JPH0641471B2 - チエノトリアゾロジアゼピン化合物およびその医薬用途 - Google Patents

チエノトリアゾロジアゼピン化合物およびその医薬用途

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JPH0641471B2
JPH0641471B2 JP1123089A JP12308989A JPH0641471B2 JP H0641471 B2 JPH0641471 B2 JP H0641471B2 JP 1123089 A JP1123089 A JP 1123089A JP 12308989 A JP12308989 A JP 12308989A JP H0641471 B2 JPH0641471 B2 JP H0641471B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は新規かつ医薬として有用なチエノトリアゾロジ
アゼピン化合物、その薬理学的に許容される酸付加塩お
よびその血小板活性化因子拮抗剤としての医薬用途に関
する。
〔従来の技術〕
米国特許第3,904,641号明細書に記載されているよう
に、6−(o−クロロフェニル)−8−エチル−1−メ
チル−4H−s−トリアゾロ〔3,4−c〕チエノ
〔2,3−e〕(1,4〕ジアゼピン〔以下、エチゾラ
ム〔国際一般的名称(INN)〕と称する〕で代表され
るある種のs−トリアゾロ〔3,4−c〕チエノ〔2,
3−e〕(1,4〕ジアゼピン化合物が抗不安活性、抗
痙攣活性などの中枢神経系に対する有用な薬理活性を示
すことが知られている。
ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(J
apanese Journal of Pharmacology)、第44巻、381
〜391ページ(1987年)にはエチゾラムが血小板
活性化因子(platelet-activating factor;以下PAF
と称する)に対して拮抗活性を示すことが、さらにEP
−A194416号明細書にはs−トリアゾロ〔3,4−c〕
チエノ〔2,3−e〕〔1,4〕ジアゼピン−カルボン
酸アミド化合物がPAF拮抗活性を示すことがそれぞれ
記載されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
1972年、Benvenisteらはウサギの好塩基球から血小
板を強力に凝集させる因子を見出し、血小板活性化因子
(PAF)と命名した。1980年に至りHanahanらに
より、この因子2位にアセチル基を有するアルキルエー
テル型のホスホグリセリド、すなわち1−O−ヘキサデ
シルあるいはオクタデシル−2−アセチル−sn−グリ
セリル−3−ホスホリルコリンであることが同定され
た。
爾来、PAFの生理的役割の解明が進み、生体内での血
小板の凝集、血圧の低下、即時型アレルギー反応、平滑
筋の収縮、炎症、傷み、浮腫、ならびに呼吸器系、心臓
血管系および静脈系の変調を含めた種々の生理的反応の
要因となっていることが知られてきた。
従って、PAT拮抗作用を有する化合物は炎症性疾患、
アレルギー疾患、アナフィラキシーショック、敗血症性
ショック、DICなどの血管系疾患、心筋系の病気、喘
息、肺浮腫あるいは成人性呼吸器系疾患などの、PAF
によって惹起される多くの疾患に極めて有用であると考
えられる。
上述したように、最近ある種のs−トリアゾロ(3,4
−c〕チエノ〔2,3−e〕(1,4〕ジアゼピン化合
物がPAF拮抗作用を有することが示されてきた。しか
しながら、そのような化合物は中枢神経系に対する作用
との分離、活性強度、経口投与での有効性、作用の持続
性あるいは毒性などの面で必ずしも十分とはいいがた
い。従って、経口投与で有効で、作用持続が長く、中枢
神経系に対する抑制的作用が少なく、低毒性で、しかも
強力なPAF拮抗作用を示すチエノトリアゾロジアゼピ
ン化合物を提供することが望まれる。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、水酸基またはカルボニル基を有するアラルキ
ル側鎖が2位に置換したPAF拮抗作用を有する新規チ
エノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3
−a〕〔1,4〕ジアゼピン化合物を提供することにあ
り、該化合物は経口投与で有効で、作用持続が長く、さ
らに毒性が低く、しかも鎮静作用、筋弛緩作用などの中
枢抑制的作用が少ないことを特徴としている。
すなわち、本発明は一般式 (式中、Arは、ピリジル、フェニル、またはハロゲ
ン、水酸基、炭素数1〜8個の直鎖または分枝鎖状アル
キルおよび炭素数1〜8個の直鎖または分枝鎖状アルコ
キシから任意に選ばれる1〜3個の置換基を有するフェ
ニルを、R、R、Rは同一または異なって水素、
炭素数1〜8個の直鎖または分枝鎖状アルキルまたはト
リフルオロメチルを、Rは水酸基、炭素数1〜8個の
直鎖または分枝鎖状アルキル、少なくとも1個の水酸基
によって置換されている炭素数1〜8個の直鎖または分
枝鎖状アルキル、フェニル、アラルキル、または芳香環
上にハロゲン、水酸基、炭素数1〜8個の直鎖または分
枝鎖状アルキルおよび炭素数1〜8個の直鎖または分枝
鎖状アルコキシから任意に選ばれる1〜3個の置換基を
有する置換フェニルまたは置換アラルキルを、Aは炭素
数1〜8個の直鎖アルキレン、炭素数1〜8個の直鎖ま
たは分枝鎖状アルキルで置換されたアルキレン、または
1〜3個の水酸基で置換された直鎖または分枝鎖状のア
ルキレンを、Zはメチレン、カルボニル基またはヒドロ
キシメチレンを示す。ただし、Rが炭素数1〜8個の
直鎖または分枝鎖状アルキル、フェニル、アラルキル、
置換フェニルまたは置換アラルキルのとき、Zはカルボ
ニル基またはヒドロキシメチレンであるか、またはAは
1〜3個の水酸基で置換された直鎖または分枝鎖状のア
ルキレンである。また、Rが水酸基のとき、Zはメチ
レンである。)により表わされるチエノトリアゾロジア
ゼピン化合物、その薬理学的に許容される酸付加塩およ
びそのPAF拮抗剤としての医薬用途に関する。
上記各記号の定義中、ピリジルとは2−ピリジル、3−
ピリジル、4−ピリジルを、ハロゲンとは塩素、臭素、
フッ素、ヨウ素を、炭素数1〜8個の直鎖または分枝鎖
状アルキルとはメチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、イソブチル、第3級ブチル、ペンチル、イ
ソペンチル、1−エチルプロピル、1−メチルブチル、
ヘキシル、1−メチルペンチル、ヘプチル、4−メチル
ヘキシル、1−エチルペンチル、1,4−ジメチルペン
チル、オクチル、6−メチルヘプチル、2−エチルヘキ
シルなどを、炭素数1〜8個の直鎖または分枝鎖状アル
コキシとはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロ
ポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、第3級ブトキシ、ペ
