JPH0640807B2 - ゼリー食品の製造方法 - Google Patents

ゼリー食品の製造方法

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JPH0640807B2
JPH0640807B2 JP2277164A JP27716490A JPH0640807B2 JP H0640807 B2 JPH0640807 B2 JP H0640807B2 JP 2277164 A JP2277164 A JP 2277164A JP 27716490 A JP27716490 A JP 27716490A JP H0640807 B2 JPH0640807 B2 JP H0640807B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、ゼリー食品の製造方法に関し、冷たいデザ
ート等として利用され、ゲル化剤としてゼラチンを用い
るゼリー食品の製造方法に関するものである。
〔従来の技術〕
従来、冷たいゼリー状のデザートあるいは冷菓等を製造
するためのゼリー材料すなわちゲル化剤として、寒天や
ペクチン等と同様にゼラチンが用いられている。ゼラチ
ンは、他のゲル化剤に比べて低温で溶けるので、独特の
舌触りや食感を有するものとして好まれている。ゼラチ
ンには各種の添加材料を加えることによって、様々な風
味のゼリー状デザートが製造できる。
しかし、従来、ゼラチンを用いたゼリー状デザートを作
るには、予め味や色を付けたゼラチン溶液をゲル化させ
て作るので、ひとつのデザート全体に同じ味付けあるい
は着色を施すことしかできず、外観的あるいは風味の点
で単調なものしか製造できなかった。
そこで、ひとつのデザートに、味や色の異なる部分が存
在したものを製造する方法が研究された結果、いつくら
の方法が提案されている。
例えば、特開昭59−140839号公報に開示された
方法がある。この方法は、ゲル状デザート本体を形成す
るゾルの温度および粘度を調整した状態で、このゾルの
中に予め製造しておいたゼリー小片を投入し、ゾルを冷
却してゲル化させる結果、ゲル状デザート本体にゼリー
小片が均一に点在するゲル状デザートが得られるという
ものである。
また、特開平2−177867号公報に開示された方法
もある。この方法は、予め製造された色つきの固化した
ゼリーを容器内に収容しておき、同じ容器内に別の透明
又は半透明のゼリー溶液を流し込んで固化させ、2種類
のゼリー部分が一体化されたゼリー菓子を得る方法であ
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが、上記した従来における、味や色が異なる複数
のゼリー部分が一体化されたゼリー食品、いわゆる多色
ゼリーでは、一方のゼリー部分を製造する工程、この固
化したゼリー部分の周囲に別のゼリー部分を形成するた
めのゼリー溶液を流して固める工程の2工程が必要であ
り、通常の単色ゼリーに比べて、倍以上の製造工程およ
び製造時間がかかり、製造コストも高くつく欠点があっ
た。
特に、従来の方法では、本体となる一方のゼリー部分
に、他方のゼリーからなる小さな模様部分を均一に点在
させた構造のゼリー食品を製造するが困難であった。
すなわち、前記特開平2−177867号公報の方法で
は、模様となるゼリー部分を型に流して成形しておくの
で、小さな模様部分をいちいち成形して製造するのは極
めて面倒で実用的ではない。また、この模様となるゼリ
ー部分を容器に収容した状態で別のゼリー溶液を流し込
むことになるので、模様となるゼリー部分は別のゼリー
溶液の中に沈んだままになり、ゼリー食品の全体に模様
となるゼリー部分を点在させることはできない。
前記特開昭59−140839号公報の方法では、予め
製造されたゼリーを細かく裁断してゼリー小片を作るの
で、小さな模様を形成することはできるが、ゼリーを裁
断してゼリー小片を作る工程が余分に必要である。ま
た、ゲル状デザート本体を形成するゾルの温度および粘
度を調整して、ゼリー小片をゾル中に均一に点在するよ
うにしているが、この方法では、ゾルの温度や粘度の管
