JPH0648988B2 - トロンビン阻害物質の製造法 - Google Patents

トロンビン阻害物質の製造法

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JPH0648988B2
JPH0648988B2 JP63184557A JP18455788A JPH0648988B2 JP H0648988 B2 JPH0648988 B2 JP H0648988B2 JP 63184557 A JP63184557 A JP 63184557A JP 18455788 A JP18455788 A JP 18455788A JP H0648988 B2 JPH0648988 B2 JP H0648988B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、バチルス・アミロリキファシエンス(Bacillu
s amyloliquefaciens)の中性プロテアーゼ遺伝子のプロ
モーター、リボゾーム結合部位および分泌シグナルをコ
ードする領域の直後にヒルジンをコードするDNA断片
を結合させたDNA配列がベクターDNAに結合してい
ることを特徴とするヒルジン分泌プラスミド、およびそ
のプラスミドにより形質転換された形質転換株、ならび
にその形質転換株を用いたヒルジンの製造法に関するも
のである。
また、本発明は、特に、このヒルジン分泌プラスミドを
用いてバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)を形
質転換し、得られた形質転換株を培養し、その培養上清
からヒルジンを回収することを特徴とするヒルジンの製
造法に関するものである。
ヒルジンとは、真核生物である医用ヒル(Hirudo medici
nalis)の唾液腺に存在する抗トロンビン活性を有するプ
ロテアーゼインヒビターであり、単一の蛋白質ではな
く、数種類の分子種から成り立っている。例えば、HV1
(参考文献1)、HV2(参考文献2)等の存在が知られ
ており、すでに、それらの一次構造が報告されている
(参考文献1、2、)。
これらの一次構造は、高いホモロジーを有し、また共通
にみられる構造上の特徴としては、スルフェートモノエ
ステルとして存在するチロシン残基の存在、および3個
の分子内S-S結合の存在が知られている。
通常、トロンビンは、非活性型のプロトロンビンとして
血液中に存在しており、生体の必要に応じて活性化さ
れ、フィブリノーゲンをフィブリンに変換する引き金と
して、血液凝固系において重要な生体機能を担当してい
る。このトロンビンが全身血中で病的に活性化される
と、微小血管系にフィブリンが沈着し、血栓が形成され
る。血栓とは、血管内に於いて血液が凝固して生じた塊
で、これが形成される病的現象を血栓症と言う。血栓症
は、血栓による血管控の狭窄、閉塞をもたらし、主要臓
器、例えば、心、脳、肺などの臓器に虚血性病変や梗塞
を生じ、それらの機能障害を招来する。これらの血栓症
は、さらに近年、腎炎や肺臓炎などの免疫学的機序によ
る臓器炎の発生病理や、臓器、代用血管移植時の随伴病
変として注目されている。また、主として微小血管内で
血栓が多発する病的状態として知られている汎発性血管
内凝固症候群(DIC)が特異な病態として注目を浴びてい
る。このDICという概念が提唱されたのは1960年代で、
当初DICはきわめて珍しい症候群と考えられていた。し
かし、近年に至り、DICは決して珍しいものでないこと
が明らかとなり、しかも、これまで各種疾患の末期に生
じる出血や臓器症状として十分に説明されないまま見過
ごされてきた各種の臨床症状がDICの結果として理解さ
れるようになってきている。
血栓症は、近時増加傾向にある。血栓の形成は血管内皮
の変化、ことに硬化性、炎症性の変化がある部位に頻発
することが知られているが、これらの病変は加齢ととも
に急速に増加し、しかも、世界的に寿命が延びてきてい
ることも血栓症増加の原因となっている。
血栓症の臨床病理学的例としては、脳率中や心筋梗塞、
深部静脈血栓症や四肢動脈の閉塞、肺血栓や眼底血栓な
どがあるが、血栓症は種々臓器で起こるものを合計すれ
ば、罹病率でも死因で各種疾患中第1位を占めるといわ
れている。従って、血栓症の臨床的ならびにその病理学
的意義は今後ますます重要になると考えられる。
このような血栓症の治療剤として、アンチトロンビンII
Iを介して作用するヘパリンや、ビタミンK依存性の血
液凝固因子の生合成を阻害する抗ビタミンK剤が知られ
ている。また、別のトロンビン阻害剤として、非ペプタ
イド系の蛋白分解酵素阻害剤としてメシル酸ガベギサー
ト剤が知られている。
従来からよく知られているヘパリンは、DICを始めとす
る血栓症に繁用される抗血栓剤であるが、その作用はア
ンチトロンビンIIIの凝固阻止作用を加速することにあ
るため、DICやネフローゼに合併した血栓症のごとく、
アンチトロンビンIIIが減少した血栓症の治療には有効
でないと考えられる(参考文献3)。また、メシル酸ガ
ベギサート剤は、プラスミン、カリクレイン、トリプシ
ン等の生理的に重要な意義を有する酵素に対する阻害効
果もあり、その使用には慎重な配慮が必要となる。
このような点から、DICを含む血栓症の予防薬または治
療薬としての可能性のある新規な抗血栓剤の開発は、治
療医学、予防医学において重要なことである。
一方、ヒルジンは、従来の抗血栓剤とは対照的に、直接
トロンビンに対する阻害作用活性を有する。とくに、ヒ
ルジンは、トロンビンおよびプレトロンビン2に対し作
用特異性がきわめて高く(解離定数:0.8 x10-10)(参
考文献4)、トロンビン以外では活性化第IV因子が阻害
されるのみである。すなわち、ヒルジンは血液凝固に関
与する酵素以外の酵素を阻害することがない。また、ヒ
ルジンは、毒性が極めて低く、非抗原性であると言われ
ており、かつ、生物活性を有した型ですみやかに腎臓か
ら尿中に排泄される(参考文献5)。これらの点から、
ヒルジンは、従来の抗血栓剤に代わるきわめて有用なDI
Cを含む血栓症の予防薬または治療薬としての可能性を
有していると言える。
(従来の技術と本発明が解決しようとする課題) 組換えDNA技術が出現する以前のヒルジンの生産は、ヒ
ルから直接抽出することによってなされていた。しかし
ながら、この方法では、少量のヒルジンを得るためにも
多量の絶食ヒルを必要とし、また、粗製ヒルジンを得る
にも、かなり複雑な精製工程と時間を要するものであっ
