JPH0645426B2 - ポリエステル繊維巻取パツケ−ジ - Google Patents

ポリエステル繊維巻取パツケ−ジ

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JPH0645426B2
JPH0645426B2 JP18302385A JP18302385A JPH0645426B2 JP H0645426 B2 JPH0645426 B2 JP H0645426B2 JP 18302385 A JP18302385 A JP 18302385A JP 18302385 A JP18302385 A JP 18302385A JP H0645426 B2 JPH0645426 B2 JP H0645426B2
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小柳  正
輝彦 松尾
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旭化成工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ポリエチレンテレフタレート繊維巻取パツケ
ージに関する。更に詳しくは、直接に編織物に供しても
品位の良好な編織物が得られるポリエチレンテレフタレ
ート繊維巻取パツケージに関するものである。
従来の技術 近年、ポリエステル繊維糸条の製造は生産性向上が強く
求められるようになり、製糸工程、特に紡糸工程で、例
えば5000m/分を越える高速度の引取速度を用いる、い
わゆる高速紡糸引取法(スピンテイクアツプ紡糸法)に
よる製造が試みられている。この種の高速紡糸引取法に
よつて得られるポリエチレンテレフタレート繊維は、そ
の微細構造が従来の汎用の低速紡糸工程と延伸工程との
2工程により製造される低速紡糸/延伸糸とは著しく異
なつたものであり、それが故に低速紡糸/延伸糸とは、
実用上要求性能に関して際立つた有用な特長をもつてい
ることが特開昭57−121613号公報等により知られるとこ
ろである。
最も際立つ特長は、実用上高度の易染性を有すること
と、低熱収縮性である。易染性は、汎用の低速紡糸/延
伸糸を高温高圧染色して得られる実用染色濃度を、110
℃乃至常圧で達成する程度に優れたものであり、特に60
00m/分以上の引取速度を用いる高速紡糸法で得られる
繊維に至つては顕著であることが特開昭57−1216135号
公報に開示されている。
また、低熱収縮性は、例えば織物に於て、製織後生機が
経なければならない加工工程、代表的には精練・染色加
工時の織物の寸法変化を極端に小さくしており、その結
果、これら湿潤加工工程に先立つて行なわれるプレセツ
ト工程の省略を可能にする位である。
しかしながら、以上の利点とは逆に高速紡糸引取法によ
つて得られるポリエチレンテレフタレート繊維糸条は、
織物にした際、ヒケと呼ばれる織物面の微小な光沢斑が
加工工程で発生し易い欠点がある。かかる、ヒケ欠点が
発生する原因は、ポリエチレンテレフタレート繊維をチ
ーズ状パツケージに高速で巻上げる際に受ける応力斑に
より伸長、圧縮、発熱などが糸質斑となつて内在された
まま、パツケージが形成されている為である。この糸質
斑は、特にパツケージの両端部に集中し易い。それは、
パツケージの形成に於て、パツケージの長手軸方向の両
端部に糸条がより多く積層され、いわゆる、耳高の形状
となり、この耳高部が接圧ローラーと接触することに因
るもの考えられている。
更に、本発明者らの研究によれば、かかる欠点を生じる
糸質斑の程度がパツケージに積層される巻量によつても
異なり、特にパツケージの支持体に近接した部分(以
下、内層部と称す)の繊維に集中し易く、ヒケ欠点が一
層顕著となることが明らかになつた。そして、このヒケ
欠点は、該ポリエチレンテレフタレート繊維が低熱収縮
性であることと110℃乃至常圧で染色することで布帛と
しての熱収縮が小さく、欠点の解消を極めて困難として
いることも明らかになつた。
発明が解決しようとする問題点 本発明は高速紡糸引取法によつて製造される易染性、か
つ低熱収縮性のポリエチレンテレフタレート繊維を、直
接に編織物に供してもヒケ欠点を生じない良好な品位の
編織物が得られるポリエチレンテレフタレート繊維巻取
パツケージの提供を目的とするものである。
問題点を解決するための手段 本発明は、高速紡糸引取法により得られる特定の物性を
有するポリエチレンテレフタレート繊維の巻取パツケー
ジに於て、パツケージ内層部の糸条のなす綾角度を特定
することにより問題点を解決したものである。
すなわち、本発明は、伸度20〜60%、複屈折率0.08〜0.
