JPH0644924U - 断熱パネルとその取り付け構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ２枚の金属板１、２間に断熱材３を充填し、
２枚の金属板の端部を折り返し、断熱材３中に埋没させ
てなる長方形状の断熱パネルＡにおいて、下辺の端面に
嵌合凹部10、上辺の端面に嵌合凸部11を形成するととも
に、下辺の端面の表面側にカバー部５、下辺の端面の表
面側に段付き部７、さらに上辺の端面の裏面側に固定用
突起部６を形成して構成し、この断熱パネルＡを胴縁８
に取り付けた固定金具91との間にクリップ93を挿入して
固定する。 【効果】 パネルに直接ビスや釘を打ちつけず、クリッ
プにより固定するので取り付け作業の能率がよく、パネ
ル表面にも凹凸を生じない。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、事務所、倉庫、工場等の建築物の外壁材等に使用される断熱パネル とその取り付け構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

事務所、倉庫、工場等の建築物の居住性や保温、断熱機能を向上させるため、 外壁等に断熱パネルを採用するケースが増加している。断熱パネルとは、通常表 側、裏側の２枚の金属板の間に発泡樹脂等の断熱材を充填したサンドイッチ構造 のパネルであり、その一例として特開平2-279864号公報記載の断熱パネルの断面 図を図９に示す。

【０００３】 図９においてＡは断熱パネル、１は表側金属板、２は裏側金属板、３は断熱材 である。このような断熱パネルは建築物外壁、すなわち主として鉛直壁部分に、 下方から順次上方へ接続部分を重ねながら取り付けるのが通常である。勿論、パ ネルを縦長に使用して左右方向に取り付けてゆくこともできるが、以下本明細書 においては横長に使用する場合を例として説明することとし、したがってパネル の形状は横長の平板状であり、使用状態においては図９の左が下、右が上向きと する。

【０００４】 断熱パネルならびにその接続部については、断熱性のほか、雨仕舞すなわち防 水性、耐火性、さらに場合によっては気密性等の性質が要求される。 図９に示した断熱パネルの接続ならびに取り付け部分の断面図を図10（ａ）に 、また、特開平2-147745号公報に記載されている他の断熱パネルの接続ならびに 取り付け部分の断面図を図10（ｂ）に示す。これらの図に見られるように、一般 に断熱パネルの上下方向の接続部には凸状突起ならびに凹状溝よりなる嵌合部10 、11あるいは14、16が設けられており、凹状溝の底部にはパッキン17が挿入され 、この付近でビスあるいはボルト、釘等の固着具92により胴縁などの下地材８に 固着される。さらに、ビスやボルトの頭を隠して美観を改善し、かつ防水性や耐 火性を向上させるため、嵌合部の外側に、下側パネル上縁の段付き部７ならびに 上側パネル下縁のカバー部５で構成される重なり部が設けられている。

【０００５】 以上２例のように、パネル端部を直接ビスあるいはボルト等で下地材に固着す る方法のほか、実開平2-89136 号公報に開示されているように、取り付け金具を 用いてパネルを係止し、この取り付け金具を下地材に釘等で固着するやり方もあ る。この固着構造を図11、図12に示す。この場合は、図12に斜視図で示す取り付 け金具21のＳ字状の外側部分を下側パネル上端の金属板を張出させた縁部に嵌合 させてから、取り付け金具95を釘92で下地材８に打ちつけて下側パネルＡを固定 し、ひきつづいて上側パネルA'下端の金属板を張出させた縁部を取り付け金具21 のＳ字状の内側部分に嵌合させ、これをくり返して順次上方へパネルを取り付け て行くのである。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、以上説明したような従来の断熱パネルならびにその取り付け構造に おいては、断熱パネルを下側から順次上方へ組み立てながら、そのつどこれを下 地材に固着して行くので、パネル張り作業の能率はあまり良くない。また、パネ ルあるいは取り付け具を胴縁等の下地材にビスあるいは釘で固着する取り付け構 造のため、パネルの左右両端にあたる下地材は、隣同士のパネルのビスあるいは 釘を打ちつける関係上中間部に比べて広い幅を必要とし、例えば胴縁として幅50 mmの軽量形鋼１本でよいところを、パネル両端位置では背中合わせに２本使用す るなどの材料の無駄が生じている。また、パネルは金属板に挟まれた発泡樹脂で 構成されているからいわば中空体であり、これをビスあるいは釘によって表面か ら直接締付ける場合締付けの加減が難しく、締めすぎによる凹みによって壁面に 凹凸が生じやすい。

