JPH0637755B2 - 皮革様シートの製造法 - Google Patents

皮革様シートの製造法

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JPH0637755B2
JPH0637755B2 JP6417288A JP6417288A JPH0637755B2 JP H0637755 B2 JPH0637755 B2 JP H0637755B2 JP 6417288 A JP6417288 A JP 6417288A JP 6417288 A JP6417288 A JP 6417288A JP H0637755 B2 JPH0637755 B2 JP H0637755B2
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sheet
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は柔軟な風合いを有し、表面平滑性、耐加水分解
性、耐カビ性、耐光候性および耐屈曲性に優れた皮革様
シートの製造法に関するものである。
〔従来の技術〕
従来、繊維質基体にポリウレタンエラストマーを主体と
した重合体を含有または/および被覆して皮革様シート
とすることは公知である。そして、皮革様シートを製造
するために、ポリウレタン溶液をポリウレタンの非溶剤
中で処理して凝固させるいわゆる湿式凝固法において凝
固調節剤、気孔構造調節剤に種々の添加剤が提案されて
きた。例えば、本願出願人は既に凝固調節剤としてステ
アリルアルコールなどの高級アルコール、炭化水素、ノ
ニオン系界面活性剤、有機カルボン酸などを添加したポ
リウレタン溶液を湿式凝固して多孔質ポリウレタンを作
ることを特公昭42−22719号公報、同42−27
269号公報、同45−39634号公報、同45−3
9635号公報、同46−2593号公報、同47−3
477号公報、同47−5634号公報、同47−30
624号公報、同48−4940号公報、同48−49
41号公報、同48−5264号公報、同52−205
22号公報、同54−21401号公報、同55−23
954号公報、同56−41652号公報などに提案し
た。更に、エチレンオキサイド付加物を添加することを
特公昭55−47055号公報などに提案した。また、
ポリウレタン溶液に添加するものではないが、繊維シー
トを水溶性シリコーン油で処理した後、ポリウレタン溶
液を含浸し、湿式凝固する方法も提案されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来のポリウレタン溶液に各種添加剤を添加して、ポリ
ウレタンの凝固速度を調節したり、形成される気孔構造
を調節したりして、湿式凝固で形成された多孔質ポリウ
レタンの気泡構造、ポリウレタン層の見掛密度などの調
整に使用されてきた。しかし、従来の添加剤あるいはそ
れらの添加剤を主体とした組成物を疎水性ポリウレタン
に適用して湿式凝固を行うと、一応の多孔質ポリウレタ
ンの気泡構造の調整はできる。しかしながら、得られた
多孔質ポリウレタン構造物は乾燥時に気泡構造が潰れた
り、変形したりして表面の平滑性が悪くなるか、エンボ
シングなどの圧縮作用で変形しやすいとか、二次加工、
例えば芳香族炭化水素やハロゲン化炭化水素で処理され
る工程を経て製品化される場合にはそれらの処理剤で気
泡構造が潰れたり、変形したりして多孔質ポリウレタン
構造が変化し、良好な外観、風合いの皮革様シートが得
られない。
その原因を究明した結果、従来の添加剤では疎水性ポリ
ウレタン、とりわけ白濁価13以下の疎水性であるポリ
ウレタンでは添加剤と凝固条件の組み合わせを変えても
気泡隔膜の丈夫で安定なものが得られていないことが判
明した。
本発明は、疎水性ポリウレタン溶液を湿式凝固法で多孔
質構造の安定な多孔質ポリウレタン構造物を製造するこ
とにある。とりわけ、銀付皮革様シートの製造において
安定な気泡構造のポリウレタン多孔質シートを得ること
にある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は繊維シートにポリウレタンを主体とする重合体
溶液を含浸および塗布し、非溶剤で凝固して多孔質シー
トを製造するに際し、ポリウレタンを構成するソフトセ
グメントが平均分子量400〜4000のポリテトラメ
チレンエーテル、ポリプロピレンエーテル、ポリカプロ