ンチルオキシ、イソペンチルオキシ、1−エチルプロピ
ルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、1−プロ
ピルブトキシ、オクチルオキシ、5−メチルヘキシルオ
キシ、2−エチルヘキシルオキシ、1,6−ジメチルヘ
キシルオキシなどを、少なくとも1個の水酸基によって
置換されている炭素数1〜8個の直鎖または分枝鎖状ア
ルキルとはヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、
2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシプロピル、2−
ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、1,3
−ジヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピ
ル、1−(ヒドロキシメチル)エチル、1−ヒドロキシ
−1−メチルエチル、1−ヒドロキシ−1−(ヒドロキ
シメチル)エチル、1−ヒドロキシブチル、2−ヒドロ
キシブチル−3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブ
チル、1,4−ジヒドロキシブチル、2−(ヒドロキシ
メチル)プロピル、1−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシ
メチル)プロピル、1,2−ジヒドロキシ−1−メチル
プロピル、5−ヒドロキシペンチル、6−ヒドロキシヘ
キシル、7−ヒドロキシヘプチル、8−ヒドロキシオク
チル、1,3−ジヒドロキシペンチル、1,4−ジヒド
ロキシヘキシル、2,3−ジヒドロキシヘプチル、1,
4−ジヒドロキシオクチルなどを、アラルキルとはベン
ジル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4
−フェニルブチルなどを、炭素数1〜8個の直鎖アルキ
レンとはメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメ
チレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチ
レン、オクタメチレンを、炭素数1〜8個の直鎖または
分枝鎖状アルキルで置換されたアルキレンとはメチルメ
チレン、プロピレン、メチルトリメチレン、ジメチルエ
チレン、ジメチルテトラメチレン、エチルエチレン、ジ
メチルトリメチレン、ジメチルテトラメチレン、ジメチ
ルペンタメチレン、1−メチルヘキサメチレン、1−メ
チルオクタメチレンなどを、1〜3個の水酸基で置換さ
れた直鎖または分枝鎖状アルキレンとはヒドロキシメチ
レン、ヒドロキシエチレン、ヒドロキトリメチレン、ヒ
ドロキシテトラメチレン、ジヒドロキシテトラメチレ
ン、トリヒドロキシテトラメチレンなどを示す。
一般式(I)の化合物の医薬上許容しうる酸付加塩とし
ては塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸、硝酸などの無機
酸との塩、またはマレイン酸、フマール酸、リンゴ酸、
酒石酸、コハク酸、クエン酸、酢酸、乳酸、メタンスル
ホン酸、パラトルエンスルホン酸、パモ酸などの有機酸
との塩があげられる。
本発明化合物が1個またはそれ以上の不斉炭素原子を有
する場合にはラセミ体、ジアステレオ異性体および個々
の光学異性体が存在し得るが、本発明はそれらすべてを
包含する。
本発明の好ましい化合物としては、4−(2−クロロフ
ェニル)−2−〔2−(4−ヒドロキシメチルフェニ
ル)エチル〕−6,9−ジメチル−6H−チエノ〔3,
2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕
〔1,4〕ジアゼピン、 4−(2−クロロフェニル)−2−〔2−(4−(1−
ヒドロキシ−2−メチルプロピル)フェニル)エチル〕
−6,9−ジメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕
〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジ
アゼピン、 4−(2−クロロフェニル)−2−〔2−(4−(2−
ヒドロキシ−2−メチルプロピル)フェニル)エチル〕
−6,9−ジメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕
〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジ
アゼピン、 4−(2−クロロフェニル)−2−〔2−(4−(3−
ヒドロキシ−2−メチルプロピル)フェニル)エチル〕
−6,9−ジメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕
〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジ
アゼピン、 4−(2−クロロフェニル)−2−〔2−(4−(2−
ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)フェニル)エチ
ル〕−6,9−ジメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕
〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジ
アゼピン、 4−(2−クロロフェニル)−2−〔2−(4−(1,
2−ジヒドロキシ−2−メチルプロピル)フェニル)エ
チル〕−6,9−ジメチル−6H−チエノ〔3,2−
f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,
4〕ジアゼピン、 4−(2−クロロフェニル)−2−〔2−ヒドロキシ−
2−(4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)フ
ェニル)エチル〕−6,9−ジメチル−6H−チエノ
〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−
a〕〔1,4〕ジアゼピン、 4−(2−クロロフェニル)−2−〔2−ヒドロキシ−
2−(4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニ
ル)フェニル)エチル〕−6,9−ジメチル−6H−チ
エノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3
−a〕〔1,4〕ジアゼピン、 4−(2−クロロフェニル)−2−〔2−(4−(2,
3−ジヒドロキシ−2−メチルプロピル)フェニル)エ
チル〕−6,9−ジメチル−6H−チエノ〔3,2−
f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,
4〕ジアゼピン、 4−(2−クロロフェニル)−2−〔2−ヒドロキシ−
