JP4538399B2 - 穿孔工具及びスリーブ煉瓦の交換装置並びにスリーブ煉瓦の交換方法 - Google Patents
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Description
この特許文献1に記載の構成において、スリーブ煉瓦交換装置は、刃具を先端に回転可能に装着する刃具基台と、この刃具基台が前後進自在に搭載されたガイドフレームと、このガイドフレームを水平横行・昇降・俯仰・旋回自在に保持する移動台車もしくは固定架台とを備えている。そして、刃具は、有底円筒状に形成され、開口端面部に刃先が設けられている。また、刃先から内底までの深さは少なくともスリーブ煉瓦厚み以上とされている。
すなわち、有底円筒状の刃具を回転、推進および打槌させることにより、この有底円筒の開口端面部に設けられた刃先にてスリーブ煉瓦を切削し、切削されたスリーブ煉瓦は順次刃具の内部に入り込む。そして、最終的にスリーブ煉瓦の中央部が円筒状コアとして切り取られるというものである。
すなわち、上記穿孔工具によれば、スリーブ煉瓦の穿孔作業において、スリーブ煉瓦の貫通孔を拡開する状態に切削を進行でき、この際、一度砕かれた亀裂片はスリーブ煉瓦を破砕している部分へ再び押し込まれることが少ない。このため、穿孔工具の軸ぶれが少なくなり、スリーブ煉瓦に対して高精度で穿孔処理を施すことができる。また、外周側ビットおよび内周側ビットはそれぞれスリーブ煉瓦の切削と押し出しの別々の機能を有し、かつ、一度砕かれた亀裂片が切削の障害になることもないので、穿孔工具は余分な外力を受けることもなくスムーズに切削できる。これにより、スリーブ煉瓦を迅速に穿孔でき、さらに、穿孔工具の各部が受けるダメージを極力減らすことができる。このため、穿孔工具の寿命を延ばすことができ、穿孔工具の取り替え回数を減少できる。さらに、穿孔工具に打撃力を与える装置側の負荷をも低減できるので、当該装置側の寿命を延ばすことができる。
例えば、転炉などの溶融金属容器におけるスリーブ煉瓦を除去して交換する場合、スリーブ煉瓦の穿孔に要する時間を短縮できることから、全体の作業時間を短縮化できる。結果として、当該スリーブ煉瓦を交換するために転炉の操業を停止しておく期間が短くて済むので、転炉の操業時間を長く確保することができる。
したがって、穿孔工具の寿命を延ばすことができ、かつ、作業時間を短縮化できる。結果として、スリーブ煉瓦を交換するために転炉の操業を停止しておく期間が短くなり、転炉の操業時間を長く確保することができる。
加えて、本発明によれば、例えば、転炉などの溶融金属容器におけるスリーブ煉瓦の穿孔時に、スリーブ煉瓦とこれを保持する転炉の一部との間に不規則な形状の地金が存在する場合でも、スリーブ煉瓦の軸方向に沿って側面ビットが当該地金に切り込むので、ホルダの軸ぶれを防ぐことができる。このため、穿孔の精度を向上させることができる。また、側面ビットにて、当該地金やスリーブ煉瓦との摩擦により、ホルダの側面部が損耗することを防止できる。このため、穿孔工具の寿命をさらに延ばすことができる。
例えば、転炉などの溶融金属容器において、出鋼終了後の高温状態のスリーブ煉瓦に対しても容易かつ迅速に交換作業を実施できるので、転炉の稼働率が低減することを防ぐことができる。また、従来のように、高温状態の転炉におけるスリーブ煉瓦の交換作業を作業者が直接行わずに済むので、作業者の安全性を確保することができる。
以下に、本発明の第1実施形態について図面に基づいて説明する。図1は本発明の第1実施形態に係るスリーブ煉瓦の交換装置を模式的に示した側面図であり、図2はその平面図である。
図1および2において、交換装置1は、高温状態の転炉における出鋼孔のスリーブ煉瓦を、打撃により穿孔・除去し、新たなスリーブ煉瓦に交換する装置である。
この交換装置1は、台車10と、横行架台20と、旋回テーブル30と、傾動フレーム40と、工具ブーム50と、スリーブブーム60と、芯出装置70と、駆動源80と、穿孔工具90とを備えている。そして、交換装置1は、穿孔工具90および後述するスリーブ支持具61を三次元空間の任意の方向に移動可能としている。
