JP2000288418A - 文書細断機用の回転カッタ及びその製造方法そして文書細断機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 細帯片の裂断を低抵抗で行え、回転軸にスラ
スト力を生じない、製造容易な回転カッタ及びこれを用
いる文書細断機を提供することを目的とする。 【解決手段】 互いに平行で逆方向に回転する二本の回
転軸１，２のそれぞれに該回転軸と共に回転する板状の
回転カッタ３，４とスペーサとを交互に噛み合うように
複数嵌着し、両回転軸１，２上の回転カッタ３，４が周
部側面にて摺接して文書を剪断し細帯片とするように配
置されている文書細断機用の回転カッタにおいて、回転
カッタ３，４は、外周の適宜間隔位置に、半径外方へ突
出して上記細帯片を短いチップ状に裂断するための裂断
刃５，６が設けられ、該裂断刃５，６は回転カッタの板
面に平行な面での形状が先端で鋭角をなすように形成さ
れ、又、該裂断刃は、上記板面に直角な面での断面形状
が中央に向け先細りの対称形をなしている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、文書細断機用の回
転カッタ及びその製造方法そして文書細断機に関する。

【０００２】

【従来の技術】文書細断機は、通常、添付図面の図６に
見られるように、互いに平行で逆方向に回転する二本の
回転軸５１，５２を有し、それぞれに複数の回転カッタ
５３，５４がキー部５３Ａ，５４Ａにて回転軸５１，５
２のキー溝５１Ａ，５２Ａとの係合することにより該回
転軸５１，５２と共に回転するように取りつけられてい
る。

【０００３】上記それぞれの回転軸５１，５２上の複数
の回転カッタ５３，５４は環状板のスペーサ（図示せ
ず）と交互に配置されている。すなわち、一方の回転軸
５１上の複数の回転カッタ５３は、該回転カッタ５３と
同じ板厚のスペーサと交互に配置され、他方の回転軸５
２上で同様に回転カッタ５４とスペーサが交互に配置さ
れた該回転カッタ５４が上記回転軸５１上の二つの回転
カッタ５３間に入り込んで、図７（Ａ）のごとく、互い
の側面５３Ｂ，５４Ｂが摺接するように噛み合ってい
る。

【０００４】かかる両回転カッタ５３，５４に対して矢
印Ａ方向から供給される文書は、両回転カッタ５３，５
４の噛合せる上記側面５３Ｂ，５４Ｂにより剪断力を受
けて切断されて細帯片として排出される。

【０００５】上記回転カッタ５３，５４は、それらの外
周の適宜間隔位置に、半径外方に突出する裂断刃５５，
５６をそれぞれ有している。該裂断刃５３，５４は、細
帯片へ上記間隔で喰い込んで裂断して該細帯片を短いチ
ップにしてしまう。通常、上記裂断刃５５，５６の先端
は、図７（Ａ）のごとく板厚方向に直状の刃縁５５Ａ，
５６Ａをなしているが、細帯片の喰い込みをさらに確実
そして容易にするために、図７（Ｂ）のごとくＶ字状溝
を形成して、その両側に鋭い刃縁５５Ａ，５６Ａを設け
たり、図７（Ｃ）のごとくテーパ部５５Ｂ，５６Ｂを形
成して摺接せる側面５３Ｂ，５４Ｂに向け鋭くしたりし
ている。

【０００６】なお、周方向にて隣接せる二つの裂断刃５
５，５５そして５６，５６の間に設けられた突部５７，
５８は、相手回転カッタの裂断刃による細帯片への喰い
込み時に、その喰い込み易くなるよう細帯片を喰い込み
方向に直角に近い面をなすように位置付けるためのもの
で、略台形をなしている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上述した図７の回転カ
ッタにあっては、細帯片は効率良く裂断してチップ化す
ることが可能である。しかしながら、カッタの製造コス
トあるいは装置の周辺部への影響を考慮すると、改善の
余地がある。

【０００８】すなわち、図７（Ｂ）の回転カッタにあっ
ては、鋭い先をもつ刃縁５５Ａ，５６Ａは、Ｖ字状溝の
形成により得られるもので、素材たる金属板を打ち抜き
等で図６の平面形状にした後に、旋盤加工等により上記
Ｖ字状溝を形成せねばならない。一つの文書細断機には
多数の回転カッタが用いられており、これらすべての回
転カッタに対して、このような旋盤等による追加加工を
施すということは、文書細断機の製造コストを著しく引
き上げることとなる。

