JPH06407A - 回転刃 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 回転刃の重量を小さくして回転刃を用いた装
置を軽量化する。 【構成】 円板状であって外周の全体に亘って刃部１０
ａを有する回転刃片１０を複数枚重ね合わせて回転軸
１，２に固着するとともに突き合わせた刃部１０ａの先
端どうしが開いた状態に刃部１０ａを曲げることでひと
つの回転刃３，４を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は回転軸に取り付けて使用
する回転刃に関し、特に古紙等の紙片を破砕する破砕装
置に使用して好適なものである。

【０００２】

【従来の技術】オフィス等で使用済みの古紙は廃却した
りあるいは再生して使用される。廃却したり再生したり
するには古紙を破砕する必要があり、そのために古紙の
破砕装置が用いられる。

【０００３】古紙の破砕装置として従来からシュレッダ
ーが用いられているが、シュレッダーは古紙に記載され
た情報の機密保持を主目的としており、古紙を１ｍｍ×
３ｍｍ程度の細片に切断する。このために紙の繊維が細
かく切断され、破砕後の紙片を再生紙の原料として利用
することはできない。また、大型の破砕装置では幅を１
０ｍｍ〜２０ｍｍ程度の大きさに切断するものも存在す
るが、上記の理由により再生紙の原料として用いること
はできない。

【０００４】このため、紙の繊維を切断しない破砕装置
として図３（ａ），（ｂ）に示す構造のものがある。図
のように水平方向へ伸びる一対の回転軸１，２が水平面
上に平行に配置され、夫々の回転軸１，２には等間隔に
複数の回転刃３，４が固着される。回転刃３，４には刃
３ａ，４ａが形成されており、回転刃３，４は軸方向で
交互配置となるようにかつ回転刃の一部が相互に重なり
合うように設けられる。

【０００５】斯かる破砕装置においては、回転刃３，４
が相互に反対方向へ回転し、回転刃３，４の上方から古
紙を投入すると古紙は自重により回転刃３，４に押圧さ
れることになるから、古紙は刃３ａ，４ａに引っ掛けら
れて噛込部５へ移動し、噛込部５にて引き裂くようにし
て破砕される。

【０００６】上記の破砕装置では、回転刃３，４の間隔
（ｂ）、回転刃３，４の厚さ（ｃ）、回転刃３，４の重
なり寸法（ｄ）、刃３ａ，４ａの先端と回転軸１，２間
の寸法（ａ）等によって古紙の破砕能力や破砕後の紙片
の大きさが変動する。また、一枚の回転刃３，４におけ
る刃３ａ，４ａの数を図４（ａ），（ｂ）に示すように
多くして円板形鋸歯のようにすれば、破砕後の紙片が帯
状となって小片になりにくい。逆に、刃３ａ，４ａの数
が２又は３のように少なすぎても破砕効率が悪く、別の
問題が生じる。

【０００７】このため、市販の鉄鋼加工用のフライスカ
ッターであって肉厚が５ｍｍ〜１２ｍｍ、歯数が１２〜
３２の回転刃３，４を利用し、ａ，ｂ，ｄの寸法を適当
に定めていた。そして、古紙を効率良く刃３ａ，４ａの
先端に引っ掛けるため、使用により摩耗した場合は刃３
ａ，４ａの先端を鋭利に再加工して使用していた。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】ところが、市販されて
いるフライスカッターは鉄鋼加工用として製作されてい
るために重量が大きくしかも価格が大であり、事務所用
の古紙の破砕装置のように軽量，小形で安価な破砕装置
を製作する場合には適当でない。

【０００９】そこで本発明は、斯る課題を解決した回転
刃を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】斯る目的を達成するため
の本発明の構成は、回転軸に装着して使用する回転刃に
おいて、円板状の板の外周全体に渡って刃部を形成し、
前記刃部を軸方向の一方側に傾斜するように折り曲げて
第１の回転刃片を形成すると共に、前記刃部を軸方向の
他方側に傾斜するように折り曲げて第２の回転刃片を形
成し、前記第１，第２の回転刃片を接合して構成したこ
とを特徴とする。

【００１１】

【作用】複数の回転刃片を重ね合わせることにより回転
刃片の厚さの総和よりも大きい厚さの回転刃を回転軸に
取り付けたのと同様に作用し、刃部の先端が例えば古紙
を引っ掛けて回転刃どうしの間へ噛み込んで引き裂く。
このため、回転刃と更には回転刃を組み込んだ装置を軽
量化できる。

