JP5737152B2 - 熱間鍛造用圧延棒鋼 - Google Patents

熱間鍛造用圧延棒鋼 Download PDF

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Description

本発明は、熱間鍛造用圧延棒鋼に関する。詳しくは、自動車、産業機械等の高強度非調質熱間鍛造部品の素材として好適に使用できる、熱間鍛造用圧延棒鋼に関する。
近年、CO2削減の観点から燃費向上のニーズが高まっており、自動車、産業機械等に用いる機械構造用部品においては部品の小型化を目的に、部品の高強度化が望まれている。
また、製造コスト削減の観点から、熱間圧延で製造された棒鋼(以下、熱間圧延で製造された熱間圧延ままの状態の棒鋼を、「圧延棒鋼」という。)に、熱間鍛造で成形加工を行い、その後、焼入れおよび焼戻しの熱処理、つまり、「調質処理」を施さずとも所望の強度を与えられる熱間鍛造部品(以下、調質処理を施さずに製造した熱間鍛造部品を、「非調質熱間鍛造部品」という。)の適用が主流となっている。
熱間鍛造部品には、主に素材である圧延棒鋼の軸方向に圧下して成形加工されるものが多い。
しかしながら、一部には圧延棒鋼の軸方向にはほとんど圧下を施さず、主に圧延棒鋼の軸の垂直方向、すなわち圧延方向と垂直方向に圧下して成形加工される熱間鍛造部品もある。このような方向に圧下して成形加工される熱間鍛造部品では、熱間圧延で形成された介在物または/および析出物の分布状態、すなわち軸方向に延伸された介在物または/および析出物の圧延棒鋼での分布状態が、熱間鍛造後も引き継がれてしまう。そのため、熱間鍛造部品の軸の垂直方向の応力に対する疲労強度(以下、熱間鍛造部品の軸の垂直方向の応力に対する疲労強度を、「横目の疲労強度」という。)が低くなる傾向にある。
熱間鍛造部品の引張強度を高くすれば、横目の疲労強度も高くすることができる。しかしながら、調質処理を施さずに製造した非調質熱間鍛造部品の引張強度を高めるということは、熱間鍛造後に施される切削工程において、工具寿命の低下を招いてしまう。このため、切削コストが上昇するとともに切削時間が長くなるという問題が生じる。
したがって、引張強度を高めることにより熱間鍛造部品の横目の疲労強度を向上させるのは必ずしも望ましいことではない。
このような状況の下、特許文献1と特許文献2にそれぞれ、次の「被削性に優れた熱間鍛造用非調質鋼材」と「高強度熱間鍛造用非調質鋼」が開示されている。
すなわち、特許文献1に、
質量%で、C:0.19〜0.29%、Si:0.05〜0.5%、Mn:1.0〜3.0%、V:0.05〜0.5%、Cr:0.29〜0.79%、Al:0.02%を超えて0.1%以下、S:0.02〜0.3%、Pb:0.02〜0.3%を含有し、必要に応じてさらに、Nb:0.1%以下、Ti:0.1%以下のうち1種または2種を含み、残部がFeおよび不純物からなり、引張強さ90kgf/mm2(883MPa)以上と、試験温度20℃におけるノッチ深さ2mmおよびノッチ底半径1mmのUノッチシャルピー衝撃試験片のシャルピー衝撃値が5kgf/cm2(49J/cm2)以上を併せ持ち、さらにドリル穿孔性を同一強度を有する他の非調質鋼に対して2割以上向上させた「被削性に優れた熱間鍛造用非調質鋼」が開示されている。
特許文献2に、
質量%で、C:0.25〜0.50%、Si:0.40〜2.00%、Mn:0.50〜2.50%、Cr:0.10〜1.00%、S:0.03〜0.10%、V:0.05〜0.30%、N:0.0050〜0.0200%、さらにAl:0.005〜0.050%とTi:0.002〜0.050%の1種または2種を含み、必要に応じてさらに、Ca:0.0004〜0.0050%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
Ceq.(%)=%C+(%Si)/20+(%Mn)/5+(%Cr)/9+1.54(%V)
の式で表される炭素当量Ceq.(%)が0.83〜1.23%、
Bt=31.2−100(%C)−6.7(%Si)+9.0(%Mn)+4.9(%Cr)−81(%V)
の式で表されるベイナイト変態指数Btが0以下、
である高強度熱間鍛造用非調質鋼が開示されている。
特開平5−9652号公報 特開平6−287677号公報
特許文献1に開示されている技術によって、非調質熱間鍛造部品に90kgf/mm2(883MPa)以上の引張強度を具備させることができる。しかしながら、近年の軽量化された小型部品の場合、熱間鍛造後の冷却速度が自ずと速くなってしまう。このため、特許文献1の「発明鋼」として具体的に開示されているような、Mnが少なくとも1.50%含有されている鋼を素材に用いると、熱間鍛造後に大気中で放冷しても冷却時にベイナイトが生成して、横目の疲労強度が低下する可能性がある。
