JP2012046100A - エアバッグ装置 - Google Patents

Abstract

【課題】インフレータをエアバッグに取付ける場合に、インフレータのエアバッグへの位置決めを容易にしつつ、エアバッグとリテーナリングとの擦れを抑制する。
【解決手段】インフレータ５とエアバッグ１を備えたエアバッグ装置である。エアバッグ１はフロント側基布２とリア側基布３の外周縁２ａ，３ａを縫製４して袋状に形成される。リア側基布３にはインフレータ５のガス噴出孔５ａ部を挿入するガス注入口３ｂを設けている。ガス注入口３ｂ部分には、ガス注入口６ａａ〜６ｅａを設けた複数の基布６ａ〜６ｅが重ね合わせて縫製される。各基布３，６ａ〜６ｅのガス注入口３ｂ，６ａａ〜６ｅａの内周側には、重ね合わせて縫製された時に相対的な位置が異なる位置に突起３ｃ，６ａｂ〜６ｅｂが設けられている。
【効果】インフレータをエアバッグに取付けるときの位置決めを容易に行うことができ、また、エアバッグとリテーナリングの擦れを防止することもできる。
【選択図】図１

Description

本発明は、例えば自動車に設置されるエアバッグ装置に関するものである。

乗員の安全確保を目的として、自動車には、幾つかの安全装置が設置されている。衝突などの緊急時に、インフレータで発生させたガスによってエアバッグを展開させるエアバッグ装置も安全装置の１つである。

このエアバッグ装置のうち、ステアリングホイールの中央部に取付けられる運転席用エアバッグ装置や、インストルメントパネルの上方部に取付けられる助手席用エアバッグ装置の場合、ディスク型のインフレータが採用されることが多い。

このディスク型インフレータのエアバッグへの取付けは、エアバッグのガス注入口にインフレータのガス噴出孔を形成した側を挿入した状態で、ガス注入口の内面側に取付けたリテーナリングとインフレータの鍔部でエアバッグを挟むことで行っている。

運転席用エアバッグ装置や助手席用エアバッグ装置のエアバッグは、フロント側とリア側の基布の外周縁同士を縫製して袋状に形成されている。そして、前記エアバッグのガス注入口の周縁部には、インフレータで発生したガスの圧力により大きな引張力が加わる為、それらの力に耐えるように補強布や防炎布が取付けられている（例えば特許文献１）。

しかしながら、エアバッグの円形のガス注入口に円形のディスク型インフレータを取付ける従来構造の場合、インフレータをエアバッグにセットする際の位置決めが難しい。また、インフレータをエアバッグにセットする際、エアバッグとリテーナリングが擦れるが、現在、１０年程度の保証であったものが、今後の長寿命化によって仮に２０年程度の保証となる場合を考えると、この擦れも問題となる可能性がある。さらに、ガス注入口へのインフレータの挿入部からガスが漏れる可能性もある。

特開平７−３０９１８７号公報

本発明が解決しようとする問題点は、ディスク型インフレータをエアバッグに取付ける場合、インフレータのエアバッグへの位置決めが難しいという点である。また、今後の長寿命化を考えると、インフレータをエアバッグにセットする際に、エアバッグとリテーナリングとの擦れが問題となる可能性があるという点である。さらに、ガス注入口へのインフレータの挿入部からガスが漏れる可能性があるという点である。

本発明は、前記課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明では、複数の各基布に設けたガス注入口の内周側に、相対的な位置が異なる突起を設けることで、前記課題を解決するものである。

すなわち、本発明のエアバッグ装置は、
インフレータとエアバッグを備えたエアバッグ装置であって、
前記エアバッグは、
第１基布及び第２基布の外周縁を縫製して袋状に形成されたものであり、
前記第２基布には前記インフレータのガス噴出孔部が挿入されるガス注入口が設けられると共に、このガス注入口部分には、ガス注入口を設けた複数の基布が重ね合わせて縫製されており、かつ各基布のガス注入口の内周側には、前記重ね合わせて縫製された時に相対的な位置が異なる位置に突起が設けられていることを最も主要な特徴としている。

本発明では、複数の各基布に設けたガス注入口の内周側に、相対的な位置が異なる場所に突起を設けているので、この突起により、インフレータをエアバッグにセットするときの位置決めを容易に行うことができる。また、インフレータをエアバッグにセットする時のエアバッグとリテーナイングの擦れを防止することもできる。さらに、エアバッグの組付け工程で、作業者の指や手がリテーナリングのエッジに触れることを防止できるので、作業時の怪我が少なくなる。

本発明において、前記突起を、複数の基布それぞれに、お互いに重複しない位置に１つ以上設けた場合は、前記作用はより効果的なものとなる。

また、本発明において、前記突起を、ガス注入口の内周側全周に亘るように設けた場合は、これらの突起がガス注入口とインフレータ間の隙間を塞ぐので、ガス漏れを防ぐことができる。