【００１２】また、回転刃は半径方向に沿って一定の厚
さではなく例えば刃部の基端から先端へ向かって厚くな
る如く形成されているため、例えば厚い冊子のようなも
のを破砕する場合でも回転刃どうしの重なり合う部位の
間隙が広く確保できるので、古紙等が回転刃間に詰まっ
て回転軸が停止する虞れが少ない。

【００１３】

【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて
詳細に説明する。なお、本実施例は古紙の破砕装置に用
いる従来の回転刃の一部を改良したものなので、従来と
同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部
分のみを説明する。

【００１４】（ａ）実施例１ 本発明による回転刃の実施例１を、図１（ａ）に示す。
本実施例では、回転軸１，２に固着される回転刃３，４
が２枚の回転刃片１０によって形成される。回転刃３，
４は同一の構成なので、回転刃３についてのみ説明す
る。

【００１５】回転刃３を構成する回転刃片１０について
以下に説明する。回転刃片１０は、図１（ａ）に示すよ
うに厚さｔが１ｍｍ〜３ｍｍの鋼板を図２（ａ）又は図
２（ｂ）に示すように刃部１０ａ、貫通孔１０ｂ，キー
溝１０ｃを有する形状に加工し、更に全ての刃部１０ａ
を夫々同一の方向へ曲げたものである。ここで、刃部１
０ａは古紙を引っ掛けるために図２（ａ），（ｂ）に示
すように単に半径方向の外側へ向かってではなく、円周
方向へ傾いた方向へ向かって突出しているのが望まし
い。

【００１６】回転刃片１０を作り出すには、厚さ１ｍｍ
〜３ｍｍの鋼板をレーザカッタで切断したのちに一枚の
刃部１０ａを、軸方向での一方側へ曲げるとともに、他
の１枚を他方側へ曲げたり、あるいは回転刃片１０の形
状と対応した型を製作して刃部１０ａの曲げ加工も含め
て鋼板を打ち抜き成形することにより一回の操作で作る
こともできる。これらの２枚の回転刃片１０を重ね合わ
せて１枚の回転刃３が構成される。

【００１７】このようにして構成された回転刃を古紙の
破砕装置に使用する場合には、回転刃３どうしの間に
は、回転刃３どうしの間隔を一定に保持するとともに回
転刃３の倒れを防止するために金属パイプ１１が設けら
れる。そして、回転軸１に対して回転刃３を固定するた
め、回転軸１に形成した図示しないキー溝と各回転刃片
１０に形成したキー溝１０ｃとに亘って図示しないキー
が嵌合される。図１（ａ）中のａ〜ｄの各寸法は従来と
同様にして決定される。

【００１８】次に、斯かる古紙の破砕装置の作用を説明
する。２枚の切断刃片１０を重ね合わせて構成される切
断刃３，４が相互に反対方向であってかつ刃部１０ａが
傾いている方向へ回転することにより刃部１０ａの先端
が古紙を引っ掛けて回転刃３，４の間へ噛み込み破砕す
る。回転刃３，４を構成する２枚の回転刃片１０の刃部
１０ａを相互に反対方向へ曲げていることから、厚さが
ｃのフライスカッターを用いたのと同様に作用する。つ
まり回転刃の軽量化と更には破砕装置の軽量化が図れ
る。

【００１９】従来から用いていた市販のフライスカッタ
ーにおいては、図３（ａ）に示すように回転刃３，４間
の間隔であるｂが小さいと、厚い冊子を破砕する場合に
は隣り合う回転刃３，４間に古紙が詰まることがある。
隣り合う回転刃３，４間に古紙がつまると、古紙と回転
刃３，４間に摩擦抵抗が働くためにより大きな無駄な駆
動力が必要になる。この点について、本発明では回転刃
３の刃の厚さが半径方向での外側へ向かうにつれて大き
くなるため、刃どうしが重なり合う部分では一方の刃が
厚くなると他方の刃が薄くなり隣り合う回転刃３，４間
の間隔ｂ及び厚さｃを従来と同一にしても歯部１０ａと
歯部１０ａとの隙間ｅが従来よりも大きくなる。このた
め、間隔ｂが小さくても厚い冊子を破砕する際に回転刃
３，４間に古紙が詰まるようなことはなく、無駄な駆動
力が不要であることからモータ等の駆動手段の小容量
化，小形化が実現でき、破砕装置の小形化が容易に達成
できる。

