JPH0650575Y2

JPH0650575Y2 - 補修屋根

Info

Publication number: JPH0650575Y2
Application number: JP1988041008U
Authority: JP
Inventors: 弘文奈良; 良雄古内
Original assignee: 三晃金属工業株式会社
Priority date: 1988-03-30
Filing date: 1988-03-30
Publication date: 1994-12-21
Anticipated expiration: 2003-03-30
Also published as: JPH01150709U

Description

【考案の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本考案は、既設スレート屋根をそのままにして、その上
から新設屋根を葺成できる補修屋根に関する。

〔従来の技術及びその課題〕

従来より既設スレート屋根が存在しているが、これらが
長期の使用により、老朽化したり、或は脆くなったりし
て、雨水が室内に浸入するようになると、新たな屋根に
葺き替える必要が生じ、その既設スレート屋根全体を撤
去して新たな屋根に葺き替えていた。

この撤去に際しては、会社，工場等では、撤去時に塵埃
等がたちこめたり、取り外した屋根板等種々の部品が落
下したり、雨天の場合には室内が漏れるため、設備品、
製品等の保護のため、テント，天幕等を敷かなければな
らず、さらには、会社，工場等の仕事又は操業を一旦中
断しなければならず、会社，工場に与える損失，損害も
甚大であった。

また、体育館の床面は、雨に漏れると競技中等にスリッ
プ事故が多発したり、或いはその床面が反ったりして公
式競技が不可能になること等から天幕等を敷くことは必
須であった。

何れの場合にも既設屋根の撤去に手間と時間を要し、さ
らには、会社，工場等の業務，作業等を停止させるのみ
ならず、新たな屋根に葺き替えるのに施工日数が増加
し、施工費が割高になる等の不都合があり、解決すべき
課題があった。

〔課題を解決するための手段〕

そこで考案者は、前記課題を解決すべく、鋭意，研究を
重ねた結果、その考案を、上面部の両端より脚部を形成
し、該両脚部の下端より、谷形取付部を形成した支持具
の両谷形取付部それぞれを、既設スレート屋根の弧状谷
部の長手方向と略直交するように設置した構造材の直上
位置の弧状谷部上に載置し、且つ両谷形取付部それぞれ
を前記弧状谷部及び構造材に固着具にて固着し、隣接す
る支持具間の対向する脚部の高さ方向中間位置の係止部
に、支持杆両端に設けた係止片を係合し、山部と底部か
らなる新設屋根の長手方向を前記弧状谷部の長手方向と
略平行になるようにし、その新設屋根の山部を前記支持
具にて支持固着し、谷部面を支持杆にて支持のみして葺
成した補修屋根としたことにより、老朽化した既設スレ
ート屋根を撤去せず、そのままにして、その上から容易
に新設屋根を葺成することができ、上記課題を解決し、
目的を達成したものである。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を第１図乃至第12図に基づいて説
明する。

Ａは既設スレート屋根であって、その断面が略サインカ
ーブ状の波形に形成されている。該既設スレート屋根Ａ
の断面の中立軸ｃ−ｃ（第２図参照）より上側を弧状山
部１とし、下側を弧状谷部２と称する。また、その既設
スレート屋根Ａは、母屋等の構造材３上に葺成されてい
る。その既設スレート屋根Ａの構成する単位スレート屋
根材は、実際には、長手方向が約１間（約1.8m）のもの
が、水下側より、水上側に向かって順次重合されつつ葺
成されている。具体的には、その単位スレート屋根材の
端部の重合箇所が、構造材３の直上になるようにしてボ
ルト等にて構造材３に固着されている。さらに、そのス
レート屋根材の弧状谷部２自体の長手方向と、構造材３
とは略直交するようにして葺成されており、その弧状谷
部２自体の長手方向が、既設スレート屋根Ａの勾配方向
となっているのが一般である。また、場合によっては、
その弧状谷部２自体の長手方向と、構造材３とがある角
度（例えば、約30度等）をなすこともある。また、既設
スレート屋根Ａの勾配は、10分の１以上のこともある
が、約100分の３内外のこともある。

Ｂは支持具であって、上面部４の両端（第２図において
左右方向）より下方に脚部5,5が形成され、該両脚部5,5
の下端より谷形取付部6,6が形成されている。その両脚
部5,5は、傾斜状又は垂直状に形成されている。その両
谷形取付部6,6は、前記既設スレート屋根Ａの弧状谷部
２箇所に載置されるものであって、該弧状谷部２と略同
等の形状をなしている。具体的には、その弧状谷部２と
同じ形状の凹形円弧状に形成されたり（第２図参照）、
又はその谷形取付部６が水平状片と傾斜状片とで略有底
Ｖ字形状の谷形として形成されることもある（第６図参
照）。上面部４にはボルト又は剣先ボルト等の螺子杆７
が設けられている。両脚部5,5の略中間箇所には、係止
部5a,5aが形成されている。該係止部5a,5aは支持具Ｂの
幅方向（第６図左右方向）外側に突出され、上方を開口
側として形成されたものであり、脚部５の幅方向（第５
図手前と後部側方向）に２箇所に形成されたり、或いは
脚部５の幅方向に比較的長目に形成されることもある
（第９図参照）。

