JPH0647348U - 転炉出鋼口スリーブ交換機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 転炉の出鋼口を形成するスリーブを、少人数
でかつ短時間で交換することが出来る交換機。 【構成】 転炉に対して所定の方向かつ所定の位置に配
置される装置台と、この装置台上に搭載され、先端が転
炉方向を向けて平行に並びかつ上下動、左右動、傾動自
在なドリフタブレーカ装置およびスリーブキャッチング
装置およびこれらを駆動する油圧駆動源を有する転炉出
鋼口スリーブ交換機。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、転炉の出鋼口が次第に細くなって溶湯の流出量が少なくなった際に 、人手を要さず、短時間にこれを交換して、転炉の操業に支障のないようにする 転炉出鋼口スリーブ交換機に関する。

【０００２】

【従来の技術】

転炉は、鋼の製造、銅等の非鉄金属の精製などに広く用いられており、図１に 示すように上部に原料等を入れるチャージ口１が設けられているが、製品溶湯は 、転炉２を回転軸２ａを中心として回動させチャージ口１の下方の製品注出口３ から流出させている。

【０００３】 上記流出口は、溶湯酸化物等の固化により細くなり易く、流出速度が低下して 作業能率が悪くなるため、比較的短期間で出鋼口３に取付けられている、出鋼口 フランジ４からスリーブ５を除去し、新しいものに変換している。

【０００４】 上記スリーブの交換は、ブレーカによってスリーブの接続している部分を壊し 、これを炉内に落とすとともにチャージ口３より取出し、新しいスリーブを、上 記除去したあとに位置せしめ、スリーブ５の端部を出鋼口フランジ４に溶接して 取付けている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、従来転炉のスリーブ交換に用いられるこれらの装置は、一般に 使用されているブレーカや把持具がそのまま用いられているため、スリーブの交 換は、高温の場所における熟練した人手と時間を要する作業となっていた。

【０００６】 本考案者らは、人手を要さず、短時間でスリーブを交換することができる転炉 出鋼口交換機を得べく、種々検討した結果、転炉が回転軸２ａを中心として回動 自在に支持され、任意の回動位置で止めることが出来るので、ドリフタブレーカ 装置およびスリーブチャックの装置を装置台上にセットし、転炉に対して所定の 位置に置けば、転炉を回動することによって、出鋼口に対する装置台の位置はほ ぼ一定に設定でき上記台上の装置の比較的小さい、かつ簡単な動作でスリーブの 除去、取付けが可能となると考えた。

【０００７】 本考案は上記の考えに基づいてなされたもので、台上の２種類の装置を順次使 用することによって、転炉のスリーブを、少ない人手によって簡単に交換できる 転炉の出鋼口交換機を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案に係る転炉出鋼口スリーブ交換機は、転炉近くの床に設けられた複数の 位置決め孔と、これらの孔に伸縮自在な脚を嵌合して、前方向に転炉を位置せし めて配置される装置台と、

【０００９】 この装置台上に先端を前方に向けてセットされた、転炉出鋼口のスリーブを壊 すドリフタブレーカ装置と、このドリフタブレーカ装置と並びかつ先端を同一方 向に向けて上記装置台上に取付けられた、新しいスリーブをセットするスリーブ チャッキング装置とを有し、

【００１０】 上記ドリフタブレーカ装置は、先端に回転かつ前後に駆動されるカッタが取付 けられ、前後方向の移動、左右方向の移動および俯抑が自在となっており、上記 カッタの近傍には転炉の出鋼口フランジに形成された位置決め孔に挿入してカッ タの位置を決める位置決め用ポンチが設けられ、

【００１１】 上記スリーブチャッキング装置は前後方向の移動、左右方向の移動および俯抑 が自在となっており、先端にスリーブを把持して、出鋼口フランジに、これを取 付けるチャックが設けられている交換機を問題解決の手段とした。

【００１２】 上記カッタは外周が複数の凸部によって、花びら状に形成されこれら凸部のほ ぼ中央には水および／または空気を噴出する孔が設けられ、この孔の周囲にボタ ンビットが設けられたカッタであることが望ましい。

【００１３】

【作用】

本考案の交換機は上記の構成となっているので、位置決め孔に装置台の脚を嵌 合するとともに、転炉を回動して出鋼口を所定位置とすれば、装置台上のドリフ タブレーカ装置、およびスリーブチャッキング装置の、左右、伸縮、俯抑、上下 の移動動作の組合わせによって、容易かつ短時間でカッタを、除去するスリーブ 部分に位置せしめて壊し、新しいスリーブをセットすることができる。