特許文献2に開示されている技術によって、非調質熱間鍛造部品に900MPa以上の引張強度を具備させることができる。しかも、その非調質熱間鍛造部品は、ベイナイトの生成を回避したフェライトとパーライトの混合組織(以下、「フェライト・パーライト」という。)からなるため、被削性に優れている。しかしながら、特許文献2に具体的に開示されている鋼には、Sが少なくとも0.033%含有されている。このように鋼に多量のSを含有させた場合には、圧延棒鋼を軸の垂直方向に圧下して熱間鍛造により成形加工して使用される場合には、熱間鍛造部品の軸方向に並んだ粗大なMnSによって横目の疲労強度が低下してしまう。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、鍛造後の800℃から550℃の温度域における表面部の冷却速度が、80℃/minにも達するような小型の非調質熱間鍛造部品であっても、900MPa以上の引張強度および0.43以上の横目の耐久比(疲労強度/引張強度)を安定して具備させることができる熱間鍛造用圧延棒鋼を提供することを目的とする。
なお、横目の耐久比とは、熱間鍛造部品の軸の垂直方向の応力に対する疲労強度を、熱間鍛造部品の軸の垂直方向の引張強度で除した値である。
本発明者らは、前記した課題を解決するために種々の検討を実施した。その結果、下記(a)〜(f)の知見を得た。
(a)非調質熱間鍛造部品において、高い横目の耐久比を得るためには、内部組織、つまり、熱間鍛造時の加熱段階で脱炭層の生成する可能性がある表層部分を除いた組織を、フェライト・パーライトにする必要がある。一方、内部組織にベイナイトとマルテンサイトのいずれかまたは双方が混在する場合は、高い横目の耐久比を得ることができない。
(b)熱間鍛造後にベイナイトの生成を避け、なおかつ、非調質熱間鍛造部品に900MPa以上の引張強度を具備させるためには、焼入れ性を向上させる合金元素の含有量を厳密に管理する必要がある。
(c)非調質熱間鍛造部品に高い横目の疲労強度を付与するには、Vによる析出強化を図るのが有効である。熱間鍛造時の冷却過程でVの炭化物、窒化物または炭窒化物を析出させることによって、高い横目の疲労強度を付与することができる。
(d)微量のSを含有させることにより、横目の疲労強度に悪影響を及ぼすと考えられていたMnSを粗大化させずに棒鋼中に微細に分散させることで、熱間鍛造後のオーステナイト粒内にもフェライトの生成核を増やし、ベイナイトの生成を抑制することができる。しかしながら、軽量化された小型部品の場合には、熱間鍛造後の冷却速度が自ずと速くなって、熱間鍛造後に大気中で放冷しても冷却時にベイナイトが生成することがある。このため、単に、微量のSを含有させるだけでは、ベイナイトの生成抑制効果を必ずしも十分には得られず、高い横目の耐久比を得ることができないことがある。
(e)一方、小型部品の場合であっても、圧延棒鋼に所定の大きさのTiNを所定の個数密度で存在させておけば、そのピンニング効果により熱間鍛造時のオーステナイト粒の粗大化を抑制することができるので、ベイナイトの生成を確実に回避することが可能である。
(f)その結果、熱間鍛造後に引張強度900MPa以上、横目の耐久比0.43以上の熱間鍛造部品を得ることができる。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記(1)および(2)に示す熱間鍛造用圧延棒鋼にある。
(1)質量%で、C:0.27〜0.37%、Si:0.30〜0.75%、Mn:1.00〜1.45%、S:0.008%以上で0.030%未満、Cr:0.05〜0.30%、Al:0.005〜0.050%、V:0.200〜0.320%、Ti:0.0040%を超えて0.030%以下およびN:0.0080〜0.0200%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、不可避的不純物中のPおよびOがそれぞれ、P:0.030%以下およびO:0.0020%以下であり、かつ、下記の<1>式で表わされるY1が1.05〜1.18の化学組成であって、サイズが0.005μm以上のTiNの個数密度が0.4個/μm2以上であり、160mm2中のTiNの最大サイズが30μm以下であることを特徴とする熱間鍛造用圧延棒鋼。
Y1=C+(1/10)Si+(1/5)Mn+(5/22)Cr+1.65V−(5/7)S・・・<1>
ただし、上記<1>式におけるC、Si、Mn、Cr、VおよびSは、それぞれの元素の質量%での含有量を表す。
(2)質量%で、C:0.27〜0.37%、Si:0.30〜0.75%、Mn:1.00〜1.45%、S:0.008%以上で0.030%未満、Cr:0.05〜0.30%、Al:0.005〜0.050%、V:0.200〜0.320%、Ti:0.0040%を超えて0.030%以下およびN:0.0080〜0.0200%を含むとともに、Cu:0.30%以下、Ni:0.30%以下およびMo:0.10%以下から選択される1種以上を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、不可避的不純物中のPおよびOがそれぞれ、P:0.030%以下およびO:0.0020%以下であり、かつ、下記の<2>式で表わされるY2が1.05〜1.18の化学組成であって、サイズが0.005μm以上のTiNの個数密度が0.4個/μm2以上であり、160mm2中のTiNの最大サイズが30μm以下であることを特徴とする熱間鍛造用圧延棒鋼。
Y2=C+(1/10)Si+(1/5)Mn+(5/22)Cr+1.65V−(5/7)S+(1/5)Cu+(1/5)Ni+(1/4)Mo・・・<2>
