JP2002125602A - ゼリー食品及びその製造方法 - Google Patents

ゼリー食品及びその製造方法

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JP2002125602A
JP2002125602A JP2000319400A JP2000319400A JP2002125602A JP 2002125602 A JP2002125602 A JP 2002125602A JP 2000319400 A JP2000319400 A JP 2000319400A JP 2000319400 A JP2000319400 A JP 2000319400A JP 2002125602 A JP2002125602 A JP 2002125602A
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food
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Yoshikazu Aoki
美和 青木
Toshiaki Shiotani
敏明 塩谷
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Snow Brand Milk Products Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外観は単一のゼリー食品のようであるが、食
していく過程で内部に別のゼリーが現れてくる内包型構
造を有するゼリー食品及びその製造方法を提供するこ
と。 【解決手段】 外層ゼリーの内部に異なる組成の内層ゼ
リーが存在する内包型構造を有するゼリー食品であっ
て、外層ゼリーにネイティブジェランガムが配合されて
いることを特徴とするゼリー食品。ネイティブジェラン
ガムを0.03〜0.4重量%配合した外層用ゼリーミックス
を容器に充填し、次いで内層用ゼリーミックスを外層用
ゼリーミックスの温度と等しいかより高い温度で充填し
た後、冷却してゲル化させることを特徴とする内包型構
造を有するゼリー食品の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外層ゼリーの内部
に異なる組成の内層ゼリーが存在する内包型構造を有す
るゼリー食品とその製造方法に関する。詳細には、外層
にネイティブジェランガムを配合したゼリー食品及びそ
の製造方法に関する。本発明により、外観は単一のゼリ
ー食品のようであるが、食していく過程で内部に別のゼ
リーが現れてくる内包型構造を有するゼリー食品が簡便
に得られる。
【0002】
【従来の技術】従来より、内部に餡が入った饅頭などの
内包型菓子が数多く市販されている。これらは、古くか
ら、菓子職人等の手作りにより製造されてきたものであ
り、量産には適したものではなく、コスト低減は難しか
った。そこで、内包型菓子を工業的に大量生産するため
の方法が種々提案されている。例えば、内部に入れる食
品を別に成型しておき、該成型した食品を外層用ゲル形
成性食品ミックスがゲル化する前に内部に入れるか、も
しくは成型した食品を先に容器に入れ、その上からゲル
形成性食品ミックスを流し入れてゲル化させる製造方法
がある(例えば、特開昭62-248463 号公報、特開平 6-9
8702 号公報など)。しかし、これらは内部に入れる食
品を別工程で調製しなければならず、工程が複雑である
という問題があった。
【0003】そこで、簡便な工程で、外観は単一のゼリ
ー食品のようであるが、食していく過程で内部に別のゼ
リーが現れてくる内包型構造を有するゼリー食品を製造
する方法として、外層にゼラチン、内層にネイティブジ
ェランガムを配合した層状ゼラチンゼリー菓子の製造方
法(特開平10-286070号公報)が提案されている。しか
し、このゼリー食品は、ゲル化剤として外層にゼラチ
ン、内層にネイティブジェランガムを使用するものであ
って、ゲル化剤を自由に選択することができず、ゼリー
食品としての食感が限定されたものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況に鑑みて開発されたものであり、簡便な方法で且つ
工業的生産が可能で、しかも、ゲル化剤を自由に選択す