すなわち、傾動フレーム40は、図1に示すように、旋回テーブル30の上方に取り付けられた本体部41と、この本体部41に傾動ピン42,43を介して傾動可能に連結された傾動シリンダ44,45と、これら傾動シリンダ44,45のそれぞれの上端に取り付けられたブーム連結ロッド46,47とを備えている。ブーム連結ロッド46,47は互いに平行に配設され、これらブーム連結ロッド46,47上には工具ブーム50およびスリーブブーム60が所定の間隔を置いて互いに平行に取り付けられている。これにより、ブーム連結ロッド46,47に直交する状態で取り付けられた工具ブーム50およびスリーブブーム60が、傾動シリンダ44,45のいずれか一方の作動により傾動可能となり、また、傾動シリンダ44,45の双方同時の作動により昇降可能となっている。
ドリフターユニット52は、ドリフターロッド51の軸方向に沿う打撃力、および、ドリフターロッド51の軸を中心とした回転力を、ドリフターロッド51を介して穿孔工具90に付与する。このドリフターユニット52による打撃力は例えば880Jとされ、その打撃数は例えば2800bpmとされている。また、ドリフターユニット52による回転力は例えば4900〜9800N・mとされ、その回転数は例えば40〜80min−1とされている。
工具ブーム用シリンダ54は、ドリフターロッド51の軸方向に沿ってドリフターフレーム53を前進後退させることにより、穿孔工具90を前進後退させることが可能となっている。
スリーブブーム用シリンダ63は、スリーブ挿入フレーム62を介してスリーブ支持具61を前進後退させ、これにより、スリーブ煉瓦Sが前進後退可能となっている。
次に、穿孔工具90の具体的な構成について図面に基づいて説明する。図3は本実施形態における穿孔工具を示す側断面図であり、図4はその平面図である。
外周側ビット92は、打撃によりスリーブ煉瓦に亀裂を生じさせるビットであり、それぞれのビット植設領域918の外周端部913側に複数本ずつ植設されている。このような外周側ビット92は、例えば、炭化タングステン(WC)にコバルト粉末(Co)をバインダーとして加えた超硬合金にて、図5に示すように基端側が略円柱状に形成され、かつ、先端側は、先端に稜線部921が形成された略楔形状とされている。これにより、スリーブ煉瓦の穿孔時に、当該楔形における稜線部921にてスリーブ煉瓦に直線状の切れ込みを形成して破砕し、スリーブ煉瓦と転炉との間に地金が存在する場合でもこの地金を切り込んで破砕可能になっている。
このような寸法とすることで、後述するスリーブ煉瓦の穿孔時に、外周側ビット92先端の稜線部921とスリーブ煉瓦との当接面積が大となり、スリーブ煉瓦の当接部に対して一度の衝撃動作で複数本の亀裂を生じさせることが可能となる。
そして、上記比A2/A1が0.1より小さい場合、外周側ビット92先端の稜線部921が鋭利であり、外周側ビット92先端の稜線部921とスリーブ煉瓦との当接面積が小となるので、スリーブ煉瓦の当接部に対して一度の衝撃動作で1本の亀裂のみしか発生させることができない。
一方、上記比A2/A1が0.4よりも大きな場合、外周側ビット92先端の稜線部921とスリーブ煉瓦との当接面積が大き過ぎて、スリーブ煉瓦に良好に亀裂を生じさせることができない。
また、これら外周側ビット92は、ホルダ91の回転接線方向に稜線部921が倣うように配置されている。これにより、後述するスリーブ煉瓦の穿孔時には、外周側ビット92にて、円筒状のスリーブ煉瓦の内周面をスリーブ煉瓦の周方向に沿って切り崩す状態となり、スリーブ煉瓦の切削効率が向上するようになっている。
内周側ビット93は、外周側ビット92の打撃により生じたスリーブ煉瓦の亀裂片を、凹面部914の中央側に押し込むビットであり、それぞれのビット植設領域918における複数の外周側ビット92の内側かつ凹面部914の外周端部側に複数本ずつ植設されている。このような配置とすることで、内周側ビット93の先端は、外周側ビット92の先端よりもホルダ91の基端側に位置する状態となる。これにより、外周側ビット92の打撃により生じたスリーブ煉瓦の亀裂片が、凹面部914の中央側に向けて傾斜し、内周側ビット93によりさらに当該亀裂片を凹面部914の中央側に向けて押し込むことが可能となる。