ただし、上記<2>式におけるC、Si、Mn、Cr、V、S、Cu、NiおよびMoは、それぞれの元素の質量%での含有量を表す。
残部としての「Feおよび不可避的不純物」における「不可避的不純物」とは、鉄鋼材料を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ、または製造環境などから混入するものを指す。
本発明でいう「TiN」には、TiおよびNのみから形成される純粋なTiNに加えて、TiおよびNを基本組成として、その一部にVおよびCの1種以上が固溶したもの、つまり、「(Ti、V)N」、「Ti(N、C)」および「(Ti、V)(N、C)」を含む。
また、TiNの「サイズ」とは、TiNの長辺の長さと短辺の長さを算術平均した値、すなわち「(長辺の長さ+短辺の長さ)/2」を意味する。
本発明の熱間鍛造用圧延棒鋼を素材として用いることにより、900MPa以上の引張強度および0.43以上の横目の耐久比を有する高強度非調質熱間鍛造部品を得ることができる。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、以下の説明における各元素の含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。
(A)化学組成について:
C:0.27〜0.37%
Cは、鋼を強化する元素であり、0.27%以上含有させなくてはならない。一方、Cの含有量が0.37%を超えると、熱間鍛造後の引張強度は高くなるものの、横目の耐久比の低下を招いてしまう場合がある。したがって、Cの含有量を0.27〜0.37%とした。Cの含有量は0.29%以上とすることが好ましく、0.35%以下とすることが好ましい。
Si:0.30〜0.75%
Siは、脱酸元素であるとともに、固溶強化によってフェライトを強化し、熱間鍛造後の引張強度を高めるのに必要な元素である。こうした効果を確保するには、Siを0.30%以上含有させる必要がある。一方、Siの含有量が0.75%を超えると、その効果が飽和するばかりか、圧延棒鋼の表面脱炭が著しくなる。したがって、Siの含有量を0.30〜0.75とした。Siの含有量は0.35%以上とすることが好ましく、0.70%以下とすることが好ましい。
Mn:1.00〜1.45%
Mnは、固溶強化によってフェライトおよびパーライトを強化し、熱間鍛造後の引張強度を高めるのに必要な元素であり、1.00%以上含有させなくてはならない。一方、Mnの含有量が1.45%を超えると、その効果が飽和するばかりか、焼入れ性が高くなり、熱間鍛造後にベイナイトが生成してしまい、横目の疲労強度の低下を招いてしまう場合がある。したがって、Mnの含有量を1.00〜1.45%とした。Mnの含有量は1.10%以上とすることが好ましく、1.40%以下とすることが好ましい。
S:0.008%以上で0.030%未満
Sは、本発明における重要な元素である。Sは、Mnと結合してMnSを形成し、熱間鍛造後のオーステナイト粒内にもフェライトの生成核を増やすので、ベイナイトの生成を抑制することができる。さらには、MnSによって被削性も向上する。そのため、Sを0.008%以上含有しなくてはならない。一方、S含有量が0.030%以上になると、MnSは延伸された粗大な形態となるため、横目の疲労強度が低下し、横目の耐久比が低下してしまう。したがって、Sの含有量は厳しく管理する必要があり、0.008%以上で0.030%未満とした。Sの含有量は0.010%以上であることが望ましく、0.027%以下であることが望ましい。
Cr:0.05〜0.30%
Crは、Mnと同様に、固溶強化によってフェライトおよびパーライトを強化し、熱間鍛造後の引張強度を高める元素であり、0.05%以上含有させなければならない。一方、Crの含有量が0.30%を超えると、その効果が飽和するばかりか、焼入れ性が高くなり、熱間鍛造後にベイナイトが生成してしまい、横目の疲労強度の低下を招いてしまう場合がある。したがって、Crの含有量を0.05〜0.30%とした。Crの含有量は0.08%以上とすることが好ましく、0.20%以下とすることが好ましい。Crの含有量は0.20%未満とすることがより好ましい。
Al:0.005〜0.050%
Alは、脱酸作用を有するだけでなく、Nと結合してAlNを形成し、そのピンニング効果により熱間鍛造時のオーステナイト粒の成長を抑制し、ベイナイト生成を抑制する作用を有する。このため、Alは0.005%以上含有させなくてはならない。一方、Alの含有量が0.050%を超えると、その効果が飽和してしまう。したがって、Alの含有量を0.005〜0.050%とした。Alの含有量は0.010%以上とすることが好ましい。
V:0.200〜0.320%
Vは、CおよびNと結合して、炭化物、窒化物または炭窒化物を形成して、熱間鍛造部品の横目の耐久比を有効に高める作用を有する。このため、0.200%以上のVを含有させる。一方、Vの含有量が0.320%を超えると、その効果が飽和するばかりか、コストの上昇を招く。したがって、Vの含有量を0.200〜0.320%とした。Vの含有量は0.220%以上とすることが好ましく、0.300%以下とすることが好ましい。
