JPH0649295B2 - 粉体成形用離型剤及びそれを用いた成形品の製造方法 - Google Patents

粉体成形用離型剤及びそれを用いた成形品の製造方法

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JPH0649295B2
JPH0649295B2 JP691890A JP691890A JPH0649295B2 JP H0649295 B2 JPH0649295 B2 JP H0649295B2 JP 691890 A JP691890 A JP 691890A JP 691890 A JP691890 A JP 691890A JP H0649295 B2 JPH0649295 B2 JP H0649295B2
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優 安藤
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は粉体成形用離型剤及びそれを用いた成形品の製
造方法に関する。更に詳しくは、側鎖にメチル基もしく
は1〜20の炭素数を持つフツ素原子含有置換基を有す
るシリル基を有し、又は末端にメチル基もしくは1〜2
0の炭素数を持つフツ素原子含有置換基を有する(ポ
リ)ジメチルシロキサニル基(ここに「(ポリ)ジメチ
ルシロキサニル基」はジメチルシロキサニル基又はポリ
ジメチルシロキサニル基を意味する。以下同じ。)を有
する重合体を含む粉体成形用離型剤及びそれを用いた成
形品の製造方法に関する。
〔従来の技術〕
近時、粉末の合成樹脂を使用する各種成形法、塗装法が
開発されており、その代表的なものとして回転成形法、
スラツシユ成形法、流動浸漬塗装法、静電塗装法があ
る。これらの成形法に共通した特徴として模様の再現性
が非常に良好であることがあげられる。それゆえ、成形
の用いられる金型の形状は実に複雑でありかつ微細な凹
凸部をもつている。ところが、このような金型を使用し
た成形品は、金型が複雑な形状ゆえ剥がしにくく、微細
な凹凸部をもつているためアンカーのごとく成形品が金
型に食い込み容易に金型から剥がすことができない状態
にある。そこで、金型と成形品との界面に滑性をもたせ
る方法が従来用いられており、成形材料内部に添加する
内部滑剤と金型表面に塗布して使用する外部滑剤が離型
剤として広く使用されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
これら従来の粉体成形用離型剤は、いずれも成形金型と
成形品との界面に滑り性をもたせることにより改良を試
みている。しかし、成形材料内部に添加する内部滑剤
は、ハンドリング性に優れるが成形品表面への滲み出し
(ブリード)が激しい。そこで、塩化ビニル系樹脂等の
樹脂との相溶性を向上させブリードをおさえると今度は
滑剤が成形品内部にとりこまれてしまい金型と成形品と
の界面に滑剤が移行しないため滑剤としての効果がうす
れてしまう。次に、金型に離型剤を塗布し剥離強度を低
下させる外部滑剤は、金型にも成形品にも馴染みが悪く
金型と成形品との界面で反発するため、離型性には非常
に効果がある。しかし、成形品を金型から剥がした時
に、滑剤が非相溶性なため、成形品と金型の表面上では
じかれて液状もしくは固形状態で点在する。それゆえ、
成形後、成形品と金型を洗浄し表面から洗い落とす作業
が必要となつてくる。成形品は別として、金型を1回1
回洗浄していては、作業効率が悪くなるため、金型洗浄
はどうしても何工程かに1回という割合となる。ところ
が、連続作用していると離型剤の酸化および/または分
解が起こり金型の鏡面がしだいにまばらに白濁してく
る。それが更に進むと金型の微細な凹凸部を埋めてしま
う。粉体成形は金型の模様を忠実に再現するため、凹凸
部を埋めてしまうことはもとより、白濁した部分もその
ように再現してしまうという問題点があつた。
本発明の目的は前記従来公知の粉体成形用離型剤の持つ
ている種々の欠点がなく、さらにこれらよりは膜表面の
接触角が大きく、良好な離型性を有する溶剤揮発形の重
合体を用いた粉体成形用離型剤及びこれを用いた成形品
の製造方法に提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、つぎの一般式(I) (ただし、式中、Xは水素原子またはメチル基、kは0
〜5の整数、lは1〜3の整数、mは1〜3の整数、n
は0〜550の整数を表わし、Yはメチル基または1〜
20の炭素数を有するフツ素原子含有置換基を表わ
す。) で示される単量体Aの一種または二種以上とこれらと共
重合し得るビニル重合性単量体Bの一種または二種以上
とからなる共重合体ABを必須成分として含有する粉体
成形用離型剤及びこれを用いた成形品の製造方法であ
る。
本発明の粉体成形用離型剤において、その必須成分とし
て、上記(I)にて表わされる単量体Aの一種または二種
以上とこれらと共重合可能なビニル重合性単量体Bの一
種または二種以上との共重合体ABを使用している。こ
の共重合体は重合された単量体Aを共重合体ABに対し
て好ましくは2〜50重量%、更に好ましくは5〜35
重量%の範囲で含有する。単量体Bとしてはアルキル基
の炭素数が1〜8個のアルキルアクリレート又はアルキ
ルメタアクリレートの一種または二種以上が共重合体A
Bに対し25〜98重量%、好ましくはは40〜95重
量%の範囲で重合されて含まれているのが望ましい。ま
た、この共重合体ABの一種または二種以上を必要に応
じて併用しても良い。
前記共重合体ABを得るための単量体Aは、前記の式
(I)にて表される、分子内に(ポリ)ジメチルシロキサ
ニル基(n=1以上)またはシリル基(n=0)を有す
