JPH0655088A - 竪型ローラミル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 回転羽根分級器を具えた竪型ローラミルにお
いて、分級羽根（８）の回転遠心力でミル内壁（１１）
まで飛ばされた粗粒子（９）が、スムーズに落下してテ
ーブル（３）上に戻るようにし、分級器の回転を速める
ことができるようにすること。 【構成】 ミル内壁（１１）の内方にベーン（１３ａ）
付き、開口（１３ｂ）付きの円筒（１３）を設けたり、
内壁（１１）に直接縦方向の平板（１８）を突設したり
して、内壁（１１）近傍の旋回風を弱め遠心力を低減し
て、粗粒子（９）の重力よりもそれが内壁（１１）に押
付けられる力を小さくする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、石炭やセメント原料な
どを粉砕する竪型ローラミルに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図７は従来の竪型ローラミルの一例を示
す縦断面図、図８は図７のVIII−VIII水平断面図であ
る。ただし図８では分級羽根支持板と整流コーンが省略
されている。

【０００３】石炭やセメント原料などの被粉砕物（１）
は被粉砕物供給管（２）を通ってモータ（図示せず）に
よって回転しているテーブル（３）の上に落下し、その
テーブル（３）とローラ（４）の間に噛み込まれる。こ
の時に油圧シリンダ（図示せず）からローラ（４）に作
用する押圧力により、テーブル（３）上の被粉砕物
（５）は粉砕される。粉砕された粉砕物（６）は、熱風
（７）によって乾燥されながら気流搬送され、分級羽根
（８）の回転により粗粒（９）と微粉（製品）（１０）
に分級される。

【０００４】微粉（１０）はミル上端から気流に乗って
取出される。一方の粗粒（９）は分級羽根（８）の回転
遠心力によりミル内壁（１１）まで飛ばされてミル内壁
（１１）に沿って落下し、更にミル内壁（１１）に取付
けられたガイド円筒（１２）と内壁（１１）との間を通
ってテーブル（３）上に戻る。ガイド円筒（１２）は、
粉砕物（６）の上昇する流れと粗粒（９）の落下する流
れが相互に干渉するのを避け、ミル内の粉砕物（６）と
粗粒（９）の流れをスムーズにして、ミル性能を向上さ
せるために設置されている。また分級羽根（８）の回転
速度を変化させることにより微粉（製品）（１０）の粒
度と量を変えることができる。

【０００５】なお図７および図８において、（１４）は
円筒支持棒、（１５）は分級羽根回転軸、（１６）は分
級羽根支持板、（１７）は整流コーンである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前記従来の竪型ローラ
ミルにおいては、分級羽根の回転による旋回風により、
分級羽根の高さに対応するミル内壁部にも旋回風が作用
する。そしてその旋回風が強すぎると、ミル内壁に到達
した粗粒に対して、粗粒自身の重力による落下力よりも
旋回風によるミル内壁への押付け力の方が勝り、粗粒は
ミル内壁を旋回するのみでなかなか落下しなくなる。そ
うすると、ミル内の粉砕物の濃度が高くなってミル内の
圧力損失が増加するので、ミル性能が低下する欠点があ
った。このため分級羽根の回転速度には制限があり、微
粉（製品）の粒子の細かさもおのずと限度があった。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記従来の課
題を解決する第１の手段として、鉛直軸の周りに回転す
るテーブルと、同テーブルの上面に押圧されつつ回転し
上記テーブル上の被粉砕物を粉砕する複数のローラと、
上記テーブルの上方に配された回転羽根分級器とを備え
たローラミルにおいて、外径がミル内径よりも小さく複
数の開口部および内方に突出した複数のベーンを有する
円筒を支持棒を介してミル内壁に取付けたことを特徴と
する竪型ローラミルを；また第２の手段として、鉛直軸
の周りに回転するテーブルと、同テーブルの上面に押圧
されつつ回転し上記テーブル上の被粉砕物を粉砕する複
数のローラと、上記テーブルの上方に配された回転羽根
分級器とを備えたローラミルにおいて、ミル内壁に複数
の平板を縦方向に突設したことを特徴とする竪型ローラ
ミルを、それぞれ提案するものである。

