JP5489503B2 - 機械部品用素材鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、焼入れ処理に供された後に使用される機械部品に用いる素材鋼板であって、特に駆動用チェーンや歯車などの強度、疲労特性、靱性が要求される機械部品に適したものに関する。また、その素材鋼板の製造方法に関する。
駆動用チェーンや歯車など、動力を伝達する機械部品には高い強度が要求される。鋼材の場合、機械部品の強度レベルは、鋼の成分組成と組織状態に大きく依存する。後者の組織状態は焼入れ・焼戻し処理に代表される熱処理によって調整される(以下、このようなマトリクスの相変態を伴う熱処理を「調質熱処理」という)。すなわち、鋼の成分組成と、調質熱処理によって、各種機械部品に応じた所望の強度レベルを実現している。
ただし、上記のような機械部品には「強度」の他に、「疲労特性」や「靱性(耐衝撃特性)」が良好であることも要求される。一般に強度レベルを高めると疲労特性も上昇するが、「強度」と「靭性」はトレードオフの傾向にある。過度な高強度化は靭性の低下を招くので好ましくない。鋼材において「強度」、「疲労特性」、「靭性」を同時に高いレベルで兼ね備えたものを得ることは難しい。このため、用途に応じて適切な鋼種を選択し、適切な調質熱処理条件を採用することによって、靭性(耐衝撃特性)の許容範囲内で高強度化しているのが現状である。
これまでに、調質熱処理によって高強度化するタイプの鋼材について、強度、靭性をはじめとする各種特性を改善する試みがなされてきた(例えば特許文献1〜5)。それらの手法では、Ni、Cu等の靭性改善に有効とされる元素や、Ti、Nb、V、Al等の旧オーステナイト結晶粒径の微細化に有効であるとされる元素を種々添加した成分組成の鋼を使用している。
特開平7−292434号公報 特開平11−269541号公報 特開2001−59128号公報 特開2002−97543号公報 特開2004−204263号公報
上述のように種々の元素を配合させた鋼を採用することによって、靭性を確保しながら高強度化を図ることが従前よりも実現しやすくなってきた。しかしながら、結晶粒を微細化する作用のある元素は炭化物を形成し、打抜き加工によって成形される部品の疲労特性を劣化させる要因となることがある。また、十分に満足できる疲労特性が得られる程度に強度レベルを高めた場合には、Ni等の靭性改善元素を添加した場合であっても、靭性の低下を招きやすいというという問題がある。
本発明は、打抜き等の加工に供し、その後、一般的な手法による調質熱処理に供するための素材鋼板であって、調質熱処理後に強度、疲労特性、靭性(耐衝撃特性)を同時に安定して高レベルに引き上げることが可能な性質を具備した素材鋼板を提供することを目的とする。また、その素材鋼板から得られる機械部品およびその製造方法を提供することを目的とする。
発明者らは詳細な検討の結果、上記目的は、Ti、Nb、V等の旧オーステナイト結晶粒径を微細化する作用があるとされる元素のうちVのみを添加し、かつNi、CuBなどの従来頻繁に使用される元素を添加しない、シンプルな成分組成の鋼とすることによって達成されることを見出した。
すなわち本発明では、質量%で、C:0.3〜0.5%、Si:1%以下、Mn:1.5%以下、P:0.02%以下、S:0.02%以下、Cr:0.5〜2%、Mo:0.1〜1%、V:0.1〜1%、T.Al:0.005〜1%であり、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、Ac1点未満での焼鈍を経て320HV以下の硬さに調整されている加工および焼入れ処理に供するための機械部品用素材鋼板が提供される。その板厚は例えば2〜15mmとすることができる。機械部品としては、動力を伝達するための各種機械部品が適しており、例えば駆動用チェーンのリンクプレートや、歯車などが例示できる。