側面ビット94は、図3,4に示すように、それぞれのビット植設領域918における側面部916に1つずつ植設されている。このような側面ビット94は、例えば、炭化タングステン(WC)にコバルト粉末(Co)をバインダーとして加えた超硬合金にて、図7に示すように基端側が略角柱状に形成され、かつ、先端側は、ホルダ91の軸方向(打撃面部911の法線方向)に稜線部941が延びる略楔形状に形成されている。これにより、後述するスリーブ煉瓦の穿孔時に、スリーブ煉瓦と転炉との間に地金が存在する場合でも、スリーブ煉瓦の軸方向に沿って当該地金に切り込むので、ホルダ91の軸ぶれを防ぐガイドとして機能するようになっている。また、当該地金やスリーブ煉瓦との摩擦により、ホルダ91の側面部916が損耗することを防止している。
次に、上記交換装置1を用いて転炉の出鋼孔におけるスリーブ煉瓦を熱間で交換する作業について、図面に基づいて説明する。図9は、出鋼孔のスリーブ煉瓦の交換方法を説明するためのフローチャートである。図10は、転炉、および、この転炉における出鋼孔のスリーブ煉瓦を穿孔する交換装置を模式的に示す側断面図である。
次に、保護屋根14のガード141を転炉Tに向けて前進させる(ステップS102)。
そして、作業デッキ13を前進昇降して作業者の足場を確保する(ステップS103)。
そして、ドリフターユニット52(図1参照)を駆動して穿孔工具90に打撃力および回転力を付与すると共に、工具ブーム用シリンダ54(図1参照)を駆動して穿孔工具90を前進させて、スリーブ煉瓦Sの穿孔を開始する。
穿孔の初期段階では、穿孔工具90の打撃および回転によりスリーブ煉瓦Sを穿孔する(ステップS106)。すなわち、穿孔工具90の打撃が主体となって、スリーブ煉瓦Sの内周面が拡大される状態に切削される。
穿孔の終期段階から貫通時までは、穿孔工具90の打撃の頻度を低減させ、かつ、回転主体で穿孔工具90を繰り返し前進後退させて、スリーブ煉瓦Sを穿孔する(ステップS107)。なお、これらステップS106およびS107のスリーブ煉瓦Sの穿孔動作については、後程詳述する。
この後、スリーブブーム60のスリーブ支持具61(図2参照)に交換用のスリーブ煉瓦Sを装着し、横行架台20を横行させてスリーブブーム60を穿孔後の孔に正対させる(ステップS109)。
さらに、スリーブブーム用シリンダ63を前進させて交換用のスリーブ煉瓦Sを当該孔に挿入する(ステップS110)。
そして、移動部12を駆動して交換装置1を移動させて(ステップS112)、一連の出鋼孔T1におけるスリーブ煉瓦Sの交換作業が終了する。
図9におけるステップS106およびS107のスリーブ煉瓦Sの穿孔動作について、図面に基づいて説明する。図11は、穿孔工具の穿孔動作を模式的に示す側断面図である。
なお、スリーブ煉瓦Sの穿孔は、転炉Tの稼動停止時間を短縮するためにも、転炉Tの温度が稼動時よりも若干降温した1000℃程度の高温状態で行われることが好ましい。
また、スリーブ煉瓦Sを新たに交換する際は、スリーブ煉瓦Sおよび当該地金Jを全て除去する必要がある。このスリーブ煉瓦Sの除去は、穿孔工具90にて全て切削除去することや、穿孔工具90にて内周面を拡大する状態に切削して残部を作業者がブレーカーなどで削除することにより行われる
これにより、穿孔時における穿孔工具90の軸ぶれが少なくなり、また従来のように回転力を主体として穿孔していた構成に比べて、スリーブ煉瓦の穿孔時間が短縮される。
さらに、穿孔時には、穿孔工具90の各部がスリーブ煉瓦Sより受けるダメージは少ないので、穿孔工具90自体の破損や交換装置1側の破損が殆ど無い。特に、転炉が高温状態(例えば1000℃)となっている場合でも、外周側ビット92、内周側ビット93および側面ビット94がホルダ91へ図8に示す植設法にて取り付けられているので、当該高温環境においても抜け落ちることなく穿孔工具90の切削能力が低下することがない。
上記第1実施形態における穿孔工具90、交換装置1およびスリーブ煉瓦の交換方法によれば、以下に示す効果を奏することができる。