た。例えば、純度約10%程度の、しかも、ヒルジン以外
にもヒル由来の夾雑蛋白の多い粗製ヒルジンを調製する
にも、2から3週間絶食させたヒルのホモジネートを熱
水抽出したものから、エタノール沈殿、アセトン分別沈
殿、ベントナイトによる吸着と脱着、等電点沈殿を行う
必要があった。さらに、純品としてのヒルジンを得るに
は、この粗製ヒルジンを用いて、ECTEOLA celluloseカ
ラムクロマトグラフィー、Sephadex CM C-25カラムクロ
マトグラフィー、Sephadex G-25によるゲルろ過を行う
必要があり、収率は、0.001%にも達しないと報告され
ている(参考文献6)。このように少量しか得られない
ため、ヒルジンは医薬として実用上利用できず、ヒルジ
ンの優れた特性から期待される治療的利用はいまだ達成
されていない。このような理由から、ヒルジンの効率の
よい生産法の確立が熱望されている。
近年、組換えDNA技術により微生物を宿主として異種遺
伝子を発現させ、異種遺伝子産物を多量に生産すること
が可能となりつつある。異種遺伝子産物とは、ある微生
物において、その微生物に由来しない遺伝子が発現した
結果産生される蛋白質をいう。
微生物を宿主とした組換えDNA技術による物質生産は、
大きく菌体内生産と菌体外分泌生産とに分けられる。
前者の場合、異種遺伝子産物を菌体内に効率よく生産す
ることが可能であるが、下記に記載するような問題点が
あることが指摘されている。
第一に、菌体内に生産された異種遺伝子産物は、通常、
生物活性を持たないinclusion bodyと呼ばれる不溶性の
塊となることが知られている。一般に、このようなincl
usion bodyを、菌体から回収することは困難ではない
が、天然の高次構造と活性を有する異種遺伝子産物を得
るには、尿素等の可溶化剤でinclusion bodyを可溶化
後、天然の高次構造と活性を有する異種遺伝子産物に戻
す工程が必要となる。この工程は、かなり繁雑であり、
しかも、その効率が低い点に実用的な問題がある。例え
ば、Schonerら(参考文献7)によれば、大腸菌の菌体
内でinclusion bodyを形成したウシ成長ホルモンの場合
は、5M尿素存在下で一部可溶化するが、その量は全体の
10%と少なく、残りはペレット状のままであったと報告
されている。
第2に、天然型の異種遺伝子産物を生産することが困難
であることが指摘されている。
一般に、異種遺伝子を微生物で発現させる場合、蛋白質
をコードする遺伝子の前に開始コドン(ATG)が必要であ
る。その結果、産生される蛋白質は、N末端にMetが附
加された型の融合蛋白質となる。このようなMetが附加
された型の融合蛋白質は医薬品として人体に投与した場
合、融合蛋白質による抗体の出現率が高まり、薬効の低
下、アナフィラキシーなどの副作用の惹起などが問題と
なる。実際、大腸菌の菌体内で生産されたヒト成長ホル
モン(hGH)は、N末端にMetが附加されたMet-hGHであ
り、天然のhGHと効果において同等であったが、Met-hGH
を人体に投与した場合、抗体出現率が高いことが認めら
れた(参考文献8)。
第3に、S-S結合を有する異種遺伝子産物を菌体内に生
産させる場合、そのS-S結合が正確に架橋されない場合
が知られている。たとえば、J.M.Schoemarker(参考文
献9)らによれば、S-S結合を分子内に3個持つウシキ
モシンを大腸菌で発現させた場合では、分子間のS-S結
合が形成されたと報告されている。
ヒルジンの場合でも、すでに、大腸菌の菌体内に生産さ
せる先行技術(参考文献10)は公知であるが、この場合
は、菌体内に0.2mg/l・A600相当の抗トロンビン活性を有
するヒルジンの蓄積しか認められなかったと報告されて
いる。このように少量のヒルジンしか蓄積されなかった
のは、おそらく、抗トロンビン活性発現に必須なS-S結
合が正確に架橋されていない不活性な型のヒルジンが大
腸菌菌体内に蓄積されたためと考えられる。
従って、高い抗トロンビン活性を有するヒルジンを生産
するプロセスの確立が望まれるが、前述した理由から、
菌体内生産法はふさわしくないと考えられた。
他方、有用異種遺伝子産物の菌体外分泌生産は検討すべ
き種々の課題が存在するが、以下に述べる理由により、
この目的により適していると考えられた。
一般に、分泌蛋白質は、菌体内でその成熟蛋白質のN末
端上流に分泌シグナルが付加した型の前駆体蛋白質とし
て合成されるが、前駆体蛋白質は、分泌の過程で分泌シ
グナルは除去され分泌シグナルが除去された型の成熟蛋
白質として菌体外に分泌される(参考文献11)。ここ
で、成熟蛋白質とは、分泌蛋白質からそれ自身の分泌シ
グナルを除去された蛋白質をさす。
そこで、ヒルジンのN末端上流に分泌シグナルが結合し
た型の前駆体蛋白質として菌体内で発現させ、菌体外へ
分泌させれば、菌体内生産の問題点を回避して抗トロン
ビン活性を有するヒルジンが菌体外に分泌されること、
さらに分泌シグナルとヒルジンとの結合方法を工夫する
ことにより、分泌の際に分泌シグナルが所望の部位で切
断されたヒル由来のヒルジンと同じN末端を有するヒル
ジンを培養液中に産生させることが期待される。
そこで、本発明者らは、分泌蛋白質を多量に分泌する性
質を有し、病原性がなく、酵素、アミノ酸、核酸等の工
業用微生物として使用経験の豊富なバチルス属細菌を宿
主として用いる方法を検討した。特にバチルス属細菌の
なかでもバチルス・ズブチリスは、遺伝学的、生化学
的、分子生物学的、応用微生物字的知見が多く蓄積され
ている。この点から、バチルス・ズブチリスを宿主とし
た異種遺伝子産物を菌体外に分泌のための宿主−ベクタ
ー系を確立することは大きな意義を有するものである。
これまでに、バチルス・アミロリキファシエンスのα−
アミラーゼ遺伝子を利用した大腸菌(Escherichia coli)
のβ−ラクタマーゼの分泌(参考文献12)、スタフィロ
コッカス(Staphylococcus aureus)のヌクレアーゼの分
泌(参考文献13)、スタフィロコッカスのプロテインA
の分泌(参考文献14)、ヒト−α−インタフェロンの分
泌(参考文献15)、バチルス・ズブチリスのα−アミラ
ーゼ遺伝子を利用したマウス−β−インタフェロンの分
泌(参考文献16)、バチルス・アミロリキファシエンス
の中性プロテアーゼ遺伝子、あるいはアルカリ性プロテ
アーゼ遺伝子を利用したスタフィロコッカスのプロテイ
ンAの分泌(参考文献17)、ヒト血清アルブミン分泌
