JPH0642026U - 切粉除去機能付タッピング装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 タッピングについての一連の作業を完全自動
化することができ、しかも加工すべきワークの姿勢制御
が容易であると共に駆動機構を簡単な構成とする。 【構成】 タッピング作業の際被加工物１を通過したタ
ップ２の先端側に切粉１Ａが付着しても、タップ２の溝
形状に合せた嵌合孔３Ａを有するスクレーパ３によって
タップ２先端側の切粉１Ａが除去でき、一連のタッピン
グ作業の自動化が可能となる。また、スクレーパ３先端
面にタップ２の回転動作に同期・追従する従動手段を設
けており、タップ２に専用の回転駆動機構を必要としな
い。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、被加工物にねじ切り加工作業を自動的に、かつ、連続的に行うこ とができるタッピング装置に係り、特に加工時に発生する切粉を効率的に除去す ることができる切粉除去機能付タッピング装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

例えば円筒形状の被加工物の内周面に雌ねじを切ったり、棒状の被加工物の外 周面に雄ねじを切ったりするため、各種タイプのタッピング装置が開発されてい る。 即ちこのタッピング装置には、例えばチャックに円筒形状の被加工物を挟持し 、タップを送り出してきて被加工物に雌ねじを切ったのち、チャックから被加工 物を取外すと共に被加工物に貫通していたタップを被加工物から取外すように構 成したものが知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、このような構成のタッピング装置では、各被加工物に毎回タップの 着脱作業を行わねばならず、非常に厄介なものとなっている。 また、このようなタッピング装置では、被加工物から発生する切粉のため、先 端が被加工物を貫通するタップは、加工作業の終了後に逆戻しさせて抜き取るこ とができない。このため、被加工物の方を抜き通らせたのち駆動機構から毎回タ ップを取外し、再度同機構にそのタップを装着させるといった極めて面倒な操作 が必要になっている。

【０００４】 このような事情から、従来のタッピング装置では、自動化が極めて困難であり 、一部どうしても人手に頼らざるを得ないという問題がある。

【０００５】 そこで、この考案は、上記した従来の欠点に鑑み、タッピングについての一連 の作業を完全に自動化することができ、しかも加工すべきワークの姿勢制御が容 易であると共に駆動機構を簡単な構成とすることができる切粉除去機能付タッピ ング装置を提供することを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

即ち、この請求項１に係る考案は、チャックに挟持された被加工物に向けて進 退自在であって、回転駆動する押出し回転機構を有し、その被加工物に所定の加 工作業を行うタップと、このタップの回転動作に同期する従動手段をタップ先端 との間に設けると共に、タップが先端から入り込む嵌合孔を有するスクレーパと を備えたものである。

【０００７】 また請求項２に係る考案は、タップの先端に向けて尖状をなす角錐状若しくは 円錐状に形成されると共に、タップの刃間の溝に嵌合する断面形状を有する従動 部材をスクレーパの先端面に形成したものである。

【０００８】 また請求項３に係る考案は、スクレーパの先端面が、タップに付着する切粉を 外部へ除去し易い尖状の曲面を形成するものである。

【０００９】

【作用】

この考案では、タッピング作業の際被加工物を通過したタップの先端側に切粉 が付着しても、タップの溝形状に合せた嵌合孔を有するスクレーパによってタッ プ先端側の切粉が除去でき、これにより被加工物との間に切粉のかみ込みを防止 できるので、タップによる加工作業の完了後にタップを逆戻しして被加工物から 抜脱させることができるようになり、一連のタッピング作業の自動化が可能とな る。

【００１０】 しかも、この考案では、被加工物は回転動作を行わせる必要がないので、特に 円筒形状等に限定されるものではなく、各種様々な形状の被加工物が適用できる と共に、その姿勢や位置の制御を容易に行うことができる。

【００１１】 また、この考案では、スクレーパ先端面にタップの回転動作に同期・追従する 従動手段を設けており、タップに専用の回転駆動機構を必要としない。

【００１２】

【実施例】

以下この考案の一実施例について添付図面を参照しながら説明する。 図１はこの考案に係る切粉除去機能付タッピング装置（以下タッピング装置と よぶ）を示すものであり、このタッピング装置は、被加工物（以下ワークとよぶ ）１を挟持するチャック（図略）と、そのワーク１に所定のタッピング加工作業 を行うタップ２と、このタップ２に付着する切粉を除去するスクレーパ３と、従 動手段４とを備えている。

【００１３】 この実施例のワーク１は、タップ２が貫通し雌ねじが切られる孔を設けた円筒 状のものが使用されており、そのねじが切られる間チャックによって定位置で不 動状態に固定保持されるようになっている。

【００１４】 タップ２は、チャックに挟持されたワーク１の孔に向けて等角速度で回転しな がら等速度で前進すると共にそのワーク１を先端部分が貫通して突き抜け雌ねじ が最後まで切られた後、先端部分がワーク１から脱出して元の位置に達する迄後 退して戻るようになっており、この実施例では回転軸方向に平行なストレート形 の刃２Ｂを５枚設けた構成のものが使用されている。