これにより、一度砕かれた亀裂片S1はスリーブ煉瓦Sを破砕している部分へ再び押し込まれることが少なくなる。このため、穿孔工具90の軸ぶれが少なくなり、スリーブ煉瓦Sに対して高精度で穿孔できる。また、外周側ビット92および内周側ビット93はそれぞれスリーブ煉瓦Sの切削と押し出しの別々の機能を有し、かつ、一度砕かれた亀裂片S1が切削の障害になることもないので、余分な外力を受けることもなくスムーズに切削できる。これにより、迅速にスリーブ煉瓦Sを削孔することができ、さらに、穿孔工具90の各部が受けるダメージを極力減らすことができる。このため、穿孔工具90の寿命を延ばすことができ、穿孔工具90の取り替え回数を減少できる。さらに、ドリフターユニット52などの穿孔工具90に打撃力を与える装置側の負荷をも低減できるので、交換装置1の寿命を延ばすことができる。また、穿孔に要する時間を短縮できることから、スリーブ煉瓦Sの交換に当って、全体の作業時間を短縮化できる。これにより、当該スリーブ煉瓦を交換するために転炉の操業を停止しておく期間が短くて済むので、結果として転炉の操業時間を長く確保することができる。
なお、破砕された亀裂片S1は前方の転炉Tの中へまたは排出溝部915,917を通って後方の転炉Tの外部へ排出される。
これにより、スリーブ煉瓦の穿孔時に、各ビットの先端とスリーブ煉瓦との当接面積が大となり、スリーブ煉瓦の当接部に対して一度の衝撃動作で複数本の亀裂を生じさせることができる。このため、外周側ビット92および内周側ビット93のそれぞれの先端部が早期に損耗してしまうことを防ぐことができると共に、穿孔速度を向上できる。したがって、穿孔工具90の寿命を延ばすことができ、かつ、作業時間を短縮化できる。結果として、スリーブ煉瓦を交換するために転炉の操業を停止しておく期間が短くなり、転炉の操業時間を長く確保することができる。
これにより、スリーブ煉瓦の穿孔時に、当該楔形における稜線部921にてスリーブ煉瓦に直線状の切れ込みを形成して破砕し、スリーブ煉瓦と転炉との間に地金が存在する場合でもこの地金を切り込んで破砕することができる。このため、スリーブ煉瓦の穿孔速度を向上でき、かつ、穿孔工具90が軸ぶれすることなく精密な穿孔を実現できる。そして、従来のように、スリーブ煉瓦を除去した後に残った地金に対して、作業者が別途ブレーカーにより除去作業を行う必要もないので、作業時間を大幅に短縮できる。
これにより、スリーブ煉瓦の穿孔時には、外周側ビット92にて、円筒状のスリーブ煉瓦の内周面をスリーブ煉瓦の周方向に沿って切り崩すことができ、スリーブ煉瓦の切削効率をさらに向上できる。
これにより、スリーブ煉瓦の穿孔時に、スリーブ煉瓦と転炉との間に地金が存在する場合でも、スリーブ煉瓦の軸方向に沿って側面ビット94が当該地金に切り込むので、ホルダ91の軸ぶれを防ぐことができる。このため、穿孔の精度を向上させることができる。また、側面ビット94にて、当該地金やスリーブ煉瓦との摩擦により、ホルダ91の側面部916が損耗することを防止できる。このため、穿孔工具90の寿命をさらに延ばすことができる。
これにより、高温においても各ビットのホルダ91に対する良好な固着状態を得ることができる。特に、各ビットの材料として、炭化タングステン(WC)にコバルト粉末(Co)をバインダーとして加えた超硬合金を用いることにより、800〜1000℃の温度環境下でも良好な固着状態を得ることができる。このため、高温環境においても破損することなく繰り返して使用できる。また、高温環境ではスリーブ煉瓦や地金が脆弱な状態となっており、かつ、各ビットの固着状態も安定しているので、高効率で穿孔作業を行うことができる。したがって、穿孔工具90の寿命を延ばすことができ、かつ、作業時間を短縮化できる。
このように、工具ブーム50およびスリーブブーム60が傾動フレーム40に設けられているので、例えば、一度工具ブーム50で芯出しすればスリーブブーム60で再び芯出しする必要がなくなるため、作業時間を短縮できる。
また、出鋼終了後の高温状態のスリーブ煉瓦を作業者が別途のブレーカーで破砕除去することなく、穿孔工具90にて高速かつ高精度で除去することができ、更にスリーブブーム60にて新たなスリーブ煉瓦を挿入することができる。このため、スリーブ煉瓦を容易かつ迅速に交換することができ、炉の稼働率が低減することを防ぐことができる。さらに、従来のように、高温状態の転炉におけるスリーブ煉瓦の交換作業を作業者が直接行わずに済むので、作業者の安全性を確保することができる。
そして、穿孔工具90がスリーブ煉瓦側から余分な外力を受けないので、穿孔工具90に打撃力を与えるドリフターユニット52の負荷をも低減でき、このため、交換装置1の寿命を延ばすことができる。