さらに、前記突起が、円形のガス注入口の中心に対して線対称又は点対称となるように設けられていると、上記の作用効果はさらに顕著なものとなる。

本発明では、各基布のガス注入口の内周側に設けた、相対的な位置が異なる突起により、インフレータをエアバッグに取付けるときの位置決めを容易に行うことができる。また、インフレータをエアバッグに取付ける時のエアバッグとリテーナリングの擦れを防止することもできる。さらに、エアバッグの組付け工程で、作業者の指や手がリテーナリングのエッジに触れることを防止でき、作業時の怪我が少なくなる。

また、前記突起を、ガス注入口の内周側全周に亘るように設けた場合は、これらの突起がガス注入口とインフレータ間の隙間を塞いで、ガス漏れを防ぐことができる。

本発明のエアバッグ装置を構成するエアバッグが展開した状態の概略図で、（ａ）はリア側からみた図、（ｂ）は（ａ）のＡ−Ａ断面図である。 （ａ）〜（ｅ）は、本発明のエアバッグ装置を構成するエアバッグの補強用基布を示した図である。 本発明のエアバッグ装置を構成するエアバッグの折り畳み状態を示した図で、（ａ）は斜視図、（ｂ）は下面図である。 （ａ）はステアリングホイールに本発明のエアバッグ装置を取付けた状態を説明した図、（ｂ）はインフレータのエアバッグへの取付け部の拡大図、（ｃ）は（ｂ）の矢視Ｂ−Ｂ図である。

基布に設けた円形のガス注入口に円形のディスク型インフレータを挿入する従来の取付け構造では、インフレータをエアバッグにセットする際の位置決めが難しい。また、インフレータをエアバッグにセットする際、エアバッグとリテーナリングが擦れるが、今後の長寿命化を考えて仮に２０年程度の保証となる場合を考えると、この擦れも問題となる可能性がある。さらに、ガス注入口へのインフレータの挿入部からガスが漏れる可能性もある。

本発明は、複数の各基布に設けたガス注入口の内周側に、相対的な位置が異なる位置に突起を設けることで、前記の課題を解決するものである。

以下、本発明を実施するための形態例について、図１〜図４を用いて説明する。
図１〜図４はステアリングホイールに備える本発明のエアバッグ装置について説明した図である。

１はエアバッグであり、第１基布としてのフロント側基布２と第２基布としてのリア側基布３の外周縁２ａ，３ａを縫製４して袋状に形成されたものである。このうち、リア側基布３の中央には、ディスク型インフレータ５のガス噴出孔５ａを設けた部分を挿入するガス注入口３ｂが設けられている。

６ａ〜６ｅはリア側基布３の前記ガス注入口３ｂ部分に重ね合わせて縫製７される基布であり、中央に前記ガス注入口３ｂと同じ大きさのガス注入口６ａａ〜６ｅａが設けられている。これらの基布６ａ〜６ｅは、インフレータ５のガス噴出孔５ａから噴射される燃焼ガスの圧力により、大きな引張力が加わるガス注入口３ｂの周縁部を補強するものである。

図１〜図４に示す実施例では、前記補強用の基布６ａ〜６ｅのうち、基布６ａはリア側基布３の外面側に、基布６ｂ〜６ｅはリア側基布３の内面側に縫製７されて取付けられている。そして、基布６ｂ〜６ｅは、リア側基布３に接する側の基布６ｂが一番大きく、リア側基布３から遠ざかった基布６ｄ，６ｅが一番小さい大きさとなっている。

本発明では、前記リア側基布３のガス注入口３ｂ、補強用基布６ａ〜６ｅのガス注入口６ａａ〜６ｅａの内周側における相対的な位置が異なる箇所に、それぞれ、例えば三角形状の突起３ｃ，６ａｂ〜６ｅｂを一つずつ設けている（図１（ａ）参照）。

これら基布６ａ〜６ｅは、リア側基布３のガス注入口３ｂとそのガス注入孔６ａａ〜６ｅａが一致し、かつ突起３ｃと相対的な位置が異なる所定の位置に突起６ａｂ〜６ｅｂが位置するように、図示省略した治具により位置決めされながら積層される。そして、この積層状態で、リア側基布３と一体となるよう縫製７される。

このようにして基布２，３，６ａ〜６ｅを縫製してエアバッグ１を作成すると、位置決め時の目印がはっきりしているので、組み間違いを発見し易くなる。例えばカットパーツの枚数不足や、コート布の表裏間違いなどが簡単に判別可能となる他、折り畳んだ後のクッションの向きや、サイドエアバッグの左右の組み間違いなども判別できる。

このように形成したエアバッグ１の折畳み状態を示したものが図３である。図３中の８は、前記エアバッグ１のリア側基布３及び基布６ａ〜６ｅのガス注入孔３ｂ，６ａａ〜６ｅａの周囲に設けた孔３ｄ，６ａｃ〜６ｅｃを貫通してエアバッグ１の外部に突出した、エアバッグ１とインフレータ５を固定するためのボルトである。

