JP2859297B2 - トロンビン阻害活性を有するポリペプチドおよびその製造法 - Google Patents

トロンビン阻害活性を有するポリペプチドおよびその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、トロンビン阻害活性を有するポリペプチ
ド、およびその製造法に関するものである。
〔従来の技術〕
近時増加傾向にある疾病として、血栓症が注目を浴び
ている。血栓とは,血管内に於いて血液が凝固して生じ
た塊で、これが形成される病的現象を血栓症と言う。血
栓の形成は血管内皮の変化,ことに硬化性、炎症性の変
化がある部位に頻発することが知られているが、これら
の病変は加齢とともに急速に増加し、しかも、世界的に
寿命が延びてきていることも血栓症増加の原因となって
いる。血栓は、全身血中で、トロンビンが病的に活性化
された結果、微小血管系にフィブリンが沈着することが
原因で形成されることが知られている。血栓症は、血栓
による血管控の狭窄、閉塞をもたらし、主要臓器、例え
ば、心、脳、肺などの臓器に虚血性病変や梗塞を生じ、
それらの機能障害を招来する。これらの血栓症は、さら
に近年、腎炎や肺臓炎などの免疫学的機序による臓器炎
の発生病理や、臓器、代用血管移植時の随伴病変として
注目されている。また、主として微小血管内で血栓が多
発する病的状態として知られている汎発性血管内凝固症
候群(DIC)が特異な病態として注目を浴びている。こ
のDICという概念が提唱されたのは1960年代で、当初DIC
はきわめて珍しい症候群と考えられていた。しかし、近
年に至り、DICは決して珍しいものでないことが明らか
となり、しかも、これまで各種疾患の末期に生じる出血
や臓器症状として十分に説明されないまま見過ごされて
きた各種の臨床症状がDICの結果として理解されるよう
になってきている。
血栓症の臨床病理学的例としては、脳卒中や心筋梗
塞、深部静脈血栓症や四肢動脈の閉塞、肺血栓や眼底血
栓などがあるが、これらのものを専門領域で種々臓器の
ものを合計すれば、罹病率でも死因でも各種疾患中第1
位をしめるといわれている。
従って、血栓症の臨床的ならびにその病理学的意義は
今後ますます重要になると考えられる。
このような血栓症の治療剤として、アンチトロンビン
IIIを介して作用するヘパリンや、ビタミンK依存性の
血液凝固因子の生合成を阻害する抗ビタミンK剤が知ら
れている。また、別のトロンビン阻害剤として、非ペプ
タイド系の蛋白分解酵素阻害剤としてメシル酸ガベギサ
ート剤が知られている。このものは、プラスミン、カリ
クレイン、トリプシン等の生理的に重要な意義を有する
酵素に対する阻害効果もあり、その使用には慎重な配慮
が必要となる。
従来からよく知られているヘパリンは、DICを始めと
する血栓症に繁用される抗血栓剤であるが、その作用は
アンチトロンビンIIIの凝固阻止作用を加速することに
あるため、DICやネフローゼに合併した血栓症のごと
く、アンチトロンビンIIIが減少した血栓症の治療には
有効でないと考えられる(参考文献1)。このような点
から、DICを含む血栓症の予防薬、あるいは、治療薬と
しての可能性のある新規な抗血栓剤の開発は、治療医
学、予防医学において重要なことである。
このような薬効を有する抗血栓剤としてHV1型ヒルジ
ンに期待が寄せられている。
HV1型ヒルジンとは、真核生物である医用ヒル(Hirud
o medicinalis)の唾液腺に存在するトロンビン阻害活
性を有するポリペプチドである。HV1型ヒルジンは、65
アミノ酸残基からなり、また構造上の特徴としては、ト
ロンビン阻害活性の発現に必須な3個の分子内S−S結
合の存在が知られている。特に、HV1型ヒルジンは、ト
ロンビンおよびプレトロンビン2に対し作用特異性がき
わめて高く(解離定数:0.8×10-10)(参考文献2)、
トロンビン以外では活性化第IV因子が阻害されるのみで
ある。すなわち、HV1型ヒルジンは血液凝固に関与る酵
素以外の酵素は阻害することがない。また、HV1型ヒル
ジンは、毒性が極めて低く、非抗原性であるといわれて
おり、かつ、生物活性を有した型ですみやかに腎臓から
尿中に排泄される(参考文献3)。
これらの点から、HV1型ヒルジンは、従来の抗血栓剤
に代わるきわめて有用なDICを含む血栓症の予防薬、あ
るいは、治療薬としての可能性を有している。
〔発明が解決しようとする課題〕
組換えDNA技術が出現する以前のHV1型ヒルジンの生産
は、ヒルから直接抽出することによりなされていた。し
かしながら、この方法では、少量のヒルジンを得るため
にも多量の絶食ヒルを必要とし、また、粗製ヒルジンを
得るにも、かなり複雑な精製工程と時間を有するもので
あった。例えば、純度約10%程度の、しかもHV1型ヒル
ジン以外にもヒル由来の夾雑蛋白の多い粗製ヒルジンを
調製するにも2から3週間絶食させたヒルのホモジネー
トを熱水抽出したものから、エタノール沈殿、アセトン
分別沈殿、ベントナイトによる吸着と脱着、等電点沈殿
を行う必要があった。さらに、純品としてのHV1型ヒル
ジンを得るには、この粗製ヒルジンを用いて、ECTEOLA
celluloseカラムクロマトグラフィー,Shepahdex CM
−25カラムクロマトグラフィー、Shephadex G−25に
よるゲル濾過を行う必要があり、収率は0.001%にも達
しないと報告されている(参考文献4)。このように少
量しかえられないため、HV1型ヒルジンは医薬として実
用上利用できず、HV1型ヒルジンの優れた特性から期待
される治療的利用はいまだ達成されていない。
近年、組換えDNA技術により微生物を宿主として、通
常その微生物には存在しない異種遺伝子を発現させ、異
種遺伝子産物を多量に生産することが可能となりつつあ
る。
微生物を宿主として用いる組換えDNA技術による物質
生産は、大きく菌体内生産と菌体外分泌生産とに分けら
れる。
菌体内生産の場合、異種遺伝子産物を菌体内に効率よ
く生産することが可能であるが、異種遺伝子産物の菌体
内プロテアーゼによる分解、多量に生産させた場合に観
察される封入体の形成および、異種遺伝子産物のアミノ
末端への転写開始コドンであるメチオニンの付加などの
問題点がある。これらの問題点はすべて、異種遺伝子産
物を菌体外に分泌させることにより解決されることが最
近の研究により明らかとなってきた(参考文献5)。さ
らに、菌体外生産の場合は目的とする異種遺伝子産物の
精製が容易となり、しかも異物混入の恐れも顕著に減少
できるという利点を有している。
以上記載してきたように、異種遺伝子産物を分泌生産
させることは物質生産上大きな意義を有するものであ
る。
HV1型ヒルジンに関しても菌体内生産と菌体内の分泌
生産の報告がある。
前者の場合、すなわち、大腸菌を宿主としたHV1型ヒ
ルジンの菌体内生産の場合、菌体内に0.2mg/・A660相
当のトロンビン阻害活性を有するHV1型ヒルジンの蓄積
しか認められなかったと報告(参考文献6)されてい
る。このように少量のHV1型ヒルジンしか蓄積しなかっ
た原因は、おそらくS−S結合が正確に架橋されていな
いトロンビン阻害活性を保持しない不活性型ヒルジンが
蓄積したためと考えられた。
後者の場合、すなわち、HV1型ヒルジンのN末端上流
に分泌シグナルが結合した型の前駆体蛋白質として菌体
内で発現させ、菌体外へ分泌させれば、菌体内生産の問
題点を回避してHV1型ヒルジンが菌体外に分泌されるこ
とが期待される。
このような観点から、大腸菌、および酵母を宿主とし
たHV1型ヒルジンの分泌生産について報告されている。
大腸菌を宿主としたHV1型ヒルジンの分泌生産の場
合、特に、J.Dodtら(参考文献7)が指摘しているよう
な問題点が生じた。すなわち、彼らは大腸菌のアルカリ
性ホスファターゼの分泌シグナルの直後に成熟HV1型ヒ
