JPH0642436B2 - 小型トランス - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は小型トランスに関し、特に電源用トランスに適
当な小型トランスを提案する。

周知の通り、電源用トランスは負荷回路などから電磁的
な干渉を受け、また、この逆に電磁的な影響を負荷回路
に与えるため、ほとんどの電源用トランスがシールド装
置を備えている。

本発明の第１の目的は、上記したような電磁的な干渉を
可能なる限り減少させることにある。

また、小型の電源用トランスなどは他の電気部品と共に
限られたスペースに組み込まれる関係上、他の電気部品
と接触して電気的障害を受け易い。

本発明の第２の目的は、このような電気的障害を防ぐた
め、電気抵抗が高く、不燃性に優れた外面構造とするこ
とにある。

更に、本発明の第３の目的は、組み込み易くするため、
トランスの高さを可能なる限り制限して偏平化すること
にある。

しかして、本発明に係る小型トランスは、下面と一側面
とを開放させ、上面と他の周側面を一連に形成して複数
面の周囲コアとし、かつ、上記一側面に対向するこの周
囲コアの他側面のほぼ中央部からその一側面に向かって
突出形成し、上記周囲コアの上面に平行した横長のほぼ
長方形断面とした内部脚を設けると共に、この内部脚の
突出基部下面と上記他側面の下端縁との間をコア内外を
連通させるように切り欠き横幅広の凹形切欠きとした切
欠部を設けて形成した同形の２つのトランスコアと、角
筒状の巻線部の両端に鍔を有し、これら鍔の外面に貫通
した巻線部内孔より下側に上記トランスコアの切欠部に
合わせた大きさの肉厚部を形成すると共に、この肉厚部
に端子ピンを固着したボビンと、このボビンの巻線部に
巻線してコイル端部を上記端子ピンに止着したコイルと
を備え、上記ボビンの鍔各々の外側より巻線部内孔に内
部脚を挿入すると共に、ボビン鍔の肉厚部を上記の切欠
部に嵌合するようにして２つのトランスコアをボビンに
組付け、各トランスコアの一側面側で対接させて固着し
て箱状コアとし、下面側以外のコイル外周を上記箱状コ
アにより包囲する構成としたことを特徴とする。

以下、本発明の実施例について説明し発明の内容を一層
明らかにする。

第１図は本発明に係る小型トランスの斜視図、第２図は
当該トランスの一部切欠底面図、第３図は当該トランス
の縦断側面図、第４図は第３図上のＡ−Ａ線に沿って切
断した当該トランスの断面図である。

これらの図面において、１、２はフエライト材からなる
同形状のトランスコアであり、これらコア１、２は１ａ
〜１ｆ、２ａ〜２ｆの各面を有する中空の６面体からな
る周囲コアと、他側面１ｆ、２ｆのほぼ中央から一体形
成して突出させたほぼ長方形断面の内部脚１ｇ、２ｇと
より構成してある。

内部脚１ｇ、２ｇは四辺形断面の各角部を切り除いた多
角形断面となっている。

第５図は上記トランスコア１、２を詳細に示した分解斜
視図であり、この図より分かる通り、面１ｆ、２ｆに当
るコア側部には切欠部１ｈ、２ｈが形成してある。

この切欠部１ｈ、２ｈは、内部脚１ｇ、２ｇの基部下面
と他側面１ｆ、２ｆの下端縁との間をコア内外を連通さ
せるように凹形に切欠き形成してあり、対向した面１
ａ、１ｅ、２ａ、２ｅに当る側部内面までの横幅と、内
部脚１ｇ、２ｇの基部下面までの高さとを有している。