【０００８】

【作用】前記第１の手段においては、円筒に設けられた
ベーンの抵抗のため、分級羽根による旋回風がミル内壁
部では弱まるので、円筒の開口部を通過してミル内壁に
到達した粗粒自身の重力が旋回風によるミル内壁への押
付け力よりも大きくなって、粗粒はスムーズに落下しテ
ーブル上に戻ることができる。

【０００９】また前記第２の手段においては、ミル内壁
に取りつけられた複数の平板のためミル内壁では分級羽
根による旋回風の風速は弱められる。ミル内壁に達した
粗粒は旋回風によってミル内壁を旋回して平板に衝突す
るが、その衝突面では風速が非常に弱い。したがってミ
ル内壁の粗粒は、その自重によりミル内壁を確実に落下
し分級羽根の効果を十分に発揮できる。

【００１０】

【実施例】図１は本発明の第１実施例を示す縦断面図、
図２は図１のII−II水平断面図、図３は図１中の円筒
（１３）を取出して示す側面図、図４は図３のIV−IV水
平断面図である。ただし図２では、分級羽根支持板（１
６）と整流コーン（１７）が省略されている。これらの
図において、前記図７および図８により説明した従来の
ものと同様の部分については、冗長になるのを避けるた
め、同一の符号を付け詳しい説明を省く。

【００１１】本実施例では、外径がミル内径よりも小さ
い円筒（１３）が複数の支持棒（１４）を介してミル内
壁（１１）に取付けられている。この円筒（１３）には
複数のベーン（１３ａ）が円筒内部に向かって突き出し
ており、そのベーン（１３ａ）の鉛直方向の長さは分級
羽根（８）の鉛直方向の長さとほぼ同じである。またこ
の円筒（１３）には複数の開口部（１３ｂ）が設けられ
ており、この開口部（１３ｂ）の鉛直方向の長さもベー
ン（１３ａ）の長さと同じである。ベーン（１３ａ）の
上端と分級羽根（８）の上端部は同じ高さに位置し、円
筒（１３）の下端面は従来のミルのガイド円筒（前記図
７の符号（１２））の下端と同じ位置である。

【００１２】分級羽根（８）と円筒（１３）のベーン
（１３ａ）および開口部（１３ｂ）とが同じ高さで向き
合っているので、分級羽根（８）で飛ばされた粗粒
（９）は、ほとんど全てが円筒（１３）の開口部（１３
ｂ）を通過してミル内壁（１１）に到達する。ミル内壁
（１１）の旋回風はベーン（１３ａ）によって弱められ
るから、旋回風による遠心力で粗粒（９）がミル内壁
（１１）へ押付けられる力よりも粗粒（９）自身の重量
により落下する力の方が大きくなり、ミル内壁（１１）
へ到達した粗粒（９）はスムーズにミル内壁（１１）に
沿って落下してテーブル（３）上へ戻り、再粉砕され
る。

【００１３】次に図５は本発明の第２実施例を示す縦断
面図、図６は図５のVI−VI水平断面図である。ただし図
６では分級羽根支持板と整流コーンが省略されている。
これらの図においても、前記と同様の部分については同
一の符号を付け詳しい説明を省く。

【００１４】本実施例においては、ミル内壁（１１）に
複数の平板（１８）が縦方向に取付けられている。平板
（１８）の上端と分級羽根（８）の上端部は同じ高さに
位置する。そして、例えばミル内壁（１１）の径が４７
２mmの場合、幅２０mmの平板１２〜１８枚をミル内壁
（１１）に等間隔で軸線に平行に、すなわち内壁（１
１）の母線に沿って突設する。

