JPH0648822Y2 - 基板装着用トランス - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、プリント配線基板上に
ロボットなどの自動機械によって装着する際に適した基
板装着用トランスに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】最近では、プリント配線基板上に各種の
電子部品を装着する場合に、ロボットその他の自動機械
が広く使用されている。この種の装着作業は、通常プリ
ント配線基板に小径の端子挿入孔を穿孔しておき、この
挿入孔に電子部品側の端子を挿入することにより行われ
る。この場合注意することは、電子部品側の端子や基板
側の挿入孔も径が小さいものであることから、端子と孔
との正確な位置決めが必要とされる。特に、端子は、１
つの電子部品に複数本設けられているのが常であるか
ら、複数の端子がすべて正確に挿入孔に位置決めされる
ことが必要である。仮に、位置がずれると、端子が孔内
に入らず、基板と電子部品との接続不良を生じたり、基
板と端子が当たって、基板のパターンや電子部品を損傷
する恐れもある。

【０００３】ところで、この種の電子部品の１つとし
て、図４に示すような基板装着用のトランスが知られて
いる。このトランスは、通常、数本の端子２をモールド
成型した合成樹脂製のボビン１にコイル３を巻線し、こ
のコイル３の巻線端部と前記端子２とを接続した後、ボ
ビン１外周にコア４を装着し、その後含浸処理によって
全体を一体化している。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】ところで、この基板装
着用トランスを他の電子部品のように基板に自動装着す
る場合、トランスの一番外側にコア４が露出しているこ
とや、従来のトランスでは、小型軽量化の要請からボビ
ン１のフランジ部１ａを薄肉としていることから、コア
４部分をつかんで装着作業を行うことになる。この場
合、手作業による装着では、トランスの各部と端子との
間に多少の寸法誤差があっても、作業員の熟練により端
子２を挿入孔に差し込むことが可能である。これに対し
て、ロボットのような自動装着機械を使用して装着作業
を行う場合には、ロボットがつかむコア４部分とトラン
ス端子との寸法関係が正確でないと、プリント配線基板
の挿入孔に端子を挿入することが不可能になる。しか
し、この種のトランスにおいて端子２とコア４との間の
寸法は、ボビン１とコア４とのギャップや含浸処理等の
ためにばらつきがあり、高い精度を確保することが困難
であるため、自動挿入に大きな制約が生じ、現実には手
作業で挿入することが多かった。

【０００５】本考案は、上記のような従来技術の問題点
を解決するために提案されたもので、その目的は、簡単
な手段で、ロボットなどがトランスをつかむ位置と端子
との位置関係を正確に確保することができ、自動挿入を
容易かつ確実に行うことのできる基板装着用トランスを
提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項１の考案は、コイルを巻線したボビンにコ
アを装着し、前記コイルの巻線端部をコアに設けた基板
装着用端子に接続して成る基板装着用トランスにおい
て、前記ボビンに、トランス装着機械が挿入される位置
決め用切欠部が設けられていることを特徴とする。

【０００７】請求項２の考案は、前記請求項１の考案に
おいて、ボビンが、その両端にコイル保持用のフランジ
を備え、そのフランジの肉厚内にフランジ表面と平行に
穴状の切欠部が設けられ、しかも、穴状の切欠部が、そ
の入り口から奥に向かって細くなったテーパー状になっ
ていることを特徴とする。

【０００８】

【作用】以上のような構成を有する請求項１のトランス
を、ロボットなどのトランス装着機械を使用して基板に
装着する場合には、ボビン１に設けられた位置決め用の
切欠部にロボットなどの自動機械側のトランス装着機械
を係合させる。すると、ボビン１と端子２とはモールド
成型により一体に製作されているため、トランス装着機
械でつかんだ位置と端子との位置関係は常に正確にな
り、端子を基板の挿入孔に正確に挿入することができ
る。また、請求項２のトランスは、前記位置決め用の切
欠部がテーパー状としたため、トランス装着機械をこの
孔に挿入すると、テーパー部に案内されてトランス装着
機械が常に切欠部の中央に位置することになるので、よ
り正確な位置決めが可能になる。