ることができる、外観は単一のゼリー食品のようである
が、食していく過程で内部に別のゼリーが現れてくる内
包型構造を有するゼリー食品及びその製造方法を提供す
ることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を行ったところ、外層ゼリーにネ
イティブジェランガムを0.03〜0.4重量%となるように
配合し、充填順序を外層用ゼリーミックス、次いで内層
用ゼリーミックスの順とし、さらに、内層用ゼリーミッ
クスの温度を外層用ゼリーミックスの温度と等しいかあ
るいはより高い温度で充填して冷却ゲル化させることに
よって、外観は単一のゼリー食品のようであるが、食し
ていく過程で内部に別のゼリーが現れてくる内包型構造
を有するゼリー食品が得られることを見い出し、本発明
を完成するに至った。すなわち、本発明は、外層にネイ
ティブジェランガムが配合された内包型構造を有するゼ
リー食品及びその製造方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において、内包型構造を有
するゼリー食品とは、図1、2に示すような外観は単一
のゼリー食品のようであるが、食していく過程で内部に
別のゼリーが現れてくるゼリー食品をいう。本発明で
は、外層ゼリーにネイティブジェランガムを配合するこ
とを第一の特徴とする。
【0007】これに対して、従来技術である前記の特開
平10-286070号公報に記載される層状ゼリーでは、内層
ゼリーにネイティブジェランガムが配合されている。こ
の従来技術においては、ゼラチンをゲル化剤とする外層
用ゼリーミックスを溶解して容器に充填し冷却した中
に、ネイティブジェランガムを含む食品を70〜100℃で
充填することを特徴としている。この方法では、ネイテ
ィブジェランガムを含む食品がゼラチンゼリー内を沈降
し広がろうとする動きが、ゼラチンゼリーにより冷却さ
れることでネイティブジェランガムの流動性が小さくな
って抑えられる結果、外観は単一のゼリー食品のようで
あるが、食していく過程で内部に別のゼリーが現れてく
るゼリー食品が得られるものである。
【0008】一方、本発明では、外層ゼリーにネイティ
ブジェランガムを配合している。本発明は、外層ゼリー
にネイティブジェランガムを配合し、内層用ゼリーミッ
クスを外層用ゼリーミックスの温度と等しいかあるいは
より高い温度で充填することにより、図1、2に示すよ
うな内包型構造を有するゼリー食品を得ることを特徴と
するものである。このような構成を採用することによ
り、内包型構造を有するゼリー食品が簡便に得られる理
由は明らかではないが、ネイティブジェランガムが配合
された外層用ゼリーミックスを溶解して容器に充填し、
その外層用ゼリーミックスが未だ溶解している間に、そ
の外層用ゼリーミックスと等しいかあるいはより高い温
度に保持された内層用ゼリーミックスを充填すること
で、内層用ゼリーミックスの周囲にある外層用ゼリーミ
ックスの温度が高まり粘度が下がって内層用ゼリーミッ
クスを包み込むために、内層ゼリーをネイティブジェラ
ンガムを含む外層ゼリーが抱き込んだ内包型構造を有す
るゼリー食品を得ることができるものであると考えられ
る。ネイティブジェランガム以外の増粘多糖類や澱粉等
を外層用ゼリーミックスに配合して同様の粘度を賦与し
ても、内包型構造を有するゼリー食品は得られず、この
特性はネイティブジェランガムに特有のものであると考
えられる。
【0009】本発明におけるネイティブジェランガムと
は、グルコース2分子、グルクロン酸1分子及びラムノ
ース1分子を構成単位とする多糖類であるジェランガム
(特開昭55-79397号公報)の製造中間体もしくは前駆体
として得られる高分子アシル化合物で、一般に微生物の
培養によって生産されるものである。ジェランガムは、
微生物を培養して得られる粘質性培養物から脱アシル化
処理をして得られるものであるが、ネイティブジェラン
ガムは、脱アシル化処理をすることなくそのまま単離・
回収して得られるもので、従来のジェランガムとは全く
異なる性質を有しているものである。
【0010】外層ゼリーへのネイティブジェランガムの
配合量としては、外層用ゼリーミックスに0.03〜0.4重
量%となるように配合する。ネイティブジェランガム濃
