JPH0654667A - 黄変を発生させないハムの製造法 - Google Patents

黄変を発生させないハムの製造法

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JPH0654667A
JPH0654667A JP4231496A JP23149692A JPH0654667A JP H0654667 A JPH0654667 A JP H0654667A JP 4231496 A JP4231496 A JP 4231496A JP 23149692 A JP23149692 A JP 23149692A JP H0654667 A JPH0654667 A JP H0654667A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 pH7以下の蛋白材、非還元糖、及び/又は
糖アルコールを含有するピックル液を用いてハムを製造
する。 【効果】 黄変を発生させない良質のハムを効率的に製
造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、黄変を発生させないハ
ムの製造法及びそれによって得られた黄変を発生させな
いハムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ロースハム等各種のハムの断面の一部あ
るいは全面が黄色化するという、ハムの黄変現象は、食
肉加工業界に潜在的に存在する製品事故である。黄変が
発生したハムは、毒性があるわけではなくまた風味食感
にも格別の異常はないものの、その外観において黄色い
着色があるという理由で商品価値が著しく低下し、この
ようなハムは不良品と認定されてしまう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ハムが
黄変する現象については、その発生メカニズム自体が解
明されておらず不明であるので、ましてやその防止策に
ついては対策のたてようもなく、そのままに放置されて
いるのが現状である。事実、黄変の発生を防止するため
の具体策については、各製造業者ともに講ずべき手段を
有していないのが技術の現状である。
【0004】本発明は、このような技術の現状のもとで
なされたものであって、その発生メカニズムすらも明ら
かにされていない黄変ハムに対して、黄変を発生させな
い新規技術を開発する目的でなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するためになされたものであるが、目的ないし解決すべ
き課題自体が新規であるため、黄変したハムの黄色の程
度を正確に把握することができない。やむを得ず肉眼で
黄色を観察することとしたが、この方法は科学的ではな
い。そこで先ず、黄変の程度を科学的に正確且つ迅速に
測定するシステムの開発の必要性に迫られた。そして各
方面から研究の結果、黄変ハム断面の黄色部が、366
nmの紫外線下で強い蛍光を放つこと、そして黄色が増
加するに応じて蛍光強度も上昇するという新知見を得、
蛍光測定による黄変ハムの黄色の程度を測定する新しい
システムを開発するのに成功した。
【0006】そして、黄変ハム発生の主因について各方
面から検討を行った結果、黄変ハムの発生が外国には殆
んどみられず、わが国において特異的に発生していると
いう特殊な現象にはじめて着目し、わが国においては様
々なピックル液を多用する点から、ピックル液にはじめ
て着目した。
【0007】しかしながら、ピックル液といっても多種
多様であって使用成分も多岐に亘っていて、黄変の原因
をつきとめることはできなかった。そこで発想を転換し
て、各種の物質を添加して蛍光ないし黄色の発生を観察
したところ、3−デオキシグルコソン(3−deoxy
glucosone、3−DG)をピックル液に添加す
ると、これを肉に添加使用した場合、再現性よく蛍光、
黄色が発生するだけでなく、3−DG添加量の増加とと
もに蛍光、黄色の強度も上昇するというきわめて有用な
新知見を得た。
【0008】3−DGは、メイラード反応の過程で生じ
るといわれる活性な中間体であるところから、本発明者
らは、この点に着目して、黄変ハムの発生は、メイラー
ド反応の経路が一部転換し、その結果、黄色物質が蓄積
されるためであろうということにはじめて着目した。
【0009】しかしながら、メイラード反応は糖と蛋白
質・アミノ酸との複雑な反応であって、どの物質が黄変
の原因となるのか、そしてまたその原因を除去ないし改
良するにはどのようにしたらよいのか全く不明であると
ころ、本発明者らが鋭意精力的に研究を行った結果、ピ
