JPH0640437Y2

JPH0640437Y2 - 整流子モータの電機子用鉄芯

Info

Publication number: JPH0640437Y2
Application number: JP1988112877U
Authority: JP
Inventors: 康則秦野; 素之田中
Original assignee: 東京電気株式会社
Priority date: 1988-08-29
Filing date: 1988-08-29
Publication date: 1994-10-19
Anticipated expiration: 2003-08-29
Also published as: JPH0233563U

Description

【考案の詳細な説明】［産業上の利用分野］この考案は、鉄芯用円板を多数積層してカシメ固着する
ことにより形成した高速回転用の整流子モータの電機子
用鉄芯に関するものである。

［従来の技術］従来、多数の鉄芯用円板からなる積層鉄芯をシャフトに
固定する場合、シャフトを積層鉄心中央のシャフト挿通
孔に圧入している。これにより鉄芯用円板すなわち電磁
鋼板がシャフトに積層状態で結束固定されることにな
る。ところで、この様な鉄芯用円板をシャフトに一枚づ
つ固定していたのでは組み付け能率が悪いため、従来は
予め多数の鉄芯用円板が積層状態で仮固定された積層鉄
芯を用意し、この積層鉄芯のシャフト挿通孔にシャフト
を圧入していた。

この多数の鉄芯用円板を積層状態で仮固定する場合、鉄
芯用円板を積層方向にカシメることが考えられる。

［考案が解決しようとする課題］しかし、このカシメによって生じる凹凸部は積層鉄芯
（アマチュア鉄芯）内の磁路を妨害してモータ効率を低
下させる。しかも、この仮固定はある程度の結束力を必
要とし、このためにはカシメ凹凸部の面積を大きくする
必要があった。

しかし、この様にカシメ凹凸部を大きくすると磁路妨害
によるモータ効率の低下も大きくなるため、モータ効率
を重視する高速回転用モータの積層鉄芯に上述のカシメ
固定方法を採用することが難しかった。

そこで、この考案は、このカシメ構造を用いても、モー
タ効率が大きく低下することのない整流子モータの電機
子用鉄芯を提供することを目的とするものである。

［課題を解決するための手段］この考案は上記の目的を達成させるため、整流子モータ
用電機子の20〜50φの鉄芯に用いる鉄芯用円板を多数対
応させて積層するとともに積層された多数の鉄芯用円板
を積層方向にカシメることにより、隣接する鉄芯用円板
の一方のカシメ凸部を他方のカシメ凹部に嵌着固定させ
た整流子モータの電機子用鉄芯において、カシメ凸部及
びカシメ凹部の形状を1.0〜2.5φの径の円柱状としたこ
とを特徴としたものである。また、上記整流子モータの
電機子用鉄芯において、鉄芯用円板の周縁部には半径方
向に延びかつ周縁に開放するスロットが周方向に等ピッ
チで形成され、鉄芯用円板の中心にはシャフト挿通孔が
形成されていると共に、シャフト挿通孔の内周縁からカ
シメ凸部及びカシメ凹部までの距離はシャフト挿通孔の
内周縁からスロット底部までの距離の25〜50％としたこ
とを特徴としたものである。

［作用］このような構成によれば、カシメ凹凸部の径が比較的小
さくて、このカシメ凹凸部による磁路の妨害率が小さく
なる。しかも、シャフト挿通孔の周縁部からカシメ凹凸
部までの距離をシャフト挿通孔の周縁からスロット底部
までの距離の25〜50％とすることにより、磁路の妨害に
よるモータ効率の大きな低下を招くことがなく、積層鉄
心の周縁に多少の外力が作用しても積層鉄心は分離しに
くくなる。また、積層体、すなわち積層鉄心から突出す
る凹部を端部鉄芯用円板の係合孔に嵌着することで、こ
の積層体の両面の何れを下にして載置しても積層鉄心は
安定した状態で載置可能となると共に、シャフトへの組
み付け作業も容易となる。

［実施例］次に、この考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図は、高速回転用整流子モータの電機子用鉄芯の平
面図を示し、第２図はその側面図を示したものである。
この考案は、例えば20〜50φの鉄芯に適用した例を示し
たものである。

第１図に示した鉄芯Ａは、第２図に示した様に多数の鉄
芯用円板１から構成されている。この鉄芯用円板１の中
央には第１図に示したように、シャフト挿通孔２が形成
され、鉄芯用円板１の周縁部には半径方向に延び周縁に
開放するスロット３が周方向に等ピッチに形成されてい
る。これにより、各スロット３間にはティース（歯）４
が形成されている。また、この多数の鉄芯用円板１は、
対応して積層されていると共にシャフト挿通孔２を挟む
位置に設けられたカシメ部5,5で互いに隣接するもの同
士が仮固定されている。

この各カシメ部による仮固定は、第３図（Ａ），（Ｂ）
に示したように、隣接する鉄芯用円板１の一方の円柱状
の凸部６を他方の凹部７に嵌着固定することで達成され
ている。尚、カシメ凸部６は、第４図に示した様に板面
に対して約90°の角度を有して設けられている。しか
も、第３図（Ａ）では、鉄芯用円板１の積層体の一端か
ら突出するカシメ凸部６をそのまま露出状態としてい
る。また、第３図（Ｂ）では、上述の鉄芯用円板１と同
形状の端部鉄芯円板８を設け、この端部鉄芯用板８に係
合孔９を設けると共に、鉄芯用円板１の一端から突出す
るカシメ凸部６を係合孔９内に嵌着させて、載置時に積
層体の何れの面を下にしても安定状態で載置できると共
に、シャフトへの組み付け性も良くしている。

