JP2853576B2 - エアバッグ装置のエアバッグ本体 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、車両等の衝突の際に乗
員を保護するエアバッグ装置のエアバッグ本体に関し、
更に詳細に説明すると、複数の基布の外周縁を合わせ縫
いにより縫着して形成され、ガス発生器の作動時に膨出
するようになされたエアバッグ装置のエアバッグ本体に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、車両等の乗員の保護装置とし
てエアバッグ装置が知られている。このエアバッグ装置
として、実開平２−３８３６０号公報、実開平２−７１
０５３号公報、特公昭５６−４３８９０号公報、特開平
２−１６９３４４号公報、特開平２−２００５４８号公
報等が存在する。

【０００３】図６に示す如く、インストルメントパネル
やステアリング等の固定側に取付けられるベースプレー
ト１にガス発生器２が固着され、ガス注入口４を有する
エアバッグ本体３がリテーナ５を介してリベット６また
はボルト等により固着され、衝撃等の所定の条件のもと
でガス発生器２が作動した場合に、ガス発生器２からの
ガスが瞬間的にエアバッグ本体３内に流入し、エアバッ
グ本体３が瞬時に膨出するようになされている。

【０００４】前記エアバッグ本体３はフロント側の基布
３ａとリア側の基布３ｂの端縁を縫着して形成され、且
つリア側の基布３ｂのガス注入口４の周縁部にはガス発
生器２から放出される燃焼ガスの圧力により大きな引張
力が与えられるため、ガス注入口４の周縁部を補強する
必要があり、このため補強布７や防炎布が取付けられて
いる。

【０００５】また前記フロント側の基布３ａとリア側の
基布３ｂとの間に吊りベルト８が設けられ、この吊りベ
ルト８の中央部８ａ及び端部８ｂがベルトキャッチ９等
を介して、または介さずに縫着されている。この吊りベ
ルト８の長さに応じてエアバッグ本体３が乗員側に一方
向に膨出するのを防止している。尚、図６中、符号８ｄ
は吊りベルト８の中央部８ａの縫製部を示す。

【０００６】図３（ａ），（ｂ）にはフロント側の基布
３ａとリア側の基布３ｂが夫々示されており、フロント
側の基布３ａには、フロント側の基布３ａの縦横の織方
向Ｘ，Ｙに対して同方向に複数の凸当たり１１ａが夫々
等間隔、例えば９０°間隔で形成されている。前記凸当
たり１１ａの突出方向は縦横の織方向Ｘ，Ｙと同一方向
に形成されている。

【０００７】図３（ｂ）に示す如く、リア側の基布３ｂ
には、リア側の基布３ｂの縦横の織方向Ｘ，Ｙに対して
４５°傾斜した位置に複数の凸当たり１１ｂが前記フロ
ント側の基布３ａの凸当たり１１ａと夫々等間隔で形成
されている。

【０００８】前記フロント側の基布３ａとリア側の基布
３ｂの外周縁を合わせ縫いする際に、フロント側の基布
３ａの複数の凸当たり１１ａが夫々対向するリア側の基
布３ｂの凸当たり１１ｂに夫々位置決めされると共に、
フロント側の基布３ａとリア側の基布３ｂの織方向が４
５°傾斜して縫着され、強度の向上をはかっている。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】従来のエアバッグ本体
３はフロント側の基布３ａの外周縁とリア側の基布３ｂ
の外周縁とが縫着され、袋体に形成されているが、フロ
ント側の基布３ａ及びリア側の基布３ｂが直径９００ｍ
ｍと大きく、図４に示す如く、フロント側の基布３ａの
縦横の織方向Ｘ，Ｙに対して同方向に複数の凸当たり１
１ａがフロント側の基布３ａの外周縁より外方に突出し
て夫々等間隔、例えば９０°の間隔で形成する場合に
は、原反１３の幅Ｌが上下の凸当たり１１ａ，１１ａの
長さＬ１，Ｌ１の分だけ大きくなり、歩留りが悪くコス
ト高となる欠点を有していた。

【００１０】また、図５に示す如く、フロント側の基布
３ａまたはリア側の基布３ｂの外周縁に凹当たり１１ｃ
を形成する場合には、縫い代Ｌ２が小さくなり、縫製強
度が弱くなり、フロント側の基布３ａまたはリア側の基
布３ｂの外周縁が破断する虞れを有していた。