(参考文献18)等の報告がされている。これらの報告が
示すように、バチルス・ズブチリスを宿主として或る種
の原核生物由来の蛋白質は効率よく分泌蓄積されること
が報告されている。
例えば、β−ラクタマーゼ(参考文献12)、ヌクレアー
ゼ(参考文献13)、プロテインA(参考文献17)の分泌
蓄積量は、培養液1あたり、それぞれ約20mg、約50m
g、約1000mgであった。
しかしながら、真核生物由来のヒト−α−インターフェ
ロン(参考文献15)、マウス−β−インターフェロン
(参考文献16)、ヒト血清アルブミン(参考文献18)の
分泌蓄積量はともにわずかで、例えばヒト−α−インタ
ーフェロンの場合は、培養液1あたり0.5mgであった
と報告されている。これらの例が示すように、バチルス
・ズブチリスを宿主とした真核生物由来の蛋白質を多量
に分泌生産することは必ずしも容易でないことを示して
いる。
一般に、分泌蛋白質の遺伝子は、RNAポリメラーゼによ
り転写されてmRNAとなり、さらに、そのmRNAを鋳型とし
て成熟蛋白質のN末端上流に分泌シグナルが付加した型
の前駆体蛋白質が合成される。分泌の過程において、こ
の分泌シグナルは前駆体蛋白質から除去されることが知
られている。
そこで、分泌させたい蛋白質の種類によって、分泌蓄積
量が異なる原因を調べるために、Ulmane-n(参考文献1
9)らは、分泌蛋白質の遺伝子のプロモーター、リボゾ
ーム結合部位および分泌シグナルをコードする領域の直
後に異種蛋白質をコードするDNA配列を結合させた型の
融合遺伝子の転写、翻訳、およびその結果産生された異
種遺伝子産物の分泌効率のうち、どの段階が異種遺伝子
産物の分泌蓄積量に影響を与えるかを検討した。
すなわち、彼らは、バチルス・アミロリキファシエンス
のアミラーゼ遺伝子のプロモーター、リボゾーム結合部
位、分泌シグナルをコードする領域を用いて、Semiliki
Forest virusの糖蛋白であるE1タンパクと大腸菌のβ
−ラクタマーゼ、およびバチルス・アミロリキファシエ
ンスのα−アミラーゼの分泌を試みた。その結果、菌体
内に生産されるそれらの成熟蛋白質のN末端上流に分泌
シグナルが付加した型の前駆体蛋白質をコードするmRNA
の量には大差が見られなかった。
一方、E1タンパク、β−ラクタマーゼの分泌蓄積量は、
α−アミラーゼの分泌蓄積量に比べそれぞれ、0.01%、
10%であったと報告されている。この報告では、この原
因は宿主であるバチルス・ズブチリスが、アミラーゼ遺
伝子の分泌シグナルの下流に異種蛋白質を結合させた型
の融合蛋白質を効率よく分泌させえないため、あるいは
バチルス・ズブチリスが持つ蛋白質分解活性による異種
蛋白質の分解によるためとしている。
このように、同じ分泌蛋白質遺伝子、すなわちα−アミ
ラーゼ遺伝子のプロモーター、リボゾーム結合部位およ
び分泌シグナルをコードする領域を用いても、分泌され
る蛋白質の種類によって分泌蓄積量に差が生ずるもので
あると報ぜられている。
また、同一の分泌蛋白質遺伝子の分泌シグナルをコード
する領域と、同一の真核生物由来の蛋白質をコードする
DNA断片を用いても、両者の結合様式の相違により、真
核生物由来の蛋白質がバチルス・ズブチリスで分泌され
る場合とされない場合とがあることを、Palva.I(参考
文献15)らとSchein C.H.(参考文献20)らの報告が示
している。
すなわち、Palvaらは、分泌蛋白質の一つであるバチル
ス・アミロリキファシエンスのα−アミーラーゼ遺伝子
の分泌シグナルの切断点を含む領域(Ala-Val)、すなわ
ち分泌シグナルをコードする3′−末端のあとに成熟蛋
白質のN末端アミノ酸をコードする領域(Val)を含むDNA
断片の後に、直接、または5アミノ酸残基からなる結合
領域(Asn-Gly-Thr-Glu-Ala)を介して成熟インターフェ
ロン(IFN)をコードするDNA断片を結合させ、ヒトIFNタ
ンパクの分泌を試みた。この場合、分泌シグナルは除去
されたが、分泌されたインターフェロンは、成熟インタ
ーフェロンのN末端上流に1個(Val)、または6個(Val-
Asn-Gly-Thr-Gln-Ala)のアミノ酸が付加した型の融合蛋
白質が分泌蓄積され、それらの量は、培養液1当たり
0.5mgから1mgであった。一方、Scheinらは、Palv-aら
と同じα−アミラーゼ遺伝子の分泌シグナルのC末端の
アミノ酸(Ala)をコードする領域の直後に、成熟インタ
ーフェロン(IFN)をコードするDNA断片を結合させ、ヒト
IFNの分泌を試みている。しかしながら、この場合、多
量の前駆体IFN、あるいは成熟IFNが細胞膜に留まり、培
地中への分泌は、少量であったと報告されている。
以上記載した様に、バチルス・ズブチリスを宿主とした
系で、真核生物由来の成熟蛋白質のN末端上流に分泌シ
グナルが付加した型の前駆体蛋白質が分泌されるかどう
か、また分泌の過程でその分泌シグナルがプロセスされ
るかどうかは予測不可能であり、結局のところ選択され
る成熟蛋白質と分泌シグナルとの組合せ、あるいは、両
者の結合様式の差によって異なるものであることは当業
者の共通の認識となっている。
本発明の課題は、以上詳しく述べたような先行技術の状
況の中で、血栓症の予防薬または治療剤として有用なト
ロンビンの活性阻害剤であるヒルジンを提供することで
あり、組換えDNA技術によりヒルジン分泌プラスミド、
形質転換株およびこの形質転換株を用いてヒルジンを産
生する方法を提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
上記の点に鑑み本発明者らは、ヒルジンを分泌させ得る
プロモーター、リボゾーム結合部位および分泌シグナル
を有する遺伝子を検索し、遂に本発明を完成した。
すなわち、本発明は、バチルス・アミロリキファシエン
スの中性プロテアーゼ遺伝子のプロモーター、リボゾー
ム結合部位および分泌シグナルをコードする領域の直後
にヒルジンをコードするDNA断片が結合しているDNA配列
を、ベクターDNAに結合したヒルジン分泌プラスミド、
およびこのヒルジン分泌プラスミドで形質転換して得た
形質転換株、およびこの形質転換株を培養し、その培養
上清からヒルジンを回収するヒルジンの製造法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で言うプロモーターとは、RNAポリメラーゼが認
識し結合するDNA配列をいう。
一般に、RNAの合成開始点を“+1”とし、その上流のD
