JPH0641669A - 耐応力腐食割れ性に優れた高力アルミニウム合金 - Google Patents
耐応力腐食割れ性に優れた高力アルミニウム合金Info
- Publication number
- JPH0641669A JPH0641669A JP9723592A JP9723592A JPH0641669A JP H0641669 A JPH0641669 A JP H0641669A JP 9723592 A JP9723592 A JP 9723592A JP 9723592 A JP9723592 A JP 9723592A JP H0641669 A JPH0641669 A JP H0641669A
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- Japan
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- alloy
- treatment
- stress corrosion
- corrosion cracking
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 強度と耐応力腐食割れ性の両者に優れた高力
アルミニウム合金を提供する。 【構成】 Cu: 1.2〜 2.0wt%,Mg: 2.1〜 2.9wt
%,Zn: 5.1〜 6.1wt%, Zr:0.08〜0.15wt%を
含有し、残部がAlと不可避的不純物とからなることを
特徴とする耐応力腐食割れ性に優れた高力アルミニウム
合金。
アルミニウム合金を提供する。 【構成】 Cu: 1.2〜 2.0wt%,Mg: 2.1〜 2.9wt
%,Zn: 5.1〜 6.1wt%, Zr:0.08〜0.15wt%を
含有し、残部がAlと不可避的不純物とからなることを
特徴とする耐応力腐食割れ性に優れた高力アルミニウム
合金。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高力アルミニウム合金に
関するものであり、更に詳しくは強度と耐応力腐食割れ
性(耐SCC性)の両者に優れた高力アルミニウム合金
に関するものである。
関するものであり、更に詳しくは強度と耐応力腐食割れ
性(耐SCC性)の両者に優れた高力アルミニウム合金
に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】航空機材用等に使用されるJI
SA2024合金(Al− 4.3wt%Cu− 0.6wt%Mn− 1.5
wt%Mg合金),JISA7075合金(Al− 1.5wt%Cu−
2.3wt%Mg−0.24wt%Cr− 6.0wt%Zn合金)等の
時効硬化型の高力アルミニウム合金は時効処理によって
高い強度を得ることができるが、時効処理後の高強度の
状態では応力腐食割れ(SCC)を起こしやすくなる。
そこで耐SCC性の改善を目的に実用的には、溶体化処
理後過時効処理(T73処理)を施して使われているこ
とが多いが、この場合には10〜15%の強度低下が避けら
れないものとなる。このため高い強度と優れた耐SCC
性を併せ持つ合金の開発はすでに様々な角度から数多く
行なわれている。そしてその一つに熱処理の工夫によっ
てこれを実現しようとするものがあり、このなかに復元
再時効処理(RRA)の熱処理法がある。この処理は一
旦溶体化処理後人工時効処理(T6処理)したものをよ
り高温で短時間の復元処理を施し、その後再度低温で再
時効する熱処理法である。しかしながらこれによって
も、T6処理材の強度とT73処理の耐SCC性とを両
立させ得ることは難しく高力アルミニウム合金を実用材
料として用いる際、耐SCC性を向上させるため、強度
を若干犠牲にするのが現状である。
SA2024合金(Al− 4.3wt%Cu− 0.6wt%Mn− 1.5
wt%Mg合金),JISA7075合金(Al− 1.5wt%Cu−
2.3wt%Mg−0.24wt%Cr− 6.0wt%Zn合金)等の
時効硬化型の高力アルミニウム合金は時効処理によって