【００１５】 そして、このタップ２には、機械的に精度の高い等速度前進動作を行わせること ができる押出し機構と同様に精度の高い等角速度動作を行わせることができる回 転機構と（共に図略）を備えており、これによって精度の高いねじ切り動作を行 うことができるようになっている。

【００１６】 なお、この実施例のタップ２にはストレート状の刃２Ｂを５枚形成したものが 使用されているが特にこれに限定されるものではなく、例えばスパイラル状の刃 であっても適用可能である。またその刃数も５枚に限定されるものではない。

【００１７】 スクレーパ３は、タップ２と同一断面形状を有しタップ２が先端２Ａから入り 込む嵌合孔３Ａを有しており、タップ２と同期して従動回転できるようにするた め、取付本体３０に対しベアリング３１を介して回転フリーの状態に取付けられ ている。この取付本体３０は、後に説明する従動部材４０とタップ２との係合動 作時に、万一その従動部材４０の先端部分がタップ２の刃部と衝突するような場 合であっても、後方へ従動部材４０を移動させて衝突による破損等を防止するた め、基台３１においてタップ２の進退方向と同一方向に配設した一対のガイドシ ャフト３２に沿って前後にスライド可能となっている。

【００１８】 また、この取付本体３０は、普段はエアシリンダ３３によってタップ２に向かう 方向にある程度の圧力、つまり通常タップ２との嵌合動作ではスクレーパ３が前 後に変位しない程度の圧力が付与されている。

【００１９】 なお、この実施例ではスクレーパ３の先端面を平面形状に形成したが、切粉を 効率よく剥き落すため尖状に形成してもよい。

【００２０】 従動手段４は、タップ２の先端２Ａ部分に嵌合しタップ２の回転動作と同期し てスクレーパ３を回転動作させるものである。この実施例の従動手段４はタップ ２の刃２Ｂ間の湾曲した溝２Ｃに基端部が嵌合する略円錐形状に形成されスクレ ーパ３の先端面３Ｂに固着された従動部材４０から構成されている。

【００２１】 なお、この従動手段としては、特にこれに限定されるものではなく、タップ２の 形状に合せて各種のものが可能である。また、この実施例ではスクレーパ３の先 端面３Ｂに従動部材４０を設けたが、逆にタップ２の先端にスクレーパ３の嵌合 孔と嵌合するような構成のものを設けてもよい。

【００２２】 次にこの実施例の作用について説明する。 チャックにワーク１が固定保持されたのち、図１に示すようにタップ２に付設 した回転機構及び押出し機構が作動し、一定方向に回転するタップ２がワーク１ の孔に向けて前進するように送り出される。これによって、図２に示すように、 ワーク１の孔の内周面に雌ねじが切られていくが、タップ２の前進に伴いやがて タップ２の先端２Ａから何れかの溝２Ｃと従動部材４０とが嵌合する。

【００２３】 その結果、図３に示すようにタップ２からの回転力を伝達したスクレーパ３が タップ２と同期してスムースに回転を始め、タップ２によって発生するワーク１ の切粉１Ａが順次スクレーパ３の先端面３Ｂによって削り落とされていく。

【００２４】

【考案の効果】

以上説明してきたように、この考案に係る切粉除去機能付タッピング装置によ れば、タッピング作業の際被加工物を通過したタップの先端側に切粉が付着して も、タップの溝形状に合せた嵌合孔を有するスクレーパによってタップ先端側の 切粉が除去でき、これにより被加工物との間に切粉のかみ込みを防止できるので 、タップによる加工作業の完了後にタップを逆戻しして被加工物から抜脱させる ことができるようになり、一連のタッピング作業の自動化が可能となる。

【００２５】 しかも、この考案によれば、被加工物は固定させておき回転させなくてすむの で、特に円筒形状に限らず各種様々な被加工物が適用できると共に、その位置調 整が容易に行える効果がある。

【００２６】 また、この考案では、スクレーパ先端面にタップの回転動作に同期・追従する 従動手段を設けており、タップに専用の回転駆動機構を必要とせず、しかも複雑 で高価な同期手段も必要なく、その分製造コストの削減と小型化が図れる効果が ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係るタッピング装置を示す斜視図。

【図２】同装置の作用を説明する要部斜視図。

【図３】同装置の作用を説明する要部斜視図。

【符号の説明】

１ ワーク（被加工物） ２ タップ ３ スクレーパ ４ 従動手段 ４０ 従動部材

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 チャックに挟持された被加工物に向けて
   進退自在であって、回転駆動する押出し回転機構を有
   し、その被加工物に所定の加工作業を行うタップと、 このタップの回転動作に同期する従動手段をタップ先端
   との間に設けると共に、タップが先端から入り込む嵌合
   孔を有するスクレーパとを備えたことを特徴とする切粉
   除去機能付タッピング装置。
2. 【請求項２】 タップの先端に向けて尖状をなす角錐状
   若しくは円錐状に形成されると共に、タップの刃間の溝
   に嵌合する断面形状を有する従動部材をスクレーパの先
   端面に形成したことを特徴とする請求項１に記載の切粉
   除去機能付タッピング装置。
3. 【請求項３】 スクレーパの先端面が、タップに付着す
   る切粉を外部へ除去し易い尖状の曲面を形成することを
   特徴とする請求項１又は２に記載の切粉除去機能付タッ
   ピング装置。