【００１４】

【実施例】

図２および図３は、本考案に係る転炉出鋼口交換機１１の一実施例を示すもの である。

【００１５】 交換機１１は、長手両縁に間隔をおいてそれぞれ伸縮自在な２つの脚１２…が 対向して、固定された平面形状が長方形の装置台１３と、この装置台１３上に長 手方向に平行かつ先端を同一方向に向けて取付けられたドリフタブレーカ装置１ ４およびスリーブチャッキング装置１５とこれらの駆動源となる一般油圧機構１ ６等によって構成されている。

【００１６】 上記ドリフタブレーカ装置１４およびスリーブチャッキング装置１５は、図４ に示すように、装置台１３上に、これら装置１４，１５に対して直角に配設され た横軸１７，１７に摺動自在に取付けられた支持ブラケット１８に、これら装置 のほぼ中央の下部に固定されたブラケット１９が回動軸２０によって取付けられ ている。また上記装置１４，１５の上記ブラケット１９のやや後方と、上記支持 ブラケット１８の間には、上記装置を傾動する、傾動油圧シリンダ２１が両端を 横軸１７と同じ方向の軸によって回動自在に取付けられている。

【００１７】 また、上記ドリフタブレーカ装置１４は、図５および図６に示すように、並列 に設けられた２連のドリフタブレーカ装置用油圧シリンダ２２，２２によって、 ドリフタブレーカ本体２３が前進後退自在に装置台１３上に取付けられている。

【００１８】 上記ドリフタブレーカ本体２３の先端には、劣化したスリーブを除去するカッ タ２４が取付けられている。このカッタ２４は、図６、図７に示すように外周が 花びら状に凸部２５となっており、それぞれの凸部２５のほぼ中央には水および ／または空気を噴出する孔２５ａが形成され、この孔２５ａの周囲に複数のボタ ンビット２５ｂが形成されたものである。この形状のカッタ２４は横方向にずれ を生ずることなく、直線的にスリーブを壊すことができる。

【００１９】 また、カッタ２４の近傍には、位置決め用のポンチ２６が設けられ、図８、図 ９に示すようにこのポンチ２６の先端を出鋼口フランジ４に形成されて位置決め 孔２７に嵌合することによりカッタ２４が、除去されるスリーブの位置となる。

【００２０】 また、上記スリーブチャッキング装置１５も図１０に示すように並列に設けら れた２連のスリーブチャッキング装置用油圧シリンダ２８，２８によってスリー ブチャッキング本体２９が前進後退自在に取付けられている。このスリーブチャ ッキング本体２９の先端は新しいスリーブを把持して、これを劣化除去した出鋼 口３に供給するチャック３０となっている。

【００２１】 上記交換機１１を用いて転炉のスリーブを交換するには、先ず転炉に対して交 換機１１が所定の位置となるように、床に設けられた位置決め孔（図示せず）に 、脚１２を嵌合するとともに、転炉２を回動し、チャージ口１を下に向けると、 出鋼口３は、ほぼ装置１４，１５の先端延長線とに位置する。上記交換機の移動 は通常クレーンによって行なわれる。

【００２２】 したがって、支持ブラケット１８を横軸１７に沿って移動させる横動油圧シリ ンダ３１の伸縮による左右動、傾動油圧シリンダ２１の伸縮による傾動、脚の伸 縮による上下動によって出鋼口３に対するドリフタブレーカ本体２３の先端位置 を定めるとともに前進させ、出鋼口フランジ４の位置決め孔２７にポンチ２６を 嵌合する。

【００２３】 上記操作は、転炉２が回動し、それを考慮して交換機１１の位置が定められて いるので、上記位置決め孔２７にポンチ２６を嵌合することは容易である。この 操作により、カッタ２４は、除去されるスリーブに対向した位置となる。

【００２４】 次いでカッタ２４を駆動すると、カッタは回動するとともに前後に駆動され、 スリーブが壊される。

【００２５】 この場合、他の形状のカッタを用いると左右のふれが大きく、操作しにくい。 また除去したあとの外観が悪く、新しいスリーブの取付けに手間がかかるが、上 記凸部２５が形成され、この凸部に孔２５ａ、ボタンビット２５ｂが設けられた 上記カッタは、直進性がよく、スリーブが効率よく除去され、除去後の外観もよ く、新しいスリーブが上記除去あとに容易にセットされ、スリーブ基部のフラン ジを出鋼口フランジ４に合わせ容易に溶接して取付けられる。