る不飽和モノエステルである。式(I)中、n=0〜55
0としているのは、550より大きくなると、重合性な
いし共重合性が低下し、均一に被膜化し得る共重合体A
Bを得にくくなるためである。
また、原料入手の容易性、機能の効果的な発現および合
成の容易性から、式(I)中、k=0〜5、l=1〜3で
あるのが望ましい。さらに、シロキサン結合している
(ポリ)ジメチルシロキサニル基(n≧1のとき)また
はYで示される基(n=0のとき)の結合数は1本でも
充分であり、複数(3本以下)でもよい。
上記の一般式(I)にて示される単量体Aは具体的化合物
名をあげれば、Yがメチル基であるものとして(メタ)
アクリル酸−3−(トリメチルシリル)プロピル、(メ
タ)アクリル酸−3−〔ジメチル(トリメチルシロキサ
ニル)シリル〕プロピル並びにn=550までの(メ
タ)アクリル酸ポリジメチルシロキサニルメチル、(メ
タ)アクリル酸−2−(ポリジメチルシロキサニル)エ
チル、(メタ)アクリル酸−3−(ポリジメチルシロキ
サニル)プロピル、α−(メタ)アクリロイル−ω−
(3−ポリジメチルシロキサニルプロピル)モノエチレ
ングリコール、α−(メタ)アクリロイル−ω−(3−
ポリジメチルシロキサニルプロピル)トリエチレングリ
コール、(メタ)アクリル酸−3−〔ビス(ポリジメチ
ルシロキシ)メチルシリル〕プロピル及び(メタ)アク
リル酸−3−〔トリス(ポリジメチルシロキシ)シリ
ル〕プロピルが、またYが1〜20の炭素数のフツ素原
子含有置換基であるものとして(メタ)アクリル酸−3
−〔ビス(2−ペンタフルオロエチルエチル)メチルシ
リル〕プロピル、(メタ)アクリル酸−3−〔トリス
{(2−ペンタフルオロエチルエチル)ジメチルシロキ
シ}シリル〕プロピル、並びにn=550までの(メ
タ)アクリル酸−3−〔ω−(2−ノナフルオロブチル
エチル)ポリジメチルシロキサニル〕プロピル、(メ
タ)アクリル酸−3−〔ω−(2−ヘプタデカフルオロ
オクチルエチル)ポリジメチルシロキサニル〕プロピ
ル、(メタ)アクリル酸−3−{ビス〔ω−(2−ペン
タトリアコンタフルオロヘプタデシルエチル)ポリジメ
チルシロキシ〕メチルシリル}プロピル、(メタ)アク
リル酸−3−{トリス〔ω−(2−ペンタトリアコンタ
フルオロヘプタデシルエチル)ポリジメチルシロキシ〕
シリル}プロピル及び(メタ)アクリル酸−3−(ω−
ヘプタフルオロフエニルポリジメチルシロキサニル)プ
ロピルを挙げられ、それぞれこれら具体例の一種又は二
種以上を用いることができる。なお、上記の(メタ)ア
クリル酸とはアクリル酸またはメタクリル酸のいずれで
あつてもよいことを、また(メタ)アクリロイルとはア
クリロイルまたはメタアクリロイルのいずれであつても
よいことを意味する。以下も同様である。
このような単量体Aは市販品として容易に入手可能なも
のであるが、その合成例を挙げれば、(メタ)アクリル
酸とアリルアルコール又はアルキレングリコールモノア
リルエーテルとのエステルをを得、これにトリメチルシ
リル化合物、1〜20の炭素数を有するフツ素原子含有
置換基を1〜3個有するシリル化合物、(ポリ)ジメチ
ルシロキサン化合物又は1〜20の炭素数を有するフツ
素原子含有置換基を末端に有する(ポリ)ジメチルシロ
キサン化合物を付加反応させる方法などがある。
また、共重合体ABを得るために上記の単量体Aととも
に用いられるビニル重合性単量体Bとしては、例えばメ
タクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸
2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチ
ルなどのメタクリル酸エステル類及びメタクリル酸;ア
クリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エ
チルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどの
アクリル酸エステル類及びアクリル酸;マレイン酸ジメ
チル、マレイン酸ジエチルなどのマレイン酸エステル類
及びマレイン酸;フマール酸ジメチル、フマール酸ジエ
チルなどのフマール酸エステル類及びフマール酸;スチ
レン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、塩化ビニ
ル、酢酸ビニル、ブタジエン、アクリルアミド、アクリ
ロニトリルなどの少なくとも一種が挙げられる。
このようなビニル重合性単量体Bは、離型被膜に用途目
的に応じた種々の性能を付与するための改質成分として
作用し、また単量体A単独に較べより高分子量の重合体
を得るのにも好都合な成分である。この単量体Bの使用
量は、上記性能と単量体Aに基づく離型効果とを勘案し
て、適宜の範囲に設定される。一般的には、共重合体A
B中に占める重合された単量体Bの割合が50〜98重
量%、好ましくは65〜95重量%であるのがよい、換
言すれば、共重合体ABを構成する単量体Aの割合が2
〜50重量%、好ましくは5〜35重量%であれば、こ
の単量体Aに基づく離型効果を充分に発揮できる。単量
体Aの割合が2重量%より小さいと離型効果が充分には
発現されないおそれがある。また50重量%より大きい
と樹脂との相溶性が悪くなつて、成形品からのブリード
が起つたり、金型に離型剤が残つてしまつたりするおそ
れがある。よつて上記範囲となるように単量体Aおよび
単量体Bの使用量を適宜設定するのが好ましい、また樹
脂との馴染みを良くし、金型に被膜化した離型剤を成形
時にすべて成形品側へ移行させ、金型側への残存をなく
すためには、さらには成形品側へ移行した離型剤がブリ
ードおよびブルームとして成形品上に現れないようにす
