JPH0637686B2 - 高靭性高炭素薄鋼板 - Google Patents

高靭性高炭素薄鋼板

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JPH0637686B2
JPH0637686B2 JP63301815A JP30181588A JPH0637686B2 JP H0637686 B2 JPH0637686 B2 JP H0637686B2 JP 63301815 A JP63301815 A JP 63301815A JP 30181588 A JP30181588 A JP 30181588A JP H0637686 B2 JPH0637686 B2 JP H0637686B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、高靱性高炭素薄鋼板、特に熱処理後の耐衝
撃性と耐摩耗性とに優れ、しかも製造性や加工性が良好
である高靱性高炭素薄鋼板に関する。
より具体的には、この発明は、使用中に水素に起因する
割れ発生を起こしにくく、チェーン部品、ギヤ部品、ク
ラッチ部品、シートベルトバックル、座金用等として好
適な高靱性高炭素薄鋼板に関する。
(従来の技術) 一般に、チェーン部品、ギヤ部品、クラッチ部品、シー
トベルトバックル、座金等は、JISG3311に規定されてい
るSCM435あるいはSCM445等の高炭素合金鋼冷延鋼板や、
S45CM-S50 の高炭素冷延鋼板を素材鋼板とし、これを各
目的製品形状に成形加工した後、焼入れ・焼戻し等の熱
処理により硬化させて製造される。そこで、前記の各製
品の素材鋼板には、成形加工前は軟質で加工し易く、次
に成形加工後に施される熱処理によって初めて所望の強
度が得られ、かつ製品として使用時に十分な耐衝撃性と
耐摩耗性を発揮する特性が要求される。したがって、素
材鋼板としては前述の如き炭素含有量の高い材質のもの
が選ばれるとともに、通常、鉄鋼メーカーからの薄鋼板
の出荷に際しては、軟質とするための球状化焼鈍が施さ
れる。そして、ユーザーにて所望の形状に成形加工さ
れ、焼入れ、焼戻しの熱処理が施されて必要特性の付与
が行われる。この場合、製品の耐衝撃性および耐摩耗性
には焼戻しの温度が特に影響することから製品使用の形
態や状況によって「焼入れまま」で使用するか、あるい
は焼入れ後焼き戻して使用される。後者の場合、「650
℃まで」の焼戻し処理温度が通常は180 〜500 ℃の範囲
で注意深く選択される。
しかし、JIS に規定されている前記焼入れ型あるいは焼
入れ−焼き戻し型高炭素薄鋼板では注意深い熱処理条件
を選択したにもかかわらず耐衝撃性が不十分であり、更
に水素に起因する割れの防止が不十分である。そのため
例えばオートバイ用チェーンに適用した場合には、ギヤ
等の接触衝撃に起因する脆性破壊あるいはその接触部の
摩擦面からの水素吸収による割れの発生を完全に防止す
ることが困難であった。
そこで、ユーザーでは、このような脆性破壊および割れ
発生の防止対策として例えばSCM435等に対して過冷オー
ステナイトの恒温変態を行うオーステンパー処理を行っ
て靱性向上を図っている。しかし、この方法では焼入
れ、焼戻し処理に比べ工程が煩雑になり熱処理装置も大
型化しているため、コスト上昇は避けられない。
(発明が解決しようとする課題) かくして、本発明の一般目的は、前述したチェーン部
品、ギヤ部品等、高い耐衝撃性および耐摩耗性が今後ま
すます必要とされる部材に適する、材料コストおよび製
造コストの面でもより安価な薄鋼板を提供することであ
る。
また、本発明の具体的目的は、今後ますます必要とされ
る高い耐衝撃性および耐摩耗性を満足させるとともに、
特殊な熱処理に頼ることなく、単なる焼入れ、焼戻し処
理によってもオーステンパー処理によって実現される程
度の耐衝撃性の改善効果が得られ、かつ水素吸収による
割れ発生の防止効果の大きい薄鋼板を提供することであ
る。
さらに、本発明のより具体的目的は、オートバイ用チェ
ーン等の素材として十分満足できる耐摩耗性と耐衝撃性