これにより、スリーブ煉瓦の交換作業において、作業者の足場を確保することができ、作業状況に合わせて好適な作業位置に調整できる。特に、断崖状の空間に配置された転炉のような溶融金属容器に対して作業を行う場合、交換装置1を断崖状の地面縁まで配置しさらに作業デッキ13を伸張させれば、足場となる地面がないところでも作業者の足場を確保することができる。
これにより、スリーブ煉瓦の交換作業において、上部からの落下物より作業者を保護することができる。したがって、作業中の作業者の安全を確保することができる。
これにより、ホイスト15は、フック151に移動の対象物となる転炉の治具などを吊り下げて、当該治具を上下左右方向に移動させて作業者の作業の邪魔にならない場所まで移動すれば、交換作業をスムーズに行うことができる。
これにより、スリーブ煉瓦を高精度に穿孔することができ、さらに新たなスリーブ煉瓦を穿孔後に形成された孔に正確に挿入することができる。特に、光線軸をスリーブ煉瓦の軸心に一致させれば、横行架台20をスライドするだけで工具ブーム50およびスリーブブーム60のそれぞれの軸心をスリーブ煉瓦の軸心に一致させることができるので、スリーブ煉瓦の交換動作を迅速かつ容易に行うことができる。
これにより、熱間にて、穿孔の初期段階ではスリーブ煉瓦Sを高速で切削することができ、さらに、穿孔の終期段階から貫通時まではスリーブ煉瓦Sおよび地金Jを共に切削できる。特に、不規則な形状の地金Jを切削する場合においても、穿孔工具90にて軸ぶれすることなく高精度に切削することができる。このように、従来の作業のように終期段階がネックにならず、別途のブレーカーでの破砕除去の必要もない。したがって、一つの穿孔工具90にて地金Jを避けることなく一度にスリーブ煉瓦の穿孔作業を行うことができるので、時間のロスが無く高効率であり、結果として転炉の操業時間を長く確保することができる。
次に、本発明の第2実施形態について図面に基づいて説明する。なお、本実施形態に係るスリーブ煉瓦の交換装置は、上記第1実施形態と穿孔工具90の構成のみが異なり、その他の構成については同様である。このため、同様の構成については説明および図示を適宜省略する。
穿孔工具90Aの具体的な構成について図面に基づいて説明する。図12は本実施形態における穿孔工具を示す側断面図であり、図13はその平面図である。
このホルダ91Aの外周面における基端側(図中左端側)には、工具ブーム50におけるドリフターロッド51の雌ねじ511に螺合可能な雄ねじ912Aが形成されている。
なお、この外周側ビット92Aは、図5に示す上記第1実施形態における外周側ビット92と同材質にて同形状に形成されている。
このような配置とすることで、内周側ビット93Aの先端は、外周側ビット92Aの先端よりもホルダ91Aの基端側に位置する状態となる。これにより、外周側ビット92Aの打撃により生じたスリーブ煉瓦の亀裂片を、凹面部914Aの中央側に向けて押し込むことが可能となる。
なお、この内周側ビット93Aは、図6に示す上記第1実施形態における内周側ビット93と同材質にて略同形状に形成されている。
なお、この内周側ビット93Aは、図6に示す上記第1実施形態における内周側ビット93と同材質にて形成されている。
また、上記外周側ビット92A、内周側ビット93Aおよび側面ビット94Aの植設部の構成は、上記第1実施形態における図8に示した植設部と同様の構成である。
次に、上記交換装置1を用いて転炉の羽口におけるスリーブ煉瓦を熱間で交換する作業について、図面に基づいて説明する。図14は、羽口のスリーブ煉瓦の交換方法を説明するためのフローチャートである。図15は、転炉、および、この転炉における羽口のスリーブ煉瓦を穿孔する交換装置を模式的に示す側断面図である。
次に、保護屋根14のガード141を転炉Tの外面と近接する位置まで伸張させる(ステップS202)。そして、作業デッキ13を前進昇降して作業者の足場を確保する(ステップS203)。このようにして作業者の作業環境を確保する。
当該底部の部材の搬出後、交換対象であるスリーブ煉瓦Sの筒状の軸心と一致するように、芯出装置70にてレーザービームを照射して芯出しを行う(ステップS205)。
芯出し後、横行架台20を横行させて工具ブーム50の軸心をスリーブ煉瓦Sの軸心と一致させて位置決めを行う(ステップS206)。