るためには、樹脂との相溶性を向上すべく重合された単
量体B中にアルキル基の炭素数が1〜8個のアルキル
(メタ)アクリレートの一種または二種以上が必ず含ま
れており、その含有量は、上記共重合体ABに対し25
〜98重量%、好ましくは40〜95重量%であること
が望ましい。この割合が25重量%より少ないと樹脂と
の良好な相溶性が得がたく、98重量%より大きいと、
成形品の離型効果を充分に発揮できないおそれがある。
そして、ここに用きられるアルキル基の炭素数が1〜8
個のアルキル(メタ)アクリレートの例としては、前記
単量体Bとして例示したアクリル酸エステル類、メタク
リル酸エステル類などがある。
共重合体ABは、上述の如き単量体Aと単量体Bとを、
ビニル重合開始剤の存在下、常法に準じて溶液重合、塊
状重合、乳化重合、懸濁重合などの各種方法で重合させ
ることにより、得ることができる。上記のビニル重合開
始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、トリフエ
ニルメチルアゾベンゼンのようなアゾ化合物、ベンゾイ
ルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなど
の過酸化物などが挙げられる。
上記の方法にて得られる共重合体ABの数平均分子量
は、一般に1,000〜300,000の範囲にあるのが望ましい。
分子量が低すぎては、使用に耐える金型表面での被膜の
形成が難しく、またあまり高すぎると被覆剤用ワニスと
したとき粘度が高くなるのを防ぐため、樹脂固型分を低
くする必要上から1回の塗装によつて薄い被膜しか得ら
れず、所望の厚さ以上の金型表面での乾燥被膜厚を得る
には数回の塗装を要するという不具合がでてくる。
本発明の粉体成形用離型剤は、上述の通り、通常共重合
体ABを有機溶剤に溶解させたワニスとして使用に供さ
れる。この点からいえば、前記重合法として特に溶液重
合法または塊状重合法を採用するのが望ましい。溶液重
合法では重合後の反応溶液をそのまま又は溶剤で希釈し
て使用に供することができ、また塊状重合法では重合後
の反応物に溶剤を加えて使用に供しうる。
使用する有機溶剤としては、キシレン、トルエンなどの
芳香族炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの
エステル系溶剤、ジオキサン、ジエチルエーテルなどの
エーテル系溶剤、ブチルアルコールなどのアルコール系
溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンな
どのケトン系溶剤の単独もしくはこれらの混合溶剤が挙
げられる。
有機溶剤の使用量は、ワニス中の共重合体ABの濃度が
通常0.5〜40重量%、特に1〜10重量%の範囲とな
るようにするのが望ましい。このときのワニスの粘度
は、被膜化が容易となる一般に10ポイズ/25℃以下
の範囲にあるのがよい。
このように構成される本発明の粉体成形用離型剤には、
必要に応じて二酸化チタンなどの顔料や染料などの着色
剤を配合してもよい。また、通常のタレ止め剤、色分け
防止剤、沈降防止剤、レベリング剤、消泡剤などを加え
ても差し支えない。
本発明の粉体成形用離型剤を用いて成形用金型の表面に
離型被膜を形成するには、たとえばワニスとしての上記
被覆剤を上記金型表面に適宜の手段で塗布したのち、常
温下ないし加熱下で乾燥して溶剤を揮散除去するだけで
よい。これにより表面張力の小さい滑り性の良好な離型
被膜が均一に形成される。
このように成形用金型の表面に本発明の粉体成形用離型
剤を塗布し、これを加熱し、これに粉体成形材料を付着
・溶融させ、冷却し、該金型から成形品を剥がすことに
より成形品を製造することができる。
ここに用いられる粉体成形用材料、すなわち成形品を得
るための樹脂としては可塑剤を含む軟質塩化ビニル系樹
脂が好ましい。この場合には塩化ビニルの重合体又は塩
化ビニルとこれに共重合可能な単量体との共重合体を使
用することができ、粒子径を大きくしかつポーラスにし
て可塑剤の吸収性を良好にするために、通常懸濁重合法
または塊状重合法によつて製造されたものが望ましい。
前記塩化ビニルに共重合可能な単量体としては、例えば
エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン−1、酢酸ビ
ニル、炭素数1〜12(C1-12)のアルキル基のジアル
キルマレイン酸エステル類、炭素数1〜12(C1-12
のアルキル基のジアルキルフマル酸エステル類、カプロ
ン酸、カプリル酸、安息香酸などのカルボン酸のビニル
エステル類、塩化ビニリデン、炭素数1〜16
(C1-16)のアルキル基のアルキルビニルエーテル類の
中から選ばれた1種類以上が好ましい。これらを塩化ビ
ニル100重量部に対して40重量部以下、好ましくは
30重量部以下添加して重合開始剤の存在下に共重合さ
せた共重合体が好ましい。
前記塩化ビニル系重合体に吸収せしめられる可塑剤は、
塩化ビニル系樹脂に用いられるものなら特に制限される
ものではないが、炭素原子数4〜13(C4-13)のアル
キル基を有するジアルキルフタレート、ジアルキルアジ
ペート、トリアルキルトリメリテート、ジアルキルセパ
ケート、ジアルキルアゼレート、アルキルベンジルフタ
レート、トリアルキルフオスフエート、アルキルアリル
フオスフエート及びポリエステル系可塑剤が使用でき
る。具体的にはフタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−
n−オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DO
