JPH065411Y2 - 遠赤外線放射体を用いた材料加熱装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、燃焼排ガスを利用して、被熱材料を加熱、予
熱或いは乾燥、塗装・焼付けを行う装置に関する。

［従来の技術］ 例えば、鋼板の連続式熱処理において、加熱方式として
は、直火による無酸化加熱炉(NOF：Non-Oxidizing Furn
ace、以下NOFと称す）、又は、間接加熱炉(RTF：Radian
t Tube Furnace、以下RTFと称す）、或いは、両者の組
合わせによる方式が採用されている。

第３図に鋼板の連続式熱処理炉の一例を示す。NOF１で
は、炉温が1000℃〜1300℃と高温であり、排ガスは、プ
レヒートゾーンPH２で、ガス輻射によって材料を予熱し
た後、さらに、噴流予熱帯(JPH：Jet impinging Pre-He
ater、以下JPHと称す）３において、燃焼排ガスを材料
に直接噴射して、強制対流伝熱によって材料を予熱する
為に利用される。

JPH３からの排ガスは、エキゾーストファン８で排気さ
れるまでに、レキュペレーター10で、NOFバーナーの燃
焼空気を予熱することによって熱回収され、さらにJPH
に導入することにより熱回収される。また、RTF５の場
合も同様に、排ガスは、レキュペレーター12で燃焼空気
を予熱することにより熱回収される。

加熱炉当の燃焼排ガスを、加熱炉等の直前に設けた予熱
カバーに導入し、該予熱カバーの内面に遠赤外線を発生
する物質を塗布し、遠赤外線を発生させ、被熱材料を予
熱する方法は、特公昭56-46526号公報により知られてい
る。

また、遠赤外線放射体を被加熱物の周囲に設け、該遠赤
外線放射体を放射体外に設けられた加熱炉の熱源によっ
て加熱することにより、該遠赤外線放射体から遠赤外線
を放射させ、被熱材料を加熱する方法は、特公昭59-191
283号公報により知られている。

［考案が解決しようとする課題］ 加熱炉等からの燃焼排ガスを有効に利用し、被熱材料を
予熱・加熱する場合には、燃焼排ガスを直接、被熱材料
に噴射する強制対流伝熱と、燃焼排ガスによるガス輻
射、或いは、遠赤外線による輻射伝熱を組み合わせて利
用することが効果的である。

前記、従来の技術において、遠赤外線放射体を被熱材料
の周囲に設け、該遠赤外線放射体を遠赤外線放射体外に
設けた加熱源によって加熱する方法においては、遠赤外
線放射体は、被熱材料の周囲に単に置かれ、高温の炉内
雰囲気ガスに晒されることによって、遠赤外線を放射す
るものである。しかし、被熱材料の周囲に遠赤外線放射
体を置く場合には、スペースの問題から、熱ガス噴射ノ
ズルを効果的に配置できないという欠点がある。

すなわち、第４図において、熱ガス噴射ノズル16は、被
熱材料14に相対して、遠赤外線放射体20を避けた部分に
しか設けることがでないので、熱ガス噴射ノズル16のピ
ッチを密に配置することができず、また、最適なノズル
形状を選定できない。従って、強制対流伝熱効果を有効
に利用できないことになる。また、逆に熱ガス噴射ノズ
ル16を密に配置して強制対流伝熱面積を広くし強制対流
伝熱効果を高めようとすれば、遠赤外線放射体20が小さ
くならざるを得ず、遠赤外線の輻射伝熱効果が小さくな
る。

さらに、遠赤外線放射体20は、高温の炉内雰囲気ガスに
晒されることによって遠赤外線を放射するものである
が、炉内雰囲気ガス温度は、炉壁からの放散熱量の影響
及び熱ガス噴射ノズルから噴射された熱ガスのリターン
フローの影響により、炉内の位置によって異なる為、遠
赤外線放射体20には、温度分布が生じ、均一に遠赤外線
を放射させることが困難であった。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、かかる問題を解決する為に、熱ガス噴射ノズ
ル付き熱ガス噴射ノズルボックスにより、燃焼排ガスを
利用して被熱材料を加熱、予熱、塗装・焼付けする装置
において、前記熱ガス噴射ノズルボックス及び／又は熱
ガス噴射ノズルの被熱材料に相対する表面に遠赤外線放
射体を設けたことを特徴とする材料加熱装置である。

