JPH0638724Y2 - 自動車用空調装置 - Google Patents

自動車用空調装置

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JPH0638724Y2
JPH0638724Y2 JP1991080587U JP8058791U JPH0638724Y2 JP H0638724 Y2 JPH0638724 Y2 JP H0638724Y2 JP 1991080587 U JP1991080587 U JP 1991080587U JP 8058791 U JP8058791 U JP 8058791U JP H0638724 Y2 JPH0638724 Y2 JP H0638724Y2
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次弘 岡田
英一 大津
敏樹 飯島
譲 船崎
正則 久保田
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自動車機器技術研究組合
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は自動車用空調装置に係わ
り、特に吹出口切替えにともなう吹出空気温度の急変を
抑制するのに好適な自動車用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の自動車用空調装置の吹出口構造
は、上下両側の吹出口に熱交換された空気を振り分ける
場合、一般に、加熱手段を通過した空気は下側吹出口
へ、また、加熱手段を通過しない空気は上側吹出口へ振
り分けられ易くできている。その理由は、加熱空気は下
側から、冷却空気は上側から吹き出すことによって車室
内温度分布を快適な頭寒足熱に持って行くようにするた
めである。
【0003】そして、車室内を冷房している場合は、全
ての空気を上側吹出口から吹出し、軽く暖房する場合に
は上下両吹出口から吹出し、更に強く暖房する場合に
は、全ての空気を下側吹出口から吹出させるのが快適な
温調につながり、このようにするのが従来の一般的な手
法であった。
【0004】ところで、従来の自動車用空調装置では、
下側のみを吹出口として車室を暖房している状態から、
多少必要加熱力が下がり、上下両吹出口から空気が吹き
出す状態へ移行すると、加熱手段にて加熱されない空気
の大部分は、下側吹出口から上側吹出口へ流れ、加熱手
段にて加熱された空気の大部分は、下側吹出口から吹き
出される。そこで、加熱された空気は、加熱されない空
気により熱を奪われることなく下側吹出口から吹出され
る。しかも、この状態では、導入された空気のうち加熱
手段にて加熱された空気の割合が多いので、加熱された
空気のうち上側吹出口へ流れたものは、加熱手段にて加
熱されない空気に対して熱量的に圧倒しがちである。
【0005】この結果として、上記状態の進行にともな
い、下側吹出口からの空気の温度が急に上昇し、上側吹
出口からの空気の温度も急上昇しがちである。この急激
な温度上昇は、特に吹出口調節を自動制御している場
合、乗員に不快感を与える。
【0006】上側のみを吹出口として車室内を軽く暖房
している状態から多少必要暖房力が増加し、上下両側吹
出口から吹出す状態へ移行すると、加熱手段によって加
熱された空気の大部分は、上側吹出口から下側吹出口へ
流れ、加熱されない空気の大部分はそのまま上側吹出口
から吹出される。そこで、加熱されない空気は、加熱さ
れた空気により加熱される度合いが大幅に減少し、しか
も、この加熱状態では、加熱されない空気の割合が多い
ので、加熱されない空気のうち下側吹出口へ流れたもの
は、加熱された空気に対して熱量的に圧倒しがちであ
る。
【0007】この結果として、上記状態の移行にともな
い、上側吹出口からの空気の温度が急に下降し、下側吹
出口からの空気の温度も急下降しがちとなる。そして、
この急激な温度下降は、乗員に不快感を与える。
【0008】このような技術課題に対し、実公昭50−
37612号公報には、上部に設けた冷房用吹出口と下
部に設けた暖房用吹出口との切換えをする吹出口切替え
用ダンパ(モードドア)を備えたものにおいて、エアミ
ックスダンパ(温調ドア)の駆動手段として温度調整用
ダイヤフラム機構に加えて補償用ダイヤフラム機構を追
設し、この補償用ダイヤフラム機構を吹出口切替え用ダ
ンパ駆動用のダイヤフラム機構に連動させる機構を設
け、吹出口切替え時にエアミックスダンパの開度を強制
的に変化させ、吹出口切替えに伴う吹出空気温度の急変
を抑制することが提案されている。
【0009】また、特開昭55−47912号公報に記
載の従来技術では、同様の課題に対し、吹出口選択レバ
ーに連動してCOOLモードとDEFモードではオンと
なりHEATモードではオフとなる切換スイッチと、こ
の切換スイッチにより選択的に投入される補正用の固定
抵抗器とを設け、この補正用の固定抵抗器の投入により
温調ドアの開度と吹出温度との関係をどの吹出モードで
も一致するようにしている。更に、特開昭57−205
217号公報に記載の従来技術では、同様の課題に対し
て、吹出口切替え用ダンパをVENT(上側吹出口)と
HEAT(下側吹出口)にそれぞれ固定したときに対応
して必要熱交換量−温度調節ダンパ(温調ドアの変位量
特性のマップを用意し、吹出口の切換に応じてこのマッ
プを切換え、温度調節ダンパの開度を調節している。
【0010】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術は、いずれも温調ドアの制御をモードドア以外の
温調機器の制御と切り離して考えており、吹出口の切替
えに際して行う温調ドアによる吹出温度の変化の補正を
全体の温調制御と関連させて行うことができず、その結
果、温調ドアによる吹出温度の変化を補正する効果が小
さいという問題があった。また、吹出温度の変化の補正
のために補償用ダイヤフラム機構、吹出口切換との連動