【０００９】一方、図７（Ｃ）の回転カッタでは、テー
パ部５５Ｂ，５６Ｂは追加的な旋盤加工に依らずとも、
素材たる金属板を打ち抜き加工する時点でプレス加工に
より形成することが可能である。しかしながら、このテ
ーパは非対称であるために、裂断刃の細帯片への突入時
に受ける細帯片からの反力が一方への軸方向分力を生
じ、しかも多数の回転カッタが同一方向での軸方向分力
をもつので、回転軸には大きな軸方向力が作用すること
となる。この軸方向力は、軸受等へのスラスト力として
作用しその寿命を低下させる。しかも、裂断刃の細帯片
への突入は断続的に行なわれるので、上記スラストは振
動的となり、上記軸受等の寿命をさらに低下させる。

【００１０】本発明は、このような従来の回転カッタが
有している問題点を解決し、製造が容易で延命化を可能
とする文書細断機用の回転カッタ及びその製造方法、さ
らにはかかる回転カッタを有する文書細断機を提供する
ことを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明に係る文書細断機
は、互いに平行で逆方向に回転する二本の回転軸のそれ
ぞれに該回転軸と共に回転する板状の複数の回転カッタ
とスペーサとを交互に噛み合うように嵌着されている。
両回転軸上の回転カッタは周部側面にて互いに摺接して
文書を剪断し細帯片とするように配置されている。

【００１２】かかる回転カッタにおいて、本発明では、
回転カッタは、外周の適宜間隔位置に、半径外方へ突出
して上記細帯片を短いチップ状に裂断するための裂断刃
が設けられている。該裂断刃は回転カッタの板面に平行
な面での形状が先端で鋭角をなすように形成されてい
る。そして、該裂断刃は、上記板面に直角な面での断面
形状が中央に向け先細りの対称形をなしていることを特
徴としている。

【００１３】このような構成の本発明の回転カッタによ
れば、二本の回転軸上に設けられ互いに噛み合う複数の
回転カッタの周部側面同士の摺接により、文書は細帯片
へと剪断され、それと同時に裂断刃の細帯片への突入に
より、細帯片は短いチップへと裂断される。その際、裂
断刃は断面形状が先細り形状となっているので、細帯片
への喰い込みが容易となり、又、上記断面形状が対称形
をなしているので、回転軸へは何らスラスト力をもたら
さない。さらには、上記断面形状が中央に向けて先細り
なので、加工時には、軸方向に成形力を加えてその形状
を得ることが容易となる。成形としては、上記軸方向に
成形力を印加する、プレス成形、焼結成形等が可能とな
る。かかる成形により、一回の成形により所定の平面形
状のみならず断面形状をも得ることとなり、従来の旋盤
等の二次加工は不要となる。

【００１４】本発明において、裂断刃は、回転カッタの
回転方向先方側における縁部の立ち上がり角がその基部
を通る円の接線に対して鈍角をなしているようにするこ
とが好ましい。こうすることにより、裂断刃は細帯片へ
の喰い込みを容易とする。すなわち低抵抗で細帯片へ喰
い込む。

【００１５】さらには、回転カッタは、隣り合う二つの
裂断刃の外周位置に半径外方に突出する突部が形成さ
れ、該突部は相手回転カッタの裂断刃と交差する傾斜縁
部を回転方向先方側に有し、該傾斜縁部はその基部を通
る円の接線に対し鈍角をなしていることが好ましい。

【００１６】こうすることにより、細帯片は裂断刃の喰
い込み方向に対し直角に近い面を形成するように突部に
より位置づけられ、裂断刃はさらに容易に細帯片へ喰い
込むこととなる。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下、添付図面の図１ないし図５
にもとづき、本発明の実施の形態を説明する。

【００１８】図１（Ａ）において、符号１，２は文書細
断機の細断用の同一外形・形状の回転カッタ３，４が取
りつけられた二本の平行で逆方向に回転する回転軸であ
り、軸線に直角な面で断面されている。これらの回転軸
１，２は、本実施形態では同一外径であり、軸間距離
は、上記回転カッタ３，４の外径基円３Ａ，４Ａの径よ
りも小さく設定されている。上記回転軸１，２は、それ
らの外周面に軸方向（紙面に直角方向）に延びるキー溝
１Ａ，２Ａが形成されている。

