JPH0640952A - 置換芳香族化合物を選択的にオルト−フッ素化するための方法 - Google Patents

置換芳香族化合物を選択的にオルト−フッ素化するための方法

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JPH0640952A JP5128568A JP12856893A JPH0640952A JP H0640952 A JPH0640952 A JP H0640952A JP 5128568 A JP5128568 A JP 5128568A JP 12856893 A JP12856893 A JP 12856893A JP H0640952 A JPH0640952 A JP H0640952A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、オルト−メタル化された置換芳香
族化合物を製造するのに十分な反応条件下、オルト−メ
タル化反応を配向し得る置換基を持った芳香族化合物を
メタル化試薬と接触させ、オルト−メタル化した置換芳
香族化合物を生成するものである、選択的にオルト−フ
ッ素化した置換芳香族化合物を製造する方法を記述す
る。 【構成】 オルト−メタル化した置換芳香族化合物を目
的とするオルト−フッ素化した置換芳香族化合物を生成
するのに十分な反応条件下、親電子的フッ素化試薬と反
応させ、次にそれを反応化合物から回収する。 【効果】 親電子的フッ素化反応工程を行なう前にメタ
ル化反応中間体を利用するこの方法は、位置特異的に制
御された中間体を経て進むものではない従来技術の親電
子的フッ素化反応方法に伴なう問題点を克服するもので
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、置換芳香族化合物のオル
ト位にフッ素原子を位置特異的に導入する新規な親電子
的方法を記述するものである。オルト−メタル化した置
換芳香族化合物を親電子性弗素化試薬と反応させること
で行われる弗素化方法は、従来技術の親電子的フッ素化
方法に伴なう悪い選択性および収率の問題点を取り除く
ものである。
【0002】
【発明の背景】有機物、特にカルバニオン性基質に対し
て位置選択的であるフッ素化剤は、薬理学的に活性な化
合物を製造するのに特に有用である。多くの親電子的フ
ッ素化剤が知られているが、それらは高価で、取扱いが
難しく、たびたび不十分な選択性を与えるために、限ら
れた工業的成功しか恵まれてない。しかし、錯体を作る
有機化合物に位置特異的にフッ素原子を導入するフッ素
化学を使用することに伴なう多くの利点およびそれから
得られたフッ素含有有機化合物の独特の性質によって、
改良フッ素化方法を発展させるために著しい努力が試み
られた。
【0003】Balz-Schiemann反応は、芳香族環に位置す
る芳香族アミン官能基をフッ素によって置換するフッ素
を芳香族環に導入する古典的方法を構成する。フッ素原
子をテトラフルオロホウ酸の存在下に、対応する芳香族
アミンのジアゾ化反応によって広範囲の有機化合物に導
入することができる。フッ素化した芳香族化合物を製造
する反応ならびにその他の方法の総説は、Aldrichimica
Acta, 21 (1988) 3に発表されている。
【0004】既知の親電子的フッ素化試薬は、低温(例
えば、−78℃)に於いてハロゲン化されたまたはその
他の適切な溶剤中に溶解されたトリフルオロメチル次亜
フッ素酸塩(CF3OF)セシウムフルオロオキシ硫酸
塩(C3SO4F)およびパークロリルフルオリド(FC
lO2)のフッ素溶液を包含する。これらの親電子的な
フッ素化剤の総説は、S.T. Purrington等のChem. Rev.,
86 (1986), 997およびG.G. Furinの“New Fluorinatin
g Agents in Organic Synthesis”に発表されている。
キセノンジフルオリド(XeF2)は、可能性としての
