JPH0644353U - 回転電機用固定子鉄芯に用いる帯状鋼板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【考案の目的】 本考案の目的は、回転電機用固定子鉄
芯に用いる帯状鋼板の最適な設計寸法を提供し、これに
より、精度の高い回転電機用固定子鉄芯を提供すること
にある。 【構成】 本考案は、帯状に成形され、片側に一定間隔
で歯状部３４が、他の側に一定間隔で切欠き部４２が形
成され、前記歯状部３４を内側にして螺旋状に巻回，積
層して回転電機用固定子鉄芯５０を成形する帯状鋼板３
０において、前記歯状部３４の幅をａとし、前記歯状部
３０の付け根から前記切欠き部４２の底部までの間隔を
ｃとした場合に、下式（１）が成立するように当該帯状
鋼板３０を設計する。 ０．５ａ ≦ ｃ ≦ １．５ａ （１）

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は電動機、発電機などの回転電機に用いる回転電機用固定子鉄芯に関し 、更に詳しくは、回転電機用固定子鉄芯に用いる帯状鋼板の形状に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、比較的容量の小さな発電機等に用いられる固定子鉄芯としては、帯 状鋼板を螺旋状に巻回，積層したものが用いられている。

【０００３】 図３には、従来の回転電機用固定子鉄芯に用いる帯状鋼板１０の構成が示され ている。帯状鋼板１０は、基本的には、基部１２と、基部１２の内側に一定等間 隔で形成された歯状部１４とから構成されている。

【０００４】 歯状部１４の付け根部分には、切欠き部１６が形成され、基部１２上には積層 時に必要なダボ２０と取付穴１８が各々形成されている。

【０００５】 そして、上記のような構成の帯状鋼板１０を螺旋状に多数巻回，積層すること によって回転電機用固定子鉄芯を成形する。

【０００６】 しかしながら、図３に示した従来の回転電機用固定子鉄芯に用いる帯状鋼板１ ０においては、取付穴１８とダボ２０のために、基部１２の幅が比較的広くなっ てしまい、その結果、当該帯状鋼板１０を巻回するのが困難であった。 これは、帯状鋼板１０の材料の塑性力学的要因、即ち、帯状鋼板１０内に生じ る応力分布の変化によるものである。

【０００７】 このため、特公昭５３−４１３２１号公報に開示されているように、基部の外 側に外部切欠き部を形成した帯状鋼板が開発されている。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、特公昭５３−４１３２１号公報に示された帯状鋼板においては、外部 切欠き部，歯状部等の寸法の設定は経験則に依存し、確立された寸法設定技術は 存在しなかった。 このため、帯状鋼板の設計如何によっては、当該帯状鋼板が波状変形を生じ、 当該外部切欠き部の存在意義が無くなるという問題点があった。そして、帯状鋼 板が波状変形した場合には、製造された固定子鉄芯自体の厚さが一定せず、機械 特性及び磁気特性が低下するという不都合が生じていた。

【０００９】 本考案は、かかる点に鑑みて成されたものであり、回転電機用固定子鉄芯に用 いる帯状鋼板の最適な設計寸法を提供し、これにより、精度の高い回転電機用固 定子鉄芯を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記目的を達成するために、帯状に成形され、片側に一定間隔で歯状 部が、他の側に一定間隔で切欠き部が形成され、前記歯状部を内側にして螺旋状 に巻回，積層して回転電機用固定子鉄芯を成形する帯状鋼板において、 前記歯状部の幅をａとし、前記歯状部の付け根から前記切欠き部の底部までの 間隔をｃとした場合に、下式（１）が成立するように当該帯状鋼板を設計してい る。 ０．５ａ ≦ ｃ ≦ １．５ａ （１）

【００１１】

【作用】

本考案に係る回転電機用固定子鉄芯に用いる帯状鋼板は、実験データ等に基づ いて、上記のような確立された条件の下で設計されるため、一定高品質の帯状鋼 板を製造することが可能となる。

