JP3164123B2 - 乾式壁材のジョイント部材 - Google Patents

乾式壁材のジョイント部材

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は建築、構築物に用いる乾
式壁材同士をジョイントする部材であり、さらに詳しく
は乾式壁材の端部の出隅材、止縁、入隅材、ジョイナ材
に相当する乾式壁材のジョイント部材に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に乾式壁材を用いて壁体を形成した
際には、乾式壁材同士の突き合わせによってコーナ部、
目地部等に継目が形成され、この継目を被覆する部材と
しては図11に示すような部材が数多く考案、発明され
上市されている。すなわち図11の部材は、化粧キャッ
プaと係止体bの2部材から構成されており、係止体b
の嵌合溝b1 に複数連続して突出させた嵌合爪b2 に、
化粧キャップaの係合片a1 の先端を折り返した係合舌
片a2 を係合させることにより、係止体bと化粧キャッ
プaを一体化すると共に、乾式壁材c同士をジョイント
するものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記部
材においては化粧キャップaの係止舌片a2 の長さ△l
1 が係止体bの嵌合爪b2 の長さ△l2 より長い、すな
わち△l1 >△l2 の関係のため、嵌合爪b2 に係止舌
片a2 がうまくひっかからず、係止体bに化粧キャップ
aが強く係止されていない場合が多々あり、ちょっとし
た衝撃により化粧キャップaが係止体bから脱落してし
まう欠点があった。また、化粧キャップaおよび係止体
bと乾式壁材cとの密着性が弱く気密性に欠けることか
ら、外部から侵入した雨水等が、乾式壁材cの端部や壁
下地dを腐食してしまい、防水性に欠ける欠点があっ
た。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような欠点
を除去するため、化粧キャップを固定するための係止体
の嵌合部にU字状の嵌合溝を形成すると共に嵌合溝の内
側面には1つ以上からなる嵌合爪の群集を間隔を設けて
内方へ突出させた嵌合爪郡を形成したので、化粧キャッ
プを係止体に嵌合した際には、化粧キャップの係止舌片
が係止体の嵌合爪郡の間に位置するので、うまくひっか
かって係止舌片の係合力のみでも強固に係止できると共
に、係止体を硬質の合成樹脂から形成し、その釘打設部
の途中には軟質の合成樹脂から形成した防水ヒレを配設
したので、この防水ヒレが乾式壁材の裏面と密着し気密
性を高め、壁下地内部へ外部からの雨水等の侵入を防止
できる乾式壁材のジョイント部材を提供するものであ
る。
【0005】
【実施例】以下に図面を用いて本発明に係る乾式壁材の
ジョイント部材の一実施例について詳細に説明する。図
1、図2は本発明に係る乾式壁材のジョイント部材を構
成する化粧キャップAと係止体Bの代表的な一実施例で
あり、外壁の出隅材として機能し、乾式壁材C同士の突
き合わせで生じた継目部分を被覆して乾式壁材C同士を
ジョイントするものである。
【0006】図1(a)に示す化粧キャップAは、金属
板(カラー鋼板、アルミニウム板、塩ビ鋼板、ステンレ
ス板、サンドイッチ鋼板、クラッド鋼板等)、あるいは
合成樹脂板をロール成形して形成したものであり、図3
(a)、(b)に示すように、乾式壁材Cの化粧面端部
を被覆する化粧面部1と、化粧面部1の中央部を下方に
突出した係合部2とから断面を略矢印状に形成したもの
である。さらに説明を加えると化粧キャップAは長尺
状、あるいは図示しないが、乾式壁材Cが段張り状もし
くは変形段張り状の場合は、短尺状で1段もしくは複数
段の形状とし、乾式壁材Cの端部を被覆して、意匠性、
防水性を付加するものである。
【0007】また、図1(a)では化粧面部1を水平面
3と、水平面3の両端を内方に傾斜して屈曲した傾斜化
粧面4と、傾斜化粧面4の先端を内方に屈曲すると共に
水平面3の裏面に突出して沿設したガイド片5とから構
成したものであり、傾斜化粧面4は図3(a)、(b)
に示すように、後記する係止体Bと化粧キャップAを係
合した際に、施工時の寸法誤差を吸収する弾力付加構造
とし、乾式壁材Cに常時弾力が付加された状態とするこ
とにより防水性、係合力、美観性、ガタつき防止に役立
つものである。
【0008】さらに、係合部2は水平面3の両端部を下
方に垂下した2本の係合片6と、係合片6の先端を(図
では外側面)に突出して形成した係合爪7と、係合片6
の先端を(図では外側面)に折り返して形成した係合舌