有毒性は少ないが、余りに高価なので、多くの施用にお
いて利用することができない。
【0005】最近、親電子的フッ素化剤としてN−Fク
ラスの化合物、すなわち、N−F結合を有する化合物を
使用することに注意が向けられるようになった。このク
ラスの初期の型の化合物は、パーフルオロ−N−フルオ
ロピペリジン(R.E.BanksおよびG.E. Williamson, Che
m. Ind,〔London〕, 1964およびR.E. Banksら、 J. Che
m. Soc., Perkin Trans. I,〔1972〕, 1098)である。
しかしながら、この化合物は、無水のフッ化水素中のピ
リジン(約8%収率)または2−フルオロピリジン(約
13%収率)の何れかの電気化学的フッ素化によっての
み低収率で得ることができる。さらに、この試薬は、い
くつかの応用には不適当に活性であって、カルバニオン
性基質へのフッ素の導入は、基質に対する親電子的フッ
素源と競合するイミドイル、フロリドパーフルオロ−1
−アザシクロヘキセ−1−エンを遊離することになりう
る。同様な問題は、親電子的フッ素化剤としては、例え
ば、パーフルオロ(N−フルオロ−2,6−ジメチルピ
ペリジン)およびパーフルオロ−N−フルオロモルホリ
ン、(R.E. Banks等、J. Chem. Soc. Perkin Trans. I
〔1988〕, 2805)およびポリ〔パーフルオロ−(N−フ
ルオロピペリジン−4−イルエチレン)〕(R.E. Banks
等、 J. Fluorine. Chem., 〔1986〕, 34, 281)のよう
な類似の化合物を使用することを妨げている。
【0006】米国特許第4,828,764号は、N−フ
ルオロ−N−パーフルオロアルキルまたは式RfSO2
NFRで示されるパーフルオロアリールスルホンアミド
の構造を有する親電子的フッ素化剤を開示している(式
中、Rfはパーフルオロ化C 1〜C30アルキル、C3〜C
30シクロアルキル、C8〜C14アリール基で置換された
1〜C10アルキル、またはC6〜C14アリール基、そし
てRはC1〜C30アルキル、C3〜C30シクロアルキル、
6〜C14アリールで置換されたC1〜C10アルキル、ま
たは場合により、フッ素を含有する1個以上の不活性置
換基で置換されたC6〜C14−アリール基を示す)。R
fがトリフルオロメチルである場合、Rはこれとは別
に、パーフルオロメチルスルホンアミド基によって示す
ことができる。好ましいフッ素化剤は、N−フルオロビ
ス−(トリフルオロメタンスルホン)イミド(Rf=C
3およびR=CF3SO2)およびN−フルオロ−N−
メチル−トリフルオロメタンスルホンアミド(Rf=C
3およびR=CH3)である。前者の化合物(またDesM
arteau試薬として知られた)は、室温でベンゼンをフル
オロベンゼンにフッ素化し得る強力な親電子的フッ素化
剤であるが、容易に利用できる物質から8または9段階
の反応工程をも必要とし、これでの製造は冗長なもので
ある。
【0007】ペンシルバニア州アレンタウンのAir Prod
ucts and Chemicalsに譲渡された米国特許第5,086,
178号は、N−Fクラスのいろいろな親電子的フッ素
化剤を開示し、新規なフッ素化ジアザビシクロアルカン
誘導体、それらの製造のための方法およびフッ素化剤と
してのそれらの使用を提供している。代表的な誘導体
は、1−クロロメチル−4−フルオロ−1,4−ジアゾ
ニアビシクロ〔2,2,2〕オクタンジトリフラートであ
る。
【0008】芳香族化合物上に位置する所望の置換基の
オルト位にフッ素原子を位置特異的に導入し得る効果的
な親電子的フッ素化方法を見出すことに、相当な工業的
の関心が存在する。ここで、試薬は安定で、比較的安価
で、現在市販されている出発原料から容易に得られるも
のであるべきである。
【0009】
【発明の概要】本発明は、オルト−メタル化した置換芳
香族化合物を生成するのに十分な反応条件下、オルト−
