JP2715355B2 - 竪型粉砕機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明の竪型粉砕機は回転テーブ
ルと粉砕ローラとの協働により各種セラミックスや無機
化学品を微粉砕する竪型粉砕機に係り，特に粉砕後の製
品を平均粒径以上の粗粉割合を少なくした粒径分布を有
する製品とする分級機能を付与した竪型粉砕機に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】石灰石やスラグ，セメント原料などの原
料を細かく粉砕し粉体とする粉砕機の一種として，図７
に示すように，回転テーブルと粉砕ローラとを備えた竪
型粉砕機１が広く用いられている。この種の粉砕機は，
円筒状ケーシング１５の下部において定速モータ２Ｋに
より減速機２で駆動されて低速回転する円盤状の回転テ
ーブル３Ａと，その上面外周部を円周方向へ等分する箇
所に油圧などで圧接されて従動回転する複数個の粉砕ロ
ーラ４とを備えている。

【０００３】粉砕ローラ４はケーシング１５に回転軸６
によって揺動自在に軸支されたアーム５とアーム７を介
して油圧シリンダ９のピストンロッド１０に連結されて
おり，油圧シリンダ９を作動させることにより，粉砕ロ
ーラ４を回転テーブル３Ａ上に押圧して原料への粉砕圧
力を与えている。３Ｂは回転テーブル３Ａの外周縁に設
けられ原料層圧を調整するダムリング，１４は回転テー
ブル３Ａ周囲のガス吹上用環状空間通路，１４Ａはガス
供給路，１３は回転軸１３ａにステー１３ｂを介して取
付けた羽根１３ｃにより粉砕された原料を分級する回転
式セパレータ，１６はガスとともに製品を取出す排出
口，１７は原料投入シュートである。

【０００４】このような竪型粉砕機において，回転テー
ブルの中央部へ原料投入シュート１７で供給された原料
は，回転テーブル３Ａの回転によりテーブル半径方向の
遠心力を受けて回転テーブル３Ａ上を滑るときに回転テ
ーブル３Ａにより回転方向の力を受け，回転テーブル３
Ａとの間で滑って回転テーブル３Ａの回転数よりいくら
か遅い回転を行なう。以上２つの力，すなわち，半径方
向と回転方向の力とが合成され，原料は回転テーブル３
Ａ上を渦巻状の軌跡を描いて回転テーブル３Ａの外周部
へ移動する。この外周部には，ローラが圧接されて回転
しているので，渦巻線を描いた原料は粉砕ローラ４と回
転テーブル３Ａとの間へローラ軸方向とある角度をなす
方向から進入して噛込まれて粉砕される。

【０００５】一方，ケーシング１５の基部にはダクトに
よって空気，あるいは熱風などのガスが導かれており，
このガスが回転テーブル３Ａの外周面とケーシングの内
周面との間の環状空間部１４から吹上がることにより，
粉砕された微粉体はガスに同伴されてケーシング１５内
を上昇し，上部に位置するセパレータ１３の羽根１３ｃ
により分級作用を受け，所定粒度の製品はガスとともに
排出口１６から排出され次の工程へ送られる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】従来の回転式セパレー
タ１３を内蔵する竪型粉砕機，たとえば，図７に示すよ
うな竪型粉砕機で原料を粉砕したとき，回転式セパレー
タ１３を通過して得られた製品の粒度分布は図６に実線
で示す特性曲線（すなわち，曲線Ａおよび曲線Ｂ）を有
する。ところが，製品の種類によっては図６の曲線Ｃの
状態の粒度分布を有するものが得たいときがあり，この
ため回転式セパレータ１３の回転数を上げても，曲線Ａ
および曲線Ｂをそのまま左側へ少しシフトした粒度分布
のものしか得られず，所望の曲線Ａおよび曲線Ｃのもの
は得られない。また，図８に示すような固定のガイドベ
ーン２２の内部に回転羽根２４を有する別の回転式セパ
レータ２０においてもガイドベーン２２による整流効果
はあるけれども分級点を制御するロータ２６の回転数変
更を行なっても平均粒径Ｄｍより大きな粗粉のみ含有比
率を下げることは出来ない。

【０００７】

【課題を解決するための手段】以上述べた課題を解決
し，平均粒径以下の微粉の粒度分布はそのままで平均粒
径以上の粗粉のみ含有比率を低下された粒度分布の製品
を得るために，本発明の竪型粉砕機においては，鉛直軸
回りに回転自在な回転テーブルの外周上面に複数個の回
転自在な粉砕ローラを配置し，該回転テーブル中央部へ
供給した原料を回転テーブル上面と粉砕ローラ周面との
間で粉砕する竪型粉砕機において，粉砕機上部に鉛直面
を有し長手方向垂直または上方に向かうにしたがって拡
径する分級羽根を円周複数個等分に配列し，該回転テー
ブルの中心と同軸的に回転駆動自在な回転式セパレータ
を配設し，該回転式セパレータの回転軸の下端に半径方
向放射状に伸び円周等分に複数個配列された傾斜パドル
状の傾斜羽根を周設したプリセパレータを配設し，該回
転式セパレータの外周のケーシングに垂直または略垂直
の凹溝を設けるとともに下端が該回転テーブル方向へ開
口する粗粉の戻り管を該凹溝に取付けた構成とした。