ルジンを結合させた分泌プラスミドを構築し、大腸菌を
宿主としてHV1型ヒルジンの分泌を試みた。この場合、H
V1型ヒルジンの他に、HV1型ヒルジンのN末端上流に3
つのアミノ酸が付加したポリペプチドも分泌された。こ
のポリペプチドのトロンビン阻害活性はHV1型ヒルジン
の約500分の1に低下してしまうことが判明した。
また、酵母を宿主とした異種遺伝子産物の分泌の生産
の場合は、特に、異種遺伝子産物のC末端側のアミノ酸
残基の欠失がするという問題点が指摘されている(参考
文献8)。実際に、酵母を宿主としたHV1型ヒルジン分
泌生産の場合も、HV1型ヒルジンが培養液1中に10mg
蓄積した(参考文献9)。しかし、この場合、HV1型ヒ
ルジンの他にも、トロンビン阻害活性の低下したHV1型
ヒルジンのC末端の1ないし2アミノ酸残基を欠失した
ヒルジンの存在も認められたと報告されている(参考文
献10)。
このような問題点を回避するため、本発明者らは、蛋
白質を多量に分泌する能力を有し、酵素、アミノ酸、核
酸等の生産に使用される工業用微生物として使用経験の
豊富なバチルス属細菌を宿主として用いるHV1型ヒルジ
ンの分泌生産について検討した。特に、バチルス属細菌
の中でも、遺伝学的、生化学的、分子生物学的、応用微
生物学的知見が多く蓄積されているバチルス・ズブチリ
スを宿主として用いる方法に検討を加えた。このような
特徴を有するバチルス・ズブチリスを宿主とした異種遺
伝子産物の菌体外分泌の試みについては既にいくつかの
報告がある(参考文献11、参考文献12)が、バチルス・
ズブチリスを宿主とした真核生物由来の蛋白質を多量に
分泌生産させることは必ずしも容易でないことも報告さ
れている(参考文献13)。
このような状況のなかで、後述の製造例1に示すよう
に、本発明者らは、バチルス・アミロリキファシエンス
の中性プロテアーゼ遺伝子を用いた異種遺伝子産物発現
分泌ベクターを構築した。これを用いて、比較例1に示
すHV1型ヒルジン分泌プラスミドを構築した。さらに、
このプラスミドで形質転換したバチルス・ズブチリスを
用いて、比較例2に示すように、培養液1当り80から
100mgのHV1型ヒルジンを分泌させることに成功した。し
かしながら、この場合、少量ではあるが、S−S結合が
正確に架橋されていないと考えられるトロンビン阻害活
性を有さない不活性型ヒルジンが混在することが判明し
た。
すでに記載したように、大腸菌でHV1型ヒルジンを菌
体内生産させた場合も、このような不活性型ヒルジンが
生産されたことから、バチルス・ズブチリスを宿主とし
た場合にも不活性型ヒルジンが生成される原因の一つと
して、分泌効率の悪さが考えられた。この場合、分泌効
率を改良すれば、このようなS−S結合が正確に架橋さ
れていないものの混在率が低下すると考えられた。他
方、このような分泌効率は、分泌シグナルのC末端アミ
ノ酸残基と異種遺伝子産物のN末端アミノ酸残基とから
なる結合領域のアミノ酸配列により影響されることを、
Palva(参考文献14)らとScheinら(参考文献15)が報
告している。彼らの報告は、異種遺伝子産物を菌体外に
分泌するために必要な分泌シグナルのC末端アミノ酸と
目液とする異種遺伝子産物のN末端アミノ酸が、本来の
分泌シグナルの切断点のアミノ酸配列と異なったものと
なる時には分泌効率が低下してしまうことを示唆するも
のである。
両者の結合領域のアミノ酸配列を本来の分泌シグナル
の配列と同じくする方法として、目的の異種蛋白質のN
末端配列を置換する方法、両者の結合領域に本来の分泌
シグナルの切断点のアミノ酸配列が再現されるようなDN
A配列を有する結合領域を導入する方法が考えらる。後
者の方法には後述するような結合領域に由来するアミノ
酸残基付加による活性低下の問題点があるため、本発明
者らは、前者の方法について検討した。しかし、HV1型
ヒルジンのN末端領域のアミノ酸配列(1から5位)
は、HV1型ヒルジンのC末端活性部位の構造保持に関係
している点で重要な配列(参考文献16)で、この部分の
変更は活性保持に大きな影響を与える。例えば、前述し
ているように、この部分の上流に3残基のアミノ酸が附
加した型のポリペプチドのトロンビン阻害活性は、HV1
型ヒルジンのトロンビン阻害活性に比べて1/500に低下
したと報告されている(参考文献7)。このことから、
HV1型ヒルジンのN末端領域のアミノ酸配列は、トロン
ビン阻害活性の発現において重要な役割を果たしている
ことが明確に理解できる。このことは、HV1型ヒルジン
のN末端領域を置換することにより、本来の分泌シグナ
ルの切断部位のアミノ酸配列を再現した場合、たとえHV
1型ヒルジンのN末端アミノ酸残基が置換されたポリペ
プチドの分泌蓄積量が上昇しても、このポリペプチドの
トロンビン阻害活性は低下してしまう可能性が高いこと
を示唆するものである。
本発明の課題は、血栓症の予防薬あるいは治療薬とし
て使用可能な高いトロンビン阻害活性を有するポリペプ
チドを効率よく生産することであり、組換えDNA技術に
よりトロンビン阻害活性を有するポリペプチドを効率よ
く産生する製造方法を提供することである。この目的の
ためには、バチルス・ズブチリスで効率よく分泌され、
しかもトロンビン阻害活性がHV1型ヒルジンより低下し
てしまうことのない、トロンビン阻害活性を有するポリ
ペプチドのアミノ酸配列を見いだすことが必要となる。
〔課題を解決するための手段〕
上記の点に鑑み本発明者らは、後述の比較例1、およ
び比較例2において述べるように、バチルス・アミロリ
キファシエンスの中性プロテアーゼの分泌シグナルがHV
1型ヒルジンの分泌生産に有用であることを見いだし
た。しかし、さらに高い分泌効率を達成するため、HV1
型ヒルジンのN末端領域アミノ酸配列を改変してHV1型
ヒルジンの有する高いトロンビン阻害活性を失うことな
く分泌生産量を高めることが出来るポリペプチドの前駆
体について検討した。その結果、HV1型ヒルジンのN末
端領域の二つのアミノ酸残基を置換することにより、そ
の高いトロンビン阻害活性を低下せしめることなく、効
率よくバチルス・ズブチリスの菌体外に分泌生産される
ポリペプチドの構造を見いだし、遂に本発明を完成し
た。このポリペプチドは、バチルス・アミロリキファシ
エンスの中性プロテアーゼの分泌シグナルの直後にHV1
型ヒルジンのN末端領域を以下に記すように改変した型
のアミノ酸配列を有する、ポリペプチドを結合させた型
を有するいわゆる分泌前の前駆体の構造を有している。
この前駆体は、分泌の過程でその分泌シグナルが除去さ
れ、成熟型のトロンビン阻害活性を有するポリペプチド
となる。このポリペプチドは、HV1型ヒルジンよりも効
率よく分泌され、その有するトロンビン阻害活性がHV1
型ヒルジンと同等のレベルであることを見出し、本発明
を完成した。
本発明の高いトロンビン阻害活性を有するポリペプチ
ドとは、HV1型ヒルジンのN末端のバリン、およびN末
端から5残基目のアスパラギン酸をそれぞれアラニン、
およびグルタミン酸に置換したものである。また、本発
明は、バチルス・アミロリキファシエンスの中性プロテ
アーゼ遺伝子のプロモーター、リボゾーム結合部位の下
流にトロンビン阻害活性を有する特許請求の範囲の請求
項1に記載するポリペプチドの前駆体をコードするDNA
断片を結合させたDNA断片がベクターDNAに結合している
ことを特徴とする分泌プラスミド、およびこの分泌プラ
スミドで形質転換して得た形質転換株、さらにこの形質
転換株を培養し、その培養上清からトロンビン阻害活性
を有するポリペプチドを回収するトロンビン阻害活性を
有するポリペプチドの製造法に関するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で言うプロモーターとは、RNAポリメラーゼが
