JPH0649502Y2 - リヤスポイラ取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 a.産業上の利用分野 本考案は、自動車のトランクリッドに取付けられるリヤ
スポイラの取付構造に関するものである。

b.従来の技術 トランクリッドにリヤスポイラを取付けることにより、
風圧にて車体を下方へ押さえ込んで安定を得ると共に駆
動力や制動力を増すようにした自動車が従来より知られ
ている。

ところで、従来では、トランクリッドにおけるリヤスポ
イラの取付構造として第３図又は第４図に示す如き構造
が採用されていた。第３図及び第４図において、１はト
ランクリッドアウターパネル２及びトランクリッドイン
ナーパネル３を閉断面形状に結合して成るトランクリッ
ド、４は車体のサイドボディー、５は発泡ウレタン等の
樹脂から成るリヤスポイラ、６は下端にトランクリッド
クッションゴム７を備えたねじ部材である。

第３図に示す取付構造は、トランクリッドインナーパネ
ル３を屈曲成形してその一部分3aをトランクリッドアウ
ターパネル２に接合させ、この接合部に形成されたボル
ト挿通孔10内にトランクリッドインナーパネル３側から
ボルト８を挿入して、リヤスポイラ５内に埋設されたナ
ット９にねじ込むことによって、リヤスポイラ５をトラ
ンクリッドアウターパネル２に取付けるようにしたもの
である。また、第４図に示す取付構造は、トランクリッ
ドインナーパネル３に形成された作業用孔（締め付け工
具用孔）11を利用して、トランクリッドアウターパネル
２に形成されたボルト挿通孔12はこのパネル２の裏面側
からボルト８を挿入してナット９にねじ込むことによ
り、リヤスポイラ５を前記パネル２に取付けると共に、
外観を損じないように前記ボルト８の頭部8aに対向する
作業用孔11をキャップ13にて塞ぐようにしたものであ
る。また、上述の２つの取付構造の何れの場合にも、ト
ランクリッドクッションゴム７を下端に備えたねじ部材
６は、トランクリッドインナーパネル３のうちボルト８
から偏倚した箇所に形成されたトランクリッドクッショ
ンゴム取付用の開口14にねじ込まれて取付けられ、トラ
ンクリッド１の閉時にトランクリッドクッションゴム７
がサイドボディー４に当接するように構成されている。

c.考案が解決しようとする課題 しかしながら、第３図の取付構造では、ボルト８の頭部
8aがトランクリッドインナーパネル３の裏面側に露出す
るため、トランクリッド１の開時にこの頭部8aが外部に
露呈され、外観を損ねるといった問題点がある。さら
に、トランクリッドインナーパネル３を通常よりも複雑
な形状に屈曲成形する必要があり、その成形型が複雑に
なるといった不都合もある。

また、第４図の取付構造では、作業用孔11を塞ぐための
キャップ13を必要とするため、部品点数が多くなる上
に、組付工数も多くなるといった問題点がある。

本考案は、このような種々の実状に鑑みてなされたもの
であって、その目的は、外観を損ねず、トランクリッド
インナーパネルの形状が簡素で済み、部品点数並びに組
付け工数の削減を図ることができるのみならず、強度の
向上を図ることができると共に、特に高速走行時にのみ
充分なスポイラ効果（車体を下方へ押しつける効果）を
発揮し得るような構成のリヤスポイラ取付構造を提供す
ることにある。

d.課題を解決するための手段 上述の目的を達成するめに、本考案においては、トラン
クリッドアウターパネルに形成されるリヤスポイラ取付
用のボルト挿通孔と、トランクリッドインナーパネルに
形成されるトランクリッドクッション部材取付用の開口
とを互いに対応する位置に配設し、リヤスポイラ取付用
ボルトの頭部を前記トランクリッドアウターパネルの内
面側に配置すると共に、トランクリッドクッション部材
を下端に備えたねじ部材を前記開口に螺合させてその上
端面を前記ボルトの頭部に対して間隔を隔てて対応配置
するようにしている。

以下、本考案の一実施例に付き第１図及び第２図を参照
して説明する。なお、第１図及び第２図において第３図
及び第４図と同様の部分には同一の符号を付すこととす
る。

第１図は跳ね上げ式のトランクリッド１を具備する自動
車15の後部を示すものであって、この自動車15のトラン
クリッド１の上面には左右のほぼ全長に亘って延びるリ
ヤスポイラ５が取付けられている。このトランクリッド
１は、第２図に示すように、トランクリッドアウターパ
ネル２及びトランクリッドインナーパネル３を閉断面形
状に互いに結合して成るものであり、トランクリッドア
ウターパネル２にはリヤスポイラ取付用のボルト挿通孔
12が形成される一方、トランクリッドインナーパネル３
にはトランクリッドクッションゴム取付用の開口14が形
成されている。そして、上述のボルト挿通孔12の中心軸
C₁と開口14の中心軸C₂とが同一線上に配設されるように
構成され、これらの中心軸C₁及びC₂はトランクリッド１
の閉時（第２図に示す状態）には垂直方向にほぼ一致す
るように構成されている。

しかして、ボルト挿通孔12を利用してトランクリッドア
ウターパネル２の上面にリヤスポイラ５が取付けられる
と共に、開口14を利用してトランクリッドインナーパネ
ル３にトランクリッドクッションゴム７を下端に備えた
ねじ部材６か取付けられている。