P)、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸オクチルデシ
ル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、
イソフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−
2−エチルヘキシル(DOA)、アジピン酸ジ−n−デ
シル、アジピン酸ゾイソデシル、トリメリツト酸−トリ
−2−エチルヘキシル、トリメリツト酸−トリ−n−オ
クチル、トリメリツト酸−トリデシル、アゼライン酸−
2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸
ジ−2−エチルヘキシル、リン酸トリチブル、リン酸ト
リ−2−エチルヘキシル、リン酸−2−エチルヘキシル
ジフエニル、リン酸トリクレジル等が挙げられ、これら
の一種または二種以上を混合して使用することができ
る。その使用量は塩化ビニル系重合体100重量部に対
し20〜150重量部、好ましくは40〜130重量部
が良い。
また、上述の可塑剤を吸収せしめられた塩化ビニル系重
合体には粉体成形に悪影響を与えない範囲で、安定剤、
着色剤、滑剤、充填剤、二次可塑剤等の他の添加剤が添
加されてもよい。
粉体成形用樹脂組成物を得る手段としては、常法でよ
く、特に限定されず、加熱、冷却用のジヤケツト付きミ
キサー、ヘンシエルミキサー等を使用して行なうことが
できる。具体例を挙げれば、これらのミキサー内に塩化
ビニル系重合体、所定量の可塑剤、耐熱安定剤、滑剤、
顔料などをいれ、ジヤケツトに水蒸気を通しながら撹拌
しミキサー内の内容物の温度を約110〜130℃にま
で加熱する。該温度が約110〜130℃に達したら、
130℃を超えないように保温しながら10〜40分間
好ましくは10〜30分間撹拌をつづけ、可塑剤を樹脂
に充分吸収させる。混合機器の撹拌力や回転数及び羽根
の形状等の影響はあるものの130℃を超える加熱は通
常塩化ビニル系重合体をゲル化させてしまうため好まし
くない。反面、加熱温度が低いと可塑剤吸収速度が遅く
なり、作業能率が低下するとともに重合体に吸収されな
かつた可塑剤が樹脂粒子の表面に残り、得られた粉体成
形用樹脂組成物の粉体流動性を阻害するので好ましくな
い。従つて撹拌中の温度は110〜130℃、好ましく
は115〜125℃に保つようにするのが好ましい。次
に、ジヤケツトに水蒸気のかわりに冷却水を通し、ミキ
サー内の内容物を常温付近まで冷却する。最後にミキサ
ー内に所定量(通常樹脂100重量部に対して5〜20
重量部の塩化ビニル乳化重量体)の塩化ビニル乳化重量
体を追加し、さらに2〜10分間撹拌混合してミキサー
内の内容物の粒子表面に該塩化ビニル乳化重合体を被覆
させる。
〔作用〕
本発明に使用する共重合体ABは、いずれも側鎖に単量
体Aに由来するシリル基又はnが1〜550の重合度の
(ポリ)ジメチルシロキサニル基を有し、それらの末端
に、Yとしてメチル基もしくは1〜20の炭素数を持つ
フツ素原子含有置換基を有するため、これより形成され
る被膜に良好な滑り性を付与し、この被膜により加熱し
た成形金型上で溶融されゲル化した粉体成形用材料の成
形金型への付着を効果的に防止する。このような付着防
止効果は前記従来の粉体成形用離型剤の効果と同等もし
くはそれ以上のものであり、さらに樹脂との相溶性が非
常に良好なため、成形品を金型から剥離した後には金型
に被覆せしめた粉体成形用離型剤は成形品の表面へ全て
移行してしまう。これにより金型表面には、成形後離型
剤は残らないため、従来外部滑剤の問題としてあげられ
る離型剤の分解、金型鏡面の白濁及び金型の洗浄等の心
配はなくなつた。また、剥離した成形品の表面にはこの
粉体成形用離型剤の被膜が成形されており、その被膜と
成形品とは強固に結合されているため、ブリード防止及
びほこりや汚れの付着防止及びスリツプ性(非粘着性)
等の機能を持つ成形品を得ることができる。
また、上記の共重合体ABは、有機溶剤に溶解性である
ため、これの有機溶液を成形金型の表面に塗布し乾燥す
ることによつて容易に均一に被膜化することができる。
しかも、上記共重合体ABは、反応硬化型のものと違つ
て本質的に非反応性のものであるため、上記の被膜化が
大気中の湿度や温度によつて左右されることはなく、ま
た溶液とした後の使用可能な時間や貯蔵安定性に優れて
いる。
〔実施例〕
以下に、本発明の実施例を比較例と対比してより具体的
に説明する。なお、以下の実施例1〜11で使用した重合
体溶液並びに比較例2〜4で使用した重合体溶液は、下
記の製造例1〜11により調製したものである。各製造
例中の部は重量部、分子量はGPC法による数平均分子
量を表わす。
製造例1 撹拌機付きのフラスコにトルエン500gを仕込み、8
0℃に昇温し、撹拌しながらメタクリル酸メチル(以下
「MMA」という。)300g、メタクリル酸−3−
(ポリジメチルシロキサニル)プロピル〔単量体Aとし
て、一般式(I)中、X、Yが共にメチル基、kが0、l
が3、mが1、ポリジメチルシロキサンの平均重合度n
が11のもの〕129g、アゾビスイソブチロニトリル
4.85gの混合溶液を2時間で滴下し、滴下終了後、同温
度で6時間撹拌を継続して重合を完結させた。得られた
共重合体ABは、数平均分子量13,000、重合された単量
体Aの含有量が30重量部、重合されたMMAの含有量
が70重量部であつた。溶媒に用いたトルエンをエバポ
レーターにて揮発させ、固形の共重合体AB−1を得
た。
製造例2 撹拌機付きのフラスコにトルエン500g仕込み、80
℃に昇温し、撹拌しながらMMA300g、メタクリル酸−3
−(ポリジメチルシロキサニル)プロピル〔単量体とし
て、一般式(I)中、X、Yが共にメチル基、kが0、l