【００１１】本発明の目的は、フロント側の基布とリア
側の基布の外周縁同士の縫着作業を簡易迅速に行え、更
に縫製位置に正確に縫製することができ、確実に形成さ
れた凸当たりにより縫製パターンずれを防止することが
でき、エアバッグ本体の強度を向上させることができ、
作業能率を著しく向上させることができる経済性及び安
全性に優れたエアバッグ装置のエアバッグ本体を提供す
るものである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明は上述せる課題に
鑑みてなされたもので、本発明の請求項１に記載のエア
バッグ装置のエアバッグ本体は、フロント側の基布とリ
ア側の基布の外周縁を合わせ縫いにより縫着して形成さ
れ、ガス発生器の作動時に膨出するようになされたエア
バッグ装置のエアバッグ本体において、前記フロント側
の基布とリア側の基布の織方向と２０°〜２５°傾斜し
た位置に複数の凸当たりが夫々等間隔で形成され、前記
複数の基布の外周縁を合わせ縫いする際に、複数の凸当
たりが夫々対向する基布の凸当たりに位置決めされると
共に、フロント側の基布とリア側の基布の織方向が４０
°〜４５°傾斜して縫着されることを特徴とする。

【００１３】

【作用】本発明の請求項１に記載のエアバッグ装置のエ
アバッグ本体によれば、フロント側の基布とリア側の基
布の織方向と２０°〜２５°傾斜した位置に複数の凸当
たりが夫々等間隔で形成されているので、エアバッグ本
体を小さい原反より得ることができ、前記複数の基布の
外周縁を合わせ縫いする際に、複数の凸当たりが夫々対
向する基布の凸当たりに位置決めされるので、ミシンテ
ーブルに簡易迅速に基布を確実に位置決めして配置する
ことができ、縫製位置に正確に縫製することができ、縫
製パターンずれを防止することができ、フロント側の基
布とリア側の基布の織方向が４０°〜４５°傾斜して縫
着されるので、縫製強度を向上させることができ、作業
能率を向上させることができる。

【００１４】

【実施例】以下本発明に係るエアバッグ装置のエアバッ
グ本体を図面を参照して詳述する。図１（ａ），（ｂ）
及び図２（ａ），（ｂ）には本発明に係るエアバッグ装
置のエアバッグ本体の一実施例の概略が夫々示されてお
り、エアバッグ装置はベースプレートの取付けられる固
定側をインストルメントパネル側またはステアリング側
とすることができ、更にドア側やシートバックの背面等
適宜の位置に取付けられる。

【００１５】エアバッグ装置は図６に示すと同様に、ベ
ースプレート、収納容器等にボルト，ナット，リベット
等の固着手段により固定されたガス発生器を備えている
が、これらの図示説明はこれを省略する。また、前述せ
る従来技術と対応する部分には同一符号を付してこれ以
上の詳細説明はこれを省略する。

【００１６】エアバッグ装置のエアバッグ本体３はフロ
ント側の基布３ａとリア側の基布３ｂの端縁を縫着して
形成されている。リア側の基布３ｂにはガス発生器２よ
りのガスが流入するガス注入口４が形成されている。
尚、フロント側の基布３ａとリア側の基布３ｂとの間に
吊りベルトを縫着することができる。

【００１７】図１（ａ），（ｂ）には略円形状のフロン
ト側の基布３ａとリア側の基布３ｂが夫々示されてお
り、図１（ａ）に示す如く、フロント側の基布３ａに
は、フロント側の基布３ａの縦の織方向Ｘに対して２０
°〜４５°傾斜した位置、本実施例では３０°傾斜した
位置に複数の凸当たり１１ａが夫々等間隔、例えば９０
°間隔で形成されている。

【００１８】フロント側の基布３ａの縦の織方向Ｘに対
して２０°〜４５°傾斜した位置に凸当たり１１ａを形
成することにより、凸当たり１１ａの位置が織方向の端
部である法線Ｐの内側に形成され、エアバッグ本体３の
原反の使用量を増大させることがない。

【００１９】尚、縦の織方向Ｘに対して傾斜が２０°以
下の範囲では凸当たり１１ａの突出量を十分に確保する
ことができないものである。また、横の織方向Ｙに対し
て２０°〜４５°傾斜した位置に凸当たり１１ａを形成
するものであってもよい。

【００２０】図１（ｂ）に示す如く、リア側の基布３ｂ
には、リア側の基布３ｂの縦横の織方向Ｘ，Ｙに対して
４５°傾斜した位置に複数の凸当たり１１ａが前記フロ
ント側の基布３ａの凸当たり１１ａと夫々等間隔で形成
されている。

【００２１】前記フロント側の基布３ａとリア側の基布
３ｂの外周縁を合わせ縫いする際に、フロント側の基布
３ａの複数の凸当たり１１ａが夫々対向するリア側の基
布３ｂの凸当たり１１ａに夫々位置決めされると共に、
フロント側の基布３ａとリア側の基布３ｂの織方向が１
５°傾斜して縫着され、強度の向上をはかっている。

【００２２】図２（ａ），（ｂ）には本発明の異なる実
施例が示されており、略円形状のフロント側の基布３ａ
には、フロント側の基布３ａの縦の織方向Ｘに対して２
０°〜２５°傾斜した位置、本実施例では２０°傾斜し
た位置に複数の凸当たり１１ａが夫々等間隔、例えば９
０°間隔で形成されている。