また本発明では、特に上記の素材鋼板に打抜き加工および焼入れ・焼戻し処理を施してなる400〜500HVの硬さを有する駆動用チェーンのリンクプレートが提供される。
図1に、駆動用チェーンの外観を示す。駆動用チェーンは自転車やモーターサイクルなどの小型の機械に使用するものから、重機や、大型・超大型産業機械などに使用するものまで、種々のサイズのものがある。駆動用チェーンの構成部材であるリンクプレートは、サイズが大きいものでは厚さ12mm程度、幅70mm程度のものが使用されており、用途によってはさらに大きいサイズのリンクプレートが必要となることも想定される。
リンクプレートや歯車等の機械部品の製造方法として、本発明では、上記の組成を有する板厚2〜15mmの鋼板をAc1点未満の温度で焼鈍することにより硬さ320HV以下の組織状態とする工程(焼鈍工程)、前記焼鈍を経て320HV以下の硬さに調整されている素材鋼板を加工して板状部材とする工程(加工工程)、前記板状部材に焼入れ・焼戻し処理を施して400〜500HVの硬さに調整する工程(調質熱処理工程)、を有する製造方法が提供される。前記焼鈍工程と加工工程の間には、必要に応じて冷間圧延、表面研削、形状矯正の1種以上を行い320HV以下の硬さが維持された素材鋼板とする工程(板厚・形状調整工程)を挿入してもよい。前記加工は、例えば打抜き加工を含むものである。
本発明によれば、従来実現が容易ではなかった強度、疲労特性、靭性を同時に高いレベルで兼ね備えた機械部品を、従来よりもシンプルな成分組成の鋼を用いて製造することが可能になった。部品の製造工程についても、従来一般的に行われている打抜き等の切断加工や、一般的な焼入れ・焼戻し処理が適用でき、特殊な工程は不要である。したがって本発明は、駆動用チェーンのリンクプレートや歯車をはじめとする種々の駆動部品の信頼性向上およびコスト低減に寄与するものである。
駆動用チェーンの外観を示す斜視図。 疲労試験片の形状を示す図。
前述のように、焼入れ・焼戻しに代表される調質熱処理によって高強度化するタイプの鋼材に靭性(耐衝撃特性)を付与するための手段として、Ti、Nb、V、Al等の添加が有効であることが知られている。これは、Ti、Nb、V、Al等の元素は熱延時にNと反応して窒化物を形成し、その窒化物が調質熱処理における溶体化時にオーステナイト結晶粒の成長を妨げ、旧オーステナイト粒径の小さい組織状態が得られるからである。
しかしながら、結晶粒を微細化する作用のあるTi、Nbであるが、往々にして熱処理性と機械的性質に弊害をもたらす危険性がある。Ti、Nbは鋼中のCと反応して炭化物を形成する。鋼板の製造プロセスにおいては、Ti、Nb炭化物は大部分が熱延工程で析出する。部品に加工した後に施される熱処理(焼入れ焼戻し、恒温変態)では、加熱温度が低い(概ね900℃以下)ので、Ti、Nb炭化物の鋼中への溶解は僅かである。すなわち、Ti、Nb炭化物は熱延工程でその形態が決まることになり、多くの場合、粒径10μmに達するような粗大な炭化物が形成される。
そのような炭化物は、打抜き加工等による切断面近傍に存在すれば微小欠陥を形成し部品表面に露出する。発明者らの検討によれば、切断端面に露出した介在物やそれを起点とする微小欠陥は、部品における疲労亀裂の発生起点となりやすい。また、前述の通り熱処理を行っても溶解せず鋼材中に残るので、部品内部において応力集中部に存在した場合には疲労亀裂の発生起点になりやすい。
