JPH0639852Y2

JPH0639852Y2 - クランプ式のエンドミル

Info

Publication number: JPH0639852Y2
Application number: JP191189U
Authority: JP
Inventors: 義昭袴田
Original assignee: 東芝タンガロイ株式会社
Priority date: 1989-01-11
Filing date: 1989-01-11
Publication date: 1994-10-19
Anticipated expiration: 2004-01-11
Also published as: JPH0294020U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は、クランプ式のエンドミルに関し、特に溝加工
における加工壁面の精度が高められるようにしたもので
ある。

（従来の技術）従来、この種のクランプ式エンドミルとしては、例え
ば、特開昭46-3545号公報，特開昭49-30980号公報など
が開示されている。そして、前者の公報では、長方形板
状のポジチップがほぼ０°のアキシャルレーキ角で取付
けられているものである。これは、アキシャルレーキ角
を大きなポジにすると、切削性能は向上するが溝削りし
たときに、加工壁が凸曲することからである。また、後
者の公報では、柱状のチップが正角のアキシャルレーキ
角で取付けられ、前述した加工壁が凸曲を減少するため
その逃げ面側に螺旋状逃げ面を形成したものである。

（考案が解決しようとする課題）したがって、前者の場合では、アキシャルレーキ角が０
°であるため、切削抵抗が高いという問題点があった。
そして、アキシャルレーキ角を大きなポジにするために
は、捩れチップを組込んだヘリカルエンドミルとするこ
とが考えられるが、この場合は、捩れチップおよびねじ
れ溝を高精度に製造しなければならない問題点があっ
た。

また、後者の場合では、螺旋状逃げ面を形成するため、
アキシャルレーキ角が強ければ、螺旋の曲率半径を小さ
なものとしなければならず、これに伴って、取り代が大
きくなって適用範囲が制限されるという問題点があっ
た。

このようなことから、本考案では、通常みられる長方形
板状の切刃チップを適用して、前述した加工壁の凸曲面
を減少できるようにした簡易形式のクランプ式エンドミ
ルを提供しようとするものである。

（課題を解決するための手段）本考案は、上述の点に鑑みなされたもので、円柱状をな
す工具本体の外周部分には、軸方向に延びる取付け溝が
設けられ、この取付け溝内には、長方形板状の切刃チッ
プがポジのアキシャルレーキアングルを構成し、かつ長
辺側で外周切刃稜を構成するように組込まれているクラ
ンプ式のエンドミルを前提にして改善したものである。

すなわち、前記切刃チップは、傾斜面を有することによ
り、予じめ逃げ角θ_１，θ_２を付与されるようになって
いるとともに、すくい面を構成する上面には、その長辺
側の商戦部分に沿って円錐面の一部からなる負の傾斜角
αをもつネガランドが形成されているものである。これ
に伴って、外周切刃稜は、ネガランドおよび傾斜側面の
交差稜によって曲率半径の大きな円弧状を呈するように
構成されるものである。

（作用）本考案のクランプ式のエンドミルは、ポジのアキシャル
レーキアングルを構成するとともに、外周切刃稜が傾斜
角αをもつネガランドおよび逃げ角θ_１を有する傾斜側
面の交差稜によって構成されるようにしたものである。
そして、このネガランドは、曲率半径Ｒを有する円錐面
の一部によって構成されるようにしたことから、前記外
周切刃稜は、曲率半径の大きな円弧状を呈することにな
り、ポジのアキシャルレーキアングルが構成されても、
直線状の外周切刃稜にみられる溝加工の壁面の凸曲量を
減少させる。

要すれば、本考案のクランプ式エンドミルは、外周切刃
稜が加工壁面の真直度で最も適合する捩れチップによる
外周切刃稜に対して、近似円弧の切刃稜を構成したこと
になり、前述した凸曲量を減少させる機能を持ってい
る。

（実施例）以下、本考案クランプ式のエンドミルにおける一実施例
について、図を参照しながら説明する。

第１図乃至第３図において、（１）は、クランプ式のエ
ンドミルであり、工具本体（２）およびシャンク部分
（３）からなっている。そして、工具本体（２）の外周
側部には、軸方向に延びる取付け溝（４）が形成され、
この取付け溝（４）内には、第４図（ａ）〜（ｄ）で明
示されるような略長方形板状をなす切刃チップ（５）が
組込まれるようになっている。この場合、切刃チップ
（５）は、取付け溝（４）内では、締付けねじ（６）を
備えた楔片（７）によって固定され、しかも、長手方向
の端部には、調整楔（８）によって軸方向の位置調整が
行なわれる。