【００１５】本実施例では、分級羽根（８）による旋回
風はミル内壁（１１）付近で平板（１８）により弱めら
れるため、分級羽根（８）で飛ばされてミル内壁（１
１）に達した粗粒（９）は、ミル内壁（１１）と平板
（１８）への押付け力よりも粗粒（９）自身の重力が大
きくなり、スムーズにミル内壁（１１）を落下し、テー
ブル（３）上に戻る。

【００１６】前記第１実施例における旋回風を弱めるた
めの円筒（１３）は、構造が複雑であり、コスト高であ
った。また、上記円筒（１３）はミル内壁（１１）との
間が狭いため、異物が詰まりやすく、効果を十分発揮で
きないことがあった。本実施例の平板（１８）は、構造
が簡単でコストが安く、また異物が詰まる心配もない。

【００１７】なお上記図示例では、平板（１８）が軸線
に平行に配されているが、これを旋回流に直交するよう
に若干傾けると、分級性能が更に向上することが判って
いる。

【００１８】

【発明の効果】本発明によれば、ミル内壁に達した粗粒
に対して分級羽根の旋回風が及ぼす悪影響を除去し、そ
の粗粒を円滑に落下させてテーブル上に戻すことができ
る。したがって分級羽根の回転速度を従来以上に上げる
ことができるので、微粉（製品）の粒度も同一製品量で
従来以上に細かくでき、分級性の良い経済的なミルを提
供できる。

【００１９】また複数枚の平板をミル内壁に直接取りつ
けることにより、更に分級性が良く低コストでメインテ
ナンス上の問題もない高性能の竪型ローラミルを提供で
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の第１実施例を示す縦断面図であ
る。

【図２】図２は図１のII−II水平断面図である。ただし
分級羽根支持板と整流コーンが図示省略されている。

【図３】図３は図１中の円筒（１３）を取出して示す側
面図である。

【図４】図４は図３のIV−IV水平断面図である。

【図５】図５は本発明の第２実施例を示す縦断面図であ
る。

【図６】図６は図５のVI−VI水平断面図である。ただし
分級羽根支持板と整流コーンが図示省略されている。

【図７】図７は従来の竪型ローラミルの一例を示す縦断
面図である。

【図８】図８は図７のVIII−VIII水平断面図である。た
だし分級羽根支持板と整流コーンが図示省略されてい
る。

【符号の説明】

（１） 被粉砕物 （２） 被粉砕物供給管 （３） テーブル （４） ローラ （５） テーブル上の被粉砕物 （６） 粉砕物 （７） 熱風 （８） 分級羽根 （９） 粗粒 （１０） 微粉 （１１） ミル内壁 （１２） ガイド円筒 （１３） 円筒 （１３ａ） ベーン （１３ｂ） 開口部 （１４） 円筒支持棒 （１５） 分級羽根回転軸 （１６） 分級羽根支持板 （１７） 整流コーン （１８） 平板

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 有馬 謙一 長崎市深堀町５丁目717番１号 三菱重工 業株式会社長崎研究所内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉛直軸の周りに回転するテーブルと、同
   テーブルの上面に押圧されつつ回転し上記テーブル上の
   被粉砕物を粉砕する複数のローラと、上記テーブルの上
   方に配された回転羽根分級器とを備えたローラミルにお
   いて、外径がミル内径よりも小さく複数の開口部および
   内方に突出した複数のベーンを有する円筒を支持棒を介
   してミル内壁に取付けたことを特徴とする竪型ローラミ
   ル。
2. 【請求項２】 鉛直軸の周りに回転するテーブルと、同
   テーブルの上面に押圧されつつ回転し上記テーブル上の
   被粉砕物を粉砕する複数のローラと、上記テーブルの上
   方に配された回転羽根分級器とを備えたローラミルにお
   いて、ミル内壁に複数の平板を縦方向に突設したことを
   特徴とする竪型ローラミル。