を備え、しかも加工性が良好で圧延過程や最終製品への
成形工程、更に製品の状態走行中に表面に衝撃、摩擦等
を受けても割れなど不都合を生じることのない薄鋼板を
提供することである。
(課題を解決するための手段) そこで、本発明者らは、上述のような目的を達成すべ
く、研究を行なったところ、耐衝撃性の向上および水素
吸収による割れ発生の防止について以下に示すような知
見を得た。
耐衝撃性の向上: (a)高炭素合金鋼に3ppm 以上(以下、成分割合を表わ
す「ppm 」、「%」は重量基準とする)のBを添加する
と、オーステナイト粒界にBが析出して粒界の結合力を
強化する作用を発揮し、粒界割れの発生を顕著に抑制す
る効果をもたらす。
(b)しかし、この場合、単にBだけを添加したのでは、
添加されたBは鋼中のNと結合してBNを生成してしまう
のでBによる粒界割れ抑制効果が消失してしまう。とこ
ろが、BとともにTiの特定量(0.005〜0.030 %) を複合
添加すると、TiはBよりも優先的にNと結合してTiN を
生成するので固溶Bは増大し、オーステナイト粒界への
Bの析出量も増大することになるため、Bによる粒界割
れ抑制効果を十分に確保できるようになる。
(c)更に、これに加えて鋼中にPの含有量を特定値以下
に低減すると、オーステナイト粒界に偏析したP量が減
って脆性破壊の要因となる粒界脆化が抑えられ、材料の
さらなる靱性改善がもたらされる。
(d)また、一般に、鋼は焼入れ後 300℃前後の温度で焼
き戻しをするといわゆる「低温焼き戻し脆化」を生じて
著しく脆くなるが、この脆化に対して、Moの添加は非常
に有効である。所望の硬度を得るために「低温焼戻し脆
化温度域」での焼戻しがどうしても必要な場合でもMo添
加により靱性の低下をともなう事なく焼戻し処理が可能
となる。
以上の耐衝撃性の向上に関する知見事項に基づいて見出
された発明については特願昭63−70288 号として特許出
願したが、その後さらに研究を続けたところ、この衝撃
破壊とは別に、水素吸収に起因する割れの防止対策につ
いても次のような新たな知見を得た。
水素吸収に起因する割れ発生の防止: (e)適量のCu添加は、オートバイ走行中のギヤ、チェー
ン等の表面に硫化物の皮膜を形成して、表面からの水素
の侵入を抑制する効果があり水素脆性による割れ発生の
防止に効果がある。
(f)Mn、Si、Pを主とした鋼中の不純物元素は水素吸収
による割れの発生に大きな影響を持ち、特にMn、P添加
量の低減による鋼中の清浄化は水素吸収による割れ発生
の防止に大きな効果を持つ。
この発明は上記知見事項を基に完成されたものであり、
その要旨とするところは、 重量割合で、 C : 0.30〜0.60%、 Si: 0.70%以下、 Mn: 0.05〜1.00%、 P : 0.030%以下、 Cr: 0.50〜1.20%、 Mo: 0.10〜0.50%、 Cu: 0.10〜0.50%、 Ti: 0.005〜0.050%、 sol.Al: 0.08%以下、 N : 0.002%超〜0.008%以下、 B: 3〜20ppm 、更に必要に応じてNb: 0.005 〜0.100 %
添加したもので、 残部が実質的にFe からなる成分組成を有することを特徴とした高靱性高炭
素薄鋼板である。
この発明にかかる薄鋼板は、圧延によって製造され、優
れた耐摩耗性、靱性(耐衝撃性)耐水素脆性、並びに良
好な加工性を備えている。
特に、この発明は、Cuを添加することにより表層からの
水素の侵入を抑制し、オートバイ等の走行中のギヤ、チ
ェーン等の水素吸収による割れを効果的に低減できるこ
とに特徴を有するものである。
(作用) ここで、この発明にかかる薄鋼板の成分組成を上記のご
とく数値限定した理由を説明する。
C: この発明にあって所望の硬度および耐摩耗性を得るため
にはC含有量0.30%以上とする必要があり、一方、0.60
%を越えて含有させると硬度が増大し過ぎるとともに、
十分な吸収エネルギーが得られず、水素吸収による割れ
の発生も非常に増加することから、C含有量は0.30〜0.