2−(4−(1,2−ジヒドロキシ−2−メチルプロピ
ル)フェニル)エチル〕−6,9−ジメチル−6H−チ
エノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3
−a〕〔1,4〕ジアゼピンおよび 4−(2−クロロフェニル)−2−〔2−(4−(2−
メチルプロピオニル)フェニル)エチル〕−6,9−ジ
メチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕ト
リアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピンなどの化
合物、およびその薬理学的に許容される酸付加塩があげ
られる。
一般式(I)で表わされる本発明化合物の製造方法を以
下に示す。
方法A 一般式(I)で表わされる化合物中、Aが炭素数1〜8
個の直鎖アルキレンまたは炭素数1〜8個の直鎖または
分枝鎖状アルキルで置換されたアルキレン、また−Z−
がヒドロキシメチルである化合物、すなわち一般式 (式中、Aは炭素数1〜8個の直鎖アルキレンまたは
炭素数1〜8個の直鎖または分枝鎖状アルキルで置換さ
れたアルキレンを示し、他の各記号は前記と同義であ
る。) により表わされる化合物は次の方法で製造することがで
きる。
一般式 ArCOCHCN (1) (式中、Arは前記と同義である。) により表わされる化合物および一般式 (式中、各記号は前記と同義である。) により表わされる化合物を硫黄の存在下に、メタノー
ル、エタノールなどのアルコール類、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、ベンゼン、キ
シレンなどの溶媒中、トリエチルアミン、ピロリジン、
ピペリジン、モルホリンなどの塩基を触媒として用い
て、室温から100℃で反応させて、一般式 (式中、各記号は前記と同義である。) により表わされるアミノケトンを製造する。さらに、 a)一般式(3)の化合物と一般式 (式中、Z,Zは同一または異なって塩素、臭素な
どのハロゲンを示し、Rは前記と同義である。) により表わされる化合物を反応させて、N−ハロアセチ
ル体とし、必要によりさらにヨウ化カリウム、ヨウ化ナ
トリウムなどを作用させて、N−ヨウドアセチル体と
し、その後、アンモニアを作用させてN−グリシル体と
する。
反応はアセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど
の溶媒中、冷却下、室温または加温下に進行する。また
は b)上記一般式(3)のアミノケトンを、一般式 (式中、Wはベンジルオキシカルボニル、第3級ブト
キシカルボニル、ホルミルなどのアミンの保護基を示
し、Rは前記と同義である。) により表わされる化合物と塩化チオニルとを低温下、塩
化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの溶媒
中に反応させて得られるカルボン酸クロライドと反応さ
せ、さらに、得られたアセチル体の保護基を臭化水素酸
もしくは塩酸などによって除去してN−グリシル体とす
る。もしくは c)上記一般式(3)のアミノケトンに一般式 (式中、Wはフタルイミド、2,3−ジフェニルマレ
イミド、ジチアスクシニミドなどの保護基で保護された
アミンを、Zは塩素、臭素などのハロゲンを示し、R
は前記と同義である。) により表わされる化合物を反応させて、アセチル体と
し、さらに常法に従って保護基を除去することによって
N−グリシル体を得ることができる。
このようにして得られたN−グリシル体を反応に不活性
な溶媒(エタノール、プロパノール、イソプロピルアル
コール、ブタノール、ベンゼン、トルエン、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)中、好ましく
は酢酸、プロピオン酸、シリカゲルなどの弱酸触媒の存
在下に、室温または加熱下に脱水閉環反応に付すことに
より、一般式 (式中、各記号は前記と同義である。) により表わされる化合物を得る。
さらに、一般式(7)の化合物にチオン化試薬を反応さ
せ、一般式 (式中、各記号は前記と同義である。) により表わされる化合物を得、ついでこの一般式(8)の
化合物と一般式 RCONHNH (9) (式中、Rは前記と同義である。) により表わされる化合物とを反応させることによって一
般式(I−a)の化合物を得るか、または一般式(8)の
化合物にヒドラジン水和物を反応させて得られる一般式 (式中、各記号は前記と同義である。) により表わされる化合物に一般式 RCOOH (11) (式中、Rは前記と同義である。) により表わされる化合物もしくはその反応性誘導体、ま
たは一般式 RC(OR′) (12) 〔式中、R′は炭素数1〜8個のアルキル(メチル、エ
チルなど)を示し、Rは前記と同義である。〕 により表わされる化合物を反応させることにより一般式
(I−a)の化合物が得られる。
上記方法中、チオン化試薬としては五硫化リン、Lawess
on試薬〔2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,
3,2,4−ジチアジホスフェタン−2,4−ジスルフ
ィッド〕などが挙げられ、一般式(11)の化合物の反応性
誘導体としては、カルボン酸ハライド(カルボン酸クロ
リド、カルボン酸ブロミドなど)、カルボン酸無水物、
混合酸無水物(低級アルキル炭酸混合酸無水物、アルキ
ルリン酸混合酸無水物など)、低級アルキルエステル
(メチルエステル、エチルエステルなど)、活性エステ
ル(ベンジルエステル、p−ニトロベンジルエステル、
p−ニトロフェニルエステル、p−クロロフェニルエス
テルなど)が挙げられる。
一般式(7)の化合物とチオン化試薬との反応は、通常反
応に不活性な溶媒(ピリジン、ジメチルアニリン、ベン
ゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、クロ
ロホルム、ジオキサンなど、またはその混合溶媒)中、
30〜100℃で進行する。
一般式(8)の化合物と一般式(9)の化合物との反応は通常
反応に不活性な溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレン、
テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、イソプロピルアルコールなど)
中、有機酸(酢酸、プロピオン酸など)、無機酸(塩
酸、硫酸など)またはシリカゲルの存在下に室温から用
いた溶媒の還流温度で進行する。
一般式(8)の化合物とヒドラジンまたはその水和物との
反応は通常反応に不活性な溶媒(メタノール、エタノー
ル、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノー
ル、テトラヒドロフランなど)中、0〜40℃で進行す
る。
一般式(10)の化合物と一般式(11)の化合物もしくはその
反応性誘導体または一般式(12)の化合物との反応は、反