NA配列を並べると、そこから約10塩基のところに共通性
の高いDNA配列の存在が知られている。そのDNA配列は、
5′TATAAT3′であり、“-10領域”といわれて
いる。さらに約35塩基のところにも共通性の高いDNA配
列の存在が知られており、そのDNA配列は、5′TTG
ACA3′であり、“-35領域”といわれている。通
常、“-35領域”はRNAポリメラーゼの認識のため、“-1
0領域”はその結合のために必要とされている(参考文
献21)。
バチルス・ズブチリスは幾つかの種類のRNAポリメラー
ゼを持つことが知られている。この多様性は、バチルス
・ズブチリスの複雑な発現制御を伴う胞子形成の過程に
おいて重要な役割を果たしている。とくに、栄養増殖期
にあるRNAポリメラーゼの大部分はσ55型RNAポリメラー
ゼを持ち、従って大部分の遺伝子の転写はこれによって
行われることが知られている(参考文献22)。
本発明のバチルス・アミロリキファシエンスの中性プロ
テアーゼ遺伝子のプロモーター、リボゾーム結合部位お
よび分泌シグナルをコードする領域の直後にヒルジンを
コードするDNA断片を結合させたDNA配列は次のように示
される。
5′GATCTTAACATTTTTCCCCTATC
ATTTTTCCCGTCTTCATTTGTCATT
TTTTCCAGAAAAAATCGTCATTCGA
CTCATGTCTAATCCAACACGTCTCT
CTCGGCTTATCCCCTGACACCGCCC
GCCGACAGCCCGCATGGACGAATCT
ATCAATTCAGCCGCGGAGTCTAGTT
TTATA(TTGCAG)AATGCGAGATT
GCTGGT(TTATTAT)AACAATATA
AGTTTTCATTATTTTCAA(AAAGGG
G)GATTTATT(GTGGGTTTAGGTA
AGAAATTGTCTAGTGCTGTAGCCGC
TTCCTTTATGAGTTTAACCATCAGT
CTGCCGGGTGTTCAGGCC)(GTTT
GTTATACAGATTGCACAGAATCCGG
ACAAAATTTATGTTTATGTGAAGAA
TCTAATGTTTGTGGACAAGGAAATA
AATGTATTTTAGGATCTGATGGAGA
AAAAAATCAATGTGTTACAGGAGAA
GGAACACCGAAACCGCAATCTCATA
ATGATGGAGATTTTGAAGAAATTCC
TGAAGAATATTTACAA3′) このDNA配列におけるプロモーターの“-10領域”と考え
られるDNA配列としては、5′TATTAT3′(上記
配列のb部分)が、“-35領域”と考えられるDNA配列と
しては、5′TTGCAG3′(上記配列のa部分)が
ある。
このDNA配列は、バチルス・ズブチリスの栄養増殖期の
主たるRNAポリメラーゼであるσ55型RNAポリメラーゼと
高い相同性を有している(参考文献22)。′ また、リボゾーム結合部位とはRNAポリメラーゼにより
合成されたmRNAがリボゾームと結合するDNA配列を指
す。
一般に、リボゾーム結合部位は開始コドンの5から9塩
基上流に共通にみられるDNA配列で、16SrRNA3′末端のD
NA配列と相補的なDNA配列を指す。微生物の種類によっ
て、その16SrRNAのDNA配列は異なるが、バチルス・ズブ
チリスの16SrRNAのDNA配列は3′UCUUUCCUCC
5′であることが知られている(参考文献22)。
また、上記のDNA配列におけるリボゾーム結合部位と考
えられるDNA配列としては、5′AAAGGGG3′が
あり(上記配列のc部分)、このDNA配列は、バチルス
・ズブチリスの16SrRNAと極めて高い相補性を有するも
のである。
これらのプロモーター、およびリボゾーム結合部位のDN
A配列は、遺伝子の発現に重要な役割を果たす。また、
これらのDNA配列は、遺伝子の発現効率に関係している
ことは今日広く知られている(参考文献21)。
バチルス属細菌を宿主として所望の蛋白質の遺伝子を発
現させる場合は、バチルス属細菌のRNAポリメラーゼお
よびリボゾームが、プロモーターおよびリボゾーム結合
部位に対して厳格な特異性を持つため(参考文献22)、
それらの領域はバチルス属細菌由来であることが望まし
い(参考文献23)。
また、分泌シグナルとは、成熟蛋白質のN末端上流に存
在する20から30アミノ酸残基によりなるポリペプチドを
指す。分泌シグナルには、次のような特徴がある。すな
わち、N末端近くに塩基性アミノ酸の存在、中央部に疎
水性アミノ酸のクラスターの存在、および分泌シグナル
の切断部位に小さな側鎖を有するアミノ酸の存在が知ら
れている。このポリペプチドは、分泌の過程で除去され
るものであり、前駆体蛋白質の細胞膜通過において重要
な役割を果たすと考えられている(参考文献11)。
本発明のヒルジン分泌プラスミドの構築に用いたバチル
ス・アミロリキファシエンスの中性プロテアーゼ遺伝子
の分泌シグナルと考えられるアミノ酸配列は、Met-Gly-
Leu-Gly-Lys-Lys-Leu-Ser-Ser-Ala-Val-Ala-Ala-Ser-Ph
e-Met-Ser-Leu-Thr-Ile-Ser-Leu-Pro-Gly-Val-Gln-Ala-
であり、典型的な分泌シグナルの1次構造を有してい
る。すなわち、このアミノ酸配列には、N末端付近の塩
基性アミノ酸であるLysの存在、中央部分の疎水性アミ
ノ酸のクラスター(Leu-Ser-Ser-Ala-Val-Ala-Ala-Ser-P
he-Met-Ser-Leu-Thr-Ile-Ser-Leu-)の存在、および分泌
シグナルの切断部位に小さな側鎖を有するアミノ酸(Al
a)の存在が認められるからである。
従って、上記記載のDNA配列における分泌シグナルをコ
ードするDNA配列としては、5′GTGGGTTTAG
GTAAGAAATTGTCTAGTGCTGTAGC
CGCTTCCTTTATGAGTTTAACCATC
AGTCTGCCGGGTGTTCAGGCC3′が挙
げられる(上記DNA配列のd部分)。
また、本発明のヒルジン分泌プラスミドの構築に用いた
ヒルジンタンパクのアミノ酸配列は、Val-Val-Tyr-Thr-
Asp-Cys-Thr-Glu-Ser-Gly-Gln-Asn-Leu-Cys-Leu-Cys-Gl
u-Gly-Ser-Asn-Val-Cys-Gly-Gln-Gly-Asn-Lys-Cys-Ile-
Leu-Gly-Ser-Asp-Gly-Glu-Lys-Asn-Gln-Cys-Val-Thr-Gl