認識し結合するDNA配列をいう。
一般に、RNAの合成開始点を“+1"とし、その上流のD
NA配列を並べると、そこから約10塩基のところに共通性
の高いDNA配列の存在が知られている。そのDNA配列は,
5′TATAAT3′であり、“−10領域”といわれている。さ
らに約35塩基上流のところにも共通性の高いDNA配列の
存在が知られており、そのDNA配列は、5′TTGACA3′で
あり、“−35領域”といわれている。通常,“−35領
域”はRNAポリメラーゼの認識のため、“−10領域”は
その結合のために必要とされている(参考文献17)。
バチルス・ズブチリスは幾つかの種類のRNAポリメラ
ーゼを持つことが知られている。この多様性は、バチル
ス・ズブチリスの複雑な発現制御を伴う胞子形成の過程
において重要な役割を果たしている。とくに、栄養増殖
期にあるRNAポリメラーゼの大部分はσ55型RNAポリメラ
ーゼであり、従って大部分の遺伝子の転写はこれによっ
て行われることが知られている(参考文献18)。
本発明の分泌プラスミドにおける、プロモーターの
“−10領域”、および“−35領域”と考えられるDNA配
列は、特許請求の範囲の請求項6に記載のDNA配列のう
ち、それぞれ5′末端から179番目の塩基であるTから
開始する5′TATTAT3′、および202番目の塩基であるT
から開始する5′TTGCAG3′である。このDNA配列は、バ
チルス・ズブチリスの栄養増殖期の主たるRNAポリメラ
ーゼであるσ55型RNAポリメラーゼの認識配列、結合配
列であるコンセンサスな−35および−10領域の配列と高
い相同性を有している(参考文献18)。
また、リボゾーム結合部位とはRNAポリメラーゼによ
り合成されたmRNAがリボゾームと結合するDNA配列を指
す。
一般に,リボゾーム結合部位は開始コドンの5から9
塩基上流に共通にみられるDNA配列で、16SrRNAの3′末
端のDNA配列と相補的なDNA配列を指す。微生物の種類に
よって,その16SrRNAのDNA配列は異なるが、バチルス・
ズブチリスの16SrRNAのDNA配列は3′UCUUUCCUCC5′で
あることが知られている(参考文献18)。
本発明の分泌プラスミドのリボゾーム結合部位と考え
られるDNA配列は、特許請求の範囲の請求項6に記載のD
NA配列において、5′末端から236番目の塩基であるA
から開始する5′AAAGGGGG3′である。このDNA配列は、
バチルス・ズブチリスの16SrRNAと極めて高い相補性を
有するものである。
これらのプロモター、およびリボゾーム結合部位をコ
ードするDNA配列は、遺伝子の発現に重要な役割を果た
す。また、これらのDNA配列は、遺伝子の発現効率に関
係していることは今日広く知られている(参考文献1
8)。
バチルス属細菌を宿主として所望の蛋白質の遺伝子を
発現させる場合は、バチルス属細菌のRNAポリメラーゼ
及びリボゾームが、プロモーター及びリボゾーム結合部
位に対して厳格な特異性を持つため(参考文献18)、そ
れらの領域はバチルス属細菌由来であることが望ましい
(参考文献19)。
分泌蛋白質は、菌体内でその成熟蛋白質のN末端上流
に分泌シグナルが付加した型の前駆体蛋白質として合成
されるが、この前駆体蛋白質は、分泌の過程で分泌シグ
ナルは除去され成熟蛋白質として菌体外に分泌される
(参考文献20)。ここで,成熟蛋白質とは,分泌蛋白質
からそれ自身の分泌シグナルが除去された蛋白質をさ
す。また、分泌シグナルとは、成熟蛋白質のN末端上流
に存在する20から30アミノ酸残基によりなるポリペプチ
ドを指す。分泌シグナルには,次のような特徴がある。
すなわち,N末端近くに塩基性アミノ酸の存在,中央部に
疎水性アミノ酸のクラスターの存在,および分泌シグナ
ルの切断部位に小さな側鎖を有するアミノ酸の存在が知
られている。このポリペプチドは、分泌の過程で除去さ
れるものであり、前駆体蛋白質の細胞膜通過において重
要な役割を果たすと考えられている(参考文献20)。
本発明の分泌プラスミドの構築に用いたバチルス・ア
ミロリキファシエンスの中性プロテアーゼの分泌シグナ
ルであるアミノ酸配列は、Met−Gly−Leu−Gly−Lys−L
ys−Leu−Ser−Ser−Ala−Val−Ala−Ala−Ser−Phe−M
et−Ser−Leu−Thr−Ile−Ser−Leu−Pro−Gly−Val−G
ln−Ala−であり、典型的な分泌シグナルの構造を有し
ている。
この分泌シグナルをコードするDNA配列は、本発明の
特許請求の範囲の請求項6に示すDNA配列のうち5′末
端から251番目の塩基であるGから開始する、5′GTGGG
TTTAGGTAAGAAATTGTCTAGTGCTGTAGCCGCTTCCTTTATGAGTTTAA
CCATCAGTCTGCCGGGTGTTCAGGCCGCT3′である。
本発明者らは、比較例1に記載したように、バチルス
・アミロリキファシエンスの中性プロテアーゼ遺伝子の
プロモーター,リボゾーム結合部位および分泌シグナル
の直後にHV1型ヒルジンをコードするDNA断片を結合させ
ることによりHV1型ヒルジン分泌プラスミドを構築し
た。さらに、比較例2に示すように、このプラスミドで
バチルス・ズブチリスを形質転換して得た形質転換株を
培養することにより培養上清中にHV1型ヒルジンを分泌
させることに成功した。しかしながら、この場合、少量
ではあるがS−S結合が正確に架橋されていないためト
ロンビン阻害活性を有しない不活性型ヒルジンが混在す
ることが判明した。大腸菌を用いてHV1型ヒルジンを菌
体内に生産させた場合もこのような不活性型ヒルジンが
生成したことから、バチルス・ズブチリスにおけるこの
ような不活性型ヒルジンが生成される原因の一つとして
分泌効率の低さが考えられた。すなわち、バチルス・ズ
ブチリスを宿主とした場合もヒルジンの分泌効率が低下
したために不活性ヒルジンが形成されると考えられたの
で、この問題を回避する方法として分泌効率を改善する
ことが有用であることが示唆された。そこで、HV1型ヒ
ルジン分泌プラスミドにおける分泌シグナルと成熟ヒル
ジンとの結合部位のアミノ酸配列、すなわち分泌シグナ
ルの切断点のアミノ酸配列を改変することにより、この
不活性型ヒルジンを活性型ヒルジンに変換することつい
て検討した。すなわち、Palvaら(参考文献14)、Schie
nら(参考文献15)は、分泌シグナルと異種蛋白質の結
合に由来する分泌シグナルの本来のアミノ酸配列から他
のアミノ酸配列への変更が、異種蛋白質の分泌生産性効
率に与える影響ついて報告している。
すなわち、Palvaらは、分泌蛋白質の一つであるバチ
ルス・アミロリキファシエンスのα−アミーラーゼ遺伝
子の分泌シグナルの切断点を含む領域(Ala−Val)の直
後に、または5アミノ酸残基からなる結合領域(Asn−G
ly−Thr−Glu−Ala)を介して成熟インターフェロン(I
FN)をコードするDNA断片を結合させ、ヒトIFNタンパク
の分泌を試みた。この場合、分泌シグナルは除去された
が、分泌されたインターフェロンは、成熟インターフェ
ロンのN末端上流に1個(Val)、または6個(Val−As
n−Gly−Thr−Gln−Ala)のアミノ酸が付加した型の融
合蛋白質が分泌蓄積され、それらの量は、培養液1あ
たり0.5mgから1mgであったと報告している。一方、Sche
inらは、Palvaらと同じα−アミラーゼ遺伝子の分泌シ
グナルのC末端のアミノ酸(Ala)をコードする領域の
直後に、成熟インターフェロン(IFN)をコードするDNA
断片を結合させ、ヒトIFNの分泌を試みた。しかしなが
ら、この場合、多量の前駆体IFN、あるいは成熟IFNが細
胞膜に留まり、培地中への分泌は、少量であったと報告
されている。
また、分泌シグナルの切断部位の構造と分泌効率・膜