機構、あるいは切換スイッチ及び補正用の固定抵抗器等
の機械的又は電気的部品を必要としており、部品点数の
増加から信頼性の確保が困難であり、かつ構造が複雑に
なり、コスト高になるという問題があり、更にコンピュ
ータにより制御する場合でも、上記のように複数のマッ
プを用意して演算処理するため、コンピュータによるソ
フト処理が複雑になり、かつメモリの容量の大きなもの
が要求されるという問題があった。
【0011】本考案の目的は、吹出口切替えに伴う吹出
空気温度の急変を抑制するための温調ドアの制御を全体
の温調制御との関連で行うことにより快適な自動温度制
御を行うことができると共に、単純かつ安価で信頼性の
高い構成とすることができる自動車用空調装置を提供す
ることにある。
【0012】上記目的を達成するため、本考案は、外気
吸込口と内気吸込口の開閉を制御する吸込口ドア手段
と、前記外気吸込口かつ/または内気吸込口より空気を
導入する送風手段と、前記送風手段により導入された空
気を冷却する冷却手段と、前記冷却された空気を再加熱
する加熱手段と、前記加熱手段を通過した温風と該加熱
手段に並列に設けてある冷風バイパスを通る冷風との混
合割合を変化させて吹出温度を調整する温調ドア手段
と、前記温調ドア手段により吹出温度を調整された空気
を車室の下側へ吹き出す下側吹出口と、前記空気を前記
車室の中央および上側へ吹出す上側吹出口と、前記空気
をすべて前記下側吹出口かまたは前記上側吹出口かある
いは前記両吹出口へ3段階に振り分ける吹出口調節手段
とを備え、前記車室内温度を目標温度に自動制御するよ
うにしてなる自動車用空調装置において、(a)車室内
温度とその目標設定温度との偏差を負帰環制御において
PI演算することにより、車室内の空気調和に必要な必
要熱交換量を演算する必要熱交換量演算手段と;(b)
前記演算された必要熱交換量に基づいて前記吹出口調節
手段を切替え、前記3段階の吹出口の振り分けを行う吹
出口切替手段であって、前記必要熱交換量を加熱力を必
要とするときに正、冷房力を必要とするときに負と定義
したとき、前記下側吹出口と前記上側吹出口の両方が開
くようにする前記吹出口調節手段の切替えは前記必要熱
交換量が正のときに行う吹出口切替手段と;(c)前記
必要熱交換量が正のときに前記加熱手段への通路を開
け、該必要熱交換量の値が大きくなるにしたがって前記
冷風バイパスの通路面積が小さくなるよう必要熱交換量
に応じて前記温調ドア手段の位置を制御する手段と;
(d)前記吹出口切換手段が前記吹出口調整手段を前記
下側吹出口と前記上側吹出口の両方が開くように切替え
るときに、前記冷却手段がOFFで前記加熱手段がON
となり、前記吸込口ドア手段が外気吸込口の開放を選択
し、更に前記送風手段の送風量が最低風量領域となるよ
うに前記必要熱交換量に基づいて前記冷却手段、加熱手
段、吸込口ドア手段及び送風手段を制御する手段と;
(e)前記吹出口切換手段が前記吹出口調整手段を前記
上側吹出口から前記下側吹出口と上側吹出口の両方が開
くように切替えるときは、前記必要熱交換量演算手段に
おける負帰環制御の一サイクルだけ前記必要熱交換量に
正の所定値を加算して該必要熱交換量を急激に増加さ
せ、以て前記温調ドア手段を前記冷風バイパスの通路面
積が減少する方向にステップ的に回動させ、前記吹出口
切換手段が前記吹出口調整手段を前記下側吹出口から前
記下側吹出口と上側吹出口の両方が開くように切替える
ときは、前記必要熱交換量演算手段における負帰環制御
の一サイクルだけ前記必要熱交換量に負の所定値を加算
して該必要熱交換量を急激に減少させ、以て前記温調ド
ア手段を前記冷風バイパスの通路面積が増加する方向に
ステップ的に回動させる補償手段と;を備えるものであ
る。
【0013】
【作用】以上のように構成した本発明においては、必要
熱交換量に基づいて吹出口調節手段が切替えられ、3段
階の吹出口の振り分けを行うとともに、吹出口切替えに
伴う吹出空気温度の急変を抑制するため温調ドア手段の
開度補正により加熱手段による再加熱量の調整が行わ
れ、かつその温調ドア手段の制御は全体の温調制御との
関連で次のように行われることになる。 (1)必要熱交換量は車室内温度とその目標設定温度と
の偏差を負帰環制御においてPI演算することにより求
められる。 (2)吹出口調整手段による上側吹出口または下側吹出
口から下側吹出口と上側吹出口への切替えは下記の条件
により行われる。 a)必要熱交換量が正の(加熱力を必要とする)領域で
あって、 a−1)冷却手段がOFFで加熱手段がON; a−2)外気吸込状態: a−3)送風手段の送風量が最低風量領域である。 (3)吹出口が上側吹出口から下側吹出口と上側吹出口
に切替わる際、必要熱交換量演算手段による演算の一サ
イクルだけ必要熱交換量に正の所定値を加算して該必要
熱交換量を急激に増加させ、以て温調ドア手段を冷風バ
イパスの通路面積が減少する方向にステップ的に回動さ
せる。 (4)吹出口が下側吹出口から下側吹出口と上側吹出口
に切替わる際、必要熱交換量演算手段による演算の一サ
イクルだけ必要熱交換量に負の所定値を加算して該必要
熱交換量を急激に減少させ、以て温調ドア手段を冷風バ
イパスの通路面積が増加する方向にステップ的に回動さ
せる。 上記(1)及び(2)の条件下で上記(3)及び(4)
を実行することにより次の作用が得られる。 (A)上記(3)により、吹出口の切替わり時に温調ド
ア手段は冷風バイパスの通路面積が減少する方向にステ
ップ的に回動するが、上記(1)により負帰還制御され
るので、徐々に温調ドア手段の開度は通常特性に復帰す
る。 (B)上記(4)により、吹出口の切替わり時に温調ド
ア手段は冷風バイパスの通路面積が増加する方向にステ
ップ的に回動するが、上記(1)により負帰還制御され
るので、徐々に温調ドア手段の開度は通常特性に復帰す
る。 (C)上記(A)及び(B)の結果、吹出口切替えに伴
う吹出空気温度の急変が温調ドアの開度補正による加熱
手段の再加熱量の調整によって解消される。ここで重要
