JPH0644829A - エレベータ用平型ケーブルおよびその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 エレベータ用の平型ケーブルにおいて、各ケ
ーブル単位体での回転モーメントを同一方向に設定して
も、平型ケーブル全体には捩れ等が生じないようにす
る。 【構成】 平型ケーブル１０は、ブリッジ１３……を介
して、複数本のケーブル単位体１２……を接続して構成
する。前記ケーブル単位体１２においては、複数本のケ
ーブルコア１５〜１５ｃと、中央部に配置するワイヤの
ような補強線１９とを絶縁被覆１８により被覆して、偏
平なものとして構成する。各々のケーブルコアや補強線
は、同一の撚り方向のものを用いており、補強線を中心
にして一定の方向に回転モーメントが生じるが、前記ケ
ーブル単位体をブリッジを介して接続することにより、
平型ケーブル全体では、幅方向に捩れたりすることがな
いように、全体の回転モーメントが均衡するものとな
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はエレベータ用平型ケーブ
ルの改良に関するものであり、特に、撚合せ線で構成し
たケーブルコアを複数本平行に並べたものを、絶縁被覆
により一体に被覆してケーブル単位体を構成し、側部に
設けたブリッジを介して、該ケーブル単位体を幅方向に
接続して構成したエレベータ用平型ケーブルとその製造
方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】ビル等に用いられるエレベータ装置にお
いては、ケージに対して給電用のケーブルや信号線等を
接続し、ケージ内での照明の電源として、または、外部
との信号の伝達に用いるようにしている。前記エレベー
タに用いられるケーブルとしては、例えば、実開昭５５
−６８２１８号公報等に示されるように、複数本の撚合
せ線心によりケーブルコアを構成したものが用いられ
る。前記従来例のエレベータ用平型ケーブルでは、前記
ケーブルコアを複数本平行に並べた状態で、その間にワ
イヤ等の補強用の部材を配置し、その周囲を絶縁被覆に
より覆う状態で、エレベータ用平型ケーブルを構成して
いる。

【０００３】そして、前記エレベータ用平型ケーブルを
比較的薄くて幅の広いものとして構成し、そのケーブル
の一端部をエレベータシャフトの上部に固定し、他端部
をケージの下側に接続して配置する手段を用いて、ケー
ジ内への給電等の目的に使用される。しかし、ケージが
上下動する都度、該ケーブルに対して屈曲作用が付与さ
れるので、そのケーブルでの幅方向の回転モーメントが
均衡していないと、ケーブルに捩れ等が発生するという
問題がある。

【０００４】そこで、前記従来例のケーブルでは、幅方
向に所定の間隔を介して配置する２本の補強線を、Ｚ撚
りとＳ撚りとの２種類の撚線で構成し、該補強線の撚り
に起因する捩れが生じないようにして、エレベータ用平
型ケーブルの幅方向の回転モーメントを均衡させる手段
を用いている。例えば、図１３に示されるようなエレベ
ータ用平型ケーブルを用いることも行われており、エレ
ベータ用平型ケーブル２０では、８本のケーブルコア２
１〜２１ｇをケーブルの幅方向に平行に並べ、そのケー
ブルコアの間に２本の補強線２２、２２ａを配置して、
全体をゴム・プラスチック等の絶縁被覆２３により覆
い、平型ケーブルを構成している。また、前記平型ケー
ブル２０では、８本のケーブルコアを、Ｓ、Ｚ撚りと、
撚りの方向が異なるもので構成し、さらに、２本の補強
線に対しても、Ｓ、Ｚ撚りの撚り方向の異なるものを交
互に組み合わせて配置している。そして、各ケーブルコ
アや補強線での撚りの方向に起因する回転モーメントを
相殺し、長いエレベータ用ケーブルに屈曲作用が繰り返
して加えられた状態でも、ケーブルに捩れ等が発生した
りすることがないようにされる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、前記従来例
に示されるように、エレベータ用平型ケーブルに配置す
るケーブルコアや補強線等を、それぞれ撚り方向の異な
るもので構成した場合には、そのエレベータ用平型ケー
ブルの製造に際して、ケーブルコア等を組み合わせるこ
とが面倒である。また、エレベータ用平型ケーブルの幅
方向で回転モーメントが均衡していない場合には、エレ
ベータ用平型ケーブルが簡単に捩れを生じてしまうとい
う問題が発生する。特に、高層ビルで用いられる高速エ
レベータ用ケーブルでは、屈曲作用が急激に加えられの
で、さらに、ねじれが増長されるという難点がある。