透過の関係について検討がなされている(参考文献2
1)。その結果、正確な切断部位の切断には切断部位の
アミノ酸配列が重要な役割を果たしていることが判明し
た。
以上のことは、分泌シグナルと異種遺伝子産物の結合
領域に本来の分泌シグナルのアミノ酸配列が再現されて
いるものの方が、異種蛋白質の分泌生産性が高まる可能
性があることを示唆している。その理由としては本来の
分泌シグナルの切断部位であるアミノ酸配列は、変更さ
れた切断部位に比べ、シグナルペプチダーゼにより容易
に切断されるためと考えられる。このような本来の分泌
シグナルの切断部位を再現するためには、分泌シグナル
のC末端と目的とする異種遺伝子のN末端をコードする
塩基配列の間に、本来の分泌シグナルのアミノ酸配列を
再現しうる塩基配列を有する結合領域を挿入する方法、
あるいはHV1型ヒルジンのN末端アミノ酸配列を本来の
分泌シグナルの切断部位であるアラニル−アラニンを再
現しうるようアラニンに変更することを含むN末端領域
のアミノ酸配列をコードするDNA配列の変更を行う方法
の2通りの方法が考えられた。
前者の場合、すなわち、分泌シグナルのC末端とHV1
型ヒルジンのN末端の間に本来の分泌シグナルの切断点
のアミノ酸配列を再現する挿入領域を設けた場合は、N
末端に余計なアミノ酸が附加した融合蛋白質が分泌され
る場合がある(参考文献14)。とくに、HV1型ヒルジン
の場合はこのような付加アミノ酸の存在は先に示した文
献(参考文献7)にある如く著しいトロンビン阻害活性
の低下を招くことが指摘されている。
また、後者の方法においても、HV1型ヒルジンのN末
端側のアミノ酸配列は、その高いトロンビン阻害活性の
保持に重要な役割を果たすと報告されている点(参考文
献22)から、困難な課題となっている。この課題を本発
明者らは鋭意検討した末、以下に示す如く本発明を完成
した。
すなわち、比較例1に示すHV1型ヒルジン分泌プラス
ミドに於ける分泌シグナルのC末端のアミノ酸とHV1型
ヒルジンのN末端のアミノ酸とが結合する分泌シグナル
の切断部位のアミノ酸配列がアラニル−バリンであり、
本来の中性プロテアーゼの分泌シグナルの切断点のアラ
ニル−アラニンと異なることに着目した。
一方、HV1型ヒルジンのトロンビン阻害活性発現のメ
カニズムはすでに研究されている。これによると、ヒル
ジンC末端(残基56−65)が、トロンビンに結合しトロ
ンビンの立体構造が顕著に変化した結果、トロンビン阻
害活性が発現すると考えられている(参考文献23)。
また、HV1型ヒルジンのN末端(残基1−5)のアミ
ノ酸配列は、すでに報告されているように、HV1型ヒル
ジンのC末端活性部位の構造保持に係している点(参考
文献16)で、重要な配列であると考えられている。
これらのことから、HV1型ヒルジンのN末端領域を置
換することにより結合領域にシグナルペプチダーゼによ
る本来の切断点を創設した場合、たとえHV1型ヒルジン
のN末端領域が置換されたポリペプチドが効率よく培養
液中に分泌されても、分泌されたポリペプチドは、弱い
トロンビン阻害活性しか有していない可能性の高いこと
が容易に推察される。
一方、近年、組換えDNA技術を利用して、人工的に変
異を起こした蛋白質を自由に作り出すシステムが整って
きている。その結果、より活性の強いもの、より安定な
もの、全く新しい機能を持つ蛋白質を作り出すことを目
的とした“蛋白工学”と称される学問体系が整備されつ
つある。しかしながら、現実には蛋白質の改変に指導原
理となりうる原理が存在せず、合目的な蛋白質の改造が
行えないのが現状である。上述したようなヒルジンのN
末端部分を改変して、本来の分泌シグナルの切断点を再
現した際にトロンビン阻害活性を低下せしめないような
改造の方法について何ら指導原理がないのが現状であ
る。
そこで、本発明者らは、HV1型ヒルジンのN末端のア
ミノ酸をバリンからアラニンに変えた影響を最少にする
ため、トロンビン阻害活性の発現に重要であると指摘さ
れているHV1型ヒルジンのN末端の1残基目から5残基
目の改変を試み、N末端のバリンをアラニンに,N末端か
ら5残基目のアスパラギン酸をグルタミン酸に置換した
ポリペプチドが優れた分泌効率と高いトロンビン阻害活
性を保証するものであることを見いだし、本発明を完成
した。すなわち、本発明の実施例1および実施例2で示
すように、高いトロンビン阻害活性を有する、天然には
存在しない新たなポリペプチドをバチルス・ズブチリス
を宿主とする系において効率よく分泌生産できることを
見いだしたのである。
本発明でいうトロンビン阻害活性を有するポリペプチ
ドのアミノ酸配列は、Ala−Val−Tyr−Thr−Glu−Cys−
Thr−Glu−Ser−Gly−Gln−Asn−Leu−Cys−Leu−Cys−
Glu−Gly−Ser−Asn−Val−Cys−Gly−Gln−Gly−Asn−
Lys−Cys−Ile−Leu−Gly−Ser−Asp−Gly−Glu−Lys−
Asn−Gln−Cys−Val−Thr−Gly−Glu−Gly−Thr−Pro−
Lys−Pro−Gln−Ser−His−Asn−Asp−Gly−Asp−Phe−
Glu−Glu−Ile−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu−Glnであ
り、このポリペプチドをコードするDNA配列は、5′GCC
GTTTATACAGAGTGCACAGAATCCGGACAAAATTTATGTTTATGTGAAGA
ATCTAATGTTTGTGGACAAGGAAATAAATGTATTTTAGGATCTGATGGAG
AAAAAAATCAATGTGTTACAGGAGAAGGAACACCGAAACCGCAATCTCAT
AATGATGGAGATTTTGAAGAAATTCCTGAAGAATATTTACAA3′であ
る。
また、本発明でいうトロンビン阻害活性を有するポリ
ペプチドの前駆体とは、バチルス・アミロリキファシエ
ンスの中性プロテアーゼの分泌シグナルのC末端直後に
トロンビン阻害活性を有するポリペプチドが結合した型
のポリペプチドをさす。すなわち、本発明でいうトロン
ビン阻害活性を有するポリペプチドの前駆体のアミノ酸
配列は、Met−Gly−Leu−Gly−Lys−Lys−Leu−Ser−Se
r−Ala−Val−Ala−Ala−Ser−Phe−Met−Ser−Leu−Th
r−Ile−Ser−Leu−Pro−Gly−Val−Gln−Ala−Ala−Va
l−Tyr−Thr−Glu−Cys−Thr−Glu−Ser−Gly−Gln−As
n−Leu−Cys−Leu−Cys−Glu−Gly−Ser−Asn−Val−Cy
s−Gly−Gln−Gly−Asn−Lys−Cys−Ile−Leu−Gly−Se
r−Asp−Gly−Glu−Lys−Asn−Gln−Cys−Val−Thr−Gl
y−Glu−Gly−Thr−Pro−Lys−Pro−Gln−Ser−His−As
n−Asp−Gly−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile−Pro−Glu−Gl
u−Tyr−Leu−Glnであり、このポリペプチドをコードす
るDNA配列は各アミノ酸残基礎に対応するコドンをつな
いでいくことにより得られる。通常,一つのアミノ酸に
対応して複数のコドンが対応するので上記のアミノ酸配
列を指定するDNA配列も数多く存在する。本発明者ら
は、それらのうち、5′GTGGGTTTAGGTAAGAAATTGTCTAGTG
CTGCTGCTGTAGCCGCTTCCTTTATGAGTTTAACCATCAGTCTGCCGGGT
GTTCAGGCCGCCGTTTATACAGAGTGCACAGAATCCGGACAAAATTTATG
TTTATGTGAAGAATCTAATGTTTGTGGACAAGGAAATAAATGTATTTTAG
