ19には、上記バル
ブ19の閉止動作時に信号を出力する吹き抜け検知手段24
が設けてあり、この検知信号は、演算装置6′に入力さ
れる。上記演算装置6′では、上記検知信号をうけた
時、電磁開閉弁21に所要時間、開放信号を与えるように
なっており、これによって、上記自動閉止バルブ19を吹
き抜けた空気量に相当する加圧空気を、既設配管1内に
サージタンク22より急速供給する構成としてある。 次に上述の装置による補修作業の作業工程を説明す
る。まず、電磁開閉弁7を閉じる一方、電磁開閉弁5を
開いて、既設配管1の始端側開口部に接続されたランチ
ャー2内に、樹脂注入器4内から所定量のライニング用
樹脂Aを液状のまま注入する。このライニング用の樹脂
Aは、それがランチャー2内よりさらに既設配管1の始
端側の管路内に注入され、かつ上記管路内を所定長さに
わたって充満するようにプラグ状に注入される。 次に上記ライニング用樹脂Aの注入が完了すると、電
磁開閉弁5を閉じるとともに、送風系路側の電磁開閉弁
7を開き、かつ三方切換弁13を切換えてコンプレッサ12
からの圧送空気を、流量調整弁11および流量計9を通し
てランチャー2の端部より管内に送り込む。 これにより管内に注入充填された樹脂プラグAの前後
管内に所要圧の圧力差が生起し、その圧力差により樹脂
プラグAに流動性が付与され、樹脂プラグAが既設配管
1の管内を流動進行するようになる。この時、樹脂プラ
グAの後側に作用する押圧力は、その初期の段階におい
て略1.5kg/cm2程度とし、その後ライニング樹脂Aが流
動性を付与されて既設配管1内を流動進行する時には、
その押圧力を流量調整弁16により減圧し、例えば大気圧
に対して0.6kg/cm2以下の低圧に下げる。 この樹脂プラグAの流動進行時、管内面に接触しなが
ら流動する時の壁面に対する付着力で、樹脂が管内面に
残留され、これが、樹脂プラグAの通過後、所要膜厚の
ライニング塗膜aとなる。ここでは樹脂プラグAの粘性
が高く、また付着力に依存するため、全体的に均一厚さ
に形成される。 なお、ここで樹脂プラグAの走行速度Vを一定とし
て、樹脂粘度を変化させた場合を考察すると、樹脂粘度
が低い方が、押圧力の作用する樹脂プラグAの端面形状
が第2図に示すような砲弾形に近くなり、膜が厚くな
る。また粘度が高い方が、第3図に示示すような垂直形
の端面形状となって膜が薄くなることが実験により確認
されている。 また樹脂粘度を一定にして、押圧力Pを高くして樹脂
プラグAの走行速度を速めると、前記樹脂の端面形状
は、第2図のようになり、膜は厚くなる。また押圧力P
を低くして走行速度を遅くすると、前記樹脂の端面形状
は、第3図のよになり、膜は薄くなることも実験により
確認されている。 この結果、樹脂粘度と走行速度Vとを適宜、選択設定
すれば、管内面に膜厚のライニングが実現できることが
実験的、理論的に確認されているのである。 このため本発明による補修工法では、まず目的とする
既設配管1の管内面に形成すべきライニング塗膜の膜厚
を、どの程度の厚さに形成するかを選定し、この膜厚の
選定に基いて、補修対象管の管径、使用する樹脂の粘
度、注入された樹脂長などの補修関係条件から、必要な
樹脂プラグAの流速を設定する。そしてその流速でライ
ニングする時に、コンプレッサ12からどの程度の圧力で
空気を送るかを定め、制御装置6でこれを制御する。こ
の場合、ライニング用樹脂には、前述したようにチクソ
トロピー性の樹脂を使用し、この性質は、樹脂に外力を
加えると、塗料構造を破壊して軟化現象を起し、外力を
取り去ると時間の経過と共に原状に回復する節室を有す
る。このため、前述のように、ランチャー2から既設配
管1内に送り込む時には、初期押圧力として1.5kg/cm2
程度の押圧力に設定し、既設配管1内での移動には0.6k
g/cm2以下の低圧に設定する。これによって既設配管1
に対し、腐蝕孔があっても腐蝕孔から空気および樹脂の
吹抜け現象が避けられ、確実なライニングが実現でき