Ti:0.0040%を超えて0.030%以下
Tiは、Nと結合してTiNを形成し、そのピンニング効果により熱間鍛造時のオーステナイト粒の成長を抑制して、軽量化された小型部品、すなわち熱間鍛造後の冷却速度が自ずと速くなってしまうような部品の場合にも、熱間鍛造後のベイナイトの生成を抑制する作用を有する。このため、0.0040%を超えるTiを含有させる必要がある。しかしながら、Tiの含有量が多くなって、0.030%を超えると、TiNが粗大化し、熱間鍛造部品の軸方向に並んだ該粗大TiNによって横目の疲労強度が著しく低下してしまう。したがって、Tiの含有量は0.0040%を超えて0.030%以下とした。Tiの含有量は0.015%未満とすることが好ましく、0.010%以下とすることがより好ましい。また、Tiの含有量は0.0050%以上とすることが好ましい。
N:0.0080〜0.0200%
Nは、本発明における重要な元素である。Nは、Vと結合して窒化物または炭窒化物を形成して、熱間鍛造部品の横目の耐久比を有効に高める作用を有するだけでなく、TiおよびAlと結合してTiNおよびAlNを形成し、それらのピンニング効果により熱間鍛造時のオーステナイト粒の成長を抑制し、軽量化された小型部品、すなわち熱間鍛造後の冷却速度が自ずと速くなってしまうような部品の場合にも、熱間鍛造後のベイナイトの生成を抑制する作用を有する。このため、0.0080%以上のNを含有させる必要がある。しかしながら、Nの含有量が多くなって、特に0.0200%を超えると、鋼中にピンホールが形成される場合がある。したがって、Nの含有量は0.0080〜0.0200%とした。Nの含有量は0.0100%以上とすることが好ましく、0.0150%以下とすることが好ましい。
本発明の熱間鍛造用圧延棒鋼は、上述のCからNまでの元素を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、不可避的不純物中のPおよびOがそれぞれ、P:0.030%以下およびO:0.0020%以下であり、かつ、前記の<1>式で表わされるY1が1.05〜1.18である化学組成の鋼である。
残部としての「Feおよび不可避的不純物」における「不可避的不純物」とは、鉄鋼材料を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ、または製造環境などから混入するものを指す。
以下、本発明において、不可避的不純物中のPおよびOの含有量をそれぞれ、上記の範囲に限定する理由について説明する。
P:0.030%以下
Pは、鋼中に不可避的不純物として含まれる元素であり、特に、その含有量が0.030%を超えると、偏析が著しくなり、疲労強度の低下を招く場合がある。したがって、不可避的不純物中のPの含有量を0.030%以下とした。不可避的不純物中のPの含有量は0.025%以下とすることが好ましい。不可避的不純物として含まれるPの含有量は、製鋼工程でのコスト上昇をきたさない範囲で、できる限り少なくすることが望ましい。
O:0.0020%以下
O(酸素)は、鋼中において、主として酸化物系介在物として存在し、横目の疲労強度の低下を招く不可避的不純物元素である。Oの含有量が多くなって、特に0.0020%を超えると、粗大な酸化物の発生頻度が高くなり、横目の疲労強度が低下し、横目の耐久比の低下を招く。したがって、不可避的不純物中のOの含有量を0.0020%以下とした。なお、不可避的不純物中のOの含有量は0.0015%以下とすることが好ましい。
<1>式で表わされるY1の限定理由については、<2>式で表わされるY2の限定理由とともに後述する。
本発明の熱間鍛造用圧延棒鋼は、そのFeの一部に代えて、必要に応じて、Cu、NiおよびMoから選択される1種以上の元素を含有させてもよい。その場合は、前記の<2>式で表わされるY2が1.05〜1.18である。
以下、任意元素であるCu、NiおよびMoの作用効果と、含有量の限定理由について説明する。
Cu:0.30%以下
Cuは、固溶強化によってフェライトおよびパーライトを強化する元素である。このため、Cuを含有させてもよい。しかしながら、Cuの含有量が0.30%を超えると、その効果が飽和するばかりか、焼入れ性が高くなり、熱間鍛造後にベイナイトが生成してしまい、横目の疲労強度の低下を招いてしまう場合がある。したがって、含有させる場合のCuの量に上限を設け、0.30%以下とした。含有させる場合のCuの量は0.20%以下であることが好ましい。
一方、前記したCuの効果を安定して得るためには、Cuの量は0.03%以上であることが好ましく、0.05%以上であれば一層好ましい。
Ni:0.30%以下
Niは、固溶強化によってフェライトおよびパーライトを強化する元素である。このため、Niを含有させてもよい。しかしながら、Niの含有量が0.30%を超えると、その効果が飽和するばかりか、焼入れ性が高くなり、熱間鍛造後にベイナイトが生成してしまい、横目の疲労強度の低下を招いてしまう場合がある。したがって、含有させる場合のNiの量に上限を設け、0.30%以下とした。含有させる場合のNiの量は0.20%以下であることが好ましい。
