JPH064689Y2 - コンバインの二番還元処理装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （イ）産業上の利用分野 この考案は、コンバインの二番還元処理装置、すなわ
ち、刈取部で刈取った穀稈を脱穀部の軸流型扱胴により
脱穀し、選別部にて選別処理し、一部、二番穀粒を扱胴
に還元処理するようにしたコンバインの二番還元処理装
置に関する。

（ロ）従来の技術 従来、コンバインにあっては、軸流型扱胴により脱穀処
理された処理物のうち、揺動選別装置で選別処理され
て、二番受樋上に取される二番還元物を、二番還元筒に
よって扱室に還元し、該扱室で再処理するように構成し
ており、そして、この扱室内に二番還元物を還元させる
場合、扱室の前面と、二番還元筒の終端との間に、横長
の二番還元室を設けており、該二番還元室内には、その
長さ方向一側から他側に亘る上部コンベアを設け、その
終端に、二番還元物を扱室内に送り込むための二番還元
スロワを設けており、しかも、このスロワによる起風作
用の発生、及び、二番還元物の跳上げ助長によって、ス
ロワ内での詰まりを防止するために、二番還元室の中間
部に吸気口を開口させた構造がある（実願昭６１−１５
４０８２）。

（ハ）考案が解決しようとする問題点 ところが、横長の二番還元室の他側にある二番還元スロ
ワ部分まで、二番還元物を搬送する上部コンベアが回転
する際に、二番還元室の中間部に開口させた吸気口から
一部搬送物が飛び出し、吸気抵抗を生じ、二番還元スロ
ワでの跳ね上げ効果を減殺するおそれが生じた。

（ニ）問題点を解決するための手段 この考案では、扱胴を内装する扱室の前面側に横長状の
二番還元室を設け、該二番還元室の長さ方向一側に、基
端部が二番受樋に臨む二番還元筒の終端部を臨ませると
共に、前記二番還元室の長さ方向他側を、前記扱室に二
番還元スロワを介して連通させ、しかも、二番還元室の
中間部上側に吸気口を開口すると共に、該吸気口に二番
還元スロワと反対方向に傾斜した吸気筒を連設し、吸気
筒の先端開口部の径を垂直投影した仮想投影径が、吸気
口の径と重複しないように、吸気筒の傾斜角度と、吸気
筒の先端開口部の切削角度とを一定角度に保持してなる
コンバインの二番還元処理装置を提供せんとするもので
ある。

（ホ）作用・効果 この考案では、二番還元物は、二番受樋の取出口から二
番還元筒及び二番還元室内の上部コンベアを介して二番
還元スロワに送られ、該スロワの跳出し羽根により跳上
げられて扱室の前面側より扱室内に送り込まれるのであ
るが、このとき、前記二番還元室に、吸気口が開口され
ているので、前記スロワの跳出し羽根の回転にともなっ
て吸気口からの空気が前記二番還元室内に吸入され、そ
の吸入された空気により前記スロワを介して扱室へ至る
起風作用を生じ、この起風作用によって二番還元物の跳
上げ作用が助長されるものであり、しかも、二番還元室
内の上部コンベアの回転搬送時に、吸気口から搬送物が
飛散せんとしても、吸気筒の先端開口部の径を垂直投影
した仮想投影径が、吸気口の径と重複しないように傾斜
しているので、搬送物は、たとえ吸気口から飛出して
も、吸気筒の内周壁面上側に当り、落下するので、二番
還元室外に搬送物が飛出さないと共に、吸気筒の傾斜方
向が二番還元スロワと反対方向に傾斜しているので、二
番還元スロワの起風作用にともない吸気口からの吸気経
路が少い角度変更で円滑に行われ、前記スロワの起風力
を高めてワラ屑等の遠投力が増大し、詰り防止に役立つ
効果を有する。