応に不活性な溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレン、テ
トラヒドロフラン、ジオキサンなど)中、好ましくは有
機酸(酢酸、プロピオン酸など)、無機酸(塩酸、硫
酸、リン酸など)またはシリカゲルの存在下に室温から
用いた溶媒の還流温度で進行する。
方法B 1.方法Aによって得られる一般式(I−a)の化合物
に緩和な酸化剤(二酸化マンガン、ピリジン・クロメー
トなど)を反応させることによって得られる一般式 (式中、各記号は前記と同義である。) により表わされる化合物に一般式 R′MgX (14) (式中、R′は炭素数1〜8個の直鎖または分枝鎖状
アルキル、フェニル、アラルキル、置換フェニルまたは
置換アラルキルを、Xは塩素、臭素またはヨウ素を示
す。) で表わされるグリニャール(Grignard)試薬または一般式 R′Li (15) (式中、R′は前記と同義である。) により表わされる有機リチウム化合物を反応させると、
一般式 (式中、各記号は前記と同義である。) により表わされる化合物が得られる。
一般式(I−a)の化合物と酸化剤との反応は適当な溶
媒(アセトン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テト
ラヒドロフラン、ジオキサンなど)中、0〜100℃、
30分から5時間で進行する。また一般式(13)の化合物
から一般式(I-b-1)の化合物への反応は適当な溶媒(テ
トラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテルな
ど)中、0〜50℃、30分から2時間で進行する。
2.前記一般式(13)の化合物と一般式 (式中、R、Rは同一または異なって水素、炭素数
1〜8個の直鎖または分枝鎖状アルキル、フェニル、ア
ラルキル、置換フェニルまたは置換アラルキルを、R
は炭素数1〜8個の直鎖または分枝鎖状アルキル、炭素
数1〜8個の直鎖または分枝鎖状アルコシキまたはフェ
ニルを示す。) により表わされるウィッティヒ(Wittig)試薬を反応させ
ることによって得られる一般式 (式中、各記号は前記と同義である。) により表わされる化合物に酸化剤、四酸化オスミウムを
作用させると、一般式 (式中、各記号は前記と同義である。但し、この場合R
、Rはいずれも水素ではない。) により表わされる化合物が得られる。
一般式(13)の化合物とウィッティヒ試薬との反応は適当
な溶媒(ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、
ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンなど)中、0
〜50℃、1時間から5時間で進行する。また一般式(1
7)の化合物と酸化剤との反応は適当な溶媒(ジオキサ
ン、テトラヒドロフラン、ピリジンなど)中、0〜50
℃、1時間から10時間で進行する。
3.前記一般式(I-b-2)の化合物と酸化剤(二酸化マン
ガン、ピリジン・クロメート、ジメチルスルホキシド−
無水酢酸、硝酸銀、過ヨウ素酸など)を反応させること
によって、一般式 (式中、各記号は前記と同義である。) により表わされる化合物が得られる。
反応は適当な溶媒(アセトン、塩化メチレン、ジクロル
エタン、酢酸など)中、0〜50℃、1時間から5時間
で進行する。
4.前記一般式(I−a)の化合物と塩化チオニル、三
臭化リン、オキシ塩化リンなどの化合物を反応させて得
られる一般式 (式中、Xは塩素、臭素などのハロゲンを示し、他の
各記号は前記と同義である。) により表わされる化合物にシアン化ナトリウムまたはシ
アン化カリウムを反応させて、一般式 (式中、各記号は前記と同義である。) により表わされる化合物を得、これに一般式(14)のグリ
ニャール試薬または一般式(15)の有機リチウム化合物を
反応させて一般式 (式中、各記号は前記と同義である。) により表わされる化合物とし、さらに一般式(14)のグリ
ニャール試薬または一般式(15)の有機リチウム化合物を
反応させることによって、一般式 (式中、各記号は前記と同義である。) により表わされる化合物が得られる。
一般式(I−a)の化合物から一般式(18)の化合物への
反応は適当な溶媒(ジオキサン、クロロホルム、ジクロ
ロエタン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジエ
チルエーテルなど)中、脱酸剤(ピリジン、トリエチル
アミン、ジメチルアニリンなどの有機脱酸剤、または炭
酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなど
の無機脱酸剤)の存在下、あるいは非存在下、0〜50
℃、30分から3時間で進行する。一般式(18)の化合物と
シアン化ナトリウムまたはシアン化カリウムとの反応は
適当な溶媒(ジメチルスルホキシド、エタノール、メタ
ノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミ
ドなど)中、0〜100℃、1時間から10時間で進行
する。一般式(19)の化合物とグリニャール試薬または有
機リチウム化合物との反応は適当な溶媒(ジエチルエー
テル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ヘキサンな
ど)中、0〜50℃、30分から5時間で進行する。一
般式(20)の化合物から一般式(I-b-4)の化合物への反応
は同様に進行する。
5.前記一般式(20)の化合物と一般式(16)のウィッティ
ヒ試薬を反応させることによって得られる一般式 (式中、各記号は前記と同義である。) により表わされる化合物をオーガニック・リアクション
(Organic Reaction)、第13巻、1〜54頁に記載のハイド
ロボレーション(Hydroboration)反応に付すことによっ
て、あるいはジボランの代わりに容易に入手可能で市販
されている9BBN(9-Borabicyclo〔3,3,1〕none)を反
応させることによって、一般式 (式中、各記号は前記と同義である。) により表わされる化合物が得られる。
一般式(20)の化合物とウィッティヒ試薬との反応は適当
な溶媒(ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、
ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンなど)中、0
〜50℃、1時間から5時間で進行する。一般式(21)の化
合物から一般式(I-b-5)の化合物への反応は常法通り、
窒素ガス気流下、ジメチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジエチレングリコールジメチルエーテンなどの溶媒
中、0〜50℃、3時間から10時間で進行する。
6.前記一般式(21)の化合物に酸化剤、四酸化オスミウ
ムを反応させることによって、一般式 (式中、各記号は前記と同義である。) により表わされる化合物が得られる。
反応は適当な溶媒(ジオキサン、テトラヒドロフラン、
