JPH0636859B2 - 中空糸状フイルター - Google Patents

中空糸状フイルター

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JPH0636859B2
JPH0636859B2 JP2090913A JP9091390A JPH0636859B2 JP H0636859 B2 JPH0636859 B2 JP H0636859B2 JP 2090913 A JP2090913 A JP 2090913A JP 9091390 A JP9091390 A JP 9091390A JP H0636859 B2 JPH0636859 B2 JP H0636859B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は孔径の大きいポリスルホン樹脂からなる中空糸
状フイルター(中空糸)に関する。
[従来の技術・発明が解決しようとする課題] 中空糸状フイルターは、平面状フイルターと比較して単
位体積当りの有効膜面積を大きくすることができるの
で、フイルター装置が小型になる、フイルター装置の構
造が簡単になる、流体の流れが均一になるなどの優れた
特徴を有し、最近各方面で平面状フイルターにかわって
利用されるようになってきている。
中空糸状フイルターの中で孔径が大きい中空糸状フイル
ターとしては、ポリビニルアルコール、酢酸セルロー
ス、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンまたは
ポリエチレンなどの樹脂から製造される中空糸状フイル
ターが知られている。しかし、前記樹脂から製造される
中空糸状フイルターは、性能上または製法上必ずしも満
足できるものではない。
たとえば性能上の問題としては、耐熱性が不足するため
高温を必要とする蒸気滅菌ができない、濾過速度が小さ
い、耐薬品性が不足する、機械的強度が不足する、生体
適合性が不足するなどの欠点を有しており、製造上の問
題としては、高分子量の造孔剤を使用するため、それを
抽出除去するために時間がかかる、毒性の強い溶媒を使
用する必要があるなどの欠点を有している。
一方、ポリスルホン樹脂は耐熱性、機械的強度、耐薬品
性および生体適合性などにおいて優れた性質を有する樹
脂であり、限外濾過膜や逆浸透膜の支持体などに利用さ
れてきており、それらに関する文献も多数公表されてい
る。しかしながら、ポリスルホン樹脂を用いて、少なく
とも内面・外面ともに孔径 0.01 μm以上の孔を有する
中空糸状フイルターは本発明に至るまで作製されておら
ず、従来から知られている技術では、少なくとも内面と
外面に孔径数μmに至る孔径の大きい中空糸状フイルタ
ーを作製することは不可能である。
たとえば特開昭54-16378号、同 54-143777号、同 54-14
5379号、同 56-152704号および同57- 82515 号の各公
報、ジャーナル・オブ・アプライド・ポリマー・サイエ
ンス(Journal of Applied Polymer Science)第20巻,23
77〜2394頁(1976年)、同第21巻,165〜 180頁(1977
年)および同第21巻,1883〜1900頁(1977年)などにポ
リスルホン樹脂からなる中空糸の製法が記載されてい
る。しかし、前記文献は、中空糸の内表面または外表面
のいずれか一面または両面に、実質的に 0.01 μm未満
の孔径を含有する薄い緻密な層を有する、いわゆる非対
称構造の中空糸の製法についてのべたものであり、可及
的に緻密な層を薄くしたものでも透水量が小さい。
[課題を解決するための手段] 本発明者は前記諸欠点を解消するため鋭意研究を重ねた
結果、中空糸の内面から外面まで厚さ全体にわたって網
状組織からなり、その最大孔径が 0.1〜5μmであり、
前記中空糸の内表面には網状組織の一部が開口してでき
た最大孔径が 0.1〜10μmの不定形の孔を有し、前記中
空糸の外表面には網状組織の一部が開口してできた最大
