JPH0651456B2 - エアバック装置及びエアバック本体の縫製方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、車両等の衝突の際に乗員を保護するエアバッ
グ装置及びエアバッグ本体の縫製方法に関し、更に詳細
に説明すると、複数のガス注入口を有するエアバッグ本
体と、該エアバッグ本体に接続された複数のガス発生器
とを備え、前記ガス発生器は固定側に固着されたベース
プレートに夫々固着され、該ベースプレートに形成され
た透孔の周縁部に前記複数のガス注入口の周縁部がリテ
ーナを介して夫々取付けられたエアバッグ装置及びエア
バッグ本体の縫製方法に関する。

〔従来の技術〕

従来より、車両等の乗員の保護装置としてエアバッグ装
置が知られている。この保護装置としては、特公昭５６
−４３８９０号公報や、実開昭６１−１８５６４２号公
報等が存在する。

また、第６図に示す如く、ステアリングやグローボック
ス等の固定側に取付けられたベースプレート１の透孔１
ａに嵌合する状態でガス発生器２が固着され、ガス注入
口４を有するエアバッグ本体３がリテーナ５を介して固
着され、所定の条件のもとでガス発生器が作動した場合
にガスが瞬間的にエアバッグ本体３内に流入し、エアバ
ッグ本体３を瞬時に膨張させるようになされている。そ
してアシストシート側であるグローブボックス下部側に
設けられるエアバッグ装置においては、エアバッグ本体
３の膨出量をステアリング側のエアバッグ装置より大き
くする必要から、複数のガス発生器２を用いている。

また、第７図及び第８図に示す如く、エアバッグ本体３
はガス注入口４の形成された基部３ａと、該基部３ａの
外周縁に沿って縫着された袋部３ｂとから形成され、前
記ガス注入口４を、第７図に示す如く、大きく形成し、
複数のガス発生器２よりエアバッグ本体３内にガスが流
入し得るようになされ、または第８図に示す如く、複数
のガス注入口４よりエアバッグ本体３内にガスが流入し
得るようになされている。

〔発明が解決しようとする課題〕

然し乍ら、第７図に示す如く、エアバッグ本体３のガス
注入口４を大きく形成した場合には、基部３ａと袋部３
ｂとの縫製を大きなガス注入口４を利用してミシン針等
を挿入して容易に行うことができるが、リテーナ５との
接触面積が小さくなり、十分な端末保持力が得られず、
基部３ａのガス注入口４がリテーナ５より脱落する虞れ
を有していた。

また第８図に示す如く、エアバッグ本体３の基部３ａに
複数のガス注入口４を形成した場合には、ガス注入口４
が小さく、またガス注入口４間の仕切部７によりガス注
入口４がリテーナ５により十分に保持されるが、基部３
ａと袋部３ｂの縫製に際し、夫々の小さなガス注入口４
にミシン針等を夫々挿入して縫製しなければならず、作
業が煩雑で加工精度が低下する欠点を有するものであっ
た。

本発明の目的は複数のガス注入口を備えた基部と、袋部
との縫製を簡易迅速に行え、複数のガス注入口が仕切部
の存在によりリテーナにより十分に保持され、脱落する
虞れのないエアバッグ装置及びエアバッグ本体の縫製方
法を提供するものである。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は上述せる課題に鑑みてなされたもので、本発明
のエアバッグ装置は、複数のガス注入口を有するエアバ
ッグ本体と、該エアバッグ本体に接続された複数のガス
発生器とを備え、前記ガス発生器は固定側に固着された
ベースプレートに夫々固着され、該ベースプレートに形
成された複数の透孔の周縁部に前記複数のガス注入口の
周縁部がリテーナを介して夫々取付けられたエアバッグ
装置において、前記エアバッグ本体は前記リテーナによ
り固着される基部と、該基部の外周に沿って縫着された
袋部とから形成され、前記基部は複数枚の布地を接合し
て形成され、且つ前記複数のガス注入口の間に形成され
た仕切部の複数枚の布地の相互に隣接する布地が上下異
なる位置で夫々カットされ、前記基部と袋部とを前記仕
切部がカットされて複数のガス注入口が連通する状態で
縫着した後に前記仕切部のカット部が上下異なる位置で
縫着されていることを特徴とする。

