JPH0644696U - ばら積み貨物滞留防止部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 貨物倉口内の上甲板延設面と滞留防止部材間
に亀裂が発生せず、倉口縁材コーナ部にばら積み貨物が
滞留する空間をなくし、後荷のばら積み貨物に貨物汚染
の生じないばら積み貨物滞留防止部材を提供しようとす
るものである。 【構成】 ばら積み貨物船の貨物倉口内で、倉口縁材３
コーナ部下端直下から延設され、切欠円弧形の上甲板縁
部１を持つ、上甲板延設面２に設ける滞留防止部材４
で、倉口縁材３コーナ部の上甲板延設面２を覆い、上甲
板縁部１と同一切欠円弧形を持つ底面７と、倉口縁材３
コーナ部両内面と当接する二面の直立背面８と、切欠円
弧形を底辺、直立背面８の斜辺を二辺とする傾斜曲面９
とから一体で略四面体を形成し、倉口縁材３コーナ部内
面に係止金具６を各々突設し、各直立背面８に係止金具
６の嵌入切欠部５を設け、滞留防止部材４頂部に吊り金
具１０を固設し、滞留防止部材４の底面７に弾力体１１
を貼設するものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、ばら積み貨物を積載する船舶、特にばら積み穀類の積載をする船 舶の貨物倉口内に延設している、上甲板上の貨物倉口縁材のコーナ部に穀類等の ばら積み貨物の滞留を防止するために取り付ける部材に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種のばら積み貨物の滞留防止部材としては、図３および図４に示す ように、貨物倉口内の倉口縁材２３での応力集中を防止するために延設した、切 欠円弧形の上甲板縁部２１を有する上甲板延設面２２上に、三角形状の斜板２４ の底辺部２６を上甲板縁部２１の切欠円弧と接する状態で、かつ、斜板２４の二 辺の斜辺部２５ともコーナ部の倉口縁材３の各内面に当接して、斜板２４をコー ナ部に向かって上方に傾斜した状態で底辺部２６および二辺の斜辺部２５とも溶 着するものや、斜板２４を前記の傾斜した状態で、二辺の斜辺部２５を溶着して 、底辺部２６のみフリー（拘束してない）とするものが知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来の技術で述べたもののうち前者にあっては、ばら積み貨物の積載と空荷と の繰り返し航海で貨物倉口に変形が生じ、該貨物倉口の変形を斜板２４が吸収し きれず、上甲板延設面２２と斜板２４の溶着部に亀裂が発生し、該亀裂が生長し て、該亀裂から上甲板延設面２２、斜板２４および倉口縁材２３とで形成される 空間に穀類等のばら積み貨物が侵入し、滞留堆積して、後荷のばら積み貨物と混 じり、貨物汚染が生じ、後荷のばら積み貨物の商品価値を下げるという問題点を 有していた。

【０００４】 また、後者においては、上甲板延設面２２と斜板２４とは溶着されておらずフ リーになっているので、上甲板延設面２２と斜板２４間には亀裂の発生はないが 、斜板２４の底辺部２６を上甲板延設面２２上に載置しているだけなので、穀類 等のばら積み貨物が斜板２４と上甲板延設面２２との隙間から上甲板２２、倉口 縁材２３および斜板２４とで形成される空間に侵入し、滞留して、前者と同様な 現象が生じるという問題点を有していた。

【０００５】 この考案は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであ り、その目的とするところは、貨物倉口内の上甲板延設面と滞留防止部材間に亀 裂が発生せず、上甲板上の倉口縁材コーナ部に穀類等のばら積み貨物が滞留する 空間をなくし、後荷のばら積み貨物に貨物汚染の生じることのないばら積み貨物 滞留防止部材を提供しようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、この考案は、ばら積み貨物船の貨物倉口内で、倉 口縁材コーナ部の下端直下から延設され、切欠円弧形の上甲板縁部を有する、上 甲板延設面に設ける滞留防止部材において、該倉口縁材コーナ部の該上甲板延設 面を覆い、該上甲板縁部と同一の切欠円弧形を有する底面と、該倉口縁材コーナ 部の両内面と当接する略直角三角形状をなす二面の直立背面と、切欠円弧形を底 辺とすると共に該直立背面の斜辺を二辺とする傾斜曲面とから一体で略四面体を 形成し、該倉口縁材コーナ部内面に係止金具を各々突設し、該滞留防止部材の各 直立背面に該係止金具の嵌入切欠部を設け、該滞留防止部材の頂部に吊り金具を 固設し、該滞留防止部材の底面に弾力体を貼設して、滞留防止部材を上方から倉 口縁材コーナ部に当接してなるものである。

【０００７】

【作用】

滞留防止部材の底面は、ばら積み貨物が滞留しやすい水平面をなす倉口縁材コ ーナ部の上甲板延設面を完全に覆い、ばら積み貨物の滞留を防止する。

【０００８】 滞留防止部材の傾斜曲面は、上方のばら積み貨物の滞留を防ぐ。

【０００９】 倉口縁材内面に突設する係止金具は、滞留防止部材を倉口縁材コーナ部への固 着を容易にする。

【００１０】 滞留防止部材底面の弾力体は、船体から滞留防止部材への振動伝達を抑え、上 甲板延設面の密着性を保つ。

【００１１】

【実施例】

実施例について、図面を用いて説明とすると、図１および図２に示すように、 ばら積み貨物船の貨物倉口内で倉口縁材３のコーナ部では、倉口縁材３下端直下 から上甲板縁部１が切欠円弧形状に延設され、上甲板延設面２を形成する。