【００２３】フロント側の基布３ａの縦の織方向Ｘに対
して２０°〜２５°傾斜した位置に凸当たり１１ａを形
成することにより、凸当たり１１ａの位置が織方向の端
部である法線Ｐの内側に形成され、エアバッグ本体３の
原反の使用量を増大させることがない。

【００２４】図２（ｂ）に示す如く、リア側の基布３ｂ
には、リア側の基布３ｂの縦の織方向Ｘに対して２０°
〜２５°傾斜した位置、本実施例では２５°傾斜した位
置に複数の凸当たり１１ａが前記フロント側の基布３ａ
の凸当たり１１ａと夫々等間隔で形成されている。尚、
フロント側の基布３ａと同様に、縦の織方向Ｘに対して
２０°傾斜した位置に凸当たり１１ａを形成することも
できる。

【００２５】フロント側の基布３ａとリア側の基布３ｂ
の織方向と２００〜２５°傾斜した位置に複数の凸当た
り１１ａが夫々等間隔で形成されているので、エアバッ
グ本体３を小さい原反より得ることができる。

【００２６】前記複数のフロント側の基布３ａとリア側
の基布３ｂの外周縁を合わせ縫いする際に、複数の凸当
たり１１ａが夫々対向する基布の凸当たり１１ａに位置
決めされ、ミシンテーブルに簡易迅速にフロント側の基
布３ａとリア側の基布３ｂを確実に位置決めして配置す
ることができ、縫製位置に正確に縫製することができ、
縫製パターンずれを防止することができる。

【００２７】また、フロント側の基布３ａとリア側の基
布３ｂの織方向が４０°〜４５°傾斜して縫着されるの
で、縫製強度を向上させることができ、作業能率を向上
させることができる。尚、織方向が４０°〜４５°傾斜
して縫着されるものであればよく、例えばフロント側の
基布３ａとリア側の基布３ｂが織方向に対して夫々２
２．５°傾斜した位置に凸当たり１１ａを形成するもの
であってもよい。

【００２８】

【発明の効果】以上が本発明に係るエアバッグ装置のエ
アバッグ本体の一実施例の構成であるが、本発明の請求
項１に記載のエアバッグ装置のエアバッグ本体によれ
ば、フロント側の基布とリア側の基布の織方向と２０°
〜２５°傾斜した位置に複数の凸当たりが夫々等間隔で
形成されているので、エアバッグ本体を小さい原反より
得ることができ、前記複数の基布の外周縁を合わせ縫い
する際に、複数の凸当たりが夫々対向する基布の凸当た
りに位置決めされるので、ミシンテーブルに簡易迅速に
基布を確実に位置決めして配置することができ、縫製位
置に正確に縫製することができ、縫製パターンずれを防
止することができ、フロント側の基布とリア側の基布の
織方向が４０°〜４５°傾斜して縫着されるので、縫製
強度を向上させることができ、作業能率を向上させるこ
とができる。

【００２９】本発明によれば、フロント側の基布とリア
側の基布の外周縁同士の縫着作業を簡易迅速に行え、更
に縫製位置に正確に縫製することができ、縫製パターン
ずれを防止することができ、エアバッグ本体の強度を向
上させることができ、作業能率を著しく向上させること
ができる経済性及び安全性に優れたエアバッグ装置のエ
アバッグ本体を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るエアバッグ本体を示すもので、
（ａ）はフロント側の基布の正面図、（ｂ）はリア側の
基布の正面図。

【図２】本発明に係るエアバッグ本体の異なる実施例を
示すもので、（ａ）はフロント側の基布の正面図、
（ｂ）はリア側の基布の正面図。

【図３】従来のエアバッグ本体を示すもので、（ａ）は
フロント側の基布の正面図、（ｂ）はリア側の基布の正
面図。

【図４】従来のエアバッグ本体の原反からフロント側の
基布を裁断する状態の正面図。

【図５】従来のエアバッグ本体に凹当たりを形成した状
態の正面図。

【図６】従来のエアバッグ装置の断面説明図。

【符号の説明】

２ ガス発生器 ３ エアバッグ本体 ３ａ フロント側の基布 ３ｂ リア側の基布 ４ ガス注入口 １１ａ 凸当たり

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フロント側の基布とリア側の基布の外周
   縁を合わせ縫いにより縫着して形成され、ガス発生器の
   作動時に膨出するようになされたエアバッグ装置のエア
   バッグ本体において、前記フロント側の基布とリア側の
   基布の織方向と２０°〜２５°傾斜した位置に複数の凸
   当たりが夫々等間隔で形成され、前記複数の基布の外周
   縁を合わせ縫いする際に、複数の凸当たりが夫々対向す
   る基布の凸当たりに位置決めされると共に、フロント側
   の基布とリア側の基布の織方向が４０°〜４５°傾斜し
   て縫着されることを特徴とするエアバッグ装置のエアバ
   ッグ本体。