また本発明のエアバッグ本体の縫製方法は、前記エアバ
ッグ本体が複数のガス注入口を有する基部と、該基部の
外周に縫着された袋部とからなり、前記基部を複数枚の
布地を縫着して形成し、前記複数のガス注入口の間の仕
切部の複数枚の布地の相互に隣接する布地を上下異なる
位置で夫々カットし、前記複数のガス注入口が連通する
状態で、該ガス注入口を利用して前記基部と袋部とを縫
着し、次いで前記仕切部の複数枚の布地を前記上下のカ
ット位置の間で縫着したことを特徴とする。。

〔作用〕

本発明に係る、エアバッグ装置及びエアバッグ本体の縫
製方法に依れば、エアバッグ本体の基部に複数のガス注
入口が形成され、ガス注入口間の仕切部がリテーナによ
り確実に支持され、脱落する虞れがなく、また基部と袋
部の縫製に際しては仕切部の複数枚の布地の相互に隣接
する布地が上下異なる位置で夫々カットされているので
基部と袋部の縫製を簡易迅速に行え、且つ精度よく縫製
することができ、また基部と袋部との縫製後に複数枚の
布地からなる仕切部のカット部が上下異なる位置で縫着
されているので仕切部の強度を保持し、エアバッグ本体
を確実強固に取付けることができるものである。

また本発明に係るエアバッグ本体の縫製方法に依れば、
複数のガス注入口の間の仕切部の複数枚の布地の相互に
隣接する布地を上下異なる位置でカットし、基部と袋部
との縫着後、仕切部の複数枚の布地を前記上下のカット
位置の間で縫着したので、仕切部の強度が増大し、また
別物を固着していないのでガス注入口の厚さを均一な状
態とすることができ、リテーナによる固着を確実に行う
ことができるものである。

〔実施例〕

以下、本発明に係るエアバッグ装置及びエアバッグ本体
の縫製方法を図面を参照して詳述する。

第１図及び第２図には本発明に係るエアバッグ装置のエ
アバッグ本体の一実施例の概略が夫々示されており、前
述せるベースプレート１，ガス発生器２及びリテーナ５
等の第６図と対応する部分は同一符号を用いて説明する
が、図示説明はこれを省略するも、前記エアバッグ本体
１１はガス注入口１４が複数、本実施例では２個形成さ
れた基部１２と、この基部１２の外周に沿って縫着され
た袋部１３とを備えている。

前記袋部１３は上下のメインパネル１５と左右のサイド
パネル１６とから袋状に形成され、開口部１７側の周縁
部に前記基部１２の周縁部が縫着される。

前記基部１２は複数枚、本実施例では３枚の布地１２
ａ，１２ｂ，１２ｃを接合して形成され、３枚の布地１
２ａ，１２ｂ，１２ｃは縫製により接合されている。基
部１２及び袋部１３の布地には合成樹脂シートが積層さ
れ、強及び気密性を向上させている。

前記基部１２の複数のガス注入口１４の間に形成された
仕切部１９にはカット部２１，２２，２３が形成され、
このカット部２１，２２，２３は複数枚の布地１２ａ，
１２ｂ，１２ｃにおいて上下異なる位置で形成されてい
る。

第３図及び第４図に示す実施例においては、中央部の布
地１２ｂのカット部２２が仕切部１９の上部位置に、表
面及び裏面側の布地１２ａ，１２ｃのカット部２１，２
３が下部位置に夫々形成され、相互に隣接する布地が夫
々上下異なる位置に形成され、前記基部１２と袋部１３
との縫着後に仕切部１９のカット部２１，２２間の位置
で縫着されている。

尚第５図に示す如く、表面及び裏面側の布地１２ａ，１
２ｃのカット部２１，２３を中央部に形成し、中央部の
布地１２ｂを上下位置でカットしてカット部２２，２２
を上下に形成し、３枚の布地１２ａ，１２ｂ，１２ｃを
カット部２２，２２間で縫着して仕切部１９を形成する
こともできる。