なことは、上記(A)及び(B)のように徐々に温調ド
ア手段の開度を通常特性に戻しながら、上記(2)の条
件下で上記(3)及び(4)を実行するからこそ、温調
ドアの開度補正による再加熱量の調整ができ、吹出温度
の急変が解消できることである。すなわち、負帰環制御
におけるPI演算がない状態で一サイクルだけ必要熱交
換量に負または正の所定値を加算したときは、温調ドア
は瞬時に元の開度に復帰し、このような瞬間的な温調ド
アの開度補正では吹出温度の急変を解消するに足る再加
熱量(吹出温度を下げる場合は負の再加熱量)を得るこ
とができない。上記(A)及び(B)のように負帰環制
御のPI演算で徐々に温調ドア手段の開度を通常特性に
戻すことにより、温調ドア手段の開度は短時間ではある
より長い時間、通常開度より大きくまたは小さく補正さ
れる。一方、加熱手段の再加熱能力には限界があるた
め、冷却手段ONで冷却された冷気が送風されたり、送
風手段が中または高風量の状態では、上記のように温調
ドア手段の開度が補正されてもやはり十分な再加熱量が
得られない。上記(2)のように、冷却手段がOFFで
加熱手段がONで外気吸込状態で吹出口の切換を行うこ
とにより初めて、温調ドア手段の短時間の開度補正で十
分な再加熱量の調整が実現され吹出温度の急変が解消さ
れる。また、その後、温調ドア手段は通常の開度特性に
戻るので、通常の空調性能が得られる。以上により本考
案では快適な自動温度制御を行うことができる。
【0014】また、本考案では、吹出口の切り替わりに
際して温調ドア手段の開度を補正するのにスイッチ等の
特別な部品やマップを必要とせず、また抵抗等の特別な
部品も必要としない。また、温調ドア手段を含む各種ハ
ード部品の制御を必要熱交換量をパラメータとして行う
ので、各ハード部品の動作タイミングを簡単なソフト上
の変更により変更することができ、ハード部品の変更を
必要としない。このため、制御の信頼性が高くかつ単純
で安価な構成とすることができる。
【0015】
【実施例】以下、本考案を図1〜図4および図6に示し
た実施例および図5、図7を用いて詳細に説明する。
【0016】図1は本考案の自動車用空気調和装置の一
実施例を示す全体構成図である。本実施例の自動車用空
調装置は、車室内外から空気を吸い込み、加熱または冷
却して空気調和される車室内に吹出す熱交換部1、この
熱交換部1の各機器を電気的に制御する制御部2、この
装置の起動停止と希望設定温度を制御部2に入力する操
作部3および車室温度信号と熱交換部1の機器状態信号
を制御部2に入力するセンサー類とから構成してある。
【0017】熱交換部1には、熱交換部ユニットケース
100内へ車室外からの空気を吸入する外気吸込口10
1と車室内空気を吸入する内気吸込口102の開閉制御
をする吸込口ドア111があり、この吸込口ドア111
は、2段アクションの負圧アクチュエータ112とリタ
ーンスプリング113により3位置に制御される。すな
わち、負圧アクチュエータ112の各負圧作動室は、電
磁弁114,115を介して負圧ポンプなどの負圧源に
接続してあり、吸込口ドア111は、電磁弁114,1
15がともに通電されていないときは、リターンスプリ
ング113の力により内気吸込口102を閉じ、外気吸
込みの状態とし、電磁弁114,115にともに通電さ
れたときは、負圧アクチェータ112の両負圧作動室に
供給される負圧力により外気吸込口101を閉じ、内気
吸込みの状態にする。また、電磁弁114に通電され、
電磁弁115に通電されないときは、負圧アクチュエー
タ112の一方の負圧作動室のみに負圧力が作用するた
め、吸込口ドア111は上記状態の中間位置に停止し、
外気吸込口101と内気吸込口102とがともに開か
れ、内外気吸込みの状態となる。
【0018】また、熱交換部ユニットケース100に
は、吸込口101,102から空気を吸込み、後述する
熱交換部へ送るブロワー121が設けてある。このブロ
ワー121による風量は、制御部2により制御されるド
ライブ122によりモータ123に供給する印加電圧を
制御することによって制御される。ブロワー121の下
流には蒸発器131が設けてあり、この蒸発器131
は、コンプレッサ132、コンデンサ(図示せず)、膨
脹弁133などと圧縮冷凍サイクルを構成しており、こ
れを通過する空気の冷却手段となっている。
【0019】コンプレッサ132は、自動車のエンジン
により電磁クラッチ132aを介して駆動され、その駆
動、非駆動は、制御部2からの制御信号によって制御さ
れるコンプレッサリレー132bにより電磁クラッチ1
32aを励磁、非励磁することによって行われる。
【0020】蒸発器131の下流には、加熱手段となる
ヒータコア141が設けてあり、このヒータコア141
には自動車のエンジン冷却水(温水)を循環させてあ
り、ヒータコア141を通過する空気を加熱する。そし
て、ヒータコア141を通過する空気量を増減すること
によって加熱量を制御するための温調ドア142が設け
てある。この温調ドア142は、電磁弁143,144
を介して負圧源に接続された負圧アクチュエータ145
とリターンスプリング146によって回動する。電磁弁
143,144にともに通電されないときは、負圧アク
チュエータ145の負圧作動室が電磁弁143,144
を経て大気に導通するため、負圧力が作用せず、温調ド
ア142は、リターンスプリング146の作用により図
1に付記したθが減少する方向に回動する。換言すれ
ば、ヒータコア141を通過する空気量を増加させるこ
とになる。電磁弁143に通電され、電磁弁144に通
電されないときには、負圧アクチュエータ141の負圧
作動室が電磁弁144,143を経て負圧源に導通さ
れ、負圧力が作用する。この結果、温調ドア142は、
リターンスプリング146に抗してθが増大する方向に
回動する。すなわち、ヒータコア141を通過する空気
量を減少させる方向に回動する。温調ドア142と連動
して作動するポテンショメータ147は、温調ドア14
