JPH07291177A - バラ積貨物船のハッチコーナー構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、鉱石等の積み込み荷役時に、ハッ
チ開口の弯曲したコーナー部の上甲板部分に鉱石等が貯
溜するのを防止する三角板の取付け手段の改善をはかっ
たものである。 【構成】 上甲板４におけるハッチ開口の弯曲したコー
ナー縁４ａの近傍の上甲板部分が、三角板８で斜めに覆
われ、同三角板８の一辺ｃのみがハッチエンドコーミン
グ１に溶接される。また三角板８は、ハッチエンドコー
ミング１に取り付けられたコの字型金物７ａ，７ｂ，ボ
ルト５ａ，５ｂおよびナット６ａ，６ｂからなる支持部
材でも支持される。これにより、船体縦曲げ応力の三角
板８への流入がなくなり、同三角板８の溶接部の亀裂が
防止される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、鉱石等のバラ荷を運搬
する船舶に関し、特に荷役時に上甲板のハッチ開口の弯
曲したコーナー部に鉱石等の貯溜を生じないように、同
コーナー部を斜めに覆う三角板をそなえるようにした、
バラ積貨物船のハッチコーナー構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のバラ積貨物船のハッチコーナー構
造としては図４に示すようなものがあり、バラ積貨物船
の上甲板４におけるハッチ開口の縁部に立設されたハッ
チエンドコーミング１とハッチサイドコーミング２との
結合部の内方で、ハッチ開口の弯曲したコーナ縁の近傍
の上甲板部分を斜めに覆う三角板８をそなえている。そ
して、三角板８は、その三辺ａ，ｂ，ｃをそれぞれハッ
チサイドコーミング２，上甲板４およびハッチエンドコ
ーミング１に溶接されている。

【０００３】これにより鉱石等のバラ荷の積み込み時
に、三角板８はハッチ開口のコーナー部でバラ荷の貯溜
を防止し同バラ荷を船倉内へ落下するように案内するこ
とができる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前述のよう
な従来のバラ積貨物船のハッチコーナー構造では、三角
板８の三辺がいずれも溶接にて固着されているため、船
体の縦曲げ応力が三角板８に流入することにより、上甲
板４との溶接部ｂに亀裂が発生すると、同亀裂が船体構
造に及ぶという問題点がある。

【０００５】本発明は、このような問題点の解消をはか
ろうとするもので、バラ荷を案内する傾斜した三角板の
一片のみを船体表面に溶接するとともに、他の二辺は自
由縁として、船体変形時の三角板溶接部における亀裂の
発生を防止できるように、上記三角板の支持手段を改善
した、バラ積貨物船のハッチコーナー構造を提供するこ
とを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するた
め、本発明のバラ積貨物船のハッチコーナー構造は、バ
ラ積貨物船の上甲板におけるハッチ開口の縁部に立設さ
れたハッチコーミングと、同ハッチコーミングのハッチ
エンドコーミングとハッチサイドコーミングとの結合部
の内方で、ハッチ開口の弯曲したコーナー縁の近傍の上
甲板部分を斜めに覆う三角板をそなえ、同三角板の一辺
のみが船体表面に溶接されるとともに、同三角板の他の
二辺はそれぞれ船体表面との間に間隙を形成されて、上
記三角板の溶接された一辺を含む船体表面から突出した
支持部材の先端部で上記三角板が支持されていることを
特徴としている。

【０００７】また、本発明のバラ積貨物船のハッチコー
ナー構造は、上記三角板の傾斜した一片のみが、上記ハ
ッチエンドコーミングの内面に溶接され、同ハッチエン
ドコーミングの内面に上記支持部材が突設されているこ
とを特徴としている。

【０００８】さらに本発明のバラ積貨物船のハッチコー
ナー構造は、上記支持部材が、上記ハッチエンドコーミ
ングの内面に上端縁および下端縁を溶接されたコの字型
金物と、同金物上に基端を溶接されたボルトと、同ボル
トの上記三角板を貫通した先端部に螺合するナットとで
構成されていることを特徴としている。