高い強度を得ることができるが、時効処理後の高強度の
状態では応力腐食割れ(SCC)を起こしやすくなる。
そこで耐SCC性の改善を目的に実用的には、溶体化処
理後過時効処理(T73処理)を施して使われているこ
とが多いが、この場合には10〜15%の強度低下が避けら
れないものとなる。このため高い強度と優れた耐SCC
性を併せ持つ合金の開発はすでに様々な角度から数多く
行なわれている。そしてその一つに熱処理の工夫によっ
てこれを実現しようとするものがあり、このなかに復元
再時効処理(RRA)の熱処理法がある。この処理は一
旦溶体化処理後人工時効処理(T6処理)したものをよ
り高温で短時間の復元処理を施し、その後再度低温で再
時効する熱処理法である。しかしながらこれによって
も、T6処理材の強度とT73処理の耐SCC性とを両
立させ得ることは難しく高力アルミニウム合金を実用材
料として用いる際、耐SCC性を向上させるため、強度
を若干犠牲にするのが現状である。
【0003】
【課題を解決するための手段】高力アルミニウム合金で
は、再結晶を抑制するため、Mn,Cr,Zrなどの遷
移元素が添加され、合金の延性,靭性が改善される。こ
れらの遷移元素は合金の鋳塊の均質化処理時に分散相と
して析出し、その後の溶体化処理の温度でも溶けないた
め、ふつう“不溶性化合物”と呼ばれている。
は、再結晶を抑制するため、Mn,Cr,Zrなどの遷
移元素が添加され、合金の延性,靭性が改善される。こ
れらの遷移元素は合金の鋳塊の均質化処理時に分散相と
して析出し、その後の溶体化処理の温度でも溶けないた
め、ふつう“不溶性化合物”と呼ばれている。
【0004】このMnやCrを添加したアルミニウム合
金では、合金のT73処理などの過時効処理やRRAの
回復再時効処理の時に、Mn系不溶性化合物やCr系不
溶性化合物上に粗大な析出相が優先的に不均一析出する
ため、最終的に合金の高い強度が得られない。これに対
して、Zr添加合金では鋳塊の均質化処理時に生じるA
lとZrからなる不溶性化合物が母相と整合であり、過
時効処理や回復再時効処理においても母相と非整合であ
る粗大な析出相の不均一析出の核生成サイトとして作用
せずに合金の高い強度が得られることが明らかになっ
た。
金では、合金のT73処理などの過時効処理やRRAの
回復再時効処理の時に、Mn系不溶性化合物やCr系不
溶性化合物上に粗大な析出相が優先的に不均一析出する
ため、最終的に合金の高い強度が得られない。これに対
して、Zr添加合金では鋳塊の均質化処理時に生じるA
lとZrからなる不溶性化合物が母相と整合であり、過
時効処理や回復再時効処理においても母相と非整合であ
る粗大な析出相の不均一析出の核生成サイトとして作用
せずに合金の高い強度が得られることが明らかになっ
た。
【0005】以上の知見に基づいて、高力アルミニウム
合金に相当する主溶質の組成を有する合金にZrを添加
することにより、合金の強度を保ちながら耐SCC性も
向上させる目的で、ここに本発明をなしたものである。
合金に相当する主溶質の組成を有する合金にZrを添加
することにより、合金の強度を保ちながら耐SCC性も
向上させる目的で、ここに本発明をなしたものである。
【0006】すなわち、本発明合金は、Cu: 1.2〜
2.0wt%(以下%と略記),Mg:2.1〜 2.9%,Zn:
5.1〜 6.1%,Zr:0.08〜0.15%を含有し、残部がA
lと不可避的不純物とからなることを特徴とするもので
あり、さらにAlとZrからなる不溶性化合物が母相と
整合なものである。
2.0wt%(以下%と略記),Mg:2.1〜 2.9%,Zn:
5.1〜 6.1%,Zr:0.08〜0.15%を含有し、残部がA
lと不可避的不純物とからなることを特徴とするもので
あり、さらにAlとZrからなる不溶性化合物が母相と
整合なものである。
【0007】
【作用】以下に強度、耐SCC性ともに優れた本発明高
力アルミニウム合金の合金組成の限定理由について説明
する。
力アルミニウム合金の合金組成の限定理由について説明
する。
【0008】Cuは強度を向上させるのに必要不可欠の
元素である。そしてその含有量が1.2%未満では強度向