ックル液に使用しているグルコース等の還元糖、リン酸
塩でpHを高めたホエー蛋白質、及び、過剰のリン酸塩
の使用であることをはじめてつきとめたのである。
【0010】そこで、これらの代替物の使用、製法の検
討、その他のファクターについて総合的に検討した結
果、黄変の発生のないすぐれたハムを製造するのに成功
し、遂に本発明の完成に至ったものである。
【0011】すなわち本発明は、下記する要件の内の少
なくとも1つを有するピックル液を用いてハムを製造す
ることを重要なポイントとするものである:pHを非ア
ルカリ性とすること、更に具体的にはpHを7.0以下
にすること;溶解時のpHが非アルカリ性、具体的には
pH7.0以下の蛋白材を使用すること;非還元糖及び
/又は糖アルコールを使用すること。
【0012】本発明は、上記したようなピックル液を使
用するだけで、他は常法によればよいので、現在使用中
の機械、装置をそのまま使用することができ、この点に
おいても非常にすぐれている。以下、本発明を更に詳し
く説明する。
【0013】本発明において使用するピックル液の基本
配合は、常法にしたがい、蛋白材(10〜13)、糖質
(10〜13)、食塩(3〜6)、リン酸塩混合物
(0.5〜3)、亜硝酸塩混合物(0.05〜0.2)
及び水(残部)とするが、蛋白材としてpH7.0以下
のものを用い、糖質としては非還元糖及び/又は糖アル
コールを用い(還元糖の一部併用も可能であるが、その
量は少ないほど有利である。)、ピックル液全体のpH
を非アルカリ性に調整する必要がある(例えばリン酸塩
混合物の使用量を低下せしめたり、pH調整剤を使用し
たりすればよい。)。他の成分及び使用量等は、常法に
したがえばよい。
【0014】蛋白材としては、ホエー蛋白質、例えば、
ホエー蛋白質濃縮物(Whey Protein Co
ncentrate、WPC)、ホエー蛋白質分離物
(Whey Protein Isolate、WP
I)のほか、その他ホエー蛋白質含有物又はその処理
物、精製されたホエー蛋白質が使用可能であるし、その
ほかに、カゼインナトリウム等カゼイン塩、大豆蛋白
質、卵白、血漿といった常用される蛋白材の単用又は他
の蛋白材との併用も可能である。なお、ホエー蛋白質
は、ピックル液に使用する場合は、通常、リン酸塩を添
加してpHを高めているので、リン酸塩の添加を止め
て、あるいは添加量を低くして、及び/又は、pH調整
剤を使用して、溶解時のpHが7.0以下にするのがよ
い。
【0015】糖質としては、還元糖の使用量は可及的少
量ないし皆無とするのが良く、その代替物として、蔗
糖、トレハロース等少糖類及びその他の非還元糖を使用
するほか、糖アルコールが単用ないし非還元糖と併用さ
れる。糖アルコールとしては、糖のアルデヒド基及びケ
トン基を還元してアルコール基としたものをすべて指
し、例えば、マルチトール、ソルビトール、マンニトー
ル、ズルシトール、エリスリトール等が例示される。
【0016】本発明を実施するには、このようにして調
製したピックル液を使用するほかはハム製造の常法によ
ればよく、常用される方法がそのまま利用可能である。
例えば、豚ロース肉ブロックに、ピックル液を肉重量の
10〜60%程度注入し、2〜15時間程度マッサージ
ングした後、スモークハウスでドライヒーティングとウ
ェットヒーティング(いずれも60〜90℃で30分〜
5時間程度)し、加熱終了後直ちに氷冷する。以下、本
発明の実施例について述べる。
【0017】
【実施例1】ホエ−蛋白質を主体とする蛋白材、及び、
その他の蛋白材、糖質等を種々配合してピックル液I〜
IVを調製し、これを用いて、以下により4種類のハム
(I〜IV)を製造した。
【0018】すなわち、豚ロース肉ブロック(200〜
400g)に、ピックル液(肉重量の20〜50%)を
注射器で注入し、小型マッサージャー(ヒガシモトキカ
イ製、10kg用)で8時間マッサージングし、スモー
クハウス(ASCA−uni)でdry heatin
g,80℃,2hr;wet heating,80
℃,2hrで加熱し、終了後直ちに氷冷した。ピックル
液の実際の注入率は、肉に対して30〜50%であっ
た。使用したピックル素材の蛋白材と糖質の割合は、下
記表1の通りであり、ピックル液の基本配合は、蛋白材
(11.7)、糖質(11.6)、食塩(4.3)、リ
ン酸塩混合物(1.5)、亜硝酸塩混合物(0.1)、
水(70.8)とした。
【0019】
【表1】
【0020】このようにして製造したハムについて、蛍
光及び黄変の出現頻度を測定し、その結果を図1、図2
にそれぞれ図示した。なお、蛍光の発生は、Chrom
ato−view cabinet(UVP,INC.