【０００６】そこで、従来のエレベータ用の平型ケーブ
ルでは、隣接するケーブルコアを撚りの方向が異なるも
のを組み合わせ、各ケーブルコアを構成する絶縁線心の
数や太さ等を同一に形成し、エレベータ用平型ケーブル
の幅方向で、撚りに起因する回転モーメントが生じたり
することがないように構成することが要求されている。
また、前記エレベータ用平型ケーブルに配置される２本
の補強線でも、撚りの方向の異なるものを組み合わせて
用いることによって、２本の補強線の間での回転モーメ
ントを均衡させる手段を用いている。しかしながら、前
述したように、多数本のケーブルコアと２本の補強線と
を、それぞれ撚りの方向が異なるものを交互に配置する
ことは、平型ケーブルの製造に際しての手間を多く必要
とする等の問題がある。

【０００７】また、前記図１３に示されるように、非常
に多数本のケーブルコアと補強線とを一体に組み合わせ
てエレベータ用平型ケーブルを構成する場合には、その
絶縁被覆を形成するための射出成型装置で、絶縁被覆を
射出するノズルの形状や、射出圧力等に多くの問題があ
る。そして、複雑な形状のノズル等を用いる場合には、
そのノズルから射出される絶縁被覆の圧力の管理等も面
倒であり、製造能率を向上させることにも問題がある。
さらに、幅の広いエレベータ用平型ケーブルを構成する
ことは、製造装置全体が大型のものとなる他に、ケーブ
ルコアの数が増加することに対応させて、製造装置を作
り変えたりする必要があるために、特定の形状のエレベ
ータ用平型ケーブルに対して、専用の製造装置を構成す
る等、余分にコストがかかるという問題がある。

【０００８】

【発明の目的】本発明は、前述したような従来の平型ケ
ーブルの問題を解消するもので、同一の方向の撚線を平
行に配置してケーブル単位体を形成し、該ケーブル単位
体を幅方向に接続して必要な給電容量を持つエレベータ
用平型ケーブルを構成することによって、平型ケーブル
の製造を容易に行い得るようにする手段を提供すること
を目的とし、また、各ケーブル単位体でのトルクバラン
スが均衡していなくても、平型ケーブル全体では回転モ
ーメントを均衡させ得るようなエレベータ用平型ケーブ
ルを提供すること、および、複数本のケーブル単位体を
幅方向に接続して、幅の広いケーブルを製造する方法を
提供することを目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段および作用】本発明のエレ
ベータ用平型ケーブルは、複数本のケーブルコアを平行
に配置し、該ケーブルコアを絶縁被覆により一体に被覆
してケーブル単位体を形成し、複数本のケーブル単位体
を、ブリッジを介して一体に接続するとともに、前記ケ
ーブル単位体を構成するケーブルコアは、複数本の絶縁
線心を同方向に撚合せてなる絶縁線心撚合体を用いてい
る。また、本発明においては、偶数本のケーブルコアの
中間部に補強線を配置し、該ケーブルコアと補強線とを
絶縁被覆により一体に被覆してケーブル単位体を形成
し、前記ケーブル単位体では、ケーブルコアの絶縁線心
撚合せ方向と、補強線の素線撚合せ方向とを同一のもの
として構成したものを用い、前記補強線を中心にしてケ
ーブル単位体の幅方向の回転モーメントが一方向に生じ
るものとして構成するとともに、前記ケーブル単位体を
複数本平行に並べた状態で、各単位体の間をブリッジに
より一体に接続して構成することができる。