メタル化反応を導きうる置換基を含有する芳香族化合物
をメタル化試薬と接触させること;オルト−フッ素化し
た置換芳香族化合物を生成するのに十分な反応条件下、
オルト−メタル化した置換芳香族化合物を親電子的フッ
素化試薬と反応させること;およびオルト−フッ素化し
た置換芳香族化合物を回収することからなるオルト−フ
ッ素化した置換芳香族化合物を選択的に製造する方法に
関する。
【0010】本発明の方法は、従来技術の親電子的フッ
素化方法で使用されなかった独特な反応中間体を用い
て、例えば、貧弱な選択性のような従来技術の親電子的
フッ素化方法に伴なう諸問題を解決するものである。さ
らに詳細には、従来技術の親電子的フッ素化方法が、置
換芳香族化合物を所望の親電子的フッ素化剤で処理して
直接に目的のフッ素化生成物に進行するに対し、本発明
者らの方法は、オルト−メタル化した置換芳香族中間体
を経由し、次いで目的の親電子的フッ素化剤に供されて
進行するのである。
【0011】
【発明の詳述】本発明は、置換芳香族化合物のオルト位
にフッ素原子を位置特異的に導入する新規な方法を記述
するものである。特許請求された方法は、従来技術の親
電子的フッ素化方法でこれまで使用されなかった独特な
反応中間体を用いて、例えば、貧弱な選択性のような従
来技術の親電子的フッ素化方法に伴なう諸問題を解決す
るものである。さらに詳細には、従来技術の親電子的フ
ッ素化方法が、置換芳香族化合物を所望の親電子的フッ
素化剤で処理して直接に目的のフッ素化生成物に進行す
るのに対し、本発明者らの方法は、オルト−メタル化し
た置換芳香族中間体を経由し、次いで目的の親電子的フ
ッ素化剤に供されて進行するのである。
【0012】オルト−フッ素化した置換芳香族化合物を
選択的に製造する本発明者らの方法は、オルト−メタル
化した置換芳香族化合物を生成するのに十分な反応条件
下、オルト−メタル化反応を導き得る置換基を含有する
芳香族化合物をメタル化試薬と接触させること;オルト
−フッ素化した置換芳香族化合物を生成するのに十分な
反応条件下、オルト−メタル化した置換芳香族化合物を
親電子的フッ素化試薬と反応させること;およびオルト
−フッ素化した置換芳香族化合物を回収することからな
ることを特徴とする。
【0013】本方法の最初の段階において、置換基また
は直接にオルト−メタル化し得る原子を含有する芳香族
化合物を、適切なメタル化試薬と反応させる。広範囲の
置換した芳香族化合物を本方法によってフッ素化するこ
とが可能である。芳香族化合物の唯一の構造的な必要条
件は、明細書にあるメタル化試薬と反応させる場合、そ
の化合物が芳香族化合物上に位置する置換基に対し、選
択的にオルト位にメタル化を配向し得る置換基を含有す
ることである。
【0014】本発明の方法による位置特異的にフッ素化
し得る代表的な置換芳香族化合物は、式Ar−Rによっ
て示される化合物を包含するが、しかし、これに限定さ
れるものではない(ここで式中、Arは芳香族化合物で
あり、そしてRはスルホニル、第二アミド、第三アミ
ド、エーテル、スルホン、カルバメート、フッ素および
トリフルオロメチルから選択された置換基である)。当
該分野の通常の技術の人達は、過度の実験をすること無
しに、オルト−メタル化に配向し得るその他の適当な置
換基を容易に確定することができる。直接的メタル化反
応のさらなる知識は、D.W. Slocum等による文献、 J. Or
g. Chem., 41 (1976) 3653に求めることができる。置換
した芳香族化合物に関するメタル化試薬の典型的な量
は、普通1:1〜10:1、好ましくは、1:1〜2:
1の範囲内にある。
【0015】既述の置換芳香族化合物を式Rn−Mによ
って示されたようなメタル化試薬と反応させる(式中、
Mはナトリウム、カリウム、マグネシウム、リチウム、
カドミウムまたは亜鉛であり、そしてRは炭素原子の1
〜約10個を有する第一、第二または第三アルキルであ
るかまたは炭素原子の1〜約10個を有するアルキル基
を持つジアルキルアミドである)。R基に付いている下