ピリジンなど)中、0〜50℃、1時間から10時間で
進行する。
方法C 1.一般式 (式中、Aは炭素数1〜7個の直鎖アルキレン、炭素
数1〜8個の直鎖または分枝鎖状アルキルで置換された
アルキレンまたは1〜2個の水酸基で置換された直鎖ま
たは分枝鎖状アルキレンを示し、他の各記号は前記と同
義である。) により表わされる化合物に一般式 RCOOM (23) (式中、Rは炭素数1〜8個の直鎖または分枝鎖状ア
ルキル、フェニル、置換フェニルを、Mはナトリウムま
たはカリウムを示す。)により表わされる化合物を反応
させて得られる一般式 (式中、各記号は前記と同義である。) により表わされる化合物を通常の加水分解反応に付して
一般式 (式中、各記号は前記と同義である。) により表わされる化合物を得、これに酸化剤(二酸化マ
ンガン、無水クロム酸、ピリジン・クロメートなど)を
反応させて一般式 (式中、各記号は前記と同義である。) により表わされる化合物とし、さらに一般式 (式中、Qは水酸基の保護基を示し、他の各記号は前記
と同義である。)の水酸基を保護したグリニャール試薬
を反応させ、次いで保護基を除去することによって、一
般式 (式中、各記号は前記と同義である。) により表わされる化合物が得られる。水酸基の保護基Q
としてはメトキシメチル(MOM)、メチルチオメチル
(MTM)、ベンジルオキシメチル、テトラヒドロピラ
ニル(THP)、エトキシエチル、ベンジル、p−ニト
ロベンジル、トリメチルシリル(TMS)、第三級ブチ
ルジメチルシリル(TBDMS)、2−メトキシエトキ
シメチル(MEM)などが使用される。
一般式(22)の化合物と一般式(23)の化合物との反応は適
当な溶媒(エタノール、メタノール、イソプロピルアル
コール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド
など)中、室温から100℃、3時間から24時間で進
行する。一般式(24)の化合物の加水分解反応は、溶媒
(メタノール、エタノールなど)中、室温から50℃、
1時間から5時間で進行する。一般式(25)の化合物と酸
化剤との反応は適当な溶媒(アセトン、ジクロロメタ
ン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン
など)中、0〜100℃、30分から5時間で進行す
る。一般式(26)の化合物とグリニャール試薬との反応は
適当な溶媒(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、
ジオキサンなど)中、0〜100℃、1時間から5時間
で進行する。
なお、一般式(22)の化合物は、方法Aと同様に反応処理
することによって得られる。
2.前記一般式(26)の化合物にジオールを保護したグリ
ニャール試薬(ジオールの保護基としては前記の水酸基
の保護基のほかに、イソプロピリデン、エチリデン、ベ
ンジリデン、メトキシメチレン、ジメトキシメチレンな
どが使用できる。)を反応させて得られる一般式 〔式中、Qは水酸基の保護基(前記方法C.1において
例示した通り)を示し、他の各記号は前記と同義であ
る。〕 により表わされる化合物を常法に従い、酸あるいはアル
カリ加水分解反応に付すことによって一般式 (式中、各記号は前記と同義である。) により表わされる化合物が得られる。
一般式(26)の化合物と一般式(27)の化合物との反応は適
当な溶媒(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジ
オキサンなど)中、0〜100℃、1時間から5時間で
進行する。
3.前記一般式(28)の化合物に一般式 RCOOH (29) (式中、Rは炭素数1〜8個の直鎖または分枝鎖状ア
ルキルを示す。) により表わされる化合物もしくはその反応性誘導体(カ
ルボン酸ハライド、カルボン酸無水物、混合酸無水物、
低級アルキルエステルなど)を反応させ、その後、選択
的にジオールの保護基を除去することによって、一般式 (式中、各記号は前記と同義である。) により表わされる化合物を得、これに酸化剤(二酸化マ
ンガン、ピリジン・クロメート、ジメチルスルホキシド
−無水酢酸、硝酸銀、過ヨウ素酸など)を反応させて一
般式 (式中、各記号は前記と同義である。) により表わされる化合物とし、さらに常法に従い、酸あ
るいはアルカリ加水分解反応に付すことによって、一般
(式中、各記号は前記と同義である。) により表わされる化合物が得られる。
反応条件は前記方法Bにおけるものと同様である。
このようにして得られた一般式(I)の化合物は再結
晶、クロマトグラフィーなど、それ自体公知の方法によ
り、反応混合物から分離、精製することができる。
一般式(I)の化合物は常法により無機酸または有機酸
と処理することにより、前記した薬理学的に許容されう
る塩にすることができる。
本発明化合物中、不斉炭素原子を有する場合には、通常
ラセミ体として得られる。ラセミ体は常法より光学異性
体に分割することができる。そのような光学異性体は光
学活性な出発化合物を使用することによっても製造する
ことができる。個個のジアステレオ異性体は分別再結晶
またはクロマトグラフィーによって精製できる。
〔作用および発明の効果〕
本発明化合物のPAF拮抗作用について、家兎血小板の
PAF誘発による凝集に対する拮抗作用をin vitro、ex
vivoで、またPAF誘発のマウス・ショック死に対す
る抑制効果などで調べた。
実験例1ウサギ血小板凝集抑制作用(試験管内試験) ウサギから1/10量の3.8%クエン酸ナトリウム溶液
を加えた血液を採取し、200×gで10分間遠心分離
し、血小板に富んだ血漿(以下、PRPという。)を調
製した。さらに、1000×gで10分間遠心分離し、
血小板の乏しい血漿(以下PPPという。)を調製し
た。
凝集能の測定はジャーナル・オブ・フィジオロジー(J.P
hysiology)、第168巻、178ページ(1963年)
に記載のボーン(Born,G.V.R.)の混濁測定法にしたがっ
て、6チャンネル・NKKヘマトレーサー1(PAT−
6A)で測定した。PRPおよびPPPで0〜100%
の光透過を調節した。1000rpmで攪拌しながら、
PRP0.3mlに試験化合物溶液または溶媒3μlを加
え、37℃で2分間保持したのち、PAF(Serdary Res
earch Lab.)3μlを最終濃度が1.8×10-7Mになるよ
うに加え、5分間光透過度を記録した。
すべての実験において、PAFは濃度が100μg/ml
になるようにエタノールに溶解し、使用時に0.9%生理
食塩水で希釈して用いた。
試験化合物による血小板凝集の抑制率は、下記式のよう
に、試験化合物存在下と非存在下での最大光透過度によ
り求めた。
この抑制%と用量との曲線から、IC50値(μg/ml、
50%抑制濃度)を求め、結果を第1表にまとめた。
実験例2ウサギ血小板凝集抑制作用(生体外試験) 実験例1の試験管内試験のようにPRP中に試験化合物
を添加することにかえて、あらかじめウサギに試験化合
物1mg/kgを経口投与し、経時的にクエン酸加血液(3.