【００２６】 上記スリーブを取付けた後、チャージ口１から、上記スリーブと、破損した転 炉耐火物との間に耐火モルタル等を注入固着して、スリーブの交換作業を終了す る。

【００２７】

【考案の効果】

以上説明したように、転炉が支持軸を中心として回動自在で、かつ任意の回動 位置で停止させることが出来るので、転炉に対する位置が一定となるように、交 換機を配置すれば、交換機の装置台に搭載されているドリフタブレーカ本体およ びスリーブチャッキング本体の出鋼口に対する位置はほぼ一定となり、ドリフタ ブレーカ装置、スリーブチャッキング装置を左右、上下、俯抑、伸縮の僅かな調 整によって、出鋼口に適用でき、しかもカッタは直進性で、横にそれることなく 少ない作業員により短時間で交換することができる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】転炉の縦断面図である。

【図２】転炉出鋼口交換機の平面図である。

【図３】図２のIII−III線矢視図である。

【図４】図３のＡ部分の詳細図である。

【図５】ドリフタブレーカ装置の側面図である。

【図６】カッタの正面図である。

【図７】カッタの側面図である。

【図８】出鋼口フランジの正面図である。

【図９】出鋼口フランジの位置決め孔にドリフタブレー
カ本体先端のポンチが嵌合した図である。

【図１０】スリーブチャッキング装置の側面図である。

【符号の説明】

１ チャージ口 ２ 転炉 ２ａ 回転軸 ３ 製品注出口（出鋼口） ４ 出鋼口フランジ ５ スリーブ １１ 転炉出鋼口交換機（交換機） １２ 伸縮自在な脚（脚） １３ 装置台 １４ ドリフタブレーカ装置（装置） １５ スリーブチャッキング装置（装置） １６ 油圧機構 １７ 横軸 １８ 支持ブラケット １９ ブラケット ２０ 回動軸 ２１ 傾動油圧シリンダ ２２ ドリフタブレーカ装置用油圧シリンダ ２３ ドリフタブレーカ本体 ２４ カッタ ２５ 凸部 ２５ａ 孔 ２５ｂ ボタンビット ２６ ポンチ ２７ 出鋼口フランジの位置決め孔 ２８ スリーブチャッキング装置用油圧シリンダ ２９ スリーブチャッキング本体 ３０ チャック ３１ 横動油圧シリンダ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 田嶋 庄市 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内 (72)考案者 羽有 幸蔵 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内 (72)考案者 鈴木 恒雄 東京都北区赤羽西１−34−１ 鈴木技研工 業株式会社内

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 転炉の近傍に移動自在に配置され、転炉
   出鋼口のスリーブを交換するスリーブ交換機において、 転炉近くの床に設けられた複数の位置決め孔と、これら
   の孔に伸縮自在な脚を嵌合し、前方向に転炉を位置せし
   めて配置される装置台と、この装置台上に先端を前方に
   向けてセットされた、転炉出鋼口のスリーブを壊すドリ
   フタブレーカ装置と、このドリフタブレーカ装置と並び
   かつ先端を同一方向に向けて上記装置台上に取付けられ
   た、新しいスリーブを取付けるスリーブチャッキング装
   置とを有し、 上記ドリフタブレーカ装置は、先端に回転かつ前後に駆
   動されるカッタが取付けられ、前後方向の移動、左右方
   向の移動および俯抑が自在となっており、上記カッタの
   近傍には転炉の出鋼口フランジに形成された位置決め孔
   に挿入してカッタの位置を決める位置決め用ポンチが設
   けられ、 上記スリーブチャッキング装置は前後方向の移動、左右
   方向の移動および俯抑が自在となっており、先端にスリ
   ーブを把持して、出鋼口フランジに、これを取付けるチ
   ャックが設けられていることを特徴とする転炉出鋼口ス
   リーブ交換機。
2. 【請求項２】 ドリフタブレーカ装置の先端に取付けら
   れているカッタは、外周が複数の凸部によって花びら状
   に形成され、これら凸部のほぼ中央には、水および／ま
   たは空気を噴出する孔が設けられ、この孔の周囲に複数
   のボタンビットが設けられたカッタである請求項１記載
   の転炉出鋼口スリーブ交換機。