また、第１図〜第４図において、符号３は少なくとも２
以上のコイル４を巻装させたボビンで、このボビン３は
第６図に示した形態をなしている。

すなわち、上記内部脚１ｇ、２ｇを挿入させる筒状部
（巻線部）３ａの両端には鍔部３ｂを有し、この鍔部間
に所定個数のコイル４が巻装される。

上記筒状部３ａは上記内部脚１ｇ、２ｇの断面形状に合
わせた多角筒である。

また、上記鍔部３ｂの下方部には肉厚となした端子ピン
受け３ｃが、更にこの端子ピン受け３ｃには下向きに起
立させたフランジ３ｄが形成してある。

なお、端子ピン受け３ｃの横幅とフランジ３ｄを含むこ
のピン受け３ｃの高さはトランスコア１、２の切欠部１
ｈ、２ｈに嵌合する大きさとなしてある。

その他、図面における参照符号５はコイル４の周囲に巻
き付けた絶縁テープ、６は端子ピン、３ｅはコイル端部
の案内溝である。

上記構成の小型トランスは、先ず、ボビン３に巻線して
複数のコイル４を装備させると共に各々のコイル端を端
子ピン６に固着させ、その後、ボビン３の両側よりトラ
ンスコア１、２各々の内部脚１ｇ、２ｇを挿入すると共
に、これらトランスコア１、２の接合面を接着剤によっ
て固着して箱状コアとする。

このように組み立てることにより、ボビン３の端子ピン
受け３ｃがトランスコア１、２の切欠部１ｈ、２ｈに嵌
合するので、端子ピン受け３ｃとトランスコア１、２と
の間を接着剤によって固定してもよい。

上記した小型トランスは第１図〜第４図より分かる如く
次のような効果がある。

（１） 底面と端子ピン受け３ｃを除く全ての外周がト
ランスコアによって覆われるので、このコアがトランス
としての磁路を形成すると同時に磁気遮蔽として働く。

（２） ボビン鍔部３ｂの下端がトランスコア１、２下
端縁より内部に位置させてあるので、端子ピン６の基部
にコイル端を固着させる半田付け部分がトランスの底面
よりはみ出ず、トランスを取付けた場合に電気的、機械
的に安定する。

（３） 内部脚１ｇ、２ｇが矩形断面の角部を切除した
横長の多角形断面であり、この多角形断面によりトラン
スコア１、２には斜角面１ｂ、１ｄ、２ｂ、２ｄを形成
することができ、これより、トランス形態の偏平化が可
能になる。

（４） ボビン３の端子ピン受け３ｃをトランスコア
１、２に形成した切欠部１ｈ、２ｈに嵌合させたので、
左右の端子ピン受け３ｃの間が広くでき、これらの端子
ピン受け間、すなわち、ボビン鍔部間には従来のものに
比べて多くのコイル個数或いは巻線数を設けることがで
き、トランス効率が有利となる。

次に、第７図及び第８図は上記した小型トランスの底面
にフエライト板７を固着させた実施例であり、フエライ
ト板７に設けた小孔７ａはトランス内部に絶縁材、例え
ばエポキシ材を充填させるためのものである。

当該実施例によれば、トランス周囲のほぼ全体がトラン
スコアにより覆われるから、磁気遮蔽としての効果が非
常に高まる。

なお、上記フエライト板７は金属板などの他の磁性板に
よって置き換える事ができる。

第９図及び第１０図は端子ピン受け３ｃの両側方にトラ
ンスコア１、２と部分的に重り合うようにした段形フラ
ンジ３ｆを設けた実施例である。

当該実施例によれば、端子ピン６とトランスコア１、２
の下端縁との間の電気的絶縁が確実となる。

なお、当該実施例においても上記したフエライト板７を
設けることができる。

第１１図、第１２図及び第１３図はトランスコア１、２
の切欠部１ｈ、２ｈとこれに嵌合させる端子ピン受け３
ｃとを台形に形成した実施例で、その他の構成について
は上記した実施例と同じである。

当該実施例によれば、切欠部１ｈ、２ｈの両側部に張り
出し部１ｉ、２ｉが形成されるから、これによってトラ
ンスコア１、２の周囲コアについて補強されるので、そ
の破損が防止され効果的である。

また、本発明を実施するに際しては、第１４図に示すよ
うに、トランスコア１、２の周囲コアを三辺形断面と
し、内部脚１ｇ、２ｇを長方形断面としてもよく、更に
は、トランスコア１、２の周囲コアを三辺形断面に、内
部脚１ｇ、２ｇを多角形断面に形成したり、トランスコ
ア１、２の周囲コアに斜角面１ｂ、１ｄ、２ｂ、２ｄを
設け、内部脚１ｇ、２ｇは長方形断面とするなど設計製
作任意に変更し得る。