一方、前記したNiの効果を安定して得るためには、Niの量は0.03%以上であることが好ましく、0.05%以上であれば一層好ましい。
Mo:0.10%以下
Moは、固溶強化によってフェライトおよびパーライトを強化する元素である。このため、Moを含有させてもよい。しかしながら、Moの含有量が0.10%を超えると、熱間鍛造後にベイナイトが生成してしまい、横目の疲労強度の低下を招いてしまう場合がある。したがって、含有させる場合のMoの量に上限を設け、0.10%以下とした。含有させる場合のMoの量は0.08%以下であることが好ましい。
一方、前記したMoの効果を安定して得るためには、含有させる場合のMoの量は0.03%以上であることが好ましい。
上記のCu、NiおよびMoは、そのうちのいずれか1種のみ、または2種以上の複合で含有させることができる。Cu、NiおよびMoの合計の含有量は、0.30%以下であることが好ましい。
Y1またはY2:1.05〜1.18
非調質熱間鍛造部品に、900MPa以上の引張強度を具備させるためには、該非調質熱間鍛造部品の素材である熱間鍛造用圧延棒鋼は、
Cu、NiおよびMoを含まない場合には、前記<1>式で表わされるY1〔=C+(1/10)Si+(1/5)Mn+(5/22)Cr+1.65V−(5/7)S〕が、
また、Cu、NiおよびMoのうちの1種以上を含む場合には、前記<2>式で表わされるY2〔=C+(1/10)Si+(1/5)Mn+(5/22)Cr+1.65V−(5/7)S+(1/5)Cu+(1/5)Ni+(1/4)Mo〕が、
それぞれ、1.05〜1.18でなければならない。
Y1またはY2が1.18を超えると、熱間鍛造後の硬さが高くなって、切削性の低下を招いてしまう場合がある。さらには焼入れ性が高くなって、熱間鍛造後にベイナイトが生成し、横目の耐久比が低下してしまう可能性がある。一方、Y1またはY2が1.05を下回ると、その熱間鍛造用圧延棒鋼を素材とする非調質熱間鍛造部品に900MPa以上の引張強度を確保させることができない。
Y1またはY2は1.08以上であることが好ましく、1.16以下であることが好ましい。
(B)TiNについて:
本発明の熱間鍛造用圧延棒鋼は、サイズが0.005μm以上のTiNの個数密度が0.4個/μm2以上であり、160mm2中のTiNの最大サイズが30μm以下でなければならない。
先ず、熱間鍛造時に1200℃を超えるような高い温度域に加熱した場合であっても、TiNがピンニング粒子として作用してオーステナイト粒の成長を抑え、熱間鍛造後の冷却速度が自ずと速くなる軽量化された小型部品、具体的には、熱間鍛造後の800℃から550℃の温度域における表面部の冷却速度が、80℃/minにも達するような小型部品にベイナイトが生成することを抑制するためには、サイズが0.005μm以上のTiNの個数密度が0.4個/μm2以上でなくてはならない。
すなわち、TiNのサイズが0.005μm未満の場合には、1200℃を超えるような高い温度域への加熱によって、TiNはマトリックス中に固溶してピンニング粒子として作用せず、オーステナイト粒が粗大化してベイナイトが生成してしまう場合があるからである。しかも、サイズが0.005μm以上のTiNが存在していても、その個数密度が0.4個/μm2未満の場合には、ピンニング粒子として十分に作用せず、オーステナイト粒が粗大化して鍛造後の冷却時にベイナイトが生成してしまう場合があるからである。
上記のサイズが0.005μm以上のTiNの個数密度は0.6個/μm2以上であることが好ましく、また、10個/μm2以下であることが好ましい。
次に、TiNは、熱間鍛造時にピンニング粒子として作用してオーステナイト粒の成長を抑え、ベイナイトの生成を抑制する作用を有する反面、そのサイズが大きくなると、横目の耐久比を大きく低下させ、特に、160mm2中のTiNの最大サイズが30μmを超えると、その粗大なTiNを起点とした疲労破壊が生じやすくなって、横目の耐久比の著しい低下を招く。
上記の160mm2中のTiNの最大サイズは25μm以下であることが好ましい。
なお、上記の160mm2中のTiNの最大サイズは小さいにこしたことはないが、0.005μm未満のTiNは、1200℃を超えるような高い温度域への加熱によってマトリックス中に固溶してしまうので、上記の160mm2中のTiNの最大サイズの下限は0.005μmである。
既に述べたように、本発明でいう「TiN」には、TiおよびNのみから形成される純粋なTiNに加えて、TiおよびNを基本組成として、その一部にVおよびCの1種以上が固溶したもの、つまり、「(Ti、V)N」、「Ti(N、C)」および「(Ti、V)(N、C)」を含む。また、TiNの「サイズ」とは、TiNの長辺の長さと短辺の長さを算術平均した値、すなわち「(長辺の長さ+短辺の長さ)/2」を意味する。
本発明の熱間鍛造用圧延棒鋼は、例えば、前記(A)項で述べた化学組成を有する鋳片を、1220℃以上の温度域に加熱して3600s以上(60min以上)保持し、かつ下記の式(3)を満たす条件で分塊圧延および棒鋼圧延を行うことによって、安定して製造することができる。
Y3=(T1+273)×log(t1+t2 T(2))≦6.7×103・・・(3)。