以上のような構成の本発明のエアバッグ装置では、以下のようにして、エアバッグ１にインフレータ５を取付ける。

先ず、インフレータ５のガス噴出孔５ａを設けた側を、エアバッグ１のガス注入口３ｂ，6ａａ〜６ｅａに挿入する。この時、本発明では、リア側基布３及び基布６ａ〜６ｅに設けた突起３ｃ、６ａｂ〜６ｅｂの作用により、容易に位置決めが行える。

この位置決めにより、リア側基布３及び基布６ａ〜６ｅのガス注入孔３ｂ，６ａａ〜６ｅａの周囲に設けた孔３ｄ，６ａｃ〜６ｅｃ及びインフレータ５の鍔５ｂに設けた孔を、リテーナリング９に取付けた前記ボルト８が貫通する。

貫通したボルト８にナット１０を締付けることにより、リテーナリング９とインフレータ５の鍔５ｂとでリア側基布３及び基布６ａ〜６ｅを挟み込む。これにより、エアバッグ１へのインフレータ５の取付けが完了する。

上記の取付けの場合、エアバッグ１のガス注入孔３ｂ，６ａａ〜６ｅａに設けた突起３ｃ，６ａｂ〜６ｅｂの作用により、インフレータ５をエアバッグ１にセットする時のエアバッグ１とリテーナリング９の擦れを防止することもできる。さらに、エアバッグ１の組付け工程で、作業者の指や手がリテーナリング９のエッジに触れることを防止でき、作業時の怪我も少なくなる。

この時、図４（ｃ）に示すように、ガス注入口３ｂ，６ａａ〜６ｅａの内周側全周に亘るように突起３ｃ，６ａｂ〜６ｅｂを設けた場合は、突起３ｃ，６ａｂ〜６ｅｂでガス注入口３ｂ，６ａａ〜６ｅａとインフレータ５間の隙間を塞いで、ガス漏れを防止できる。

本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良い。

すなわち以上で述べたエアバッグ装置は、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施態様も、各種の方法で実施または遂行できる。特に本願明細書中に限定する主旨の記載がない限り、本発明は添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさ、および構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書の中に用いられた表現および用語は、説明を目的としたもので、特に限定される主旨のない限り、それに限定されるものではない。

例えば、前記基布６ａ〜６ｅは、全体の取付け枚数や、外面側、内面側の取付け枚数は、図１に示した例に限らず、別段の規定はない。

また、前記突起３ｃ，６ａｂ〜６ｅｂの形状や大きさは、上記の作用を奏することができるものであれば、特に限定されるものではない。また、全周に亘るように突起３ｃ，６ａｂ〜６ｅｂを設ける場合も、リア側基布３及び基布６ａ〜６ｅの全てが同一個数ずつ突起３ｃ，６ａｂ〜６ｅｂを設けていなくても良い。

また、上記の例では、ディスク型のインフレータ５を取付ける場合について説明したが、カーテンエアバッグ、サイドエアバッグ、ニーエアバッグ等に採用される細長い筒型のインフレータを取付ける場合にも適用できることは言うまでもない。

本発明のエアバッグ装置は、自動車に設置して用いるが、車両以外に航空機や船舶等の乗物に設けることも可能であり、同様な効果が発揮される。

１ エアバッグ
２ フロント側基布
２ａ 外周縁
３ リア側基布
３ａ 外周縁
３ｂ ガス注入口
３ｃ 突起
４ 縫製
５ インフレータ
５ａ ガス噴出孔
６ａ〜６ｅ 基布
６ａａ〜６ｅａ ガス注入口
６ａｂ〜６ｅｂ 突起
７ 縫製
９ リテーナリング

Claims (5)

1. インフレータとエアバッグを備えたエアバッグ装置であって、
   前記エアバッグは、
   第１基布及び第２基布の外周縁を縫製して袋状に形成されたものであり、
   前記第２基布には前記インフレータのガス噴出孔部が挿入されるガス注入口が設けられると共に、このガス注入口部分には、ガス注入口を設けた複数の基布が重ね合わせて縫製されており、かつ各基布のガス注入口の内周側には、前記重ね合わせて縫製された時に相対的な位置が異なる位置に突起が設けられていることを特徴とするエアバッグ装置。
2. 前記突起は、前記複数の基布それぞれに１つ以上設けられていることを特徴とする請求項１に記載のエアバッグ装置。
3. 前記突起は、お互いに重複しない位置に設けられていることを特徴とする請求項１又は２に記載のエアバッグ装置。
4. 前記突起は、前記ガス注入口の内周側全周に亘るように設けられていることを特徴とする請求項１〜３の何れかに記載のエアバッグ装置。
5. 前記突起は、前記ガス注入口の中心に対して線対称又は点対称となるように設けられていることを特徴とする請求項１〜４の何れかに記載のエアバッグ装置。

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