付きのnは、荷電を中性に保つに要するR基の数を表わ
し、そして特定の金属次第で変わるであろう。例えば、
Mがリチウム、カリウムまたはナトリウムである場合、
nは1であり、そしてMがカドミウム、亜鉛またはマグ
ネシウムである場合、nは2である。好ましい態様で
は、メタル化試薬は式Rn−Mで示される。式中、Mは
ナトリウム、カリウム、マグネシウム、リチウム、カド
ミウムまたは亜鉛から選ばれた金属であり;Rは炭素原
子1〜約6個を有する第一、第二または第三アルキルま
たはジアルキルアミドであり;そしてnは荷電を中性に
保つに要した数であり、それは当該分野の通常の技術の
人達によって容易に推測できる。また、当該分野の通常
技術の人は、所定の置換基が置換基のオルト位置に直接
にメタル化するかどうかを容易に確定することができ
る。この目的に最も普通に使用されるメタル化試薬は、
アルキルリチウムおよびリチウムアミドタイプ化合物
(n−BuLi,sec−BuLi,tart−BuLi,リ
チオジイソプロピルアミド等)である。
【0016】メタル化反応工程を行なうためのほかの態
様では、金属−金属交換反応は有機リチウム化合物の種
々の金属塩との反応を経由して、リチウムイオンの他の
金属種との置換反応を伴ないながら行われる。ナトリウ
ム、カリウム、マグネシウム、カドミウムおよび亜鉛が
この目的のために使用されてきた。メタル化反応の態様
の各々は、−78℃〜250℃の範囲内の温度、好まし
くは使用した特定溶剤の還流温度で、例えば、テトラヒ
ドロフラン(THF)またはジエチルエーテルのよう
な、反応体に不活性な溶剤中で、窒素またはアルゴンの
ような不活性な雰囲気下、好都合に行うことができる。
メタル化工程を、目的とするオルト位にメタル化した置
換芳香族化合物を生成するのに十分な反応条件下行う。
これは、例えば、温度および圧力のような反応条件は、
本方法の工程を実施するのに決定的ではないことを意味
しており、このような条件は当該分野の人の持っている
通常の技術で容易に確定することができる。
【0017】本方法の第2工程は、目的とするオルト−
フッ素化した置換芳香族化合物を生成するのに十分な反
応条件下、オルト−メタル化した置換芳香族化合物を適
切なフッ素化試薬と反応させることからなる。強力な求
核種または塩基種によって分解されない親電子的フッ素
化剤はいずれもこのやり方で反応するであろうが、この
目的のために使用されてきた好ましい親電子的フッ素化
試薬は、N−フルオロキヌクリジニウムトリフレート
(NFQT)およびN−フルオロ−パーフルオロメチル
−スルホンイミドである。最後に、目的とする生成物は
慣用の方法で反応混合物から分離される。
【0018】フッ素化反応は、不活性雰囲気下、その試
薬を溶剤に溶解するかまたはそのままのいずれかでオル
ト−メタル化芳香族化合物の溶液に導入することおよび
反応が完了するまで撹拌することを含めて常法で行うこ
とができる。フッ素化工程を、目的とするオルト−フッ
素化した置換芳香族化合物を生成するのに十分な反応条
件下で行う。これは、例えば、温度および圧力のような
反応条件が、本方法の工程を実施するのに決定的でない
ことを意味しており、この条件は当該分野の人の持って
いる通常の技術で容易に確定することができる。フッ素
化反応は、−78℃〜250℃の範囲内の温度で行うこ
とができ、好ましくは、使用した特定の溶剤の還流温度
で行うことができる。オルト位にメタル化した置換芳香
族化合物に関するフッ素化試薬の典型的な量は、普通
1:1〜10:1、好ましくは、1:1〜2:1の範囲
内にある。
【0019】好ましい態様において、錯体生成剤はフッ
素化反応工程を行う前に、反応混合物に加えられる。例
えば、テトラメチレンジアミン(TMEDA)のような
錯体生成剤は、相当にフッ素化工程を加速することが見
出された。錯体生成剤という用語は、当該分野で良く知
られているが、好適な錯体生成剤は当業者により容易に
確定することができる。