上記の式(3)におけるTは、「℃」単位での加熱温度、tは、加熱温度Tにおける「s」単位での保持時間、添え字1は分塊圧延工程、添え字2は棒鋼圧延工程を表し、T(2)=(T2+273)/(T1+273)を意味する。
すなわち、T1は分塊圧延工程における加熱温度(℃)、T2は棒鋼圧延工程における加熱温度(℃)、t1は分塊圧延工程におけるT1℃での保持時間(s)、t2は棒鋼圧延工程におけるT2℃での保持時間(s)である。
上記の各処理における温度は、鋳片または鋼片を熱する際の炉内の温度を指し、以下の説明においても同じである。
鋳片の偏析を軽減するためには、通常、鋳片を圧延する際の加熱温度を高くするとともに、その加熱温度での保持時間を長くすることが望ましいとされている。
しかしながら、前記(A)項で述べた化学組成を有する鋼においては、熱間鍛造後の800℃から550℃の温度域における表面部の冷却速度が、80℃/minにも達するような小型部品にベイナイトが生成することを抑制するためには、加熱温度を高くしたり、加熱保持時間を長くすることは望ましくない。
すなわち、前記(A)項で述べた化学組成を有する鋼の場合、連続鋳造時の冷却過程でTiはNと結合し、TiNとして晶出または析出する。このTiNが晶出または析出した鋳片を圧延する際、いたずらに加熱温度を高くしたり、加熱保持時間を長くすれば、TiNの個数密度が低くなって、ピンニング粒子として十分に作用せず、熱間鍛造加熱時にオーステナイト粒が粗大化して鍛造後の冷却時にベイナイトが生成してしまう場合がある。
そこで、鋳片を圧延する際に、加熱温度を1220℃以上とし、また、中心部まで均熱させるために加熱保持時間を3600s以上(60min以上)とした上で、上述した式(3)を満たす条件で圧延すれば、TiNの個数密度が低下することを抑制でき、それによって熱間鍛造加熱時にオーステナイト粒が粗大化して鍛造後の冷却時にベイナイトが生成することを容易に抑制できる。
以下、式(3)について詳しく説明する。
TiNのオストワルド成長の程度は、加熱温度T(℃)とその加熱温度での保持時間t(s)に影響されるので、以下、焼戻しパラメータ「(T+273)×log(t)」で整理して説明する。
棒鋼の製造は、鋳片の分塊圧延と、棒鋼圧延との、2段階の圧延で行うことが一般的である。
そこで、分塊圧延および棒鋼圧延における、加熱温度をそれぞれ、T1(℃)およびT2(℃)、上記加熱温度での保持時間をそれぞれ、t1(s)およびt2(s)とすると、それぞれの圧延における焼戻しパラメータは、「(T1+273)×logt1」および「(T2+273)×logt2」となる。
棒鋼圧延におけるTiNのオストワルド成長の焼戻しパラメータ「(T2+273)×logt2」は、該TiNのオストワルド成長を、分塊圧延の加熱温度T1(℃)で起こすのに要する保持時間x(s)を使って次の式(a)のように表すことができる。
(T2+273)logt2=(T1+273)logx・・・(a)。
ここで、T(2)=(T2+273)/(T1+273)とすると、上記の保持時間x(s)は、式(b)のように表すことができる。
x=t2 T(2)・・・(b)。
そして、加熱温度T2(℃)、該温度T2での保持時間t2(s)の棒鋼圧延で起こるTiNのオストワルド成長の程度を、分塊圧延の加熱温度T1(℃)と該温度T1での保持時間x(s)で表すことにより、分塊圧延と棒鋼圧延の圧延工程2回分のTiNのオストワルド成長の程度Y3は、分塊圧延1回分のパラメータとして、式(c)のように表すことができ、さらに式(b)を式(c)に代入することによって、式(d)を得ることができる。
Y3=(T1+273)×log(t1+x)・・・(c)、
Y3=(T1+273)×log(t1+t2 T(2))・・・(d)。
そして、このようにして求められた式(d)のパラメータY3と、TiNのサイズおよび個数密度との関係を詳細に調査した結果、Y3の値が6.7×103以下であれば、前記(1)および(2)に示した本発明に関わる熱間鍛造用圧延棒鋼を安定して製造できることが判明した。
なお、圧延工程の回数をi段階にまで拡張すると、TiNのオストワルド成長の程度を表すパラメータY3’は式(e)のように表され、圧延工程が2回の場合と同様に整理することができる。
Y3’=(T1+273)×log{Σ(ti T(i))}・・・(e)。
ここで、T(i)=(Ti+273)/(T1+273)を意味する。
上記の場合には、Y3’の値が6.7×103以下であれば、前記(1)および(2)に示した本発明に関わる熱間鍛造用圧延棒鋼を安定して製造することができる。
そして、分塊圧延および棒鋼圧延によって所定のサイズ、例えば直径40mmにした本発明の熱間鍛造用圧延棒鋼を素材とする場合には、該棒鋼を、例えば、長さ100mmに切断し、高周波加熱装置にて1200〜1250℃に加熱した後、1150〜1100℃の温度域で熱間鍛造機を用いて、厚さ12mmまで圧延棒鋼の軸の垂直方向にプレス鍛造して、800〜550℃の温度域を表面部について80℃/minにも達するような冷却速度で冷却しても、容易に900MPa以上の引張強度と0.43以上の横目の耐久比を有する非調質熱間鍛造部品を得ることができる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す化学組成を有する鋼A〜Rからなる断面が300mm×400mmの鋳片を分塊圧延して180mm×180mmの鋼片を作製した。次いで、各鋼片を熱間棒鋼圧延して、直径40mmの棒鋼を製造した。