ラクトン、ポリバレロラクトン、ポリβ−メチル−δ−
バレロラクトン、ポリヘキサメチレンアジペートから選
ばれた少なくとも1種類のソフトセグメントからなる疎
水性ポリウレタンを主体とする重合体溶液であつて、含
浸液の凝固調節剤として炭素数8以上の高級アルコー
ル、アルコール変性シリコーン油、ポリオキシエチレン
アルキルフエニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル
から選ばれた少なくとも1種類を添加した組成液を使用
し、また、塗布液の凝固調節剤として高級アルコール硫
酸エステル塩、高級アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキル・ト
リメチル・アンモニウムクロライドから選ばれた少なく
とも1種類の添加剤または該添加剤と水を添加した組成
液を使用することを特徴とする皮革様シートの製造法で
ある。
本発明は白濁価13以下の疎水性ポリウレタン溶液を
N、N′−ジメチルホルムアミド60%以下の水溶液
で、温度65〜5℃の範囲に調節した凝固浴で凝固する
多孔質構造のシート状物の製造法である。
特に、本発明はソフトセグメントにポリテトラメチレン
エーテルグリコールとポリエステルグリコールの混合ジ
オールあるいはポリテトラメチレンエーテル/ポリエス
テル(組成比95/5〜45/55のブロツク共重合
体)グリコールと芳香族ジイソシアネートを主体とした
有機ジイソシアネートおよび炭素数2〜6個の低分子ジ
オールとを反応して得たポリウレタン溶液で、含浸液に
添加する凝固調節剤が高級アルコールとアルコール変性
シリコーン油あるいはソルビタン脂肪酸エステルであ
り、塗布液に添加する凝固調節剤が2−エチルヘキシル
硫酸エステルナトリウム塩と水および/またはポリオキ
シエチレンアルキルエーテルである添加剤をそれぞれ添
加した組成物を使用することを特徴とする皮革様シート
の製造法である。
すなわち、本発明で適用されるポリウレタンはポリウレ
タンを構成するソフトセグメントとして平均分子量40
0〜4000のポリテトラメチレンエーテルジオール、
ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレ
ンアジペートグリコール、ポリカプロラクトンジオー
ル、ポリバレロラクトンジオール、ポリ(β−メチル−
δ−バレロラクトン)ジオールポリテトラメチレンエー
テル・ポリエステルグリコールから選ばれた少なくとも
1種類の高分子ジオールを少なくとも30重量%、好ま
しくは35〜85重量%と、有機ジイソシアネート、例
えば4,4′−ジフエニルメタンジイソシアネート、ト
リレンジイソシアネート、フエニレンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシ
アネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロ
ンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタ
ンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、
水添キシリレンジイソシアネートなどの脂肪族または脂
環族ジイソシアネートなどから選ばれた少なくとも1種
と、鎖伸長剤として活性水素原子2個有する分子量30
0以下の化合物、例えば、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、
3−メチルペンタンジオール−1,5、1,4−シクロ
ヘキサンジオール、キシレングリコールなどのジオール
類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、キシリレ
ンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、フエニ
レンジアミン、トリレンジアミン、イソホロンジアミン
などのジアンミ類、ヒドラジン、アジピン酸ジヒドラジ
ド、イソフタル酸ジヒドラジドなどのヒドラジン類ある
いはヒドラジド類などから選ばれた少なくとも1種とを
所望の割合で反応させて得たポリウレタンである。特に
好ましい疎水性ポリウレタンはソフトセグメントとして
ポリテトラメチレンエーテルグリコールとポリエステル
グリコールの混合物あるいはポリテトラメチレンエーテ