一方、Vについては、TiやNbの炭化物に比べて低温で鋼中に溶解するので、Ti、Nb炭化物に比べて粗大な炭化物を形成しにくいことがわかった。また、熱処理時には適度に溶解し、旧γ結晶粒界のピン止め効果を発揮しつつ、固溶したVは焼入れ性を向上させるとともに焼戻し軟化抵抗を向上させるという、本発明の対象とする分野で非常にバランスのよい効果を発揮することがわかった。また、Ti、Nb、Vのうち、Vのみを含有させた場合には、従来、靭性改善のために添加されているNiやCuを含有させることなく、高強度と高靱性がバランス良く実現できることを見出した。
このような知見に基づき、本発明では、Ni、Cu、Ti、NbBなどの従来頻繁に使用される元素を添加しない、シンプルな成分組成の鋼とする。
本明細書において、成分元素の「%」は特に断らない限り「質量%」を意味する。
Cは、調質熱処理によって高強度化するうえで必須の元素である。従来一般的な焼入れ・焼戻し処理によって駆動用チェーンのリンクプレートや歯車等の機械部品に要求される強度レベルを無理なく得るためには0.3質量%以上のC含有量が望まれる。ただし、過剰のC含有は調質熱処理後の未溶解炭化物の残存を招き、靱性低下の要因となる。種々検討の結果、Ni、Cu等の靭性改善元素を添加しない本発明の成分系においては、現場での調質熱処理条件の変動などを考慮すると、C含有量を0.5%以下に抑えることが望まれる。このため本発明ではC含有量を0.3〜0.5%の狭い範囲に厳格に調整する。
Vは、本発明において、靭性を改善するために重要な元素である。これに加えて、Vは疲労特性の改善にも有効であることがわかった。これらの作用を十分に引き出すためには0.1%以上のV含有量が必要である。0.2%以上のV含有量を確保することがより好ましく、0.25%以上とすることが一層好ましい。V含有量の上限については1%までは許容されるが、通常、0.5%以下とすればよい。0.35%以下の範囲に管理しても構わない。
その他の成分元素として、Si:1%以下、Mn:1.5%以下、P:0.02%以下、S:0.02%以下、Cr:0.5〜2%、Mo:0.1〜1%、T.Al:0.005〜1%を含む。これらの元素の含有量は、調質熱処理によって高強度化するタイプの亜共析鋼における一般的な許容範囲から特に逸脱するものではない。
上記以外の残部元素はFeおよび不可避的不純物である。
本発明の素材鋼板は、Ac1点未満での焼鈍を経て320HV以下の硬さに調整されているものが対象となる。320HVより硬いものは、打抜き等の加工性が低下し、好ましくない。通常、200〜320HVに調整すればよい。この場合の硬さは、板厚方向を含む断面の板厚中央部における硬さ(以下これを「断面硬さ」ということがある)を採用する。
また、炭化物の平均粒子径(円相当径の平均値)は0.3μm以下に調整されていることが望ましい。炭化物がこのように微細化されていると、打抜き加工性が向上し、また調質熱処理の溶体化時に未溶解炭化物を固溶させることが容易になる。なお、本発明の素材鋼板はマトリクスがフェライト相である。
本発明の素材鋼板は、部品加工時に切削等により肉厚調整を行わない限り、通常は板厚がそのまま部品の肉厚に相当するものとなる。例えば、駆動用チェーンのリンクプレートや歯車等の用途を想定すると、2〜15mm程度の板厚の素材鋼板であることが好都合である。また2〜15mmの範囲であれば、上記の成分組成と調質熱処理条件との組合せによって所望の強度レベルに調整しやすい。4〜10mm、あるいは4〜7mmの範囲とすれば、成分組成と調質熱処理条件との組合せの自由度は一層拡大される。駆動用チェーンのリンクプレートの場合、400〜500HVの硬さに調質されたものが利用しやすい。板厚が2〜15mmであれば、本発明で規定する成分組成範囲において、400〜500HVの硬さに調整可能な調質熱処理条件を見出すことができる。
次に、上記素材鋼板を製造し、さらに機械部品を製造するために工程を例示する。
〔溶製、熱間圧延、(冷間圧延)工程〕
