JPH0638569B2 - 受信機の自動利得制御回路 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は、たとえば自動車塔載用ＦＭラジオ受信機に使
用される自動利得制御回路（以下、ＡＧＣ回路という）
に関する。

〔発明の技術的背景〕

この種の従来のＡＧＣ回路としては、第２図に示すよう
なワイド（広帯域）ＡＧＣ方式とか第３図に示すような
ナロー（狭帯域）ＡＧＣ方式がよく知られている。即
ち、第２図および第３図に示すＦＭ（周波数変調）ラジ
オ受信機のチューナ部において、１は受信アンテナ、２
は受信同調回路、３は高周波アンプ、４は高周波同調回
路、５は周波数混合器、６は局部発振器、７は中間周波
同調回路、８は中間周波増幅器・リミッタ・ＦＭ検波器
である。そして、ワイドＡＧＣ方式においては、高周波
信号出力レベルを高周波レベル検出器９により整流して
得た直流レベルに応じて前記高周波アンプ３の利得を制
御しており、ナローＡＧＣ方式においては中間周波段信
号（通常、１０．７MHz）を整流してシグナルメータ出
力（直流）を発生するための中間周波レベル検出器１０
の出力レベルに応じて前記高周波アンプ３の利得を制御
している。

〔背景技術の問題点〕

ところで、チューナ部の二次歪、三次歪により生じる相
互変調妨害および隣接チャネル信号により生じる次隣接
妨害について考察すると、前記ワイドＡＧＣ方式は上記
各妨害に対して有効に作用するが、希望波信号レベルが
小さくて妨害波信号レベルが大きい場合には妨害波信号
入力によりＡＧＣ回路が動作してしまうので希望波信号
の受信が全く不可能に近くなる、所謂感度抑圧が発生す
るという欠点がある。一方、前記ナローＡＧＣ方式は、
中間周波信号レベルの検出出力に基いてＡＧＣ回路が動
作するので前記感度抑圧の欠点は改善されるが、中間周
波信号に含まれる相互変調妨害成分の検出特性が前記中
間周波レベル検出器１０の出力特性（直線性、ダイナミ
ックレンジなど）に大きく左右されるので相互変調妨害
の改善度が必らずしも良好には得られない。

〔発明の目的〕

本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、感度抑圧
を伴なうことなく、シグナルメータ出力特性に依存する
ことなく、相互変調妨害および次隣接妨害が最少になる
ように的確に制御し得る受信機の自動利得制御回路を提
供するものである。

〔発明の概要〕

即ち、本発明は、受信機において相互変調妨害時および
次隣接妨害時には最終的にはＦＭ検波出力（音声出力）
に高域雑音（たとえば100KHz 以上）が重畳され、この
高域雑音のレベルは前記妨害の程度にほぼ対応すること
に着目してなされたものであり、受信機のＦＭ検波出力
から高域雑音成分を抽出して雑音アンプに導き、この雑
音アンプの出力を整流して得た直流レベルにより高周波
アンプの利得を制御するものとし、無信号時のように希
望波受信レベルが所定値以下のときにはシグナルメータ
出力により前記雑音アンプの出力を抑制することによっ
て、前記高周波アンプに対する利得制御を行なわせない
ようにしてなることを特徴とするものである。

このように、シグナルメータ出力特性に依存することな
く、相互変調妨害および次隣接妨害の程度を音声出力中
から直接的に検出してAGC動作を行なうことにより、上
記妨害を的確に最少化することが可能になる。また、無
信号時にはＡＧＣ動作が行なわれなくなり、感度抑圧が
生じることもない。

〔発明の実施例〕

以下、図面を参照して本発明の一実施例を詳細に説明す
る。

第１図に示すＦＭラジオ受信機のＡＧＣ回路は、第３図
を参照して前述した従来のナローＡＧＣ方式の回路に比
べて、(1)ＦＭ検波出力に含まれる相互変調妨害とか次
隣接妨害による高域雑音（たとえば１００KHz 以上）を
抽出するための高域雑音波器（高域通過フィルタある
いは帯域通過フィルタ）１１が設けられ、(2)上記雑音
波器１１の出力を交流増幅器（雑音増幅器）１２に導
き、(3)上記雑音増幅器１２の出力を雑音レベル検出器
１３により整流して得た直流レベルを、前記シグナルメ
ータ出力に代えて前記高周波アンプ（増幅器）３の利得
制御入力として印加し、(4)前記雑音増幅器１２の利得
を前記シグナルメータ出力により制御するようにした点
が異なり、その他は同じであるので第３図中と同一符号
を付している。この場合、前記シグナルメータ出力によ
る雑音増幅器１２の利得制御は、シグナルメータ出力が
ある一定値（閾値）以下のときには雑音増幅器１２を動
作させないようにし、シグナルメータ出力が上記閾値を
越えているときに雑音増幅器１２を動作させるようにな
っており、上記閾値はたとえば半固定抵抗の調節により
所望値に設定し得るようになっている。