【００２０】また、一方の回転刃片１０における隣り合
う刃部１０ａどうしの間に他方の回転刃片１０の刃部１
０ａが位置するように円周方向でのキー溝１０ｃの位置
を選択すれば、回転刃３，４の刃の数を実質的に２倍と
することが、容易に行える。

【００２１】例えば回転刃片１０の刃部１０ａの数が奇
数の場合には、相互に１８０°離れた位置にキー溝１０
ｃを２つ形成し、相互に刃部１０ａの位相をずらせるこ
とが可能である。

【００２２】（ｂ）実施例２ 本発明による回転刃の実施例２を図１（ｂ）に示す。本
実施例は、実施例１に示した回転刃片１０を４枚重ね合
わせることによって回転刃３，４を形成したものであ
る。図１（ｂ）に示すように、回転刃３は、刃部１０ａ
を軸方向での一方側へ曲げた２枚の回転刃片１０と、刃
部１０ａを軸方向での他方側へ曲げた２枚の回転刃片１
０とで構成され、回転刃３どうしの間には実施例１と同
様に金属パイプ１１が設けられる。その他の構成は実施
例１と同様である。回転刃４は回転刃３と同一の構成な
ので説明を省略する。

【００２３】斯かる破砕装置では、回転刃３，４の厚さ
ｃが実施例１の場合よりも大きくなり回転刃３，４の強
度が大きくなる点を除いて作用は略同じなので説明を省
略する。

【００２４】なお、回転刃を構成する回転刃片の数が２
枚のものと４枚のものとを示したが６枚以上であっても
よく、用途等に応じて適宜に設定すればよい。また、実
施例では回転刃を古紙の破砕装置に用いた場合について
説明したが、古紙に限らず例えば木材の切削等の比較的
軟い材料の切削等に用いることもできる。更に、ここで
の実施例では回転刃の刃の基端から先端へ向かって厚さ
が大きくなるように回転刃片を組み合わせたが、逆に厚
さが小さくなるように組み合わせて所謂角フライスと呼
ばれる回転刃の形状に類似する形状にすることもでき
る。

【００２５】

【発明の効果】以上の説明からわかるように、本発明に
よる回転刃によれば刃部を同一方向へ曲げた回転刃片を
重ね合わせて回転刃を構成するので、回転刃片の厚さの
総和よりも大きい厚さの回転刃に相当する作用を行い、
回転刃の軽量化と更には回転刃を用いた装置の軽量化が
図れる。そして、回転刃片を重ね合わせて回転刃を形成
するため、回転刃の厚さを容易に調整できる。また、回
転刃片は鉄鋼板を切り抜いて容易に製作できるため、刃
形形状の変更や選択が容易である。更に、回転刃片どう
しの円周方向での相対的な位置関係を調整することによ
り、刃先の位相を調整できる。また更に、突き合わせた
回転刃片における刃部どうしの間隔を半径方向の外側へ
向かうにつれて広がるようにした場合は、回転刃を古紙
の破砕装置として用いたときの冊子等の破砕の際に回転
刃どうしの間隔を従来と同一にしても重なり合う刃部間
の隙間が大きくなり、この間に古紙が詰まることがなく
破砕能力が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による回転刃を用いた古紙の破砕装置に
係り、図１（ａ）は実施例１の要部を示す構成図、図１
（ｂ）は実施例２の要部を示す構成図。

【図２】図２（ａ），（ｂ）は本発明による回転刃を構
成する回転刃片の構成図。

【図３】従来の回転刃を有する古紙の破砕装置の要部に
係り、図３（ａ）は平面図、図３（ｂ）は正面図。

【図４】従来の回転刃の一例に係り、図４（ａ）は正面
図、図４（ｂ）は右側面図。

【符号の説明】

１，２…回転軸 ３，４…回転刃 １０…回転刃片 １０ａ…刃部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転軸に装着して使用する回転刃におい
   て、 円板状の板の外周全体に渡って刃部を形成し、前記刃部
   を軸方向の一方側に傾斜するように折り曲げて第１の回
   転刃片を形成すると共に、前記刃部を軸方向の他方側に
   傾斜するように折り曲げて第２の回転刃片を形成し、前
   記第１，第２の回転刃片を接合して構成したことを特徴
   とする回転刃。