る。 また上記押圧力による圧力差により樹脂プラグAが管
内を流動してライニング塗膜の形成が進行し、その塗膜
の形成により樹脂プラグAの流動量が減少するとその樹
脂量の減少に対応して上記押圧力を減衰させ、樹脂プラ
グAの流動速度が一定となるように制御装置6、流量調
整弁11および16により管内に流入する空気量を制御させ
る。 すなわち、樹脂プラグAが管内を移動して樹脂量が減
少すると、それに伴って樹脂プラグAの流動速度が速く
なる傾向になるが、この流動速度は、既設配管1内に導
入された押圧気体の管内圧力に関連して変化するもので
あり、さらに管内圧力は管内に流入した押圧気体の量
と、樹脂プラグの位置、すなわち樹脂プラグの後方側の
体積によって定まるものであるから、管内に流入した押
圧気体の量を流量計9,17により計測し、さらに管内の気
体量を計測した各時点における管内圧力を計測すること
により、演算装置6′により管内の気体の体積の変化、
すなわち樹脂プラグの位置の変化から樹脂プラグの速度
を算出することができる。これによって始端側の制御装
置6により樹脂プラグAの流動速度が一定になるような
押圧力が得られるように、流量調整弁11(R1)と流量調
整弁16(R2)とがコントロールされて、樹脂量の減少に
合せて樹脂プラグの流動速度が一定となるように樹脂の
押圧力が自動的に減衰されるように制御される。 以下、樹脂プラグAの流動速度を一定に保持する制御
装置6の動作について詳しく説明する。 まず、管内に流入した押圧気体の量Q1、管内の圧力P1
とすれば、 π/4・d2・l1・P1=Q1・P0 ……(1) の関係にあるので、ある時刻T1におけるQ1,P0,P1を測定
すれば、上記(1)式よりl1を知ることができる。 管内に流入した押圧気体Q1とは、流量計9による計測
値F11と、流量計17による計測値F2との差である。この
流量計9,17には質量流量計を使用すると気体の温度の影
響がないので都合がよい。 ここで、l1は時刻T1における樹脂位置、P0は圧力計10
の計測値、P1は圧力計8の計測値、dは既設配管1内の
ライニング内径である。 次に樹脂流動速度を検知するために、ある時間(t
秒)だけ空気供給を停止し圧力計8により管内圧力の変
化P1→P2を計測し、このときの樹脂位置をl2とすれば、 l1・P1=l2・P2となり、P2を知ればある時間t秒後の樹
脂位置l2を知ることができる。したがって、樹脂流動速
度Vは、 V=l2−l1/tとなる。 また、空気の供給を停止せず、前状態の一定流入をつ
づける場合は、ある時刻T2における押圧気体の流入量
Q2、管内の圧力P2を測定し、 π/4・d2・l2・P2=Q2・P0から、 l2=Q2・P0/π/4・d2・P2となり、樹脂流動速度Vは、 V=l2−l1/T2−T1となる。 このようにして演算装置6′と制御装置6により樹脂
流動速度Vが一定となるように流動調整弁11(R1)、流
動調整弁16(R2)を制御する。 かくしてライニング用樹脂は、既設配管1の注入側管
端に接続された所定長さのランチャー2より液状のま
ま、管内の所定を長さにわたり管内を充満するように注
入され、上記樹脂プラグAに流動性を付与する圧力差が
得られるように押圧気体の圧力を、その管内流動速度が
管の始端側における押圧気体の質量流量および管内圧力
を計測して得られた樹脂位置と、所定時間毎に計測され
た樹脂位置の差から算出された樹脂速度を一定にするよ
うに管内の圧力気体の量を制御して既設配管1の管内面
に、その全長に亘って均一な所要膜厚のライニングを行
なうのである。 この場合、分岐管18の位置では、その分岐位置を樹脂
プラグAが通過する際に樹脂の一部が分岐管18内に侵入
する(第4図,第5図参照)。なお第5図は分岐管にお
いて既に樹脂ライニングを完了している場合を示してお
り、ここでは既存のライニング層a′の上に更にライニ
ング層aが重ねて形成される。 この侵入により減少した樹脂量については、これを演
算装置6′で補正計算する必要がある。 今、上記分岐管18への樹脂侵入量は、次の式で求めら