2の位置に対応する位置信号を電圧VT の形で制御部2
に入力し(θの増加につれてVT は上昇する)、制御部
2は、具体的な処理については後述するが、目標位置と
検出位置との差ΔVT が所定値より大きいときは故障と
判断する。なお、詳細は後述するが、温調ドア142
は、上記構成にて帰還制御され、ヒータコア141を通
過する空気量がブロワー121により送られるブロワー
風量Aの0(θが増大)から100%(θが零)まで制
御される。また、ヒータコア141を通過しない空気
は、ヒータコア141に並列に設けてある冷風バイパス
103を通り、ヒータコア141を通過した加熱された
空気と混合して車室内に吹出される。蒸発器131とヒ
ータコア141または冷風バイパス103を通過した空
気は、車室内への上吹出口104、下吹出口105また
はフロントガラスへのデフ吹出口106から車室内へ吹
出される。車室内への空気の吹出口を切り換えるため、
モードドア151が設けてあり、このモードドア151
は、吸込口ドア111と同様2段アクション負圧アクチ
ュエータ152により3位置に制御される。負圧アクチ
ュエータ152の2個の負圧作動室は、それぞれ電磁弁
153,154を介して負圧源に接続してあり、電磁弁
153,154の両方に通電されていないときには、リ
ターンスプリング155により上吹出口104が閉じら
れ、空気は下吹出口105から吹出される。また、電磁
弁153,154の両方に通電されているときには、負
圧アクチュエータ152の両負圧作動室に負圧源が接続
され、モードドア151が下吹出口105を閉じ、空気
は上吹出口104から吹出される。電磁弁153に通電
され、電磁弁154に通電されないときには、負圧アク
チュエータ152の一方の負圧作動室のみが負圧源に接
続されるため、モードドア151は、上記状態の中間位
置、すなわち、上吹出口104、下吹出口105の両方
を開いた状態となり、空気は両吹出口104,105か
ら吹出される、いわゆるバイレベルの状態となる。デフ
吹出口106は、デフドア156によって開閉される
(デフドア156が閉状態でも少量の吹出し空気が存在
するように構成するのが普通である)。デフドア156
は、電磁弁157を介して負圧源に接続された負圧アク
チュエータ158とリターンスプリング159により駆
動される。電磁弁157に通電されたときには、負圧ア
クチュエータ158に負圧力が作用し、デフドア156
はリターンスプリング159に抗して開き、電磁弁15
7に通電されないときには、デフドア156はリターン
スプリング159の作用により閉じられる。
【0021】蒸発器131の直ぐ下流には、蒸発器13
1を通過直後の空気温度、すなわち、吐出空気温度TC
を検出するサーミスタなどからなる吐出空気温度センサ
ー160が設けてあり、吐出空気温度TC を電圧VC
で制御部2に入力している。また、車室の適当の位置に
車室温度センサー170が取り付けてあり、車室温度T
R を電圧VR の形で制御部2に入力している。
【0022】制御部2は、温度センサー160,170
などのセンサー類および操作部3からのアナログ信号を
デイジタル信号に変換するA−D変換器21、このA−
D変換器21と操作部3からのデジタル信号を用いて演
算処理するマイクロコンピュータ22およびマイクロコ
ンピュータ22の出力信号により熱交換部1の各機器を
制御するインターフェース回路23とから構成してあ
る。第2図はマイクロコンピュータ22の機能ブロック
図である。インターフェース回路23は、熱交換部1の
電磁弁114,115,143,144,153,15
4,157、コンプレッサリレー132bを制御するス
イッチ素子としてのトランジスタ231〜238、モー
タ123に電力を供給するドライバ122にアナログ電
圧を供給するD−A変換器239とより構成してある。
【0023】操作部3は、本装置を起動、停止するため
のエアコンスイッチ(図示省略)、車室内の希望温度を
設定する温度設定器31、車室内を手動により除湿する
除湿スイッチ32、デフ吹出口106からフロントガラ
スに空気を吹出す操作をするデフスイッチ33などから
構成してある。そして、温度設定器31によつて設定さ
れる車室の希望温度(目標設定温度TS )は、電圧VS
として制御部2に入力され、除湿スイッチ32、デフス
イッチ33の操作信号VDEH 、VDEF は電圧の高低の形
で制御部2に入力される。
【0024】次に、上記した構成の自動車用空気調和装
置の動作について説明する。
【0025】図3、図4は制御部2の動作フローチャー
トである。図3、図4の()内の数字はフローの順序を
示すステップ番号である。図示のように、本装置の動作
は、第3図のステップ(201)〜(203)のイニシ
ヤライズ、ステップ(204)〜(217)の無限回繰
り返すメインルーチンおよび図4のこのメインルーチン
の処理中にメインルーチンの1周期(実施例では約1
秒)の数百分の一の周期(実施例では1/100秒)で
処理するステップ(220)〜(227)の割込みルー
チンとからなつている。
【0026】まず、エアコンスイッチにより本装置が起
動されると、制御部2のマイクロコンピュータ22のI
/0データがステップ(201)で定められた初期値に
設定され、ステップ(202)でマイクロコンピュータ
22のRAMがクリアされる。次に、温調ドア142の
位置(θ=0)に対応するポテンショメータ147の電
圧VT がA−D変換器21によりデイジタル量〔VT
に変換され、ドア基準位置の初期値として読込まれる
(203)。なお、このドア基準位置信号は、割込みル
ーチン(224)により監視、更新される(温調ドア基
準位置設定、更新についての詳細は、特開昭57−84
216号公報に記載してある)。
【0027】次に、メインルーチンに移る。操作部3に
より設定された目標設定温度TS に対応した電圧VS
車室温度TR に対応した電圧VR 、吐出空気温度TC
対応した電圧VC は、A−D変換器21によりそれぞれ
デイジタル値〔VS 〕,〔VR 〕,〔VC 〕に変換さ