GATCTGATGGAGAAAAAAATCAATGTGTTACAGGAGAAGGAACACCGAAA
CCGCAATCTCATAATGATGGAGATTTTGAAGAAATTCCTGAAGAATATTT
ACAA3′のDNA配列を用いた。このDNA配列は化学的に合
成されたフラグメントをアッセンブルする方法により容
易に得られる。本発明者らは、このDNA配列を数多く存
在する同じアミノ酸配列をコードするDNA配列の中から
選定するにあたり以下の点に留意した。
すなわち、近年、多くの遺伝子のDNA配列が明らかと
なり、遺伝子におけるコドン利用頻度を調べることが可
能となった。その結果,各生物間におけるコドン利用頻
度に差があることが判明した。そこで、効率よく発現さ
せるためにそのDNA配列を化学的に合成する場合、宿主
として用いる生物の至適コドンが多く含まれるようにDN
A配列を設計するのが一般的に行われている。一般に一
つのアミノ酸残基をコードするコドンが一種類に限定さ
れないことから、本発明の分泌プラスミドの構築におい
ても、何種類かのトロンビン阻害活性を有するポリペプ
チドをコードするDNA配列が考えられた。本発明の場
合、特に、バチルス・ズブチリスを宿主として発現させ
ることを考えて、バチルス・ズブチリス用の至適コドン
が多く含まれるように設計されているDNA配列を用い
た。
本発明者らは、実施例1および実施例2に述べるよう
に、ヒルジンを多量に分泌する能力を有する分泌蛋白質
をコードする遺伝子を鋭意探索した結果、バチルス・ア
ミロリキファシエンスの中性プロテアーゼ遺伝子を選択
し、さらに分泌シグナルをコードするDNA断片を結合さ
せることにより、HV1型ヒルジンを分泌させることに成
功した。
この場合の分泌プラスミドを構成するベクターDNAと
しては、バチルス属細菌で複製可能なものであれば如何
なるものでも使用可能である。通常よく用いられるもの
としてスタフィロコッカス属由来のプラスミドpUB110、
pTP5、pC194、pDB9、pBD64、pBC16、pE194等およびその
誘導体を挙げることができる。上記のプラスミドを有す
るバチルス・ズブチリスは、いずれもオハイオ大学バチ
ルスストックセンター(住所;484 West 12th Avenue
Columbus Ohio 43210 USA)で万人に分譲されるも
のである。
とくに、本発明で用いるベクターDNAとしては、バチ
ルス属細菌で複製可能なプラスミドであれば如何なるも
のでもよいが、分子生物学的知見の蓄積が多く、かつバ
チルス属細菌で安定に保持される点からpUB110がよい。
本発明の分泌プラスミドは、実施例に記載するよう
に、中性プロテアーゼ遺伝子のプロモーター、リボゾー
ム結合部位および分泌シグナルをコードする領域の直後
に異種蛋白質をコードするDNA断片を結合できる型の異
種蛋白質発現分泌ベクターにトロンビン阻害活性を有す
るポリペプチドをコードするDNA断片を挿入結合し構築
したものである。その結果、該分泌プラスミドによりコ
ードされるポリペプチドは、特許請求の範囲の請求項2
に記載するアミノ酸配列をもつトロンビン阻害活性を有
するポリペプチドのN末端上流に27アミノ酸残基からな
るアミノ酸配列が付加した型の前駆体型のポリペプチド
である。本発明の分泌プラスミドの構築は、化学的に合
成した特許請求の範囲の請求項6に記載のDNA配列を含
むDNA断片と適当な制限酵素で切断したバチルス属細菌
で複製可能なベクターDNA断片とを常用の連結技術を用
いて結合することにより容易に実施可能である。この場
合、2つのDNA断片は、たとえば、共通の制限酵素部位
を介して、および/または合成DNAリンカーを用いるこ
とにより、および/または平滑末端結合により連結され
ることが可能である。
バチルス・アミロリキファシエンスの中性プロテアー
ゼ遺伝子のプロモーター、リボゾーム結合部位、および
分泌シグナルをコードする領域の下流にトロンビン阻害
活性を有するポリペプチドをコードするDNA断片を結合
させたDNA断片が上記に記載したベクターDNAと結合して
構築された分泌プラスミドは、これを用いてバチルス・
ズブチリスを形質転換して形質転換株を得ることができ
る。
バチルス・ズブチリスの形質転換の方法としては、当
業界で用いられている方法ならばいかなる方法を用いる
ことが可能である。例えば、Changらの方法(参考文献2
4)により行うことができる。この方法は、3段階に分
けることができる。
1,バチルス・ズブチリスを等張液において、リドチウム
で処理することによる細胞壁のないバチルス・ズブチリ
ス、すなわちプロトプラストを生成させる過程 2,ポリエチレングリコール溶液を用いた、ベクターDNA
によるプロトプラストの形質転換を行う過程 3,再生培地におけるプロトプラストの細胞壁の再生と形
質転換されたバチルス・ズブチリスを選択する過程 得られた形質転換株を用い,トロンビン阻害活性を有
するポリペプチドを得るにはその菌株を通常の方法で液
体培養すればよい。例えば、2の三角フラスコに、40
0mlのLB培地(参考文献25)に形質転換株を植菌した
後、37℃で、約20時間、好ましくは最大収量のトロンビ
ン阻害活性を有するポリペプチドが分泌産生されるま
で、振盪を行いながら培養する方法がある。
本発明の形質転換株は、資化可能な炭素源、窒素源、
および無機塩源を含む液体培地で培養される。例えば、
通常よく用いられる液体培地としてLB培地が挙げられ
る。
また、ここで用いる菌株としては、本発明の分泌プラ
スミドで形質転換されるバチルス属細菌なら如何なるも
のでもよいが、遺伝学的、生化学的、分子生物学的、応
用微生物学的知見が多く蓄積されており、かつ安全性も
高い点からバチルス・ズブチリスがよい。
培養液からのトロンビン阻害活性を有するポリペプチ
ドの調製は、培養上清から回収精製を行えば実施可能で
ある。本発明者らは、この培養上清のpHを塩酸で3に調
整した後、70℃で15分間処理して生じた蛋白性の沈殿を
遠心で除いて得られた上清画分にトロンビン阻害活性を
有するポリペプチドは残存し、しかもその存在比は、全
蛋白に対し23%と高まり極めて夾雑蛋白の少ないものと
なることを見い出した。その結果、培養液中に分泌され
たトロンビン阻害活性を有するポリペプチドは、この上
清から、陽イオン交換クロマトグラフィーと陰イオン交
換クロマトグラフィーおよび逆相クロマトグラフィーに
より容易に精製できる。
本発明者らは、比較例1に示したHV1型ヒルジン分泌
プラスミドでバチルス・ズブチリスを形質転換して得た
形質転換株を、比較例2に示す条件で培養することによ
り、10mg/・A660相当のトロンビン阻害活性を有する
ポリペプチドが分泌蓄積されることを見い出した。さら
に、本発明者らは、このHV1型ヒルジン分泌プラスミド
の改良を行って構築した本発明の実施例1に示した分泌
プラスミドを用いて形質転換されたバチルス・ズブチリ
スを用いて、実施例2に示す条件で培養することによ
り、18mg/・A660相当のトロンビン阻害活性を有する
ポリペプチドが比較例2の場合よりも効率よく分泌蓄積
されることを見い出した。なお、この時のバチルス・ズ
ブチリスの生育度を示す培養液の吸光度(A660)は、い
ずれの場合も、10であった。この単位(mg/・A660)
は、培養上清(1)に蓄積したトロンビン阻害活性を
有するポリペプチドの量(mg)を、培養液のバチルス・
ズブチリスの生育度を示す吸光度(A660)で割った値を
示す。
実施例2で調製した培養上清(1)のpHを塩酸で3
に調整した後、70℃で15分間処理して生じた蛋白性の沈
殿を遠心で除いて得られた上清画分から、陽イオン交換
クロマトグラフィーと陰イオン交換クロマトグラフィー
および逆相クロマトグラフィーを用いて精製後、培養液