次に、第１５図はボビン筒状部３ａの水平辺部を肉薄に
形成した実施例で、水平辺部を肉薄としただけトランス
の高さを縮小し得る。

多角筒に形成したボビン筒状部３ａには斜角辺部がある
から、水平辺部を肉薄に形成しても充分な強度が保たれ
る。

また、ボビン筒状部３ａの水平辺部はこれを切除し通孔
としてもよく、この場合、ボビン巻線部分に絶縁テープ
を巻き付け、その上に巻線する。

上記した通り、本発明に係る小型トランスは、下側を除
くコイル外周囲がほとんどコアによって覆われるので、
トランスとして組み付けたときに、外部回路に与える磁
気的干渉或いは外部回路から受ける磁気的影響を効果的
に防ぐことができる小型トランスとなる。

また、コイル周囲がコアによって覆われるので、このコ
イルが他の電気部品と接触することがなく、他の電気部
品からの電気的障害が受け難い小型トランスとなる。

さらに、上面と外周囲とがコアによって覆われているの
で不燃性に優れた小型トランスとなる。

また、本発明の小型トランスは、トランスコアを、横長
の長方形断面とした内部脚と箱状の周囲コアとによって
構成することによって、内部脚が円形断面のトランスコ
アを使用した従来の小型トランスに比べて高さの低い偏
平化した小型トランスとなり、限れたスペースに組み込
む小型トランスとして有利となる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図は本発明に係る小
型トランスの斜視図、第２図は当該トランスの一部切欠
き底面図、第３図は当該トランスの縦断側面図、第４図
は第３図上のＡ−Ａ線に沿って切断した当該トランスの
断面図、第５図はトランスコアの斜視図、第６図はボビ
ンの斜視図、第７図は底面にフエライト板を設けた実施
例を示す小型トランスの底面図、第８図は第７図上のＢ
−Ｂ線断面図、第９図はボビン下方部に段形フランジを
設けた実施例を示す小型トランスの一部切欠き底面図、
第１０図は第９図上のＣ−Ｃ線断面図、第１１図、第１
２図及び第１３図はトランスコアの切欠部に張り出し部
を設けた実施例を示し、第１１図はトランスコアの斜視
図、第１２図はボビンの斜視図、第１３図は第４図同様
の断面図、第１４図はトランスコアの形状を変形した実
施例を、第１５図はボビン筒状部を変形した状態を各々
示す第４図同様の断面図である。 １…トランスコア １ｇ…内部脚 １ｈ…切欠部 ２…トランスコア ２ｇ…内部脚 ２ｈ…切欠部 ３…ボビン ３ａ…筒状部 ３ｂ…鍔部 ３ｃ…端子ピン受け ４…コイル ５…絶縁テ…プ ６…端子ピン ７…フエライト板

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】下面と一側面とを開放させ、上面と他の周
   側面を一連に形成して複数面の周囲コアとし、かつ、上
   記一側面に対向するこの周囲コアの他側面のほぼ中央部
   からその一側面に向かって突出形成し、上記周囲コアの
   上面に平行した横長のほぼ長方形断面とした内部脚を設
   けると共に、この内部脚の突出基部下面と上記他側面の
   下端縁との間をコア内外を連通させるように切り欠き横
   幅広の凹形切欠きとした切欠部を設けて形成した同形の
   ２つのトランスコアと、角筒状の巻線部の両端に鍔を有
   し、これら鍔の外面に貫通した巻線部内孔より下側に上
   記トランスコアの切欠部に合わせた大きさの肉厚部を形
   成すると共に、この肉厚部に端子ピンを固着したボビン
   と、このボビンの巻線部に巻線してコイル端部を上記端
   子ピンに止着したコイルとを備え、上記ボビンの鍔各々
   の外側より巻線部内孔に内部脚を挿入すると共に、ボビ
   ン鍔の肉厚部を上記の切欠部に嵌合するようにして２つ
   のトランスコアをボビンに組付け、各トランスコアの一
   側面側で対接させて固着して箱状コアとし、下面側以外
   のコイル外周を上記箱状コアにより包囲する構成とした
   小型トランス。