【００１２】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。図１には、 本考案の実施例に係る回転電機用固定子鉄芯に用いる帯状鋼板１０の構成が示さ れている。

【００１３】 帯状鋼板３０は、基本的には、基部３２と、基部３２の内側に一定等間隔で形 成された歯状部３４とから構成されている。歯状部３４により、スロット３５が 形成される。

【００１４】 歯状部３４の付け根部分には、切欠き部３６が形成され、基部３２上には積層 時に必要な取付穴３８とダボ４０が各々形成されている。また、基部３２の外側 には、外側切欠き部４２が一定間隔で形成されている。

【００１５】 上記のような構成の帯状鋼板３０は、歯状部３４の幅をａとし、歯状部の付け 根から外側切欠き部４２の底部までの間隔をｃとした場合に、下式（１）が成立 するよう設計される。 ０．５ａ ≦ ｃ ≦ １．５ａ （１）

【００１６】 上記のような法則は、次の表１に示す実験例に基づいて決定されたものである 。すなわち、この実験においては、各寸法ａ，ｂ，ｃ，ｅ，ｆ，ｇ，ｈ，ｌ，ｍ を変化させ、巻回された帯状鋼板３０の変形具合（平面度）を調べた。

【００１７】

【表１】

【００１８】 ここで、ａ：歯状部３４の、幅 ｂ：コアバック幅、 ｃ：歯部３０の付根から外側切欠き部４２の底部までの間隔、 ｅ：歯状部３４の長さ、 ｆ：帯状鋼板３０の全幅、 ｇ：外側切欠き部４２の幅、 ｈ：外側切欠き部４２の深さ、 ｌ：切欠き部３６の深さ、 ｍ：切欠き部３６の幅である。

【００１９】 そして、上記のような構成の帯状鋼板３０を螺旋状に多数巻回，積層すること によって、図２に示したような回転電機用固定子鉄芯５０を成形する。

【００２０】 以上説明した本実施例によれば、帯状鋼板３０の寸法設定が確立された式（１ ）に基づいて行われるため、当該帯状鋼板３０の寸法設定により機械特性及び磁 気特性が低下するという問題が生じることはなくなる。すなわち、一定高品質の 帯状鋼板３０を製造することが可能となる。

【００２１】

【考案の効果】

以上説明したように本考案に係る回転電機用固定子鉄芯に用いる帯状鋼板は、 内側の歯状部の幅をａとし、この歯状部の付け根から外側切欠き部の底部までの 間隔をｃとした場合に、 ０．５ａ ≦ ｃ ≦ １．５ａ という式が成立す るように当該帯状鋼板を設計しているため、このような帯状鋼板を用いて成形さ れた回転電機用固定子鉄芯の精度が向上するという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係る回転電機用固定子鉄芯に
用いる帯状鋼板の構成を示す平面図である。

【図２】本考案の実施例に係る帯状鋼板を用いて成形さ
れた回転電機用固定子鉄芯の構成を示す概略斜視図であ
る。

【図３】従来の回転電機用固定子鉄芯に用いる帯状鋼板
の構成を示す平面図である。

【符号の説明】

３０ 帯状鋼板 ３２ 基部 ３４ 歯状鉄芯部 ３６ 切欠き部 ３８ 取付穴 ４０ ダボ ４２ 外側切欠き部 ５０ 回転電機用固定子鉄芯

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 帯状に成形され、片側に一定間隔で歯状
   部が、他の側に一定間隔で切欠き部が形成され、前記歯
   状部を内側にして螺旋状に巻回，積層して回転電機用固
   定子鉄芯を成形する帯状鋼板において、 前記歯状部の幅をａとし、前記歯状部の付け根から前記
   切欠き部の底部までの間隔をｃとした場合に、下式
   （１）が成立することを特徴とする回転電機用固定子鉄
   芯に用いる帯状鋼板。 ０．５ａ ≦ ｃ ≦ １．５ａ （１）