ここで、リヤスポイラ５及びねじ部材６の取付作業に付
き述べると、まず、リヤスポイラ５をトランクリッドア
ウターパネル２の上面に載置した状態の下でボルト８の
ねじ部8bを前記開口14及びボルト挿通孔12を順次通して
リヤスポイラ５内のナット９にねじ込むことによりリヤ
スポイラ５の取付けを行なう。なお、ボルト８の締め付
け工具による作業は前記開口14を利用して行なう。次い
で、ねじ部材６を前記開口14にねじ込むことにより、こ
のねじ部材６を介してトランクリッドクッションゴム７
をトランクリッドインナーパネル３に取付け、これによ
りトランクリッドクッションゴム７をトランクリッド１
から下方へ突出した位置に配置せしめる。この際、ねじ
部材６の上端面6aは前記ボルト８の頭部8aに対して間隔
を隔てた位置に配置し、ねじ部材６とボルト８とを互い
に離間させる。

このような構成のリヤスポイラ取付構造によれば、ボル
ト８の頭部8aがトランクリッド１の外部に露出されない
ため外観を損なうことがなく、しかもトランクリッドイ
ンナーパネル３の形状が簡素で済み接合部形成のための
特別な屈曲成形を行なわずに済む上に、ねじ部材６が開
口14のキャップを兼ねているのでキャップを用いる必要
がなく部品点数並びに組付工数の削減を図ることができ
る。

また、リヤスポイラ５の取付部の直下にトランクリッド
クッションゴム７が配置され、リヤスポイラ５（重量
物）の真下で荷重を支える構造となるため、強度的に有
利となる。さらに、ボルトとねじ部材６とが互いに離間
されているので、自動車15の低速走行時（車体を下方へ
押しつけて駆動力や制動力を増大せしめる必要のない
時）にはリヤスポイラ５を介してトランクリッド１に付
与される下方への押しつけ力がトランクリッド１の弾性
によって或る程度吸収され、下方への押しつけ効果があ
まり生じない。なお、自動車15の高速走行時にはリヤス
ポイラ５に作用する風圧がトランクリッド1,トランクリ
ッドクッション７を介してサイドボディー４に伝達さ
れ、充分な押しつけ力が生じ、車体の安定性の向上、並
びに駆動力及び制動力の増大が図られる。

以上、本考案の一実施例に付き述べたが、本考案は、既
述の実施例に限定されるものではなく、本考案の技術的
思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。

例えば、リヤスポイラ５のトランクリッドアウターパネ
ル２への取付けはボルト８及びナット９による締付手段
に限ることなく、ボルト８をリヤスポイラ５に形成した
ねじ孔にねじ込むことにより締付け固定するようにして
もよい。また、既述の実施例ではトランクリッドクッシ
ョンゴム７をトランクリッドクッション部材とし用いる
ようにしたが、これに限らず、コイルスプリングやパッ
ド等をトランクリッドクッション部材として用いてもよ
い。

e.考案の効果 以上の如く、本考案によれば、リヤスポイラ取付用のボ
ルト挿通孔とトランクリッドクッション部材取付用の開
口とを互いに対応する位置に配設し、トランクリッドク
ッション部材を下端に備えたねじ部材を前記開口に螺合
させるようにしたので、前記開口をリヤスポイラのボル
ト締め作業用孔として利用できると共に、前記ねじ部材
がこの開口を塞ぐためのキャップとしての機能を兼ねる
こととなり、従って、部品点数並びに組付工数の削減を
図ることができる。さらに、リヤスポイラ取付用のボル
トは外部に露出しないため、外観を損ねることがなく、
またトランクリッドの形状も複雑にする必要がなく簡素
なものとすることができる。その上、リヤスポイラの取
付部の真下にトランクリッドクッションゴムが配置され
ることとなるので、重量物たるリヤスポイラ（車両走行
時に風圧を受ける）の真下で荷重を支える理想的な構造
となり、強度的に有利となる。

また、本考案によれば、リヤスポイラ取付用のボルトと
トランクリッドクッション部材を下端に備えたねじ部材
とを互いに離間させるようにしたので、低速走行時には
トランクリッドの弾性によってリヤスポイラの効果（車
体を下方に押しつける効果）はあまり発揮されず、良好
な安定性等が要求される高速走行時にリヤスポイラの効
果が充分に発揮されることとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の一実施例を示すものであっ
て、第１図は自動車の後部の斜視図、第２図は第１図に
おけるII-II線断面図、第３図及び第４図は従来のリヤ
スポイラ取付構造をそれぞれ示す第２図と同様の断面図
である。 １……トランクリッド、 ２……トランクリッドアウターパネル、 ３……トランクリッドインナーパネル、 ５……リヤスポイラ、６……ねじ部材、 6a……上端面、 ７……トランクリッドクッションゴム、 ８……ボルト、8a……頭部、 ９……ナット、12……ボルト挿通孔、 14……開口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】トランクリッドアウターパネルに形成され
   るリヤスポイラ取付用のボルト挿通孔と、トランクリッ
   ドインナーパネルに形成されるトランクリッドクッショ
   ン部材取付用の開口とを互いに対応する位置に配設し、
   リヤスポイラ取付用ボルトの頭部を前記トランクリッド
   アウターパネルの内面側に配置すると共に、トランクリ
   ッドクッション部材を下端に備えたねじ部材を前記開口
   に螺合させてその上端面を前記ボルトの頭部に対して間
   隔を隔てて対応配置したことを特徴とするリヤスポイラ
   取付構造。