度が0.03重量%より低いと内層用ゼリーミックスの充填
時に二種のゼリーミックスが混合してしまい、本発明の
ゼリー食品は得られず、また、0.4重量%よりも高いと
外層用ゼリーミックスが高温でゲル化してしまうため
に、上層が外層用ゼリーミックス配合で下層が内層用ゼ
リーミックス配合の上下二層のゼリー食品となってしま
い、本発明のゼリー食品は得られにくいからである。
【0011】外層ゼリーには、ネイティブジェランガム
の他に任意のゲル化剤を配合することができる。ネイテ
ィブジェランガムは、通常はゲル化剤として用いられ、
0.12重量%以上の濃度で見た目で判別できるゲルを形成
するが、0.03〜0.4重量%の濃度範囲では、ネイティブ
ジェランガムはゼリーの食感にほとんど影響を与えず、
別に配合したゲル化剤に起因する食感となる。本発明で
は、ネイティブジェランガムをゲル化剤としてではな
く、ネイティブジェランガムがゲル化しない領域での性
質を利用するために配合するので、ゼリー食品のゲル化
剤は他に自由に選択できる。つまり、本発明は、外層ゼ
リーと内層ゼリーとに異なるゲル化剤を自由に組み合わ
せて使用することができるので、外層ゼリーと内層ゼリ
ーとに様々な食感を与えることができるという特徴を有
している。他に配合することのできるゲル化剤は、キサ
ンタンガム、寒天、ローカストビーンガム、グルコマン
ナン、デンプン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、ゼ
ラチン、ジェランガム等である。内層ゼリーに配合でき
るゲル化剤も、特に制限されず、通常のゼリー食品に用
いられるゲル化剤、すなわち、上述したキサンタンガ
ム、寒天、ローカストビーンガム、グルコマンナン、デ
ンプン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、ゼラチン、
ジェランガム等を配合することができる。内層ゼリーに
も外層ゼリーにも、その他の食品、例えば脱脂粉乳やイ
ンスタントコーヒー、果汁、果肉等や、糖類、香料及び
着色料等を配合してもよい。また、内層用ゼリーミック
スも外層用ゼリーミックスもホイップしたり気泡を保持
させたりしたものを用いてもよい。
【0012】本発明の内包型構造を有するゼリー食品を
得るには、内層用及び外層用ゼリーミックスの充填順序
及び充填温度が重要である。充填順序については、まず
外層用ゼリーミックスを充填し、次いで内層用ゼリーミ
ックスを充填する。充填順序を内層用ゼリーミックス、
次いで外層用ゼリーミックスの順序で行うと、二種のゼ
リーミックスが混ざり合ったり、上下の二層ゼリー食品
となり、内包型構造を有するゼリー食品は得られない。
充填の仕方は、外層用ゼリーミックスを充填した容器上
方から容器中心部に内層用ゼリーミックスを充填しさえ
すれば良く、特別の工夫を要しない。
【0013】充填温度については、後から充填する内層
用ゼリーミックス温度を、外層用ゼリーミックス温度と
等しいかあるいはより高い温度にして充填する必要があ
る。充填温度が等しいかもしくは温度差が5℃未満であ
る場合には、図2に示すように、一応は内包型構造を有
しているが上下二層に近いゼリー食品となることから、
内層用ゼリーミックス温度が外層用ゼリーミックス温度
よりも5℃以上高いことがより望ましい。温度差が5℃
以上であれば、図1に示すような綺麗な内包型構造を有
するゼリー食品を得ることができる。また、内層用ゼリ
ーミックス温度が外層用ゼリーミックス温度よりも低い
場合には、図3に示すように下面に内層ゼリーが現れた
り、図4に示すように上面と下面の両方に内層ゼリーが
現れた二重円柱形のゼリー食品となり、本発明のゼリー
食品は得られない。
【0014】さらにまた、外層用ゼリーミックスにネイ
ティブジェランガムを0.03〜0.4重量%配合して、内層
用ゼリーミックスを外層用ゼリーミックスの温度と等し
いかあるいはそれより高い温度で充填したとしても、外
層用ゼリーミックスの充填温度によっては、内包型構造
が得られないことがある。よって、本発明でさらに定常
的に確実に内包型構造を有するゼリー食品を得るために
は、外層用ゼリーミックスの充填温度を外層用ゼリーミ
ックスに配合されたネイティブジェランガムの濃度に応
じて調整することが好ましい。