孔径が 0.01 〜5μmの楕円もしくは円形の孔を有する
ポリスルホン樹脂からなることを特徴とする造孔剤を全
く含有しない中空糸状フイルターを用いることにより、
前記諸欠点を解消しうることを見出した。
すなわち本発明では、造孔剤を全く含有しない中空糸状
フイルターをポリスルホン樹脂を用いて作製することに
より、中空糸状フイルターの耐熱性、機械的強度、透水
性、耐薬品性および生体適合性を良好にすることがで
き、中空糸の内面から外面まで厚さ全体にわたって最大
孔径が 0.1〜5μmの網状組織にし、その内表面および
外表面に網状組織が開口してできた孔が存在し、かつ内
表面には最大孔径 0.1〜10μmの不定形の孔、そして外
表面には最大孔径 0.01 〜5μmの楕円もしくは円形の
孔を形成することにより、透水性(濾過性)を良好にす
るという顕著な効果がえられる。
[実施例] 本発明の中空糸状フイルター(以下、本発明のフイルタ
ーという)はポリスルホン樹脂から形成されており、代
表的なポリスルホン樹脂としては、式(I): または式(II): で示される繰返し単位を有するものがあげられる。それ
らのうち式(I)で示される繰返し単位を有するポリスル
ホン樹脂は限外濾過膜の素材としても古くから利用され
ており、機械的強度、耐熱性、耐薬品性および生体適合
性などの基本的な特性に優れており、本発明のフイルタ
ー用素材としてもとくに好ましい。
本発明のフイルターは中空糸の内面から外面までの厚さ
全体にわたって網状組織を有しており、その最大孔径が
0.01〜5μmであり、前記中空糸の内表面には網状組
織の一部が開口してできた最大孔径が 0.1〜10μmの不
定形の孔が存在し、前記外表面には網状組織の一部が開
口してできた最大孔径が 0.01 〜5μmの楕円もしくは
円形の孔が存在している。
本発明のフイルターの構造を図面を用いてさらに詳細に
説明する。
第1図〜第7図は本発明の中空糸の顕微鏡による繊維形
状の観察写真であり、 第1図は本発明の中空糸の一実施態様の倍率 100倍の断
面形状観察写真、 第2図は第1図に示した中空糸断面の 内の外表面より部分の倍率1000倍での断面形状観察写
真、 第3図は第1図に示した中空糸の倍率5000倍の内表面形
状観察写真、 第4図は第1図に示した中空糸の倍率 10000倍の外表面
形状観察写真、 第5図は第1図に示した中空糸断面の内表面に近い部分
を倍率 10000倍で観察した形状観察写真、 第6図は第1図に示した中空糸断面の内表面と外表面と
の間の中央部の倍率 10000倍の形状観察写真、 第7図は第1図に示した中空糸断面の外表面に近い部分
および外表面を倍率 10000倍で観察した形状観察写真 である。
第1図および第2図は前記一実施態様の断面が均一な網
状組織であり、その最大孔径が約 1.5μmであることを
示している。第3図および第4図は前記中空糸の内表面
および外表面には孔が存在し、孔の最大孔径がそれぞれ
約1μmおよび約 1.5μmであることを示している。
第1図に示す中空糸の内表面を拡大した第3図および中
空糸断面の内表面に近い部分を拡大した第5図は網状組
織の一部が最大孔径以下の広い連続的な孔径分布で不定
形に内表面で開口している様子を、また外表面に近い部
分および外表面を拡大した第7図は網状組織の一部が外
表面上で楕円または円形に開口している様子を示してい
る。
なお、ここでいう最大孔径とは中空糸の形状観察写真で
観察される孔のうちで最も大きい短径を意味する。
前記図面およびそれらについての説明から明らかなよう
に、本発明のフイルターは下記特徴を有する。
(1) 中空糸の内表面と外表面との間は網状組織から構
成されている。
(2) 中空糸の内表面および外表面には、前記網状組織
の孔と比較してきわめて小さい孔しか有さない緻密層が
ない。
(3) 中空糸の内表面および外表面の孔は、網状組織の
一部が外部に向って開口したものである。
(4) 内表面の細孔は不定形で最大孔径以下で連続的な
広い孔径分布を有し、かつ内表面の空孔率(全表面積に
しめる孔面積の割合)が大きい。