理が非常に難しく、少しでも調整が異なると、ゼリー小
片が沈んでしまったり浮き上がってしまったりするの
で、製造管理が非常に難しい。
そこで、この発明の課題は、前記のような風味や色の異
なる部分が一体化されたゼリー食品を製造する方法にお
いて、製造が容易で作業能率が高く、特に、ゼリー本体
に別のゼリー部分が小さな模様状で均一に混在した状態
のものが簡単かつ確実に製造できるゼリー食品の製造方
法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記課題を解決する、この発明にかかるゼリー食品の製
造方法は、ゲル化剤としてゼラチンを含む第1のゼリー
溶液を冷却かつ撹拌しながら、この第1のゼリー溶液よ
りもゼラチン濃度の高い第2のゼリー溶液を第1のゼリ
ー溶液中に滴下し、第1のゼリー溶液中に粒状をなす第
2のゼリー溶液を浮遊させた状態で、第1および第2の
ゼリー溶液をゲル化させる。
ゼリー溶液とは、果汁や糖類、香料、着色料等のゼリー
食品を構成する材料に、ゲル化剤となるゼラチンが添加
された溶液である。ゼラチンは、アルカリ処理ゼラチ
ン、酸処理ゼラチンその他、通常の食品用ゼラチンが使
用できる。なお、ゲル化剤としては、上記のようなゼラ
チンを主要成分とするが、ゼラチンに加えてその他のゲ
ル化剤、例えば、寒天やカラギーナン等を添加しておい
てもよい。果汁等のゼリー食品を構成する材料には、目
的に応じて、任意の食品材料および食品添加剤が用いら
れる。例えば、着色料もしくは色素としては、青色2号
(インジコカルミン)、黄色5号(サンセットイエロー
FCF)、緑色3号(ファストグリーンFCF)等が使
用できる。これらの色素は水溶液中でマイナスにチャー
ジする。
第1のゼリー溶液と第2のゼリー溶液は、上記のような
構成材料のうち、少なくとも一部の配合が異なるもので
あり、例えば、色の異なるもの、味や香りの異なるもの
等、任意の組み合わせが可能である。例えば、第1のゼ
リー溶液を透明もしくは半透明にして、第2のゼリー溶
液を着色しておけば、製造されたゼリー食品は、第2の
ゼリー溶液からなる着色粒状ゼリーが第1のゼリー溶液
からなる透明ゼリー本体に浮遊している状態が外観的に
明瞭に観察でき、意匠効果の点で非常に優れたものとな
る。第2のゼリー溶液を、第1のゼリー溶液から製造さ
れるゼリー本体にかけるソースあるいはクリームとなる
材料で形成しておけば、第2のゼリー溶液からなる粒状
ゼリーがゼリー本体の風味を一層引き立てて、美味なゼ
リー食品を提供できる。
第2のゼリー溶液は、第1のゼリー溶液に比べて、ゼラ
チン濃度を高くしておく。通常、ゼリー食品のゼラチン
濃度は、製品の固さあるいは食感等の品質性能を考慮し
て決められる。したがって、ゼリー本体となる第1のゼ
リー溶液のゼラチン濃度を上記のような条件を考慮して
決定し、このゼラチン濃度よりも第2のゼリー溶液のゼ
ラチン濃度が高くなるように設定すればよい。一般的に
は、第1のゼリー溶液のゼラチン濃度は、1〜5%に設
定される。そして、第2のゼリー溶液と第1のゼリー溶
液のゼラチン濃度の差を、10%以上にしておくのが好
ましく、より望ましくは15〜25%に設定しておく。
この濃度差が少ない場合、製造時に第1のゼリー溶液と
第2のゼリー溶液が混ざり合ってしまったり、ゼリー食
品を製造後に、経時的にゼリー本体と粒状ゼリーが混ざ
り合って、着色のにじみや風味の低下を招くことにな
る。また、第1および第2の何れのゼリー溶液も、ゼラ
チン濃度が低すぎると十分なゲル化能を発揮できず、ゼ
ラチン濃度が高すぎると、食感が悪くなってしまう等の
問題を生じる。
第1のゼリー溶液および第2のゼリー溶液のうち、どち
らか一方もしくは両方のpH値を、そのゼリー溶液に含
まれるゼラチンの等電点以下にしておくことが好まし
い。一般に使用されるゼラチンの等電点は、アルカリ処
理ゼラチンではpH5±0.1程度、酸処理ゼラチンで
はpH6.8〜9.0程度である。ゼリー溶液のpH値
を調整するには通常の食品製造に用いられている各種の
pH調整剤が使用される。このようなゼリー溶液のpH