【０００７】 また、図11に示した取り付け構造では、パネル上下端の金属板部分や取り付け 金具が直接外気にさらされるため、火災の際にこれら露出金属部分が損傷したり ヒートブリッジになったりする可能性があり、耐火性に問題がある。 本考案は、このような非能率や無駄その他の問題点をなくした断熱パネルなら びにその取り付け構造を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案の断熱パネルは、２枚の金属板間に断熱材を充填し、２枚の金属板の端 部を折り返し、断熱材中に埋没させてなる長方形状の断熱パネルにおいて、平行 する２辺のうち１辺の端面に嵌合凹部、他の１辺の端面に嵌合凸部を形成すると ともに、平行する２辺のうち前記嵌合凹部を形成した１辺の端面のパネル表面側 にカバー部、他の１辺の端面のパネル表面側に段付き部を形成し、さらに平行す る２辺のうち前記嵌合凸部を形成した１辺の端面のパネル裏面側に固定用突起部 を形成したことを特徴とする。

【０００９】 また、本考案の断熱パネルの取り付け構造は、２枚の金属板間に断熱材を充填 し、２枚の金属板の端部を折り返し、断熱材中に埋没させてなる長方形状の断熱 パネルにおいて、平行する２辺のうち１辺の端面のパネル裏面側に形成した固定 用突起部と、下地材に取り付けた固定金具との間にクリップを挿入して固定した ことを特徴とする。

【００１０】 また、本考案の断熱パネルの他の取り付け構造は、２枚の金属板間に断熱材を 充填し、２枚の金属板の端部を折り返し、断熱材中に埋没させてなる長方形状の 断熱パネルにおいて、平行する２辺のうち１辺の端面のパネル裏面側に形成した 固定用突起部をＺ字形状の固定金具の先端部で固定し、この固定金具を下地材に 固定したことを特徴とする。

【００１１】

【作 用】

本考案によれば、取り付け金物は胴縁に先付けしてしまうことができるから、 パネルの固着作業はクリップ止めを行うのみでよくきわめて能率的であり、しか も直接パネルを下地材に固着しないから熱による膨張収縮にも対応できる。また 、このクリップならびに取り付け金物は、断熱パネル端部の嵌合部よりも奥に位 置しているから直接外気にさらされることがなく、耐火性能もよい。

【００１２】 また、本考案の断熱パネルは、本考案の取り付け構造に対応してクリップ止め のできる突起部を形成した端部構造を有し、断熱性はもとより、防水性、耐火性 等のあらゆる性能に優れた断熱パネルを実現することができる。

【００１３】

【実施例】

図１に本考案の断熱パネルの断面図を示す。さきに説明した図９と同様、１は 表側金属板、２は裏側金属板、３は断熱材で、向かって左を下側、右を上側にし て取り付けるものとする。図１の断熱パネルの接続ならびに取り付け部分の断面 図を図２に示す。

【００１４】 表側金属板１ならびに裏側金属板２としては各種塗装鋼板、めっき鋼板、ステ ンレス鋼板、アルミニウム板等の金属板が使用され、これらの間に発泡剤、樹脂 等を注入し、発泡させて断熱材を形成し、サンドイッチ構造の長方形状パネルと する。パネルの上下端に当たる平行する２辺の部分は上記金属板が表裏両面から 折り曲げ加工されて接続ならびに取り付け部分を構成し、金属板の端部はパネル 上下端部において上記断熱材中に埋没させてある。