8%クエン酸ナトリウム1容に血液9容)を採取した。
以降、この血液を用い、実験例1に準じて試験化合物の
血小板凝集抑制効果を検討したところ、実施例2の化合
物の投与24時間後における抑制率は100%であっ
た。
実験例3PAF誘発マウス・ショック死に対する作用 実験はプロスタグランジンズ(Prostaglandins),第30
巻、545ページ(1985年)に記載のヤング(Youn
g)らの方法にしたがって行った。体重25〜30gの雄
性ICRマウス(チャールスリバー)を1群9〜15匹
用いた。試験化合物を経口投与(0.1ml/10g)して
1時間後、PAF(Serdary Research Lab.)80μg/k
gを尾静脈から投与した。PAFを投与後、24時間後
の生存率を観察したところ、実施例2の化合物のED50
(mg/kg.p.o.)は0.01mg/kgであった。
本発明化合物の急性毒性を6匹の雄性マウスを用いて検
討した。試験化合物を経口投与して5日間観察したとこ
ろ、1000mg/kgの投与量で何ら死亡例はみられなか
った。
以上の実験例から明らかなように、本発明化合物は強力
なPAF拮抗活性を示す。また、本発明化合物は経口投
与で有効で、作用持続が長く、さらに低毒性で、しかも
鎮静作用、筋弛緩作用などの中枢抑制的作用が少ないと
いう特徴を有している。
以上の事実より、本発明化合物はPAF拮抗剤として有
用であり、炎症性疾患、アレルギー性疾患、アナフィラ
キシーショック、敗血症性ショック、心筋系の病気、喘
息、肺浮腫あるいは成人性呼吸器疾患といったPAFが
関与すると考えられる種々の疾患の予防または治療に用
いることができる。
本発明の化合物(I)およびその酸付加塩は、その治療
上の有効量と賦形剤、増量剤、希釈剤、溶解補助剤など
の医薬用添加剤とを適宜混合し、錠剤、丸剤、散剤、カ
プセル剤、顆粒剤、液剤、吸入剤、坐剤、経皮吸収剤ま
たは注射剤として経口的または非経口的に安全に投与す
ることができる。投与量は選択する化合物、疾病の重症
度、年齢などにより異なるが、通常成人1日当り0.1〜
100mgを1回または数回に分けて投与することができ
る。
〔実施例〕
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本
発明は何らこれらの限定されるものではない。
実施例1 2−クロロシアノアセトフェノン35.9gおよび硫黄6.72
gをジメチルホルムアミド100mlに懸濁し、氷冷下、
トリエチルアミン21.3gを加えて10分間攪拌する。次
いで4−(4−アセトキシメチルフェニル)ブチルアル
デヒド44gを加え、60℃にて3時間反応させる。反
応液を氷水500mlにあけ、トルエン500mlで抽出
し、5%塩酸水および水で洗浄後、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥する。濾別後、減圧濃縮すると、油状物として
粗成の2−アミノ−5−(2−(4−アセトキシメチル
フェニル)エチル)−3−(2−クロロフェニル)チオ
フェン80gを得る。
得られた化合物80gをクロロホルム200mlに溶解
し、攪拌下、D,L-N−フタリルアラニルクロリド52g
を加え、1時間加熱還流する。冷後、5%炭酸水素ナト
リウム水および水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾
燥する。濾別後、減圧濃縮し、残留物をシリカゲルクロ
マトグラフィーに付すと、アモルファス粉末として5−
(2−(4−アセトキシメチルフェニル)エチル)−3
−(2−クロロベンゾイル)−2−(N−フタリルアラ
ニル)アミノ−チオフェン86gを得る。
得られた化合物32.9gをメタノール300mlに懸濁し、
室温にてメチルヒドラジン7.4gを加え、3時間攪拌す
る。次いで濃塩酸20mlを加え、さらに1時間反応させ
る。反応液を減圧濃縮し、クロロホルム200mlを加
え、不溶物を濾別後、クロロホルム層を5%炭酸水素ナ
トリウム水および水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで
乾燥する。濾別後、減圧濃縮すると、油状物として粗成
の2−(N−アラニル)アミノ−5−(2−(4−アセ
トキシメチルフェニル)エチル)−3−(2−クロロベ
ンゾイル)−チオフェン28gを得る。
得られた化合物28gをイソプロピルアルコール200
mlに溶解し、酢酸4.8gを室温下に加え、20時間加熱
還流する。冷後、減圧濃縮し、残留物をクロロホルム2
00mlに溶解し、5%炭酸水素ナトリウム水および水で
洗浄後、減圧濃縮する。油状残留物をシリカゲルクロマ
トグラフィーに付すと、無色粉末として7−(2−(4
−アセトキシメチルフェニル)エチル)−5−(2−ク
ロロフェニル)−3−メチル−1,3−ジヒドロ−2H−
チエノ〔2,3−e〕−1,4−ジアゼピン−2−オン10g
を得る。
得られた化合物8.5gをクロロホルム90mlに溶解し、
五硫化リン1.82gを加え、35〜40℃にて4時間攪拌
する。冷後、5%炭酸水素ナトリウム水および水で洗浄
後、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。濾別後、減圧濃
縮すると、黄赤色粉末として7−(2−(4−アセトキ
シメチルフェニル)エチル)−5−(2−クロロフェニ
ル)−3−メチル−1,3−ジヒドロ−2H−チエノ〔2,3
−e〕−1,4−ジアゼピン−2−チオン8gを得る。
得られた化合物8gおよびアセチルヒドラジド1.5gを
トルエン80mlに懸濁し、攪拌下、4時間加熱還流す
る。冷後、トルエンを留去し、油状残留物をシリカゲル
クロマトグラフィーに付すと、無色粉末として2−(2
−(4−アセトキシメチルフェニル)エチル)−4−
(2−クロロフェニル)−6,9−ジメチル−6H−チエ
ノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕
ジアゼピン6gを得る。
かくして得られた化合物6gを常法に従い加水分解する
と、定量的に無色粉末として4−(2−クロロフェニ
ル)−2−(2−(4−ヒドロキシメチルフェニル)エ
チル)−6,9−ジメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,
2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン5.5gを
得る。
実施例2 乾燥セライト15gを塩化メチレン150mlに懸濁し、
乾燥ピリジン12gを加え、氷冷、攪拌下、無水クロム
酸7.4gを加え、20分間攪拌する。次いで実施例1で
得られた4−(2−クロロフェニル)−2−(2−(4
−ヒドロキシメチルフェニル)エチル)−6,9−ジメチ