y-Glu-Gly-Thr-Pro-Lys-Pro-Gln-Ser-His-Asn-Asp-Gly-
Asp-Phe-Glu-Glu-Ile-Pro-Glu-Glu-Tyr-Leu-Glnであ
り、このヒルジンタンパクをコードするDNA配列は、
5′GTTGTTTATACAGATTGCACAGA
ATCCGGACAAAATTTATGTTTATGT
GAAGAATCTAATGTTTGTGGACAAG
GAAATAAATGTATTTTAGGATCTGA
TGGAGAAAAAAATCAATGTGTTACA
GGAGAAGGAACACCGAAACCGCAAT
CTCATAATGATGGAGATTTTGAAGA
AATTCCTGAAGAATATTTACAA3′で
ある(上記DNA配列のe部分)。
近年、多くの遺伝子のDNA配列が明らかとなり、遺伝子
におけるコドン利用頻度を調べることが可能となった。
その結果、各生物間におけるコドン利用頻度に差がある
ことが判明した。そこで、効率よく発現させるためにそ
のDNA配列を化学的に合成する場合、宿主として用いる
生物の至適コドンが多く含まれるようにDNA配列を設計
するのが一般的に行われている。本発明のヒルジン分泌
プラスミドの構築に、化学的合成されたヒルジンをコー
ドするDNA配列を用いる。一般にアミノ酸をコードするD
NA配列が一種類に限定されないことから、何種類かのヒ
ルジンをコードするDNA配列が考えられたが、本発明の
場合、特に、バチルス・ズブチリスを宿主として発現さ
せることを考えて、バチルス・ズブチリス用の至適コド
ンが多く含まれるように設計されているDNA配列を用い
た。
また、プロモーター、リボゾーム結合部位および分泌シ
グナルをコードする領域の下流に、異種蛋白質をコード
するDNA断片を挿入結合することが可能で、しかもバチ
ルス属細菌で複製可能な異種蛋白質分泌プラスミドを創
製する場合は、短時間の内に菌体外に分泌生産される分
泌蛋白質の遺伝子を用いることが重要である。
そのような分泌蛋白質としては、アルカリ性プロテアー
ゼ、α−アミラーゼ、レバンシュクラーゼ等が知られて
いる。しかしながら、このような分泌蛋白質のプロモー
ター、リボゾーム結合部位および分泌シグナルをコード
する領域の下流に、異種蛋白質をコードするDNA断片を
挿入結合したバチルス属細菌で複製可能な異種蛋白質分
泌プラスミドを構築するだけでは、異種遺伝子産物が菌
体外に効率よく分泌生産させえない場合のあることを、
Ulmanenら(参考文献19)、Schein(参考文献20)らが
報告が示していることに注目すべきである。
本発明者らは、ヒルジンを多量に菌体外に分泌しうる能
力を有する分泌蛋白質をコードする遺伝子を鋭意探索
し、さらに分泌シグナルをコードするDNA断片とヒルジ
ンをコードするDNA断片の結合との仕方を種々追究した
結果、バチルス属細菌の、特に好ましくは、バチルス・
アミロリキファンエンスの中性プロテアーゼ遺伝子を選
択し、かつこの中性プロテアーゼ遺伝子のプロモータ
ー、リボゾーム結合部位および分泌シグナルをコードす
る領域の直後にヒルジンをコードするDNA断片を結合さ
せることにより、本発明の実施例で示すようにきわめて
優れた成績を有する本発明の分泌プラスミドを構築する
ことが出来た。
本発明のヒルジン分泌プラスミドを構成するベクターDN
Aとしては、バチルス属細菌で複製可能なものであれば
如何なるものでも使用可能である。通常よく用いられる
ものとしてスタフィロコッカス属由来のプラスミドpU
B110、pTP5、pC194、pDB9、pBD6
4、pBC16、pE194等およびその誘導体を挙げ
ることができる。上記のプラスミドを有するバチルス・
ズブチリスは、いずれもオハイオ大学バチルスストック
センター(住所;484 West 12th Avenue Columus Ohaio
43210 USA)で万人に分譲されるものである。
とくに、本発明で用いるベクターDNAとしては、バチル
ス属細菌で複製可能なプラスミドであれば如何なるもの
でもよいが、分子生物学的知見の蓄積が多く、かつバチ
ルス属細菌で安定に保持される点からpUB110がよ
い。
本発明のヒルジン分泌プラスミドは、実施例に記載する
ように、中性プロテアーゼ遺伝子のプロモーター、リボ
ゾーム結合部位および分泌シグナルをコードする領域の
直後に異種蛋白質をコードすることのできる異種蛋白質
発現分泌ベクターを用いて、そのプロモーター、リボゾ
ーム結合部位および分泌シグナルをコードする領域の直
後にヒルジンをコードするDNA断片を挿入結合し構築し
たものである。本発明のヒルジン分泌プラスミドは、ま
た、化学的に合成した前記のDNA配列を含むDNA断片と適
当な制限酵素で切断したバチルス属細菌で複製可能なベ
クターDNA断片とを常用の連結技術を用いて結合するこ
とにより構築することも可能である。これらの場合、2
つのDNA断片は、例えば、共通の制限酵素部位を介し
て、および/または合成DNAリンカーを用いることによ
り、および/または平滑末端結合により連結されること
が可能である。
バチルス・アミロリキファシエンスの中性プロテアーゼ
遺伝子のプロモーター、リボゾーム結合部位、および、
分泌シグナルをコードする領域の下流にヒルジンタンパ
クをコードするDNA断片を結合させたDNA断片が上記に記
載したベクターDNAと結合して構築されたヒルジン分泌
プラスミドは、これを用いてバチルス・ズブチリスを形
質転換して形質転換株を得ることができる。
バチルス・ズブチリスの形質転換の方法としては、当業
界で用いられている方法ならばいかなる方法を用いるこ
とが可能である。
例えば、Changらの方法(参考文献24)により行うこと
ができる。この方法は、3段階に分けることができる。
(1)バチルス・ズブチリスを等調液において、リゾチウ
ムで処理することによる細胞壁のないバチルス・ズブチ
リス、すなわちプロトプラストを生成させる過程 (2)ポリエチレングリコール溶液を用いた、ベクターDNA
によるプロトプラストの形質転換を行う過程 (3)再生培地におけるプロトプラストの細胞壁の再生と
形質転換されたバチルス・ズブチリスを選択する過程 かくしてえられた形質転換株を用いヒルジンを得るには
その菌株を通常の方法で液体培養すればよい。例えば、
2の三角フラスコに、400mlのLB培地(参考文献25)
に形質転換株を植菌した後、37℃で、約20時間、好まし
くは最大収量のヒルジンが分泌産生されるまで、振盪を
行いながら培養する方法がある。