れ、マイクロコンピュータ22に入力される(20
4)。
【0028】なお、温調ドア142の位置に対応した電
圧VT の読込みは、タイマ割込みで行うようにしてあ
り、これについては後述する。
【0029】〔VR 〕,〔VC 〕は、マイクロコンピュ
ータ22のROMに記憶された変換マップにより車室温
度、吐出空気温度相当のデイジタル値〔TR 〕,
〔TC 〕に変換する(205)。
【0030】〔VS 〕は1次の変換式により目標設定温
度TS のデジタル値〔TS 〕に変換する(206)。そ
して、目標設定温度〔TS 〕と車室温度〔TR 〕との偏
差〔ΔT〕=〔TS 〕−〔TR 〕を求める(207)。
【0031】次に、〔X〕=k〔ΔT〕+1/τ∫〔Δ
T〕dtなるPI演算を行う。まず、上式の積分項は、
図4の割込みルーチンのタイマ処理(226)により指
定された所定時間毎に温度偏差〔ΔT〕を加算すること
により求める(208)。さらに、積分項にk〔ΔT〕
を加えることにより制御信号〔X〕を求める(20
9)。なお、上式のk,τは、制御系によって決まる定
数である(上記のPI演算処理の詳細は特願昭55−5
7836号に示してある)。
【0032】このようにして求めた制御信号〔X〕は、
車室温度TR を目標設定温度TS に制御する過程で、車
室熱負荷として必要とする熱量に見合う量であり、本実
施例ではk>0,τ>0に選んであるので、〔X〕>0
では加熱力を、しかも、〔X〕値が大きいほど大きな加
熱力を、また、〔X〕<0では冷房力を、しかも、〔−
X〕値が大きいほど大きな冷房力を車室熱負荷として必
要としていることを意味している。
【0033】この制御信号〔X〕の値に基ずく本空調装
置の動作を図5を参照しながら説明する。図5は図1の
熱交換部1の動作説明線図で、横軸に制御信号〔X〕を
とって示してある。
【0034】まず、制御信号〔X〕に対する温調ドア目
標電圧〔VT0〕を計算によって求める(210)。この
目標電圧〔VT0〕は、〔X〕に関する1次式であり、
〔X〕が
〔0〕で、〔VT0〕=〔VT1〕となり、あらか
じめ定められた〔X〕の正の値〔X3 〕で、〔VT0〕=
〔VT2〕となる2点を満足する。ここに、〔VT1〕は温
調ドア142がヒータコア141への通路を閉じた状態
(θが最大)のポテンショメータ147による電圧に相
当するものであり、〔VT2 〕はヒータコア141への
通路を完全に開いた状態(θ=0)のポテンショメータ
147による電圧に相当する。
【0035】次に、割込み処理ルーチンで温調ドア14
2の位置信号としてポテンショメータ147による電圧
T を読込み、A−D変換器21によりデイジタル値
〔VT 〕に変換する(222)。
【0036】次に、目標電圧〔VT0〕と〔VT 〕とを比
較することにより温調ドア142の位置制御を行う(2
23)。すなわち、まず、〔ΔVT 〕=〔VT0〕−〔V
T 〕を求め、あらかじめ定められた値〔ΔVTP〕>0に
対して、〔ΔVT 〕≧〔ΔVTP〕で“1”、〔ΔVT
<〔ΔVTP〕で“0”となる制御信号〔T1 〕と、〔−
ΔVTP〕≦〔ΔVT 〕≦〔ΔVTP〕で“1”、上記以外
の範囲で“0”となる制御信号〔T2 〕とを作る。そし
て、制御信号〔T1 〕,〔T2 〕が“1”のときにはス
イッチ素子233,234がオンになり、電磁弁14
3,144に通電され、“0”のときには通電されな
い。以上の動作により、上記したように、〔ΔVT 〕>
〔ΔVTP〕で温調ドア142はθが増す方向に回動さ
れ、〔ΔVT 〕<〔−ΔVTP〕では温調ドア142はθ
が減少する方向に回動される。また、〔−ΔVTP〕≦
〔ΔVT 〕≦〔ΔVTP〕の範囲では温調ドア142は静
止状態となり、このときの温調ドア142の位置θは、
制御信号〔X〕に対応した目標電圧〔VT0〕に相当する
位置になっている。
【0037】次に、メインルーチンのステップ(21
4)に戻って、吐出空気温度TC の目標温度〔TCO〕を
次によって求める。あらかじめ定めた〔X〕の負の値
〔X2 〕に対して〔X〕≦〔X2 〕では、〔TCO〕は蒸
発器表面が凍結直前の可能最低値〔TC1〕(本実施例で
は2.5℃)となり、〔X〕≧〔X2 〕の範囲では、
〔X〕=〔X2 〕で〔TC1〕、〔X〕=
〔0〕で所定値
〔TC2〕(本実施例では25℃)なる2点を結ぶ1次式
によって求められる値となる。なお、〔X〕=
〔0〕の
付近は、車室熱負荷が加熱力も冷房力も必要としない領
域であり、外気温度TOが目標設定温度TS に近い。こ
の領域では、冷却手段をほとんど動作させる必要がない
ことから、〔TC2〕≒〔TS 〕と設定する。
【0038】次のステップ(215)では、吐出空気温
度の目標温度〔TCO〕と吐出空気温度〔TC 〕とを比較
し、その温度差〔ΔTC 〕=〔TCO〕−〔TC 〕を計算
し、この〔ΔTC 〕の値によりコンプレッサ制御信号
〔C〕を作る。すなわち、〔ΔTC 〕≧
〔0〕で〔C〕
は“0”、〔ΔTC 〕<
〔0〕で〔C〕は“1”とな
る。
【0039】コンプレッサ制御信号〔C〕が“1”のと
きには、ステップ(217)の時点でスイッチ素子23
5がオンとなり、コンプレッサリレー132bに通電す
る。そして、コンプレッサリレー132bのオンにより
マグネットクラッチ132aが励磁され、コンプレッサ
132が稼動し、蒸発器131を通過する空気が冷却さ
れて吐出空気温度TC が下がる。吐出空気温度TC が下
がれば、やがて〔ΔTC 〕≧
〔0〕となり、〔C〕=
〔0〕となる。そこで、メインルーチンの最後のステッ
プ(217)の時点で、コンプレッサ132は非稼動と
なる。
【0040】このように、コンプレッサ132が稼動、
非稼動を繰り返すことにより、吐出空気温度TC は、制
御信号〔X〕により定まる目標温度〔TCO〕近くに保た
れる。ただし、上記したように、〔X〕≧0の範囲で
は、車室熱負荷は加熱力を必要としており、目標設定温
度TS >車室外気温度TO で、他方、TCO>TC2≒TS