値の調整は、ゼリー溶液に含まれる着色料が溶液中でマ
イナスにチャージするものの場合に優れた効果を発揮す
る。
なお、ゼリー溶液のpH値がゼラチンの等電点に近くな
り過ぎると、ゼラチンが白濁を起こすので、ゼリー溶液
のpH値はゼラチンが白濁を起こさない程度にゼラチン
の等電点から離れた値に設定するのが好ましい。ゼラチ
ンの白濁は、ゼリー本体となる第1のゼリー溶液の場合
に特に問題となるので、白濁を起こさないようにするの
が好ましい。
上記のような第1および第2のゼリー溶液を用いて、ゼ
リー食品を製造する。まず、第1のゼリー溶液を冷却し
ながら撹拌する。冷却手段および冷却条件は通常のゼリ
ー食品の場合と同様でよい。具体的には、ゼリー溶液を
収容した容器を氷冷する等の方法が採用される。撹拌手
段も、通常の食品製造用の撹拌器等が用いられるが、こ
の発明の場合、第1のゼリー溶液中で粒状をなす第2の
ゼリー溶液が独立した状態で均一に散らばって浮遊する
程度の流動状態が形成されればよく、第1のゼリー溶液
と第2のゼリー溶液が混じり合ってしまい程の強い撹拌
は好ましくない。
第1のゼリー溶液および第2のゼリー溶液は、何れもゲ
ル化する少し手前の段階まで冷却していることが好まし
い。すなわち、両方のゼリー溶液の温度を、それぞれに
含まれるゼラチンの種類等により決まるゲル化温度より
も少し高い程度の温度まで冷却してから、第1のゼリー
溶液中に第2のゼリー溶液を滴下する。具体的な冷却温
度は、ゼリー溶液の配合によっても異なるが、一般的
に、第1のゼリー溶液は15〜25℃程度まで冷却し、
第2のゼリー溶液は25〜30℃程度に冷却しておくの
が好ましい。ゼリー溶液の温度が高すぎると、第1のゼ
リー溶液と第2のゼリー溶液と混ざり合ってしまい、得
られたゼリー食品に、ゼリー本体と粒状ゼリーの明確な
模様が形成できない。但し、第1のゼリー溶液のゲル化
が進み過ぎると撹拌が行えなくなり、また、第2のゼリ
ー溶液がゲル化を起こすと滴下作業が行えず、滴下した
後で奇麗な球状の粒にまとまらない。
第2のゼリー溶液を滴下する手段は、適当なノズル等を
用いて、適量づつのゼリー溶液を落下させることができ
ればよい。滴下ノズルの口径やゼリー溶液の滴下量を調
整することによって、形成される粒状ゼリーの大きさを
調節できる。また、第2のゼリー溶液のゼラチン濃度に
よっても、形成される粒状ゼリーの大きさを調整でき
る。
第1のゼリー溶液中に滴下された第2のゼリー溶液は、
表面張力等の作用で、ほぼ球形の粒状にまとまった状態
で、第1のゼリー溶液に浮遊した状態で撹拌移動させら
れる。撹拌の強さによって、第2のゼリー溶液の形は変
わり、完全な球形のほか、楕円球形や涙形のものも形成
できる。この状態で、第1のゼリー溶液および第2のゼ
リー溶液がゲル化すれば、第1のゼリー溶液からなるゼ
リー本体の中に、第2のゼリー溶液からなる粒状ゼリー
が均一に散らばって浮遊した状態のゼリー食品が製造さ
れる。
なお、上記製造方法において、第2のゼリー溶液として
は、1種類のゼリー溶液のみを用いてもよいが、複数種
類のゼリー溶液を用いて、順次第1のゼリー溶液中に滴
下させれば、ゼリー本体と複数の異なる粒状ゼリーとか
らなる3種類以上の味または色を有するゼリー食品を製
造することもできる。
〔作 用〕
第1のゼリー溶液を冷却かつ撹拌しながら、この第1の
ゼリー溶液よりもゼラチン濃度の高い第2のゼリー溶液
を第1のゼリー溶液中に滴下すると、第2のゼリー溶液
は小さな粒状にまとまって第1のゼリー溶液中に浮遊し
た状態で散らばる。第1のゼリー溶液が冷却されてゲル
化し、さらに第2のゼリー溶液も第1のゼリー溶液を介
して冷却されてゲル化すれば、第2のゼリー溶液からな
る粒状ゼリーが、第1のゼリー溶液からなるゼリー本体
の中に浮遊して均一に散らばった状態で一体化されたゼ
リー食品が得られる。
第1のゼリー溶液を撹拌していれば、第2のゼリー溶液
が沈んだり浮き上がったりすることはない。そして、第
1のゼリー溶液がある程度ゲル化してしまえば、第2の
ゼリー溶液が移動することはなくなるので、ゼリー本体
中に粒状ゼリーが良好に散らばって浮遊した状態に製造