そして、ドリフターユニット52(図1参照)を駆動して穿孔工具90Aに打撃力および回転力を付与すると共に、工具ブーム用シリンダ54(図1参照)を駆動して穿孔工具90Aを前進させて、スリーブ煉瓦Sを穿孔する(ステップS207)。さらに、穿孔工具90Aを前進させて、転炉Tの炉底に溜まったスラグなどの容器内残存物をも穿孔する(ステップS208)。なお、このステップS207,S208における穿孔動作については後程詳述する。
この後、スリーブブーム60のスリーブ支持具61(図2参照)に交換用のスリーブ煉瓦Sを装着し、横行架台20を横行させてスリーブブーム60を穿孔後の孔に正対させる(ステップS210)。
さらに、スリーブブーム用シリンダ63を前進させて交換用のスリーブ煉瓦Sを当該孔に挿入する(ステップS211)。そして、スリーブブーム用シリンダ63を後退させてスリーブ支持具61を抜き出しておく。
この後、移動部12を駆動して交換装置1を移動させて(ステップS215)、一連の羽口T2におけるスリーブ煉瓦Sの交換作業が終了する。
図14におけるステップS207およびS208の穿孔動作について、図面に基づいて説明する。図16は、穿孔工具90Aによる穿孔動作を模式的に示す側断面図である。
この羽口T2に内包されるスリーブ煉瓦Sは、図16に示すような肉厚の略円筒状で、その外周面は一端側から他端側へ向けて漸次径小となるテーパ状に形成されている。
また、通常、使用後の転炉T内部の炉底には、転炉Tの稼動時に発生したスラグなどの容器内残存物T3が貯留されて固化している。この容器内残存物T3により羽口T2が塞がれているので、スリーブ煉瓦Sを新たに交換する際は、穿孔工具90Aにてスリーブ煉瓦Sを全て切削除去し、さらに、転炉T内部へのガス導入を可能とするためにも容器内残存物T3をも穿孔し貫通させておく必要がある。
なお、スリーブ煉瓦Sの穿孔は、転炉の稼動停止時間を短縮するためにも、転炉の温度が稼動時よりも若干降温した1000℃程度の高温状態で行われることが好ましい。
さらに、外周側ビット92Aおよび内周側ビット93Aにより切削された後に残存したスリーブ煉瓦Sに対して、環状部材95の複数の割断刃951が突き刺さる。そして、環状部材95は、ホルダ91に対して遊嵌状態で設けられているので、ホルダ91が回転しても環状部材95は回転せず、ドリフターユニット52からの打撃力のみをスリーブ煉瓦Sの残部に伝達する。これにより、スリーブ煉瓦Sの残部は、複数の割断刃951にてスリーブ煉瓦Sの軸方向に沿って縦に割断される。以上にて、テーパ状に形成された肉厚のスリーブ煉瓦Sに対しても、短時間で効率良く穿孔・除去を行うことができる。
この場合、転炉Tが高温状態(例えば1000℃)で、容器内残存物T3が比較的軟化している必要があり、このような状態の容器内残存物T3に対して穿孔工具90Aは効果的に機能する。なお、外周側ビット92A、内周側ビット93Aおよび側面ビット94Aはホルダ91Aへ図8に示す植設法にて取り付けられているので、当該高温環境下でも抜け落ちることなく、穿孔工具90Aの切削能力が低下することがない。
上記第1実施形態における穿孔工具90A、交換装置1およびスリーブ煉瓦の交換方法によれば、上記(1-5-1)〜(1-5-11)に示す効果に加えて、以下に示す効果を奏することができる。
ここで、穿孔工具90Aによる穿孔動作において、外周側ビット92Aおよび内周側ビット93Aにより切削された後に残存したスリーブ煉瓦Sに対して、環状部材95の複数の割断刃951が突き刺さる。そして、環状部材95は、ホルダ91に対して遊嵌状態で設けられているので、ホルダ91が回転しても環状部材95は回転せず、ドリフターユニット52からの打撃力のみをスリーブ煉瓦Sの残部に伝達する。これにより、スリーブ煉瓦Sの残部を、複数の割断刃951にてスリーブ煉瓦Sの軸方向に沿って縦に割断できる。したがって、外周面がテーパ状に形成された羽口T2のスリーブ煉瓦Sに対して、作業者が別途のブレーカーなどにてスリーブ煉瓦Sの残部を除去せずとも、穿孔工具90Aにて一度に全て除去することができるので、穿孔動作を迅速かつ高効率で行うことができる。