【0020】以下に実施例を示し、本発明の種々の態様
をさらに説明する。これらの実施例はこれまで記述され
た方法の本質を説明するために提供されるものである
が、本発明の請求の範囲を限定するものではない。すべ
ての試薬類は、市販かまたは文献にある手法で製造する
ことができる。特に断わらない限り、明細書および実施
例における部とパーセントは重量で示される。
【0021】実施例1N−フルオロキヌクリジニウムトリフレート(NFQ
T)からの2−フルオロアニソールの製造 アニソール540mg(6.5mmol)をジエチルエーテル
10mlに溶解した溶液を、窒素下、撹拌バーと窒素導入
口を備えた3頚50ml丸底フラスコ中に加えた。溶液を
ヘキサン中のn−BuLi(2.5M溶液の0.2ml)で
処理し、混合物を24時間還流させた。この溶液をジエ
チルエーテル(窒素下、3頚丸底フラスコに入っている
10ml)中のNFQTの懸濁液に加えた。テトラメチレ
ンジアミン(58mg;0.5mmol)を加え、24時間撹
拌した。混合物をエーテル50mlに注ぎ、10%硫酸1
0mlで洗浄し、乾燥(MgSO4)し、真空で蒸発させ
た、粗製生成物を分取TLC(展開剤として1:9 エ
ーテル:ヘキサン)で精製し、純粋な生成物36mg(6
0%)を得た。1H NMR(CDCl3) δ 3.90(s,3H), 6.80−
7.15(m,4H); 19F NMR(CDCl3) δ−136.0 (s)。マススペ
クトルm/z(賦存比)126.05(82% M+) 127.05(5.9
% M++1)。
【0022】実施例2N−フルオロ−ビスパーフルオロメチル−スルホンイミ
ドからの2−フルオロアニソールの製造 2−リチオアニソール0.5mmolをジエチルエーテル1
0mlに溶解した溶液を、実施例1によってアニソールと
n−BuLiから製造した。エーテル(10ml)に溶解し
たN−フルオロ−ビスパーフルオロメチル−スルホンイ
ミド(0.5mmol)の溶液を窒素下、滴下して加え、室温
で24時間撹拌した。混合物をエーテル50mlで希釈
し、10%硫酸10mlで洗浄し、乾燥(MgSO4
し、真空で蒸発させた。実施例1で挙げたような分取T
LCによる精製で、2−フルオロアニソールの36mg
(60%)を得た。生成物のスペクトルによる特性決定
では、実施例1に従った方法で得られたものと同一であ
った。
【0023】実施例3N−ブチル−2−フルオロフェニルケトンの製造 ヘキサン中のn−BuLi(0.5mmol)の溶液を、
栓、窒素導入口および隔膜を備えた3頚丸底フラスコ中
のTHF(75mg、0.5mmol、10ml)に溶解したN,
N−ジメチルベンツアミドの溶液に加えた。混合物を1
時間撹拌した。n−BuLiのほかの0.5mmolを加
え、0℃で16時間撹拌を続けた。N−フルオロキヌク
リジニウムトリフレート(125mg、0.5mmol)を加
え、続いてテトラメチレンジアミン150μL(0.1m
mol)を加え、混合物を室温で16時間撹拌した。溶液
をエーテル(50ml)で希釈し、10%硫酸10mlで洗
浄し、乾燥(MgSO4)し、真空で蒸発させた。残留
物を分取TLC(エーテル/ヘキサン 1:9)で精製
し、生成物91mg(50%)を得た。1H NMR(CDCl3
0.95(t,3H), 1.35−1.45(m,2H), 1.65−1.76(m,2H), 2.
95(t,2H), 7.4−7.48(m,1H), 7.5-7.58(m,1H), 7.90-7.
95(m,1H), 7.95−8.0(m,1H);19F NMR(CDCl3/CFCl3)
δ−189.9(m)。マススペクトルm/z(賦存比)180.05
(4.2 M+)。
【0024】実施例4N,N−ジエチル−2−フルオロベンツスルホンアミド
の製造 THF(10ml)中に溶解したN,N−ジエチルベンツ
アミド(885mg、5mmol)の溶液を、栓、窒素導入口
および隔膜を備えた3頚丸底フラスコ中で窒素下、−7
8℃でシクロヘキサン中に溶解したsec−BuLi(1.