することができる。
上記方法において、第1のゼリー溶液および第2のゼリ
ー溶液のうち少なくとも一方のpH値を、ゼリー溶液に
含まれるゼラチンの等電点以下にしておくと、色のにじ
みを良好に防止でき、特に、製造後長期間を経ても色の
にじみが発生しなくなる。
これは、pH値をゼラチンの等電点以下にしておくこと
によりプラスにチャージされたゼラチン分子が、通常マ
イナスにチャージされていることが多い色素分子と凝集
反応を起こす結果、色素の水分中への移行が不可能にな
り、ゼリー本体と粒状ゼリーの間における色のにじみが
無くなるものと考えられる。
〔実施例〕
ついで、この発明の実施例を、図面を参照しながら以下
に説明する。
第1図は製造方法を模式的に表しており、適当な容器1
0に第1のゼリー溶液20を収容した状態で、回転式の
撹拌羽根を備えた撹拌器30をゼリー溶液20中に投入
して撹拌する。容器10全体は周囲から氷冷しておく。
第1のゼリー溶液20が、ゲル化する少し手前まで冷却
されると、容器10の上方に設けられた滴下ノズル40
から、第1のゼリー溶液20の水面に第2のゼリー溶液
50を滴下する。第2のゼリー溶液50も滴下が可能な
程度でゲル化する少し手前の状態まで冷却されている。
第1のゼリー溶液20に滴下された第2のゼリー溶液
は、自らの表面張力等の作用で、ほぼ球形の粒状にまと
まった状態で、第1のゼリー溶液20の撹拌流動にした
がって移動する。第1のゼリー溶液20が流動していれ
ば、第2のゼリー溶液50は容器の底に沈んだり、液面
に浮かんだりすることなく、第1のゼリー溶液20中に
浮遊した状態になる。第2のゼリー溶液50を必要量だ
け滴下し、第1のゼリー溶液20がある程度ゲル化し
て、撹拌しなくても第2のゼリー溶液50が沈んだり浮
かび上がったりしない状態になれば、撹拌器30を取り
出した後、第1および第2のゼリー溶液20、50を最
終段階まで冷却してゲル化させる。
第2図は、上記のようにして製造されたゼリー食品の断
面構造を示しており、第1のゼリー溶液20からなるゼ
リー本体22の内部に、第2のゼリー溶液50からなる
粒状ゼリー52が、均一に散らばった状態で存在してい
る。このようにして製造されたゼリー食品は、容器10
の上面に蓋をして密封すれば、このまま流通販売に供す
ることができる。すなわち、製造用の容器10を包装容
器としても兼用できるのである。また、大きな製造用容
器10でまとめて大量のゼリー食品を製造することもで
きる。すなわち、大きな容器内で、第2のゼリー溶液5
0を第1のゼリー溶液20に滴下した後、第1のゼリー
溶液20が完全にゲル化する前の段階で、別の小さな包
装容器等に移し変えて包装容器中で最終段階までゲル化
させるようにしておけば、大量のゼリー食品を能率的に
製造することができ、工業的生産に適した方法となる。
つぎに、上記のような方法でゼリー食品を製造した具体
的実施例について説明する。
−実施例1− <第1のゼリー溶液> アルカリ処理ゼラチン2gを秤量し、水78mlを加えて
20分間膨潤させた後、50℃で20分間かけて溶解さ
せた。これに、グラニュー糖20gおよび香料を適量加
えた。pHを3.0に調整した後、ゲル化の少し手前ま
で冷却した。得られたゼリー溶液のゼラチン濃度は2%
である。ここで用いたアルカリ処理ゼラチンの等電点は
pH約5.0であった。
<第2のゼリー溶液> 第1のゼリー溶液と同じアルカリ処理ゼラチン10gを
秤量し、水30mlを加えて20分間膨潤させた後、50
℃で20分間かけて溶解させた。これに、グラニュー糖
10gおよび香料、色素を適量加えた。pHを3.0に
調整した後、ゲル化の少し手前まで冷却した。得られた
ゼリー溶液のゼラチン濃度は20%である。
色素としては、下記の中から適宜選択して使用した。
緑色3号(ファストグリーンFCF) 青色2号(インジコカルミン) 黄色4号(タートラジン) 黄色5号(サンセットイエローFCF) 赤色102号(ニューコクシン) <ゼリー食品の製造> 第1のゼリー溶液を、氷冷しながら撹拌し、第2のゼリ
ー溶液を滴下した。第1および第2のゼリー溶液がゲル
