JPH065013Y2 - スライディングノズルプレートのガス洩れ防止構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野： 本考案は、スライディングノズルプレートのノズル閉塞
をガス吹込により防止するに際し、この吹込ガスの洩れ
を効果的に防止する構造に係るものである。

従来の技術： 取鍋、タンディッシュ等の溶融金属容器の底部に設けら
れるスライディングノズルプレート（以下、「ＳＮプレ
ート」と称する。）は、溶融金属の流量制御を直接的に
行う重要な部材である。

近年、鋼の品質を向上させる手段として、鋼中介在物の
除去、長時間の連続鋳造等が常態となり、ＳＮプレート
に対する操業条件は一層苛酷になっている。特にアルミ
キルド鋼、アルミンシリコンキルド鋼等の鋼種は、鋳造
中に上部ノズルおよびＳＮプレートのノズル孔に鋼中の
アルミナ介在物が付着成長し、ついにはノズル孔を閉塞
させるに至る。

ノズル孔内においてアルミナ介在物が付着成長すること
を防止する手段として、ノズル孔に不活性ガスを噴出さ
せることが広く行われ、この不活性吹込ガスによりノズ
ル孔に付着するアルミナ介在物を離脱させてアルミナの
付着防止を図っている。

不活性ガスの吹込手段として種種のものがあり、緻密質
耐火物からなるＳＮプレートに多孔質耐火物を組込んだ
形態のものが特公昭４９−２１０１６号公報、実開昭５
３−６７８２０号公報等で提案されている。

また、多孔質耐火物の代りに緻密質耐火物のリングを組
込み、各リングの面又は面間に貫通隙間を設けた状態で
周囲を鉄皮で拘束してノズル孔にガスを吹込む構造のＳ
Ｎプレートが実公昭６２−４３６５５号公報で提案され
ている。

発明が解決しようとする課題： ＳＮプレートは溶融金属に長時間接すると、ノズル孔を
中心としてＳＮプレートの表裏に達するような縦き裂が
発生する。これは１５５０〜１６００℃の溶融金属がノ
ズル孔を通過する際にＳＮプレート内部に熱応力が生起
し、この熱応力がＳＮプレート自体の組織強度をはるか
に上まわる結果で、き裂の発生が避けられない。

特公昭４９−２１０１６号公報、実開昭５３−６７８２
０号公報で提案されるような、ＳＮプレートに多孔質耐
火物を組込んだ構造のものも上記現象については例外で
はない。

これらの使用後の状況をみると、ノズル孔を中心として
放射状又は縦方向のき裂が同様に発生している。このこ
とは、不活性ガスの吹込による冷却効果があっても、多
孔質耐火物の組織強度の低下と相殺し合うものと考えら
れる。

使用中に生ずる熱応力に起因するき裂はＳＮプレート内
の強度の弱い部分に伸展するので、特に緻密質耐火物内
の不活性ガスを導入する貫通孔部分にもき裂が多く発生
している。この不活性ガスを導入するＳＮプレート内の
貫通部分にもき裂が伸展する現象は、ＳＮプレートの使
用中に不活性ガスが各き裂発生部から洩れ、ガス洩れを
一層増大させている。

実公昭６２−４３６５５号公報に記載の技術は、貫通間
隙を形成するガス非透過性耐火物リングの組合せをリン
グ外周に施した焼締め鉄皮で拘束しているが、使用中に
これら耐火物リング内部に伝達する熱による膨張は、鉄
皮の膨張率の方が耐火物のそれよりも大で使用中に耐火
物リングに対して鉄皮の弛みが生じ、その部分から不活
性ガスの洩れが生じていた。

従って、これらの存来技術による限りは、不活性ガス吹
込構造を含むＳＮプレートは使用中に不活性ガスが洩れ
るという点が避けられなかった。

課題を解決するための手段； 本考案では、中心部にノズル孔をもつ多孔質耐火物の外
周域にメタルケースによりガスプール室を形成してい
る。そして、このメタルケースの外周を低気孔性のモル
タルにより拘束し、使用時の伝達熱の上下に関係なく、
メタルケースと各耐火物との層間剥離を防止し、熱間に
おける不活性ガスの洩れを防止した。すなわち、 本考案のスライディングノズルプレートのガス洩れ防止
構造は、 中心部にノズル孔を設けた多孔質耐火物を介して不活性
ガスを吹込むスライディングノズルプレートにおいて、
ノズル孔と同心円状にガスプール室を形成し、 このガスプール室の外径を限定し、かつガス誘導、ガス
に対する遮蔽に機能するメタルケースを設け、 上記メタルケースの外周を包囲する低気孔性モルタルを
施工した、 ことを特徴としている。