であり、そして、吸込口ドア111は、車室外気を吸込
むので、蒸発器131へ送られる風の温度は、車室外気
温度TO に近い。したがって、冷却手段が作動しなくと
も〔ΔTC 〕>0であり、コンプレッサ132は稼動す
ることがない。そして、〔TC 〕≒〔TO 〕となる。
【0041】ブロワ風量Aは、モータ123に供給され
る電圧VF にほぼ比例する。このモータ123に供給さ
れる電圧VF は、次のように制御される。まず、制御信
号〔X〕に対応した目標電圧〔VF 〕を求める。また、
あらかじめ定めた〔X〕の負の値〔X1 〕、正の値〔X
4 〕に対しそれぞれ〔X〕≦〔X1 〕、〔X〕≧
〔X4 〕で最大値〔VF1〕(本実施例では12V)、上
記負の値〔X2 〕、正の値〔X3 〕で最小値〔VF2
(本実施例では4V)とする。そして、〔X1 〕≦
〔X〕≦〔X2 〕の範囲では、〔X1 〕で〔VF1〕、
〔X2 〕となる2点を結ぶ1次式により〔VF 〕を定
め、〔X3 〕≦〔X〕≦〔X4 〕の範囲では、〔X3
で〔VF2〕,〔X4 〕で〔VF1〕となる2点を結ぶ1次
式から〔VF 〕を定める(216)。
【0042】上記により求めた目標値〔VF 〕が、ステ
ップ(217)でインターフェース回路23のD−A変
換器239によりアナログ電圧VFSに変換され、この電
圧VFSにより制御されるドライバ122によりモータ1
23に印加される電圧VF が制御されて、モータ123
が駆動される。
【0043】制御信号〔X〕の値により〔X1 〕以下で
は、VF が最大、ブロワー風量Aは最大AMAX となり、
〔X1 〕と〔X2 〕の間では、ブロワー風量Aは最大A
MA X から最小AMIN までほぼ直線的に減少し、〔X2
と〔X3 〕の間では、最小AMIN に保たれ、〔X3 〕と
〔X4 〕の間では、最小AMIN から最大AMAX まで直線
的に増加し、〔X4 〕以上では、最大AMAX になるよう
に連続的に制御される。
【0044】以上の動作のほか、途中で吸込口ドア11
1、モードドア151も制御信号〔X〕の値により制御
される。すなわち、〔X〕≦
〔0〕で“1”、〔X〕≧
〔0〕で“0”となる制御信号〔I1 〕、〔X〕≦〔X
5 〕で“1”、〔X〕≧〔X5 〕で“0”となる制御信
号〔I2 〕を作る(211)。なお、〔X5 〕は負の値
で、〔X1 〕<〔X5 〕<〔X2 〕なる値である。
【0045】制御信号〔I1 〕,〔I2 〕が“1”のと
きには、ステップ(217)にてスイッチ素子231,
232がオンし、電磁弁114,115に通電し、
“0”のときには、電磁弁114,115に通電しな
い。
【0046】制御信号〔X〕が〔X〕≦〔X5 〕のとき
には、上記のように〔I1 〕,〔I2 〕がともに“1”
となり、電磁弁114,115に通電され、吸込口ドア
111はアクチュエータ112により内気吸込みの状態
となる。
【0047】〔X〕≧
〔0〕のときには、〔I1 〕,
〔I2 〕がともに“0”であり、吸込口ドア111はリ
ターンスプリング113により引かれて外気吸込みの状
態となる。
【0048】〔X5 〕≦〔X〕≦
〔0〕では、〔I1
が“1”、〔I2 〕が“0”であるため、吸込ドア11
1は中間位置となり、内外気吸込みの状態となる。
【0049】同様に、モードドア151も制御信号
〔X〕の値により制御される。ただし、
〔0〕<
〔X6 〕<〔X7 〕<〔X3 〕である〔X6 〕,
〔X7 〕があらかじめ定めてある。
【0050】〔X〕<〔X7 〕で“1”、〔X〕≧〔X
7 〕で“0”となる制御信号〔O1 〕と、〔X〕<〔X
6 〕で“1”、〔X〕≧〔X6 〕で“0”となる制御信
号〔O2 〕を作る(212)。
【0051】そして、制御信号〔O1 〕,〔O2 〕の値
によりモードドア151はステップ(212)にて次の
ように駆動される。
【0052】〔X〕<〔X6 〕では、制御信号
〔O1 〕,〔O2 〕がともに“1”であり、スイッチ素
子236,237はともにオンとなり、電磁弁153,
154に通電され、モードドア151はアクチュエータ
152により上吹出しの状態となる。
【0053】また、〔X〕>〔X7 〕では、〔O1 〕,
〔O2 〕がともに“0”であり、電磁弁153,154
に通電されず、モードドア151はリターンスプリング
155により下吹出しの状態とされる。
【0054】〔X6 〕≦〔X〕≦〔X7 〕では、
〔O1 〕が“1”、〔O2 〕が“0”となるため、電磁
弁153に通電され、電磁弁154に通電されないた
め、モードドア151は中間位置となり、上下吹出しの
状態となる。
【0055】ところで、本考案では〔O1 〕,〔O2
により〔X〕の値の一時補正を行うようにしてあるが、
それの詳細は後述する。
【0056】図6は図1の自動車用空調装置と車室熱負
荷とからなる自動温度制御系の原理図である。
【0057】操作部3、制御部2、熱交換部1間の変数
の流れは、これまでに説明した通りである。車室熱負荷
61は、熱交換部1から熱量Qを受けるほか、外乱熱Q
d を受ける。Qd の内訳は、車室外からの侵入熱および
乗員の発熱等である。車室熱負荷61は、Q+Qd の熱
量を受取り、それが加熱量であれば、車室温度TR は、
1次遅れで上昇し、冷房量であれば下降、零であれば変
わらない。
【0058】PI演算を用いた負帰環制御は、自動制御
の分野では一般に使われている手法であり、ΔT>0
(ΔT<0)の場合、TR がTS に近づく方向でQを変
化させる。すなわち、Qを増加(または減少)させるよ
うにPI演算部62と熱交換器63との関係を選ぶ。要
するにPI演算の2常数k,τが正ならば、QはXに対
して単調に一様に増加し、負ならば単調に一様に減少す
るようにPI演算部62と熱交換器63との関係を選べ
ば、TR はTS に安定に収束する(ΔT=0)ことは、
理論的、経験的に確かめられている。そして、負帰環制
御を自動車用空調装置に適用することは公知である(特
願昭53−105077)。
