JPH0645072A - 薄膜エレクトロルミネッセンス素子とその製造方法 - Google Patents

薄膜エレクトロルミネッセンス素子とその製造方法

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JPH0645072A
JPH0645072A JP4196968A JP19696892A JPH0645072A JP H0645072 A JPH0645072 A JP H0645072A JP 4196968 A JP4196968 A JP 4196968A JP 19696892 A JP19696892 A JP 19696892A JP H0645072 A JPH0645072 A JP H0645072A
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JP
Japan
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light emitting
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heat treatment
thin film
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JP4196968A
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Takashi Morishita
隆 森下
Hiroyoshi Matsuyama
博圭 松山
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 二重絶縁層型の薄膜EL素子において、硫化
性ガス雰囲気下、650℃で熱処理する前のS/Sr比
が0.5〜0.95であり、熱処理後のS/Sr比が
0.95〜1.05である発光層を有する薄膜EL素子
とその製造方法。 【効果】 結晶性の高い発光層を作製できるので、高輝
度に発光する薄膜EL素子を作製できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電界の印加に応じて発光
を示す薄膜エレクトロルミネッセンス素子(以下、「E
L素子」と略記する)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ZnSやZnSe等の化合物半導体にM
n等の発光中心を添加したものに高電圧を印加すること
で発光するエレクトロルミネッセンスの現象は古くから
知られている。近年二重絶縁層型EL素子の開発によ
り、輝度および寿命が飛躍的に向上し、薄膜EL素子は
薄型ディスプレイに応用されるようになり、現在市販さ
れるまでに至った。
【0003】EL素子の発光色は、発光層を構成する半
導体母体と、添加される発光中心の組合せで決まる。例
えば、ZnS母体に発光中心としてMnを添加すると黄
橙色、叉、Tbを添加すると緑色のエレクトロルミネッ
センス発光(以下「EL発光」と略記する)が得られ
る。叉、SrS母体に発光中心としてCeを添加すると
青緑色、CaS母体に発光中心としてEuを添加すると
赤色の各EL発光が得られる。
【0004】しかしながら、現在実用レベルの輝度に達
しているものはZnSにMnを添加した黄橙色の系のみ
である。フルカラーの薄膜型ディスプレイをEL素子を
用いて作製する場合、青、緑、赤の3原色を発光するE
L素子が必要であり、各色を高輝度に発光するEL素子
の開発が精力的に進められている。発光層の成膜方法と
して、抵抗加熱蒸着、電子線加熱蒸着、スパッタ蒸着、
MOCVD(有機金属ガス気相成長法)、MBE(モレ
キュラー・ビーム・エピタキシャル)、ALE(原子層
エピタキシャル)法などが用いられている。これらの方
法で形成された発光層の結晶性とEL素子の輝度の関係
に関して、高結晶化した発光層を有するEL素子の輝度
が高いことが知られている。これは、発光層に印加され
た電界により加速された電子が効率良く発光中心を励起
するためであると推定されている。MOCVD,ALE
法を用いて作成されたZnS:Mn発光層で高結晶性の
薄膜が得られ、高輝度に発光するEL素子が作製されて