これにより、熱間にて、転炉Tの底部に残存する容器内残存物T3およびスリーブ煉瓦Sを一度の動作で穿孔できるので、従来のようにスリーブ煉瓦の穿孔後、作業者がジェットランスやブレーカーなどを用いて容器内残存物T3を破砕していた構成に比べて、非常に安全でありかつ作業効率を大幅に向上できる。したがって、羽口T2におけるスリーブ煉瓦Sの交換を短時間で完了することができ、結果として転炉の操業時間を長く確保することができる。
これにより、当該内周側ビット93Aにてスリーブ煉瓦Sの内周側を切削することができるので、肉厚の羽口T2におけるスリーブ煉瓦Sに対して好適に穿孔できる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
10…台車
11…フレーム部
111…底部
112…支柱
113…天井部
12…移動部
13…作業デッキ
14…保護屋根
141…ガード(前方部)
15…ホイスト(揚重装置)
151…フック
20…横行架台
21…スライド軸受
22…スライド軸
23…横行シリンダ
30…旋回テーブル
31…旋回モータ
40…傾動フレーム
41…本体部
42,43…傾動ピン
44,45…傾動シリンダ
46,47…ブーム連結ロッド
50…工具ブーム
51…ドリフターロッド
52…ドリフターユニット
53…ドリフターフレーム
54…工具ブーム用シリンダ
60…スリーブブーム
61…スリーブ支持具
62…スリーブ挿入フレーム
63…スリーブブーム用シリンダ
70…芯出装置
80…駆動源
81…油圧ポンプ
90,90B…穿孔工具
91…ホルダ
911…打撃面部
912…雄ねじ
913…外周端部
914…凹面部
915…排出溝部
916…側面部
917…排出溝部
918…ビット植設領域
919…冷媒噴出口
92…外周側ビット
921…稜線部
93…内周側ビット
931…植設孔
932…テーパ穴
933…溶接金属
94…側面ビット
941…稜線部
90A…穿孔工具
91A…ホルダ
911A…打撃面部
912A…雄ねじ
913A…外周端部
914A…凹面部
916A…側面部
917A…排出溝部
919A…冷媒噴出口
92A…外周側ビット
93A…内周側ビット
94A…側面ビット
95…環状部材
951…割断刃
J…地金
S…スリーブ煉瓦
S1…亀裂片
T…転炉
T1…出鋼孔
T2…羽口
T3…容器内残存物
T4…ノズル管
Claims (10)
- 溶融金属容器の内外を貫通する孔部を形成する筒状のスリーブ煉瓦を、打撃により穿孔して除去する穿孔工具であって、
前記筒状のスリーブ煉瓦を該筒状の軸方向に沿って打撃するための打撃面部を有し、この打撃面部の略中央に凹面部が形成されたホルダと、
前記打撃面部の外周端部に植設され、打撃により前記スリーブ煉瓦に亀裂を生じさせる複数の外周側ビットと、
この複数の外周側ビットの内側かつ前記凹面部の外周端部側に植設され、前記外周側ビットの打撃により生じた前記スリーブ煉瓦の亀裂片を、前記凹面部の中央側に押し込む複数の内周側ビットとを備え、
前記ホルダは、前記打撃面部の法線方向の軸周りに回転し、
さらに前記ホルダは、前記打撃面部の外周縁で交差する側面部を有し、
この側面部には、前記打撃面部の法線方向に稜線部が延びる略楔形の側面ビットが植設され、
前記外周側ビットおよび前記内周側ビットの先端は平坦化され、
前記外周側ビットは、先端に稜線部が形成された略楔形状とされ、ホルダの回転接線方向に前記稜線部が倣うように配置され、
前記内周側ビットは先端側が円錐台状に形成されている
ことを特徴とする穿孔工具。 - 請求項1に記載の穿孔工具において、
前記外周側ビット、前記内周側ビットおよび前記側面ビットのうち、少なくともいずれかのビットは、
該ビットが植設される植設孔周りに拡開形成されたテーパ穴に溶接により溶接金属が充填されて固定されている
ことを特徴とする穿孔工具。 - 請求項1または請求項2に記載の穿孔工具において、
前記ホルダは、前記打撃面部の法線方向の軸周りに回転し、
前記ホルダの打撃基端側には、該ホルダに対して遊嵌状態で環状部材が設けられ、
この環状部材の外周面には、刃先が打撃方向に沿って延びて、残存したスリーブ煉瓦を割断する割断刃が設けられている
ことを特徴とする穿孔工具。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の穿孔工具を備え、前記スリーブ煉瓦を交換するスリーブ煉瓦の交換装置であって、