ル・ポリエステル(95/5〜45/55ブロツク共重
合体)グリコールと芳香族シイソシアネートを主体とし
た有機ジイソシアネートおよび炭素数2〜6込の低分子
ジオールとを反応して得たポリウレタンである。そし
て、本発明で使用する好ましいポリウレタンはジメチル
ホルムアミド溶剤に溶解した濃度10重量%溶液を温度
30℃で測定した溶液粘度が少なくとも1ポイズ、好ま
しくは2〜10ポイズの範囲のポリウレタンに重合した
ものを使用する。溶液粘度が小さいものではスポンジ構
造の強度が十分なものが得られないとか、耐屈曲疲労性
が十分でない。一方、溶液粘度が高すぎると加工性が悪
くなるばかりではなく、均一性の良好なスポンジ構造に
凝固する凝固管理が難かしくなる。また、ポリウレタン
には他の重合体を混合比率で40重量%以下の量を混合
してもよい。例えば他の種類のポリウレタン、あるいは
溶剤を共通にする重合体である。とりわけ好ましい重合
体としてはポリエチレンエーテルグリコールをジオール
成分として重合したポリエチレンエーテルポリウレタン
を10重量%未満で混合することは非溶剤、とりわけ水
を含む凝固液中で凝固する場合、均一な凝固を行うこと
ができるばかりではなく、ポリウレタンの染色性を良く
し、皮革様シートとしての風合いが柔軟で、しつとりし
た触感のものが得られる。更に、本発明の添加剤はポリ
ウレタンの疎水性を白濁価で表わして、白濁価13以下
のポリウレタンに有効である。親水性が高いポリウレタ
ンでは特別の凝固調節剤を使わなくてもスポンジの安定
な多孔質ポリウレタン構造物が得られやすい。
また、本発明のポリウレタンを主体とする重合体の含浸
溶液に添加して、安定な多孔質ポリウレタン構造物を形
成させるための添加剤としては炭素数8以上の高級アル
コール、例えばオクタノール、ノナノール、デシルアル
コール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、
トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタ
デシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルア
ルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコー
ル、セリルアルコール、ミリシルアルコールなどの高級
アルコール、ソルビタン脂肪酸エステル、例えばソルビ
タンにラウリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミ
チル酸などの高級カルボン酸を反応させて得たモノエス
テル、ジエステルあるいはトリエステルなど、アルコー
ル変性シリコーン油は一般式 (但し、R1、R2はHまたは−CH3、R3はアルキル
基、nは10〜35の整数、平均分子量850〜350
0)で表わされるアルコール変性シリコーン油、一般式 (但し、Rは炭素数5〜10のアルキル基、nは2〜2
0の整数)で表わされるポリオキシエチレンアルキルフ
エニルエーテルから選ばれた少なくとも1種類との添加
剤である。これらの添加剤は単独で使用するよりも、例
えば、高級アルコールとアルコール変性シリコーン油、
高級アルコールとポリオキシエチレンアルキルフエニル
エーテル、高級アルコールとアルコール変性シリコーン
油とポリオキシエチレンアルキルフエニルエーテル、高
級アルコールとアルコール変性シリコーン油とソルビタ
ン2置換または3置換脂肪酸エステルの組み合わせが良
好な凝固調節効果が得られる。特に好ましい配合組成物
は高級アルコールとソルビタン脂肪酸エステルの組み合
わせである。添加剤の添加量は高級アルコールがポリウ
レタンに対して0.3〜30重量%、他の添加剤がポリ
ウレタンに対して0.2〜35重量%であつて、添加剤
組成物としてポリウレタンに対して0.5〜50重量%
の範囲である。
また、ポリウレタンを主体とする重合体の塗布溶液に添
加して、安定な多孔質ポリウレタン構造物を形成させる
ための添加剤としては高級アルコール硫酸エステル塩、
例えば、セチル硫酸エステルナトリウム塩、ステアリル
硫酸エステルナトリウム塩、オレイル硫酸エステルナト
リウム塩、ラウリル硫酸エステルナトリウム塩、2−エ
チルヘキシル硫酸エステルナトリウム塩など、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、例えば、ポリオキシエチ
レンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエ
ーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなど、
高級アルキル硫酸塩、例えば、ステアリルスルホン酸ナ
トリウム塩、ラウリルスルホン酸アミン塩、2−エチル
ヘキシルスルホン酸ナトリウム塩など、ポリオキシエチ
レン脂肪酸エステル、例えば、ポリオキシエチレンオレ
イン酸エステル、ポリオキシエチレンステアリン酸エス
テル、ポリオキシエチレンラウリン酸エステルなど、ポ
リオキシエチレンアルキルアミン、例えば、ポリオキシ
エチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンドデシル
アミン、ポリオキシエチレンステアリルアミンなど、ア
ルキル・トリメチル・アンモニウムクロライド、例え
ば、オレイルトリメチルアンモニウムクロライド、ステ
アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルト
リメチルアンモニウムクロライドなどがあり、これらか
ら選ばれた少なくとも1種類の添加剤である。これら添
加は単独で使用するよりも、例えば2種類あるいは3種
類以上の組み合わせ、または上記添加剤と水との組み合
わせが効果が大きい。特に好ましい配合組成物は高級ア
ルコール硫酸エステルナトリウム塩と水および/または
ポリオキシエチレンアルキルエーテルの組み合わせであ
る。添加剤の添加量はポリウレタンに対して0.5〜5
0重量%の範囲である。
また、各種添加剤のポリウレタンに対する添加剤の配合
量、添加剤組成物の添加量はポリウレタンの構造、溶液
粘度(重合度、分岐度等)、溶液濃度、凝固条件、所望
するスポンジ構造およびポリウレタンの疎水度等によつ
て決定される。例えば同一ポリウレタン(ポリウレタン
組成、溶液粘度、疎水度が同一)であつても使用するポ
リウレタン溶液濃度とか、ポリウレタン溶液の凝固条件
とか、所望するスポンジ構造、例えば、微細球状構造と
か、微細縦長構造とか、巨大蜂の巣状構造とかの気孔形
状を規定したものにしようとするとかによつて添加剤の
配合量、添加剤組成物の添加量を決定する。添加量が少
ないと良好なスポンジ構造あるいは均一性のスポンジ構
造の多孔質とはならない。また、添加量が多いとスポン
ジ間の隔膜が薄くなつたり、隔膜が微多孔質になりすぎ
て機械的強度、耐膨潤性が低下するので好ましくない。
更に、添加剤または添加剤組成物の凝固調節作用を有効
に行わしめるためにはポリウレタン組成液に対して0.
05〜3.0重量%の水または炭素数4以下の低級アル
コールを添加することがよい。添加量が少ないと効果が
小さいが、添加量を多くすることはかえつて不均一な凝
固になり好ましくない不均一なスポンジ構造が形成す
る。
繊維シートにポリウレタンを主体とする重合体組成液を
含浸および塗布し、次いでポリウレタンを主体とする重
合体の非溶剤または溶剤−非溶剤の凝固液で凝固する。
そして凝固液の温度は形成するスポンジ構造に影響する
ので所望するスポンジ構造が形成する条件を設定する。
すなわち、凝固浴温度が高いと全体がゆるやかに凝固す
るため微細で均一なスポンジ構造となる。一方、凝固浴
温度が低いと表面に緻密なスキン層を形成し、内部はゆ
つくりした凝固になり巨大な均一のスポンジ構造とな
る。このような好ましいスポンジ構造を形成させるには
凝固浴温度を5〜65℃の範囲で選定すればよい。ま
た、凝固液中の溶剤濃度が高くなると凝固が緩慢になる
ため溶剤濃度60%以下とする。凝固して得たシート状
物は水洗、乾燥して基材シートを得る。また、添加剤は
最終製品化までの工程で除去してもよいが、必要に応じ
ては残しておいても風合いの柔軟化に好ましい効果をも
たらすことがある。
また、本発明の皮革様シートを製造するに用いる繊維シ
ートは、天然繊維、再生繊維、合成繊維、から選ばれた
少なくとも1種類の繊維、好ましくはポリエステル、ポ
リアミド、ポリオレフイン、ポリアクリロニトリル、ポ
リウレタンまたはポリウレタンウレア、ポリ塩化ビニル
などのポリマーを紡糸して得た単一成分の繊維(異形断
面糸、紡糸または延伸法で得た細繊度糸を含む)のステ
ープル繊維またはフイラメント繊維である。更により好
ましい繊維は上記ポリマーの物理的または化学的性質の
異なる少なくとも2種のポリマーを選び、従来公知の紡