本発明の形質転換株は、資化可能な炭素源、窒素源、お
よび無機塩源を有す液体培地で培養される。例えば、通
常よく用いられる液体培地としてLB培地が挙げられる。
また、ここで用いる菌株としては、本発明のヒルジン分
泌プラスミドで形質転換されるバチルス属細細菌なら如
何なるものでもよいが、遺伝学的、生化学的、分子生物
学的、応用微生物学的知見が多く蓄積されており、かつ
安全性も高い点からバチルス・ズブチリスがよい。
培養液からのヒルジンの調製は、培養上清から回収精製
を行えば実施可能である。本発明者らは、この培養上清
のpHを塩酸で3に調整した後、70℃で15分間処理して生
じた蛋白性の沈殿を遠心で除いて得られた上清画分にヒ
ルジンは残存し、しかも、その存在比は、全蛋白に対し
20%と高まり極めて夾雑蛋白の少ないものとなることを
見出した。その結果、培養液中に分泌されたヒルジン
は、この上清から、陽イオン交換クロマトグラフィーと
陰イオン交換クロマトグラフィーおよびアフィニィティ
ークロマトグラフィーにより容易に精製できる。
本発明者らは、ヒルジン分泌プラスミドを用いて形質転
換されたバチルス・ズブチリスを2倍濃度のLB培地で培
養することにより、10mg/・A660相当の抗トロンビン
活性を有するヒルジンが分泌蓄積されることを見出し
た。なお、この時のバチルス・ズブチリスの生育度を示
す培養液の吸光度(A660)は、10であった。この単位(mg/
・A660)は、培養上清(1)に蓄積したヒルジンの
量(mg)を、培養液のバチルス・ズブチリスの生育度を示
す吸光度(A660)で割った値を示す。
この培養上清(1)のpHを塩酸で3に調整した後、70
℃で15分間処理して生じた蛋白性の沈殿を遠心で除いて
得られた上清画分から、陰イオン交換クロマトグラフィ
ーおよびアフィニィティクロマトグラィーを用いて精製
後、培養液1から35mgのヒルジンを得ることが可能で
あることが判明し、本発明を完成したのである。
また、本発明のヒルジン分泌プラスミドは、中性プロテ
アーゼ遺伝子の分泌シグナル領の3′末端直後に、ヒル
ジンのDNA断片の5′末端が直接結合した型のDNA領域を
有しおり、このプラスミドで形質転換して得た形質転換
株の菌体内あるいは、細胞膜において、中性プロテアー
ゼ分泌シグナルのC末端に存在するアミノ酸の直後にヒ
ルジンのN末端に存在するアミノ酸が結合した型の前駆
体蛋白質が合成されると考えられる。一般に、分泌の過
程において、分泌シグナルは除去されることが知られて
おり、本発明の場合も、分泌シグナルが除去された、ヒ
ル由来のヒルジンと同じN末端アミノ酸配列を有する天
然型ヒルジンの分泌生産が期待される。しかしながら、
単に分泌蛋白質をコードする遺伝子のプロモーター、リ
ボゾーム結合部位、および分泌シグナルをコードする領
域の直後に、所望の成熟蛋白質をコードするDNA断片を
結合させただけでは、菌体内で合成されると考えられる
分泌シグナルの下流に成熟蛋白質が結合した型の前駆体
蛋白質から分泌シグナルが除去された成熟蛋白質を効率
よく分泌させ得ない場合のあることをSchein(参考文献
20)らが報告している。本発明においてもヒルジン分泌
プラスミドにより形質転換されたバチルス・ズブチリス
の場合も、中性プロテアーゼ分泌シグナルのC末端に存
在するアミノ酸の直後にヒルジンのN末端に存在するア
ミノ酸が結合した型の前駆体蛋白質から、分泌シグナル
が除去された天然型ヒルジンが分泌されるかどうかにつ
いては不明であった。
本発明者らは、分泌シグナルとヒルジンとの結合の仕方
を種々検討した結果、本発明の場合のみが驚くべきこと
に、本発明の実施例に示すように、形質転換されたバチ
ルス・ズブチリスによって、天然型ヒルジンが培養液中
に分泌されることが見出された。
(作用) 本発明の一態様として示すように、バチルス・アミロリ
キファシエンスの中性プロテアーゼ遺伝子のプロモータ
ー、リボゾーム結合部位および分泌シグナル領域を利用
してヒルジン分泌プラスミドを構築し、バチルス・ズブ
チリスに導入して得た形質転換株を培養することによ
り、ヒル由来のヒルジンと同じN末端アミノ酸配列を有
し、しかも同じアミノ酸組成を有するヒルジンを培養上
清中に分解させることなく分泌させることが可能となっ
た。すなわち、ヒルジンを培養上清から簡単な方法で回
収精製できるヒルジンの製造法が確立された。
(実施例) 以下、本発明を具体例で説明するが本発明は、この例に
より何ら限定されるものではない。
実施例1 異種蛋白質発現分泌ベクターpNPA225の構築 バチルス・アミロリキファシエンスの中性プロテアーゼ
遺伝子のプロモーター、リボゾーム結合部位および分泌
シグナルをコードする領域の直後に異種蛋白質をコード
するDNA断片を挿入結合することの可能な異種蛋白質発
現分泌ベクターpNPA225は第1図に示した方法に従って
構築した。
プラスミドpNPA84は、中性プロテアーゼ遺伝子のプロモ
ーター、リボゾーム結合部位、分泌シグナル、およびプ
ロペプタイドの上流域をコードする領域の下流に、成熟
α−アミラーゼタンパクをコードするDNA断片が結合し
たDNA断片を有するアミラーゼ分泌プラスミドである。
成熟α−アミラーゼ遺伝子とは、天然に存在するロイシ
ンから始まるα−アミラーゼ活性を有する蛋白質をコー
ドするDNA断片を指す。このプラスミドpNPA84を含む形
質転換株MT-8400(FERM BP-923)から、pNPA84をTabakら
の方法(参考文献26)を用いて調製した。このpNPA84DN
Aを制限酵素HpaII(宝酒造製)と制限酵素BamHI(宝酒
造製)とで分解して生じた約7.8KbのDNA断片(以下、DN
A断片Aとする)をアガロースゲルを用いた電気泳動に
より精製した。このDNA断片Aは、中性プロテアーゼ遺
伝子のプロモーター、リボゾーム結合部位およびC末端
領域を欠く分泌シグナルをコードする領域を含んでい
る。一方、中性プロテアーゼ遺伝子の分泌シグナル領域
の直後に制限酵素StuI切断部位を創製するために、16me
rと18merの2種類の合成オリゴヌクレオチドを改良トリ
エステル法(参考文献27)で合成した。2種類の合成オ
リゴヌクレオチ各1μgをT4ポリヌクレオチドキナーゼ
(宝酒造製)、およびdATP(ファルマシア製)を用いて
リン酸化した(参考文献28)。次に、これらの反応生成
物を混ぜ、熱湯中で3分間加熱後、ゆっくりと冷却する
ことにより2種類の合成オリゴヌクレオチドをアニルし
た。然る後に、DNA断片A(0.5μg)とアニールした合