3Mの5mmol)の溶液とテトラメチレンジアミン(75
0μl、50mmol)で処理した。溶液を1時間撹拌し
た。NFQT(1.25g、5mmol)を加え、室温と
し、そして16時間撹拌した。混合物をエーテル(50
ml)で希釈し、10%硫酸10mlで洗浄し、真空で蒸発
させた。粗製生成物を分取TLC(展開剤としてエーテ
ル/ヘキサン 1:9)で精製し、純粋な生成物の73
5mg(75%)を得た。1H NMR(CDCl3) δ1.0(t,3H), 1.
05(t,3H), 3.20(q,2H), 3.35(q, 2H), 7.3-7.55(m,3H),
7.70-7.80(m,1H); 19F NMR(CDCl3)δ−109.5(s)。
【0025】実施例5N,N−ジメチル−2−フルオロベンゼンスルホンアミ
ドの製造 ヘキサン中のn−BuLi(2.5Mの0.2mol、0.5
mmol)の溶液を、窒素下0℃で、窒素導入口、栓および
隔膜を備えた50mlの3頚丸底フラスコ中のN,N−ジ
メチルベンゼンスルホンアミドのTHF溶液(10ml中
の93mg、0.5mmol)に加えた。30分後、テトラメ
チレンジアミン(75μl、0.5mmol)を加え、続い
てNFQT(125mg、0.5mmol)を加えた。混合物
を室温で16時間撹拌した。次いで、溶液をエーテル
(50ml)中に注ぎ、10%硫酸10mlで洗浄し、乾燥
(MgSO4)し、そして真空で蒸発させた。分取TLC
(1:9、エーテル:ヘキサン)で精製し、純粋な生成
物87mg(85%)を得た。1H NMR(CDCl3) δ 2.85(s,
6H), 7.10−7.25(m,1H), 7.30−7.40(m,1H), 7.55−7.7
0(m,1H), 7.9−8.0(m,1H); 19F NMR(CDCl3) δ−60.4
(s)。マススペクトルm/z(賦存比)203.05(100% M
+), 204.05(13.5 M++1), 205.05(4.6 M++2)。
【0026】実施例62−フルオロ−3−パーフルオロメチルアニソールの製
ヘキサン中のn−BuLi(2.5Mの0.2mol、0.5
mmol)の溶液を3頚丸底フラスコに入れたエーテル10
ml中に溶解したトリフルオロメチルアニソール(0.5m
mol、88.1mg)の溶液に加えた。テトラメチレンジア
ミン(75μl、0.5mmol)を加え、混合物を4時間
還流させた。この溶液をNFQTの125mg(0.5mmo
l)に加え、室温で撹拌した。混合物をエーテル50ml
で希釈し、10%硫酸10mlで洗浄し、乾燥(MgSO
4)し、そして真空で蒸発させた。残留物を分取TLC
((1:9)、エーテル/ヘキサン)で精製し、純粋な生
成物の69mg(71%)を得た。1H NMR(CDCl3) δ 3.90
(s,3H), 7.05−7.20(m,3H);19F NMR(CDCl3) δ−60.5
(s,3F), −136.3(s,1F)。マススペクトルm/z(賦存
比)194.05(100% M+), 179.05(38.6% M+-CH3)。
【0027】前出の実施例で示したように、親電子的フ
ッ素化工程を行なう前にメタル化反応中間体を利用する
本発明の方法は、位置特異的な制御中間体を経て進行し
ない従来技術の親電子的フッ素化反応方法に伴う問題点
を解決するものである。これまで、本発明を記述してき
たが、特許証として適当と思われるものを請求の範囲内
に示した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 45/63 7457−4H 49/807 7457−4H 303/40 311/16 7419−4H

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) オルト−メタル化した置換芳香
    族化合物を生成するのに十分な反応条件下、オルト−メ
    タル化反応を導き得る置換基を持った芳香族化合物をメ
    タル化試薬と接触させること; (b) オルト−フッ素化した置換芳香族化合物を生成
    するのに十分な反応条件下、オルト−メタル化した置換
    芳香族化合物を親電子的フッ素化試薬と反応させるこ
    と;および (c) オルト−フッ素化した置換芳香族化合物を回収