【００１５】 裏側金属板２はパネルの上下端に相当する平行する２辺の部分で表側へ折り返 され、その折り曲げ端は、表側金属板１の裏側へ向けて折り返した折り曲げ端と 断熱材を隔てて相対して接続し、パネル上端裏面側の接続部分では後に説明する 固定金具と係合する固定用突起部６を形成している。 表側金属板１はパネル上端では一旦段付き部７を経てパネル外方へ突出して嵌 合凸部11を形成した後パネル内方へ切り込んで溝状の凹部16を形成し、パネル下 端では表面からパネル外方へ突出してカバー部５を形成した後パネル内方へ切り 込んで溝状の嵌合凹部10を形成した後再びパネル外方へ向かって、前記の裏側金 属板２との接続部に至っている。以上のように構成することにより、図２に示す ようにパネル接続部分にあっては嵌合凹部10と嵌合凸部11が嵌合してパネル同士 が接続されるとともに、嵌合部に挿入されているパッキン17によって接続部の１ 次シールを行う。さらに、パネル表面付近においては段付き部７とカバー部５が 重なり合ってパネル接続部分を覆い、外気や雨水等の進入を遮断して２段シール 構造となっている。

【００１６】 カバー部５から嵌合凹部10に至る傾斜面は緩やかな勾配を設けてあるので、パ ネル製造に際しての断熱材の充填が容易であるばかりでなくパネル取り付けの際 の嵌合もスムースである。また、この傾斜面に対応する段付き部７には線状の突 起71を設けることにより、パネル嵌合状態においてシールがなされ、防水性能を いっそう向上させることができる。段付き部の角部分も、極力傾斜を設け、水や 汚れが流れやすい形状としている。

【００１７】 パネルの取り付けと固定は、パネル下端を１段下のパネルに嵌合することによ りまず下側を固定し、ついでパネル上端を胴縁等の下地材に固定金具により固定 する。図２（ａ）はパネル両端部における固定状況であり、図２（ｂ）はパネル 中間部における固定状況を示す。 図３〜図６はパネルの取り付け状態および固定金具を示す斜視図である。図３ は最下段のパネルＡを取り付けた状態で、パネルＡはこの例では３本の胴縁８に またがって取り付けられている。最下段のパネルＡは基礎コンクリートに水切り をかぶせた上にスタータ90を取り付け、このスタータ90にパネルＡの下部にある 嵌合凹部10を嵌めこんでパネル下部を固定し、ついでパネル上部を固定金具によ り胴縁等の下地材に固定する。２段目以降は、下段のパネル上端にある嵌合凸部 11がスタータ90と同じ機能を果たし、取り付けようとする上段側パネルの下側に ある嵌合凹部10に直接嵌合する。

【００１８】 この実施例ではパネル両端と中央部とで異なる金具を使用して固定している。 図４はパネル両端部の固定に用いる金具を示し、金具91は、両側にコの字状のク リップ93を挿入する凸部を形成した金属帯状材で、中央部分においてビス92で胴 縁等の下地材に取り付ける。ビスは１本あるいは２本（この場合は上下に１列） で十分であるから、幅50mm程度の胴縁１本で両側のパネルを固定することができ る。この金具91を胴縁の所定位置に予め取り付けておき、図２（ａ）に示すよう にパネルを組み込んでクリップ93を差し込むだけでパネルは固定される。図６は パネル中間部に使用する固定金具の一例で、金属帯状材をＺ字状に折り曲げてや や引き伸ばした形状をしており、パネル両端部の固定が完了したら、この固定金 具94の先端をパネル上端の固定用突起部６にあてがってパネルを押さえ、固定金 具94の上部をビス92で胴縁８に固定する。なお、パネル中間部においても、図４ に示した固定金具91と同じものを使用し、あるいは、固定金具91のクリップ93を 挿入する凸部を片側のみとしたものを使用して、これらの金具を胴縁８に予め取 り付けておけば、パネル取り付け作業が一層短時間で進捗するので好ましい。

【００１９】 これらの固定金具はいずれもクリップあるいは金具のばね作用によってガタの ない取り付けを行うので、クリップ93や固定金具94の先端は、そりを付ける等ば ね作用に好適な形状とすることが必要である。 図７は本考案のパネルの変形実施例を示す。上下端部を除くパネル裏面21が一 様に突出していて、取り付け後図８のようにこの部分が胴縁８に密着し、壁面に 作用する外力を取り付け金具を経由することなく胴縁で受けることができるから 壁面の耐力が向上する。

