JPH0653452B2 - 車高調整装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は車高調整装置に係り、特にサスペンションばね
の少なくとも一部がエアスプリングから構成され、手動
操作手段の操作に伴ってエアスプリングへ空気を供給す
るかあるいはエアスプリングから空気を排出することに
よって車高調整を行なうようにした車高調整装置に関す
る。

〔発明の概要〕

本発明は、車両が発進準備状態でない場合のみ手動操作
手段による車高調整を可能とするとともに、手動操作手
段による車高調整動作中に車両が発進準備状態に切換え
られた場合に車高調整動作を停止するようにしたもので
あって、これによってより安全に車高調整を行ない得る
ようにしたものである。

〔従来の技術〕

トラックのサスペンションばねの少なくとも一部をエア
スプリングから構成することにより、このエアスプリン
グへ空気を供給したり、あるいはこのエアスプリングか
ら空気を排出して荷台の高さ調整を行なうことが可能に
なる。さらにこの空気の供給および排出をマイクロコン
ピュータ等の電子制御装置によって制御するとともに、
押し釦によって任意の高さに荷台の高さを設定すること
により、プラットホームと荷台との間の段差をなくして
荷台の積み下ろしを容易に行なうことが可能になる。

〔発明が解決しようとする問題点〕

このような手動による荷台の高さ調整によって、荷物の
積み下ろしの作業性を著しく改善することが可能にな
る。ところがこのような手動による高さ調整の動作を可
能にすると、走行に不適当な高さに荷台の高さが変更さ
れる可能性がある。またこのような操作を発進準備がな
された状態において行なうと、走行に不適当な車高で車
両が走行される可能性があり、走行に支障をきたす可能
性を生ずることになる。

本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであっ
て、車両の走行に支障をきたすことなく、しかも手動操
作手段による車高調整を可能にした車高調整装置を提供
することを目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、一端が車体に回動可能に取付けられるととも
に、他端が自由端であって下方へ屈曲され、後軸を懸架
するリーフスプリングと、 前記リーフスプリングの下方へ屈曲された他端と車体と
の間に介装されたエアスプリングと、 前記エアスプリングに圧縮空気を供給する給気弁と、 前記エアスプリングから圧縮空気を排出する排気弁と、 前記給気弁または前記排気弁によって前記エアスプリン
グに対する圧縮空気の給排により車高を所望の高さに手
動で連続的に調整する手動操作手段と、 車両が発進準備状態に切換えられたことを検出する検出
手段と、 車両が発進準備状態でない場合にのみ前記手動操作手段
による車高調整を可能にする手段と、 手動操作手段による車高調整動作中に車両が発進準備状
態に切換えられた場合に前記車高調整動作を停止する手
段と、 をそれぞれ具備する車高調整装置に関するものである。

〔作用〕

従って手動操作手段を操作することにより、リーフスプ
リングの下方へ屈曲された他端と車体との間に介装され
たエアスプリングへ圧縮空気が供給されるか、このエア
スプリングから圧縮空気が排出され、車高が連続的に変
化し、これによって車高を所望の高さに手動で調整でき
るようになる。

このような車高の手動による調整は、車両が発進準備状
態でない場合にのみ可能であって、しかも手動操作手段
による車高調整動作中に車両が発進準備状態に切換えら
れた場合には、上記の車高調整の動作が停止されること
になる。

〔実施例〕

以下本発明を図示の一実施例につき説明する。第２図は
本発明の一実施例に係るトラックの荷台の高さ調整装置
をブロック的に示したものであって、前軸１１はリーフ
スプリング１２を介してフレーム１３に懸架されてい
る。そして前軸１１とフレーム１３との間にはショック
アブソーバ１４が介装されている。これに対して後前軸
１５は、リーフスプリング１６によってフレーム１３に
懸架されるとともに、リーフスプリング１６の後端部は
下方に屈曲しており、この後端部をエアスプリング１７
によって支持するようにしている。そしてこの後前軸１
５とフレーム１３との間にもショックアブソーバ１８が
取付けられている。同様に後後軸１９はリーフスプリン
グ２０とエアスプリング２１とによってフレーム１３に
懸架されるとともに、後後軸１９とフレーム１３との間
にはショックアブソーバ２２が介装されている。