さらに、上記低気孔性モルタルを、ＳＮプレートを貫通
する不活性ガス導入管の貫通部分周囲にも施工した。

考案の作用と効果： 本考案はこのような構成をもつから、使用中の伝達熱の
上昇によりメタルケースが膨張しても、メタルケースの
熱膨張率よりも小さい熱膨張率をもつ低気孔性モルタル
により拘束される。そして、メタルケースの膨張は低気
孔性モルタルの組織の融通性により吸収され、メタルケ
ースと低気孔性モルタルとの接合面には層間剥離が生じ
ない。一方メタルケース内面側はガスプレート室となっ
ているからメタルケースの熱膨張による影響はない。こ
の状態はガス導入管を包囲する低気孔性モルタル部分に
ついても同様である。

メタルケースは吹込まれる不活性ガスをガスプール室内
で均圧となるように誘導し、ガスプール室からのガス洩
れを遮蔽するとともに、ノズル孔を設けた多孔質耐火物
を補強している。

従って、ノズル孔周縁部並びにガス導入管の貫通部にお
けるき裂の発生は効果的に抑止されるようになった。

実施例： 以下、本考案の１実施例を図面により説明する。

外周に焼嵌リング８が嵌着され、中心にノズル孔２をも
つＳＮプレート（上プレート）１が第１図に示されてい
る。上記ノズル孔２はＳＮプレート１の中心部に組込ん
だ円筒状の多孔質耐火物３の下方寄り部分は上端面より
小径として小径部３′を形成し、下端部はさらに細径と
して細径部３″を形成してある。この多孔質耐火物３は
見掛気孔率が１０〜５０％程度であることが好ましい。

次に多孔質耐火物の小径部３′を取巻く環体のメタルケ
ース５を組付ける。メタルケース５の下端には内向フラ
ンジを付設し、この内向フランジの内周縁は上記多孔質
耐火物３の細径部３″に対し、僅かな間隙をおいて、対
面している。このようにして多孔質耐火物３の小径部
３′の外周面とメタルケース５の内周面とによりガスプ
ール室４が形成される。このメタルケース５には、ガス
プール室４に不活性ガスを送込むガス導入管７が連結さ
れ、このガス導入管７の他端はＳＮプレート１外へ導か
れ、周知の不活性ガス圧送装置に連結されている。

さらに、多孔質耐火物３、メタルケース５およびガス導
入管７には、ＳＮプレート１との間にそれぞれ間隙部を
おいて設置してあり、各間隙部に低気孔性モルタル６を
充填する。

本考案に用いる低気孔性モルタルは特定のものとする。
従来用いられているケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウ
ム、エチルシリケート類をバインダーにすると、熱負荷
により強度が低下するとともに収縮し、気孔率も増加し
熱間でのガス洩れが大きくなる。本考案では、アルミナ
微粉にアルコキシラン類の加水分解物を主成分とする有
機ケイ素組成物をバインダーとするモルタルを使用す
る。このモルタルは見掛気孔率が0.1〜10％の低気孔性
となり、前記した作用を果すのに貢献する。

なお、図はノズルとの組合せにおいて凸形のものを示し
たが、凹形であっても同じ構成とできることはいうまで
もない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のＳＮプレート（上プレート）における
１実施例の断面説明図である。 １……ＳＮプレート、２……ノズル孔 ３……多孔質耐火物、４……ガスプール室 ５……メタルケース ６……低気孔性モルタル ７……ガス導入管、８……焼嵌めリング

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 清水 勇 兵庫県高砂市荒井町新浜１丁目３番１号 ハリマセラミック株式会社内 (72)考案者 五藤 道博 兵庫県高砂市荒井町新浜１丁目３番１号 ハリマセラミック株式会社内

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】中心部にノズル孔を設けた多孔質耐火物を
   介して不活性ガスを吹込むスライディングノズルプレー
   トにおいて、 多孔質耐火物の外周に沿って、ノズル孔と同心円状のガ
   スプール室を形成し、 このガスプール室の外径を限定するメタルケースを設
   け、 上記メタルケースの外周を包囲する低気孔性モルタルを
   施工した、 ことを特徴とするスライディングノズルプレートのガス
   洩れ防止構造。
2. 【請求項２】スライディングノズルプレート中に貫設さ
   れ、ガスプール室に連通するガス導入管を包囲する部分
   に低気孔性モルタルを充填施工したことを特徴とする請
   求項第１項に記載のスライディングノズルプレートのガ
   ス洩れ防止構造。