【００２０】

【考案の効果】

本考案によれば、まずパネルの取り付けをボルト、ビス、釘等によらずクリッ プを挿入するのみでよいから作業能率がよく、またパネル面に凹凸を生じること がない。金具を予め正しい高さに取り付けておけば、パネル取り付け時にレベル 出しを行う必要がなく、また、金具を介してパネルを固定する構造としたことに より、パネル両端に位置する胴縁も特に太いものとせずに１本のままでよく、熱 による壁面の伸縮にも対応でき、耐火性能も向上し、かつ経済的な壁構造が実現 するなどの、多くの優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例の構成を示す断面図である。

【図２】本考案の実施例の接続部分を示す部分断面図で
ある。

【図３】本考案の実施例の取り付け状態を示す斜視図で
ある。

【図４】本考案の実施例の固定金具を示す斜視図であ
る。

【図５】本考案の実施例の取り付け状態を示す斜視図で
ある。

【図６】本考案の実施例の固定金具を示す斜視図であ
る。

【図７】本考案の他の実施例の構成を示す断面図であ
る。

【図８】本考案の他の実施例の接続部分を示す部分断面
図である。

【図９】従来例を示す断面図である。

【図10】従来例の接続部分を示す部分断面図である。

【図11】他の従来例の接続部分を示す部分断面図であ
る。

【図12】他の従来例の固定金具を示す斜視図である。

【符号の説明】

Ａ 断熱パネル １ 表側金属板 ２ 裏側金属板 ３ 断熱材 ５ カバー部 ６ 固定用突起部 ７ 段部 71 線状突起 ８ 下地材 90 スタータ 91、94、95 固定金具 92 ビス 93 クリップ 10 嵌合凹部 11 嵌合凸部 17 パッキン

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 小林 正美 東京都港区芝公園２丁目４番１号 秀和芝 パークビル 川鉄鋼板株式会社 (72)考案者 小池 英樹 東京都千代田区内幸町２丁目２番３号 日 比谷国際ビル 川崎製鉄株式会社東京本社 内

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ２枚の金属板（１、２）間に断熱材
   （３）を充填し、２枚の金属板（１、２）の端部を折り
   返し、断熱材（３）中に埋没させてなる長方形状の断熱
   パネル（Ａ）において、平行する２辺のうち１辺の端面
   に嵌合凹部（10）、他の１辺の端面に嵌合凸部（11）を
   形成するとともに、平行する２辺のうち前記嵌合凹部
   （10）を形成した１辺の端面のパネル表面側にカバー部
   （５）、他の１辺の端面のパネル表面側に段付き部
   （７）を形成し、さらに平行する２辺のうち前記嵌合凸
   部（11）を形成した１辺の端面のパネル裏面側に固定用
   突起部（６）を形成したことを特徴とする断熱パネル。
2. 【請求項２】 ２枚の金属板（１、２）間に断熱材
   （３）を充填し、２枚の金属板（１、２）の端部を折り
   返し、断熱材（３）中に埋没させてなる長方形状の断熱
   パネル（Ａ）において、平行する２辺のうち１辺の端面
   のパネル裏面側に形成した固定用突起部（６）と、下地
   材（８）に取り付けた固定金具（91）との間にクリップ
   （93）を挿入して固定したことを特徴とする断熱パネル
   の取り付け構造。
3. 【請求項３】 ２枚の金属板（１、２）間に断熱材
   （３）を充填し、２枚の金属板（１、２）の端部を折り
   返し、断熱材（３）中に埋没させてなる長方形状の断熱
   パネル（Ａ）において、平行する２辺のうち１辺の端面
   のパネル裏面側に形成した固定用突起部（６）をＺ字形
   状の固定金具（94）の先端部で固定し、この固定金具
   （94）を下地材（８）に固定したことを特徴とする断熱
   パネルの取り付け構造。