その既設スレート屋根Ａの弧状谷部２箇所上に、支持具
Ｂの谷形取付部6,6が載置され、且つ載置箇所が構造材
３の略直上となるようにして、谷形取付部6,6がボル
ト，ドリルビス等の固着具８にて構造材３に固着されて
いる。

その谷形取付部６と既設スレート屋根Ａの弧状谷部２と
の間には、合成樹脂，ゴム等のクッション材等が介在さ
れて、取付箇所が水密的に葺成施工されることもある。

９は支持杆であって、長手方向に比較的長尺に形成さ
れ、支持頂面9aの幅方向両端より垂下片9b、9bが形成さ
れ、その長手方向の両端には係止片9c,9cが形成されて
いる。該係止片9c,9cは、前記支持具Ｂの脚部５に形成
した係止部5aに係合可能であって、第２図に示すよう
に、支持杆９の長手方向両端において支持頂面9aの幅方
向両端より垂下状片として形成されている。また、支持
頂面9aの長手方向の両端より垂下状に屈曲形成されるこ
ともある（第10図参照）。

前記構造材３の略直上で隣接する支持具B,B間に支持杆
９が架設されている。具体的には、隣接する支持具B,B
の対向する脚部5,5の係止部5a,5aに、支持杆９の長手方
向両端の係止片9c,9cが挿入係止されている。

Ｃは新設屋根であって、各種のタイプのものが存在し、
山部10と底部11とが交互に形成されている。その第１実
施例の新設屋根Ｃは、第１図，第２図，第４図等に示す
ように、両端部に被嵌合部10a,10aを有した新設屋根板C
₁とキャップ材C₂にて形成されている。また、新設屋根
Ｃの他の実施例では、第11図に示すように、新設屋根板
C₁のみにて構成され、下馳部10b,上馳部10c各々が新設
屋根板C₁の端部に設けられ、隣接する新設屋根板C₁,C₁
の下馳部10bに、上馳部10cが馳締されて施工される馳締
タイプのものであったり、或いは、第12図に示すよう
に、新設屋根板C₁のみにて構成され、該新設屋根板C₁,C
₁の山部10,10同士が重合されるタイプのもの等が存在し
ている。

そして、支持具B,B,…或いは、支持具B,B,…及び支持杆
9,9,…上には、新設屋根Ｃが葺成される。第２図に示す
ように、該新設屋根Ｃを構成する新設屋根板C₁が嵌合タ
イプのときには、支持具Ｂに吊子12が設けられ、該吊子
12に隣接する新設屋根板C₁,C₁の被嵌合部10a,10aが対向
するように載置され、吊子12の舌片12a,12aがその被嵌
合部10a,10aに巻着されてキャップ材C₂が被嵌され、新
設屋根Ｃが施工されている。

また、第11図に示すように、新設屋根Ｃを構成する新設
屋根板C₁が馳締タイプのときには、支持具Ｂに馳締用吊
子13を設けて、該馳締用吊子13に隣接する新設屋根板
C₁,C₁の下馳部10b、上馳部10cを馳締して新設屋根Ｃが
施工されている。

さらに、第12図に示すように、重合タイプのときには、
支持具Ｂ上にて、隣接する新設屋根板C₁,C₁の山部10,10
を重合させ、該山部10,10の頂面10d,10dに支持具Ｂの螺
子杆７が貫通されて固着されている。新設屋根Ｃの底部
11は、支持杆９の支持頂面9a上に載置されている。実際
には、数mm乃至数cmの間隔をおいて葺成されるのが一般
である。

また、図示しないが、その新設屋根Ｃと支持杆９との間
に、木毛板等の下地材が必要に応じて敷設される。

〔考案の効果〕

本考案においては、上面部４の両端より脚部5,5を形成
し、該両脚部5,5の下端より、谷形取付部6,6を形成した
支持具Ｂの両谷形取付部6,6それぞれを、既設スレート
屋根Ａの弧状谷部２の長手方向と略直交するように設置
した構造材３の直上位置の前記弧状谷部２上に載置し、
且つ両谷形取付部6,6それぞれを前記弧状谷部２及び構
造材３に固着具８にて固着し、隣接する支持具B,B間の
対向する脚部5,5の高さ方向中間位置の係止部5a,5aに、
支持杆９両端に設けた係止片9c,9cを係合し、山部10と
底部11からなる新設屋根Ｃの長手方向を前記弧状谷部２
の長手方向と略平行になるようにし、その親設屋根Ｃの
山部10を前記支持具Ｂにて支持固着し、底部11面を支持
杆９にて支持のみして葺成した補修屋根としたことによ
り、第１に既設スレート屋根Ａの老朽化が進んでいて
も、その既設スレート屋根Ａを破損させることなく、こ
の上に比較的強固に新設屋根Ｃを葺成でき、第２に撤去
処理の必要がなく工場等が稼動状態のまま補修（改修）
ができ、補修施工効率が極めて良好にでき、第３に極め
て強固に葺成でき、第４に支持杆の取付は極めて簡易且
つ迅速にでき、第５に断熱効果が優れ，結露発生の防止
等ができ、第６に既設スレート屋根Ａとは異なった新設
屋根Ｃを敷設することで、屋根イメージを従来とは全く
変わったものにできる等の効果を奏する。