【００１０】さらに、本発明エレベータ用平型ケーブル
の製造方法は、複数本のケーブルコアを平行に配置し、
該ケーブルコアを絶縁被覆により一体に被覆して平型ケ
ーブル単位体を形成し、複数本の前記ケーブル単位体を
平行に並べる状態で、ブリッジを介して一体に接続する
に際して、前記ケーブル単位体の周囲を覆う外被体とブ
リッジを、絶縁被覆材料を用いて一体に射出成型する手
段を用いることができる。前記方法の他に、本発明で
は、複数本のケーブルコアを平行に配置し、該ケーブル
コアを絶縁被覆により一体に被覆してケーブル単位体を
形成するとともに、各単位体の幅方向の両側に絶縁被覆
と一体のブリッジ片を突出させて形成し、複数本の前記
ケーブル単位体を平行に並べる状態で、ブリッジを介し
て一体に接続するに際して、前記ケーブル単位体の側部
に配置したブリッジ片を、接着手段を介して接続する手
段を用いることもできる。

【００１１】前述したように、本発明においては、素線
の撚り方向が同じケーブルコアを用いてケーブル単位体
を構成することにより、平型ケーブルの製造を容易に行
うことができ、そのようなケーブル単位体を組み合わせ
ることによって、任意の給電容量のエレベータ用平型ケ
ーブルを容易に製造することが可能になる。また、本発
明のエレベータ用平型ケーブルを製造するに際して、比
較的ケーブルコアの数の少ないものを組み合わせるの
で、該ケーブル単位体を製造する作業を容易に行い得る
ものであり、そのようなケーブル単位体を任意の数で組
み合わせることも容易に行うことが可能である。さら
に、本発明のケーブル単位体は、撚りの方向が同一のも
のを平行に配置しているために、ケーブル単位体では一
方に回転しようとする力が働くが、そのようなケーブル
単位体を相互に接続することにより、中間部のケーブル
単位体の回転モーメントが相殺され、両端の回転モーメ
ントのみが減少されて残る。この残留モーメントによ
り、ケーブル単位体はねじれの力が発生するが、各ケー
ブル単位体の重心が、それぞれの単位体の中央部の位置
を維持する方向に作用するので、前記平型ケーブルの巾
方向に波打ち状態のねじれが発生することを阻止するこ
とができる。

【００１２】

【実施例】図示される例にしたがって、本発明のエレベ
ータ用平型ケーブルを説明する。図１に示される本発明
の平型ケーブル１は、３本のケーブルコア５、５ａ、５
ｂを平行に配置して、その周囲を絶縁被覆８により覆っ
て偏平なケーブル単位体として構成している。そして、
前記ケーブル単位体を３本横に並べた状態で、各ケーブ
ル単位体２、２ａ、２ｂの間に配置したブリッジ３、３
ａを介して接続し、エレベータ用平型ケーブルを構成し
ている。前記エレベータ用平型ケーブルにおいて、各ケ
ーブルコアは、図２に示されるように、４本の絶縁線心
６……を撚合せ線として構成したものを用いており、該
撚合せ線の中心部には、塩化ビニール等で製造した心材
７を配置している。

【００１３】前記平型ケーブル１において、各々のケー
ブルコア５、５ａ、５ｂは、例えば、Ｓ撚りの撚合せ線
として構成されるもので、それ等の３本の撚合せ線で構
成したケーブルコアを平行に並べた状態で、ゴム・プラ
スチック等の絶縁被覆８により一体に被覆している。し
たがって、前述したような構成を有するケーブル単位体
では、幅方向に時計方向の回転モーメントが生じる状態
のものとなる。また、前記ケーブルコアの間に配置され
るブリッジ３、３ａは、前記絶縁被覆８と同様な材料を
用いて、絶縁被覆８と一体に成形することができ、前記
ブリッジを介して、各ケーブル単位体の回転モーメント
が、相互に打ち消しあう方向に作用するものとして構成
される。