成オリゴヌクレオチド(1μg)をT4リガーゼ(宝酒造
製)を用いて結合し、ハイブブリッドプラスミドpNPA22
5を得た。
実施例2 ヒルジン分泌プラスミドpNPH208の構築 プラスミドpNPH208は第2図に示した方法に従って構築
した。
まず、ヒルジンのN末端から10残基目までのアミノ酸を
コードするDNA領域を含むDNA断片(第3図)を構築する
ために、2種のオリゴヌクレオチドを合成した。次に、
得られた合成オリゴヌクレオチド各1μgは、リン酸化
後アニールした。これと制限酵素StuIと制限酵素BamHI
とで切断したpNPA225DNA(0.5μg)とをT4リガーゼ
(宝酒造製)を用いて結合させ、中性プロテアーゼ遺伝
子の分泌シグナルをコードする領域の直後にヒルジンを
コードするDNA断片のN末端領域(ヒルジンのN末端か
ら10アミノ酸残基目までに対応)が結合したハイブッリ
ドプラスミドpNPA225△Hを得た。
ヒルジンのアミノ酸配列に対応するコドンをバチルス・
ズブチリスで多く用いられているコドン、すなわち至適
コドン(参考文献29)から選んで化学合成した合成DNA
とベクターpBR322DNAとから構築したプラスミドp4014に
よる形質転換株(FERM P-9924)は既に寄託してある。
ヒルジンをコードするDNA断片は、この形質転換株p4014
から次のようにして得た。まず、p4014を制限酵素EcoRI
と制限酵素BamHIとで切断することにより、ヒルジンを
含むDNA断片を調製した。このDNA断片をプラスミドpUC
13の制限酵素EcoRIと制限酵素BamHI切断部位に挿入結合
させたハイブッリドプラスミドp3009を構築した(第5
図)。このp3009DNA(2μg)を制限酵素AccIIIとHind
IIIとで分解することにより、ヒルジンの11番目からC
末端までのアミノ酸配列をコードするDNA領域を含むDNA
断片(DNA断片B)を調製アガロースゲル電気泳動によ
って精製した。
このDNA断片(1μg)とpNPA225△Hを制限酵素AccIII
とHindIIIとで分解した結果生じた約6.0KbのDNA断片(D
NA断片C)(1μg)をT4リガーゼを用いて結合し、ヒ
ルジン分泌プラスミドpNPH208を構築した。このpNPH208
は、バチルス・アミロリキファシエンスの中性プロテア
ーゼ遺伝子のプロモーター、リボゾーム結合部位および
分泌シグナルをコードする領域の直後にヒルジンをコー
ドするDNA断片が結合したDNA配列を含むハイブリッドプ
ラスミドである。
実施例3 ヒルジン分泌プラスミドによるヒルジンの分泌生産 実施例2で構築したプラスミドpNPH208を用いて、バチ
ルス・ズブチリスMT-430株(FERM BP-1079)をChangらの
方法(参考文献24)に従い形質転換した。得られた形質
転換株MT-208(FERM P-10028)を2倍濃度のLB培地を用い
て、37℃で20時間振盪培養した。得られた培養上清中の
抗トロンビン活性を測定することにより、ヒルジンの分
泌蓄積量を測定した。抗トロンビン活性は、トロンビン
に対する合成基質H-D−フェニルアニル−L−ピペコリ
ル−Lアルギニル−p−ニトロアニリド水解活性の阻害
度を測定することによった(参考文献30)。すなわち、
50μlのトロンビン(持田製薬製)溶液(20IU/ml)と
緩衝液(50mM Tris-HCl、pH8.0)50μlを中性から酸性
で混合し、室温で2分間プレインキュベートしたのち50
μlを、H-Dフェニルアニル−L−ピペコリル−L−ア
ルギニル−p−ニトロアニリド(第一化学薬品株式会社
製)溶液に加えた(基質終濃度、0.25mM)。反応開始後
p−ニトロアニリドの遊離を波長405nmで測定し、単位
時間当りの吸収の増加をaとした。次に、緩衝液の代わ
りに、試料溶液を加え、同様の操作を行い、波長405nm
の吸収の増加を測定し、その値をbとした。(a-b)/aを
算出することにより、培養上清の抗トロンビン活性を測
定した。抗トロンビン活性1Unitは、トトロンビン1N1H
Unitを中和するものとして定義される。この活性測定法
からヒルジン含有量を求めるには、トロンビン比活性を
別に求め、ヒルジンが、1:1(モル比)でトロンビン
を阻害することから計算した。
2倍濃度のLB培地を用いて37℃で20時間培養後の培養上
清には、培地1あたり約116万Unitsの抗トロンビン活
性、すなわち約100mgのヒルジンの蓄積が認められた。
なお、この時のバチルス・ズブチリスの生育度を示す培
養液の吸光度(A660)は、10であった。また、分泌蓄積
した抗トロンビン活性は経時的に増加し、分泌した抗ト
ロンビン活性の減少は認められなかった。また、培養上
清にトリクロロ酢酸を添加して得た沈殿をSDS-PAGEで解
析した結果は、シグマ社より購入したヒルジンを精製し
て得たヒルジン標品と同じサイズの蛋白質が多量に培養
上清中に蓄積していることを示した。また、この蛋白質
は、ゲルスキャナーデンシトメーターで解析した結果、
MT-208株の培養上清中のヒルジンの存在量は5%にも及
んだ。この上清を70℃で15分間加熱処理して生じた蛋白
性の沈殿を遠心で除いて得られた上清画分中に、抗トロ
ンビン活性は残存し、しかも、全蛋白質に対するヒルジ
ンタンパクの存在比が20%と高まり夾雑蛋白質の極めて
少ないものとなることが判明した。この上清から、精製
した得られたヒルジン(参考文献31)は、SDS-PAGE的に
1バンドであり、しかも、シグマ社より購入したヒル由
来のヒルジンを精製して得たヒルジン標品と同じサイズ
の分子量を有していることが判明した。そこで、得られ
た精製ヒルジンを用いて、そのN末端アミノ酸配列を決
定した(参考文献32)ところVal-Val-Tyr-Thr-Asnであ
ることが判明した。
また、この精製ヒルジン(10μg)を、6規定塩酸中
で、110℃、24時間反応して得られた加水分解物を用い
て、アミノ酸組成分析を行った(参考文献33)。その結
果を表1に示す。表1に、得られた分析値は、ヒル由来
のヒルジンのアミノ酸配列から計算されるアミノ酸組成
の理論値とよく一致した。
これらことは、本発明のヒルジン分泌プラスミドで形質
転換されたバチルス・ズブチリスにより分泌生産される
ヒルジンが、ヒル由来のヒルジンと同じN末端アミノ酸
配列を有し、しかも同じアミノ酸組成を有することを示
すものである。
また、トロンビン阻害実験の結果、この精製ヒルジン
は、化学量論的にトロンビンと1:1.14で反応すること