いる。しかし、ZnS以外の化合物半導体を母体として
用いた系では、高輝度に発光する素子は得られていな
い。
【0005】MOCVD,ALE、MBE法は高結晶性
の薄膜を作成するための有望な方法ではあるが、発光中
心を均一に分散させることが困難であること、大面積の
EL発光層を経済的に作製することが困難であること等
の面では、電子線加熱蒸着法やスパッタ蒸着法に比べて
劣っているという問題点もある。高輝度発光を示すEL
素子を製造するための1つの有望な方法として、発光層
を高結晶化させることが数多く検討されている。発光層
の高結晶化を図るため、発光層の作製時の基板温度を高
くしたり、発光層作製後に真空中或いは不活性ガス雰囲
気下で高温熱処理するなどの方法がとられてきた。しか
し、多くの場合薄膜EL素子は基板としてガラスを使用
しているため、850℃以上の高温で熱処理する場合、
ガラスの歪などが問題とされた。さらに発光層の母体と
してZnS、SrS、CaS、CdSなどの硫化物を用
いる場合、高温熱処理により膜中のSの量が減少し化学
量論的組成からずれ、Sの抜けによる欠陥のために高結
晶化した発光層を作ることができないことも大きな問題
点であった。例えば青色発光を示すSrS:Ce発光層
では顕著な効果は得られていない。
【0006】又、発光層を成膜後H2 S中で熱処理する
ことが、特公昭63−46117号公報、特開平1−2
72093号公報および特開平3−225792に記載
されている。特に、特開平3−225792では、65
0℃以上、1時間以上の熱処理により、発光層の結晶粒
が大きく成長し、SrS:Ce系で最高輝度12000
cd/m2 という非常に高い輝度の得られることが記載
されている。しかしながら、まだ実用輝度には達してい
ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、発光層の結
晶性を更に向上させることにより高輝度に発光するEL
素子を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる状況下において、
本発明者らは、高輝度発光を示すEL素子の製造方法に
ついて鋭意検討した結果、硫化性ガス雰囲気中で熱処理
する前後の発光層のS/Sr比が輝度に大きく影響する
ことを見いだし、本発明をなすに至った。すなわち本発
明は、以下のとおりである。 1. SrS母体中に発光中心をドープした発光層の両
側を絶縁層ではさみ、更にその両側を電極ではさむ構造
を有し、かつ該電極の少なくとも一方が光透過性の電極
である薄膜エレクトロルミネッセンス素子において、上
記発光層が、硫化性ガス雰囲気下、650℃以上の温度
で熱処理する前のS/Sr比が0.5〜0.95であ
り、該熱処理後のS/Sr比が0.95〜1.05であ
ることを特徴とする薄膜エレクトロルミネッセンス素
子。 2. SrS母体中に発光中心をドープした発光層の両
側を絶縁層ではさみ、更にその両側を電極ではさむ構造
を有し、かつ該電極の少なくとも一方が光透過性の電極
である薄膜エレクトロルミネッセンス素子の製造方法に
おいて、上記発光層が、ターゲットのS/Sr比を変化
させてスパッタリング法により形成されたS/Sr比が
0.95〜1.05である膜を硫化性ガス雰囲気下、6
50℃以上の温度で熱処理されてなることを特徴とする
薄膜エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【0009】以下に本発明を詳細に説明する。図1は、
この発明を適用した二重絶縁構造の薄膜EL素子の一例
を示すものである。図中、1はガラス板などからなる透
明基板、2は厚みが 100〜300nm程度のITO
薄膜などからなる透明電極、3はAl薄膜やITO薄膜
などからなる厚みが100〜500nm程度の背面電極
で、表示パターンに応じた形状にパターン化されてい
る。
【0010】4はSrS母体中少量の希土類元素やMn
などの発光中心を含有させたもの、例えば、SrS:C
e、SrS:Eu、SrS:Ce,Euなどからなる発
光層である。本発明のEL素子のSrS母体に添加され
る発光中心の材料、元素は特に限定されないが希土類元
素やMnなどが好ましく、例えば、Ce,Euなどが挙
げられる。発光層の膜厚は特に限定されないが、薄すぎ