60%と定めた。好ましくは0.30〜0.40%である。
Si: Siの積極的添加は特に必要ないが、0.70%を越えて含有
させると鋼板が硬質となって脆化する傾向を見せること
から、Si含有量は0.70%以下と定めた。通常は0.30%以
下程度である。
Mn: Cr、Moを添加した本発明が対象としている高炭素鋼板の
用途はギヤ、チェーン等であり、一般の耐摩耗鋼板と異
なり靱性向上のためMnを低減する必要がある。特に本発
明鋼板では1.0 %を超えて含有されると熱処理により焼
きが入りやすく、硬くなり過ぎて靱性低下を招く。一
方、Mn含有量が0.05%未満であると、固溶Sが多くなっ
て熱間加工時の脆化が生じ鋼板の製造性を害するように
なることから、Mn含有量は0.05〜1.0 %と定めたが、特
に水素吸収による割れの発生の抑止には0.50%以下の添
加が望ましい。
P: Moを含む鋼板においては、通常レベルでよいが、P含有
量は低いほど靱性上好ましいことは言うまでもない。こ
の発明では、P含有量は0.030 %以下と定めたが、望ま
しくは0.020 %以下に制限するのがよい。
Cr: Crは、主として焼入れ性向上を目的として添加される成
分であるが、その含有量が1.2 %を超えて含有されると
鋼板の硬質化を招いて脆化することから、Cr含有量は0.
50〜1.20%と定めた。好ましくは0.70〜1.10%である。
Mo: Moは重要な成分であり、0.10%以上添加すると、鋼板の
熱処理(焼入れ・焼戻し)後の高靱性を実現し、特に低
温焼戻し脆性域の吸収エネルギー低下抑制に効果があ
る。しかし0.50%超のMoの添加はCu添加による水素吸収
抑制効果を相殺する特性を持つことから上限を0.50%と
し、Mo含有量は0.10〜0.50%と定めた。
Cu: Cuは、焼入れ性に対する効果はあまり大きくないが、表
面に硫化物の皮膜を形成し、水素の侵入に対する抑制効
果が顕著である。この効果は0.10%以上で確認されてい
るが、0.50%超ではこの効果が飽和することから添加量
の範囲を0.10〜0.50%と設定した。
Ti: Tiは、鋼の焼入れ性を向上させるとともに、TiN を形成
して微細分散させることにより鋼の硬度および引張強度
を増大させる作用を有している。その上、TiN の生成で
Bの固溶を促進し、オーステナイトの粒界強化を促進す
る作用をも発揮する。しかしTi含有量が0.005 %未満で
は前記作用による所望の効果は得られず、一方、0.050
%を超えて過剰に含有されるとコストアップになだけで
なく、鋼の硬化につながって利点がなくなることから、
Ti含有量は0.005 〜0.050 %と定めた。
B: Bはきわめて重要な元素であり、鋼の焼き入れ性を向上
させるとともに、粒界に固溶Bとして析出させることに
より粒界を強化する作用を発揮し、3ppm 以上の含有量
で脆性破壊の発生を著しく抑制する効果が確保される。
ただし、20ppm を超えて添加しても前記の効果は飽和し
てしまい、コストアップを招くことから、B 含有量は3
〜20ppm と定めた。
sol.Al: Alは鋼の脱酸材として必要に応じて添加される成分であ
るが、sol.Alの含有量が0.08%を超えるとコストアップ
になるばかりか、鋼板の硬化をもたらすのでなんら利点
はない。このように、sol.Alの含有量は0.08%まで許容
されるとの理由から、その含有量を0.08%以下と定め
た。
N: Nの存在は鋼の硬度や引張硬度の向上に効果があるが、
過剰量存在するとBNを形成してBの結晶粒界強化作用を
阻害する性質を持っておりBの粒界強化作用を維持する
ために、含有量を0.008 %以下に制限した。また、Ti、
sol.Al、Nbとの窒化物形成により効果的にγ粒を微細化
することから0.002 %超は添加することとした。
その他: 通常の鋼においてもSは低い方がよく、特に本発明に係
わるような高強度鋼板では、S含有量を0.0040%以下に