下するまで冷却してゼリー食品が得られた。得られたゼ
リー食品を、冷蔵保存しておき、一定期間経過後に、ゼ
リー食品の状態を観察して品質性能を評価した。また、
上記実施例において、第1および第2のゼリー溶液のp
H値を種々に変更して、それぞれゼリー食品を製造し
て、同様の試験を行った。
第1表に試験結果を示している。表中、色のにじみは、
3日経過後に観察して下記の基準で評価した。
○ …にじみ無し △ …わずかににじみ有り × …にじみ有り ××…にじみ多い 白濁は、製造直後に観察して、下記の基準で評価した。
○…白濁無し △…わずかに白濁有り ×…白濁有り 上記試験の結果、この実施例では、第1のゼリー溶液の
pH値をゼラチンの等電点(pH5.0)よりも小さく
しておくことが好ましいことが判る。また、第1のゼリ
ー溶液のpH値がゼラチンの等電点であると、ゼリー溶
液が白濁しており、食品としての商品価値が損なわれる
ことも判る。
−実施例2− 実施例1において、第1および第2のゼリー溶液に用い
るゼラチンを、酸処理ゼラチン(等電点約7.0)に変
えた以外は実施例1と同様の方法でゼリー食品を製造
し、その経時変化を測定した。第2表に試験結果を示し
ている。
上記試験の結果、酸処理ゼラチンの場合も、第1のゼラ
チン溶液のpH値をゼラチンの等電点(pH7.0)よ
りも小さくしておくことが好ましいことが判る。また、
実施例2.7をみれば、第1のゼラチン溶液のpH値を
ゼラチンの等電点よりも大きくても、第2のゼラチン溶
液のpH値をゼラチンの等電点よりも小さくしておけば
良好な結果が得られることが判る。
−実施例3− 実施例1において、第1のゼリー溶液に用いるゼラチン
を、酸処理ゼラチン(等電点約7.0)に変えた以外は
実施例1と同様の方法でゼリー食品を製造し、その経時
変化を測定した。第3表に試験結果を示している。
実施例3.7をみれば、アルカリ処理ゼラチンと酸処理
ゼラチンを組み合わせても良好な結果が得られることが
判る。また、第1のゼリー溶液のpH値がゼラチンの等
電点以上でも、第2のゼリー溶液のpH値がゼラチンの
等電点以下であれば、良好な結果が得られることが判
る。
−実施例4− 実施例1において、第2のゼリー溶液に用いるゼラチン
を、酸処理ゼラチン(等電点約7.0)に変えた以外は
実施例1と同様の方法でゼリー食品を製造し、その経時
変化を測定した。第4表に試験結果を示している。
この実施例では、第1のゼリー溶液にアルカリ処理ゼラ
チン、第2のゼリー溶液に酸処理ゼラチンを用いた場
合、ゼリー溶液のpH値に関わらず、色のにじみがない
ことが判る。これは、第2のゼリー溶液に用いて酸処理
ゼラチンは、その等電点分布がアルカリ処理ゼラチンに
比べて広いため、ゼリー溶液のpH値が平均等電点より
も少しぐらい大きくても、ゼラチン分子の中にはプラス
にチャージしたものも存在することになり、このプラス
にチャージしたゼラチン分子が色素と凝集反応を起こし
て、色のにじみを防ぐためであると考えられる。特に、
実施例4.9では、ゼリー溶液の濃度差により、ゼリー
本体側の水分が粒状ゼリー側に移行する結果、粒状ゼリ
ーのpH値が下がり、ゼラチンのうちプラスにチャージ
される部分が増えて色素との凝集反応が起こり、色のに
じみが抑制されたものと考えられる。
−実施例5− 第2のゼリー溶液として、ゼラチンの他に寒天を含むも
のを製造して、前記実施例と同様の試験を行った。
<第1のゼリー溶液> 実施例1と同じ材料および工程で、アルカリ処理ゼラチ
ンを含むゼリー溶液を製造した。
<第2のゼリー溶液> 寒天0.5gを秤量し、34.5mlを水を加え、約20
分間かけて煮沸溶解させた。ここに5gのアルカリ処理
ゼラチンを加え、約20分間かけて溶解させた。つぎ
に、グラニュー糖10gおよび香料、色素を適量加え
た。pHを3.0に調整した後、ゲル化の少し手前まで
冷却した。得られたゼリー溶液のゼラチン濃度は10%
である。
ゼリー食品の製造工程および試験方法は、前記実施例と
全く同様に行った。第5表に試験結果を示している。
−実施例6− 実施例5において、第1および第2のゼリー溶液に用い