糸法で紡糸して得た多成分繊維、または上記ポリマーの
少なくとも1種と他のポリマー、例えばポリスチレン、
ポリアクリレート、アクリル酸エステルまたはメタクリ
ル酸エステルの共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ
酢酸ビニルまたは酢酸ビニル共重合体、その他利用繊維
成分と共に紡糸可能なポリマーから選ばれた少なくとも
1種のポリマーを従来公知の紡糸法で紡糸して得た多成
分繊維のステープル繊維またはフイラメント繊維で繊維
構造物を作り、次いで多成分繊維の1成分を除去する方
法あるいは分割・分離する方法などによつて多成分繊維
を変性して極細繊維または極細繊維束としたものであ
る。これら繊維は編織布または繊維立毛編織布、繊維絡
合不織布とした繊維シートである。
次に、本発明で得た基材シートの表面には着色剤を含む
樹脂を塗布する、エンボシングする、柔軟化処理する、
染色するなどの仕上処理を組み合わせて行つて銀付皮革
様シートを得る。また基材シートの多孔質層表面をバフ
イングして気泡を露出させてスエード調外観の皮革様シ
ートを得ることもできる。
本発明で得た皮革様シートは安定なスポンジ構造が得ら
れ、柔軟性、ドレープ性に優れた風合いを有し、耐屈曲
性、耐カビ性、耐加水分解性に優れたものとなるばかり
でなく、銀付皮革様シートにおいては折れしわ形態、平
滑性などの外観、風合いが良く、またスエード調シート
においても立毛性が良いものが得られ、更に縫製加工
性、裁断加工性、すき、型押性の優れたものである。
〔実施例〕
次に本発明の実施態様を具体的な実施例で説明する。な
お、実施例中の部および%はことわりのない限り重量に
関するものである。
実施例中のポリウレタンの白濁価の測定は、ポリウレタ
ン濃度5重量%のジメチルホルムアミド(以下DMFと
略記する)溶液50gを50℃に保温し、マグネチツク
スターラーで撹拌しながらDMF/水の1/1混合溶液
をビユレツトで滴下し、ポリウレタン溶液が白濁するに
至つたときの滴下量(cc数)で表示した。
実施例1 (不織布の製造) 高流動性ポリエチレン35部、ポリエチレンテレフタレ
ート65部(島成分)からなる多成分繊維のステープル
繊維を用いて繊維絡合不織布を作り、熱処理して表面平
滑化した厚さ1.7mm、見掛密度0.23g/cm3の不
織布を得た。
(ポリウレタンの製造) 平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリ
コール1200部、平均分子量2000のポリエチレン
アジペートグリコール800部をソフトセグメントと
し、それに4,4′−ジフエニルメタンジイソシアネー
ト1775部およびエチレングリコール378部からな
る組成物を溶液重合法で重合して、ポリウレタン10%
DMF溶液粘度4.9ポイズ、ソフトセグメント含有率
(計算値)48.2%、白濁値6.6のポリウレタンを
得た。
(含浸液の調整) ポリウレタン12%、ステアリルアルコール1%、ソル
ビタントリステアレート1.5%およびDMF85.5
%からなるポリウレタン組成液。溶液粘度9.1ポイ
ズ。
(塗布液の調整) 塗布液−I;ポリウレタン25%、ポリオキシエチレン
オレイルエーテル1%およびDMF74%からなるポリ
ウレタン組成液。溶液粘度580ポイズ。
塗布液−II;ポリウレタン16%、酸化チタン0.5
%、2−エチルヘキシル硫酸エステルナトリウム塩1
%、ポリオキシエチレンオレイルエーテル0.5%、水
1%およびDMF81%からなるポリウレタン組成液。
溶液粘度37ポイズ。
(皮革様シートの製造) 繊維絡合不織布に含浸液を飽充し、表面の余分の含浸液
を除去した後、塗布液−Iをポリウレタン量で70g/
m2になる液量を塗布した上に、更に塗布液−IIをポリウ
レタン量で80g/m2になる液量を塗布し、次いでDM
F30%水溶液、温度35℃の凝固液中で凝固し、水洗
してポリウレタンを多孔質構造に凝固したシート状物を
得た。このシート状物は熱トルエン中で処理し、多成分
繊維のポリエチレン成分を溶解除去し、ポリエチレンテ
レフタレート極細繊維束繊維絡合不織布に硬質ポリウレ
タンを含有した基体と、多孔質ポリウレタン被覆層とか
ら成るシート状物〔I〕を得た。
シート状物〔I〕の表面には、ポリテトラメチレンエー
テルグリコール/ポリカーボネートグリコール(混合比
6/4)、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソ
シアネートおよびイソホロンジアミンを重合して得たポ
リウレタンの仕上剤、すなわち、ポリウレタン8%、酸
化チタン10%、トルエン40%およびイソプロピルア
ルコール42%の組成液をグラビヤロールで平均皮膜厚
さ6μになる液量を塗布し、乾燥後、皮革の粗地生模様
のエンボシングを行い、更に柔軟化加工処理をして皮革
様シート〔A〕を得た。この皮革様シートは安定な気泡
構造であるため、熱トルエン処理でも気泡の変形、潰れ
などもなく、平滑性の良好な表面であつて、エンボスも
良好に付与することができた。従つて、皮革様シートと
しての外観、折れしわ、風合いは極めて良好であり、表
面強度、屈曲疲労性などについても優れており、スポー
ツ靴、スポーツ用品などに好適であつた。
比較のために、実施例1の皮革様シートの製造におい
て、含浸液にポリウレタン12%、水2%およびDMF
86%からなるポリウレタン組成液、塗布液−Iにポリ
ウレタン25%、セチルアルコール1%およびDMF7
4%からなる組成液、塗布液−IIにポリウレタン16
%、セチルアルコール2%、酸化チタン0.5%および
DMF81.5%からなる組成液をそれぞれ調整して実
施例1と同じ加工処理を行つてシート状物〔II〕を得
た。
更に、比較のために、実施例1の皮革様シートの製造に
おいて、含浸液にポリウレタン12%、セバチン酸2%
およびDMF86%からなるポリウレタン組成液、塗布
液−IIにポリウレタン16%、ステアリン酸エチル2
%、酸化チタン0.5%およびDMF81.5%からな
るポリウレタン組成液をそれぞれ調整し、塗布液−Iを
用いずに実施例1と同じ加工処理を行つてシート状物
〔III〕を得た。
シート状物〔II〕および〔III〕の断面構造を観察する
と、気泡構造は不規則で、好ましくない不均一な巨大気
孔が随所に見られるばかりではなく、熱トルエン処理や
乾燥時に微細気泡の潰れ、変形が生じて表面に微凹凸が
形成されており、表面平滑性の悪いものであつた。これ
らシート状物を実施例1と同じ仕上剤を塗布し、同じ条
件でエンボスを行つたが、十分な模様付けができないた
め、温度と圧力を高めてエンボスを行つて実施例1に近
い表面模様までエンボス処理を行つた。その結果、折れ
しわ状態、風合いが極めて悪いものとなつた皮革様シー
ト〔B〕、〔C〕が得られた。これらの皮革様シートは
スポーツ靴用には好ましいものではなかつた。
実施例2 (含浸液の調整) 実施例1のポリウレタン15%、カーボンブラツク0.
5%、セチルアルコール1.5%、平均分子量3000
のアルコール変性シリコーン油0.5%およびDMF8
2.5%からなるポリウレタン組成液。
(塗布液の調整) 平均分子量1100のポリテトラメチレンエーテルグリ
コール110部、4,4′−ジフエニルメタンジイソシ
アネート115部、1,4−ブタンジオール32.4部
からなる組成物を溶液重合法で重合して、ポリウレタン
10%DMF溶液粘度3.7ポイズ、ソフトセグメント
含有率(計算値)42.7%、白濁値4.7のポリウレ
タンを用い、ポリウレタン12%、カーボンブラツク
1.0%、ドデシルアンモニウムクロライド1.5%、
塩化ナトリウム0.2%、水1%およびDMF84.3
%からなるポリウレタン組成液。
(皮革様シートの製造) ナイロン繊維を用いて編成された繊維立毛編布に含浸液
を含浸し、次いで立毛面上に塗布液をポリウレタン量で
80g/m2になる液量を塗布し、DMF40%水溶液、
温度40℃の凝固液中で凝固し、水洗し、乾燥してシー
ト状物〔IV〕を得た。このシート状物の断面構造を観察
すると、気泡構造は表面にほぼ垂直状に細長い、大きさ
のほぼ揃つた気泡であり、表面の平滑性も良好であつ
た。このシート状物の表面をサンドペーパーでバフイン
グし、被覆層内部の気泡を露出させてスエード調外観と
し、次いで仕上げ処理して得たスエード調の皮革様シー
ト〔D〕は表面の黒度が良く、柔軟な触感があつた。
比較のために、実施例2のスエード調の皮革様シートの
製造において、含浸液に実施例1のポリウレタン15
%、カーボンブラツク0.5%、ポリプロピレングリコ
ール2%およびDMF82.5%からなるポリウレタ組
成液、塗布液に実施例2のポリウレタン12%、カーボ
ンブラツク1.0%、ポリプロピレングリコール2.7
%およびDMF84.3%からなるポリウレタン組成液
をそれぞれ調整して、実施例2と同じ加工処理を行つて
シート状物〔V〕を得た。