【0015】本発明のゼリー食品は、内層ゼリー、外層
ゼリーともにゲル化剤を自由に選択することができるこ
とが特徴である。例えば、くず桜風や大福風のゼリー食
品の他に、内層ゼリーに凍結解凍製法によって組織化さ
れるようなゲル化剤配合を選択することにより(特願平
11−39054号参照)、無花果(イチジク)果実のような
色も食感も異なる二層構造、すなわち、赤色で種があり
粒々した食感を有する内層ゼリーと、白色でふわっと柔
らかい外層ゼリーで構成されるような、より本物果実に
類似した果実状ゼリー食品も製造することができ、得ら
れる内包型構造を有するゼリー食品の種類は多種多様で
ある。
【0016】次に、試験例及び実施例を示し、本発明を
さらに詳細に説明する。
【試験例1】表1に示す配合に基づき、液糖にネイティ
ブジェランガム及び寒天を分散して加水し、加熱溶解さ
せて11種類の外層用ゼリーミックスを調製した。これ
らのゼリーミックスについて、様々な温度での粘度をB
型粘度計(芝浦システム;ビストロン粘度計VDA-L)を
使用し、No.3ロータで60rpm、1分間回転させて測定し
た。その結果の一部を図5に示した。
【表1】
【0017】これによると、ネイティブジェランガム濃
度が高くなるにつれてゲル化(増粘)温度は高温側にシ
フトし、0.5重量%配合した場合にはゲル化温度は約80
℃であった。本発明のゼリー食品では、まず、外層用ゼ
リーミックスを充填して、次いで内層用ゼリーミックス
を外層用ゼリーミックスの温度と等しいかあるいはより
高い温度、好ましくはそれよりも5℃以上高い温度で充
填する必要がある。すなわち、外層用ゼリーミックス温
度が80℃以上となるような場合には、内層用ゼリーミッ
クス温度が85℃以上であることが好ましくなる。しかし
ながら、ゼリー製造工程における充填温度は、糖類、果
汁、及び香料等の劣化抑制のため、さらには作業面の安
全性から、より低い温度であることが好ましく、50〜75
℃が一般的である。本発明において、内層用ゼリーミッ
クスを一般的な上限温度である75℃で充填しようとする
ときには、外層用ゼリーミックスを70℃以下で充填する
のが好ましい。図5によると、外層用ゼリーミックスが
70℃でゲル化しないためには、ネイティブジェランガム
の配合量が0.4重量%を超えないことが必要である。こ
のことから、ネイティブジェランガムを0.4重量%を超
えて配合することは、実用的な製造方法とはいえない。
【0018】
【試験例2】表1に示す配合に基づき、液糖にネイティ
ブジェランガム及び寒天を分散して加水し、加熱溶解さ
せて11種類の外層用ゼリーミックスを調製した。ま
た、表2に示す配合に基づき、同様にして内層用ゼリー
ミックスを調製した。それぞれのネイティブジェランガ
ム配合量の外層用ゼリーミックスを表3に示した温度で
容器に50gを充填し、直ちにこのゼリーミックスよりも5
℃高い温度で内層用ゼリーミックス50gを充填した後、
冷却してゲル化させてゼリー食品を製造し、得られたゼ
リー食品の性状について観察した。その結果を表3に示
す。なお、表中のA、B及びCは、それぞれ内包型構造
を有するゼリー食品、上下二層のゼリー食品、及び二種
のミックスが混じり合った単一層のゼリー食品を示す。
また、空欄は、外層用ゼリーミックスがゲル化したため
に、製造を行っていないことを示す。
【表2】
【表3】
【0019】これによると、外層用ゼリーミックスにつ
いて、ネイティブジェランガムの配合が0.03重量%未満
の場合には、単一層のゼリー食品になり、内包型構造の
ゼリー食品は得られなかった。試験例1と試験例2の結
果から、内包型構造を有するゼリー食品を得るために外
層用ゼリーミックスに配合するネイティブジェランガム
量は、0.03〜0.4重量%が適当であることが分かった。
【0020】さらに、試験例2の結果から、ネイティブ
ジェランガムの配合量が0.03重量%以上であっても外層
用ゼリーミックスをある温度より高い温度で充填した場
合には、単一層のゼリー食品になり、また、ネイティブ
ジェランガムの配合量が0.03重量%以上であっても、外
層用ゼリーミックスをある温度より低い温度で充填した
場合には、上下二層のゼリー食品となり、内包型構造を
有するゼリー食品は得られないことが分かった。例え
ば、表3によるとネイティブジェランガムの配合量が0.