が3、mが1、ポリジメチルシロキサンの平均重合度n
が65のもの〕129g、アゾビスイソブチロニトリル
4.85gの混合溶液を2時間で滴下し、滴下終了後、同温
度で6時間撹拌を継続して重合を完結させた。得られた
共重合体ABは、数平均分子量11,000、重合された単量
体Aの含有量が30重量部、重合されたMMAの含有量
が70重量部であつた。溶媒に用いたトルエンをエバポ
レーターにて揮発させ、固形の共重合体AB−2を得
た。
製造例3 撹拌機付きのフラスコにトルエン1050g仕込み、7
0℃に昇温し、撹拌しながらMMA415g、メタクリル酸−
3−(ポリジメチルシロキサニル)プロピル〔単量体A
として、一般式(I)中、X、Yが共にメチル基、kが
0、lが3、mが1、ポリジメチルシロキサンの平均重
合度nが132のもの〕135g、アゾビスイソブチロ
ニトリル1.00gの混合溶液を2時間で滴下し、滴下終了
後、同温度で22時間撹拌を継続して重合を完結させ
た。得られた共重合体ABは、数平均分子量11,800、重
合された単量体Aの含有量が30重量部、重合されたM
MAの含有量が70重量部であつた。溶媒に用いたトル
エンをエバポレーターにて揮発させ、固形の共重合体A
B−3を得た。
製造例4 撹拌機付きのフラスコにトルエン1300g仕込み、8
0℃に昇温し、撹拌しながらMMA392g、メタクリル
酸−3−(ポリジメチルシロキサニル)プロピル〔単量
体Aとして、一般式(I)中、X、Yが共にメチル基、k
が0、lが3、mが2、ポリジメチルシロキサンの平均
重合度nが268のもの〕168g、アゾビスイソブチ
ロニトリル6.70gの混合溶液を2時間で滴下し、滴下終
了後、同温度で23時間撹拌を継続して重合を完結させ
た。得られた共重合体ABは、数平均分子量144,000、
重合された単量体Aの含有量が30重量部、重合された
MMAの含有量が70重量部であつた。溶媒に用いたト
ルエンをエバポレーターにて揮発させ、固形の共重合体
AB−4を得た。
製造例5 撹拌機付きのフラスコにトルエン500g仕込み、70
℃に昇温し、撹拌しながらMMA150g、メタクリル酸
−3−(ポリジメチルシロキサニル)プロピル〔単量体
Aとして、一般式(I)中、X、Yが共にメチル基、kが
0、lが3、mが1、ポリジメチルシロキサンの平均重
合度nが132のもの〕150g、アゾビスイソブチロ
ニトリル2.50gの混合溶液を2時間で滴下し、滴下終了
後、同温度で21時間撹拌を継続して重合を完結させ
た。得られた共重合体ABは、数平均分子量10,000、重
合された単量体Aの含有量が50重量部、重合されたM
MAの含有量が50重量部であつた。溶媒に用いたトル
エンをエバポレーターにて揮発させ、固形の共重合体A
B−5を得た。
製造例6 撹拌機付きのフラスコにトルエン500g仕込み、80
℃に昇温し、撹拌しながらMMA240g、スチレン60g、
メタクリル酸−3−(ポリジメチルシロキサニル)プロ
ピル〔単量体Aとして、一般式(I)中、X、Yが共にメ
チル基、kが0、lが3、mが1、ポリジメチルシロキ
サンの平均重合度nが65のもの〕129g、アゾビス
イソブチロニトリル3.25gの混合溶液を2時間で滴下
し、滴下終了後、同温度で6時間撹拌を継続して重合を
完結させた。得られた共重合体ABは、数平均分子量1
0,400、重合された単量体Aの含有量が30重量部、重
合されたMMAの含有量が55重量部、重合されたスチ
レンの含有量が15重量部であつた。溶媒に用いたトル
エンをエバポレーターにて揮発させ、固形の共重合体A
B−6を得た。
製造例7 撹拌機付きのフラスコに酢酸エチル500g、アクリル
酸メチル300g、アクリル酸−3−(ポリジメチルシ
ロキサニル)プロピル〔単量体Aとして、一般式(I)
中、Xが水素、Yがメチル基、kが0、lが3、mが
1、ポリジメチルシロキサンの平均重合度nが132の
もの〕130g、アゾビスイソブチロニトリル0.05gを
入れ撹拌しながら10分で60℃まで昇温した。その後
同温度に保ち20時間撹拌を継続して重合を完結させ
た。得られた共重合体ABは、数平均分子量286,400、
重合された単量体Aの含有量が30重量部、重合された
アクリル酸メチルの含有量が70重量部であつた。溶媒
に用いた酢酸エチルをエバポレーターにて揮発させ、固
形の共重合体AB−7を得た。
製造例8 撹拌機付きのフラスコにトルエン360g、MMA70
g、メタクリル酸−3−〔ω−(2−ヘプタデカフルオ
ロオクチルエチル)ポリジメチルシロキサニル〕プロピ
ル〔単量体Aとして、一般式(I)中、Xがメチル基、Y
が2−ヘプタデカフルオロオクチルエチル基、kが0、
lが3、mが1、ポリジメチルシロキサンの平均重合度
nが65のもの〕30g及びアゾビスイソブチロニトリ
ル1.10gを入れ、撹拌しながら70℃まで約20分で昇
温させた。その後同温度にて17時間撹拌を継続して重
合を完結させた。得られた共重合体ABは、数平均分子
量9,400、重合された単量体Aの含有量が30重量部、
重合されたMMAの含有量が70重量部であつた。溶媒
に用いたトルエンをエバポレーターにて揮発させ、固形
の共重合体AB−8を得た。
製造例9 撹拌機付きのフラスコにトルエン360g、MMA70
g、アクリル酸−3−(ω−ヘプタフルオロフエニルポ
リジメチルシロキサニル)プロピル〔単量体Aとして、
一般式(I)中、Xがメチル基、Yがヘプタフルオロフエ
ニル基、kが0、lが3、mが1、ポリジメチルシロキ
サンの平均重合度nが64のもの〕30g及びアゾビス
イソブチロニトリル1.20gを入れ、撹拌しながら80℃
まで約20分で昇温させた。その後同温度で8時間撹拌
を継続して重合を完結させた。得られた共重合体AB