13、沸水収縮率2〜5%であるポリエチレンテレフタレ
ート繊維のパツケージに於て、該パツケージの内層部が
綾角度1゜〜4゜の層を有して積層されていることを特
徴とするポリエステル繊維巻取パツケージである。
ここに、本発明が特定する物性を有するポリエチレンテ
レフタレート繊維は、ポリエチレンテレフタレートを紡
糸引取速度6000m/分以上の引取速度で製造される優れ
た易染性と低熱収縮性を有する繊維であつて、例えば、
特開昭57−133215号公報、特開昭58−208416号公報に記
載される方法によつて製造することが出来る。本発明で
用いるポリエチレンテレフタレート繊維の物性は、直接
に編織物に使用しても工程上のトラブルなく、かつ汎用
のポリエチレンテレフタレート繊維編織物に比肩する製
品を得るための前提条件である。易染性、低収縮性から
最も好ましいポリエチレンテレフタレート繊維の物性
は、伸度25〜50%、複屈折率0.10〜0.12、沸水収縮率2
〜4%である。
本発明のポリエチレンテレフタレート繊維巻取パツケー
ジは、該パツケージの内層部に綾角度1゜〜4゜の層を
有して積層されていることが必要である。この1゜〜4
゜の低綾角度の層はパツケージの内層部に設けることが
必要で、中層部や外層部に設けた場合には、内層部のヒ
ケ欠点が解消されない。ここで、内層部とは、パツケー
ジの支持体(ボビン)に積層される繊維の重量が約1kg
までの部分を示す。
また、この低綾角度の層として積層される繊維の重量
は、パツケージの巻フオームが不良とならない範囲で定
められるが、本発明の効果をより顕著にするには、繊維
重量で0.1kg〜1kgの量で積層されていることが好ま
しい。
本発明を一層明らかにするために、第1図にパツケージ
の内層から外層へ至る綾角度の変化を例示する。第1図
に於て、Aは従来から採用される綾角一定の条件であ
り、B,C,Dは本発明の糸条パツケージの綾角度を示
すものである。
例えば、第1図Bの如く、内層部に約0.2kgの綾角度
4゜以下の層を積層した後、徐々に綾角度を高め、6゜
〜7゜として巻取パツケージを形成する。本発明では、
このBの如く、1kg部以内に1゜〜4゜の綾角度の層が
含まれていれば、続いて4゜を越える層が1kg以内に含
まれていても本発明の効果である緯ヒケが解消可能であ
る。
内層部以外の綾角度は、巻取パツケージの形状を正常に
維持する範囲で第1図B,C,D以外にもこれらの組み
合せなどからも選択が可能である。
尚、第1図のA,B,C,Dは、綾角度の変化をモデル
化して直線で示したが、必要に応じ曲線的に変化させる
ことも可能である。
本発明でいう綾角度とは、第2図に示す巻取パツケージ
1に於て、ボビン2の長手方向と直角な線と繊維の綾目
3とのなす角度θをいう。
本発明は、高速紡糸引取に於て、高速巻取機のトラバー
ス装置駆動用周波数変換装置をマイクロコンピユーター
で制御することにより、工業的に容易に実施可能であ
る。
本発明に於て、巻取パツケージの内層部に特定の綾角度
の層を設けることで、従来、極めて困難とされていた高
速紡糸巻取糸の緯ヒケ欠点が解消される。このような作
用は、本発明者らの推定によれば、内層部に設けられた
低綾角度の層が緩衝層となりその後に積層される繊維に
よる耳高の成長を抑制すると共に、巻取パツケージを数
時間乃至数日間放置した際に生じる巻取パツケージ内で
のポリエチレンテレフタレート繊維の収縮(放縮ともい
う)をこの低綾角度の層で吸収し、糸長方向の糸質斑を
減少させることによるものではないかと考えられる。
実施例 実施例によつて本発明を更に詳細に説明するが、実施例
に於て、使用される各特性値の評価方法は次の通りであ
る。
〔強伸度〕
東洋ボールドウイン社製TENSILON UTM II−20型引張試
験機により、初長20cm、引張速度50mm/分で測定す