ると発光輝度が低く、厚すぎると発光開始電圧が高くな
るため、好ましくは50〜3000nmの範囲であり、
より好ましくは100〜1500nmの範囲である。
【0011】5、6は上記発光層4の表面及び背面に隣
接する絶縁層である。本発明のEL素子に用いられる絶
縁層としては特に限定されない。例えば、SiO2 、Y
2 3 、TiO2 、Al2 3 、HfO2 、Ta
2 5 、BaTa2 5 、PbTiO3 、Si3 4
ZrO2 等やこれらの混合膜または2種以上の積層膜を
挙げることができる。また、絶縁層と発光層の間には、
成膜時、熱処理時に両者の反応を防ぐためにバッファー
層を用いることが好ましい。バッファー層としては特に
限定されないが、金属硫化物、中でもZnS、CdS、
SrS、CaS、BaS、CuS等が挙げられる。バッ
ファー層の膜厚は特に限定されないが10〜1000n
mの範囲であり、より好ましくは50〜300nmの範
囲である。
【0012】発光層の成膜方法としては、電子線加熱蒸
着、スパッタ蒸着、MBE、MOCVD、ALE法など
多くの方法が選択できるが、これらの中でもスパッタ蒸
着法は高輝度を示す素子が得られて好ましい。スパッタ
リング法で作製する場合にはターゲットに用いるSrS
粉末を不活性ガス中で熱処理したり、イオウ粉末を添加
するなどしてターゲットのS/Sr比を変えることによ
り、膜中のS/Sr比を変えることができる。本発明の
ターゲットとして用いられるS/Sr比は好ましくは
0.4〜0.9だある。
【0013】発光層の熱処理条件において、硫化性ガス
雰囲気中で行うことが重要である。硫化性ガスとして
は、硫化水素、二硫化炭素、硫黄蒸気、エチルメルカプ
タン、メチルメルカプタン、ジメチル硫黄、ジエチル硫
黄等があり、中でも硫化水素ガスは輝度向上効果が大き
く好ましい。硫化性ガスの濃度としては、特に限定され
ないが、0.01〜100vol%、より好ましくは
0.1〜30vol%である。希釈ガスとしてはAr、
He等の不活性ガスが用いられる。また、硫化性ガスの
効果が顕著に現れるためには、熱処理の温度が650℃
以上、時間は1時間以上が必要である。
【0014】硫化性ガス雰囲気中で熱処理することによ
り、発光層の結晶性は向上するが、その際、熱処理前の
発光層のS/Sr比が重要である。熱処理前のS/Sr
比は好ましくは0.5〜0.95、より好ましくは0.
6〜0.9である。熱処理前の発光層のS/Sr比がこ
の領域にあるとき、熱処理により結晶性は著しく向上す
る。
【0015】熱処理した後の発光層のストイキオメトリ
ー性は高く、XPSで測定したS/r比は0.95〜
1.05である。XPSの測定はVG社製Lab200
Xを用いて行い、励起源としてはMgKα(1.2k
V)を用いた。測定の際、発光層の最表面は酸化されて
いるのでArイオンエッチング(5KV,6×10-6
orr)を行い 1000Aエッチングした後測定を行
った。各元素の換算係数はSr:5.29、O:3.0
75、S:1.838としてS/Sr比を計算した。
【0016】本発明の特徴は、成膜直後の発光層と硫化
性雰囲気中での熱処理後の発光層のS/Sr比がある特
定の範囲内にあることであり、これにより硫化性ガス雰
囲気下での熱処理により高結晶化した発光層が作製でき
ることである。また、熱処理前の発光層のS/Sr比が
請求項1に示した特定の範囲より大きい場合には、硫化
性ガス雰囲気中で熱処理するする前に不活性ガス中で熱
処理して、S/Sr比を調製し、発光層の結晶性を向上
させることも可能である。
【0017】
【実施例】以下に、この発明の実施例を具体的に説明す
る。
【0018】
【実施例1】ガラス基板上(HOYA株式会社製、NA
−40)に、反応性スパッタ法により、厚さ約100n
mのITO電極を形成した。その上に、Taターゲット
及びSiO2 ターゲットを用いて、厚さ400nmのT
2 5 と厚さ100nmのSiO2 をスパッタ蒸着法
により順次形成し絶縁層とした。続いてバッファ−層と
して、厚さ約100nmのZnS薄膜を、ZnSターゲ
ットを用いたアルゴンガス中のスパッタ蒸着により作製
した。次に、発光層として、SrSにCeF3及びKC
lをそれぞれ0.3mol%混合したS/Sr比が0.