は、数平均分子量16,800、重合された単量体Aの含有量
が30重量部、重合されたMMAの含有量が70重量部
であつた。溶媒に用いたトルエンをエバポレーターにて
揮発させ、固形の共重合体AB−9を得た。
製造例10 撹拌機付きのフラスコにトルエン500g仕込み、70
℃に昇温し、撹拌しながらMMA105g、メタクリル
酸−3−(ポリジメチルシロキサニル)プロピル〔単量
体Aとして、一般式(I)中、X、Yが共にメチル基、k
が0、lが3、mが1、ポリジメチルシロキサンの平均
重合度nが132のもの〕195g、アゾビスイソブチ
ロニトリル1.75gの混合溶液を2時間で滴下し、滴下終
了後、同温度で21時間撹拌を継続して重合を完結させ
た。得られた共重合体ABは、数平均分子量12,000、重
合された単量体Aの含有量が65重量部、重合されたM
MAの含有量が35重量部であつた。溶媒に用いたトル
エンをエバポレーターにて揮発させ、固形の共重合体A
B−10を得た。
製造例11 撹拌機付きのフラスコにトルエン500g仕込み、70
℃に昇温し、撹拌しながらMMA370g、メタクリル酸
−3−(ポリジメチルシロキサニル)プロピル〔単量体
Aとして、一般式(I)中、X、Yが共にメチル基、kが
0、lが3、mが1、ポリジメチルシロキサンの平均重
合度nが134のもの〕3g、アゾビスイソブチロニト
リル1.55gの混合溶液を2時間で滴下し、滴下終了後、
同温度で6時間撹拌を継続して重合を完結させた。得ら
れた共重合体ABは、数平均分子量18,200、重合された
単量体Aの含有量が1重量部、重合されたMMAの含有
量が99重量部であつた。溶媒に用いたトルエンをエバ
ポレーターにて揮発させ、固形の共重合体AB−11を
得た。
粉体成形用材料の製造例 平均重合度800の塩化ビニル系樹脂(塩化ビニルホモ
ポリマー、懸濁重合品)3000gをヘンシエルミキサ
ー(登録商標)に投入し、ジヤケツトに蒸気を流しなが
ら撹拌して前記塩化ビニル系樹脂を昇温した。70℃に
達したところで、Ba-Zn系安定剤150g、エポキシ化
大豆油150g、フタル酸ジノニル、フタル酸ジデシル
及びフタル酸ジウンデシルの混合可塑剤2250g、顔
料−黒60gを加え120℃まで昇温を続けた。120
℃前後に温度を保ち20分間の撹拌を行ない、可塑剤を
塩化ビニル系樹脂に充分に吸収させた。その後、蒸気を
止めてジヤケツトに冷却水を通して冷却を行なつた。5
0℃に達したところで、乳化重合塩化ビニルを360g
を加えた。そして更に5分以上の攪拌を行ない常温付近
まで冷却したのち、これを取り出し粉体成形用材料とし
た。
実施例1〜11 共重合体AB−1〜9を用いて、後記の第1表に示す配
合組成(表中の数値は重量%)により、60rpmのスタ
ーラーで混合溶解させて11種類の粉体成形用離型剤溶
液を調整した。この溶液中に、30〜50μmの厚みの
硬化クロムメツキ処理を施した100mm×50mm×3.2m
mの鉄板−1と50mm×30mm×3.2mmの鉄板−2を浸漬
し、及び該溶液を同様の硬化クロムメツキ処理を施した
300mm×300mm×4.0mmの鉄板−3の片面にスプレ
ー塗布した後、常温で溶媒を揮発させ、前記各鉄板の表
面上に共重合体ABの薄膜を形成させた。
比較例1 実施例1〜11で使用した硬化クロムメツキ処理を施し
た鉄板−1〜3を粉体成形用離型剤溶液に浸すことな
く、後記の第2表及び第3表に示す試験を実施した。
比較例2〜3 共重合体AB−1〜9の代りに共重合体AB−10、1
1を用いた以外は、実施例1〜11と全く同様にして、
後記第1表に示す配合組成からなる2種類の粉体成形用
離型剤の薄膜を鉄板の表面上に形成させた。
比較例4〜5 共重合体AB−1〜9の代りにKF−96〔信越化学工
業(株)製の商品名:シリコーンオイル〕およびステア
リン酸を用いた以外は、実施例1〜11と全く同様にし
て、後記第1表に示す配合組成からなる2種類の離型剤
を鉄板の表面上に付着させた。
以上の実施例1〜11および比較例1〜5の各被覆剤に
て処理し又は処理しなかつた鉄板とその鉄板に粉体成形
用材料を焼き付けた成形品につき、以下の離型試験、被
膜表面の接触角、剥離後の鉄板の接触角、剥離後の成形
膜の接触角、成形品のブリードブルーム試験、ブロツキ
ング試験、摩耗試験、焼き付け繰り返し試験を行ない、
その性能を評価した。
1)離型試験 上記の方法にて表面上に粉体成形用離型剤を薄膜として
被覆せしめた鉄板−1(但し比較例−1は被覆させてい
ない。)を240±5℃に保つた加熱炉に入れ10分間
予熱を行なつた後、速やかに取り出し台の上に寝かす、
その上に120ccのカツプに満たした前記粉体成形用材
料を散布して5秒間焼き付ける。その後未溶融の余剰粉
体成形用材料を払い落とすと再び元の加熱炉に素速く戻
す。更に2分間の加熱を行ない、鉄板上の粉体成形用材
料を完全に溶融させ鉄板上に成形膜を形成させる。室内
にて常温まで冷却した後、鉄板中心に成形膜を3cm×8
cmの短冊状に切り、その部分を残したまま、回りだけを
取り除く。これを25℃にて1昼夜放置しサンプルとす
る。このサンプルを東洋精機製作所(株)のストログラ
フ(登録商標)の下部取り付け部にしつかり固定し、上
部取り付け部には長さ30cmの凧糸の片方をしつかりと
め、もう片方は幅3cmのクリツプにくくりつける。短冊
状のサンプルの下から1cmを鉄板から剥がし、サンプル
がクリツプからはみでないように挟み込む。以上のセツ
トが終了した後、500mm/minの速度で引張り、成形
膜を鉄板から剥がす。その時にかかる強度の平均値を成
形膜の幅で除したときの値を剥離強度とした。この試験
を各粉体成形用離型剤につき5回行ないその平均値を求
めた。その結果を第2表に示す。また、各サンプルの剥
離強度を比較例1の離型剤を塗布しない時の剥離強度で