上の効果は少なく、一方、 2.0%を超えて含有させる
と、耐食性が低下することになる。従って、Cu含有量
は 1.2〜 2.0%とする。
元素である。そしてその含有量が1.2%未満では強度向
上の効果は少なく、一方、 2.0%を超えて含有させる
と、耐食性が低下することになる。従って、Cu含有量
は 1.2〜 2.0%とする。
【0009】MgはCuと同様に強度を向上させるのに
必要不可欠の元素である。そしてその含有量が 2.1%未
満では強度の向上の効果は少なく、一方、 2.9%を超え
て含有させると逆に強度が低下する。従って、Mg含有
量は 2.1〜 2.9%とする。
必要不可欠の元素である。そしてその含有量が 2.1%未
満では強度の向上の効果は少なく、一方、 2.9%を超え
て含有させると逆に強度が低下する。従って、Mg含有
量は 2.1〜 2.9%とする。
【0010】ZnはCu,Mgと同時に強度を一層向上
させるのに必要不可欠の元素である。そしてその含有量
が 5.1%未満では強度向上の効果は少なく、一方、 6.1
%を超えて含有させると耐SCC性が低下することにな
る。従って、Zn含有量は5.1〜 6.1%とする。
させるのに必要不可欠の元素である。そしてその含有量
が 5.1%未満では強度向上の効果は少なく、一方、 6.1
%を超えて含有させると耐SCC性が低下することにな
る。従って、Zn含有量は5.1〜 6.1%とする。
【0011】Zrは合金組織を繊維状とし、再結晶を抑
制して延性,靭性,耐SCC性を向上させ、且つ、焼き
入れ感受性を高くしない遷移元素である。この焼入感受
性が高いと溶体化処理後の冷却速度により強度が充分出
ないので、Zrの添加はこの点でも好都合である。そし
てその含有量が0.08%未満では再結晶の抑制効果は小さ
く、一方、0.15%を超えて含有させると巨大晶出相が発
生して強度が低下する。従って、Zr含有量は0.08〜0.
15%とする。
制して延性,靭性,耐SCC性を向上させ、且つ、焼き
入れ感受性を高くしない遷移元素である。この焼入感受
性が高いと溶体化処理後の冷却速度により強度が充分出
ないので、Zrの添加はこの点でも好都合である。そし
てその含有量が0.08%未満では再結晶の抑制効果は小さ
く、一方、0.15%を超えて含有させると巨大晶出相が発
生して強度が低下する。従って、Zr含有量は0.08〜0.
15%とする。
【0012】上記の合金組成を有する高力アルミニウム
合金は、従来と同様に、鋳造,押出加工,圧延加工,熱
処理などを含む工程により製造され、製品加工に供され
る。
合金は、従来と同様に、鋳造,押出加工,圧延加工,熱
処理などを含む工程により製造され、製品加工に供され
る。
【0013】
【実施例】表1に示す合金組成を有するアルミニウム合
金を通常の方法により溶解鋳造した後、所定の均質化処
理を行い、 400℃での熱間圧延後、冷間圧延にて1mm厚
の板材とした。溶体化処理は 470℃×1hrとし、その
後、T73およびRAA処理を行なった。これらの熱処
理した合金を用い、ビッカース硬さ測定とSCC試験を
行なった。SCC試験は30℃の 3.5%NaCl水溶液中
での静置浸漬試験により、 0.2%耐力の95%の単軸引張
負荷、1mA/cm2 の促進アノード電流負荷により行なっ
た。その結果を表1に示す。なお、比較のため、従来合
金7075合金についても併記した。
金を通常の方法により溶解鋳造した後、所定の均質化処
理を行い、 400℃での熱間圧延後、冷間圧延にて1mm厚
の板材とした。溶体化処理は 470℃×1hrとし、その
後、T73およびRAA処理を行なった。これらの熱処
理した合金を用い、ビッカース硬さ測定とSCC試験を
行なった。SCC試験は30℃の 3.5%NaCl水溶液中
での静置浸漬試験により、 0.2%耐力の95%の単軸引張
負荷、1mA/cm2 の促進アノード電流負荷により行なっ
た。その結果を表1に示す。なお、比較のため、従来合
金7075合金についても併記した。
【0014】
【表1】
【0015】表1より明らかなように、本発明合金No.