（ヘ）実施例 第７図は本考案にかかる二番還元処理装置を適用した汎
用型のコンバインを示しており、(1)は機台であって、
その後方上部で、かつ、進行方向右側部にキャビン付の
操縦席(2)と穀粒タンク(3)及びエンジンを搭載すると共
に、下部両側に走行クローラ(4)をそれぞれ設けるので
あり、また、前記機台(1)の上部に脱穀部(5)を、また前
記機台(1)の前方に刈取部(6)をそれぞれ設ける一方、前
記エンジンを前記走行クローラ(4)と脱穀部(5)及び刈取
部(6)に連動連結させて、前記エンジンの駆動に伴い前
記走行クローラ(4)、脱穀部(5)、刈取部(6)にそれぞれ
回転動力を伝達する如くしている。

又、前記刈取部(6)は、穀物ヘッダー(7)と、該ヘッダー
(7)から前記脱穀部(5)側に向けて伸びる刈取穀稈の搬送
室(8)とから成り、前記穀物ヘッダー(7)に掻込リール
(9)と刈刃(10)及び掻込ドラム(11)とを支持すると共
に、前記搬送室(8)の内部にチェンコンベア(12)を設け
て、前記穀物ヘッダー(7)の掻込リール(9)で穀稈を内方
に掻込んで前記刈刃(10)により刈取り、この刈取穀稈を
前記刈刃(10)により切取り、この刈取穀稈を前記掻込ド
ラム(11)で前記搬送室(8)内に送り込み、該搬送室(8)内
のチェンコンベア(12)により前記脱穀部(5)側に搬送す
る如くしている。

また、前記脱穀部(5)は、第２図に詳しく示す如く、本
体ケーシング(13)の上部に扱室(14)を設けると共に、該
扱室(14)内に外周にスクリュー羽根(15)を螺旋状に巻装
して成る軸流型扱胴(16)を回転自由に支持し、かつ、前
記扱室(14)の下部に受網(17′)と、該受網(17′)の後方
で扱胴(16)の排出側に排稈口(17)とを配設する一方、前
記受網(17′)の下方に、フィードパン(18)とチャフシー
ブ(19)(20)とグレンシーブ(21)となどから成る揺動選別
装置(22)を、支持アーム(22′)を介して揺動可能に支持
すると共に、前記揺動選別装置(22)の下方位置に、一番
コンベア(23)を備えた一番受樋(24)と二番コンベア(25)
を備えた二番受樋(26)とを配設し、かつ、前記選別装置
(22)の前方位置に選別ファン(27)を設けて、前記扱胴(1
6)により脱穀処理され、前記選別装置(22)のチャフシー
ブ(19)、及びグレンシーブ(21)などに供給された処理物
を、前記選別ファン(27)から吹出される選別風により選
別処理して、一番物は一番受樋(24)から穀粒タンク(3)
内に収納し、二番物は二番受樋(26)から二番還元筒(28)
により前記扱室(14)へと還元して再脱穀し、また藁屑な
どは前記排稈口(17)の下部に配設される排出口(29)から
外部に排出するようにしている。

しかして、以上の如く構成するコンバインの二番還元処
理装置として、前記扱室(14)の前面側に、横長状とした
二番還元室(30)を設けて、この二番還元室(30)の長さ方
向一側に、基端部が二番受樋(26)の取出口に臨む二番還
元筒(28)の終端部を臨ませると共に、前記二番還元室(3
0)の長さ方向他側を、前記扱室(14)に、二番還元スロワ
(31)を介して連通させる一方、前記二番還元室(30)の中
間部に吸気口(s)を開口させたのである。