れる。 l2={(R2/R1)l1}/(1+R2 3/R1 3) ここでR1は既設配管1の半径(R1=D1/2)であり、R2
は分岐管18の半径(R2=D2/2),l1は既設配管1内で分
岐管18の接続個所に到達した時の充填樹脂長、l2はその
時、分岐管18内に侵入する充填樹脂長である。 今、既設配管1の直径を50mm、分岐管18の直径を25mm
とし、その時l1=100cmとすれば、 l2={(1.38/2.65)×100}/(1+1.383/2.653) =4.56cm≒50cm として計算できる。 このことから分岐管18への接続個所より分岐管の末端
に至る全長について分岐管18のためのライニングに消費
される樹脂量が計算でき、その後、分岐管18内に送り込
まれる低圧気体の量も計算できる。これにより演算装置
6′で補正計算が可能である。そして、分岐管18内に侵
した樹脂は、圧力気体の働きで分岐管18内をライニング
しつつ減少し、分岐管18の末端開放口に向かう。そして
押圧力と樹脂量との関係で、圧力気体が開放口へと吹き
抜けると、この時点で、自動閉止バルブ19が上記圧力気
体の吹き抜けに起因する圧力変化に基いて閉止動作す
る。 これにより既設配管1内の圧力空気が分岐管18を介し
て外部へ漏出されるのを防止するので、分岐管18の接続
個所を、樹脂プラグが通過した後で、気体圧が降下する
のを抑制でき、既設配管1内での樹脂プラグの移動が維
持され、作業の継続性が保てる。 また、この場合、自動閉止バルブ19を介して既設配管
1内の空気流の吹き抜けが起ると、吹き抜け検知手段24
で、例えば、圧力計あるいは流量計などの手段を介して
これを検出し、その検出信号を演算装置6′に与えるこ
とで、上記検知信号に基いて、電磁開閉弁21に所要時
間、開放信号を与えることによりサージタンク22に貯え
られた加圧流体を急速に既設配管1内に供給し、吹き抜
けによって失われた空気量を補填する。 なお電磁開閉弁21の開放時間は、予め、1回の吹き抜
けで大気中に放出される空気量を推定して定めてもよい
が、ランチャー2の内圧を計測する手段を別に用意し
て、このランチャー2内の圧力が上記演算装置6′で指
定している圧力になった時に電磁開閉弁21を閉じるよう
に、状況によって変わるような設定の仕方をしてもよ
い。 一方、本発明の補修施工にあたって、前記押圧力によ
り所定の樹脂流動沿度が得られる樹脂プラグAの管内注
入量,および1回分の注入樹脂量による塗膜形成の長さ
にも制約があるところより、補修対象の既設配管1の長
さが長い場合は、その長さに対応して樹脂プラグAの注
入,流動回数を複数回、繰り返すことにより分割施工す
るものであり、これにより補修区間の長さを所望に増
大、延長することが可能となる。この場合、分岐管18に
ついては、第4図のように樹脂ライニングが施されてい
ない場合は、樹脂が分岐管18の開放端に到達するまでは
既設配管1に樹脂プラグが補充される都度、自動閉止バ
ルブ19を開放する。 そして、自動閉止バルブ19が閉じられて後(第4図の
ように分岐管内を全部ライニングする場合には、分岐管
18での樹脂ライニングが完了して以後)で、既設配管1
内に樹脂プラグが補填される時には、第6図に示してい
るように、例えばボンベ25を用いて絞り弁26を介して分
岐管18内に加圧空気を供給するようにするとよい。これ
によって、以後に樹脂プラグの一部が分岐管内に侵入す
るのを防止する。 また、管内樹脂の注入量を所定の量に制限することに
より、樹脂プラグの押圧気体圧は、低圧力に抑えること
が可能となり、これによって補修管に腐蝕孔などがあっ
た場合でも腐蝕孔からの吹き抜けを起すことなく良好な
ライニングができるものである。 なお、上記実施例ではサージタンク22から既設配管1
内への加圧流体の供給はバルブ7を経由してコンプレッ
サ12から供給する調圧空気とは別ルートになっている
が、同じバルブ7を介して、サージタンク22から既設配