【００１４】前記図１に示される平型ケーブル１は、比
較的低層のビル等でのエレベータに使用されるものであ
り、エレベータ用平型ケーブル自体の重量を、ケーブル
コアにより負担できる程度の長さのものとして構成す
る。これに対して、高層ビルでのエレベータの場合に
は、ケーブルコアの強度のみでは、エレベータ用平型ケ
ーブルの重量を支持し得ないものであるから、ケーブル
コアの間に、ワイヤロープのような多数本の金属線を撚
合せてなる補強線を挿入したものを用いている。前記高
層ビルで用いられる平型ケーブルは、例えば、図３に示
されるような平型ケーブル１０として構成されるもの
で、該平型ケーブル１０では、４本のケーブルコア１５
〜１５ｃの中央部に、補強線１９を配置したものを、絶
縁被覆１８により覆って一体に形成したケーブル単位体
１２を用いている。

【００１５】また、前記ケーブル単位体１２では、図４
に示されるように、４本の絶縁線心１６……を中心部の
心材１７の周囲に撚合せてケーブルコア１５を構成し、
４本の同一断面形状で、撚り方向が同一なケーブルコア
１５〜１５ｃの中央部に、撚り方向が同一な１本の補強
線１９を配置している。そして、前記ケーブルコアと補
強線とを平行に並べた状態で、その周囲をゴム・プラス
チック製の絶縁被覆１８で覆い、偏平な断面形状のケー
ブル単位体１２を構成している。本発明の平型ケーブル
１０では、同一形状の３本のケーブル単位体１２〜１２
ｂを平行に配置して、各ケーブル単位体の間に配置した
ブリッジ１３、１３ａを用いて、１本のエレベータ用平
型ケーブルとして構成している。

【００１６】前述したようにして構成される本発明の平
型ケーブル１０においては、各ケーブル単位体１２〜１
２ｂでは、補強線１９を中心にして、回転モーメントが
生じている状態のものが構成される。そこで、前述した
ような構成を有するケーブル単位体を横に並べて、ブリ
ッジを介して接続した場合には、図５に示されるよう
に、ケーブル単位体を相互に接続することにより、中間
部のケーブル単位体の回転モーメントが相殺され、両端
の回転モーメントのみが減少されて残る。この残留モー
メントにより、ケーブル単位体からはねじれの力が発生
するが、各ケーブル単位体の重心が、それぞれの単位体
の中央部の位置を維持する方向に作用するので、前記平
型ケーブルの巾方向に波打ち状態のねじれが発生するこ
とを阻止することができる。

【００１７】例えば、図示されるように、各ケーブル単
位体での回転モーメントが、補強線を中心にして時計方
向のものとされる場合に、ケーブル単位体１２の回転方
向の分力Ａ２と、隣接するケーブル単位体１２ａでの分
力Ｂ１とは、ブリッジ１３を介して相互に相殺される状
態となる。また、ケーブル単位体１２ａと１２ｂとの間
で反対方向に働く分力Ｂ２、Ｃ１は、それぞれ相殺され
るので、ブリッジの両側では、回転モーメントは生じな
い状態となる。さらに、両側のケーブル単位体のうちの
両側の回転モーメントの分力Ａ１、Ｃ２は、それぞれの
ケーブル単位体を接続するブリッジによって緩和される
状態となる他に、平型ケーブルが長く垂れ下がった場合
に、そのケーブル単位体の重心位置のずれによって、両
側へ広がる力による回転モーメントが発生することを軽
減することができる。

【００１８】したがって、前述したように、複数のケー
ブル単位体をブリッジを介して接続して、幅の広い平型
ケーブルを構成した場合には、各ケーブル単位体で生じ
る部分的な回転モーメントの不均衡は、平型ケーブル全
体に対して大きな捩れを生じさせるようなことがないも
のとなる。そして、高層ビルでの高速エレベータで使用
した場合に、平型ケーブルに対して繰り返して屈曲作用
が加えられても、平型ケーブルの途中の部分が捩れたり
することがなくなる。なお、前述したように、各ケーブ
ル単位体での回転モーメントの不均衡を、隣接するケー
ブル単位体との間で相殺するようにするためには、補強
線の両側に同数のケーブルコアを配置したものでケーブ
ル単位体を構成することが必要であり、そのような同一
の形状のケーブル単位体を相互に組み合わせて使用する
ことによって、平型ケーブルの捩れを防止することがで
きる。