    することからなるオルト−フッ素化した置換芳香族化合
    物を選択的に製造する方法。
  2. 【請求項2】 工程(b)による反応が、錯体生成剤お
    よび反応物に対して不活性である反応溶剤の存在下行わ
    れる請求項1記載による方法。
  3. 【請求項3】 メタル化試薬が、式Rn−Mによって示
    される請求項2記載による方法(式中、Mはナトリウ
    ム、カリウム、マグネシウム、リチウム、カドミウムま
    たは亜鉛から選ばれた金属であり;Rは炭素原子1〜約
    10個を有する第一、第二または第三アルキルまたは炭
    素原子1〜約10個のアルキル基を有するジアルキルア
    ミドであり;Mがリチウム、カリウムまたはナトリウム
    である場合、n=1であり、そしてMがカドミウム、亜
    鉛またはマグネシウムである場合、n=2である)。
  4. 【請求項4】 工程(a)および(b)による反応が、
    不活性雰囲気の存在下、−78℃〜250℃の範囲内の
    温度で行われる請求項3記載による方法。
  5. 【請求項5】 (a) オルト−メタル化した置換芳香
    族化合物を生成するのに十分な反応条件下、式Ar−R
    によって示される置換芳香族化合物(式中、Arは芳香
    族化合物であり、Rはスルホニル、第二アミド、第三ア
    ミド、エーテル、スルホン、カルバメート、フッ素およ
    びトリフルオロメチルから選ばれた置換基である)をメ
    タル化試薬と接触させること; (b) オルト−フッ素化した置換芳香族化合物を生成
    するのに十分な反応条件下、オルト−メタル化した置換
    芳香族化合物を親電子的フッ素化試薬と反応させるこ
    と;および (c) オルト−フッ素化した置換芳香族化合物を回収
    することからなるオルト−フッ素化した置換芳香族化合
    物を選択的に製造する方法。
  6. 【請求項6】 工程(b)による反応が、錯体生成剤の
    存在下に行われる請求項5記載による方法。
  7. 【請求項7】 メタル化試薬が、式Rn−Mによって示
    される請求項6記載による方法(式中、Mはナトリウ
    ム、カリウム、マグネシウム、リチウム、カドミウムま
    たは亜鉛から選ばれた金属であり;Rは炭素原子1〜6
    個を有する第一、第二または第三アルキルであるかまた
    はジアルキルアミドであり;Mがリチウム、カリウムま
    たはナトリウムである場合、n=1であり、そしてMが
    カドミウム、亜鉛またはマグネシウムである場合、n=
    2である)。
  8. 【請求項8】 工程(a)および(b)による反応が不
    活性雰囲気存在下、−78℃〜250℃の範囲内の温度
    で行われる請求項7記載による方法。
  9. 【請求項9】 (a) オルト−メタル化した置換芳香
    族化合物を生成するのに十分な反応条件下、式Ar−R
    によって示される置換芳香族化合物(式中、Arは芳香
    族化合物であり、Rはスルホニル、第二アミド、第三ア
    ミド、エーテル、スルホン、カルバメート、フッ素およ
    びトリフルオロメチルから選ばれた置換基である)をメ
    タル化試薬と接触させること; (b) オルト−フッ素化した置換芳香族化合物を生成
    するのに十分な反応条件下、錯体生成剤存在下にオルト
    −メタル化した置換芳香族化合物を親電子的フッ素化試
    薬と反応させること;および (c) オルト−フッ素化した置換芳香族化合物を回収
    することからなるオルト−フッ素化した置換芳香族化合
    物を選択的に製造する方法。
  10. 【請求項10】 メタル化試薬が式R−Liによって示
    される請求項6記載による方法(式中、Rは炭素原子1
    〜6個を有する第一、第二または第三アルキルであ
    る)。
  11. 【請求項11】 工程(a)および(b)による反応
    が、不活性雰囲気存在下、−78℃〜250℃の範囲内
    の温度で行われる請求項7記載による方法。
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