［作用］ 加熱炉等で発生した熱ガスは、熱ガス噴射ノズルボック
スに導入され、熱ガス噴射ノズルから直接、被熱材料に
噴射され、強制対流伝熱により、被熱材料を加熱・予熱
或いは乾燥、塗装・焼付けを行う。同時に、熱ガス噴射
ノズルボックスの表面に溶射或いは、塗布、接着により
一体化された遠赤外線放射体は、熱ガス噴射ノズルボッ
クスに導入された熱ガスを熱源として、遠赤外線を放射
し、被熱材料を加熱・予熱或いは乾燥、塗装・焼付けを
行う。

［実施例］ 第１図に、鋼板の連続式熱処理炉に本考案を適用した実
施例を示す。

第１図において、無酸化加熱炉１にて発生した燃焼排ガ
スは、プレヒートゾーン２に導入され、さらに、ジェッ
ト・インピンジング用ファン４により昇圧されて、噴流
予熱炉３に送られ、熱ガス噴射ノズルボックス15から、
被熱材料14に直接噴射される。

第２図に、熱ガス噴射ノズルボックスの詳細を示す。熱
ガス噴射ノズルボックス15には、熱ガス噴射ノズル16が
被熱材料14に指向する如く設けてあり、燃焼排ガスは、
熱ガス噴射ノズル16を介して被熱材料14に噴射される。
熱ガス噴射ノズルボックス15の被熱材料14に相対する表
面には、遠赤外線放射体17が溶射あるいは塗布、接着さ
れており、熱ガス噴射ノズルボックス15に導入された燃
焼排ガスの顕熱を熱源として、効果的に遠赤外線が放射
され、被熱材料14の加熱、予熱あるいは乾燥、塗装・焼
付けを行う。

［考案の効果］ 遠赤外線放射体は、熱ガス噴射ノズルボックスの表面に
溶射或いは塗布、接着されて一体となっている為、遠赤
外線放射体を別個に設置する必要がなく、噴射ノズルの
形状を自由に設計することができ、加熱・予熱或いは乾
燥、塗装・焼付けの条件に合わせて、最適な熱ガス噴射
ノズルが選定できると同時に、遠赤外線放射体を被熱材
料に相対して全面に配置できるので、遠赤外線による輻
射伝熱と熱ガスによる強制対流伝熱の両方の効果を最大
限に利用できる。また、遠赤外線放射体は、熱ガス噴射
ノズルボックスに供給される熱ガスの顕熱を熱源として
いる為、温度のバラツキが小さく、被熱材料の周囲に遠
赤外線放射体を単に置く場合に比べて、均一な加熱が可
能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、鋼板の連続式熱処理炉に本考案を適用した実
施例を示す。第２図は、第１図における熱ガス噴射ノズ
ルボックス15の詳細を示す。第３図は、従来鋼板の連続
式熱処理炉を示す。また、第４図は、従来の遠赤外線放
射体の設置例を示す。 １……無酸化加熱炉(NOF)、２……プレヒートゾーン(P
H)、３……噴流予熱炉(JPH)、４……ジェット・インピ
ンジング用ファン、５……間接加熱炉(RTF)、６……徐
冷帯、７……急冷帯、８，11……エキゾーストファン、
９，13……燃焼空気ブロワー、10，12……レキュペレー
ター、14……被熱材料、15……熱ガス噴射ノズルボック
ス、16……熱ガス噴射ノズル、17，20……遠赤外線放射
体、18……燃焼排ガス、19……予熱燃焼空気。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】熱ガス噴射ノズル付き熱ガス噴射ノズルボ
   ックスにより、燃焼排ガスを利用して被熱材料を加熱、
   予熱、塗装・焼付けする装置において、前記熱ガス噴射
   ノズルボックス及び／又は熱ガス噴射ノズルの被熱材料
   に相対する表面に遠赤外線放射体を設けたことを特徴と
   する材料加熱装置。