【００１９】回転カッタ３，４は、本実施形態では金属
板に軸線方向に成形力を加えることにより環状に作られ
ている。この成形は、例えば、上記軸線方向に成形力を
加える一度の加工によって、所定の形状を与えることと
するプレス成形あるいは焼結成形に依ることができる。
これらの回転カッタ３，４は、図２にも見られるよう
に、内径面にキー部３Ｂ，４Ｂをそれぞれ有し、上記回
転軸１，２のキー溝１Ａ，２Ａと係合して、該回転軸
１，２と共に回転するようになっている。

【００２０】上記回転カッタ３，４は、それぞれの回転
軸１，２上にて、該回転カッタ３，４と同一厚さのスペ
ーサ（図示せず）と交互に組み込まれていて、両回転カ
ッタ３，４がそれらの外周側面にて摺接しながら噛み合
い回転するように位置づけられている。

【００２１】上記回転カッタ３，４は共に、外周にその
外径基円３Ａ，４Ａから半径外方へ突出する裂断刃５，
６そして突部７，８を、外周の適宜間隔位置に、それぞ
れ複数有している。両回転カッタ３，４は同一構成であ
るので、上記裂断刃及び突部に関しては、一方の回転カ
ッタ３のみについて説明し、他方の回転カッタ４につい
ての説明を省略する。

【００２２】回転カッタ３の裂断刃５は、該回転カッタ
３の回転方向での前縁５Ａが外径基円３Ａに対しほぼ直
角なもしくはこの外径基円３Ａの接線に対し鋭角な立上
り角の、いわゆるすくい角をもって起立し、後縁５Ｂは
傾斜面をなしており（図３（Ｂ）参照）、軸線方向に見
た形状が先端で鋭角をなす三角形状となっている。又、
上記裂断刃５は、その断面形状が、図４に見られるよう
に、中央に向けて先細りの左右対称形状をなしている。
先細り先端の形状は、実質的に尖端をなしていれば十分
であり、図４のごとく鋭い先端をなしている場合の他、
図５（Ａ）,（Ｂ）のごとく、若干の丸味Ｒや平坦部Ｆ
があってもよい。

【００２３】上記の裂断刃５は、図３（Ｂ）に見られる
ようにその正面形状、そして図４に見られるように断面
形状の両者が先端に向け細い三角形状をなしているの
で、その結果、半径外方から見た場合、図３（Ａ）のよ
うに逃げ角βを形成するようになる。

【００２４】又、さらに、本実施形態においては、上記
回転カッタ３は、周方向において隣接する二つの裂断刃
５の間の位置に、半径外方へ外径基円３Ａから突出する
突部７を有している。該突部７は、回転方向にて前縁
（傾斜縁部）８Ａが外径基円３Ａから鈍角をもって立上
がり、後縁７Ｂは同じく鈍角をなしているが前縁よりも
やや急な傾斜をなしている。この突部と裂断刃との関係
は、図１（Ｂ）に見られるように、一方の回転カッタ３
の裂断刃５の先端が他方の回転カッタ４の突部８の前縁
８Ａと交差するように、そして図１（Ａ）に見られるよ
うに他方の回転カッタ４の裂断刃６の先端が上記一方の
回転カッタ３の突部７の前縁７Ａと交差するように、両
回転カッタの噛み合いが決定されている。これは、上記
回転軸１，２のキー溝１Ａ，２Ａの相対角度位置関係を
設定することにより行われる。

【００２５】このように構成される本実施形態装置にお
いては、文書は次の要領で細断される。

【００２６】 図１において、細断されるべき文書
は、噛み合う両回転カッタ３，４間に矢印Ｘ方向から供
給される。文書は、回転カッタ３，４の摺接せる側面で
剪断力を受け細帯片へと細断される。