上記後前軸１５および後後軸１９に対応してそれぞれ設
けられているエアスプリング１７、２１は連通管２３に
よって互いに連通されるとともに、これら一対のエアス
プリング１７、２１はマグネチックバルブ２４を介して
サージタンク２５と接続されている。なお左右のエアス
プリング１７、２１は互いに独立になっており、それぞ
れ別々のサージタンク２５を備えている。そして左右の
エアスプリング１７、２１は給排気パイプ２６を介して
自動給気弁２７と自動排気弁２８とにそれぞれ接続され
ている。

さらにこのトラックはコンプレッサ２９を備えている。
コンプレッサ２９はウェットタンク３０と接続されると
ともに、ウエットタンク３０はプロテクションバルブ３
１を介してリザーバタンク３２と接続されている。そし
てリザーバタンク３２はさらに別のリザーバタンク３３
と接続されるとともに、チェックバルブ３４を介して上
記自動給気弁２７と接続されている。さらにこのチェッ
クバルブ３４は手動式の給気弁３５を介して一対のエア
スプリング１７、２１と接続されるようになっている。
そして手動式の給気弁３５には手動式の排気弁３６が接
続されている。上記自動給気弁２７、自動排気弁２８、
ショックアブソーバ１８、２２にそれぞれ設けられてい
るアクチュエータ３７、３８、およびキャブサス用ショ
ックアブソーバ３９は、電子制御装置を構成するマイク
ロコンピュータ４０によって制御されるようになってい
る。

このマイクロコンピュータ４０の入力側にはコントロー
ルパネル４１が接続されている。このパネル４１は荷台
の右側のゲートの後端部に取付けられている。そしてパ
ネル４１には手動で車高調整を行なうための手動操作釦
４２および車高調整モードの選択を行なうモード選択釦
４３がそれぞれ設けられている。またこのパネル４１に
は作動ランプ４４が設けられており、マイクロコンピー
タ４０からの出力信号によって点滅を行なうようになっ
ている。さらにこのトラックのキャブのインストルメン
トパネル上にはキャブサス切換えスイッチ４８、エアサ
ス切換えスイッチ４９が設けられており、これらのスイ
ッチ４８、４９もマイクロコンピュータ４０の入力側に
接続されている。

またこのトラックのトランスミッション５０にはギア位
置検出センサ５１と車速検出センサ５２とがそれぞれ設
けられており、これらのセンサ５１、５２の出力もマイ
クロコンピュータ４０に入力されるようになっている。
さらに前軸１１とフレーム１３との間には、両者の間の
距離からボトミングを検出するボトミング検出センサ５
３が設けられており、同じくマイクロコンピュータ４０
の入力側に接続されている。またパーキングブレーキレ
バー６０にはパーキングブレーキセンサ６１が設けられ
ており、その出力がマイクロコンピュータ４０に入力さ
れるようになっている。

これに対して後側のサスペンション装置を構成するエア
スプリング１７、２１の給排気パイプ２６にはこれらの
エアスプリング１７、２１の圧力から積載荷重を検出す
る積載荷重検出センサ５４、５５が設けられている。こ
れらのセンサ５４、５５は互いに異なる圧力で検出動作
を行なうようになっており、ともにマイクロコンピュー
タ４０の入力側に接続されている。さらに後後軸１９と
フレーム１３との間には、両者の間の距離から車高を検
出する車高検出センサ５６が設けられており、同様にマ
イクロコンピュータ４０の入力側に接続されている。そ
してこのマイクロコンピュータ４０の出力側には、ワー
ニングランプ５７、ワーニングブザー５８、および警報
ブザー５９がそれぞれ接続されている。これらのランプ
５７およびブザー５８、５９はともにキャブ４７のイン
ストルメントパネルに取付けられている。