るゼラチンを、酸処理ゼラチン(等電点約7.0)に変
えた以外は実施例5と同様の方法でゼリー食品を製造
し、その経時変化を測定した。第2表に試験結果を示し
ている。表中、色のにじみは、5日間経過後に観察して
評価した。
−実施例7− 実施例5において、第2のゼリー溶液に用いるゼラチン
を、酸処理ゼラチン(等電点約7.0)に変えた以外は
実施例5と同様の方法でゼリー食品を製造し、その経時
変化を測定した。第7表に試験結果を示している。
−実施例8− 実施例5において、第1のゼリー溶液をタートラジン
(黄色4号)で着色し、第2のゼリー溶液をファストグ
リーン(緑色3号)で着色した以外は、実施例5と同様
にしてゼリー食品を製造した。すなわち、ゼリー本体と
粒状ゼリーの両方に着色を施した。前記同様の試験を行
ったところ、2週間経過後も色のにじみは全く生じなか
った。
〔発明の効果〕
以上に述べた、この発明にかかるゼリー食品の製造方法
によれば、第1のゼリー溶液を冷却かつ撹拌しながら、
第1のゼリー溶液よりもゼラチン濃度の高い第2のゼリ
ー溶液を滴下することにより、第1のゼリー溶液からな
るゼリー本体内に、第2のゼリー溶液からなる粒状ゼリ
ーが均一に散らばって浮遊した状態で配置されたゼリー
食品を製造することができる。
ゼリー本体と粒状ゼリーのゲル化工程が、同時に1工程
で行われるので、従来のように、予め型に流して固めた
ゼリー部分や細かく裁断したゼリー小片を別の工程で製
造した後、ゼリー本体のゲル化工程で混入させる方法に
比べて、作業工程が簡略化でき作業能率もはるかに向上
する。
しかも、予め加工するのでは製造困難な球形等をした小
さな粒状ゼリーをゼリー本体に均一に配置することがで
きるので、従来の製造方法では得られない、全く新しい
独特の優れた外観あるいは意匠性を備えたゼリー食品を
提供することができる。
特に、第2のゼラチン溶液のゼラチン濃度を第1のゼラ
チン溶液よりも高くしておくことにより、第2のゼラチ
ン溶液を第1のゼラチン溶液に滴下しても、混ざり合っ
てしまうことはなく、第2のゼラチン溶液が独立した粒
状ゼリーとしてゼリー本体中に配置されることになる。
しかも、ゼリー食品を製造後に、長期間保存しておいて
も、粒状ゼリーとゼリー本体の着色等が混ざり合うこと
もないので、色のにじみや配合成分の混合を起こさず、
ゼリー本体と粒状ゼリーとが外観的および風味や食感の
上で明確に異なったものとなり、それぞれの特徴を有効
に発揮することができる。
また、第1のゼリー溶液および第2のゼリー溶液のうち
少なくとも一方のpH値を、ゼリー溶液に含まれるゼラ
チンの等電点以下にしておけば、色のにじみ等がより確
実に防止され、ゼリー本体と粒状ゼリーとの外観あるい
は風味や食感の上での明瞭なコントラストを、長期間に
わたって良好に発揮することができ、流通販売に供する
食品としての商品価値を著しく高めることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の実施例を示す製造途中の概略説明
図、第2図は製造されたゼリー食品の断面図である。 20……第1のゼリー溶液、22……ゼリー本体、30
……撹拌器、40……滴下ノズル、50……第2のゼリ
ー溶液、52……粒状ゼリー

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゲル化剤としてゼラチンを含む第1のゼリ
    ー溶液を冷却かつ撹拌しながら、この第1のゼリー溶液
    よりもゼラチン濃度の高い第2のゼリー溶液を第1のゼ
    リー溶液中に滴下し、第1のゼリー溶液中に粒状をなす
    第2のゼリー溶液を浮遊させた状態で、第1および第2
    のゼリー溶液をゲル化させるゼリー食品の製造方法。
  2. 【請求項2】第1のゼリー溶液および第2のゼリー溶液
    のうち少なくとも一方のpH値を、ゼリー溶液に含まれ
    るゼラチンの等電点以下にしておく請求項1記載のゼリ
    ー食品の製造方法。
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