前記溶融金属容器の外側を前後移動する台車と、
この台車上において、当該台車の移動方向と略直交する方向に横行自在に設けられた横行架台と、
この横行架台上に旋回可能に設けられた旋回テーブルと、
この旋回テーブルの上方にて傾動可能に設けられた傾動フレームと、
この傾動フレーム上にて、互いに平行に配置され、一体に上下動および傾動が可能とされた工具ブームおよびスリーブブームとを備えており、
前記工具ブームには、前記穿孔工具が取り付けられて、当該穿孔工具を前進後退させる工具ブーム用シリンダと、当該穿孔工具に振動力および回転力を与えるドリフターユニットとが設けられ、
前記スリーブブームには、このスリーブブームの先端にて交換用のスリーブ煉瓦を保持するスリーブ支持具と、このスリーブ支持具が取り付けられたスリーブ挿入フレームと、
このスリーブ挿入フレームを前進後退させるスリーブブーム用シリンダとが設けられ、
前記穿孔工具および前記スリーブ支持具を三次元空間の任意の方向に移動可能としている
ことを特徴とするスリーブ煉瓦の交換装置。 - 請求項4に記載のスリーブ煉瓦の交換装置において、
前記台車の前方かつ下方には、前記台車の前記移動方向に伸縮可能で、かつ、上下方向に移動可能な作業デッキが設けられている
ことを特徴とするスリーブ煉瓦の交換装置。 - 請求項4または請求項5に記載のスリーブ煉瓦の交換装置において、
前記台車の前方かつ上方には、前記台車の前方へ向けて張り出した保護屋根が設けられており、
この保護屋根の前方部は、前記台車の前記移動方向に伸縮可能となっている
ことを特徴とするスリーブ煉瓦の交換装置。 - 請求項6に記載のスリーブ煉瓦の交換装置において、
前記保護屋根の前方かつ下側には、前記台車の前記移動方向と直交する方向に横行可能な揚重装置が設けられている
ことを特徴とするスリーブ煉瓦の交換装置。 - 請求項4ないし請求項7のいずれかに記載のスリーブ煉瓦の交換装置において、
前記工具ブームおよび前記スリーブブームのそれぞれの軸心を含む面上に、各軸心と平行な芯出し用の光線を照射する芯出装置を備えている
ことを特徴とするスリーブ煉瓦の交換装置。 - 請求項8に記載のスリーブ煉瓦の交換装置を用いて、出鋼孔を備えた溶融金属容器における前記出鋼孔を形成する筒状のスリーブ煉瓦を、熱間で交換するスリーブ煉瓦の交換方法であって、
前記スリーブ煉瓦の軸心と一致するように、芯出し用の光線を照射して芯出しを行って、前記工具ブームの姿勢を調整する工程と、
初期段階では前記穿孔工具の打撃および回転により前記スリーブ煉瓦を穿孔し、終期段階から貫通時までは前記穿孔工具の打撃の頻度を低減させ、かつ、回転主体で前記穿孔工具を繰り返し前進後退させて、前記スリーブ煉瓦を穿孔する工程と、
前記横行架台を横行させて前記スリーブブームを穿孔後の孔に正対させ、交換用のスリーブ煉瓦を挿入する工程とを具備した
ことを特徴とするスリーブ煉瓦の交換方法。 - 請求項4に記載のスリーブ煉瓦の交換装置を用いて、羽口を備えた溶融金属容器における前記羽口を形成する筒状のスリーブ煉瓦を、熱間で交換するスリーブ煉瓦の交換方法であって、
前記台車の前方かつ下方に設けられ、前記台車の前記移動方向に伸縮可能で、かつ、上下方向に移動可能な作業デッキ
および
前記台車の前方かつ上方に設けられ、前記台車の前方へ向けて張り出した保護屋根
の前方部を前記溶融金属容器の外面と近接する位置まで伸張して作業環境を確保する工程と、
前記溶融金属容器の底部に設けられた部材を取り外して、保護屋根の前方かつ下側に設けられ、前記台車の前記移動方向と直交する方向に横行可能な揚重装置により搬出する工程と、
前記工具ブームおよび前記スリーブブームのそれぞれの軸心を含む面上に備えている、各軸心と平行な芯出し用の光線を照射する芯出装置を用い、前記スリーブ煉瓦の軸心と一致するように、芯出し用の光線を照射して芯出しを行って、前記工具ブームの姿勢を調整する工程と、
穿孔工具の打撃および回転により前記スリーブ煉瓦および前記溶融金属容器内の残留物を穿孔する工程と、
前記横行架台を横行させて前記スリーブブームを穿孔後の孔に正対させ、交換用のスリーブ煉瓦を挿入する工程と、を具備した
ことを特徴とするスリーブ煉瓦の交換方法。
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