表1における鋼A〜Iは、化学組成が本発明で規定する範囲内にある鋼である。一方、鋼J〜Rは、化学組成が本発明で規定する条件から外れた鋼である。
表2に、分塊圧延および熱間棒鋼圧延での加熱条件を示す。なお、表2には、前記の式(d)で表されるY3の値を併記した。
Figure 0005737152
Figure 0005737152
上記のようにして作製した直径40mmの棒鋼を用いて、TiNの個数密度の調査を行った。
すなわち、上記直径40mmの棒鋼のR/2部(「R」は棒鋼の半径を表す。)の縦断面から抽出レプリカ法によって試料を採取し、透過型電子顕微鏡観察を行ってTiNの個数密度を調査した。具体的には、倍率を30000倍として20視野観察し、サイズが0.005μm以上であるTiNの個数を数え、単位面積あたりの個数密度に換算した。
また、上記直径40mmの棒鋼のR/2部から、16mm長さ×10mm幅の縦断面を有する試料を切り出した。次いで、上記の縦断面が被検面になるように樹脂に埋め込み、鏡面研磨した後、倍率を500倍として光学顕微鏡を用いて、被検面160mm2中におけるTiNの最大のサイズを調査した。
さらに、上記直径40mmの各棒鋼を素材として、熱間鍛造により厚さ12mmの鍛造品を作製した。
具体的には、先ず、直径40mmの各棒鋼を長さ110mmに切断した。
次いで、直径40mmで長さ110mmの棒鋼を、高周波加熱装置にて1250℃に加熱した後、1150〜1100℃で、プレスにより棒鋼の軸の垂直方向に圧下する熱間鍛造を行って厚さ12mmの鍛造品に仕上げ、大気中で放冷して室温まで冷却した。なお、800〜550℃の温度域における冷却速度は80℃/分であった。
上記の鍛造品について、下記〈1〉〜〈3〉の方法でミクロ組織、引張特性および疲労特性を調査した。
〈1〉鍛造品のミクロ組織の調査:
上記厚さ12mmの鍛造品の、幅方向1/2の位置で、かつ厚さ方向1/2の位置から、10mm×10mmの横断面を有する試料を切り出した。次いで、上記の横断面が被検面になるように樹脂に埋め込み、鏡面研磨した後、3%硝酸アルコール(ナイタル)で腐食してミクロ組織を現出させた。その後、倍率を500倍として光学顕微鏡を用いて5視野についてミクロ組織画像を撮影し、「相」を同定した。
〈2〉鍛造品の引張特性の調査:
上記厚さ12mmの鍛造品の厚さ方向1/2の位置から、試験片の長手方向が鍛造品の幅方向、すなわち鍛造品の軸の垂直方向となり、また試験片の平行部の中心が鍛造品の幅方向1/2になるように、2011年1月21日に財団法人日本規格協会発行のJISハンドブック[1]鉄鋼IのJIS Z 2201(1998)に規定される14A号試験片(ただし、平行部直径:5mm)を採取した。そして、標点距離を25mmとして室温で引張試験を実施し、引張強度を求めた。鍛造品の引張強度の目標は、900MPa以上であることとした。
〈3〉鍛造品の疲労特性の調査:
また、上記厚さ12mmの鍛造品の幅の両端をフライス加工して、スケールを除去するとともに平面に仕上げた。次いで、上記のフライス加工した鍛造品の両端とJIS G 4051(2009)に規定された市販のS10Cを電子ビーム溶接によって溶接し、幅130mmの板材を作製した。その後、上記板材の厚さ方向1/2の位置から、試験片の長手方向が板材の幅方向、すなわち鍛造品の軸の垂直方向となるように、また試験片の平行部の中心が板材の幅方向1/2になるように、平行部の直径が8mm、長さが106mmの小野式回転曲げ疲労試験片を作製した。
そして、試験数を8として、室温、大気中で、応力比が−1となる条件で回転曲げ疲労試験を実施した。繰り返し数が1.0×107以上で耐久した応力振幅の最低値を疲労強度とした。さらに、この疲労強度を引張強度で除して横目の耐久比を求めた。鍛造品の横目の耐久比の目標は、0.43以上であることとした。
表3に、上記の各試験結果をまとめて示す。表3の「評価」欄における「○」印は、鍛造品の引張強度と横目の耐久比が、いずれも上述した目標を満たしていることを示し、「×」印は少なくとも1つの特性が目標に達していないことを示す。
Figure 0005737152
表3から、本発明で規定する条件を満たす試験番号1〜9の場合、その評価は「○」である。すなわち、各棒鋼を素材とする鍛造品のミクロ組織はいずれも、フェライト・パーライトであって、目標とする900MPa以上の引張強度と0.43以上の横目の耐久比を有していることが明らかである。
これに対して、本発明で規定する条件を満たさない試験番号10〜20の場合、鍛造品の引張強度と横目の耐久比のうちのいずれかが目標に達していない。
試験番号10は、用いた鋼JのVの含有量が0.172%であり、本発明で規定する範囲を下回っている。このため、鍛造品の横目の耐久比が0.40と低い。
試験番号11は、用いた鋼Kの個々の元素の含有量は本発明で規定する条件を満たすものの、Y1が1.22と高く、本発明で規定する範囲を外れている。このため、鍛造品のミクロ組織にはフェライトとパーライトに加えてベイナイトが認められ、横目の耐久比が0.41と低い。