【００１９】前記各実施例とは別に、本発明の平型ケー
ブルにおいて、それぞれのケーブル単位体を構成するケ
ーブルコアを、撚合せ方向が異なるもので構成した場合
を考える。例えば、図６に示されるように、ケーブル単
位体１２、１２ａ、１２ｂを、それぞれＳ、Ｚ、Ｓの撚
り方向の異なるケーブルコアと補強線とで構成し、各ケ
ーブル単位体の間にブリッジ１３、１３ａを配置して接
続し、一体構成の平型ケーブル１０を構成する場合を想
定する。そのように構成された平型ケーブル１０では、
各ケーブル単位体での補強線を中心にした回転モーメン
トの分力Ａ２とＢ１と、およびＢ２とＣ１とが、それぞ
れ同一方向に作用する状態になる。

【００２０】したがって、撚合せ方向の異なる撚線で構
成したケーブルコアを用いた平型ケーブル１０では、図
７に示されるように、平型ケーブル全体の幅方向に波打
ち形状となり、平型がくずれる状態が発生する。しかし
ながら、長いエレベータシャフト内で平型ケーブルを垂
直に支持した状態では、前記平型ケーブルの自重が非常
に重いものであり、各ケーブル単位体に対して加えられ
る張力が大きいために、その自重によって、端部のケー
ブル単位体１２、１２ｂでは、外側に向けて開くような
力Ｄ、Ｅが作用する。そして、前記両側に開くような力
Ｄ、Ｅによって、平型ケーブルは全体として偏平なもの
となるようにする復元力が働くことになり、該平型ケー
ブルでは捩れたりすることがなくなる。

【００２１】（平型ケーブルの製造方法）前述したよう
に、同一方向の撚線で構成したケーブルコアを用い、該
ケーブルコアを平行に並べてケーブル単位体を構成する
とともに、ブリッジを介してケーブル単位体を相互に接
続する平型ケーブルは、以下に説明する方法を用いて製
造することができる。例えば、図８に示される例では、
ケーブル単位体２の両側には、ブリッジ片３０、３０ａ
をそれぞれ突出させて設けている。また、ケーブル単位
体２ａでは、その両側にブリッジ片３１、３１ａをそれ
ぞれ突出させて設け、各ケーブル単位体には、それぞれ
の両側にブリッジ片を配置している。前記ブリッジ片
は、絶縁被覆と同一の材料を用いて構成することができ
る。

【００２２】前記図８に示されるように、両側にブリッ
ジ片を突出させて設けたケーブル単位体は、図９に示さ
れるようにして隣接するブリッジ片同志を、接着剤を用
いるか、または、溶融させて接着する等の他の接続手段
を用いて接続する。前記図９に示される例では、各ケー
ブル単位体２、２ａのうちの隣接するブリッジ片３０
ａ、３１を突き合わせた状態で、その接合部を接着する
等して、接着部３２を形成する。また、前記ケーブル単
位体２ａと２ｂとの間でも、接着部３２ａを介して接続
することにより、それぞれのケーブル単位体の間のブリ
ッジを形成し、複数本のケーブル単位体を幅方向に接続
した平型ケーブル１を構成することができる。

【００２３】また、図１０に示される例では、ケーブル
単位体１２の側部に、ブリッジを厚さ方向に半分に分割
した形状のブリッジ片３５、３５ａを、それぞれ一体に
突出させて設けている。また、他のケーブル単位体１２
ａでも、同様な形状のブリッジ片３６、３６ａを一体に
設けており、平型ケーブルを構成するすべてのケーブル
単位体は、同一の形状のブリッジ片を両側部に突出させ
たものを用いることができる。そして、前述したように
構成された薄いブリッジ片を重ね合わせた状態で、両ブ
リッジ片の間に接着剤を塗布する等の手段を用い、前記
ブリッジ片を介してケーブル単位体を接続することによ
り、ブリッジ部材を形成することができるようにされ
る。前記実施例において、ケーブル単位体の間に形成さ
れるブリッジは、図１１に示されるように構成すること
ができるもので、隣接するケーブル単位体に設けたブリ
ッジ片を重ねて、その間に接着剤等を塗布し、押圧ロー
ラ装置３９等の装置を用いて押圧しながら、接着作業を
行うことができる。