つぎに以上のような構成に係るこのトラックの荷台の高
さ調整装置の動作について説明する。荷台を標準の高さ
に設定する動作は、マイクロコンピュータ４０によって
第３図に示すフローチャートに基づいて行なわれる。す
なわちマイクロコンピュータ４０は、車高検出センサ５
６の検出出力を読込むとともに、予めマイクロコンピュ
ータ４０に設定されている標準値の読込みを行ない、実
際の車高と標準値との比較を行なう。そして実際の車高
が標準値よりも高い場合には、マイクロコンピュータ４
０は自動排気弁２８を開くようにする。するとこの排気
弁２８を通して、エアスプリング１７、２１内の空気が
排出されるようになり、これによって荷台の高さを下降
させるようにする。

これに対して実際の車高が標準値よりも低い場合には、
自動給気弁２７を開き、リザーバタンク３２、３３に貯
えられている圧縮空気をこの給気弁２７を通してエアス
プリング１７、２１に供給して荷台を上昇させる。また
実際の車高と標準値とが一致する場合には、給気弁２
７、および排気弁２８はともに閉じた状態に保持され
る。このようにして荷台を常に所定の位置に保持するこ
とが可能になる。なお標準値は所定の幅を持った値とし
てマイクロコンピュータ４０に記憶されている。

さらにこのトラックにおいては、荷台への積載量に応じ
てサスペンション装置のばね定数や減衰力を変化させる
ようにしている。荷台への積載荷重は圧力センサから成
る積載荷重検出センサ５４、５５によって段階的に検出
が行なわれるようになっており、これらのセンサ５４、
５５の検出出力をマイクロコンピュータ４０が読込む。
そして積載量に応じて、マグネチックバルブ２４を開閉
するようにしている。

積載量が少ない場合には、マグネチックバルブ２４を開
き、サージタンク２５とエアスプリング１７、２１とを
連通させてサスペンション装置のばね定数を低くする。
同時にマイクロコンピュータ４０からの制御信号によっ
てアクチュエータ３７、３８により、ショックアブソー
バ１８、２２の絞り径を大きくしてその減衰力を小さく
する。これに対してセンサ５４、５５によって大きな積
載量が検出された場合には、マグネチックバルブ２４を
閉じてエアスプリング１７、２１のばね定数を高くする
とともに、アクチュエータ３７、３８によってショック
アブソーバ１８、２２を強く絞り、その減衰力を高める
ようにし、積載量に応じて最適な状態にサスペンション
装置を維持するようにしている。

またこのトラックにおいては、荷台の高さを手動操作に
よって調整できるようにしている。この動作は、第２図
に示すコントロールパネル４１のモード選択釦４３を
『調整』に切換えるとともに、手動操作釦４２を『上
げ』または『下げ』に切換えるとによって達成されるよ
うになっている、上記手動操作釦４２の切換えに連動し
て、自動給気弁２７が開かれ、エアスプリング１７、２
１へ圧縮空気が供給されるか、あるいは自動排気弁２８
が開かれてエアスプリング１７、２１内の空気が排出さ
れることになる。これによって荷台の高さを所望の高さ
に手動で調整することが可能になる。

しかもこの手動による荷台の高さ調整の動作は、第４図
に示すように、車両が発進準備状態でない場合にのみ可
能になっている。すなわちマイクロコンピュータ４０は
トランスミッション５０のギヤ位置センサ５１、パーキ
ングブレーキレバー６０のブレーキセンサ６１、図外の
ウインカスイッチ、およびクラッチペダルスイッチの出
力をそれぞれ読込むとともに、これらのうちの少なくと
も１つが作動状態に切換えられている場合には、車両が
発進準備状態であると判断して上記手動操作による荷台
の高さ調整の動作を禁止するようにしている。