しかして、前記切刃チップ（５）は、逃げ角θ_１，θ_２
が付与されるように傾斜側面（9a）（9b）を有し、ま
た、すくい面を構成する上面（9c）には、負の傾斜角α
を有するネガランド（10）が形成されるようになってい
る。このネガランド（10）は、長辺側の稜線部分の両端
側で幅広となるよう負の傾斜角αを有するもので、円錐
面の一部から構成される。すなわち、ネガランド（10）
は、稜線部分に直交する基準中心線C.L上の基点Ｏから
の曲率半径Ｒによる円形線から上面（9c）をき基準にし
て前記傾斜角αで下がる方向にある円錐面の一部によっ
て形成される。したがって、外周切刃稜（11）は、前記
ネガランド（10）および傾斜面（9a）の交差稜によって
曲率半径の大きな円弧状を構成する。そして、図示の場
合では、円錐面の半径Ｒは、100mmで、α＝12°，θ_１
＝15°，θ_２＝10°に設定されている。なお、切刃チッ
プ（５）の基本形状については、長さＬ＝34mm,厚さＴ
＝4.8mm,幅Ｗ＝9.525mmに設定したものであり、図示の
ような３枚刃構成で、アキシャルレーキアングル＝10
°，ラジアルレーキアングル−５°；刃先直径＝φ40mm
のクランプ式のエンドミル（１）を構成した。

このようにして構成された形状寸法のクランプ式エンド
ミル（１）では、第５図によって示される凸曲量ｔが約
0.01mmになった。

（考案の効果）本考案は、以上説明したように、切刃チップ（５）の外
周切刃稜（11）については、近似円弧による構成を採っ
たものである。

したがって、本考案のクランプ式のエンドミルによって
溝削り加工をした場合、第５図で示されるような加工壁
面（12）の凸曲量ｔが直線切刃稜によるものより小さい
値となる利点を有する。例えば、前述した形状寸法のエ
ンドミルで、切刃チップ（５）にネガランド（10）を形
成しない直線切刃稜の場合における凸曲量ｔは、計算上
約0.2mmとなるのに対し、前述した本考案の場合の凸曲
量ｔは、約0.01mmに減少する。

また、本考案のクランプ式のエンドミルでは、その切刃
構成から直線切刃稜を有するものより、びびり振動が少
なく、切削能率も向上することが期待できるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案のクランプ式のエンドミルの一実施例
を示す正面図、第２図は、その底面図、第３図は、斜視
図、第４図（ａ）〜（ｄ）は、切刃チップを示す図で、
（ａ）は、正面図、（ｂ）は、平面図、（ｃ）は、
（ｂ）に対する左側面図、（ｄ）は、同じく（ｂ）に対
する右斜方向からの一部側面図、第５図は、直線切刃稜
により得られる溝削りの加工壁面の凸曲量ｔを示す斜視
図である。（１）……クランプ式のエンドミル、（２）……工具本
体、（４）……取付け溝（５）……切刃チップ、（9a）（9b）……傾斜側面、
（9c）……上面（10）……ネガランド、（11）……外周切刃稜

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】円柱状をなす工具本体（２）の外周部分に
は、軸方向に延びる取付け溝（４）が設けられ、この取
付け溝（４）内には、長方形板状の切刃チップ（５）が
ポジのアキシャルレーキアングルを構成し、かつ長辺側
で外周切刃稜（11）を構成するように組込まれているク
ランプ式のエンドミルにおいて、前記切刃チップ（５）は、すくい面を構成する上面（9
c）に対して、予じめ逃げ角θ_１，θ_２を付与した長辺
側の傾斜面（9a）および短辺側の傾斜面（9b）がそれぞ
れ形成されるとともに、長辺側の稜線部分には、両端側
で幅広となるように上面（9c）を基準にして負の傾斜角
αをもつネガランド（10）が形成されるようになってお
り、しかもこのネガランド（10）は、前記稜線部分に直
交する基準中心線C.L上の基点Ｏからの曲率半径Ｒによ
る円形線から上面（9c）を基準にして前記傾斜角αで下
がる方向にある円錐面の一部によって形成されるように
なっており、前記外周切刃稜（11）は、前記ネガランド（10）および
傾斜面（9a）の交差稜によって曲率半径の大きな円弧状
を構成するようにしたことを特徴とするクランプ式のエ
ンドミル。