8のターゲットを用い、基板の温度、250℃でスパッ
タ蒸着を行い、厚さ約800nmの薄膜を形成した。こ
うして作製した発光層をXPSにより定量分析をすると
S/Sr比は0.85であった。その後2mol%の硫
化水素を含むアルゴンガス雰囲気中、700℃で4時間
熱処理を行った。熱処理した後の発光層のS/Sr比は
0.99であった。その後、発光層上に、ZnS、Si
2 、Ta2 5 の順に上記の方法で積層膜を形成し、
二重絶縁構造を構築した。最後にAl電極を抵抗加熱蒸
着法により、金属マスクを用いてストライプ状に形成し
た。下部電極は、発光層及び絶縁層の一部を剥離させて
ITO電極を露出させ、これを用いた。
【0019】図2は、熱処理後の発光層のX線回折スペ
クトルを示すものであるが、SrSの(200)面及び
(220)面に対応する位置に強く鋭いピ−クが現れて
いることから、熱処理によって、発光層の結晶化度が著
しく向上し、粒成長のおこっていることが確認できる。
尚、ピークの最大値の半分の強度を持つ点の幅を測定す
ることにより求めたSrS(200)面及び(220)
面のピークの半値幅は、各々0.12度、0.16度で
あった。この発光層から作製したEL素子の最高輝度
は、5kHz sin波駆動で16500cd/m2
あった。
【0020】
【比較例1】発光層をスパッタ蒸着により形成する際に
ターゲットのS/Sr比を1.1に調製して、成膜直後
の発光層のS/Sr比が0.98と実施例1よりも高い
こと以外は、実施例1と同様にして素子を作製した。こ
の素子の熱処理前後の発光層のS/Sr比は0.99で
あった。上記と同様の方法により求めた熱処理後のSr
S(200)面及び(220)面のピークの半値幅は、
各々0.17度、0.24度であった。また、この発光
層から作製したEL素子の最高輝度は、5kHz si
n波駆動で10000cd/m2 であった。
【0021】
【比較例2】発光層をスパッタ蒸着により形成する際に
ターゲットのS/Sr比を0.35に調製して、成膜直
後の発光層のS/Sr比が0.40と実施例1よりも低
いこと以外は、実施例1と同様にして素子を作製した。
この素子の熱処理前後の発光層のS/Sr比は0.96
であった。上記と同様の方法により求めた熱処理後のS
rS(200)面及び(220)面のピークの半値幅
は、各々0.20度、0.28度であった。また、この
発光層から作製したEL素子の最高輝度は、5kHz
sin波駆動で6000cd/m2 であった。
【0022】
【実施例2】発光層をスパッタ蒸着により形成する際、
比較例1と同様のターゲットを用いて作製したS/Sr
比が0.96の発光層をアルゴンガス中で700℃、1
時間熱処理し発光層のS/Sr比を0.84とした後に
硫化性ガス中で熱処理する以外は、実施例1と同様にし
て素子を作製した。この素子の熱処理後のS/Sr比は
0.99であった。SrS(200)、(220)面の
半値幅はそれぞれ0.13度、0.17度であった。こ
の素子の最高輝度は、5kHz sin波駆動で160
00cd/m2 であった。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、結晶粒径の大きな高結
晶化した発光層を得ることができ、その結果、従来技術
を用いて作製した素子に比べて高輝度に発光するEL素
子を作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるEL素子を示す断面図であ
る。
【図2】実施例1における、硫化性ガス雰囲気下での熱
処理後の発光層のX線回折スペクトルを示すスペクトル
図である。
【符号の説明】
1.ガラス基板 2.透明電極 3.背面電極 4.発光層 5.絶縁層 6.絶縁層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SrS母体中に発光中心をドープした発
    光層の両側を絶縁層ではさみ、更にその両側を電極では
    さむ構造を有し、かつ該電極の少なくとも一方が光透過
    性の電極である薄膜エレクトロルミネッセンス素子にお
    いて、上記発光層が、硫化性ガス雰囲気下、650℃以
    上の温度で熱処理する前のS/Sr比が0.5〜0.9
    5であり、該熱処理後のS/Sr比が0.95〜1.0
    5であることを特徴とする薄膜エレクトロルミネッセン
    ス素子。
  2. 【請求項2】 SrS母体中に発光中心をドープした発
    光層の両側を絶縁層ではさみ、更にその両側を電極では
    さむ構造を有し、かつ該電極の少なくとも一方が光透過
    性の電極である薄膜エレクトロルミネッセンス素子の製
    造方法において、上記発光層が、ターゲットのS/Sr
    比を変化させてスパッタリング法により形成されたS/
    Sr比が0.95〜1.05である膜を硫化性ガス雰囲
    気下、650℃以上の温度で熱処理されてなることを特
    徴とする薄膜エレクトロルミネッセンス素子の製造方
    法。
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