ル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,
3−a〕〔1,4〕ジアゼピン7gを塩化メチレン20mlに
溶解して攪拌下に滴下する。滴下後1時間反応させ、塩
化メチレン層を濾別し、セライトをクロロホルムで十分
に洗浄を行う。洗液と塩化メチエン液を合わせて十分に
水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。濾別後、減
圧濃縮し、油状残留物をシリカゲルクロマトグラフィー
に付して、4−(2−クロロフェニル)−2−(2−
(4−ホルミルフェニル)エチル)−6,9−ジメチル−
6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3-
a〕〔1,4〕ジアゼピン4gを得る。
かくして得られた上記アルデヒド4gに常法に従いヨウ
化イソプロピルと金属マグネシウムより調製したグリニ
ヤール試薬をテトラヒドロフラン中、氷冷、攪拌下、2
時間反応させる。反応液を塩化アンモニウム溶液にあ
け、クロロホルム200mlで抽出し、水洗後、無水硫酸
マグネシウムで乾燥する。濾別後、減圧濃縮し、油状残
留物をシリカゲルクロマトグラフィーに付すと、アモル
ファス粉末として4−(2−クロロフェニル)−2−
〔2−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)
フェニル)エチル〕−6,9−ジメチル−6H−チエノ
〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3-a〕〔1,4〕ジア
ゼピン2.6gを得る。
マススペクトル:(M:m/z504) NMR(CDCl3,ppm):0.78(d,3H),0.99(d,3H),1.93(m,1
H),2.10(d,3H),2.65(s,3H),2.94(t,2H),3.07(t,2H),4.3
4(m,2H),6.35(s,1H),7.15(m,4H),7.3〜7.5(m,4H) 同様にして次表に示す化合物が得られる。
前記表中の実施例化合物のマススペクトルおよびNMR
データを以下に示す。
実施例3 マススペクトル:(M:m/z504) NMR(CDCl3,ppm):1.22(s,6H),2.10(d,3H),2.66(s,3
H),2.74(s,2H),2.93(t,2H),3.07(t,2H),4.33(q,1H),6.3
8(s,1H),7.10(m,4H),7.3〜7.5(m,4H) 実施例4 マススペクトル:(M:m/z504) NMR(CDCl3,ppm):0.89(d,3H),1.93(m,1H),2.10(d,3
H),2.40(m,1H),2.66(s,1H),2.71(m,1H),2.92(t,2H),3.0
6(t,2H),3.49(m,2H),4.33(q,1H),6.38(s,1H),7.06(m,4
H),7.3〜7.5(m,4H) 実施例5 マススペクトル:(M:m/z518) NMR(CDCl3,ppm):1.62(s,6H),2.11(d,3H),3.03(t,2
H),3.12(t,2H),4.35(q,1H),6.38(s,1H),7.2〜7.5(m,6
H),7.95(d,2H) 実施例6 マススペクトル:(M:m/z520) NMR(CDCl3,ppm):1.08(s,3H),1.24(s,3H),2.10(d,3
H),2.66(s,3H),2.94(t,2H),3.07(t,2H),4.33(q,1H),4.5
0(s,1H),6.38(d,1H),7.19(m,4H),7.3〜7.5(m,4H) 実施例7 マススペクトル:(M:m/z520) NMR(CDCl3,ppm):1.23(s,6H),2.10(d,3H),2.68(s,3
H),2.76(s,2H),3.17(m,2H),4.35(q,1H),4.92(m,1H),6.4
3(s,1H),7.1〜7.5(m,8H) 実施例8 マススペクトル:(M:m/z534) NMR(CDCl3,ppm):1.60(s,6H),2.10(d,3H),2.71(s,3
H),3.18(m,2H),4.35(q,1H),4.90〜4.93(m,1H),7.3〜7.5
(m,6H),8.01(d,2H),6.43(d,1H), 実施例9 マススペクトル:(M:m/z520) NMR(CDCl3,ppm):1.13(s,3H),2.10(d,3H),2.67(s,3
H),2.78(m,2H),2.97(m,2H),3.07(m,2H),3.46(m,2H),4.3
4(q,1H),6.38(s,1H),7.12(m,4H),7.3〜7.5(m,4H) 実施例10 マススペクトル:(M:m/z536) NMR(CDCl3,ppm):1.07(s,3H),1.24(s,3H),2.09(d,3
H),2.69(s,3H),3.15(m,2H),4.33(q,1H),4.52(s,1H),4.8
8〜4.94(m,1H),6.42〜6.46(m,1H),7.1〜7.5(m,8H) 実施例11 NMR(CDCl3,ppm):1.21(d,3H),2.29(d,3H),2.64(s,3
H),2.8〜3.2(m,4H),3.3〜3.7(m,1H),4.31(q,1H),6.32
(s,1H),7.18(d,2H),7.2〜7.5(m,4H),7.84(d,2H) 製剤処方例 (1)錠剤 実施例2の化合物を0.5部、乳糖25部、結晶セルロー
ス35部およびコーンスターチ3部とをよく混和したの
ち、コーンスターチ2部で製した結合剤とよく練合し
た。この練合物を16メッシュで篩過し、オーブン中5
0℃で乾燥後、24メッシュで篩過した。ここに得た練
合粉体とコーンスターチ8部、結晶セルロース11部お
よびタルク9部とをよく混合した後、圧搾打錠し、1錠
あたり有効成分0.5mg含有の錠剤を得た。
(2)1%散剤 実施例2の化合物を1部と乳糖90部をよく混和し、適
当量のメチルセルロースより製した結合剤とよく練合す
る。これを16メッシュで篩過し、オーブン中50℃で
乾燥する。乾燥顆粒末を32メッシュで圧篩過し、適量
のシリコンジオキシドとよく混和して、1%散剤を得
た。
本発明を上述の明細書およびそれに包含される実施例で
十分に説明したが、これらは本発明の精神と範囲に反す
ることなく種々に変更、修飾することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/55 ACN 9360−4C ACX 9360−4C

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中、Arは、ピリジル、フェニル、またはハロゲ
    ン、水酸基、炭素数1〜8個の直鎖または分枝鎖状アル
    キルおよび炭素数1〜8個の直鎖または分枝鎖状アルコ
    キシから任意に選ばれる1〜3個の置換基を有するフェ