【００１２】 上甲板延設面２に設ける滞留防止部材４において、上甲板縁部１の切欠円弧形 状と同一形状をなし、倉口縁材３コーナ部の上甲板延設面２を覆う底面７と、倉 口縁材３コーナ部の両内面と当接する略直角三角形状をなす二面の直立背面８を 設け、切欠円弧形を底辺とし、直立背面８の斜辺を二辺とする傾斜曲面９を底面 ７と直立背面８と一体として略四面形の滞留防止部材４を形成する。この滞留防 止部材４は木製のような軽量な材質のものが良い。

【００１３】 滞留防止部材４の頂部に吊り金具１０を固設し、底面７に弾力体１１を貼着す る。

【００１４】 倉口縁材３コーナ部の両内面に、上向きに屈曲する状態で係止金具６を突設し 、滞留防止部材４の各直立背面８の中間部から底面７まで係止金具６が嵌合する 形状の嵌入切欠部５を設ける。

【００１５】 この実施例において、滞留防止部材４を倉口縁材３のコーナ部に設置する場合 、クレーン等のフックを吊り金具１０に掛止して滞留防止部材４を吊り下げ、滞 留防止部材４を上方から倉口縁材３のコーナ部まで下げてゆき、嵌入切欠部５に 係止金具６を嵌入して、滞留防止部材４を固定する。

【００１６】 滞留防止部材の固定方法で、別方法として、図５に示すような、滞留防止部材 ４１の直立背面４６に切欠部４５を設けて、切欠部４５に係止金具４４基部を埋 め込んで下向きに屈曲する状態で突設し、一方、倉口縁材４２内面には受け金具 ４３を突設し、係止金具４４を受け金具４３に嵌入するものもある。

【００１７】 図５の滞留防止部材の固定方法以外の方法として、図６に示すように、滞留防 止部材５１の直立背面５６に切欠部５５を設けて、切欠部５５に係止ボルト５４ 基部のボルト部を埋め込んで下向きに屈曲する状態で突設し、一方、倉口縁材５ ２内面には受け金具５３を突設し、係止ボルト５４を受け金具５３に嵌入するも のもある。

【００１８】

【考案の効果】

この考案は、上述のとおり構成されているので、次に記載する効果を奏する。 上甲板延設面と滞留防止部材とは溶着されておらずフリーであるため、上甲板 延設面と滞留防止部材間には亀裂の発生はなく、亀裂からのばら積み貨物の侵入 がなくなり、また、滞留防止部材の底面は上甲板縁部の切欠円弧形を有し上甲板 延設面を覆い、上甲板延設面のばら積み貨物が滞留しやすい水平面をなくし、か つ、滞留防止部材は嵌入切欠部を除いて中実であるため、倉口縁部コーナ部にば ら積み貨物が滞留する量が減り、滞留するばら積み貨物と後荷のばら積み貨物と が混じることが少なく、貨物汚染を防止し、後荷のばら積み貨物の商品価値の維 持が図れ、更に、傾斜曲面は上甲板縁部の切欠円弧形と連続する曲面をなして、 ばら積み貨物を斜め下方にスムーズに流し落とすことができ、加えて、滞留防止 部材は着脱が容易であるため、倉口縁部コーナ部の保守点検ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係る実施例の斜視図を略示したもの
である。

【図２】図１のＸ−Ｘ線矢視断面図を略示したものであ
る。

【図３】従来のばら積み貨物滞留防止用斜板の平面図を
略示したものである。

【図４】図３のＹ−Ｙ線矢視断面図の略示したものであ
る。

【図５】この考案に係る実施例で、第一の別固定方法を
示す断面図を略示したものである。

【図６】この考案に係る実施例で、第二の別固定方法を
示す断面図を略示したものである。

【符号の説明】

１ 上甲板縁部 ２ 上甲板延設面 ３ 倉口縁材 ４ 滞留防止部材 ５ 嵌入切欠部 ６ 係止金具 ７ 底面 ８ 直立背面 ９ 傾斜曲面 １０ 吊り金具 １１ 弾力体

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ばら積み貨物船の貨物倉口内で、倉口縁
   材コーナ部の下端直下から延設され、切欠円弧形の上甲
   板縁部を有する、上甲板延設面に設ける滞留防止部材に
   おいて、該倉口縁材コーナ部の該上甲板延設面を覆い、
   該上甲板縁部と同一の切欠円弧形を有する底面と、該倉
   口縁材コーナ部の両内面と当接する略直角三角形状をな
   す二面の直立背面と、切欠円弧形を底辺とすると共に該
   直立背面の斜辺を二辺とする傾斜曲面とから一体で略四
   面体を形成し、該倉口縁材コーナ部内面に係止金具を各
   々突設し、該滞留防止部材の各直立背面に該係止金具の
   嵌入切欠部を設け、該滞留防止部材の頂部に吊り金具を
   固設し、該滞留防止部材の底面に弾力体を貼設して、滞
   留防止部材を上方から倉口縁材コーナ部に当接するばら
   積み貨物滞留防止部材。