1から70mgのトロンビン阻害活性を有するポリペプチ
ドを得ることが可能であることが判明し、本発明を完成
したのである。
また、本発明の分泌プラスミドは、中性プロテアーゼ
遺伝子の分泌シグナル領域の3′末端直後に、N末端の
バリンをアラニンに、5残基目のグルタミン酸をアスパ
ラギン酸に置換した改変ヒルジンのDNA断片の5′末端
が直接結合した型のDNA領域を有しており、このプラス
ミドで形質転換して得た形質転換株の菌体内あるいは、
細胞膜において、中性プロテアーゼ分泌シグナルのC末
端に存在するアミノ酸の直後にトロンビン阻害活性を有
するポリペプチドのN末端に存在するアミノ酸が結合し
た型のポリペプチドの前駆体が合成されると考えられ
る。
一般に、分泌の過程において、分泌シグナルは除去さ
れることが知られてる。しかしながら、単に分泌蛋白質
をコードする遺伝子のプロモーター、リボゾーム結合部
位、および分泌シグナルをコードする領域の直後に、異
種蛋白質をコードするDNA断片を結合させただけでは、
菌体内で合成されると考えられる分泌シグナルの下流に
異種蛋白質が結合した型の前駆体蛋白質から分泌シグナ
ルが除去された異種蛋白質を効率よく分泌させ得ない場
合のあることをScheinら(参考文献15)が報告してい
る。また、彼らの報告は効率よく異種蛋白質を分泌させ
る方法に何ら教示するところでない。本発明においも、
中性プロテアーゼ分泌シグナルのC末端に存在するアミ
ノ酸の直後にHV1型ヒルジンのN末端領域のアミノ酸配
列を置換したトロンビン阻害活性を有するポリペプチド
のN末端が結合した型の前駆体蛋白質から、分泌シグナ
ルが除去された改変ヒルジンが分泌されるかどうかは不
明であった。しかも、すでに述べたように、ヒルジンの
N末端領域のアミノ酸配列(1から5位)は、トロンビ
ン阻害活性の発現に関する配列の構造保持において重要
な役割を果たしていることから、このN末端領域のアミ
ノ酸を置換して構築したポリペプチドが、たとえ効率よ
く分泌されても、トロンビン阻害活性は低下してしまう
可能性が高いであろうことが想像された。
本発明者らは、HV1型ヒルジンのN末端領域のアミノ
酸を置換した結果、本発明の場合、驚くべきことに、本
発明の実施例に示すように、形質転換されたバチルス・
ズブチリスによって、HV1型ヒルジンと同レベルのトロ
ンビン阻害活性を有するポリペプチドが、しかもHV1型
ヒルジンの場合よりも効率よく分泌されることを見いだ
した。
〔作用〕
本発明の一態様として示すように、バチルス・アミロ
リキファシエンスの中性プロテアーゼ遺伝子のプロモー
ター、リボゾーム結合部位および分泌シグナル領域を利
用して分泌プラスミドを構築し、バチルス・ズブチリス
に導入して得た形質転換株を培養することにより、ヒル
由来のHV1型ヒルジンと同レベルのトロンビン阻害活性
を有するポリペプチドが高い効率で培養上清中に分泌さ
せることが可能となった。すなわち、バチルス・ズブチ
リスを宿主とした系で効率よく分泌されるトロンビン阻
害活性を有するポリペプチドを見いだし、そおポリペプ
チドを培養上清から簡単な方法で回収精製できるトロン
ビン阻害活性を有するポリペプチドの製造法が確立され
た。
〔実施例〕
以下,本発明を具体例で説明するが本発明は,この例
により何ら限定されるものではない。
製造例1 (異種蛋白質発現分泌ベクターpNPA225の構築) バチルス・アミロリキファシエンスの中性プロテアー
ゼ遺伝子のプロモーター、リボゾーム結合部位および分
泌シグナルをコードする領域の直後に異種蛋白質をコー
ドするDNA断片を挿入結合することの可能な異種蛋白質
発現分泌ベクターpNPA225は第1図に示した方法に従っ
て構築した。
プラスミドpNPA84は、中性プロテアーゼ遺伝子のプロ
モーター、リボゾーム結合部位、分泌シグナルおよび、
プロペプタイドの上流域をコードする領域の下流に、成
熟α−アミラーゼタンパクをコードするDNA断片が結合
したDNA断片を有するアミラーゼ分泌プラスミドであ
る。成熟α−アミラーゼ遺伝子とは、天然に存在するロ
イシンから始まるα−アミラーゼ活性を有する蛋白質を
コードするDNA断片を指す。このプラスミドpNPA84を含
む形質転換株MT−8400(FERM BP−923)から、pNPA84
をTabakらの方法(参考文献26)を用いて調製した。こ
のpNPA84DNAを制限酵素Hpa II(宝酒造製)と制限酵素B
amH I(宝酒造製)とで分解して生じた約7.8KbのDNA断
片(以下,DNA断片Aとする)をアガロースゲルを用いた
電気泳動により精製した。このDNA断片Aは、中性プロ
テアーゼ遺伝子のプロモーター、リボゾーム結合部位お
よびC末端領域を欠く分泌シグナルをコードする領域を
含んでいる。一方、中性プロテアーゼ遺伝子の分泌シグ
ナル領域の直後に制限酵素Stu I切断部位を創製するた
めに、15merと18merの2種類の合成オリゴヌクレオチド
(5′GGGTGTTCAGGCCTG3′、5′GATCCAGGCCTGAACACC
3′)を改良トリエステル法(参考文献27)で合成し
た。2種類の合成オリゴヌクレオチド各1μgをT4ポリ
ヌクレオチドキナーゼ(宝酒造製)、およびdATP(ファ
ルマシア製)を用いてリン酸化した(参考文献28)。次
に、これらの反応生成物を混ぜ、熱湯中で3分間加熱
後、ゆっくりと冷却することにより2種類の合成オリゴ
ヌクレオチドをアニールした。然る後に、DNA断片A
(0.5μg)とアニールした合成オリゴヌクレオチド
(1μg)をT4リガーゼ(宝酒造製)を用いて結合し、
ハイブリッドプラスミドpNPA225を得た。
比較例1 (HV1型ヒルジン分泌プラスミドpNPH208の構築) プラスミドpNPH208は第2図に示した方法に従って構
築した。
まず、HV1型ヒルジンのN末端から10残基目までのア
ミノ酸をコードするDNA領域を含むDNA断片を構築するた
めに、2種のオリゴヌクレオチド(5′CCGTTGTTTATACA
GATTGCACAGAATCCGGATG3′、5′GATCCATCCGGATTCTGTGTA
ATCTGTATAAACAACGG3′)を常法に従って合成した。
次に、得られた合成オリゴヌクレオチド各1μgは、
リン酸化後アニールした。これと制限酵素Stu Iと制限
酵素BamH Iとで切断したpNPA225DNA(0.5μg)とをT4
リガーゼ(宝酒造製)を用いて結合させ、中性プロテア
ーゼ遺伝子の分泌シグナルをコードする領域の直後にHV
1型ヒルジンをコードするDNA断片のN末端領域(HV1型
ヒルジンのN末端から10アミノ酸残基目までに対応)が
結合したハイブッリドプラスミドpNPA225ΔHを得た。
HV1型ヒルジンのアミノ酸配列に対応するコドンをバ
チルス・ズブチリスで多く用いられているコドン、すな
わち至適コドン(参考文献29)から選んで化学合成した
合成DNAとベクターpBR322DNAとから構築したプラスミド
p4014による形質転換株(FERM P−9924)は既に寄託
してある。HV1型ヒルジンをコードするDNA断片は、この
形質転換株p4014から次のようにして得た。まず、p4014
を制限酵素EcoR Iと制限酵素BamH Iとで切断することに
より、HV1型ヒルジンを含むDNA断片を調製した。このDN
A断片をプラスミドpUC13の制限酵素EcoR Iと制限酵素Ba
mH I切断部位に挿入結合させたハイブッリドプラスミド
p3009を構築した(第3図)。このp3009DNA(2μg)
を制限酵素Acc IIIとHind IIIとで分解することによ
り、HV1型ヒルジンの11番目からC末端までのアミノ酸
配列をコードするDNA領域を含むDNA断片(DNA断片B)
を調製アガロースゲル電気泳動によって精製した。この
DNA断片(1μg)とpNPA225ΔHを制限酵素Acc IIIとH