抑えるのが好ましく、その方法としては精錬時の溶鋼へ
のCaの単独添加あるいはCa−Siインジェクション処理の
いずれかの手段を採用するのがよい。ただ、Ca含有量が
0.02%を超えると大型の介在物となって靱性を劣化する
ようになることから、Ca含有量が0.02%を超えない範囲
でのCa添加処理を行う必要がある。
さて、この発明にかかる薄鋼板は、上記成分を含有する
と共に残部が実質的にFeである鋼を溶製し、熱間圧延と
冷間圧延により所望板厚にまで延ばされて製造される。
この間、軟化のための焼鈍を行ってもよい。いずれにせ
よ、最終的には焼鈍を行って加工性を向上させるが、こ
の最終焼鈍は650 〜720 ℃が適当である。
この発明にかかる薄鋼板の板厚は特に制限ないが、チェ
ーン部品、ギア部品などを製造する場合には、一般には
1.0〜3.0 mm程度の板厚とするのが有利である。また、
打ち抜き加工、曲げ加工などを行うことから、そのよう
な薄鋼板としての特性は、焼鈍状態で、硬度がHRB80 以
下、降伏点45kgf/mm2 以下、さらには特定範囲内の伸び
などの機械的特性を満足することが好ましい。
以上のごとく製造された薄鋼板は、通常、ユーザーにて
加工され、次いで熱処理されて所望の硬さ・性能とされ
る。例えば、チェーン部品、ギア部品を製造するには、
チェーンリンクへの打ち抜き等の加工を経てから通常の
焼き入れ・焼き戻しの熱処理を行うが、そのようにして
製造された段階での各部品の特性は、硬度HRC45 以上、
シャルピー吸収エネルギー1.4 kgf-m 以上、そして水素
吸収による割れ発生時間8 時間以上をいずれも満足する
程度である。
その場合の各部品への加工後の焼き入れ・焼き戻し処理
は通常のそれでよく、一般に上述のような優れた耐摩耗
性、耐衝撃性そして耐水素吸収割れ性などの特性が得ら
れる。
次いで、本発明の効果を実施例により比較例と対比しな
がら説明する。
実施例1 まず、第1表に示される如き各成分組成の鋼を溶製した
後、熱間圧延により4mm厚の熱圧延となし、ついで焼鈍
による軟化を行なった後、2.5mm 厚にまで冷間圧延し
た。
鋼AではMnを0.43%にまで低減し、これに対し、比較鋼
DはCuの添加がなく、鋼EではBの添加がない、また鋼
FではMn、P、Moの添加量がこの発明の範囲を越え、か
つBの添加がない。
次に、これらの冷延鋼板に“680℃で16hr保持”のバッ
チ焼鈍を施し、焼鈍後の鋼板の硬度を第1表に併せて示
した。
次いで、これらの各焼鈍済み供試鋼板からサンプルを採
取し、850 ℃に15分間加熱後油冷の油焼入れを行い、更
に各々の温度で焼戻し処理した。なお焼戻し時間はいず
れの場合とも30分であった。上記熱処理後の各サンプ
ルについて硬度測定を行いそのときの硬度を焼き戻し温
度に対してプロットして得たグラフを第1図に示す。
この結果より、本発明鋼の場合、望ましい硬度とされて
いる HRC>45の条件を満たすには 250℃以下の焼戻し温
度が適当であることが分かる。
実施例2 実施例1における各熱処理後のサンプルについて2.5mm
板厚におけるJIS4号Vノッチシャルピー試験片を作成し
て0℃における衝撃試験を行い、衝撃吸収エネルギーを
調査した。この結果から試料硬度と吸収エネルギーの相
関について第2図にグラフで示す。
第2図の結果から次のことがわかる。
供試鋼板のC含有量レベルでは、チェーンやギヤを用途
とした場合、硬度でHRC45 以上が望ましいとされている
が、この条件を満足しながら1.4kgf-m の吸収エネルギ
ーを確保できるのは200 ℃で焼戻した鋼AとDである。
実施例3 実施例1における焼き入れ−焼き戻しの各熱処理後、硬
度が48.1〜50.6のレベルにあるサンプルについて2.5mm
板厚の第3図(a)ないし第3図(c)に形状寸法を示す先端
に細ノッチ10を設けた開口部12を備えた試験片14(50×
11mm)を作成した。第3図(a)に示すようにその細ノッ
チ付き開口部12よりマルエージング鋼製くさび16を押込