しかも、第１図，第５図に示すように、ここでシャフト
挿通孔２の内周縁ａからスロット３の底部ｂまでの距離
Ｌを100％とすると、内周縁ａからカシメ部５すなわち
カシメ凹部７及びカシメ凸部６までの距離ｌは距離Ｌの
約25〜50％とすると良い。

次に、整流子モータの電機子用鉄芯の作用を説明する。

カシメ凸部６及びカシメ凹部７からなるカシメ部５の形
状を、1.0〜2.5φの径の円とする。そして、20〜50φの
鉄芯に用いる鉄芯用円板１を、多数対応させて積層する
と共に積層された多数の鉄芯用円板１を積層方向にカシ
メる。このため、カシメ部５の形状を円としたことによ
り、カシメ部５を小さくして妨害面積を少なくしつつ接
触する部分の面積を多くすることができる。更に、小さ
なカシメ面積で多くのカシメ部とすることができると共
に、型の強度、製作のし易さにおいても有利である。ま
た、第７図の様に、カシメ孔の径を大きくすると結束力
は強くなるが、第６図の様にモータ効率が低下してく
る。しかも、積層して仮固定した多数の鉄芯用円板１
は、シャフトをシャフト挿通孔２に圧入することにより
シャフトに完全に固定されるので、圧入工程までの間の
み多数の鉄芯用円板１同士を一時的に固定できる結束力
があれば良いため、小さなカシメ面積のカシメ部で結束
力を持たせることにより、上述の様にカシメ部５を設け
てもモータ効率があまり低下しない。故に、孔径を1.0
〜2.5φにすることにより、モータ効率低下の少ない電
動機を提供できる。

また、孔径を1.0〜2.5φとすると共に対称に２箇所カシ
メ部５を設けることにより、製造上問題の無い結束力を
発生し、又、３箇所以上カシメ部５を有するものより効
率が高い。

なお、アマチュアコアのティースより流れる磁束が出て
くる近傍にカシメ部が存在すると、磁束の流れが妨げら
れモータ効率の低下となる。つまり、第８図に示す通
り、上述のシャフト挿通孔２の内周縁ａからスロット３
の底部ｂまでの距離Ｌの50％位まではモータ効率が低下
することがないが、50％より更に底部ｂに近づくと徐々
にモータ効率が低下する。また、第９図に示す通り、結
束力も、内周縁ａから底部ｂまでの距離Ｌの25％以降は
略同じ結束力が得られるため、25〜50％の位置にカシメ
部５を設けることにより、モータ効率の低下しない電動
機となる。

更に、突出部の側面を略直角にすることにより、孔の開
いたアマチュアを一枚端面に嵌合して装着することがで
き、積層された鉄心の両端面の平面を得ることができ
る。このことにより、絶縁用の端板を装着するときに隙
間ができず容易に装着が可能となる。

［効果］以上説明してきたように、請求項１の構成によれば、カ
シメ凹凸部の径が比較的小さく、このカシメ凹凸部によ
る磁路の妨害率を小さくすることができると同時に、鉄
心を構成する多数の鉄芯用円板同士を、多少の外力では
分離不能に結束させることができる。また、請求項２の
構成によれば、シャフト挿通孔の周縁部からカシメ凹凸
部までの距離を、シャフト挿通孔の周縁からスロット底
部までの距離の25〜50％とすることにより、磁路の妨害
によるモータ効率の大きな低下を招くことがなく、積層
鉄心の周縁に多少の外力が作用しても積層鉄心は分離し
にくくできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は高速回転用整流子モータの電機子用鉄芯の平面
図、第２図は第１図に示す電機子用鉄芯の側面図、第３
図（Ａ），（Ｂ）は第１図のカシメ部による仮固定状態
を示す部分断面図、第４図は第３図（Ａ），（Ｂ）に示
した鉄芯用円板のカシメ凹、凸部の説明図、第５図はカ
シメ部を設ける範囲を示す説明図、第６図はモータ効率
と孔径の関係を示す図、第７図は結束力と孔径の関係を
示す図、第８図はモータ効率と距離の関係を示す図、第
９図は結束力と距離の関係を示す図である。１…鉄芯用円板、２…シャフト挿通孔、３…スロット、
５…カシメ部、６…カシメ凸部、７…カシメ凹部、８…
端部鉄芯用円板、９…係合孔、ａ…内周縁、ｂ…底部

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】整流子モータ用電機子の20〜50φの鉄芯に
用いる鉄芯用円板を多数対応させて積層するとともに前
記積層された多数の鉄芯用円板を積層方向にカシメるこ
とにより、隣接する前記鉄芯用円板の一方のカシメ凸部
を他方のカシメ凹部に嵌着固定させた整流子モータの電
機子用鉄芯において、前記カシメ凸部及びカシメ凹部の
形状を1.0〜2.5φの径の円柱状としたことを特徴とする
整流子モータの電機子用鉄芯。
【請求項２】前記鉄芯用円板の周縁部には半径方向に延
びかつ周縁に開放するスロットが周方向に等ピッチで形
成され、前記鉄芯用円板の中心にはシャフト挿通孔が形
成されていると共に、前記シャフト挿通孔の内周縁から
前記カシメ凸部及びカシメ凹部までの距離は前記シャフ
ト挿通孔の内周縁から前記スロット底部までの距離の25
〜50％としたことを特徴とする請求項１記載の整流子モ
ータの電機子用鉄芯。