そして上記のセンサの出力がすべてＯＦＦの場合にのみ
手動による高さ調整を可能としており、手動操作釦４２
の切換えに連動して自動給気弁２７または自動排気弁２
８を開放するようにしている。従って車両が発進準備さ
れた状態において荷台の高さ調整を行なうことができな
くなる。すなわち車両が完全に停止状態の場合にのみ手
動による荷台の高さ調整を可能としている。

つぎにこのような手動操作による荷台の高さ調整の動作
の途中で、車両が発進準備状態に切換えられた場合に
は、第５図に示すようにして高さ調整の動作が停止され
るようになっている。すなわちマイクロコンピュータ４
０はトランスミッション５０のギヤ位置センサ５１、パ
ーキングブレーキセンサ６２、図外のウインカスイッ
チ、およびクラッピペダルスイッチの出力をそれぞれ読
込むとともに、これらのセンサのうちの少なくとも１つ
が作動状態に切換えられたことを検出した場合には、車
両が発進準備状態に切換えられたものと判断し、自動給
気弁２７または自動排気弁２８を閉鎖するようにしてお
り、これによって手動操作による荷台の高さ調整の動作
を停止している。従って荷台の手動による高さ調整の動
作中に車両が発進することが確実に防止される。また手
動操作中に荷台の高さ調整動作が自動的に停止すること
から、車両が発進準備状態に切換えられたことをコント
ロールパネル４１の操作者が知ることが可能になる。

〔発明の効果〕

以上のように本発明によれば、手動操作手段を操作する
と、リーフスプリングの下方へ屈曲された他端と車体と
の間に介装されたエアスプリングへ給気弁を通して圧縮
空気を供給するか、エアスプリングから排気弁を通して
圧縮空気を排出することにより、車高を連続的に調整す
ることができ、車高を所望の高さに設定することが可能
になる。

このような手動操作手段による車高調整は、車両が発進
準備状態でない場合にのみ可能になっており、車両が発
進準備状態である場合には上記の手動操作手段による車
高調整が阻止され、安全性が確保される。また手動操作
手段による車高調整動作中に車両が発進準備状態に切換
えられた場合には、上記手動による車高調整の動作が停
止されることになり、これによって安全性の高い車高調
整装置を提供することが可能になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の要旨を示すブロック図、第２図は本発
明の一実施例に係るトラックの荷台の高さ調整装置を示
すブロック図、第３図は高さ調整の動作を示すフローチ
ャート、第４図は手動による荷台の高さ調整の動作を示
すフローチャート、第５図は手動による高さ調整の停止
の動作を示すフローチャートである。 なお図面に用いた符号において、 １６、２０……リーフスプリング １７、２１……エアスプリング ２７……自動給気弁 ２８……自動排気弁 ４０……マイクロコンピュータ ４１……コントロールパネル ４２……手動操作釦 ４３……モード選択釦 ５１……ギヤ位置検出センサ ６１……パーキングブレーキセンサ である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一端が車体に回動可能に取付けられるとと
   もに、他端が自由端であって下方へ屈曲され、後軸を懸
   架するリーフスプリングと、 前記リーフスプリングの下方へ屈曲された他端と車体と
   の間に介装されたエアスプリングと、 前記エアスプリングに圧縮空気を供給する給気弁と、 前記エアスプリングから圧縮空気を排出する排気弁と、 前記給気弁または前記排気弁によって前記エアスプリン
   グに対する圧縮空気の給排により車高を所望の高さに手
   動で連続的に調整する手動操作手段と、 車両が発進準備状態に切換えられたことを検出する検出
   手段と、 車両が発進準備状態でない場合にのみ前記手動操作手段
   による車高調整を可能にする手段と、 手動操作手段による車高調整動作中に車両が発進準備状
   態に切換えられた場合に前記車高調整動作を停止する手
   段と、 をそれぞれ具備する車高調整装置。