    ニルを、R,R,Rは同一または異なって水素、
    炭素数1〜8個の直鎖または分枝鎖状アルキルまたはト
    リフルオロメチルを、Rは水酸基、炭素数1〜8個の
    直鎖または分枝鎖状アルキル、少なくとも1個の水酸基
    によって置換されている炭素数1〜8個の直鎖または分
    枝鎖状アルキル、フェニル、アラルキル、または芳香環
    上にハロゲン、水酸基、炭素数1〜8個の直鎖または分
    枝鎖状アルキルおよび炭素数1〜8個の直鎖または分枝
    鎖状アルコキシから任意に選ばれる1〜3個の置換基を
    有する置換フェニルまたは置換アラルキルを、Aは炭素
    数1〜8個の直鎖アルキレン、炭素数1〜8個の直鎖ま
    たは分枝鎖状アルキルで置換されたアルキレン、または
    1〜3個の水酸基で置換された直鎖または分枝鎖状のア
    ルキレンを、Zはメチレン、カルボニル基またはヒドロ
    キシメチレンを示す。ただし、Rが炭素数1〜8個の
    直鎖または分枝鎖状アルキル、フェニル、アラルキル、
    置換フェニルまたは置換アラルキルのとき、Zはカルボ
    ニル基またはヒドロキシメチレンであるか、またはAは
    1〜3個の水酸基で置換された直鎖または分枝鎖状のア
    ルキレンである。また、Rが水酸基のとき、Zはメチ
    レンである。) により表わされるチエノトリアゾロジアゼピン化合物お
    よびその薬理学的に許容される酸付加塩。
  2. 【請求項2】4−(2−クロロフェニル)−2−〔2−
    (4−ヒドロキシメチルフェニル)エチル〕−6,9−
    ジメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕
    トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン、 4−(2−クロロフェニル)−2−〔2−(4−(1−
    ヒドロキシ−2−メチルプロピル)フェニル)エチル〕
    −6,9−ジメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕
    〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジ
    アゼピン、 4−(2−クロロフェニル)−2−〔2−(4−(2−
    ヒドロキシ−2−メチルプロピル)フェニル)エチル〕
    −6,9−ジメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕
    〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジ
    アゼピン、 4−(2−クロロフェニル)−2−〔2−(4−(3−
    ヒドロキシ−2−メチルプロピル)フェニル)エチル〕
    −6,9−ジメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕
    〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジ
    アゼピン、 4−(2−クロロフェニル)−2−〔2−(4−(2−
    ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)フェニル)エチ
    ル〕−6,9−ジメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕
    〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジ
    アゼピン、 4−(2−クロロフェニル)−2−〔2−(4−(1,
    2−ジヒドロキシ−2−メチルプロピル)フェニル)エ
    チル〕−6,9−ジメチル−6H−チエノ〔3,2−
    f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,
    4〕ジアゼピン、 4−(2−クロロフェニル)−2−〔2−ヒドロキシ−
    2−(4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)フ
    ェニル)エチル〕−6,9−ジメチル−6H−チエノ
    〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−
    a〕〔1,4〕ジアゼピン、 4−(2−クロロフェニル)−2−〔2−ヒドロキシ−
    2−(4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニ
    ル)フェニル)エチル〕−6,9−ジメチル−6H−チ
    エノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3
    −a〕〔1,4〕ジアゼピン、 4−(2−クロロフェニル)−2−〔2−(4−(2,
    3−ジヒドロキシ−2−メチルプロピル)フェニル)エ
    チル〕−6,9−ジメチル−6H−チエノ〔3,2−
    f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,
    4〕ジアゼピン、 4−(2−クロロフェニル)−2−〔2−ヒドロキシ−
    2−(4−(1,2−ジヒドロキシ−2−メチルプロピ
    ル)フェニル)エチル〕−6,9−ジメチル−6H−チ
    エノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3
    −a〕〔1,4〕ジアゼピンおよび 4−(2−クロロフェニル)−2−〔2−(4−(2−
    メチルプロピオニル)フェニル)エチル〕−6,9−ジ
    メチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕ト
    リアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピンからなる
    群から選ばれる請求項1記載の化合物およびその薬理学
    的に許容される酸付加塩。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の化合物またはその
    薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分として含有す
    ることを特徴とする血小板活性化因子により惹起される
    各種疾患の予防または治療用医薬組成物。
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