このシート状物〔V〕の気泡構造は不均一で、乾燥時に
気泡の一部が変形し、表面の平滑性が悪いものであつ
た。このシート状物の表面を実施例2と同様にバフイン
グを行つたが、ほとんどスエード調の面にはならず、色
むらが多発してスエード調の皮革様シートではなかつ
た。
実施例3 (含浸液の調整) 平均分子量2000のポリカプロラクトングリコール2
00部、4,4′−ジフエニルメタンジイソシアネート
150部および1,4−ブタンジオール45部からなる
組成物を溶液重合法で重合し、ポリウレタン10%DM
F溶液粘度4.4ポイズ、ソフトセグメント含有率(計
算値)50.6%、白濁値8.2のポリウレタンを用
い、ポリウレタン20%、ポリオキシエチレンノニルフ
エノールエーテル3%、黒系染料0.1%およびDMF
76.9%からなるポリウレタン組成液。
(塗布液の調整) ポリテトラメチレンエーテルグリコール/ポリカプロラ
クトングリコール(混合比50/50)、4,4′−ジ
フエニルメタンジイソシアネートおよびエチレングリコ
ールを反応して得たポリウレタンを用い、ポリウレタン
16%、ポリオキシエチレンオクタデシルアミン3%お
よびDMF81%からなるポリウレタン組成液。
(皮革様シートの製造) ポリエステル繊維からなる繊維絡合不織布に含浸液ポリ
ウレタン組成液を含浸飽充し、DMF40%水溶液中で
凝固し、熱水洗浄し、乾燥した後、一面をカレンダー処
理で平滑化した。次いで平滑化面に塗布液ポリウレタン
組成液をポリウレタン量で70g/m2になる液量を塗布
し、DMF50%水溶液、45℃の凝固液中で凝固し、
熱水洗浄、乾燥してシート状物〔VI〕を得た。このシー
ト状物の断面の気泡構造を観察すると気泡の大きさがほ
ぼ揃つた球状微細気泡構造であり、表面の平滑性の良好
なものであつた。
シート状物〔VI〕は実施例1と同様に仕上げたところ、
エンボスでの形押し性が良く、風合い、折れしわ形態と
も良い皮革様シートが得られた。
〔発明の効果〕
本発明の皮革様シートにおいて、疎水性ポリウレタン溶
液を湿式凝固法で多孔質構造のポリウレタンシートを作
る方法において、繊維質シートに含浸したポリウレタン
と表面に塗布したポリウレタンを同じ凝固条件で凝固し
ても良好な気泡構造を形成し、風合いが柔軟で、表面の
平滑性の良好な皮革様シートを作ることができる。更
に、銀付製品においてはエンボス性が良く、かつ折れし
わ形態が天然皮革様のもとのとなる。また、スエード調
製品においては柔軟な触感で、色むらのない、美くしい
スエード調外観のものとなる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維シートにポリウレタンを主体とする重
    合体溶液を含浸および塗布し、非溶剤で凝固して多孔質
    シートを製造するに際し、ポリウレタンを構成するソフ
    トセグメントが平均分子量400〜4000のポリテト
    ラメチレンエーテル、ポリプロピレンエーテル、ポリカ
    プロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリβ−メチル−
    δ−バレロラクトン、ポリヘキサメチレンアジペートか
    ら選ばれた少なくとも1種類のソフトセグメントからな
    る疎水性ポリウレタンを主体とする重合体溶液であつ
    て、含浸液の凝固調節剤として炭素数8以上の高級アル
    コール、アルコール変性シリコーン油、ポリオキシエチ
    レンアルキルフエニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エス
    テルから選ばれた少なくとも1種類を添加した組成液を
    使用し、また塗布液の凝固調節剤として高級アルコール
    硫酸エステル塩、高級アルキル硫酸塩、ポリオキシエチ
    レンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エス
    テル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキル・
    トリメチル・アンモニウムクロライドから選ばれた少な
    くとも1種類の添加剤または該添加剤と水を添加した組
    成液を使用することを特徴とする皮革様シートの製造
    法。
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