(5) 透水量が大きく、2×10-3g/cm2・mmHg・分以上と
なり、40×10-3g/cm2・mmHg・分にも達する。
(6) 外表面の細孔は楕円もしくは円形である。
前記特徴は本発明のフイルターが従来のポリスルホン樹
脂製の中空糸と著しく異なっている新しいものであるこ
とを示している。
本発明のフイルターの内径および厚さについて、技術上
とくに限定されるものではないが、通常はそれぞれ 100
μm〜3mm、20〜 500μmの範囲で用途に応じて選択さ
れる。
中空糸の内表面および外表面に存在する孔の最大孔径に
ついては、内表面に存在する孔の最大孔径が 0.1μm未
満または外表面に存在する孔の最大孔径が 0.01 μm未
満のばあいには従来から存在する限外濾過膜と透水量が
あまりかわらなくなり、本発明の特徴の一つである透水
性が良好であるという利点が失なわれる。もちろん比較
的大きい物質も中空糸状フイルターを透過するという本
発明の特徴も失なわれる。また前記内表面、断面および
外表面の最大孔径がそれぞれ10μm、5μmおよび5μ
mをこえると中空糸の機械的強度が低下する。したがっ
て実用上内表面、断面および外表面の最大孔径は、それ
ぞれ 0.1〜10μm、 0.1〜5μmおよび 0.01 〜5μm
の範囲にする必要がある。なお網状組織の孔径は、中空
糸の厚さ全体にわたって均一なことが好ましいが、あま
り極端な差でなければ許容される。
本発明のフイルターはポリスルホン樹脂を含有する溶液
を環状のノズルから内部凝固液とともに押出し、ノズル
から50cm以内、好ましくは20cm以内の乾式距離を経たの
ち全体を外部凝固液に接触させる中空糸状フイルターの
形成法において、前記溶液の組成を温度を降下させてい
くと粘度上昇から粘度下降に移る転移温度(以下、Tcと
いう)を有する組成とし、前記溶液を前記Tc以上に保持
しながら環状ノズルから押出し、内部凝固液、ノズルか
ら50cm以内、好ましくは20cm以内の乾式距離にある中空
糸に接する気体および外部凝固液を前記Tc未満に保持す
る中空糸状フイルターの製法により製造される。
前記製法において、 (1) ポリスルホン樹脂を含有する溶液として、Tc未満
では粘度が下降する組成のものを使用してTc以上に保持
しながら環状ノズルから押出し、 (2) 内部凝固液、乾式距離内の中空糸に接する気体お
よび外部凝固液をTc以下に保持する ことにより、中空糸の内表面から外表面まで厚さ全体に
わたって網状組織を有するポリスルホン樹脂からなる中
空糸状フイルターをうることが可能になるという、著し
い効果がえられる。
本発明のフイルターの製法(以下、本発明の製法とい
う)に用いるポリスルホン樹脂を含有する溶液は前記ポ
リスルホン樹脂を特定の溶剤に溶解した溶液であり、中
空糸を紡糸するばあいの紡糸原液である。
前記紡糸原液を調製するために用いられる溶剤として
は、好ましいTcをうるために比較的沸点の高いものが好
ましく、たとえばジメチルスルホキシドやポリスルホン
樹脂の良溶剤であるN-メチル -2-ピロリドン、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの1種または
2種以上を主剤とし、これらに前記紡糸原液のTcを調整
するために用いられるポリスルホン樹脂の非溶剤である
グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコー
ル、ブタンジオールなどの多価アルコール類、シクロヘ
キサノールなどの高沸点を有するアルコール類などの1
種または2種以上を混合した混合溶剤などがあげられ
る。これらの混合溶剤を用いることにより本発明の製法
に好ましいTcの溶液がえられる。
前記紡糸原液中のポリスルホン樹脂の濃度は8〜25%
(重量%、以下同様)、好ましくは10〜17%である。前
記濃度が8%未満では紡糸原液の粘度が低く、紡糸が困
難になる。一方前記濃度が25%をこえると孔径の大きな
中空糸を作製できなくなる。