【0059】ところで、本実施例では、k,τ>0と選
んであるので、QがXに対して単調に一様に増加するこ
とが不可欠であるが、以下それを図7を用いて説明す
る。ただし、ここでは、冷房力は負の加熱力として取扱
う。
【0060】加熱量Qは、ヒータコア141で加熱され
た空気が有する熱量QH と蒸発器131を通過後バイパ
ス103を通る空気が有する熱量QC との和である。
【0061】基本特性を理解しやすくするため、車室温
度TR が目標設定温度TS に維持された状態を基点とす
る。ヒータコア141を通過した直後の空気温度を
H 、ブロワー風量Aのうちヒータコア141を通過す
る風量をAH とすれば、QH ∝(TH −TR )AH ,Q
C ∝(TC −TR )(A−AH )となる。X≧0の領域
では、前述した通り、冷却手段が動作することはなく、
熱交換部1は車室外気を吸込むので、TC ≒車室外気温
度TO ≦TR ≒TS の関係がある。
【0062】〔X3 〕≧〔X〕≧
〔0〕の範囲では、Q
=QH +QC ∝(TH −TR )AH +(TO −TR
(AMIN −AH )であり、加熱手段の能力が十分である
として、(TH −TR )は、ほぼ一定で、ヒータコア1
41を通過する風量AH は0〜AMIN の間を直線的に増
加するので、QH は〔X〕の増加に対して零から直線的
に増加する。また、〔X〕=
〔0〕付近では、TO ≒T
R 、よって、QC ≒0、〔X〕=〔X3 〕では、AH
MIN 、よってQC =0、また、TO ≦TR 、故に、Q
C =OO 以上より、Qは図7に示すような特性となる。
【0063】〔X〕≧〔X3 〕の範囲では、AH =Aで
ある。故に、Q=QH ∝(TH −TR )Aとなり、(T
H −TR )が一定となり、Aが〔X〕に対して直線的に
変化するので、Qは〔X〕の増加に連れてさらに直線的
に増加する。
【0064】〔X〕<
〔0〕の範囲では、AH =0であ
り、冷却手段の能力が十分あるとして吐出空気温度TC
≒目標吐出空気温度TCOである。
【0065】
〔0〕>〔X〕≧〔X2 〕の範囲では、Q
=QC ∝(TC −TR )AMIN であり、AMIN 一定で、
〔X〕が負の方向に増加するとともに、(TC −TR
が零から(TC1−TR )へ直線的に変化するので、Qは
冷房力として〔X〕の負方向への増加につれて零から直
線的に増加する。
【0066】〔X2 〕≧〔X〕≧〔X1 〕の範囲では、
C −TR =TC1−TR の負の一定値で、Aが〔X〕に
対して直線的に変化するので、〔X〕が負方向に増加す
るにつれて、Qは冷房力としてさらに比例的に増加す
る。
【0067】以上より本実施例においては、図7に示し
てあるように、Qが〔X〕に対して連続的に単調に一様
に増加することが確かめられた。
【0068】以上で、本実施例に基本動作の説明を終
り、以下本考案に係る〔X〕の値の一時補正について詳
しく説明する。
【0069】先に述べたモードドア制御信号〔O1 〕が
図3のステップ(212)にて、“0”から“1”へ変
わると、次のサイクル1回のみ、ステップ(209)に
て〔X〕値に負の所定量−ΔX1 を加算し、また、制御
信号〔O2 〕がステップ(212)にて“1”から
“0”へ変わると、次のサイクル1回のみ、ステップ
(209)にて〔X〕の値の正の所定量ΔX2 を加算す
るようにしてある。ただし、〔X7 〕−〔X6 〕>ΔX
1 ,ΔX2 であるとする。
【0070】したがって、〔X3 〕>〔X〕>〔X7
の状態、すなわち、吸込んだ空気の大部分がヒータコア
141にて加熱され、加熱されない残りの空気と混合さ
れて下吹出口105から車室内へ吹出され、車室内を暖
房している状態から幾分必要加熱力が減少し、〔X〕が
〔X7 〕以下へ漸次移行すると、上下両方の吹出口10
4,105へと切替わり、同時に〔X〕値はΔX1 だけ
急激に減少する。そのため、温調ドア142はΔX1
見合う角度だけθが増加する方向へステップ的に回動
し、ヒータコア141にて加熱される空気の量が減少
し、その代わりにバイパス103を通過する空気の量が
増加し、熱交換部1の加熱量Qが減少する。
【0071】この〔X〕値の一時補正により、従来の空
調装置が有していた欠点、すなわち、吹出口が下吹出口
105から上下両方の吹出口104,105へ切替わっ
た場合の吹出空気温度の上昇が緩和され、ΔX1 を実験
から最適な値に選ぶようにすることにより、大幅な緩和
を達成することができる。
【0072】〔X〕値、すなわち、加熱量Qが急減する
と、車室内温度が一時的に下降しかかるが、図6に示し
た帰還制御により直ちに回復がはかられる。この間の一
時的の僅かの室温下降は、上記の吹出空気温度の上昇抑
制効果に比べればとるに足らないものである。
【0073】他方、〔X6 〕>〔X〕>
〔0〕の状態、
すなわち、吸込んだ空気の大部分がバイパス103を通
り、加熱された残りの空気と混合されて上吹出口104
から車室内へ吹出され、車室内を幾分暖房している状態
から必要加熱力が多少増加し、〔X〕が〔X6 〕以上へ
漸次移行すると、吹出口は上下両方の吹出口104,1
05へと切替わり、同時に〔X〕値はΔX2 だけ急激に
増加する。この結果、吹出口が上吹出口104から上下
両方の吹出口104,105に切替わった場合、吹出空
気温度が急下降する従来装置の欠点は、ΔX2 を適当に
選ぶことにより大幅に緩和することができる。
【0074】
【考案の効果】以上説明したように、本考案によれば、
吹出口切替えに伴う吹出空気温度の急変を抑制するため
の温調ドアの制御を全体の温度制御との関連で行うこと
により快適な自動温度制御を行うことができると共に、
信頼性を高くしかつ単純で安価な構成とすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の自動車用空調装置の一実施例を示す全
体構成図である。
【図2】図1のマイクロコンピュータの一実施例を示す
機能ブロック図である。.