【００２４】前述したようにして、ケーブル単位体の両
側に突出させて一体にブリッジ片を設け、該ブリッジ片
を接合または重ねる状態で接続する場合には、各ケーブ
ル単位体を構成することが容易に行い得るものであり、
ケーブル単位体の製造を簡単に行うことができる。ま
た、前述したようにしてケーブル単位体を製造した後
で、隣接するケーブル単位体をブリッジ片を介して接続
することは、複数のケーブル単位体を構成する部材を、
それぞれ接着して接続部を形成することにより、幅の広
い平型ケーブルを製造することができるので、任意の数
のケーブルコアを設けた１本の平型ケーブルを容易に製
造することができる。

【００２５】前記各実施例とは別に、本発明において
は、図１２に示されるような平型ケーブルの製造方法を
用いることもできる。前記図１２に示される平型ケーブ
ルにおいては、複数本のケーブルコアと、１本の補強線
とを平行に配置して絶縁被覆により一体に被覆してケー
ブル単位体を構成したものを用いる。そして、前記ケー
ブル単位体を複数本平行に並べた状態で、ゴム・プラス
チック材料を用いて、外被体４０とブリッジ４１、４１
ａを一体に押出し成形する。前述したように、比較的ケ
ーブルコアの本数の少ないケーブル単位体を製造するこ
とは、そのケーブル単位体の内部に配置されるケーブル
コアにおいて、絶縁被覆を絶縁線心の周囲の凹凸部にま
で正確に侵入させた状態で、絶縁被覆により一体に被覆
してケーブル単位体を構成することができる。

【００２６】その後で、前述したようにして、ブリッジ
と外被体とを同一の部材を用いて被覆し、平型ケーブル
を構成する場合には、ケーブル単位体の周囲を被覆する
外被体４０の厚さ等を容易に調整することが可能であ
り、ゴム・プラスチック等の材料の押出し量が少なくて
すみ、材料を押出す装置の構成を簡素化することができ
る。そして、前記図１２に示されるように、複数本のケ
ーブル単位体を横に並べた状態で平型ケーブルを製造す
ることにより、各ケーブル単位体を接続するブリッジの
強度を良好に設定することが可能になる。さらに、前述
したようにして各ケーブル単位体での回転モーメント
が、同一方向に設定された平型ケーブルを構成する場合
には、前記図５に示されたような平型ケーブル内部での
回転モーメントの状態を設定することが可能になり、高
層エレベータのケーブルとして使用する際に、そのエレ
ベータ用平型ケーブルに捩れ等が発生することを防止で
きるものとなる。

【００２７】なお、前記図８〜図１２に示されるような
平型ケーブルの製造方法は、ケーブル単位体に配置する
ケーブルコアの本数等の条件を特に限定するものではな
く、ケーブル単位体の中心部に補強線を設けたもの、ま
たは補強線を配置しないもの等の任意のケーブル単位体
に適用することが可能である。また、ケーブル単位体の
両側にブリッジ片を配置して、該ブリッジ片を相互に接
続する場合でも、従来のケーブルに使用されている任意
の手段を適用することが可能である。さらに、絶縁被覆
として用いられる材料や、ケーブルコアを構成する素線
の構成等の条件も、従来のエレベータ用平型ケーブルの
場合と同様に、任意の構成の絶縁線心やその他の素線を
用いることができる。

【００２８】

【発明の効果】本発明のエレベータ用平型ケーブルは、
前述したように構成されるものであるから、同一の撚り
方向のケーブルコアを用いてケーブル単位体を構成する
ことにより、平型ケーブルの製造を容易に行うことがで
き、そのようなケーブル単位体を組み合わせることによ
って、任意の給電容量のエレベータ用平型ケーブルを容
易に製造することが可能になる。また、本発明のエレベ
ータ用平型ケーブルを製造するに際して、比較的ケーブ
ルコアの数の少ないものを組み合わせるので、該ケーブ
ル単位体を製造する作業を容易に行い得るものであり、
そのようなケーブル単位体を任意の数で組み合わせるこ
とも容易に行うことができる。さらに、本発明のケーブ
ル単位体は、撚りの方向が同一のものを平行に配置して
いるために、ケーブル単位体では一方に回転しようとす
る力が働くが、そのようなケーブル単位体を相互に接続
することにより、隣接するケーブル単位体の間での回転
モーメントを相殺することができ、エレベータ用平型ケ
ーブル全体では、幅方向の回転モーメントを均衡させる
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の平型ケーブルの断面図である。