ind IIIとで分解した結果生じた約6.0KbのDNA断片(DNA
断片C)(1μg)をT4リガーゼを用いて結合し、HV1
型ヒルジン分泌プラスミドpNPH208を構築した。このpNP
H208は、バチルス・アミロリキファシエンスの中性プロ
テアーゼ遺伝子のプロモーター、リボゾーム結合部位お
よび分泌シグナルをコードする領域の直後に成熟HV1型
ヒルジンをコードするDNA断片が結合したDNA配列を含む
ハイブリドプラスミドである。
比較例2 (HV1型ヒルジン分泌プラスミドによるHV1型ヒルジンの
分泌生産) 比較例1で構築したプラスミドpNPH208を用いて、バ
チルス・ズブチリスMT−430株(FERM BP−1079)をCha
ngらの方法(参考文献24)に従い形質転換した。得られ
た形質転換株MT−208(FREM P−10028)を2倍濃度の
LB培地を用いて,37℃で20時間振盪培養した.得られた
培養上清中のトロンビン阻害活性を測定した.トロンビ
ン阻害活性は,トロンビンに対する合成基質H−D−フ
ェニルアニル−L−ピペコリル−Lアルギニル−p−ニ
トロアニリド水解活性の阻害度を測定することによった
(参考文献30)。すなわち、50μのトロンビン(持田
製薬製)溶液(20IU/ml)と緩衝液(50mM Tris−HCl、
pH8.0)50μを中性から酸性で混合し、室温で2分間
プレインキュベートしたのち50μを、H−D−フェニ
ルアニル−L−ピペコリル−L−アルギニル−p−ニト
ロアニリド(第一化学薬品株式会社製)溶液に加えた
(基質終濃度,0.25mM)。反応開始後p−ニトロアニリ
ドの遊離を波長405nmで測定し、単位時間当りの吸収の
増加をaとした。次に、緩衝液の代わりに、試料溶液を
加え、同様の操作を行い、波長405nmの吸収の増加を測
定し、その値をbとした。(a−b)/aを算出すること
により、培養上清のトロンビン阻害活性を測定した。ト
ロンビン阻害活性1Unitは、トロンビン1NIH Unitを中
和するものとして定義される。
2倍濃度のLB培地を用いて37℃で20時間培養後の培養
上清には、培地1あたり80から100mgのトロンビン阻
害活性を有するHV1型ヒルジンの蓄積が認められた。な
お、この時のバチルス・ズブチリスの生育度を示す培養
液の吸光度(A660)は、10であった。
また、培養上清にトリクロロ酢酸を添加して得た沈殿
をSDS−PAGEで解析した結果は、シグマ社より購入したH
V1型ヒルジンを精製して得たヒルジン標品と同じサイズ
の蛋白質が多量に培養上清中に蓄積していることを示し
た。また、この蛋白質は、ゲルスキャナーデンシトメー
ターで解析した結果、MT−208株の培養上清中のHV1型ヒ
ルジンの存在量は5%にも及んだ。この上清を70℃で15
分間加熱処理して生じた蛋白性の沈殿を遠心で除いて得
られた上清画分中に、トロンビン阻害活性は残存し、し
かも、全蛋白質に対するHV1型ヒルジンの存在比が20%
と高まり夾雑蛋白質の極めて少ないものとなることが判
明した。HV1型ヒルジンは、この上清から、DEAE−セフ
ァロースカラムクロマトグラフィー、CM−セファロース
カラムクロマトグラフィーにより精製した。すなわち、
培養上清を熱処理して得られた上清画分を、20mMトリス
塩酸バッファー(pH8.0)で洗浄したDEAE−セファロー
スカラムに添加した後、0から0.5MのNaClの濃度勾配に
より溶出した。得られたトロンビン阻害活性を有する画
分を集め、20mM酢酸ナトリウム塩酸バッファー(pH3.
0)に対して透析した後、20mM酢酸ナトリウム塩酸バッ
ファー(pH3.0)で洗浄したCM−セファロースカラムに
添加した。溶出は、0から0.2MのNaClの濃度勾配で行っ
た。溶出したトロンビン阻害活性を有する画分を集めSy
nchropack RP8(SynChrom,Inc.製)カラムを用いた逆
相カラムクロマトグラフィーを行い、トロンビン阻害活
性を有するフラクション、および少量のトロンビン阻害
活性を有さないフラクションを回収した。それらのフラ
クションに含まれるポリペプチドをSDS−PAGEにより解
析した結果、SDS−PAGE的に1バンドであり、しかもシ
グマ社より購入したヒル由来のHV1型ヒルジンを精製し
て得たHV1型ヒルジン標品と同じサイズの分子量を有し
ていることが判明した。そこで、それらの蛋白質を用い
て、そのN末端アミノ酸配列を決定した(参考文献31)
ところ、ともにVal−Val−Tyr−Thr−Aspであることが
判明し、ヒル由来のHV1型ヒルジンのN末端アミノ酸配
列に一致した。
これらことから、HV1型ヒルジン分泌プラスミドで形
質転換されたバチルス・ズブチリスにより分泌生産され
るHV1型ヒルジンと同じ分子量を有するポリペプチド
は、トロンビン阻害活性の有無にかかわらず、分泌シグ
ナル部分が正確に除去されて分泌されることが判明し
た。
また、トロンビン阻害実験の結果、トロンビン阻害活
性を有する蛋白質は、化学量論的にトロンビンと1:1.14
で反応することが明らかとなった。
これらのことは、また、HV1型ヒルジン分泌プラスミ
ドで形質転換されたバチルス・ズブチリスにより分泌生
産されるトロンビン阻害活性を有するポリペプチドは、
トロンビン阻害活性に関してヒル由来のHV1型ヒルジン
と同じ活性を有するものであることを示すものである。
一方、HV1型ヒルジンと同じ構造を有しているにもかか
わらず、トロンビン阻害活性を有さない不活性型のポリ
ペプチドは、トロンビン阻害活性の発現に重要なS−S
結合が正確に架橋されていないポリペプチドであると考
えられる。
実施例1 (分泌プラスミドpNPH141の構築) プラスミドpNPH141は第4図に示した方法に従って構
築した。
まず、HV1型ヒルジンのN末端のバリン、N末端から
5残基目のアスパラギン酸を、それぞれアラニン、およ
びグルタミン酸に置換したポリペプチドのN末端から10
残基目までのアミノ酸をコードするDNA領域を含むDNA断
片を構築するために、2種のオリゴヌクレオチド(5′
CCGCCGTTTATACAGAGTGCACAGAATCCGGATG3′、5′GATCCAT
CCGGATTCTGTGCACTCTGTATAAACGGCGG3′)を常法に従って
合成した。次に、得られた合成オリゴヌクレオチド各1
μgは、リン酸化後アニールした。これと制限酵素Stu
Iと制限酵素BamH Iとで切断したpNPA225DNA(0.5μg)
とをT4リガーゼ(宝酒造製)を用いて結合させ、中性プ
ロテアーゼ遺伝子の分泌シグナルをコードする領域の直
後にHV1型ヒルジンのN末端のバリン、N末端から5残
基目のアスパラギン酸を、それぞれアラニン、およびグ
ルタミン酸に置換したポリペプチドをコードするDNA断
片のN末端領域が結合したハイブリドプラスミドpNPH22
5を得た。
HV1型ヒルジンをコードするDNA断片は,形質転換株p4
014から比較例1で示した方法に従って調整した。すな
わち、p4014を制限酵素EcoR Iと制限酵素BamH Iとで切
断することにより、ヒルジンを含むDNA断片を調製し
た。このDNA断片をプラスミドpUC13の制限酵素EcoR Iと
制限酵素BamH I切断部位に挿入結合させたハイブッリド
プラスミドp3009を構築した。このp3009DNA(2μg)
を制限酵素Acc IIIとHind IIIとで分解することによ
り、HV1型ヒルジンの11番目からC末端までのアミノ酸
配列をコードするDNA領域を含むDNA断片(DNA断片B)
を調製アガロースゲル電気泳動によって精製した。この
DNA断片(1μg)とpNPH225を制限酵素Acc IIIとHind
IIIとで分解した結果生じた約6.0KbのDNA断片(DNA断片
C)(1μg)をT4リガーゼを用いて結合し、本発明の