前記の成分組成を有する鋼を溶製し、熱間圧延を行う。最終的な目標板厚が薄い場合には必要に応じてさらに冷間圧延を行うことができる。溶製、熱間圧延、冷間圧延は、常法に従って行うことができる。熱間圧延後には必要に応じて脱スケール処理を行う。
〔焼鈍工程〕
熱延鋼板または冷延鋼板の硬さが320HV以下であれば、そのまま打抜き等の加工を施してもよいが、320HVより硬い場合には熱延鋼板または冷延鋼板を焼鈍して320HV以下の硬さに調整する。この工程を終了したときに320HV以下になっていなければ、その後に冷間圧延あるいは形状矯正を施した際に320HV以下の素材鋼板が得られない。その場合、打抜き等の加工性が低下し、好ましくない。焼鈍条件は、鋼板を550℃以上(Ac1+50℃)以下の温度域に5〜40時間加熱・保持して、保持温度から1℃/min以下のゆっくりした冷却速度で冷却する条件とすることが好ましい。焼鈍工程における加熱温度は上記範囲内で、焼鈍前の材質や目標硬さ等によって適宜選択して施すことができる。Ac1以上(Ac1+50℃)以下の温度域での加熱保持を利用する焼鈍方法は焼鈍後の硬さを劇的に下げる効果があるので、状況によってこれを活用してよいが、保持温度や冷却速度を精度よくコントロールする必要がある上、場合によっては炭化物粒径の粗大化が起こり、熱処理の際に炭化物の溶体化を遅らせるという弊害もある。よって、多くの場合、焼鈍温度は550℃以上Ac1未満の温度範囲で十分である。
〔板厚・形状調整工程〕
上記のようにして得られた焼鈍鋼板は、そのまま素材鋼板として部品加工に供することもできるが、必要に応じて比較的軽圧下の冷間圧延(調質圧延)、表面切削などによって目標板厚に調整することができる。また、テンションレベラー等により鋼板(鋼帯)の形状矯正を行うことができる。ただし、冷間圧延や形状矯正は、硬さ320HV以下が維持できる範囲で行う。
〔加工工程〕
上記のようにして得れた素材鋼板を板状部材に加工する。具体的には打抜き加工等により目的の部品形状またはそれに近い形状の板状部材を切断して採取する。必要に応じて切削、研磨等を程こし、所定の部品形状に仕上げた板状部材を得る。
〔調質熱処理工程〕
上述の化学組成を有する上記板状部材は、調質熱処理として一般的な手法による焼入れ・焼戻し処理または等温変態処理を適用することができる。断面硬さ400〜500HVの強度レベルとなる調質熱処理条件とすることにより、疲労特性、靭性についても同時にバランス良く高いレベルとすることができる。焼入れにおける溶体化時には、未溶解セメンタイトを消失させることが望ましい。
表1に示す化学組成の鋼を溶製し、連続鋳造スラブを製造し、仕上温度850℃、巻取温度680℃の条件で常法により熱間圧延して、板厚4.5mmの熱延鋼帯を得た。熱延鋼帯を酸洗した後、3%H2+N2ガス雰囲気にてAc1点未満の710℃で20時間焼鈍して、素材鋼板を得た。
Figure 0005489503
素材鋼板について、圧延方向および板厚方向に平行な断面(L断面)における断面硬さ(HV20)を測定した。その結果、鋼A:220HV、鋼B:280HV、鋼C:170HVであった。また、断面の金属組織を観察した結果、鋼A〜Cはいずれも、マトリクスがフェライト相であり、球状の炭化物が分散しており、炭化物の平均粒径は0.3μm以下であることが確認された。
次に、素材鋼板に対して以下の条件で調質熱処理を施した。
・鋼A:焼入れ;870℃×20min、油冷、→焼戻し;400℃×60min
・鋼B:焼入れ;870℃×20min、油冷、→焼戻し;430℃×60min
・鋼C:焼入れ;870℃×20min、油冷、→焼戻し;420℃×60min
これらのは、別途予備実験を行って求めたデータに基づき、焼戻し後の断面硬さが450HV前後に揃うように条件を定めたものである。
〔強度の調査〕
調質熱処理後の鋼板から、圧延方向を引張方向とするJIS 5号引張試験片を作製し、引張試験を行った。結果を表2中に示す。