具体的には、前記二番還元室(30)内に、その長さ方向一
側から他側に亘る上部コンベア(32)を設けて、前記二番
還元室(30)の一端部に投入された二番還元物を前記上部
コンベア(32)の横送り作用でもって前記二番還元スロワ
(31)のスロワ室(33)に送込むと共に、該スロワ室(33)に
送込まれた二番還元物を前記上部コンベア(32)の他端部
に取付けられ、該コンベア(32)と一体回転する二番還元
スロワ(31)の跳出し羽根(34)によってそのスロワ吐出口
(35)より扱室(14)の前部の右側上方に投出すように構成
する一方、前記二番還元室(30)の中間部上方位置に吸気
口(s)を開口し、かつ、該吸気口(s)の周縁に、上方に突
出する吸気筒(m)を配設して、該吸気筒(m)によって前記
吸気口(s)を覆うものである。

しかも、吸気筒(m)は、第６図に示すように、二番還元
スロワ(31)と反対方向に一定角度θだけ傾斜して設けら
れており、吸気筒(m)の先端開口部(m-1)の径(a)を垂直
投影した仮想投影径(a′)が、吸気口(s)の径(b)と重複
しないようにしており、このことは、吸気筒(m)の傾斜
角度（θ）と、吸気筒(m)の先端開口部(m-1)の切削角度
（θ′）とを一定角度に保持することによって達成され
る。

又前記二番還元スロワ(31)は、そのケースを上部及び下
部ケース(36)(37)に分割していて、前記跳出し羽根(34)
を包囲する下部ケース(37)を下部ボックス(38)を介して
脱穀部(5)の本体ケーシング(13)に設けると共に、前記
スロワ吐出口(35)を備えた上部ケース(36)を、上部ボッ
クス(39)を介して本体ケーシング(13)の扱室上部カバー
(14-1)に一体支持させ、本体ケーシング(13)側と扱室上
部カバー(14-1)間に架設する油圧シリンダ(40)の伸縮動
作をもって上部カバー(14-1)を回動軸(14-2)を中心とし
て開放するとき、前記上部ケース(36)も同時に開放状態
とするように構成している。

また、上部ケース(36)の上側内面は緩やかな湾曲面を形
成して扱室(14)前面の開口部によりその吐出口(35)を扱
室(14)内に臨ませ、該吐出口(35)より扱室(14)内に二番
還元物を投出させるとき、この還元物を扱室(14)の上壁
内面に沿わせて扱室(14)内部に投出させ、前記搬送室
(8)より送込まれる刈取穀稈との合流が良好に行なえる
ように構成している。

尚、(41)は前記上部及び下部ケース(36)(37)の合体の
際、これらケース間の密封を行なうシール部材である。

また、第２図、第３図、第４図、第５図に示す如く二番
還元スロワ(31)の下部ケース(37)の円弧状底板(37-1)
と、下部ケース(37)の非供給側の側板(37-2)との接合部
の下方一部には、一定幅と長さの切込溝(c)を設けてお
り、切込溝(c)は、穀粒が通過しないだけの幅を保持せ
しめており、同時に下部ケース(37)内に侵入した水が下
部ケース(37)外に排出されるようにしているものであ
り、水が機内に残留しないものである。

そして、処理物供給口と反対で、かつ跳出し羽根(34)の
回転軌跡と重複しない位置に切込溝(c)を設けるため処
理物の密度が少ない位置となり、羽根の遠心力も加わら
ないので、切込溝(c)に目詰りも生起せず、穀粒の激突
にともなう摩耗も生じないものである。

このように、下部ケース(37)の円弧状底板(37-1)と、側
板(37-2)との接合部の下方一部に設ける切込溝(c)の具
体的構成は次の通りである。

すなわち、第３図に示すように、円弧状底板(37-1)の端
部を一定幅長さで切欠くことによって切込溝(c)を構成
する場合と、第６図に示すように、底板(37-1)は、その
ままにして、側板(37-2)の下端部を一定幅長さで外側方
に膨出せしめて、その分だけ底板(37-1)の外側端面との
間に間隙を形成し、この間隙を切欠溝(c)とする場合と
があり、いづれの場合も、側板(37-2)の下端縁は、底板
(37-1)の外側面よりも、やや突出状となるように構成し
ている。

