JP3461548B2 - トロイダルコイル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【産業上の利用分野】本発明は、雑音防止用トロイダル
コイル、詳しくはトロイダル形コモンモードチョークコ
イルを載置する台座の構造に関するものである。 【０００２】 【従来の技術】電子機器のＡＣ電源の１次側入力部に電
磁雑音防止のために、コモンモードチョークコイルが接
続されている。この種のコイルは通常トロイダル形であ
る。コモンモードのトロイダルコイルは、トロイダルコ
アを、中央仕切板および仕切台により、外表面を等分割
したコア絶縁ケースに収納し、各巻回区画に巻線を施し
てコイルを作り、このコイルを方形台座に載せて固定
し、巻線の端部を台座の四隅の貫通孔に通して台座の底
面に引き出した構造である。台座上のコイルの姿勢は、
コアの軸方向を垂直にする横置きか、或は、コアの軸方
向を水平に絶縁ケースの中央仕切板を垂直にする縦置き
かである。図３に、従来の縦置きのトロイダルコイルの
一例を巻線を省略して台座の部分を分解して示す。ケー
ス本体１と蓋体２からなるコア絶縁ケースは、中央仕切
板３と仕切台４を有し、仕切台４の片方の外周部を幅広
かつ背高にして方形台座５との連結部としたものであ
る。連結部には、位置決め溝６と、図示しない係合段部
が設けられている。 【０００３】方形台座５は、コア絶縁ケースの軸方向外
寸と外径を長辺とする方形絶縁板であり、中央部に位置
決め溝６に対応する突条７、仕切台４に繋がる突片８お
よび係合段部に対応する係止爪付の一対の係止突片９を
設け、四隅近傍に貫通孔１０を設けてある。コア絶縁ケ
ースの中央仕切板３および仕切台４の両側の巻回区画に
２個の巻線（図示せず）を巻き回し、巻線の端部を軸方
向に互いに反対向きに延ばしてから、位置決め溝６に突
条７を嵌合して、台座５に載せ係止突片９により仕切台
４に固定して、各巻線の各端部を四隅の各貫通孔１０に
上から下へと通していた。 【０００４】 【発明が解決しようとする課題】図３に示した従来の縦
置きトロイダルコイルは、巻線自体に巻終り側と巻始め
側とに接近個所がなくとも、区画の上端にある巻線の端
部が下端側の巻線に必ず接近するので、電子機器に接続
してノイズシミュレータを用いて高電圧インパルス（方
形波）を印加する試験（イミュニティ試験と呼ばれる）
を行うと、インパルス耐圧が低いために巻線の接近個所
で放電が生じる欠点があった。 【０００５】 【課題を解決するための手段】本発明は、中央仕切板お
よび仕切台を備えたコア絶縁ケースにトロイダルコアを
収納して、分割した巻回区画に巻線をそれぞれ巻き回し
たケースを、軸方向に水平に、前記中央仕切板を垂直に
して方形台座に載設し、前記巻線の端部を前記台座の四
隅近傍の貫通孔にそれぞれ挿通し、前記台座の底面に引
き出してなるトロイダルコイルにおいて、前記巻線は前
記巻回区画内の中点から巻き進める分離巻きであり、前
記台座は前記ケースの載設部分と貫通孔との間に、上端
縁に切欠き溝を有する、前記中央仕切板の下端及び前記
仕切台の頂部とほぼ同じ高さの２種類の絶縁板を一体に
突設したものであることを特徴とするトロイダルコイル
である。 即ち、本発明は、コモンモードの縦置きのトロ
イダルコイルにおいて、巻線は中点から両側に巻き進め
る分離巻きであり、台座はコイル載設部分と貫通孔との
間に絶縁板を一体に突設したものとする。 【０００６】 【作用】巻線の中点から両側に巻き進める分離巻きは、
巻始め部分の巻線と巻終り側の巻線および端部とを離間
した多巻回数を実現する。台座に突設した絶縁板は、外
部接続端子になる巻線の端部が巻線に接近することを阻
止する。 【０００７】 【実施例】本発明になる一実施例の外観図と分解斜視図
を図１（ａ）、図１（ｂ）に示す。図１（ａ）（ｂ）に
おいて、ケース本体１に図示しないトロイダルコアを収
納し、蓋体２を組み付けたコア絶縁ケースの上から、中
央仕切板３および仕切台４の両側（図１で仕切台４の左
右半円孤部分）の巻回区画に巻線１１，１２を巻き回し
ている。このコモンモードのトロイダルコイルの巻線１
１は、図１（ｂ）において、黒丸で示す巻線材の中点１
１ｃを、巻回区画の中央に置いて下方と上方とに（図１
では反時計方向に）単層に巻き進めて、巻回区画の下部
と上部で巻線端部１１ａ，１１ｂをトロイダルコアの軸
方向に反対向きに引き出した分離巻きの巻線である。巻
線１２は、上記巻線１１と同様の分離巻である。 【０００８】図１では単層の場合を示したので、巻回区
画の下部の端部１１ａから巻き始めて上部の巻線端部１