〔靭性の調査〕
調質熱処理後の鋼板から、2mmUノッチ付き衝撃試験片を作製し、JIS Z2242:2005に準拠したシャルピー衝撃試験を行った。ノッチの深さ方向(ハンマーの進行方向)が、圧延方向および板厚方向に垂直な方向となるようにした。試験温度は−40℃、0℃、20℃の3水準とした。試験数n=3として、衝撃値の最も低い値をその材料のその温度における成績として採用した。ノッチの深さ方向(ハンマーの進行方向)が、圧延方向および板厚方向に垂直な方向となるようにした。結果を表2中に示す。
〔疲労特性の調査〕
調質熱処理後の鋼板から、図2に示す形状のUノッチ付き疲労試験片(平行部15mm)を作製し、引張疲労試験(応力比:σmin/σmax=0.1、周波数:30Hz)を行って、各応力レベルにおける破断までのサイクル数によって疲労特性を評価した。試験片の長手方向が圧延方向となるようにした。試験環境は20〜30℃、相対湿度20%以下である。試験数n=3として、破断までのサイクル数の最も低い値をその材料のその応力レベルにおける成績として採用した。結果を表3に示す。
Figure 0005489503
Figure 0005489503
表2、表3からわかるように、本発明例の鋼Aと、Ni、Nbを含有する鋼Bとを比べると、同等の疲労特性が得られるように調質した場合、本発明例のものは靭性(耐衝撃特性)が顕著に改善されている。また、本発明例の鋼Aと、Vを含有しない鋼Cとを比べると、本発明例のものは引張強さTSが若干低めに調質されているにもかかわらず、疲労特性に優れており(特に応力レベル650〜700N/mm2)、かつ靭性にも優れている。このように、Vを添加したシンプルな組成の鋼を用いることによって、強度、疲労特性、靭性(耐衝撃特性)を同時に高いレベルで兼ね備えた材料を得ることができる。

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.3〜0.5%、Si:1%以下、Mn:1.5%以下、P:0.02%以下、S:0.02%以下、Cr:0.5〜2%、Mo:0.1〜1%、V:0.1〜1%、T.Al:0.005〜1%であり、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、Ac1点未満での焼鈍を経て320HV以下の硬さに調整されている加工および焼入れ処理に供するための機械部品用素材鋼板。
  2. 板厚が2〜15mmである請求項1に記載の機械部品用素材鋼板。
  3. 前記機械部品がチェーンのリンクプレートである請求項1または2に記載の素材鋼板。
  4. 質量%で、C:0.3〜0.5%、Si:1%以下、Mn:1.5%以下、P:0.02%以下、S:0.02%以下、Cr:0.5〜2%、Mo:0.1〜1%、V:0.1〜1%、T.Al:0.005〜1%であり、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する板厚2〜15mmの鋼板をAc1点未満の温度で焼鈍することにより硬さ320HV以下の組織状態とする工程(焼鈍工程)、前記焼鈍を経て320HV以下の硬さに調整されている素材鋼板を加工して板状部材とする工程(加工工程)、前記板状部材に焼入れ・焼戻し処理を施して400〜500HVの硬さに調整する工程(調質熱処理工程)、を有する機械部品の製造方法。
  5. 前記加工は、打抜き加工を含むものである請求項4に記載の機械部品の製造方法。
  6. 前記焼鈍工程と加工工程の間において、冷間圧延、表面研削、形状矯正の1種以上を行い320HV以下の硬さが維持された素材鋼板とする工程(板厚・形状調整工程)を有する請求項4または5に記載の機械部品の製造方法。
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