【００２７】 先端が先細りとなっている裂断刃５，
６は、交互に細帯片の対向両側から上記細帯片に喰い込
み、細帯片すなわちこれに連なる細断前の文書を下方に
引き込みながら上記細帯片を短いチップへと裂断して行
く。その際、裂断刃５，６は、すくい角α、逃げ角βを
有しており、裂断時の抵抗が小さい。又、細帯片は突部
７の前縁７Ａに支えられて、裂断刃６の喰い込みに対し
直角に近い角度をなすように位置づけられるので、この
喰い込みがさらに容易となる。

【００２８】 かくして、チップは自然落下して、下
方に配置されている収容箱、あるいは該収容箱に取りつ
けられた収容袋へ収容され、適宜時期に排出処理され
る。

【００２９】

【発明の効果】以上のように、本発明は、裂断刃の断面
形状が中央に向け先細りの対称形をなすようにしたの
で、その先端で細帯片に低抵抗で容易に喰い込むと共
に、何ら軸方向力を生ずることがない。その結果、周辺
の回転支持機構にスラスト力をもたらさず、その分、負
荷荷重が減じて該機構における延命化を図ることができ
る。さらには、軸方向に成形力を与える金型が同方向に
容易に分割できるので、回転カッタのすべて部分の形状
付けが、一回の成形工程で成すことができ、製造コスト
の大幅な低減が可能となる。文書細断機は、かかる回転
カッタを多数用いるので、装置コストの低減の効果は著
しい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の文書細断機用の回転カッタの軸線方向
から見た正面図を示し、（Ａ）は一つの時期における
図、（Ｂ）は回転が進行した時期における図である。

【図２】図１の回転カッタの一部を示す斜視図である。

【図３】図１の回転カッタの裂断刃を示し、（Ａ）は半
径方向から見た平面図、（Ｂ）は正面図である。

【図４】図３の回転カッタの軸線を含む面で断面した裂
断刃の断面図である。

【図５】裂断刃の変形例で、（Ａ）,（Ｂ）共に裂断刃
の断面の変形例を示す図４相当図である。

【図６】従来の回転カッタの軸線方向から見た正面図で
ある。

【図７】（Ａ）,（Ｂ）,（Ｃ）共に従来の各種回転カッ
タの軸線を含む面で断面した裂断刃の断面図である。

【符号の説明】

１，２ 回転軸 ３，４ 回転カッタ ３Ａ 円（外径基円） ５，６ 裂断刃 ７，８ 突部 ８Ａ 傾斜縁部

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 互いに平行で逆方向に回転する二本の回
   転軸のそれぞれに該回転軸と共に回転する板状の回転カ
   ッタとスペーサとを交互に噛み合うように複数嵌着し、
   両回転軸上の回転カッタが周部側面にて摺接して文書を
   剪断し細帯片とするように配置されている文書細断機用
   の回転カッタにおいて、回転カッタは、外周の適宜間隔
   位置に、半径外方へ突出して上記細帯片を短いチップ状
   に裂断するための裂断刃が設けられ、該裂断刃は回転カ
   ッタの板面に平行な面での形状が先端で鋭角をなすよう
   に形成され、又、該裂断刃は、上記板面に直角な面での
   断面形状が中央に向け先細りの対称形をなしていること
   を特徴とする文書細断機用の回転カッタ。
2. 【請求項２】 裂断刃は、回転カッタの回転方向先方側
   における縁部の立ち上がり角がその基部を通る円の接線
   に対して鋭角をなしていることとする請求項１に記載の
   文書細断機用の回転カッタ。
3. 【請求項３】 回転カッタは、隣り合う二つの裂断刃の
   外周位置に半径外方に突出する突部が形成され、該突部
   は相手回転カッタの裂断刃と交差する傾斜縁部を回転方
   向先方側に有し、該傾斜縁部はその基部を通る円の接線
   に対し鈍角をなしていることとする請求項１又は請求項
   ２に記載の文書細断機用の回転カッタ。
4. 【請求項４】 金属板へその板面に対して直角な方向で
   成形力を印加して成形することとする請求項１ないし請
   求項３のうちの一つの回転カッタの製造方法。
5. 【請求項５】 成形はプレス成形であることとする請求
   項４に記載の回転カッタの製造方法。
6. 【請求項６】 成形は燒結成形であることとする請求項
   ４に記載の回転カッタの製造方法。
7. 【請求項７】 請求項１ないし請求項３のうちの一つの
   回転カッタを備えることを特徴とする文書細断機。