【０００９】

【実施例】（１）代表的な実施例 以下、本考案の一実施例を図１乃至図３を参照して説明
する。なお、図４の従来技術と同一の部分は同一の符号
を付し、説明は省略する。

【００１０】本実施例においては、図１に示すように、
端子２をモールド成型により一体化して成るボビン１
の、前記端子２と反対側のフランジ１ａ部分に位置決め
用の切欠部５が設けられている。この切欠部５は、図２
の平面図に示すように、奥が狭くなるように左右の側壁
がテーパー状になった薄い穴状をしており、前記フラン
ジ１ａの肉厚内に、フランジ１ａの表面と平行に形成さ
れている。また、この切欠部５は、ロボットなどのトラ
ンス装着機械６が、前後あるいは左右からトランスをつ
かむことができるように、フランジ１ａの平行な２つの
縁に対向して形成されている。

【００１１】このような構成を有する本実施例のトラン
スをロボットなどのトランス装着機械６を使用してプリ
ント配線基板に装着するには、トランス装着機械６の左
右の爪をフランジ１ａの左右に設けられた切欠部５に挿
入して、トランスをつかむようにする。すると、テーパ
ー状の切欠部５の縁によってトランス装着機械６の爪が
案内され、常にトランスとトランス装着機械６との位置
関係が正確になる。この状態で、図３のように、トラン
スをプリント配線基板７の所定の位置に運び、端子２を
基板側の端子挿入孔８に正確に挿入することができる。
このとき、トランス装着機械６がつかんだボビン１と端
子２とは、ボビン１の成型時にモールド成型により一体
に固着されているので、両者の位置関係は正確であり、
たとえ、ボビンと巻線やコアとの間に寸法誤差が生じて
いても、端子２の挿入作業はそのような誤差の影響を受
けることがない。また、切欠部５を端子２と反対側のフ
ランジ１ａに設けたため、この切欠部５が端子２のモー
ルド成型時に邪魔になることもなく、ボビンやコアの表
面に余計な突起も生じない。

【００１２】（２）他の実施例 本発明は前記実施例に限定されるものではない。例え
ば、切欠部の位置は必ずしも端子と反対側のフランジ１
ａ部分でなくても良く、端子側のフランジ部分に設ける
こともできる。また、トランスを上下からつかむ場合に
は、上下のフランジ部にそれぞれ対向する切欠部を設け
ることも可能である。更に、切欠部の形状も、図示のも
の以外に、円錐状のものとしても良く、その場合にトラ
ンス装着機械側も同様な円錐状とする。また、フランジ
１ａの肉厚内に設ける代わりに、切欠部に相当する箇所
だけフランジを厚く作っておき、その部分がフランジ表
面から突出しても良い。

【００１３】

【考案の効果】以上説明したように、本考案の基板装着
用トランスは、端子との位置関係が正確に得られるコイ
ルのボビンにトランス装着機械が係合する位置決め用切
欠部を設けたものであるから、トランス装着機械と端子
との位置関係を極めて正確に確保することが可能とな
り、プリント配線基板に対するトランスの自動挿入が可
能となり、人員削減、生産コストの低下など、優れた効
果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の基板装着用トランスの一実施例を示す
斜視図。

【図２】図１のトランスの平面図。

【図３】図１のトランスを基板に装着した状態の正面
図。

【図４】従来の基板装着用トランスを示す斜視図。

【符号の説明】

１…ボビン １ａ…ボビンのフランジ ２…端子 ３…コイル ４…コア ５…穴状の位置決め用切欠部 ６…トランス装着機械 ７…基板 ８…端子挿入孔

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】コイルを巻線したボビンにコアを装着し、
   前記コイルの巻線端部をボビンに設けた基板装着用端子
   に接続して成る基板装着用トランスにおいて、 前記ボビンに、トランス装着機械が挿入される位置決め
   用切欠部が設けられていることを特徴とする基板装着用
   トランス。
2. 【請求項２】ボビンが、その端部にコイル保持用のフラ
   ンジを備え、そのフランジの肉厚内にフランジ表面と平
   行に穴状の切欠部が設けられ、この穴状の切欠部が、そ
   の入り口から奥に向かって細くなったテーパー状になっ
   ている請求項１の基板装着用トランス。