前記紡糸原液のTcは30〜 150℃、好ましくは50〜 150℃
である。Tcが30℃未満では紡糸後の内部凝固液、乾式雰
囲気および外部凝固液をTc未満にするために冷却機など
を使用する必要が生じる。一方、Tcが 150℃をこえると
紡糸原液の粘度が低くなり、紡糸が困難になる。なおTc
は多くのばあい前記紡糸原液の曇点温度と密接な関係を
有し、紡糸原液の温度低下による相分離と関係してい
る。第8図は本発明の製法に用いる紡糸原液の1種であ
るポリスルホン樹脂(ユニオンカーバイド社製、P-350
0)13.0%、プロピレングリコール26.1%およびN-メチ
ル -2-ピロリドン60.9%からなる溶液の粘度と温度との
関係を示すグラフであり、第9図は第8図に示す溶液の
ポリスルホン樹脂の含有割合を13.0%にし、前記2種の
溶剤の組成を変化させたときのTcの変化を示すグラフで
ある。第9図に示されているように非溶剤の含有割合を
変化させることにより、溶液のTcが調整されうる。第8
図に示されるような特性を有する溶液の溶剤は、従来か
らその溶質の非溶剤とよばれているが、Tc未満では確か
に非溶剤であるがTc以上では良溶剤の性質を示してい
る。第8図に示されているように、Tc未満の温度で溶液
の粘度が温度の低下とともに急激に低下する組成の溶液
が、本発明の製法に好適である。
本発明の製法に用いる内部凝固剤および外部凝固剤(以
下、凝固剤という)はポリスルホン樹脂の非溶剤であ
り、かつポリスルホン樹脂の溶剤と相溶するもので、紡
糸原液と接触するとポリスルホン樹脂を凝固させる作用
を有するものである。前記凝固剤としては、水、水とポ
リスルホン樹脂の前記良溶剤との混合溶剤、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類
などがあげられる。
本発明の製法では、Tcを有する組成の前記紡糸原液をTc
以上に保持し、内部凝縮液とともにノズルから押出し中
空糸を形成する。前記中空糸の内径や厚さは、もちろん
ノズルの寸法、ドラフト率、ふくらまし率によって当然
変化するが、内表面、断面および外表面の構造は、ドラ
フト率については約 0.8〜3の範囲、ふくらまし率につ
いては約 0.4〜 1.3の範囲であまりそれらの影響をうけ
ず、かつ内部凝固液の温度などの他の紡糸条件を変化さ
せることにより、適正に修正することができる。ただし
ドラフト率およびふくらまし率は下記のように定義され
ている。
(式中、 dは環状ノズルの外径、 dは環状ノズルの
内径、 qは紡糸原液の送り量、 qは内部凝固液の送
り量、Vは紡糸速度を示す。)従来の方法ではドラフト
率およびふくらまし率はともに約1にしなければ中空糸
が紡糸中に切れたり、破裂したりして欠陥の多いものに
なる。この点においても本発明の製法は、許容巾が広く
優れている。前記ノズルは環状ノズルのものが通常用い
られる。紡糸速度は前記ドラフト率およびふくらまし率
の値を満足するように前記の式にもとづいて他の因子と
の関係で設定すればよいが、数10m /分のときが取扱い
上簡単である。
ノズルから紡糸された紡糸原液は、ノズルから50cm以内
の乾式距離をへたのち全体が外部凝固液と接触する。こ
のとき、内部凝固液、ノズルから50cm以内の乾式距離に
ある中空糸に接する気体および外部凝固液が、前記紡糸
原液のTc未満に保持される。前記乾式距離が数cm以下の
ばあいには、この間に全体の凝固をすすめることは比較
的困難なため、Tc未満の外部凝固液および内部凝固液を
用いて凝固させることが必須である。一方、乾式距離が
数cm以上あるばあいには、この間で全体の凝固をすすめ
ることが比較的容易なため、内部凝固液および外部凝固
液ともにTc以上で、乾式距離内の気体温度をTc未満にし
て凝固させることも不可能ではないが、内部凝固液、外
部凝固液および乾式距離内の気体温度を全てTc未満にす
る方がよい。また凝固は乾式距離内で実質的に終了させ
るのが好ましい。前記乾式距離内の気体として特殊な気
体を用いる必要はなく、空気で充分であり、とくに密閉