05重量%の場合には、外層用ゼリーミックスを55〜65℃
の温度で充填する場合には内包型構造を有するゼリー食
品が得られるが、55℃未満であると上下二層のゼリー食
品になり、65℃を超えると単一層のゼリー食品になる。
このことから、本発明の内包型構造を有するゼリー食品
を得るためには、外層用ゼリーミックスにネイティブジ
ェランガムを0.03〜0.4重量%配合して、内層用ゼリー
ミックスを外層用ゼリーミックスの温度と等しいかある
いはより高い温度で充填するのみでなく、ネイティブジ
ェランガムの濃度に応じて外層用ゼリーミックスの充填
温度を適当な範囲に調整するのが好ましいことも分かっ
た。
【0021】試験例1及び試験例2で得られた結果をま
とめて表4に示す。なお、表中のA、B及びCは、それ
ぞれ内包型構造を有するゼリー食品、上下二層のゼリー
食品、及び二種のミックスが混じり合った単一層のゼリ
ー食品を示す。また、表中の数字は粘度(mPa・s)を示
す。
【表4】
【0022】これによると、試験例1及び試験例2にお
いては、外層用ゼリーミックスの粘度が40〜300mPa・s
であれば、内包型構造を有するゼリー食品が得られてい
るが、粘度がこの範囲をはずれると、単一層あるいは上
下二層のゼリー食品になってしまっている。なお、試験
例1及び試験例2では、外層用ゼリーミックスの粘度に
寄与するのはネイティブジェランガムのみであるが、外
層用ゼリーミックスにネイティブジェランガム以外の増
粘多糖類のような粘度を増加させる成分がさらに添加さ
れるときには、それらの成分による粘度が加わってくる
ので、内包型構造を有するゼリー食品を得るために適当
な外層用ゼリーミックスの適正粘度範囲は異なってく
る。
【0023】
【比較例1】表5に示す配合に基づき、試験例1のネイ
ティブジェランガムの代わりにキサンタンガム、ローカ
ストビーンガムを用いてゼリーミックスA、タピオカ澱
粉を用いてゼリーミックスBの2種類の外層用ゼリーミ
ックスを調製し、試験例1と同様にして、様々な温度で
の粘度を測定した。その結果を図6に示す。これらの外
層用ゼリーミックスの粘度は、何れも試験例2で内包型
構造を有するゼリー食品を形成する適正粘度範囲であっ
た。これらの外層用ゼリーミックスと表2で示した内層
用ゼリーミックスを、試験例2と同様にして様々な温度
で容器に充填、冷却ゲル化させてゼリー食品を製造し、
得られたゼリー食品の性状について観察した。得られた
ゼリー食品は、いずれも図4に示すように上面と下面の
両方に内層ゼリーが現れた二重円柱形の構造を有してい
て、内包型構造を有するゼリー食品は得られなかった。
このことは、外層用ゼリーミックスに粘度を賦与しただ
けでは、本発明のゼリー食品は得られず、ネイティブジ
ェランガムを外層用ゼリーミックスに配合することが必
要であることを示している。
【表5】
【比較例2】表6に示す配合に基づき、試験例1のネイ
ティブジェランガムの代わりにジェランガムを用いて、
11種類の外層用ゼリーミックスを調製し、試験例1と
同様にして、様々な温度での粘度を測定した。その結
果、外層用ゼリーミックスの粘度は、ジェランガム濃度
及び温度に依存せず、いずれも約15mPa・sであった。こ
れらの外層用ゼリーミックスと表2に示した内層用ゼリ
ーミックスを、試験例2と同様にして様々な温度で容器
に充填、冷却ゲル化させてゼリー食品を製造し、得られ
たゼリー食品の性状について観察した。得られたゼリー
食品は、内層ゼリーと外層ゼリーが混和した単一層の構
造を有していた。このことは、ネイティブジェランガム
を脱アシル化したジェランガムでは、本発明のゼリー食
品は得られないということを示している。
【表6】
【0024】
【実施例1】表7に示す配合に基づき、液糖にネイティ
ブジェランガム、グルコマンナン及びキサンタンガムを
分散し加水して加熱溶解させ、脱脂粉乳、乳化剤及び香
料を混合して、外層用ゼリーミックスを調製した。
【表7】 また、表8に示す配合に基づき、液糖及び粉末水飴に寒
天を分散し加水して加熱溶解させ、インスタントコーヒ
ー及び香料を混合して、内層用ゼリーミックスを調製し
た。
【表8】 外層用ゼリーミックス60gを70℃で容器に充填し、次い
で内層用ゼリーミックス50gを75℃で充填した後、冷却
ゲル化させて本発明のゼリー食品を製造した。このよう
にして得られた本発明のゼリー食品は、外層が餅状食感
を有するミルクゼリーで、内層が外層とは異なる食感を
有するコーヒーゼリーであり、ゼリーが餅に被覆された
ゼリー大福ともいえる新規なゼリー食品であった。ま
た、本ゼリー食品は、外観は単一のゼリー食品のようで
あるが、食していく過程で内部にコーヒーゼリーが現れ