【０００９】

【作用】上述の本発明のバラ積貨物船のハッチコーナー
構造では、鉱石等のバラ荷の積込み時に、ハッチ開口の
コーナー部におけるハッチコーミングの内側の上甲板上
にバラ荷が貯溜しないように、同バラ荷を傾斜した三角
板が案内して船倉内へ導く作用が行なわれる。そして、
上記三角板は、その一辺のみを船体表面に溶接されて、
他の二辺は船体表面との間に間隙を形成され、同三角板
を強固に支持するための支持部材も上記の溶接された一
辺を含む船体表面に突設されるので、波浪による船体の
変形時に上記三角板の溶接部に亀裂を生じることはな
い。

【００１０】また上記三角板の傾斜した一辺のみがハッ
チエンドコーミングの内面に溶接され、同ハッチエンド
コーミングの内面に上記支持部材が突設されている場合
は、波浪による船体の縦変形に際して上記三角板の溶接
部や支持部材による支持部に受ける影響が少なくなり、
同三角板への船体縦曲げ応力の流入が十分に回避される
ようになる。

【００１１】さらに、上記支持部材が上記ハッチエンド
コーミングの内面に上端縁および下端縁を溶接されたコ
の字型金物と、同金物に立設されたボルト・ナットとで
構成される場合は、コの字型金物のクッション性とボル
ト・ナットによる確実な係止力とで三角板の保持が的確
に行なわれるようになる。

【００１２】

【実施例】以下、図面により本発明の一実施例としての
バラ積貨物船のハッチコーナー構造について説明する
と、図１はその斜視図、図２はその平面図、図３は図２
のＡ−Ａ線に沿う断面図である。

【００１３】図１〜３に示すように、バラ積貨物船の上
甲板４におけるハッチ開口Ｈの縁部に、船幅方向に延在
するように立設されたハッチエンドコーミング１と、船
長方向に延在するように立設されたハッチサイドコーミ
ング２とからなるハッチコーミングが設けられ、その上
縁にはハッチコーミングトップ３が設けられている。

【００１４】そしてハッチエンドコーミング１とハッチ
サイドコーミング２との結合部の内方で、ハッチ開口Ｈ
の弯曲したコーナー縁４ａの近傍の上甲板部分を斜めに
覆う三角板８が設けられ、同三角板８の傾斜した一辺ｃ
のみがハッチエンドコーミング１の内面に溶接されると
ともに、同三角板８の他の傾斜した一辺ａと底辺ｂとは
それぞれハッチサイドコーミング２および上甲板４との
間に間隙ｄ（10mm程度）を形成されている。

【００１５】また、三角板８の一対の支持部材として、
ハッチエンドコーミング１に上端縁および下端縁を溶接
されたコの字型金物７ａ，７ｂと、同金物上に基端を溶
接された水平なボルト５ａ，５ｂと、同ボルト５ａ，５
ｂの三角板８を貫通した先端部に螺合するナット６ａ，
６ｂとが設けられている。なお、間隙ｄを塞ぐように、
三角板８にリップ部材を取り付けて、同リップ部材の先
端縁がハッチサイドコーミング２の内面や上甲板４に摺
接するようにしてもよい。

【００１６】また三角板８は、その一辺ａのみをハッチ
サイドコーミング２に溶接されたり、あるいはその底辺
ｂのみを上甲板４に溶接されたりしてもよいが、これら
の場合も前記支持部材としてのコの字型金物７ａ，７ｂ
やボルト５ａ，５ｂ，ナット６ａ，６ｂは、三角板８の
溶接辺を含む船体面に装着される。

【００１７】上述の実施例のバラ積貨物船のハッチコー
ナー構造では、鉱石等のバラ荷の積込み時に、ハッチ開
口のコーナー部におけるハッチコーミングの内側の上甲
板上にバラ荷が貯溜しないように、同バラ荷を傾斜した
三角板８が案内して船倉内へ導く作用が行なわれる。そ
して、三角板８は、その一辺ｃのみを船体表面に溶接さ
れて、他の二辺ａ，ｂは船体表面との間に間隙ｄを形成
され、同三角板８を強固に支持するための支持部材も上
記の溶接された一辺ｃを含む船体表面に突設されるの
で、波浪による船体の変形を生じても三角板８の溶接部
に亀裂を生じることはない。