製)中で366nmのUV光下で観察し、黄色の判定は
目視によった。
【0021】上記結果から明らかなように、本発明に係
るピックル液を使用することにより、黄変を発生させな
い良質のハムを製造することができ、また、蛍光の発生
と黄変とが関連性を有していることも明らかとなった。
【0022】
【実施例2】実施例1のNo.IIIのピックル液に3−
DG(3−deoxyglucosone)溶液を添加
し、上記と同様に処理して、ロースハムを製造した。3
−DGの添加量は、肉(輸入冷凍肉、非冷凍国産肉を用
いた)に対して、2.0、5.0、10.0%の3水準
とした。このようにして製造したハムについて、黄変と
蛍光の発生を測定し、下記表2の結果を得た。
【0023】
【表2】
【0024】なお、3−DGは次のようにして調製し
た。つまり、Katoの方法(Agr.Biol.Ch
em.,26,187−192(1962))に準じて
行った。すなわち、D−グルコース(30g)、n−ブ
チルアミン(12g)、メタノール(20ml)の混合
物を65℃、30分加熱、冷却後、氷酢酸(10ml)
を添加し、この混合物を55℃、2時間加温する。生じ
たdark solutionを蒸留水約300mlで
希釈し、粉状活性炭で3回脱色し、pale yell
ow solutionを得る。Dowex 50W×
40(H−form)を通し、eluateを濃縮、3
−DG溶液とした。この溶液の主成分が3−DGである
ことは、HPLC,FAB−Mass,NMRを用いて
確認した。3−DG溶液の組成は、平均で、全固形分7
6.6%、グルコース32.2%であった。
【0025】上記結果から明らかなように、3−DG溶
液を5%以上添加した場合は、いずれも非常に強い黄色
と蛍光が同時に発生した。そして2%添加の場合も、強
度は低いものの、明らかに現われた。一方、ピックル液
No.IIIにおいて、蛋白材としてWPIを100%、
及び、糖質としてマルチトールを100%用いた場合
は、黄色及び蛍光のいずれも認められず、黄変ハムにお
けるメイラード反応の関与が明らかとなった。
【0026】
【発明の効果】本発明によって、ハムにおける黄変発生
のメカニズムがはじめて明らかにされ、その抑制方法も
確立され、その結果、黄変を発生させない良質のハムを
効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で製造したハムの蛍光の出現頻度を示
したグラフである。
【図2】同じく黄色の出現頻度を示したグラフである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 pH7.0以下のピックル液を使用する
    ことを特徴とする黄変を発生させないハムの製造法。
  2. 【請求項2】 ピックル液の原料として、溶解時のpH
    が7.0以下の蛋白材を使用すること、を特徴とする請
    求項1に記載の黄変を発生させないハムの製造法。
  3. 【請求項3】 ピックル液の糖質原料として、還元性を
    有しない糖及び/又は糖アルコールを使用すること、を
    特徴とする黄変を発生させないハムの製造法。
  4. 【請求項4】 ピックル液の糖質原料として、還元性を
    有しない糖及び/又は糖アルコールを使用すること、を
    特徴とする請求項1に記載の黄変を発生させないハムの
    製造法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記
    載の製造法によって製造してなる、黄変を発生させない
    ハム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015173620A (ja) * 2014-03-14 2015-10-05 日清食品ホールディングス株式会社 即席乾燥味付肉及びその製造方法
JP2015173619A (ja) * 2014-03-14 2015-10-05 日清食品ホールディングス株式会社 即席乾燥味付肉及びその製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015173620A (ja) * 2014-03-14 2015-10-05 日清食品ホールディングス株式会社 即席乾燥味付肉及びその製造方法
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