【図3】図1の制御部の動作の一実施例を示す動作フロ
ーチャートである。
【図4】図1の制御部の動作の一実施例を示す動作フロ
ーチャートである。
【図5】図1の熱交換部の作動説明線図である。
【図6】図1の自動車用空調装置の自動温度制御原理図
である。
【図7】第1の熱交換部の放熱特性線図である。
【符号の説明】
1 熱交換部 2 制御部 3 操作部 21 A−D辺幹部 22 マイクロコンピュータ 23 インターフェース回路 100 熱交換部ユニットケース 103 バイパス 104 上吹出口 105 下吹出口 111 吸込口ドア 121 ブロワー 131 蒸発器 141 ヒータコア 142 温調ドア 151 モードドア
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 船崎 譲 茨城県勝田市大字高場2520番地 株式会社 日立製作所 佐和工場内 (72)考案者 久保田 正則 茨城県勝田市東石川西古内3085番地5 日 立オートモティブエンジニアリング株式会 社内 (56)参考文献 特開 昭57−205217(JP,A)

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外気吸込口と内気吸込口の開閉を制御す
    る吸込口ドア手段と、前記外気吸込口かつ/または内気
    吸込口より空気を導入する送風手段と、前記送風手段に
    より導入された空気を冷却する冷却手段と、前記冷却さ
    れた空気を再加熱する加熱手段と、前記加熱手段を通過
    した温風と該加熱手段に並列に設けてある冷風バイパス
    を通る冷風との混合割合を変化させて吹出温度を調整す
    る温調ドア手段と、前記温調ドア手段により吹出温度を
    調整された空気を車室の下側へ吹き出す下側吹出口と、
    前記空気を前記車室の中央および上側へ吹出す上側吹出
    口と、前記空気をすべて前記下側吹出口かまたは前記上
    側吹出口かあるいは前記両吹出口へ3段階に振り分ける
    吹出口調節手段とを備え、前記車室内温度を目標温度に
    自動制御するようにしてなる自動車用空調装置におい
    て、 (a)車室内温度とその目標設定温度との偏差を負帰環
    制御においてPI演算することにより、車室内の空気調
    和に必要な必要熱交換量を演算する必要熱交換量演算手
    段と; (b)前記演算された必要熱交換量に基づいて前記吹出
    口調節手段を切替え、前記3段階の吹出口の振り分けを
    行う吹出口切替手段であって、前記必要熱交換量を加熱
    力を必要とするときに正、冷房力を必要とするときに負
    と定義したとき、前記下側吹出口と前記上側吹出口の両
    方が開くようにする前記吹出口調節手段の切替えは前記
    必要熱交換量が正のときに行う吹出口切替手段と; (前記必要熱交換量が正のときに前記加熱手段への
    通路を開け、該必要熱交換量の値が大きくなるにしたが
    って前記冷風バイパスの通路面積が小さくなるよう必要
    熱交換量に応じて前記温調ドア手段の位置を制御する手
    段と; (前記吹出口切換手段が前記吹出口調整手段を前記
    下側吹出口と前記上側吹出口の両方が開くように切替え
    るときに、前記冷却手段がOFFで前記加熱手段がON
    となり、前記吸込口ドア手段が外気吸込口の開放を選択
    し、更に前記送風手段の送風量が最低風量領域となるよ
    うに前記必要熱交換量に基づいて前記冷却手段、加熱手
    段、吸込口ドア手段及び送風手段を制御する手段と;)前記吹出口切換手段が前記吹出口調整手段を前記
    上側吹出口から前記下側吹出口と上側吹出口の両方が開
    くように切替えるときは、前記必要熱交換量演算手段に
    おける負帰環制御の一サイクルだけ前記必要熱交換量に
    正の所定値を加算して該必要熱交換量を急激に増加さ
    せ、以て前記温調ドア手段を前記冷風バイパスの通路面
    積が減少する方向にステップ的に回動させ、前記吹出口
    切換手段が前記吹出口調整手段を前記下側吹出口から前
    記下側吹出口と上側吹出口の両方が開くように切替える
    ときは、前記必要熱交換量演算手段における負帰環制御
    の一サイクルだけ前記必要熱交換量に負の所定値を加算
    して該必要熱交換量を急激に減少させ、以て前記温調ド
    ア手段を前記冷風バイパスの通路面積が増加する方向に
    ステップ的に回動させる補償手段と; を備えることを特徴とする自動車用空調装置。
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