にしたり特殊な雰囲気にする必要もなく、開放状態でよ
い。また外部凝固液中への浸透時間は一般に数秒間でよ
い。
紡糸原液のTcと内部凝固液、外部凝固液および乾式距離
内の気体のうちの低いものとの温度差は10℃以上、さら
に好ましくは20℃以上に設定するのが望ましい。
前記のごとく紡糸条件を適正に設定すれば、紡糸原液は
凝固液の抽出作用と冷却作用により急激に凝固し、凝固
液との接触面でポリスルホン樹脂の凝集が充分に発達す
ることができず、緻密な層のない構造の中空糸になる。
また紡糸原液のポリスルホン樹脂の濃度を約10〜17%に
するときには同一の紡糸原液を用いて、たとえば紡糸原
液の温度を変化させるだけで約 0.01 μmから数μmの
孔径を有するものまで容易に作製することができる。
通常、紡糸された紡糸原液の凝固液による凝固は、前記
凝固液による前記紡糸原液からの溶剤の抽出のみによっ
ておこる。しかるに本発明の製法では、ポリスルホン樹
脂の凝固は凝固液によって前記溶剤が抽出されるととも
に紡糸原液が冷却されてTc未満になり、それによって凝
固をおこすことが同時に進行しておこる。したがって、
本発明の製法では、前記溶剤抽出に起因する凝固作用の
観点から見たばあい、従来と異なり、凝固液として急激
な作用を有するものも、緩慢な作用を有するものも使用
することができる。しかしながら従来の方法では、急激
な溶剤抽出による凝固作用を有する凝固液を使用するば
あい、前記凝固液と接触する表面は孔径が0.01μm未満
の緻密な層となり、断面は比較的均一な網状組織とはな
らず、表面から内部に向って網状組織の孔が次第に大き
くなるいわゆる非対称構造のものができる。一方、緩慢
な溶剤抽出による凝固作用を有する凝固液と接触するば
あいには、従来の方法では中空糸全体が極めて透水量の
小さい、緻密な構造になる。その理由は、従来の方法で
は凝固される紡糸原液にTcが存在しなかったり、たとえ
存在しても紡糸原液温度、内部凝固液、乾燥距離内の中
空糸と接する気体および外部凝固液の各温度の関係が本
発明の製法における条件と異なっているためである。す
なわち従来の方法では、凝固されるべき紡糸原液の凝固
は凝固液による溶剤の抽出のみにより行なわれるからで
ある。
外部凝固液に浸漬された中空糸は、引き続き中空糸中の
残存溶剤を除去するため水などに浸漬され、さらに必要
ならば乾燥せしめられる。乾燥は作製した中空糸が変形
しない約 150℃以下で行なうことが望ましい。
以上記載したように、本発明の中空糸状フイルターは簡
単な製法で作製され、内表面から外表面に至るまで孔径
が大きく、したがって透水量も大きく、高温における蒸
気滅菌にたえ、機械的強度、耐薬品性および生体適合性
に優れており、一般用フイルターとしてまた医療用フイ
ルターとして利用価値の極めて高いものである。
以下実施例を用いて本発明のフイルターを具体的に示
す。
実施例1〜8、10〜11 ポリスルホン樹脂(P-3500)13部(重量部、以下同様)
をプロピレングリコール29.5%とN-メチル -2-ピロリド
ン(以下、 NMP という)70.5%との混合溶剤87部に加
え、 110℃で3時間撹拌して溶解させた。前記溶液を減
圧にして脱泡してえられた紡糸原液(A) を第1表に示す
条件で内径 400μm、外径 600μmの環状ノズルから
3.4g /分で押出し、同時に温度調節した内部凝固液を
2.5cc/分で押出して紡糸し、中空糸をえた。
えられた中空糸の特性を第1表に示す。
第1表のDi maxは顕微鏡を用いて観察した中空糸内表面
に存在する孔の最大短径、Dn maxは前記と同様にして観
察した中空糸断面の網状組織に存在する孔の最大短径、
Do maxは前記と同様にして観察した中空糸外表面に存在
する孔の最大短径を示す。
実施例9 ポリスルホン樹脂(P-3500)13部をプロピレングリコール
28.7%とNMP71.3 %との混合溶剤87部に加え、 110℃で
3時間撹拌して溶解した。前記溶液を減圧にして脱泡し
たのち、えられた紡糸原液(B) を第1表に示す条件で内