片8と、両係合片6間により形成された係合溝9とから
形成されたものである。さらに詳説すると、係合片6
は、後記する係止体Bの嵌合溝15に挿入されると共
に、その係合爪7もしくは係合舌片8がが係止体Bの嵌
合爪15に係止され、図3(a)、(b)に示すように
固定されるものである。
【0009】さらに詳説すると、係合爪7は図1(a)
のイ−イ線断面図である図1(b)に示すようにルーバ
加工、ボタンパンチ加工、ハーフピアス加工等して形成
したものであり、ピッチPで間隔をあけて形成し、施工
性の向上、係合力の強化、脱落の防止を図っていること
が好ましいが、連続して形成することもできる。
【0010】係止体Bは図2に示すように例えば約24
24〜7272mm位の長尺状で、釘打設部10と嵌合
部11とから断面をほぼY字状に構成したものであり、
釘打設部10は図3(a)、(b)に示すように、壁下
地αに釘等の固定具βを介して係止体Bを固定する部分
である。また、図では釘打設部10の途中には上方に突
出した防水ヒレ12とガイド溝13とを形成したもので
あり、図3(a)、(b)に示すように防水ヒレ12は
乾式壁材Cの裏面部分と密着し、気密性を高め、壁下地
α内部へ外部からの雨水等が侵入するのを防止し、乾式
壁材Cと壁下地α、固定具βが腐食するのを防ぎ、ガイ
ド溝13は釘等の固定具βの打設の際の位置決めとして
の働きをするものである。また、これらの機能を十分に
発揮するためには、係止体Bの素材としてPVC等の合
成樹脂が効果的であり、とくに防水ヒレ12のみを軟質
の合成樹脂、その他の部分を硬質の合成樹脂とし、押出
成形法を用いて一体に成形すれば、生産性の面からも効
率が良い。
【0011】また嵌合部11は釘打設部10間に上方に
突出して形成するものであり、図では釘打設部10の中
央部をほぼ垂直上方に二本突出した側壁14とから内方
にU字状に形成した嵌合溝15と、嵌合溝15の内側面
に突出させた1つ以上からなる嵌合爪16の群集を間隔
△Lを設けて形成した嵌合爪郡17とから構成したもの
である。この嵌合溝15は図3(a)に示すように化粧
キャップAの係合部2を嵌合し、嵌合爪16は化粧キャ
ップAの係合爪7と組み合わさることにより、化粧キャ
ップAが係止体Bより離脱しないようにするためのもの
である。
【0012】さらに嵌合爪16の群集を間隔△Lを設け
て嵌合爪郡17を形成したのは、図3(b)に示すよう
に乾式壁材Cの厚さが厚くなって係合爪7が嵌合爪16
と組合わさらなくなった際でも、間隔△L内に係合舌片
8が収納されると共に、係合舌片8が嵌合爪16と組み
合わさり、化粧キャップAが係止体Bより離脱しないよ
うにする働きがあるものである。なお、この機能を発揮
させるには係合舌片8の長さをlとすると、△L>lの
関係を満たさなければならない。
【0013】次に施工例につき簡単に説明する。そこで
図3(a)、(b)に示すように、まず間柱、主柱、胴
縁等の木造下地、C型、角型、H型鋼等の鉄骨下地、防
水シート、断熱材等からなる壁下地α上に、係止体Bの
釘打設部10を釘等の固定具βで固定する。次に乾式壁
材Cを釘打設部10上に順々に固定し、必要に応じて乾
式壁材Cの端部を固定具γにより固定し、壁体を形成す
る。次に化粧キャップAの係合片6を係止体Bの嵌合溝
15に嵌挿して嵌合爪16に係合爪7を、もしくは間隔
△L内に係合舌片8を挿入し係合して一体化するもので
ある。
【0014】このようにして形成した乾式壁材Cのジョ
イント部材では、乾式壁材Cを釘打設部10の上部の化
粧面部1が存在しないうちに釘等の固定具γによって固
定できるため、化粧面部1と釘打設部10の幅関係を自
由に設定することができ、釘打設部10の幅を壁下地α
に合わせて選ぶことができる。また、化粧キャップAは
壁体を形成した後に取り付けるため、その開口部に無理
をかけることがなく、変形を防止することができ、美観
性を損なうことがない。さらに、化粧キャップAは乾式
壁材Cの表面から取り付けるため、乾式壁材Cと化粧キ
ャップAが擦れることがなく、乾式壁材Cに傷、損傷を
与えるのを防止することができる。
【0015】
【その他の実施例】上述したのは本発明に係る乾式壁材
のジョイント部材の一実施例であり、化粧キャップAと
係止体Bを図4〜図10のように形成することができ
る。すなわち、図4(a)は入隅材として用いられる代
表例を示すものであり、化粧キャップAをほぼY字状
に、係止体Bを矢印状に形成したものである。また図4
(b)は壁体の縦目地、横目地に使用するジョイナ材の
代表例であり、化粧キャップAと係止体Bを略T字状に
形成したものである。図4(c)は止縁材として使用す