除した時の百分率を変化率とした。剥離強度、変化率が
小さい程離型性は良好である。
2)離型被膜の接触角 上記の方法にて表面上に粉体成形用離型剤を薄膜として
被覆せしめた鉄板−2(但し比較例−1は被覆させてい
ない。)をエルマ光学機器(株)の接触角測定器ゴニオ
メーターG−I(登録商標)の試験台に設置し、その上
に純水4ccを注射器にてそつと滴下せしめ等間隔に5つ
の液滴を並べる。測角器のついたゴニオメーターの読取
顕微鏡により液滴が描く円と試験片表面の水平線との角
度を測定し接触角とした。5滴の接触角の平均値を求め
た。その結果を第2表に示す。接触角の角度が大きい程
金型表面が溌水性であることを表わす。
3)剥離後の鉄板表面の接触角 上記の方法にて表面上に粉体成形用離型剤を薄膜として
被覆せしめた鉄板−2(但し比較例−1は被覆させてい
ない。)に第1)項と同様の条件にて粉体成形用材料を
焼き付け、成形膜を作つた。25±2℃の部屋で一昼夜
放置し金型から成形膜を剥がした。剥がした鉄板表面の
接触角を第2)項と同様の方法で測定を行なつた。その
結果を第2表に示す。前記2)項で測定した角度との差
が大きく、比較例1の離型被膜のない鉄板の接触角度と
の差が小さい程、剥離後の鉄板には離型剤の被膜が残つ
ていなく、被膜が成形膜に移行したことを意味する。
4)剥離後の成形膜表面の接触角 前記3)項にて得られた成形膜の鉄板と接触していた側
の接触角を前記2)項と同様の方法を用い測定を行なつ
た。その結果を第2表に示す。角度が大きい程、離型剤
の被膜が成形膜に移行したことを意味し、比較例1の離
型被膜のない鉄板で成形した成形膜の接触角度と比較し
接触角の角度が大きくなつている程成形膜に離型剤の性
能を付与したこと意味する。
5)成形品のブリードブルーム試験 80℃×80%の恒温恒湿槽の中へ前記3)項にて得ら
れた成形膜を各粉体成形用離型剤につき4枚吊り下げ、
投入後、3日、7日、10日、14日ごとに1枚づつ取
り出し、シート表面の経時変化を調べた。樹脂との相溶
性のないものであればシート表面にブリード及びブルー
ムなる現象が現れる。その状態を目視観察にて次の4段
階に評価した。ブリードブルームが全く起つていない状
態を◎、ブリードブルームがほんの僅か起つているか起
つていないか判定に難しい状態を〇、ブリードブルーム
が若干起つている状態を△、ブリードブルームが著しい
状態を×とした。その結果を第2表に示す。
6)ブロツキング試験 上記の方法にて表面上に粉体成形用離型剤を薄膜として
被覆せしめた鉄板−3(比較例−1は被覆させていな
い。)に、予熱を20分間、散布する粉体成形用材料を
500ccとしたことを除けば、前記1)項と同様の条件
にて粉体成形用材料を焼き付け、成形膜を作つた。25
±2℃の部屋で一昼夜放置し金型から成形膜を剥がし7
0mm×20mmの短冊状のサンプルとした。この試験片の
2枚づつの鉄板に接触していた面をその端よら20mm×
20mmの面積だけ互いに密着させる。重ね合せ面に1kg
の荷重を乗せ、40℃の恒温槽中に23時間放置する、
取り出し後1時間室温にて放置し、前記1)項で使用し
たストログラフ(登録商標)にセツトし50mm/minの速
度で引張り、そのときにかかる強度を測定した。その結
果を第3表に示す。強度が小さい程、密着性が小さく、
スリツプ性に富んでいることを表わす。
7)摩耗試験 前記6)項で得られた成形膜を、JIS-K-7204に準じ荷重
1000g、摩耗輪CS−17及びH−18の2種類を
用いて摩耗試験を行つた。その結果を第3表に示す。
8)繰り返し焼き付け試験 前記1)項と同様の方法にて鉄板−1に成形膜を形成さ
せる。常温付近まで冷却し素手で触れられる程度となつ
たとき、鉄板から成形膜を剥がし取り鉄板の表面状態を
目視観察にて次に4段階に評価した。使用前と変らない
鏡面性を保つている状態を◎、表面がほんの僅かに曇つ
ているかどうか判断が難しい状態を○、表面が若干曇つ
ている状態を△、著しく曇つている状態を×とした。成
形膜を剥がした後、鉄板−1の表面を手で触れないよう
にし、粉体成形用離型剤溶液に浸漬し表面に薄膜を形成
させ2度目の成形を行う。鉄板の成形膜を形成する面は
同一面であり繰り返し成形膜を形成してゆくうちにどの
ように鏡面が曇つてゆくかを観察する。0、1、3、5、10、20、
30、50回目の状態を観察した。その結果を第3表に示
す。
実施例12 アセトン490gと製造例3にて重合し得られた共重合
体AB−3を10g1のビーカーの中に入れ、それを
120rpmのスターラーで混合溶解させ粉体成形用離型
剤を製造した。
この離型剤50gを型式W−71のスプレーガン(岩田
塗装機工業株式会社の登録商標)に設置してある塗料カ
ツプに仕込み、空気圧最大10kg/cm2のコンプレツサー
より分岐している内径8mmのエアーホースの内の1本を
スプレーガンと接続し、その間にレギユレーターを組み
込んでおきスプレーガンには3kg/cm2の空気圧を送り、
この空気圧によつて塗料カツプ内の離型剤がスプレーガ
ンのノズルより噴霧できるように設定していた。
このスプレーガン装置を使い、成形面にシボ模様を施し
た厚さ3.2mmのグローブボツクス用電鋳金型をドラフト
内に設置し、該電鋳金型の成形面に離型剤を噴霧し、薄
膜として被覆せしめた。この電鋳金型を鉄枠で囲み35
0mm×500mm×100mmの四角柱に固定し成形面が上
部に向くように設置した。上部は厚さ2mmの鉄板を蓋に
用い、成形面にほこり、ごみなどが付着しないように固
定した。
成形面に離型剤の薄膜を有し、鉄枠および鉄板の蓋で固
定された前記電鋳金型を240±5℃に保つた加熱炉に
入れ20分間予熱を行つた後、速やかに取り出し鉄板の
蓋を外し、電鋳金型内に500gの前記粉体成形用材料