本考案は以上の如く構成するもので、前記搬送室(8)内
のチェンコンベア(12)により脱穀部(5)の扱室(14)内に
供給された刈取作物を、該扱室(14)内の扱胴(16)で脱穀
処理して、排稈スクリュー羽根(15)により扱胴(16)の排
出側に移送して排稈口(17)から外部に排出する一方、前
記受網(17′)から落下する処理物を揺動選別装置(22)で
選別処理し、該選別装置(22)により選別処理された処理
物のうち、一番物は一番受樋(24)から穀粒タンク(3)に
供給貯留され、また二番物は二番受樋(26)の側部に設け
た二番還元筒(28)及び二番還元室(30)内の上部コンベア
(32)並びに二番還元スロワ(31)を介して扱室(14)の前面
側上部から該扱室(14)内に送り込まれて、再処理される
のである。

このとき、前記二番還元室(30)には、前記吸気口(s)が
開口されているので、前記スロワ(31)の跳出し羽根(34)
の回転に伴って、前記吸気口(s)から空気が二番還元室
(30)内に吸入され、その吸入され空気が前記スロワ(31)
内を通ってその吐出口(35)から扱室(14)へ抜出る起風作
用が発生し、この起風作用により前記跳出し羽根(34)に
よる跳上げが助長されるのであり、この結果、二番還元
物を前記スロワ(31)内で詰ったりすることなく扱室(14)
内へ勢い良く巻込むことができるのである。

しかも、二番還元室(30)内の上部コンベア(32)の回転搬
送時に、吸気口(s)から搬送物が飛散せんとしても、吸
気筒(m)の先端開口部(m-1)の径(a)を垂直投影した仮想
投影径(a′)が、吸気口(s)の径(b)と重複しないように
傾斜しているので、搬送物は、たとえ吸気口(s)から飛
出しても、吸気筒(m)の内周壁面上側に当り、落下する
ので二番還元室(30)外に搬送物が飛出さないと共に、吸
気筒(m)の傾斜方向が二番還元スロワ(31)と反対方向に
傾斜しているので、二番還元スロワ(31)の起風作用にと
もなう吸気口(s)からの吸気経路が少い角度変更で形成
され、従って円滑にワラ屑等の遠投力を増大し、詰り防
止にも効果を有する。

【図面の簡単な説明】 第１図は、本案装置の要部の断面側面図。 第２図は、第１図Ｉ−Ｉ線の断面図。 第３図は、第２図II−II線の断面図。 第４図は、他の実施例の説明図。 第５図は、第４図III−III線の断面図。 第６図は、吸気筒の傾斜を示す説明図。 第７図は、本案装置を有するコンバインの全体側面図。 (28)：二番還元筒 (30)：二番還元室 (31)：二番還元スロワ (32)：上部コンベア (33)：スロワ室 (s)：吸気口 (m)：吸気筒 （θ）：傾斜角度

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】扱胴(16)を内装する扱室(14)の前面側に横
   長状の二番還元室(30)を設け、該二番還元室(30)の長さ
   方向一側に、基端部が二番受樋(26)に臨む二番還元筒(2
   8)の終端部を臨ませると共に、前記二番還元室(30)の長
   さ方向他側を、前記扱室(14)に二番還元スロワ(31)を介
   して連通させ、しかも、二番還元室(30)の中間部上側に
   吸気口(s)を開口すると共に、該吸気口に二番還元スロ
   ワ(31)と反対方向に傾斜した吸気筒(m)を連設し、吸気
   筒の先端開口部(m-1)の径(a)を垂直投影した仮想投影径
   (a′)が、吸気口(s)の径(b)と重複しないように、吸気
   筒(m)の傾斜角度（θ）と、吸気筒(m)の先端開口部(m-
   1)の切削角度（θ′）とを一定角度に保持してなるコン
   バインの二番還元処理装置。