まず、本考案では、既設スレート屋根Ａの老朽化が進ん
で、且つ既設スレート屋根Ａが脆い状態になったとして
も、その改修（補修屋根）の取付基礎箇所は、既設スレ
ート屋根Ａの弧状谷部２箇所で、且つ弧状谷部２及び構
造材３に固着具８にて固着されており、その取付箇所で
は、その支持具Ｂの谷形取付部6,6が弧状谷部２の波形
に沿うようにして載置されており、これがため、脆い状
態でも、特に垂直荷重に対しては、その既設スレート屋
根Ａの単位スレート屋根材を極めて破損しにくく強固に
施工できる効果がある。

以上のように、極めて脆くなった老朽化した既設スレー
ト屋根Ａをそのままにしつつ、新設屋根Ｃを簡易且つ迅
速に施工でき、しかも、その老朽化した既設スレート屋
根Ａの破損を防止した所に最大の効果がある。

また、本考案では、支持具Ｂの両谷形取付部6,6それぞ
れを構造材３の直上位置の弧状谷部２上に載置し、両谷
形取付部6,6それぞれを前記弧状谷部２及び構造材３に
固着具８にて固着し、新設屋根Ｃの山部10は前記支持具
Ｂにて支持固着し、底部11面を支持杆９にて支持のみし
て葺成したことにより、該支持杆９は新たな母屋的な役
割をなすため、底部11が広幅であっても、強度的に強固
なものにできる利点がある。すなわち、山部10は支持具
Ｂにて支持し、底部11面は支持杆９にて支持するとい
う，それぞれ独立して支持する構成であり、強固に葺成
できる。

また、隣接する支持具B,B間の対向する脚部5,5の高さ方
向中間位置の係止部5a,5aに、支持杆９の両端の係止片9
c,9cを係合したので、簡易且つ迅速にできる。即ち、そ
の支持杆９の取付は固着でもなくとも、底部11を支持す
るには十分に対応でき、その施工性が好適である。

また、本考案では、新設屋根Ｃの長手方向を前記弧状谷
部２の長手方向と略平行になるようにしたので、すなわ
ち、両者の水下，水上方向が同一となり、雨仕舞として
の傾斜を簡易にできる利点がある。

また、既設スレート屋根Ａの上に新設屋根Ｃを敷設する
ことで、その間に空隙部が形成されると、これが断熱層
の役割をなし、断熱性能を向上させ、結露発生を最小限
にできる効果も奏する。

さらに、本考案では、既設スレート屋根Ａをそのままに
して補修（改修）するため、建築物（工場，会社，体育
館等）の機能を損なうことなく施工できる利点も当然に
奏する。

また、新設屋根Ｃは、種々のものが選択でき、屋根イメ
ージを従来とは全く変わったものにできることの効果も
大きい。

以上は、屋根についての説明であるが、急勾配等の既設
スレート壁について施工しても同様の効果を奏するもの
である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すものであって、その第１図
は本考案の略示平面図、第２図は第１図の縦断正面図、
第３図は第１図の縦断側面図、第４図は本考案の一部切
除した斜視図、第５図は支持具の斜視図、第６図は支持
具の正面図、第７図は支持杆の正面図、第８図は支持杆
の別の実施例の一部斜視図、第９図は支持具の別の実施
例の一部斜視図、第10図は支持杆のさらに別の実施例の
一部斜視図、第11図，第12図は本考案の別の実施例の縦
断正面図である。Ａ…既設スレート屋根、２…弧状谷部、３…構造材、Ｂ…支持具、４…上面部、５…脚部、 5a…係止部、６…谷形取付部、９…支持杆、9c…係止片、 10…山部、11…底部、Ｃ…新設屋根。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】上面部の両端より脚部を形成し、該両脚部
の下端より、谷形取付部を形成した支持具の両谷形取付
部それぞれを、既設スレート屋根の弧状谷部の長手方向
と略直交するように設置した構造材の直上位置の弧状谷
部上に載置し、且つ両谷形取付部それぞれを前記弧状谷
部及び構造材に固着具にて固着し、隣接する支持具間の
対向する脚部の高さ方向中間位置の係止部に、支持杆両
端に設けた係止片を係合し、山部と底部からなる新設屋
根の長手方向を前記弧状谷部の長手方向と略平行になる
ようにし、その新設屋根の山部を前記支持具にて支持固
着し、谷部面を支持杆にて支持のみして葺成したことを
特徴とする補修屋根。