【０００８】

【作用】本発明においては，回転テーブルと粉砕ローラ
で粉砕された原料の微粉末は環状空間通路に導入された
上昇気流によって上方へ移送され，回転式セパレータヘ
向かうが回転式セパレータへ流入する前に，傾斜パドル
状に下方へ推力を生じさせる方向に回転式セパレータと
同軸一体的に回転するプリセパレータの傾斜羽根の分級
作用により予備分級され，粗粉のみカットされた状態で
回転式セパレータへ導入される。したがって，回転式セ
パレータを通過して粉砕機を排出後に得られる製品の粒
径分布は従来品に比べて粗粉比率のみ少ない製品とな
る。また，回転式セパレータで分級後の粗粉はプリセパ
レータを逆行することなく，凹溝および戻り管を経由し
て回転テーブルへ戻され再粉砕される。

【０００９】

【実施例】以下図面に基づいて本発明の実施例について
詳細に説明する。図１〜図６は本発明の実施例に係り，
図１は竪型粉砕機の全体縦断面図，図２は図１のＶ−Ｖ
視の平面図，図３は竪型粉砕機の要部拡大縦断面図，図
４は図３のＸ−Ｘ視の平面図，図５は図４のＹ−Ｙ視の
縦断面図，図６は製品の粒度分布特性曲線図である。図
において，竪型粉砕機１の下部には電動機２Ｋおよび減
速機２を介して鉛直軸回りに回転駆動される回転テーブ
ル３Ａと回転テーブル３Ａの外周に配設され回転テーブ
ル３Ａに従動して回転する複数個の粉砕ローラ４とが配
設される。竪型粉砕機１の上部には垂直に垂下される原
料投入シュート１７が固設され，その外周には回転軸１
３ａおよびステー１３ｂを介して円周等分に配列された
分級羽根１３ｃとからなる回転式セパレータ１３が配設
され，図示しない駆動装置によって任意の回転数で回転
駆動できるようになっている。分級羽根１３ｃは鉛直面
を有し長手方向が上方に向かうにしたがって拡径するよ
うに取付けられる。そして，回転式セパレータ１３の外
周のケーシング１５には垂直または略垂直の凹溝４０が
設けられ，凹溝４０の下端には回転テーブル３Ａの方向
に開口する戻り管４２が接続される。凹溝４０および戻
り管４２は円周等ピッチで粉砕ローラ４の中間位置に４
個所ほど設けるのが望ましい。

【００１０】回転式セパレータ１３の回転軸１３ａの下
端には，図３〜図５に示すようなプリセパレータ３０が
固設され，回転式セパレータ１３と一体的に回転駆動さ
れる。プリセパレータ３０は内外２つの円筒管３０ａ，
３０ｂの間に複数個の平板状の傾斜羽根３０ｃを円周等
ピッチで半径方向放射状に配列したもので，傾斜羽根３
０ｃの傾斜方向は回転方向に対して上方より下方が後退
するように傾ける。その傾斜角θは原料の種類によって
２０°〜６０°の範囲で選定し，その原料性状にもっと
も適合して粗粒または粗粉をカットするのに適した傾斜
角θを選定する。プリセパレータ３０の外周面とケーシ
ング１５の内周面とのクリアランスは１０〜３０ｍｍ程
度とする。なお，本発明の竪型粉砕機１は従来の竪型粉
砕機のセパレータ１３の回転軸１３ａの下端を延長して
プリセパレータ３０を配設したものであるから，その他
の構造は従来のものと同一であるのでその説明を省略す
る。