径 350μm、外径 550μmの環状ノズルから 3.2g /分
で押出し、同時に温度調節した内部凝固液を 1.8cc/分
で押出して紡糸し、中空糸をえた。
えられた中空糸の特性を実施例1と同様にして測定した
結果を第1表に示す。
実施例12および比較例 内径 300μm、外径 360μmで内表面、断面部分および
外表面の最大孔径がそれぞれ 0.4μm、1μmおよび1
μmの中空糸を実施例1と同様の方法により作製した。
えられた中空糸 150本を内径9mm、外径13mm、長さ 160
mmのポリカーボネートパイプに収納し、両端をウレタン
樹脂でポッティングした装置を作製した。
えられた装置を 120℃で30分間蒸気滅菌したのち該装置
を用いて、バブルポイントおよび牛血の濾過性能を測定
した。
比較として、蒸気滅菌を行なわない装置を用いて上記と
同様にして、バブルポイントおよび牛血の濾過性能を測
定した。
測定の結果、えられた装置の性能は蒸気滅菌の有無によ
る変化がなく、高温における蒸気滅菌にたえうることが
わかった。また前記装置の外観も蒸気滅菌により変化し
なかった。
[発明の効果] 本発明の中空糸状フイルターは、ポリスルホン樹脂を用
いて作製したものであるため、耐熱性、機械的強度、透
水性、耐薬品性および生体適合性が良好であり、中空糸
の内面から外面まで厚さ全体にわたって最大孔径が 0.1
〜5μmの網状組織にし、その内表面および外表面に網
状組織が開口してできた孔が存在し、かつ内表面には最
大孔径 0.1〜10μmの不定形の孔、そして外表面には最
大孔径 0.01 〜5μmの楕円もしくは円形の孔を形成し
たものであるため、透水性(濾過性)の良好なものであ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第7図は本発明の中空糸の繊維形状の観察写真
であり、第1図は本発明の中空糸の一実施態様の倍率 1
00倍の断面形状観察写真、第2図は第1図に示した中空
糸断面の 内の外表面より部分の倍率1000倍での断面形状観察写
真、第3図は第1図に示した中空糸の倍率5000倍の内表
面形状観察写真、第4図は第1図に示した中空糸の倍率
10000倍の外表面形状観察写真、第5図は第1図に示し
た中空糸断面の内表面に近い部分を倍率 10000倍で観察
した形状観察写真、第6図は第1図に示した中空糸断面
の内表面と外表面との間の中央部の倍率 10000倍の形状
観察写真、第7図は第1図に示した中空糸断面の外表面
に近い部分および外表面を倍率 10000倍で観察した形状
観察写真、第8図は本発明に用いる紡糸原液(P-3500 1
3.0%、プロピレングリコール26.1%、NMP 60.9%)に
関する粘度と温度との関係を示すグラフ、第9図は第8
図に示す紡糸原液の溶剤の組成を変化させたときのTcの
変化を示すグラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中空糸の内面から外面まで厚さ全体にわた
    って網状組織からなり、その最大孔径が0.1 〜5μmで
    あり、前記中空糸の内表面には網状組織の一部が開口し
    てできた最大孔径が0.1 〜10μmの不定形の孔を有し、
    前記中空糸の外表面には網状組織の一部が開口してでき
    た最大孔径が0.01〜5μmの楕円もしくは円形の孔を有
    するポリスルホン樹脂からなることを特徴とする造孔剤
    を全く含有しない中空糸状フィルター。
JP2090913A 1984-04-20 1990-04-04 中空糸状フイルター Expired - Lifetime JPH0636859B2 (ja)

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JP2090913A JPH0636859B2 (ja) 1984-04-20 1990-04-04 中空糸状フイルター

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