てくるもので、味覚面のみならず視覚面においても楽し
めるゼリー食品であった。
【0025】
【実施例2】表9に示す配合に基づき、液糖にネイティ
ブジェランガム、寒天、キサンタンガム及びローカスト
ビーンガムを分散し加水して加熱溶解させ、香料を混合
して、外層用ゼリーミックスを調製した。
【表9】 また、表10に示す配合に基づき、液糖にジェランガ
ム、キサンタンガム及びローカストビーンガムを分散し
加水して加熱溶解させ、果汁、無花果(イチジク)ペー
スト、乳酸カルシウム及び香料を混合して、内層用ゼリ
ーミックスを調製した。
【表10】 外層用ゼリーミックス50gを55℃で容器に充填し、次い
で内層用ゼリーミックス50gを60℃で充填した後、-20℃
の凍結庫で4時間放置して凍結させ、解凍させて本発明
のゼリー食品を製造した。このようにして得られた本発
明のゼリー食品は、外層ゼリーが白色で内層ゼリーが赤
色である内包型構造を有するゼリー食品であり、食べる
と外層ゼリーは繊維状の食感を有し、内層ゼリーは口中
で粒々としたゼリー片に崩れる食感を有していた。すな
わち、外層ゼリーと内層ゼリーで視覚面も味覚面も大き
く異なる、本物の無花果(イチジク)果実により類似し
たゼリー食品であった。
【0026】
【実施例3】表11に示す配合に基づき、上白糖にネイ
ティブジェランガム、寒天を分散し加水して加熱溶解さ
せ、こし餡を混合して、外層用ゼリーミックスを調製し
た。
【表11】 また、表12に示す配合に基づき、上白糖に寒天及びロ
ーカストビーンガムを分散し加水して加熱溶解させ、水
飴及び蜜漬け道明寺を混合して、内層用ゼリーミックス
を調製した。
【表12】 外層用ゼリーミックス50gを55℃の温度で容器に充填
し、次いで内層用ゼリーミックス50gを55℃で充填した
後、冷却ゲル化させて本発明のゼリー食品を製造した。
このようにして得られた本発明のゼリー食品は、外観は
通常の水羊羹のようであるが、食べ始めてから断面を見
ると図2のような内包型構造を有し、餡色の外層ゼリー
と透明で道明寺が分散された内層ゼリーとを楽しむこと
ができるゼリー食品であった。
【0027】
【発明の効果】本発明により、外観は単一のゼリー食品
のようであるが、食していく過程で内部に別のゼリーが
現れてくる内包型構造を有するゼリー食品を、簡便にか
つ工業的に提供することができた。本発明のゼリー食品
は、味覚面だけでなく視覚面においても楽しむことがで
き、さらには凍結解凍製法を適用してゼリー食品の食感
を所望の組織に変えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明品である内包型構造を有するゼリー食品
の模式図を示す。
【図2】本発明品である内層用ゼリーミックス及び外層
用ゼリーミックスを等温で充填したときの内包型構造を
有するゼリー食品の模式図を示す。
【図3】比較品である下面に内層ゼリーが現れたゼリー
食品の模式図を示す。
【図4】比較品である上面、下面の両面に内層ゼリーが
現れたゼリー食品の模式図を示す。
【図5】ネイティブジェランガムを種々の配合量とした
ゼリーミックスの粘度と温度の関係を示す。
【図6】キサンタンガムとローカストビーンガムを配合
したゼリーミックス及びタピオカ澱粉を配合したゼリー
ミックスの粘度と温度の関係を示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外層ゼリーの内部に異なる組成の内層ゼ
    リーが存在する内包型構造を有するゼリー食品であっ
    て、外層ゼリーにネイティブジェランガムが配合されて
    いることを特徴とするゼリー食品。
  2. 【請求項2】 外層ゼリーにネイティブジェランガムが
    0.03〜0.4重量%配合されている請求項1記載のゼリー
    食品。
  3. 【請求項3】 ネイティブジェランガムを配合した外層
    用ゼリーミックスを容器に充填し、次いで内層用ゼリー
    ミックスを外層用ゼリーミックスの温度と等しいかある
    いはより高い温度で充填した後、冷却してゲル化させる
    ことを特徴とする請求項1又は2記載のゼリー食品の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 外層用ゼリーミックスの充填温度を外層
    用ゼリーミックスに配合されたネイティブジェランガム
    の濃度に応じて調整することを特徴とする請求項3記載
    のゼリー食品の製造方法。
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