【００１８】また三角板８の傾斜した一辺ｃのみがハッ
チエンドコーミング１の内面に溶接され、同ハッチエン
ドコーミング１の内面に前記の金物７ａ，７ｂやボルト
５ａ，５ｂ等の支持部材が突設されていると、波浪によ
る船体の縦変形に際して三角板８の溶接部や支持部材に
よる支持部に受ける影響が少なくなり、同三角板８への
船体縦曲げ応力の流入が十分に回避されるようになる。

【００１９】さらに、上記支持部材がハッチエンドコー
ミング１の内面に上端縁および下端縁を溶接されたコの
字型金物７ａ，７ｂと、同金物に立設されたボルト５
ａ，５ｂおよびナット６ａ，６ｂとで構成される場合
は、コの字型金物７ａ，７ｂのクッション性とボルト・
ナットによる確実な係止力とで三角板の保持が的確に行
なわれるようになる。

【００２０】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明のバラ積貨
物船のハッチコーナー構造によれば、次のような効果が
得られる。 (1) バラ積貨物船のハッチコーナー構造において、バラ
荷を案内する三角板が、その一辺のみを船体表面に溶接
されて、他の二辺は船体表面との間に間隙を形成され、
同三角板を強固に支持するための支持部材も上記の溶接
された一辺を含む船体表面に突設されるので、波浪によ
る船体の変形を生じても上記三角板の溶接部に亀裂を生
じることはない。 (2) 上記三角板の傾斜した一辺のみがハッチエンドコー
ミングの内面に溶接され、同ハッチエンドコーミングの
内面に上記支持部材が突設されている場合は、波浪によ
る船体の縦変形に際して上記三角板の溶接部や支持部材
による支持部に受ける影響が少なくなり、同三角板への
船体縦曲げ応力の流入が十分に回避されるようになる。 (3) 上記支持部材が上記ハッチエンドコーミングの内面
に上端縁および下端縁を溶接されたコの字型金物と、同
金物に立設されたボルト・ナットとで構成される場合
は、コの字型金物のクッション性とボルト・ナットによ
る確実な係止力とで上記三角板の保持が的確に行なわれ
るようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例としてのバラ積貨物船のハッ
チコーナー構造を示す斜視図である。

【図２】図１のバラ積貨物船のハッチコーナー構造の平
面図である。

【図３】図２のＡ−Ａ線に沿う断面図である。

【図４】従来のバラ積貨物船のハッチコーナー構造を示
す斜視図である。

【符号の説明】 １ ハッチエンドコーミング ２ ハッチサイドコーミング ３ ハッチコーミングトップ ４ 上甲板 ４ａ 弯曲したコーナー縁 ５ａ，５ｂ ボルト ６ａ，６ｂ ナット ７ａ，７ｂ コの字型金物 ８ 三角板 ｄ 間隙 Ｈ ハッチ開口

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 バラ積貨物船の上甲板におけるハッチ開
   口の縁部に立設されたハッチコーミングと、同ハッチコ
   ーミングのハッチエンドコーミングとハッチサイドコー
   ミングとの結合部の内方で、ハッチ開口の弯曲したコー
   ナー縁の近傍の上甲板部分を斜めに覆う三角板をそな
   え、同三角板の一辺のみが船体表面に溶接されるととも
   に、同三角板の他の二辺はそれぞれ船体表面との間に間
   隙を形成されて、上記三角板の溶接された一辺を含む船
   体表面から突出した支持部材の先端部で上記三角板が支
   持されていることを特徴とする、バラ積貨物船のハッチ
   コーナー構造。
2. 【請求項２】 請求項１に記載のバラ積貨物船のハッチ
   コーナー構造において、上記三角板の傾斜した一片のみ
   が、上記ハッチエンドコーミングの内面に溶接され、同
   ハッチエンドコーミングの内面に上記支持部材が突設さ
   れていることを特徴とする、バラ積貨物船のハッチコー
   ナー構造。
3. 【請求項３】 請求項２に記載のバラ積貨物船のハッチ
   コーナー構造において、上記支持部材が、上記ハッチエ
   ンドコーミングの内面に上端縁および下端縁を溶接され
   たコの字型金物と、同金物上に基端を溶接されたボルト
   と、同ボルトの上記三角板を貫通した先端部に螺合する
   ナットとで構成されていることを特徴とする、バラ積貨
   物船のハッチコーナー構造。