【図２】 図１に示されるケーブル単位体の拡大断面図
である。

【図３】 本発明の平型ケーブルの別の実施例の断面図
である。

【図４】 図３に示されるケーブル単位体の拡大断面図
である。

【図５】 本発明のエレベータ用平型ケーブルに作用す
る回転モーメントの説明図である。

【図６】 回転モーメントの異なるケーブル単位体を組
み合わせた状態で平型ケーブルを構成する場合の説明図
である。

【図７】 図６の平型ケーブルに作用する回転モーメン
トの説明図である。

【図８】 本発明のケーブル単位体の構成を示す説明図
である。

【図９】 ケーブル単位体を接続して平型ケーブルを構
成する方法の説明図である。

【図１０】 本発明のケーブル単位体の別の実施例の説
明図である。

【図１１】 図１０に示されるケーブル単位体を接続し
て平型ケーブルを構成する方法の説明図である。

【図１２】 本発明の平型ケーブルの製造方法の他の実
施例の説明図である。

【図１３】 従来の平型ケーブルの構成を示す断面図で
ある。

【符号の説明】

１・１０・２０ 平型ケーブル、 ２・１２ ケー
ブル単位体、３・１３ ブリッジ、 ５・１５ ケ
ーブルコア、６・１６ 絶縁線心、 ８・１８・２３
絶縁被覆、１９・２２ 補強線、 ３０・３１・
３５・３６ ブリッジ片、４０ 外被体。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数本のケーブルコアを平行に配置し、
   該ケーブルコアを絶縁被覆により一体に被覆してケーブ
   ル単位体を形成し、 複数本のケーブル単位体を、ブリッジを介して一体に接
   続するとともに、 前記ケーブル単位体を構成するケーブルコアは、複数本
   の絶縁線心を同方向に撚合せてなる絶縁線心撚合体を用
   いることを特徴とするエレベータ用平型ケーブル。
2. 【請求項２】 偶数本のケーブルコアの中間部に補強線
   を配置し、該ケーブルコアと補強線とを絶縁被覆により
   一体に被覆してケーブル単位体を形成し、 前記ケーブル単位体では、ケーブルコアの絶縁線心撚合
   せ方向と、補強線の素線撚合せ方向とを同一のものとし
   て構成したものを用い、前記補強線を中心にして単位体
   の幅方向の回転モーメントが一方向に生じるものとして
   構成するとともに、 前記ケーブル単位体を複数本平行に並べた状態で、各単
   位体の間をブリッジにより一体に接続して構成すること
   を特徴とするエレベータ用平型ケーブル。
3. 【請求項３】 複数本のケーブルコアを平行に配置し、
   該ケーブルコアを絶縁被覆により一体に被覆してケーブ
   ル単位体を形成し、 複数本の前記ケーブル単位体を平行に並べる状態で、ブ
   リッジを介して一体に接続するに際して、 前記ケーブル単位体の周囲を覆う外被体とブリッジを、
   絶縁被覆材料を用いて一体に射出成型することを特徴と
   するエレベータ用平型ケーブルの製造方法。
4. 【請求項４】 複数本のケーブルコアを平行に配置し、
   該ケーブルコアを絶縁被覆により一体に被覆してケーブ
   ル単位体を形成するとともに、各単位体の幅方向の両側
   に絶縁被覆と一体のブリッジ片を突出させて形成し、 複数本の前記ケーブル単位体を平行に並べる状態で、ブ
   リッジを介して一体に接続するに際して、 前記ケーブル単位体の側部に配置したブリッジ片を、接
   着手段を介して接続することを特徴とするエレベータ用
   平型ケーブルの製造方法。