試験番号12は、用いた鋼LのTiの含有量が0.0395%であって本発明で規定する範囲を上回り、さらに、圧延棒鋼の160mm2中のTiNの最大サイズが34.5μmであって本発明で規定する範囲を上回っている。このため、鍛造品の横目の耐久比が0.41と低い。
試験番号13は、用いた鋼MのMnの含有量が1.74%であり、本発明で規定する範囲を上回っている。このため、鍛造品のミクロ組織にはフェライトとパーライトに加えてベイナイトが認められ、横目の耐久比が0.40と低い。
試験番号14は、用いた鋼Nの個々の元素の含有量は本発明で規定する条件を満たすものの、Y1が0.97と小さく、本発明で規定する範囲を外れている。このため、鍛造品の引張強度が878MPaと低い。
試験番号15は、用いた鋼OのSの含有量が0.048%であり、本発明で規定する範囲を上回っている。このため、鍛造品の横目の耐久比が0.42と低い。
試験番号16は、用いた鋼PのOの含有量が0.0029%であり、本発明で規定する範囲を上回っている。このため、鍛造品の横目の耐久比が0.41と低い。
試験番号17は、用いた鋼Qの個々の元素の含有量は本発明で規定する条件を満たすものの、Y2が1.23と大きく、本発明で規定する範囲を外れている。このため、鍛造品のミクロ組織にはフェライトとパーライトに加えてベイナイトが認められ、横目の耐久比が0.40と低い。
試験番号18は、用いた鋼Rの個々の元素の含有量は本発明で規定する条件を満たすものの、Y2が0.99と小さく、本発明で規定する範囲を外れている。このため、鍛造品の引張強度が885MPaと低い。
試験番号19は、用いた鋼Fの化学組成は本発明で規定する条件を満たすものの、圧延棒鋼におけるサイズが0.005μm以上のTiNの個数密度が0.11個/μm2であり、本発明で規定する範囲を下回っている。このため、鍛造品のミクロ組織にはフェライトとパーライトに加えてベイナイトが認められ、横目の耐久比が0.40と低い。
同様に、試験番号20は、用いた鋼Hの化学組成は本発明で規定する条件を満たすものの、圧延棒鋼におけるサイズが0.005μm以上のTiNの個数密度が0.09個/μm2であり、本発明で規定する範囲を下回っている。このため、鍛造品のミクロ組織にはフェライトとパーライトに加えてベイナイトが認められ、横目の耐久比が0.41と低い。
本発明の熱間鍛造用圧延棒鋼を素材として用いることにより、900MPa以上の引張強度および0.43以上の横目の耐久比を有する高強度非調質熱間鍛造部品を得ることができる。

Claims (2)

  1. 質量%で、C:0.27〜0.37%、Si:0.30〜0.75%、Mn:1.00〜1.45%、S:0.008%以上で0.030%未満、Cr:0.05〜0.30%、Al:0.005〜0.050%、V:0.200〜0.320%、Ti:0.0040%を超えて0.030%以下およびN:0.0080〜0.0200%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、不可避的不純物中のPおよびOがそれぞれ、P:0.030%以下およびO:0.0020%以下であり、かつ、下記の<1>式で表わされるY1が1.05〜1.18の化学組成であって、サイズが0.005μm以上のTiNの個数密度が0.4個/μm2以上であり、160mm2中のTiNの最大サイズが30μm以下であることを特徴とする熱間鍛造用圧延棒鋼。
    Y1=C+(1/10)Si+(1/5)Mn+(5/22)Cr+1.65V−(5/7)S・・・<1>
    ただし、上記<1>式におけるC、Si、Mn、Cr、VおよびSは、それぞれの元素の質量%での含有量を表す。
  2. 質量%で、C:0.27〜0.37%、Si:0.30〜0.75%、Mn:1.00〜1.45%、S:0.008%以上で0.030%未満、Cr:0.05〜0.30%、Al:0.005〜0.050%、V:0.200〜0.320%、Ti:0.0040%を超えて0.030%以下およびN:0.0080〜0.0200%を含むとともに、Cu:0.30%以下、Ni:0.30%以下およびMo:0.10%以下から選択される1種以上を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、不可避的不純物中のPおよびOがそれぞれ、P:0.030%以下およびO:0.0020%以下であり、かつ、下記の<2>式で表わされるY2が1.05〜1.18の化学組成であって、サイズが0.005μm以上のTiNの個数密度が0.4個/μm2以上であり、160mm2中のTiNの最大サイズが30μm以下であることを特徴とする熱間鍛造用圧延棒鋼。
    Y2=C+(1/10)Si+(1/5)Mn+(5/22)Cr+1.65V−(5/7)S+(1/5)Cu+(1/5)Ni+(1/4)Mo・・・<2>
    ただし、上記<2>式におけるC、Si、Mn、Cr、V、S、Cu、NiおよびMoは、それぞれの元素の質量%での含有量を表す。
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