【００１１】以上のように構成された本発明の竪型粉砕
機１の作動について説明する。回転テーブル３Ａ上に投
入された原料は回転テーブル３Ａと粉砕ローラ４との間
で粉砕され，微粉末となってダムリング３Ｂを溢流して
環状空間通路１４を通過して上昇する気流に吹上げられ
て含塵ガスとなり，上方へ向かう。粉砕機の上部では回
転式セパレータ１３とプリセパレータ３０が同軸的に回
転しており，含塵ガスはまずプリセパレータ３０を通過
する。このとき，含塵ガス中の比較的粒度の大きな粗粉
はプリセパレータ３０の傾斜羽根３０ｃに叩き落とされ
回転テーブル３Ａへ戻され，一方通過した含塵ガスは回
転式セパレータ１３を通過する。回転式セパレータ１３
では予めプリセパレータ３０で含塵ガス中の粗粉がカッ
トされた微粉体のみ含有する含塵ガスが分級羽根１３ｃ
によって分級され，微粉体の中の粗粉は排除され通過す
ることができず，微粉を含有した含塵ガスが排出口１６
から機外へ搬送され後続の捕集機で集められて製品とな
る。回転式セパレータ１３を通過できない粗粉は分級羽
根１３ｃではね飛ばされて，ケーシング１５内周面をス
パイラル状に摺動落下し，凹溝４０を伝わって戻り管４
２から回転テーブル３Ａ上へ戻される。このように，本
発明の竪型粉砕機１における分級作用はプリセパレータ
３０が１次分級（または予備分級），回転式セパレータ
１３が２次分級（または本分級）という２段分級が行な
われ，プリセパレータ３０は２次分級である回転式セパ
レータ１３の分級点より大きな分級点に設定されてお
り，これによって得られた製品の粒度分布は，図６の曲
線Ａおよび曲線Ｃとからなる特性曲線に近似したものが
得られる。すなわち，図６において，平均粒径Ｄｍ以上
の粒径Ｄ_１における部分分級効率（％）が従来品のもの
のＰｂ（％）からＰｃ（％）に下がった粒径分布を有す
る製品が得られる。この製品の平均粒径は粗粉比率が従
来品より低下するので実際には平均粒径も従来品の平均
粒径Ｄｍでなく，Ｄｍより幾分下がる。

【００１２】プリセパレータ３０の分級点は回転式セパ
レータ１３よりも大きくしておく必要があり，回転数が
同一であるので，傾斜羽根３０ｃの個数を分級羽根１３
ｃの個数よりも少なくしてプリセパレータ３０の傾斜羽
根３０ｃのピッチを分級羽根１３ｃのピッチより大きく
しておくことにより達成できる。本発明の竪型粉砕機で
は回転式セパレータ１３における分級後の粗粉はプリセ
パレータ３０を逆行することなく凹溝４０および戻り管
４２を経由して回転テーブル３Ａへ戻されるので，凹満
４０および戻り管４２を設けない竪型粉砕機に比べて粗
粉のミル内の上昇および落下の繰り返しが少なくその分
ミル内圧力損失が少ないから吸引ファン動力が低滅され
るとともに，振動の少ない安定した運転が継続される。

【００１３】

【発明の効果】以上述べたように，本発明の竪型粉砕機
においては，プリセパレータを設け，回転式セパレータ
の分級以前に，含塵ガス中に含まれる比較的粒径の大き
な粗粉をカットしたうえで分級するので，従来品に比べ
て平均粒径以上の粗粉含有率の少ない製品が得られ，顧
客の要求に応じることが可能となる。また，ミル内圧力
損失が少なく吸引ファン動力が低減されるとともに，振
動の少ない長期安定運転が実施できるのでメインテナン
ス性および運転操作性が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す竪型粉砕機の全体縦断面
図である。

【図２】図１のＶ−Ｖ視の平面図である。

【図３】本発明の実施例を示す竪型粉砕機の要部拡大縦
断面図である。

【図４】図３Ｘ−Ｘ視の平面図である。

【図５】図４Ｙ−Ｙ視の縦断面図である。

【図６】従来品および本発明による製品の粒度分布特性
曲線図である。

【図７】従来の竪型粉砕機の全体縦断面図である。

【図８】従来の分級機の縦断面図である。

【符号の説明】

１ 竪型粉砕機 ３Ａ 回転テーブル ４ 粉砕ローラ １３ 回転式セパレータ １３ａ 回転軸 １３ｂ ステー １３ｃ 分級羽根 １５ ケーシング １７ 原料投入シュート ３０ プリセパレータ ３０ａ 円筒管 ３０ｂ 円筒管 ３０ｃ 傾斜羽根 ４０ 凹溝 ４２ 戻り管 θ 傾斜角

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉛直軸回りに回転自在な回転テーブルの
   外周上面に複数個の回転自在な粉砕ローラを配置し，該
   回転テーブル中央部へ供給した原料を回転テーブル上面
   と粉砕ローラ周面との間で粉砕する竪型粉砕機におい
   て， 粉砕機上部に鉛直面を有し長手方向垂直または上方に向
   かうにしたがって拡径する分級羽根を円周複数個等分に
   配列し，該回転テーブルの中心と同軸的に回転駆動自在
   な回転式セパレータを配設し， 該回転式セパレータの回転軸の下端に半径方向放射状に
   伸び円周等分に複数個配列された傾斜パドル状の傾斜羽
   根を周設したプリセパレータを配設し， 該回転式セパレータの外周のケーシングに垂直または略
   垂直の凹溝を設けるとともに下端が該回転テーブル方向
   へ開口する粗粉の戻り管を該凹溝に取付けた竪型粉砕
   機。