る。
〔沸水収縮率〕
0.1g/d荷重下での試料長をL0とし、荷重を取り除
き、沸水中で30分間処理した後、同じ荷重下で測定し
た長さをLとした時、沸水収縮率は で表わされる。
〔複屈折率〕
透過定量干渉顕微鏡(東独、カールツアイスイエナ社
製)を使用し、干渉縞法によつて、緑色光線(波長549
mμ)を用い、繊維軸に平行な屈折率nと直角な屈折
率nを測定し、複屈折率△n=n−nにより求め
る。
〔染着率〕
繊維を試料とし、分散染料レゾリンブルー(Resolin Bl
ue)FBL(バイエル社商品名)を使用し、3%owf、浴比
1対50で、100℃,60分間染色を行なう。染色後の染
液の吸光度を測定する方法により染着率(%)を算出し
た。この測定によれば、従来の低速紡糸/延伸糸は約50
%の染着率しか示さない。染着率が60%以上あれば易染
性であり、75%以上であれば常圧可染性であると言え
る。
実施例1及び比較例 極限粘度〔η〕=0.62のポリエチレンテレフタレート
を、特開昭58−208416号公報の実施例1の方法に準じ、
紡糸引取速度7000m/分で巻取りパツケージとした。こ
のポリエチレンテレフタレート繊維の物性を以下に示
す。
巻取りに際し、トラバース速度を変化させ、内層部に綾
角度2゜の層を0.3kg積層し内層部から表層部までの
綾角度を第1図Bに例示されるような変化をさせ総巻量
5kgの巻取パツケージを形成した。一方、比較として綾
角度を第1図Aの如く内層部から表層部まで一定のまま
で巻取り、パツケージを得た。
次いで、これら巻取パツケージから直接に日産ウオータ
ージエツトルーム(LW−51型)を用い、製織速度550m
/分で緯糸として使用して製織を行なつた。生機の織物
規格は、経密度100本/in、緯密度80本/inとした。生
機を精練後100℃常圧で染色を行ない緯ヒケ品位を判定
した。巻取パツケージの巻層別の綾角度及びこれに対応
する織物の緯ヒケ品位を第1表に示す。
第1表から明らかな様に、巻取パツケージ内層部に低綾
角度の層を積層した本発明のポリエチレンテレフタレー
ト繊維巻取パツケージは、直接に織物の緯糸に使用する
ことが可能で、良好な品位の織物が得られた。
実施例2 実施例1に於て、巻取パツケージ内層部に積層する層の
綾角度と積層量を変えて、巻取パツケージを得た。これ
を実施例1と同様に織物とし、緯ヒケ品位を第2表に示
す。
内層部に積層する綾角度が本発明の特定範囲にある場合
には、巻取パツケージのフオーム崩れもなく、織物の緯
ヒケ品位も極めて良好となつた。
発明の効果 本発明のポリエチレンテレフタレート繊維巻取パツケー
ジにより得られた編織物は、110℃乃至常圧下でも高温
高圧染色と遜色なく染色でき、ヒケ欠点のない良好な品
位が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は巻取パツケージ巻量に対応する綾角度の変化を
模式的に示した図である。 第2図は、巻取パツケージの正面図である。 1……巻取パツケージ、2……ボビン、3……綾目、θ
……綾角度

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】伸度20〜60%、複屈折率0.08〜0.13、沸水
    収縮率2〜5%であるポリエチレンテレフタレート繊維
    のパツケージに於て、該パツケージの内層部が綾角度1
    ゜〜4゜の層を有して積層されていることを特徴とする
    ポリエステル繊維巻取パツケージ
JP18302385A 1985-08-22 1985-08-22 ポリエステル繊維巻取パツケ−ジ Expired - Fee Related JPH0645426B2 (ja)

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