る代表例であり、化粧キャップAと係止体Bを略L字状
に形成したものである。
【0016】図5(a)、(b)に示す化粧キャップA
と係止体Bは係合爪7、係合舌片8、嵌合爪16を形成
する方向をそれぞれ外方、内方逆側に形成した例であ
る。図6(a)〜(f)および図7(a)〜(f)は化
粧キャップAの変形例であり、特に図6(e)はガイド
片5に軟質のパッキンDを固着した例であり、図7
(f)は化粧面部1上を合成樹脂材Eで被覆した例であ
り、いずれも乾式壁材Cとの密着性を強化し、防水性を
向上した化粧キャップAである。また、図8(a)〜
(f)は係合爪7の変形例、図9(a)〜(i)は係合
舌片8の変形例である。
【0017】図10(a)、(b)は係止体Bの特に嵌
合部11の変形例であり、図10(a)は間隔△Lに係
合爪16の長さlより長い補助係合爪16aを形成した
例である。また、図10(b)は間隔△Lを3つ設ける
ことにより、係合舌片8と嵌合爪16とのみの組み合わ
さりを3種類の厚さまで対応することができる係止体B
の例である。もちろんこれらを各々組み合わせた化粧キ
ャップA、係止体Bとすることができる。
【0018】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る乾式壁
材のジョイント部材によれば、化粧キャップを固定す
るための係止体の嵌合部にU字状の嵌合溝を形成すると
共に嵌合溝の内側面には1つ以上からなる嵌合爪の群集
を間隔を設けて内方へ突出させた嵌合爪郡を形成したの
で、化粧キャップを係止体に嵌合した際には、化粧キャ
ップの係止舌片が係止体の嵌合爪郡の間に位置するの
で、うまくひっかかって係止舌片の係合力のみでも強固
に係止することができる。係止体を硬質の合成樹脂か
ら形成し、その釘打設部の途中には軟質の合成樹脂から
形成した防水ヒレを配設したので、この防水ヒレが乾式
壁材の裏面と密着し気密性を高め、壁下地内部へ外部か
らの雨水等の侵入を防止することができる。等の特徴、
効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る乾式壁材のジョイント部材を構成
する化粧キャップの一例を示す説明図である。
【図2】本発明に係る乾式壁材のジョイント部材を構成
する係止体の一例を示す説明図である。
【図3】施工例を示す説明図である。
【図4】本発明に係る乾式壁材のジョイント部材のその
他の例を示す説明図である。
【図5】本発明に係る乾式壁材のジョイント部材のその
他の例を示す説明図である。
【図6】化粧キャップのその他の例を示す説明図であ
る。
【図7】化粧キャップのその他の例を示す説明図であ
る。
【図8】係合爪のその他の例を示す説明図である。
【図9】係合舌片のその他の例を示す説明図である。
【図10】係止体のその他の例を示す説明図である。
【図11】従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
A 化粧キャップ B 係止体 1 化粧面部 2 係合部 3 水平面 4 傾斜化粧面 5 ガイド片 6 係合片 7 係合爪 8 係合舌片 9 係合溝 10 釘打設部 11 嵌合部 12 防水ヒレ 13 ガイド溝 14 側壁 15 嵌合溝 16 嵌合爪 17 嵌合爪郡
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04F 19/02 - 19/06 E04F 13/08 - 13/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長尺状板材の略中央部に2本突出した係
    合片と該係合片の途中を内方に突出させた係合爪と前記
    係合片の先端部を折り返して形成した係合舌片とからな
    る係合部と、該係合部の根本を両外方に延長した化粧面
    部とからなる化粧キャップと、長尺状板材の略中央部を
    略U字状で突出させた嵌合溝と該嵌合溝内に突出した1
    つ以上からなる嵌合爪の群集を係合舌片の長さ以上の
    隔を設けて突出させた嵌合爪を形成した嵌合部と、該
    嵌合部の下端を両外方に前記化粧キャップの化粧面部と
    略平行に延設した、防水ヒレを有する釘打設部とからな
    る合成樹脂製の係止体の2部材とを備え、係止体の嵌合
    部に化粧キャップの係合部を係合して係止することによ
    り、係止体の釘打設部上に敷設した乾式壁材をジョイン
    トすることを特徴とする乾式壁材のジョイント部材。
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