1,2は、T73処理,RRA処理のいずれの場合もS
CC寿命が従来の7075合金とほぼ同程度で、且つより高
い強度を有することがわかる。これに対しZr含有量が
本発明の範囲より少い比較合金No.3はRRA処理の場
合強度は49kgf/mm2 でSCC寿命は129 時間であり、ま
たZr含有量が多い比較合金No.4は強度47kgf/mm2 で
SCC寿命は145 時間であり、いずれかの特性が従来合
金より劣っていることが判る。。
1,2は、T73処理,RRA処理のいずれの場合もS
CC寿命が従来の7075合金とほぼ同程度で、且つより高
い強度を有することがわかる。これに対しZr含有量が
本発明の範囲より少い比較合金No.3はRRA処理の場
合強度は49kgf/mm2 でSCC寿命は129 時間であり、ま
たZr含有量が多い比較合金No.4は強度47kgf/mm2 で
SCC寿命は145 時間であり、いずれかの特性が従来合
金より劣っていることが判る。。
【0016】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の高力アルミ
ニウム合金は、従来の高力アルミニウム合金と比較して
強度が優れ、耐SCC性はほぼ同等である。従って、航
空機などの部品の材料として最適のものであり、工業上
顕著な効果を奏するものである。
ニウム合金は、従来の高力アルミニウム合金と比較して
強度が優れ、耐SCC性はほぼ同等である。従って、航
空機などの部品の材料として最適のものであり、工業上
顕著な効果を奏するものである。
Claims (2)
- 【請求項1】 Cu: 1.2〜 2.0wt%,Mg: 2.1〜
2.9wt%,Zn: 5.1〜 6.1wt%,Zr:0.08〜0.15wt
%を含有し、残部がAlと不可避的不純物とからなるこ
とを特徴とする耐応力腐食割れ性に優れた高力アルミニ
ウム合金。 - 【請求項2】 AlとZrからなる不溶性化合物が母相
と整合であることを特徴とする請求項1に記載の耐応力
腐食割れ性に優れた高力アルミニウム合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9723592A JPH0641669A (ja) | 1992-03-24 | 1992-03-24 | 耐応力腐食割れ性に優れた高力アルミニウム合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9723592A JPH0641669A (ja) | 1992-03-24 | 1992-03-24 | 耐応力腐食割れ性に優れた高力アルミニウム合金 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0641669A true JPH0641669A (ja) | 1994-02-15 |
Family
ID=14186961
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9723592A Pending JPH0641669A (ja) | 1992-03-24 | 1992-03-24 | 耐応力腐食割れ性に優れた高力アルミニウム合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0641669A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008076297A (ja) * | 2006-09-22 | 2008-04-03 | Kobe Steel Ltd | アルミニウム合金材の耐応力腐食割れ性の評価方法および耐応力腐食割れ性に優れたアルミニウム合金材 |
CN103614597A (zh) * | 2013-11-22 | 2014-03-05 | 中南大学 | 一种耐剥落腐蚀高强铝锌镁铜合金及热处理工艺 |
EP2714954A4 (en) * | 2011-05-21 | 2015-08-19 | Questek Innovations Llc | ALUMINUM ALLOYS |
CN109338185A (zh) * | 2018-12-05 | 2019-02-15 | 辽宁忠旺集团有限公司 | 一种高强7系铝合金型材的制备方法 |
CN109972064A (zh) * | 2019-03-29 | 2019-07-05 | 江苏豪然喷射成形合金有限公司 | 一种喷射成形7055铝合金的热处理方法 |
-
1992
- 1992-03-24 JP JP9723592A patent/JPH0641669A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008076297A (ja) * | 2006-09-22 | 2008-04-03 | Kobe Steel Ltd | アルミニウム合金材の耐応力腐食割れ性の評価方法および耐応力腐食割れ性に優れたアルミニウム合金材 |
JP4690279B2 (ja) * | 2006-09-22 | 2011-06-01 | 株式会社神戸製鋼所 | アルミニウム合金材の耐応力腐食割れ性の評価方法 |
EP2714954A4 (en) * | 2011-05-21 | 2015-08-19 | Questek Innovations Llc | ALUMINUM ALLOYS |
CN103614597A (zh) * | 2013-11-22 | 2014-03-05 | 中南大学 | 一种耐剥落腐蚀高强铝锌镁铜合金及热处理工艺 |
CN109338185A (zh) * | 2018-12-05 | 2019-02-15 | 辽宁忠旺集团有限公司 | 一种高强7系铝合金型材的制备方法 |
CN109972064A (zh) * | 2019-03-29 | 2019-07-05 | 江苏豪然喷射成形合金有限公司 | 一种喷射成形7055铝合金的热处理方法 |
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