１ｂで終了する普通巻きと同じであるが、普通巻きで一
往復半の重ね巻きを行うと仮定すると、（始）巻線端部
１１ａに巻線材の（終）巻線端部１１ｂ寄りの約１／３
の長さ部分が接近するのに対して、分離巻きで一往復半
分の重ね巻きでは、（始）巻線端部１１ａに接近するの
は巻線材の（始）巻線端部１１ａ寄りの１／３長
（（終）巻線端部１１ｂから２／３長）部分であり、
（終）巻線端部１１ｂ側を（始）巻線端部１１ａから隔
離した多巻回数重ね巻きが可能である。イミュニティ試
験におけるインパルス耐圧は、重ね巻きの場合、普通巻
きよりも分離巻きの方が高い電圧に耐えることが可能で
ある。 【０００９】方形台座１６は、コア絶縁ケースの軸方向
外寸より十分に大きい寸法と、ケースの外径とを長辺と
する方形絶縁板である。方形台座１６の中央部には突条
７，突片８および係止突片９が設けられている。さらに
方形台座１６の四隅に設けた貫通孔１０を中央部から遮
るように、高さ寸法の高低の差がある絶縁板１３，１４
が一体に突設されている。絶縁板１３は、縦置きのトロ
イダルコイルの垂直な中央仕切板３の下端に達する高さ
であり、高さの高い絶縁板１４は、縦置きコイルの仕切
台４の項部より僅かに低い高さであり、外面上方、両角
部に突出片１５を一体に設けてある。コモンモードのト
ロイダルコイルを方形台座１６に位置決め溝６と突条７
を嵌合し、係止突片９を仕切台４の下部に構成する係合
段部（図示せず）に係合して固定する。左右の巻線１
１，１２の巻線端部１１ａ，１２ａを、絶縁板１３の上
縁を越えて、絶縁板１３の下端近傍の貫通孔１０に上か
ら下へと通し、巻線１１，１２の他の巻線端部１１ｂ，
１２ｂ（図１（ａ）には１２ｂを図示しない）を、絶縁
板１４の上縁を経て絶縁板１４の下端近傍の貫通孔１０
に通し方形台座１６の下に引き出して端子とし雑音防止
用のトロイダルコイルが出来上がる。絶縁板１４に設け
た突出片１５は、巻線１１，１２の巻線端部１１ｂ，１
２ｂが絶縁板１４の上縁から外れるのを防止する部材で
あるが、省いてもよく、あるいは絶縁板１４の外面中途
に設けて貫通孔１０への案内用としてもよい。 【００１０】図２（ａ）（ｂ）は、他の一実施例につい
て示し、トロイダルコイルへの巻線の巻回方法は、図１
に示す実施例と同じ方法であるが、方形台座１６の四隅
の貫通孔を切欠き溝１７とし、方形台座１６に突設した
高さの低い絶縁板１３、並びに高さの高い絶縁板１４の
上端縁に切欠き溝１８を各々２個ずつ形成した。該切欠
き溝１７，１８に、巻線端部１１ａ，１１ｂ及び１２
ａ，１２ｂを挿通する。この方法によれば巻線端部１１
ａ，１１ｂ及び１２ａ，１２ｂを容易に、安定に、配線
することが可能となる。 【００１１】 【発明の効果】本発明によれば、コモンモードのトロイ
ダルコイルの巻線を、巻回区画の中央に置いた巻線材の
中点から巻き進める分離巻きとし、台座には絶縁板を突
設して巻線端部を巻線から遠ざけて外部接続端子にした
ので、インパルス耐圧が従来の方形台座の場合の約２倍
に向上し、高周波特性が良くなり、高性能の縦置きのコ
モンモードのトロイダルコイルを提供できる。

【図面の簡単な説明】 【図１】図１（ａ）は、本発明の一実施例を示す外観斜
視図。図１（ｂ）は、同じく実施例についての分解斜視
図。 【図２】図２（ａ）は、本発明の他の実施例を示す外観
斜視図。図２（ｂ）は、同じく他の実施例についての分
解斜視図。 【図３】従来例を、巻線を省いて示す分解斜視図。 【符号の説明】 １ ケース本体 ２ 蓋体 ３ 中央仕切板 ４ 仕切台 ５，１６ 方形台座 ６ 位置決め溝 ７ 突条 ８ 突片 ９ 係止突片 １０ 貫通孔 １１，１２ 巻線 １１ａ，１１ｂ，１２ａ，１２ｂ 巻線端部 １１ｃ 巻線材の中点 １３，１４ 絶縁板 １５ 突出片 １７，１８ 切欠き溝

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 中央仕切板および仕切台を備えたコア絶
   縁ケースにトロイダルコアを収納して、分割した巻回区
   画に巻線をそれぞれ巻き回したケースを、軸方向に水平
   に、前記中央仕切板を垂直にして方形台座に載設し、前
   記巻線の端部を前記台座の四隅近傍の貫通孔にそれぞれ
   挿通し、前記台座の底面に引き出してなるトロイダルコ
   イルにおいて、前記巻線は前記巻回区画内の中点から巻
   き進める分離巻きであり、前記台座は前記ケースの載設
   部分と貫通孔との間に、上端縁に切欠き溝を有する、前
   記中央仕切板の下端及び前記仕切台の頂部とほぼ同じ高
   さの２種類の絶縁板を一体に突設したものであることを
   特徴とするトロイダルコイル。