管1内へ加圧流体を供給するようにしてもよい。この場
合、バルブ7は演算装置6′で演算された補正値にもと
づいて所定時間大きく開放される。
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、既設配管の
管内に注入される複数回の樹脂プラグの流動進行によっ
て既設配管に対しては所要膜厚のライニングが施工で
き、この施工時、既設配管に分岐管がある場合、分岐管
内に流入する樹脂の流入現象を巧みに利用して分岐管の
全長にわたるライニングを同時に達成することができ
る。 この場合、分岐管内に流入する樹脂が、末端開口部に
到達して吹き抜けを起すとその末端開口部を閉止して既
設配管内の流体圧低下を抑えることができるから施設配
管内での樹脂プラグの移動が持続され、ライニング作業
の持続性を確保できると同時に、分岐管から樹脂が吹き
抜ける時、サージタンクを開放して既設配管内に加圧流
体を急速補給する方式であるので、分岐管からの吹き抜
けに起因して起る既設配管内の圧力低下が補填され、既
設配管内での樹脂プラグの移動速度が所要に保たれる結
果、既設配管内でのライニング膜の形成を一定厚さに維
持できる等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による補修工法の実施例を概略的に示す
断面図、第2図および第3図は本発明による樹脂流動時
の樹脂押圧力と、膜厚および走行速度との関係を示す樹
脂端面形状の説明図、第4図および第5図は分岐管での
樹脂ライニングの状態を示す説明図、第6図は分岐管へ
の樹脂流入を抑える状態を示す説明図である。 1……既設配管、2……ランチャー、4……樹脂注入
器、5……電磁開閉弁、6……制御装置、6′……演算
装置、7……電磁開閉弁、8……圧力計、9……流量
計、10……圧力計、11……流量調整弁、12……コンプレ
ッサ、13……三方切換弁、14……流量調整弁、15……加
圧摺動板、16……流量調整弁、17……流量計、18……分
岐管、19……自動閉止バルブ、21……電磁開閉弁、22…
…サージタンク、24……吹き抜け検知手段。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B05D 7/22 B05D 7/22 F (56)参考文献 特開 昭61−268386(JP,A) 特開 昭62−23484(JP,A) 特開 昭62−23487(JP,A) 特開 昭59−225777(JP,A) 特開 昭59−228977(JP,A) 特開 昭61−125475(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】既設配管の一端側の管内に、管内を所要長
    さにわたり充満するように所要量の液状樹脂をプラグ状
    に注入し、且つ樹脂プラグの前後管内に低圧の圧力差を
    生起させ、該圧力差により樹脂プラグが管内を流動する
    行程で管内面に所要膜厚のライニングを形成する管内面
    のライニング補修工法であって、 上記既設配管に対し、その補修区間の長さに対応して上
    記樹脂プラグを複数回に分けて各別に管内を流動させる
    方式としてあり、 且つ既設配管の管路途中に分岐管が介在する場合、当初
    は分岐管の末端を開放状態として施工して既設配管内を
    流動する複数回の樹脂プラグが、分岐管の接続個所を通
    過する毎に、所要量の樹脂が分岐管内に流入し、該流入
    樹脂が分岐管の末端開口部に到達して吹き抜けを起した
    時点では、当該分岐管の末端開口部を閉止させる共に、 上記吹き抜けに起因して既設配管内の圧力降下が検知さ
    れた時、既設配管の加圧流体供給側に備えた加圧流体の
    サージタンクを開放して、圧力低下を急速に補填するこ
    とを特徴とする管内面のライニング補修工法。
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