み、第3図(c) の矢印方向に開口部12を押し広げるよう
に、80kgf/mm2 程度の応力をかける。第3図(c)は細ノ
ッチ付開口部の拡大部分図である。このように細ノッチ
10を押し広げた状態で50℃の温水中に保持したときの細
ノッチ10の先端からの水素吸収に起因する割れ18の発生
状況を観察した。第3図(c)中の数字はそれぞれ個所の
寸法(mm)である。結果は第2表にまとめて示す。
本発明鋼では硬度が HRC>48レベルでも6hr以上割れの
発生はないが比較鋼では1hr以内で割れが発生し、進展
した後20hrでは破断した鋼種も認められ、比較鋼D−F
では焼入れまま、あるいは低温焼戻し後の素材では、水
素割れの危険性が高いことが考えられる。
以上、実施例1〜3の結果からは、硬度、吸収エネルギ
ー、水素吸収による割れに対する8hr以上の耐久性をい
ずれも満足するのは本発明鋼だけであることが確認され
た。
実施例4 次に、第1表に示した4鋼種の薄鋼板(板厚2.5mm) から
チェーンリンクを打ち抜いた後、850 ℃×15min に加熱
してから油中に焼き入れし250 ℃で30分間の焼き戻しか
らなる熱処理を施した後、チェーン (厚さ: 2.5mm 、周
長:3.0m)に組み立てた。このようにして得られたチェー
ン30は第4図(a) に示すように2つのスプロケット32に
掛けて15m/sec の速度で回転させた。この回転するチェ
ーンを高湿度雰囲気下で、10秒毎に断続的に小径ギヤと
接続、切離しを繰り返す回転試験を実施した。第4図
(b) 中、二点鎖線で示すのはチェーンリンク35である。
なお、36は小径ギヤ(材質=SCM435、硬度=HRC:42)であ
る。
この結果、第3表に示すとおり鋼Aの場合は80分までチ
ェーンリンクの破損は認められなかったが、鋼D〜Fで
は70分までにいずれも水素吸収による割れ発生を生じそ
の破面は何れも粒界破面を呈していた。この結果を、硬
度と割れ発生までの耐久時間との関係を示すグラフとし
て第5図にまとめて示す。
これらの結果より、本発明鋼は高い硬度を確保しながら
これらチェーンなどの割れ防止に非常に有効であること
が確認された。
実施例5 板厚2.5mm に冷間圧延した本発明鋼に対し各種熱処理を
施し、得られた鋼板の硬度と吸収エネルギー、更に第3
図の試験における割れ発生までの時間を第4表に示し
た。
このように本発明鋼は水素を吸収し易い雰囲気の中での
割れ防止に優れ、かつ強度的にも非常に高い鋼種である
ことが確認された。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は、本発明の実施例の結果を示すグ
ラフ; 第3図(a)ないし第3図(c)は、本発明の実施例において
使用する試験片の寸法形状の説明図; 第4図(a)および同(b)は、本発明の実施例における試験
要領の説明図; および 第5図は、本発明の実施例の結果を示すグラフである。 10:細ノッチ、12:開口部 14:試験片、16:くさび 18:割れ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量割合にて C : 0.30〜0.60%、 Si: 0.70%以下、 Mn: 0.05〜1.00%、 P : 0.030%以下、 Cr: 0.50〜1.20%、 Mo: 0.10〜0.50%、 Cu: 0.10〜0.50%、 Ti: 0.005〜0.050%、 sol.Al: 0.08%以下、N : 0.002%超0.008%以下、 さらにB: 3〜20ppm で、 残部が実質的にFe から成る耐水素割れ性に優れた高靱性高炭素薄鋼板。
JP63301815A 1988-11-29 1988-11-29 高靭性高炭素薄鋼板 Expired - Lifetime JPH0637686B2 (ja)

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