が明らかとなった。
これらのことは、また、本発明のヒルジン分泌プラスミ
ドで形質転換されたバチルス・ズブチリスにより分泌生
産されるヒルジンが、抗トロンビン活性に関してヒル由
来のヒルジンと同じ活性を有するものであることを示す
ものである。
表1において、Alaはアラニンを、Valはバリンを、Leu
はロイシンを、Ileはイソロイシンを、Metはメチオニン
を、Trpはトリプトファンを、Pheはフェニルアラニン
を、Proはプロリンを、Glyはグリシンを、Serはセリン
を、Thrはトレオニンを、Cysはシステインを、Tyrはチ
ロシンを、Aspはアスパラギンを、Gluはグルタミンを、
Lysはリジンを、Hlsはヒスチジンを、Argはアルギニン
を、Asnはアスパラギン酸を、Glnはグルタミン酸を示
す。
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106 29.Ogasawara,N.;Gene,40,145-150(19885) 30.Chang,J.;FEBS Lett.164,307-313,(1983) 31.Walsmann,P.et al.,;THROBOSIS RESERCH 40,563-56
9,(1985) 32.Hewick R.M.et al.,;J.Biol.Chem.256,7990-7999(1
981) 33.Chang et al.,;"Method in Enzymol.",91,41(1983)
【図面の簡単な説明】
第1図は、異種蛋白質発現分泌ベクターpNPA225の構築
法を示す図である。 第2図は、ヒルジン分泌プラスミドpNPH208の構築法を
示す図である。 第3図は、ヒルジンのN末端から10番目までのアミノ酸
をコードする合成オリゴヌクレオチドを示した図であ
る。 第4図は、ヒルジンをコードするDNA塩基配列を含むハ
イブリッドプラスミドp3009の構築法である。 なお、第1図、第2図、第4図においてpromoterは、中
性プロテアーゼ遺伝子のプロモーター領域を、SDは、中
性プロテアーゼ遺伝子のリボゾーム結合部位を、pre
は、中性プロテアーゼ遺伝子の分泌シグナルをコードす
る領域を、△proは中性プロテアーゼ遺伝子のプロペプ
タイドの上流域を、α‐amylaseはアルファーア
ミラーゼをコードするDNA配列を、Hは、ヒルジンをコ
ードするDNA配列を、△Hは、ヒルジンをコードするDNA
配列の上流域を、△proteaseは中性プロテアーゼの後半
部分を示す。 また、第1図、第2図および第3図において、Aはアデ
ニンを、Cはシトシンを、Tはチミンを、Gはグアニン
を示す。 また、第2図および第3図において、Alaはアラニン
を、Valはバリンを、Leuはロイシンを、Ileはイソロイ
シンを、Metはメチオニンを、Trpはトリプトファンを、
Pheはフェニルアラニンを、Proはプロリンを、Glyはグ
リシンを、Serはセリンを、Thrは、トレオニンを、Cys
はシステインを、Tyrは、チロシンを、Aspはアスパラギ
ンを、Gluはグルタミンを、Lysはリジンを、Hisはヒス
チジンを、Argはアルギニンを、Asnはアスパラギン酸
を、Glnはグルタミン酸を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12N 15/75 C12R 1:07) (C12N 1/21 C12R 1:125) (C12P 21/02 C12R 1:125) (56)参考文献 特開 昭62−122589(JP,A) 特表 昭61−501609(JP,A)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】バチルス・アミロリキファシエンスの中性
    プロテアーゼ遺伝子のプロモーター、リボゾーム結合部
    位および分泌シグナルをコードする領域の直後にヒルジ
    ンをコードし、下記のDNA配列であるDNA断片を結
    合させたDNA配列が、ベクターDNAに結合している
    ことを特徴とするヒルジン分泌プラスミド。 5′GATCTTAACATTTTTCCCCTATC
    ATTTTTCCCGTCTTCATTTGTCATT
    TTTTCCAGAAAAAATCGTCATTCGA
    CTCATGTCTAATCCAACACGTCTCT
    CTCGGCTTATCCCCTGACACCGCCC
    GCCGACAGCCCGCATGGACGAATCT
    ATCAATTCAGCCGCGGAGTCTAGTT
    TTATATTGCAGAATGCGAGATTGCT
    GGTTTATTATAACAATATAAGTTTT
    CATTATTTTCAAAAAGGGGGATTTA
    TTGTGGGTTTAGGTAAGAAATTGTC
    TAGTGCTGTAGCCGCTTCCTTTATG
    AGTTTAACCATCAGTCTGCCGGGTG
    TTCAGGCCGTTGTTTATACAGATTG
    CACAGAATCCGGACAAAATTTATGT
    TTATGTGAAGAATCTAATGTTTGTG
    GACAAGGAAATAAATGTATTTTAGG
    ATCTGATGGAGAAAAAAATCAATGT
    GTTACAGGAGAAGGAACACCGAAAC
    CGCAATCTCATAATGATGGAGATTT
    TGAAGAAATTCCTGAAGAATATTTA
    CAA3′
  2. 【請求項2】ベクターDNAが、バチルス属細菌で複製
    可能なプラスミドであることを特徴とする請求項1に記
    載のヒルジン分泌プラスミド。
  3. 【請求項3】請求項2に記載のバチルス属細菌で複製可
    能なプラスミドが、pUB110であることを特徴とす
    るヒルジン分泌プラスミド。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3に記載したヒルジン分泌プ
    ラスミドから任意に選択される一つのヒルジン分泌プラ
    スミドにより形質転換されたバチルス・ズブチリス。
  5. 【請求項5】請求項4に記載するバチルス・ズブチリス
    を培養し、その培養上清からヒルジンを回収することを
    特徴とするヒルジンの製造法。
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