次に、エアバッグ本体の縫製方法を説明する。

まず、エアバッグ本体１１の基部１２及び袋部１３を形
成する。基部１２は複数枚の布地１２ａ，１２ｂ，１２
ｃの外周部を予め縫製により接合する。基部１２には複
数のガス注入口１４が形成され、また仕切部１９の複数
枚の布地１２ａ，１２ｂ，１２ｃの相互に隣接する布地
には上下異なる位置にカット部２１，，２２，２３が形
成されている。

前記基部１２と袋部１３とを前記複数のガス注入口１４
が連通する状態でミシン縫製により縫着する。次いで、
前記仕切部１９のカット部２１，２２間または２２，２
２間を縫製して複数枚の布地１２ａ，１２ｂ，１２ｃを
縫着する。尚カット部２１，２２または２２，２２間の
上下方向を適宜縫製して縫着することは自由である。

エアバッグ本体１１を形成した後、ベースプレート１の
複数の透孔１ａの周縁部に複数のガス注入口１４の周縁
部と合致させ、リテーナ５を介してボルト，ナット等の
固着手段により固着する。

〔発明の効果〕

以上が本発明に係るエアバッグ装置及びエアバッグ本体
の縫製方法の一実施例であるが、斯る構成及び方法に依
れば、エアバッグ本体の基部に複数のガス注入口が形成
され、ガス注入口間の仕切部がリテーナにより確実に支
持され、脱落する虞れがなく、また基部と袋部の縫製に
際しては仕切部の複数枚の布地の相互に隣接する布地が
上下異なる位置で夫々カットされているので基部と袋部
の縫製を簡易迅速に行え、且つ精度よく縫製することが
でき、また基部と袋部との縫製後に複数枚の布地からな
る仕切部のカット部が上下異なる位置で縫着されている
ので仕切部の強度を保持し、エアバッグ本体を確実強固
に取付けることができるエアバッグ装置及びエアバッグ
本体の縫製方法を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第４図は本発明の一実施例の概略を夫々示す
もので、第１図はエアバッグ本体の縫製前の状態の斜視
図、第２図はエアバッグ本体の基部と袋部とを縫製した
状態の断面図、第３図及び第４図は仕切部の縫製状態の
正面図及び断面説明図、第５図は仕切部の異なるカット
状態を示す断面説明図、第６図は従来のエアバッグ装置
の断面図、第７図及び第８図は従来のエアバッグ本体の
一部斜視図である。 図中、１１……ベースプレート、１ａ……透孔、２……
ガス発生器、５……リテーナ、１１……エアバッグ本
体、１２……基部、１２ａ，１２ｂ，１２ｃ……布地、
１３……袋部、１９……仕切部、２１，２２，２３……
カット部。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数のガス注入口を有するエアバッグ本体
   と、該エアバッグ本体に接続された複数のガス発生器と
   を備え、前記ガス発生器は固定側に固着されたベースプ
   レートに夫々固着され、該ベースプレートに形成された
   複数の透孔の周縁部に前記複数のガス注入口の周縁部が
   リテーナを介して夫々取付けられたエアバッグ装置にお
   いて、前記エアバッグ本体は前記リテーナにより固着さ
   れる基部と、該基部の外周に沿って縫着された袋部とか
   ら形成され、前記基部は複数枚の布地を接合して形成さ
   れ、且つ前記複数のガス注入口の間に形成された仕切部
   の複数枚の布地の相互に隣接する布地が上下異なる位置
   で夫々カットされ、前記基部と袋部とを前記仕切部がカ
   ットされて複数のガス注入口が連通する状態で縫着した
   後に前記仕切部のカット部が上下異なる位置で縫着され
   ていることを特徴とするエアバッグ装置。
2. 【請求項２】エアバッグ装置のエアバッグ本体の縫製方
   法において、前記エアバッグ本体は複数のガス注入口を
   有する基部と、該基部の外周に縫着された袋部とからな
   り、前記基部を複数枚の布地を縫着して形成し、前記複
   数のガス注入口の間の仕切部の複数枚の布地の相互に隣
   接する布地を上下異なる位置で夫々カットし、前記複数
   のガス注入口が連通する状態で、該ガス注入口を利用し
   て前記基部と袋部とを縫着し、次いで前記仕切部の複数
   枚の布地を前記上下のカット位置の間で縫着したことを
   特徴とするエアバッグ本体の縫製方法。