上記構成のＡＧＣ回路によれば、受信機入力の無信号時
とか希望波信号レベルが所定値以下のときには、ＦＭ検
波出力の信号対雑音比が悪く、雑音出力のレベルが大き
い。しかし、このときにはシグナルメータ出力により雑
音増幅器１２が動作しないように制御されるので、前記
雑音出力に基くＡＧＣ動作による感度抑圧は生じない。
これに対して、希望波信号入力レベルが前記所定値を越
えると、このときのシグナルメータ出力により雑音増幅
器１２が動作し、ＦＭ検波出力中に含まれる相互変調妨
害とか次隣接妨害による高域雑音が雑音波器１１によ
り抽出されて雑音増幅器１２により増幅されるようにな
る。そして、この増幅器１２の出力に応じてＡＧＣ動作
が行なわれるようになる。この場合、前記妨害の程度に
応じて生じる高域雑音レベルに応じてＡＧＣ動作が行な
われ、高域雑音が最少になるように制御される。即ち、
ラジオ聴取者により判断可能なＦＭ検波出力中の前記妨
害の程度を直接的に検出してＡＧＣ動作を行なうので、
上記妨害が最少になるような的確な制御が可能になる。

なお、上記実施例においては、雑音レベル検出器１３の
出力により高周波アンプ３の利得を制御したが、これに
代えてあるいはこれと同時に上記雑音レベル検出器の出
力により中間周波段の増幅器の利得を制御するようにし
てもよい。

また、ＡＭ（振幅変調）波用の受信機であっても相互変
調妨害とか次隣接妨害が問題になるような場合（たとえ
ばＶＨＦ帯受信機）には、このＡＭ受信機の中間周波段
の信号の一部を分岐し、この分岐されたＡＭ中間周波信
号に対して上記実施例における同様の信号処理を行なう
ために中間周波増幅器・リミッタ・ＦＭ検波器、高域雑
音フィルタ回路、雑音増幅器、雑音レベル検出器を付加
し、この雑音レベル検出器の出力により高周波アンプ、
中間周波段アンプの少なくとも一方の利得を制御するよ
うなAGCループを構成することによって、前記妨害の程
度を改善することが可能である。この場合にも、ＡＭ中
間周波信号レベルを検出して得たシグナルメータ出力に
より雑音増幅器の利得を制御するようにすれば感度抑圧
を防ぐことが可能である。

〔発明の効果〕

上述したように本発明の受信機の自動利得制御回路によ
れば、感度抑圧を伴なうことなく、シグナルメータ出力
特性に依存することなく、相互変調妨害および次隣接妨
害が最少になるように的確に制御することができる。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明の一実施例に係るＦＭラジオ受信機のＡ
ＧＣ回路を示すブロック図、第２図および第３図はそれ
ぞれ従来のＦＭラジオ受信機のＡＧＣ回路を示すブロッ
ク図であり、第２図はワイドＡＧＣ方式の回路、第３図
はナローＡＧＣ方式の回路を示している。 ３……高周波アンプ、８……中間周波増幅器・リミッタ
・ＦＭ検波器、１０……中間周波レベル検出器、１１…
…高域雑音波器、１２……雑音増幅器、１３……雑音
レベル検出器。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】受信機の中間周波段の中間周波信号を増
   幅、振幅制限、ＦＭ検波する回路と、この回路による検
   波出力中から高域雑音を抽出する回路と、この回路によ
   り抽出された高域雑音を増幅する雑音増幅器と、前記中
   間周波段の信号を整流して中間周波信号レベルを検出
   し、この検出出力により上記雑音増幅器の利得を制御す
   る中間周波レベル検出器と、前記雑音増幅器の出力を整
   流して得た出力レベルにより受信機の高周波段、中間周
   波段の少なくとも一方の増幅器の利得を制御する雑音レ
   ベル検出器とを具備してなることを特徴とする受信機の
   自動利得制御回路。