分泌プラスミドpNPH141を構築した。このpNPH141は、バ
チルス・アミロリキファシエンスの中性プロテアーゼ遺
伝子のプロモーター、リボゾーム結合部位および分泌シ
グナルをコードする領域の直後にN末端のバリン,およ
び5残基目のアスパラギン酸を,それぞれアラニン,お
よびグルタミン酸に置換したポリペプチドをコードする
DNA断片が結合したDNA配列を含むハイブリドプラスミド
である。
実施例2 (分泌プラスミドによるトロンビン阻害活性を有するポ
リペプチドの分泌生産) 実施例1で構築したプラスミドpNPH208を用いて、バ
チルス・ズブチリスMT−430株(FERM BP−1079)をCha
ngらの方法(参考文献24)に従い形質転換した。得られ
た形質転換株MT−141(FREM BP−2403)を2倍濃度のL
B培地を用いて,37℃で20時間振盪培養した.得られた培
養上清中のトロンビン阻害活性を常法に従って測定し
た. 2倍濃度のLB培地を用いて37℃で20時間培養後の培養
上清には、培地1あたり180から200mgのトロンビン阻
害活性を有するポリペプチドの蓄積が認められた。この
ことは、HV1型ヒルジンのN末端のバリン、およびN末
端から5残基目のアスパラギン酸をそれぞれアラニン、
およびグルタミン酸に置換したポリペプチドは、HV1型
ヒルジンよりも効率よく分泌されたためと考えられる。
なお、この時のバチルス・ズブチリスの生育度を示す培
養液の吸光度(A660)は、10であった。
また、培養上清にトリクロロ酢酸を添加して得た沈殿
をSDS−PAGEで解析した結果は、シグマ社より購入したH
V1型ヒルジンを精製して得たHV1型ヒルジン標品と同じ
サイズの蛋白質が多量に培養上清中に蓄積していること
を示した。また、この蛋白質は、ゲルスキャナーデンシ
トメーターで解析した結果、MT−141株の培養上清中の
トロンビン阻害活性を有するポリペプチドの存在量は7
%にも及んだ。この上清を70℃で15分間加熱処理して生
じた蛋白性の沈殿を遠心で除いて得られた上清画分中
に、トロンビン阻害活性は残存し、しかも、全蛋白質に
対するトロンビン阻害活性を有するポリペプチドの存在
比が23%と高まり夾雑蛋白質の極めて少ないものとなる
ことが判明した。
トロンビン阻害活性を有するポリペプチドは、この上
清から、比較例2で行った方法により精製した。この場
合、比較例2に示したHV1型ヒルジン分泌生産の場合と
異なり、不活性型ヒルジン分泌蓄積は認められなかっ
た。この得られたトロンビン阻害活性を有するポリペプ
チドは、SDS−PAGE的に1バンドであり、しかもシグマ
社より購入したヒル由来のHV1型ヒルジンを精製して得
たHV1型ヒルジン標品と同じサイズの分子量を有してい
ることが判明した。そこで、得られた精製ポリペプチド
を用いて、そのN末端アミノ酸配列を決定したところ、
Ala−Val−Tyr−Thr−Gluであることが判明した。
これらことから、本発明の分泌プラスミドで形質転換
されたバチルス・ズブチリスにより分泌生産されるポリ
ペプチドは、分泌シグナル部分が正確に除去されて分泌
されることが判明した。
また、トロンビン阻害実験の結果、この精製HV1型ヒ
ルジンは、化学量論的にトロンビンと1:1.34で反応する
ことが明らかとなった。
これらのことは、また、本発明の分泌プラスミドで形
質転換されたバチルス・ズブチリスにより分泌生産され
るポリペプチドが、トロンビン阻害活性に関してヒル由
来のHV1型ヒルジンと同じ活性を有するものであること
を示すものである。
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(1981)
【図面の簡単な説明】
第1図は、異種蛋白質発現分泌ベクターpNPA225の構築
法を示す図である。 第2図は、HV1型ヒルジン分泌プラスミドpNPH208の構築
法を示す図である。 第3図は、ヒルジンをコードするDNA塩基配列を含むハ
イブリドプラスミドp3009の構築法である。 第4図は,ヒルジン分泌プラスミドpNPH141の構築法を
示す図である。 なお,第1図、第2図、第3図においてPmは、中性プロ
テアーゼ遺伝子のプロモーター領域を、SDは,中性プロ
テアーゼ遺伝子のリボゾーム結合部位を,preは、中性プ
ロテアーゼ遺伝子の分泌シグナルをコードする領域を、
Δproは中性プロテアーゼ遺伝子のプロペプタイドの上
流域を、α−amylaseはアルファーアミラーゼをコード
するDNA配列を、Hは,ヒルジンをコードするDNA配列
を,ΔH′は,改変ヒルジンをコードするDNA配列の上
流域を、ΔHは,HV1型ヒルジンをコードするDNA配列の
上流域を、Δproteaseは中性プロテアーゼの後半部分を
示す。 また、第1図、第3図、第4図において、Aはアデニン
を、Cはシトシンを、Gはチミンを、Gはグアニンを示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12N 1/21 C12R 1:125) 審査官 冨永 みどり (56)参考文献 特開 昭61−212288(JP,A) FEBS Lett.,202(2) (1986)p.373−377 Biotechnology,6 (1)(1988),p.72−77 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 15/00 C12P 21/02 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アミノ酸配列が下記のアミノ酸であること
    を特徴とするトロンビン阻害活性を有するポリペプチド
    の前駆体。
  2. 【請求項2】アミノ酸配列が下記のアミノ酸であること
    を特徴とするトロンビン阻害活性を有するポリペプチ
    ド。
  3. 【請求項3】請求項1に記載のトロンビン阻害活性を有
    するポリペプチドの前駆体をコードする下記のDNA配
    列。
  4. 【請求項4】請求項2に記載のトロンビン阻害活性を有
    するポリペプチドをコードする下記DNA配列。
  5. 【請求項5】バチルス・アミロリキファシエンスの中性
    プロテアーゼ遺伝子のプロモーター、およびリボゾーム
    結合部位をコードする領域の下流に請求項1に記載のト
    ロンビン阻害活性を有するポリペプチドの前駆体をコー
    ドするDNA断片を結合させたDNA配列が、ベクターDNAに
    結合していることを特徴とする分泌プラスミド。
  6. 【請求項6】下記に示すものであることを特徴とする請
    求項5に記載するDNA配列が、ベクターDNAに結合してい
    ることを特徴とする分泌プラスミド。
  7. 【請求項7】ベクターDNAが、バチルス属細菌で複製可
    能なプラスミドであることを特徴とする請求項5あるい
    は6に記載の分泌プラスミド。
  8. 【請求項8】請求項7に記載のバチルス属細菌で複製可
    能なプラスミドが、pUB110であることを特徴とする分泌
    プラスミド。
  9. 【請求項9】請求項5から8に記載した分泌プラスミド
    から任意に選択される一つの分泌プラスミドにより形質
    転換された形質転換株。
  10. 【請求項10】形質転換される微生物が、バチルス・ズ
    ブチリスであることを特徴とする請求項9に記載の形質
    転換株。
  11. 【請求項11】請求項10に記載する形質転換株を培養
    し、その培養上清からトロンビン阻害活性を有するポリ
    ペプチドを回収することを特徴とするトロンビン阻害活
    性を有するポリペプチドの製造方法。
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