を入れ、速やかに再度鉄板で蓋をしてから30秒間、鉄
枠および鉄板の蓋で固定された前記電鋳金型を加熱炉外
で回転させ粉体成形用材料を成形面に付着させた。その
後、末溶融の余剰粉体成形用材料を鉄板の蓋を外し前記
電鋳金型から払い落とすとまた鉄板の蓋を閉じて加熱炉
に再度入れる。5分間の加熱を実施し、前記電鋳金型の
成形面上の粉体成形用材料を完全に溶融させた後、加熱
炉から取り出し、そのまま冷水の中に浸し前記電鋳金型
を冷却した。
冷却後、前記電鋳金型より成形品を剥がした。離型剤に
前記比較例4と同様のものを用いスプレー塗布し使用し
ていた従来法に較べ、本実施例の方法によれば、剥がす
ときの手の力がより小さい力で剥がせることが確かめら
れた。また、共重合体AB−3の薄膜が成形品表面に転
写されているので、表面のスリツプ性がよく、感触のよ
い肌ざわりの成形品が得られた。その上、共重合体AB
−3が成形品表面に転写されているにもかかわらず、膜
としては薄いため、目視での外観に色彩等の変化は観ら
れず、艶ムラ、シボムラもない成形品を得ることができ
た。
〔効果〕
本発明の粉体成形用離型剤は被膜形成時に架橋反応する
型ではないので、湿度、温度などによつての効果乾燥の
影響を受けにくい。したがつて、被膜の硬化不良からく
る剥離、ふくれなどによる離型性の低下が認められな
い。また、塗布したとき溶剤の揮発のみで被塗装面上で
造膜するので乾燥が低く、金型等の被塗装物を短時間で
使用することができる。
実施例及び比較例にも示されているように、この被膜の
接触角は非常に大きく、成形金型表面に良好な滑り性を
付与している。したがつて、この離型剤で被膜化した金
型からの成形品の剥離は実にスムーズに行なわれる。こ
れにより無理な力で成形品を引張り成形品が変形してし
まつたりすることはない。また、離型被膜は不活性で耐
熱性に優れるため粉体成形材料の焼き付きによる金型へ
の接着の防止効果ももつ。更には、この被膜は樹脂との
相溶性が良好なため粉体成形後、金型から成形品を剥が
すと金型から成形品へと被膜は全て移行するため離型剤
は金型に残らない。よつて金型を洗浄する作業を必要と
せず、金型に離型剤が焼き付き、また分解する恐れもな
い。このことは、第3表にも示されており、通常の金型
は連続成形を行つてゆくと30回目あたりから曇りだし
てゆき50回目では鏡面は全くなくなつてしまう。更
に、成形品表面へと移行した粉体成形用離型剤は、成形
品と強固に結合しているので、成形品表面から剥がれる
ことなくその性能を保つている。このため、成形品表面
には非常に良好なスリツプ性が付与されている。可塑剤
の移行性防止、ブリードの防止はもとよりほこりや汚れ
からも防止することもでき、耐スクラツチ性にも優れて
いる。また、成形品同志が密着しあい剥がしにくくなる
こともないといつた機能を成形品表面が持つにいたる。
溶液として保存する際も湿気、熱に対する貯蔵安定性は
良好であり、原価の軽減に役立つ、さらに、塗装時扱い
残しがでても栓をするだけといつた通常の方法で保存で
き、再使用できる簡便さがある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08F 299/08 MRY 7442−4J C10M 107/50 9159−4H // C10N 40:36 8217−4H

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】つぎの一般式(I) (ただし、式中、Xは水素原子またはメチル基、kは0
    〜5の整数、lは1〜3の整数、mは1〜3の整数、n
    は0〜550の整数を表わし、Yはメチル基若しくは1
    〜20の炭素数を有するフツ素原子含有置換基を表わ
    す。) で示される単量体Aの一種または二種以上とこれらと共
    重合し得るビニル重合性単量体Bの一種または二種以上
    とを共重合してなる共重合体ABを必須成分として含有
    する粉体成形用離型剤。
  2. 【請求項2】前記共重合体ABに重合された前記単量体
    Aが2〜50重量%、好ましくは5〜35重量%の範囲
    で含有されていることを特徴とする請求項(1)に記載の
    粉体成形用離型剤。
  3. 【請求項3】前記共重合体ABの成分である重合された
    前記ビニル重合性単量体Bには重合されたアルキル基の
    炭素数が1〜8個のアルキルアクリレート又はアルキル
    メタアクリレートの一種または二種以上が必ず含まれて
    おり、その含有量は、前記共重合体ABに対し25〜9
    8重量%、好ましくは40〜95重量%の範囲であるこ
    とを特徴とする請求項(1)又は(2)に記載の粉体成形用離
    型剤。
  4. 【請求項4】請求項(1)に記載の粉体成形用離型剤を金
    型表面に塗布し、これを加熱し、これに可塑性を含む軟
    質塩化ビニル系樹脂粉体を付着・溶融させ、冷却し、該
    金型から成形品を剥がすことを特徴とする成形品の製造
    方法。
  5. 【請求項5】請求項(2)に記載の粉体成形用離型剤を金
    型表面に塗布し、これを加熱し、これに可塑剤を含む軟
    質塩化ビニル系樹脂粉体を付着・溶融させ、冷却し、該
    金型から成形品を剥がすことを特徴とする成形品の製造
    方法。
  6. 【請求項6】請求項(3)に記載の粉体成形用離型剤を金
    型表面に塗布し、これを加熱し、これに可塑剤を含む軟
    質塩化ビニル系樹脂粉体を付着・溶融させ、冷却し、該
    金型から成形品を剥がすことを特徴とする成形品の製造
    方法。
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